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ACT-ⅢⅩ「人なんて護るに値しない。」

じっさい、そういうやつがおおいげんじつ。


「ティーダ・ランスターって・・・魔力は、そこまで・・・」

「隠蔽だよ。」

「あの子の魔導師ランク・・・隠蔽されていなければ、S+。そこに寝ている、馬鹿二人より、強い。」

「馬鹿二人って・・・」

「でも、ティーダが、強いのは事実。」

戦況判断、似たもの同士との統率力は

「あの子以上にはいなかったでしょうね。」

その強さに嫉妬連中の、馬鹿な行為。

知っていても、誰もが、受け入れなかった。

誰もが、ティーだの能力を嫌っていたからだ。

それこそ、片鱗を見せていた、テスタメントの能力だ。

それでも、テスタメントの能力無でも、魔力はオーバーSクラスだ。

「管理局、最強の一人といっても良かっただろうな・・・」

オーバーSクラスの能力を持つだけで、疎まれる時代があった。

燈也も、プレシア・テスタロッサの遺児であり、オーバーSクラスの存在。

燈也とティーダは、アル意味、出会うべくして出会った存在でもあったのだろう。

「ティーダは、いつも、燈也の事を気にかけていたからな・・・」

「親友のような、存在だったからね・・・」

それが、燈也を庇い、戦死した。

とある世界の、超巨大機動兵器から、燈也を庇って。

同じ、オーバーSクラスゆえの苦労。

当時の高町なのはにも、フェイト・テスタロッサ・ハラオウンにもわからなかった苦悩。

「だから・・・あ・・・」

憐は、触れて、気付く。

いつのまにか、切断されていた事を。

頬の肌が・・・

「てぃだぁ・・・やってくれわね・・・」

それを、治し、憐は、はやてに言う。

「今の実力は、オーバーSなんて、物じゃないわ。」

テスタメントの魔導師ランクは、それ以上の物。

「そうそう。言う事があるわ。」

「なんですか?」

「六課の人間は、使い物にならない。」

「そうだろうな・・・」

「そうだろうなって・・・クロノ君?!」

信じられない言葉だっただろう。

六課・・・

機動六課・・・

はやての作った、部隊が、まるっきり、

「使い物に、ならないやて!?」

「残念ながら、そうなんだ。」

テスタメントに、勝てるわけが無い。

陽動をしても、如何なる作戦を立案しても、どの道、殺されるだけ。

「忘れたとは言わせない・・・ティーダのやった事をだ。」

ティーダ・ランスター・・・

戦闘機人を全て破壊しそれでも、余裕の笑みを見せた、悪魔。

さらに、あの立ち位置は、

「バラバに並ぶほどだろうな・・・」

「そうでしょうね。」

「俺の戦った、もう一人の存在・・・クロノ・ハーヴェイは、ティーダに比べれば・・・弱い方だろう・・・」

「それで、あの様?」

「仕方が無かった・・・俺が、未熟だった。」

「自覚はあるんだ?」

「当然だ・・・」

ティーダ・ランスターその恐ろしさは、恐怖。

「はやては、あまり、出るな。」

「私たちのお仕事よ。足手纏いは、此処で、いい子に待ってなさい?」

「そんなこと、できるわけが・・・もう、此処の食料だって、尽きようとしてるのに・・・」

それも、事実。

既に、此処に、何もかも、なくなろうとしている。

「あら、何人か、殺したから、食材は浮いたのではなくて?」

「それでも、もって、後、少しです・・・」

せめて、食料の回収のために・・・

動き出したい。

そう、思っていたが。

「やめておいた方がいいわ。」

「何で・・・?」

「今、地上で、一番嫌われているのが、時空管理局の人間だからよ。」

「お前・・・外に出たのか?」

「えぇ。出たわ。そこで、見た。」

「何を?」

「わざと、生かされた、時空管理局の残党。」

そこで、管理局の人間は、一般人にしてはいけないことをしていたということだ。

いま、この状況で、六課が食料を求めたら、確実に、殺されるという事は確か。

はやては、それを聞いて、何も出来ずにいた。

「嘘や・・・」

「嘘じゃないわ。現実を受け入れなければ、貴方が死ぬわよ?」

この場合、一番怖いのは、民衆となる。

管理局の人間に殺されても、その突進力を失う事無く、逆に勢いを増し、敵を殺すだろう。

「そして、神に見捨てられて、さようなら。」

「洒落になりません・・・」

「そうね。それが・・・」

「現実・・・だよな。クロノ・ハラオウン?」

現れたのは、かつて、クロノ・ハラオウンが傷をつけることも出来ずに、一方的に倒した相手。

その名は、クロノ・ハーヴェイ・・・

別世界のクロノだ。

「此処が、隠れ家・・・か。」

「あらあら、別世界のクロノさまが、いらっしゃいませ。」

憐は、さも、楽しげに言う。

この異常な、気配を感じ取る。

先手必勝を狙う人形がいる。

「あぁ・・・ゼウスの作り出した、人形か・・・ま、ゼウスから、排除しろって言われてるしなぁ・・・」

紅い帽子を被った、一人の女。

「あかん・・・ヴィータ!!」

「へぇ・・・人形・・・元は形もなかったのに、ちゃんと動く・・・」

「余所見をして・・・!!」

「おい、此処で、お前が俺を殺すほどの力を出せば、どうなるか解ってるだろう?憐・ヴィオラ。」

破壊され、生き埋めになるのが、オチだ。

テスタメント同士の戦いとは、そう言うものだ。

故に、

「人形を破壊するのは、その出力を出さなくてすむから、安心できるがね。」

「皆、ヴィータを!!」

既に、動いているが、奴が、既に早く動いていた。

ヴィータは、その、巨大化させた、ハンマーを、振り上げながら、無様な咆哮を上げ、クロノ・ハーヴェイに食って掛かろうとする。

もう、止められない。

敵意を見せれば。

「何で、何で、止めへんの!?クロノくんも、憐さんも!!」

「あの男の能力上、庇っても意味は無い。」

クロノは、冷酷に言い放った。

その眼は、ヴィータに同情の目を向けていた。

「おいおい・・・人形は、愛されてるなぁ・・・おおい。」

撃つのを、不正でも、そんなのは、単なるアクションに過ぎない。

クロノ・ハーヴェイがとあるキーワードを言わなければ、それは発動しない。

とはいえ、そんなことは、嘘であるが。

言葉を防ぐのは、不可能。

だが、

「ま・・・言わせなければ良いんだけどね。」

「バ・・・」

いつもの、台詞が、出せなくなっていた。憐の鉤爪が、クロノ・ハーヴェイの喉元を捉えた。

「そして、貴方がキーワードを言えば、言葉を言うのと同時に、貴方は、消える。キーワードも嘘の癖に、よく、言うわ。」

「庇う事はできないけど・・・ってわけかぁ・・・こりゃ、参ったね。」

「本当は、そう思っていないくせに。」

「首くらい・・・切り離せる。」

妖しく、笑いながら、クロノ・ハーヴェイは言う。

手を上げながら、降参のポーズをしても、それは、意味の無い事であると解っている。

どの道、ポーズや言葉など、意味は無い。

この状態で、ヴィータを殺すと言うことは、軽くできる。

それは、嘘ではないのだろう。

元より、

「首から下からは切り離された存在でね。」

「どけ!!」

「今なら!!」

ヴィータは、殺せると踏む。

そこまでして、殺すきか。

「おやめ。攻撃すれば、死ぬのは、貴女よ。」

憐は、ヴィータを見ながら、そう、呟いた。

「そうそう・・・こんな風にね!」

そう、言った瞬間だった。

ヴィータが、爆発した。

此処のエリアには、何があったのかなど、解りはしないだろう。

先ほどの台詞の時に、既に、憐は突き刺していたのだが、血液を出して穿いたものの、平然と、顔は笑っている。

彼にとっては、殺したという感覚は無い。

殺したというより、彼女の場合は、壊したと言う事だろう。

「いらないゴミは、壊さないとね?」

「ヴィータ!?」

冷酷だが、この男達の創ろうとする世界に、ヴィータのような、人で無い動く物はいらないのだろう。

「生きてるんじゃない。動いているだけだ。」

ただ、そう言う。

「本来は、スバルと、ギンガという戦闘機人も破壊しなきゃいけないんだけどねぇ・・・」

憐は、突き刺す行動自体無意味と悟り、クロノは、ハーヴェイの頭部に向かって、スラッシュケインをぶつけようとしたが、既に、ハーヴェイは、そこに存在しなかった。

「残念。全く、強くなってさ。突然。」

唄うかのように、クロノ・ハーヴェイは、二人の攻撃を避けた。

厄介な相手だと、思ってしまう。

「次元跳躍・・・って奴さ。こいつのお陰で、何とか、無傷になったからね。体は治癒した時間に・・・そして、元の時間に戻る。これは、アマテラスの天の岩戸と同じ能力でね?ただ、僕の場合は、一人分だけどね。」

「そうですか・・・」

「そう、よく、自分の能力をぽんぽん、喋れるわねぇ・・・」

ぶわん・・・

そのような、音がしたとき、クロノ・ハーヴェイの両足が、切断された。

「っ・・・人間かぁ・・・憎しみによって、強くなってしまったタイプかな?本来は、優しかったけど・・・」

「ぬかせっ!!」

「あんま、暴れるんじゃないわよ・・・」

クロノと、憐は、ただ、見ているだけ。刀身が光っている鉈を出鱈目に振り回しているようで、ちゃんと、形となっている戦い方。

「キャロね・・・」

「あの男の殺意で、目覚めたって所かな・・・」

「ずっと、寝てたんやで?」

「良くあることさ・・・」

人間でありながら、精神が、肉体を超越した存在。

人間としての戦い方は、かなりの物だ。

やろうと思えば、テスタメントの一人は、殺せるだろう。

しかし、クロノ・ハーヴェイの場合は、その確率は、難しいが。

「あの女の仲間は・・・潰す・・・!!」

「エリオって、人形の事で、怨んでいるのか?」

「その名前を!!」

エリオ・モンディアル・・・

かつて、キャロが愛した、敵に言わせば、人形である。

そレは、ユーノ・スクライアに殺され、それを黙ってみていただけの、彼等を怨んだ。

止められた筈なのに。何故、止めなかったのか。

真意を聞こうとしたとき、腕と脚を飛ばされ、義手と義足となった。

戦闘機人の腕と脚・・・

脚力の殴力は強くなった物の、既に、人間じゃない部分に、嫌な感覚を覚える。

エリオを失っても、なお・・・

戦う存在である。

それは、単なる、敵討ちと言う感情に動かされた、単純な理由である物の、その奥にある物は深い。

ただ、殺すだけでありながらも、それは、難しく、殺せば、殺すだけで、それが、満たされるのか、解らない、ある意味虚しい戦いと言う物がある。

本来、殺した人間は、

「ユーノ・スクライアのはずだ。失った、殺すべき相手すらいなく・・・君はただ、暴走しているだけだ。」

「だまれぇぇぇぇぇぇ!!!!!」

鉈の刃は、全てを消すかのごとく、忘却の螺旋を描きながら、戦う。

「今、君が、此処にいる理由と言うのは、ないはずだ・・・」

「見殺しにしたぁぁぁ!!助けられたのにィィィ!!」

「あれは、対象じゃない。俺達にとっては、単に、生かされた、人形だ。」

キャロの気迫一閃を軽々と避けながら、言い聞かせる。

これが、キャロなのか。

見ていたもの、誰もが、そう思う。

テスタメントであるメンバー以外は・・・

シグナムは、その、今まで以上に鬼気迫る、キャロに、一瞬の怯えを見せたほどだった。

「もとより、君を怒らせた存在が、俺達であるのなら、謝ろう。しかし・・・その力は、必要ないな。」

瞬時に、何かが、キャロの両腕を斬り飛ばした。

「そんな・・・!?」

「これが、君と僕の差だ。」

「くっぅっぅぅぅぅ・・・!!!」

「龍は、呼ぶな。此処の、人間、全てが死ぬぞ?」

それを言われた瞬間、力が消える。何も、出来ない状態であり、打開策すらない。

時間から、武器を呼び出し、敵を破壊する。

「大綱の仕様が無いかしら?」

「二人同時なら・・・」

「あんた等・・・キャロを・・・」

「えぇ・・・捨て駒にするわ。」

「最低や・・・私が・・・!!」

「行って、殺される?ヴィータのように。」

「っ・・・」

そう、言われると、何もできない自分がいた。

しかし、それは、人間として正しい形だ。

死ぬのが、怖いと言うのは、当然の行動なのだから。

当然の感情なのだから。

人として・・・

死を恐れない事など、体から魂が抜ける感覚など、わかりはしない。

断末魔さえ叫ぶ事も出来ずに、此処から、いなくなってしまった存在。

ヴィータ・・・

跡形も無く、体は粒子状にまで消滅してしまった。

「君は、優しさを受ける資格がある。」

クロノ・ハーヴェイが、キャロを、優しく、抵抗の出来ないキャロを優しく抱きしめる。

「辛かっただろうね・・・」

何も、言わない。

言おうとしない。

そして、

「その瞬間が・・・」

「お前の・・・」

「「隙だ・・・!!」」

背後から、飛び上がる、憐とクロノ。

そのままの、勢いで、目の前にいる、クロノ・ハーヴェイを殺そうとする。

キャロを犠牲にしても、殺す覚悟というものが、今の、この二人にはある。

「仲間がいても、お構いなしかよ・・・!!」

クロノ・ハーヴェイが、キャロを自分達の空間に押し込んだ後、戦闘に備える。

背後から、展開される、ワームホール・・・

そこから、放出される、ビームを、空中で、姿勢制御しながら、避け、徐々に近付き、その、二つの刃は、命を狙う。

ワームホールを、スラッシュケインを振り生み出される、衝撃刃で消滅させ、そのまま、回転し、身を捻らせながら、一種の、トルネードを形成した、憐は、クロノ・ハーヴェイに突撃させる。

「俺なら・・・どうする・・・!!」

見極めろ。

そう、言うかのように、クロノは、憐さえも、犠牲にする覚悟だ。

「ふぅ・・・だから・・・俺は、姿時間を自在に・・・」

消える。

再び、憐の攻撃が、直撃しようとしたとき、その姿は消える。

このスペースであれば、逃げられる場所は、限られている。

何処に、それは、出てくるのか。

どう、なっているのか。

その性質上だ。

「その能力の欠点・・・」

「一般人の時間は、戻せても・・・」

「俺達の時間は、戻せない。」

故に、先ほど、一分前に戻っても、一分前の場所にはテスタメントは、存在しない。

逃げた時間の中に、それは、存在する。

治癒する時間を与えるだけだ。

そして、これほど、限定された、空間の中では、

「ある程度・・・」

「逃げる場所は、予想がつく。」

お互いが、予想している配置につく。

お互いに、ばらばらだ。

しかし、それなりに、二人の場合は、そこだと踏んでいる勘と言うものが働いている。

憐ノ場合は、長年の戦闘の勘。

クロノの場合は、もう一人の自分であるが故に、もう一人の自分なら、何処へ動くか。

それを、予測する。

「ちっ・・・!!考える事は・・・同じ・・・かっ!!」

「悪いな・・・!!」

現れたのは、クロノの隠れた場所。

スラッシュケインで、クロノ・ハーヴェイを切刻もうとしたときには、クロノ・ハーヴェイは、刃を取り出し、それに、応対する。

「俺なら・・・考えていることだって、わかるさ・・・」

同じ人物であるからこそ、お互いの考えていることが、

「よく解るとは、お互いに・・・その分・・・」

ぼそぼそと、呟きながら、その、瞳をギラつかせながら、狙う。

瞬時に、駆け出して、駆けるかのように、鉤爪は光りながら、やることは、

「貴方を、殺す事♪」

悪魔のような、笑みを浮かべる。

クロノ・ハーヴェイは、全力でクロノ・ハラオウンに、当たっている。

手を抜けば、殺される事くらい、解っているのだろう。

憐は、既に、姿を消している。

ザ・インビジブル・・・

一定時間、姿を消す。

そんな、単純な魔法だ。

暗殺に使える、魔術の一つとして上げられる。

「次元移動は?」

「どーだか?しないだけかもね・・・!」

姿を表したとき、クロノ・ハーヴェイの右腕が、もっていかれた。

「ちぃ!?」

その行動によって、バランスを崩し、クロノ・ハラオウンは、左腕を、もっていった。

心臓を突き刺しても、無駄。

そうであるのなら・・・

狙うのは・・・

「「脳天・・・」」

すぐに、攻撃できる態勢に入り、お互いに、見つめる部分は、一点・・・

相手の脳天だ。

そこを狙い、串刺しにし、クロノ・ハーヴェイを此処で、終わらせる。

全てが、一瞬の出来事。

此処までの、対応、処理速度に、クロノ・ハーヴェイは、敬意を払った。

「やるね・・・まだ、此処で、消えたくないんだ。」

「退いておけ。私が、行こう。」

クロノ・ハーヴェイは、その声を聞いた瞬間、自分を本拠地のある場所へと転送させた。

「嫌な声・・・」

憐と、クロノ・ハラオウンは、いなくなったクロノ・ハーヴェイよりも、目の前に、突然現れた、男が、嫌で仕方なかった。

昔、相手にならなかった、一人の人間。

悠介も、勝利する事の出来なかった、存在。

あぁ、聞くだけで、憐やクロノは嫌な感じになる。

腹が煮え返るような、嫌な何か。

気付けば、目の前に、それは、存在している。

憐や、クロノの目の前にではなく、ヴォルケンリッターの前に、それは、存在していた。

「バラバ!?」

「此処にいたんじゃ・・・間に合わないわね。」

互いに、クロノと憐は、舌を打った。

戦慄・・・

犬は、恐怖を前にうなりたくなる。

ただ、逃げようともせずに、守るのは、仲間。

シグナムとシャマル。

「人形犬が、良く吼える物だ。」

「俺は・・・にんぎょ・・・」

拳一つで、殺される。

いや、何があったのかすら、クロノと憐以外は、解らなかっただろう。

「一発かな・・・?」

「そうね。」

こうして、失っていく仲間から、相手の技術を見て、対策を考える。

今の、クロノと憐がやるべき、行動。

バラバの一発の拳が、ザフィーラの体が、砕けた。

いや、破壊されたというべきかも知れない。

腹部を一発殴られ、頭と、尾の一部を残し、ザフィーラは内蔵と呼べるものを、全て飛ばされ、いや、破裂したような印象を受ける。

辺りに、獣の血が飛び散り、それが、勢い良く、庇っていた、シグナムとシャマルにかかる。

そして、絶命する。

「中身は、一人前に、普通の犬と同じか。」

それは、

「犬に失礼だな。たかだか、人形犬が。」

シグナムたちには、その拳のスピードすら、見えなかっただろう。

「私に、何もしないのは、懸命だな。」

周りは、何もしないのではない。

何も、出来ないのだ。

クロノや憐ですら、あのバラバと言う男と言う者の前では、まだ、太刀打ちできるほどのレベルではない。

何せ、ビー球サイズの魔力球でミッドチルダの5分の1を抉り取った男だ。

「私の仕事は、ヴォルケンリッターと後に名付けられた、単なるプログラムの破壊。」

「単なる・・・プログラム・・・それが、実体を持った。消されるためにね。」

本来

「ありえなかった物。しかし、そのような、装飾・・・欲望深いものが、そのような、俗物的な容姿にしたのだろうねぇ・・・」

烈火の将・・・

それが、その姿か。

単に、

「炎と泉を司るだけの、プログラムが、良く、そこまで、人形的な姿になった。」

「人形やない・・・私の・・・家族や・・・二人も殺しておいて・・・!!」

はやてが、声を震えさせながらも、激昂する。

「家族・・・人と、人形が家族ごっこか・・・滑稽な姿だ。」

故に

「哀れだ・・・」

「さて、クロノ?どうする?」

「助けるにも、あのスピードには、対応できないだろう。動き出したときには、はやては、殺されてるか・・・どうか・・・」

「そうね。」

バラバのスピードに、ついていくことは不可能。

こうして、黙ってみているしかない。

「バラバと言う男は、全身を殺気で覆っている。不可能だ。」

その殺気は、あの男の結界のような形成をしている。

その中で、攻撃をしろと言うのは、死ねといっていることに等しい。

はやてとて、それをわからないわけではない。

その、殺気が形作られ、鬼のような姿となる。

バラバ・・・

一撃の破壊力は、常人以上の男。

この、会話のときにでも、隙は無い。

敵を殺そうにも、殺気と言う名のオーラで、殺される。

「ザフィーラを破壊したときの威力は・・・本気じゃないだろうな・・・」

「でしょうね・・・」

斬り飛ばした、クロノ・ハーヴェイの腕に、鉤爪を突き刺し、その血を憐は吸収させる。

「さて、火と水を潰すか・・・」

何も出来まい。

余りに、恐れる、その姿は、赤子のようだった。

「グラーフアイゼン・・・これだっけか?こんな物を、人形が持っていたとはね・・・」

バラバは、それを、わざわざ、腰をかがめて、回収する。

そして、歩き出す。

シグナムと、シャマル・・・

彼にとっての、人形を破壊するために。

元より、ゼウスの作ったものを、破壊するのだから。

「私が、そのゼウスの遺産を消すのだから・・・まぁ・・・仕事ゆえに、仕方は無いが。」

それは、

「悪く思うな。人形として生まれた、自分を怨め。」

殺気を出しても、そこに突っ込む馬鹿はいない。

あの男の場合は、彼のいう、人形でも、解るようほど、殺気と言う物が伝わってくる。

動けない。

ある種、正に、闘いの鬼というものがいるのなら、それは、この男なのだろう。

スサノオたる、浦島悠介では無く、この男。

バラバ・・・

新約聖書で描かれた、人間が、そのまま、此処にいる。

既に、数万年前よりも、前の人間。

さらに、それで、与えられたテスタメントとしての力。

「悪魔ね・・・」

「存在は・・・な・・・」

憐とクロノの、遠距離攻撃でも、この男は、軽く弾くだろう。

「砕けろ。」

シャマルに、一歩ずつ、近付き、全てを消そうとした。

しかし、庇う形で、動き出した、シグナムが、バラバに、レヴァンティンをもって、斬りかかった。

どうせ、殺されるなら、

「仲間を庇うか・・・人形でありながら、そんなものは、もっていたんだな・・・」

剣を纏っている炎は、弱弱しい。

劣化と言う文字は、不釣合いだ。

「弱弱しい・・・やはり、ただの、プログラムで、あるべきだった。」

レヴァンティンを奪い、さらに、コントロールまで、奪った後に、シグナムの首を刎ね、そのまま、燃やした。

「シグ・・・ナム・・・?」

血は、炎で蒸発し、刎ねた瞬間、何が起こったのかすら、解りはしないだろう。

無言のまま・・・

正に、いらない玩具を処分するかのごとく、バラバは、シグナムを文字通り、燃やしたのだ。

全員、言葉を失う。

文字通りの残虐的な殺し方に。

「厄介だな・・・」

「太刀筋は見えたわ・・・」

「仲間のために・・・青臭い感情は、通用しないってことか・・・」

「それが、本当の、戦いでしょ?」

「そうだな・・・」

この場合は、死闘に近いものだが。

元より、戦いとは、虐殺に近いものだ。

血の流れない戦いは、

「理想だよ。命が散らない戦いもね。」

そんな、戦いを

「六課の子たちは、知らないのね。」

「知っているのは、ティアナ達だけか・・・」

出来ないも知れないが、まともな戦いは、出来るかもしれない。

「俺は、元より、あの男のために、こんな仕事をしてきた。俺は、何人もの命を背負っている。人の命ではない分、人形の排除は、楽だけどね。」

実に、

「人間に近い顔をした、人形でも・・・!!」

シャマルの懐に入り、そのまま、文字通り、排除する。

ヴォルケンリッター・・・

初期の四人・・・

手傷すら、負わせる事無く、全滅。

圧倒的…

その言葉通りの男は、此処から消える。

「私の仕事は終わりだ。」

そして、六課の殺されていない人間に改めて刻まれた。

バラバと…

「さて、彼等は、地上に出たね。」

動き出す、一人の存在。

ティーダ・ランスター・・・
















「ティーダ・・・ランスター・・・!?」

誰もが、死者に驚いた。

新しいものが出現してしまったが故に、潜んでいた、全ての管理局組織が、この地下壕に姿を現した。

死者が、この現実に、地獄に戻ってきたからだ。

それを追いかけるように、ティアナ達も現れた。

切断された腕から、デバイスを回収し、ぞろぞろと、管理局の残党組織が現れる。

「抵抗はするなよ?」

「弱いくせに・・・良く言うよ。」

ただ、ティーダは言う。

「久しぶりですね。私が死んだとき、相当、お喜びになられたんだとか。」

当時の時空管理局・・・

ティーダ・ランスターの活躍は誰もが、耳に入るほどだった。

その高い能力ゆえに・・・

檄地に送られる分、力を身につけられ、帰ってくる。

管理局の上の人間としては、ティーダの力に嫉妬し、わざと、檄地に派遣している事があった。

それは、早めに、ティーダを殺したかったからだ。

それでも、ティーダは生きて帰ってきたが。

「実に、醜かったですね。覚えていますが?あなたですよ。弱い、上官さん。」

ティーダは、そう、言った後、臆する事も無く、

「護るべき価値も無い・・・」

男の首を簡単に撥ねた。

「弱い・・・」

ただ、ボソッと、そう呟いた。

「抵抗した!!撃ち殺せ!!」

デバイスを向けられた。殺傷能力はあるだろうが、神人である人間を殺すことはできない。

ハルモニアとの戦闘中、この天使と戦っている中で、出てきた、人間という名の敵。

「神の力だと?!人間じゃないんだよ・・・!!」

一人が激昂すれば、誰もが、それに乗る。

全ての人間が、乗った。

あぁ、そうか・・・

ただ、そう、呟く。

それは、一つの嫉妬であると解る。

凄まじい力が、ほしいのだ。

「所詮、我らを見下し、殺すための尖兵!!」

勝手なことを言う。

しかし、それが人か。

「そう・・・これが、完全な悪に支配された人間。」

ハルモニアは、簡単に言い放った。

「天使と、人の形をした、化け物は・・・お呼びじゃないんだよ!」

デバイスは、光を得て、輝き、そして、槍となる。

放たれた光は、容赦なく、人として扱わない、悠介に撃ち放たれる。

「ちっ・・・・・・!!」

一つの差別。

神の力を良しとしない物が

「やはり・・・醜い・・・」

地上に出て、出迎えたのは、人間だった。

それも、生き残っていた、管理局の残党。

クラナガンから、追い出される形で、こちらに流れ着いた人間。

「躊躇うな!!俺たちの敵は共通だ!!!」

ティーダ・ランスターが、動き出す。

「わざわざ、生かしておいたかいがあった。一応、俺は・・・あんたたちにかけていたんだけどね。」

それは、

「全ての人が団結して・・・あなたたちが平和になるように。」

それの

「使者となるべきだと俺は、思ったんだがね。」

一度は

「俺の死を蔑んだ連中でも、信じていたんだけどね。」

でも、

「やっていることは、臨んでたことと違うよ。」

だから

「俺は、お前たちを許す気はない。」

何のための

「3年だと思っている?」

「3年・・・?」

ティーダの口から、語られる、3年…

それは、諸君等はご存じではあるだろう。

「全ては燈也の優しさからだった。」

主に

「直談判したんだよ。有名な神との交渉ってやつさ。」

破壊するのはやめない。

その代わり、

「3年・・・攻撃しないとね。」

その3年後

「俺たちは、あんたたち人間が、平和を築ける世を期待していたんだが・・・」

どうやら・・・

「期待外れだったようだ・・・」

まったく

「燈也の優しさも、すべて、無に帰すんだな。俺は、それを許せないよ。」

親友だから。

そして、何より

「好きだからね。あいつのこと。」

本来

「導くべき、管理局の人間が、人間を家畜扱いし・・・本質は、奴隷化か。これが、ミッドの人間か。」

もう、

「殺すべきだと思ったよ。俺は・・・ティアと瑠璃ちゃんの優しい世界を作るために。」

見てきた

「世界の人間の中で、一番、醜い。此処にすむ人間は・・・」

故に、

「兄さん・・・殺すの・・・?」

「殺すさ。もう、奴等は生きる必要もない。」

振り返りながら、ティーダは言った。

冷徹に言い放つ、その兄の姿に、かつての面影は、存在しない。

「スサノオ・・・今の君なら、邪魔できるけど・・・やらせてくれないか?」

「何が、そこまで、あんたを駆り立てる?」

「単に、こいつ等が嫌いなだけだ。」

低い声・・・

今までとは違う、ティーダ・ランスターを感じた。

それ以上に、何かを孕んでいる。

しかし、詮索している場合じゃない。

黙って、みているべきなのだろうか。

この状況を。

「何を思う?」

「さぁ?」

「止めるか?」

「止めないと思う。俺は、あんた達と戦ってるけど、管理局の味方ってわけでもない。」

悠介の言葉に、味方の戦闘担当の物は、頷いた。

しかし、ヴィヴィオはただ、黙っていた。

「そうか・・・ここは、俺の、私怨の為に、やらせてもらう。ハルモニア・・・」

「はっ・・・ティーダ様。」

「君は、スサノオの見張りだよ。」

「はい・・・」

スサノオ形態となっている、悠介。

いざ、ティーダ・ランスターと刃を交えるための戦闘体制でもある。

それを見抜けないほど、ティーダも愚かではない。

「さて・・・覚悟はいいかな?管理局の皆様?」

ティーダは、解る。

この、スサノオと言う存在が、何処まで今、危険な状態になっているのかも。

この三年の中で、取り戻し、さらに、進化しようとしている。

その重圧的なものを感じている。

奴等を殺したら、全員で、総攻撃してくるか。

悠介以上に、妹である、ティアナも怖い。

ただ、駆られる物があった。

確実に、強くなっている事が、良く解る。

ティアナの場合は、瑠璃と言う精神的な支えを再び手に入れたことによって。

さらに、愛し、愛するがゆえに、その同調率は、JS事件時以上の強さを誇るだろう。

精神的に、かなりの、弱さのある、スサノオも、安心して、今は、冷静な判断が出来る。

愛する、女の力かと、ボソッと、ティーダは呟いた。

女に支配され、女に安心する。

一人の女が、悠介を支配するかのように。

歴史上の英雄は、女に支配されていた部分がある。

時に、女の言葉が、主を安心させ、数多くの英雄の中の隣には、女の存在がある。

悠介も、それなのだろう。

「君の愛する、女性は、偉大だね。」

愛する女は、精神的な、支柱の支えになる。

それを、改めて、ティーダは実感した。

「我が神聖なる光を前に、貴様等に、天罰を与える・・・ってね。」

ティーダの周りが、黒い影に覆われる。

対象とした、全ての人間を引きずり込むように。

ティーダのデバイス・ジハードを大地に突き刺し、急に、黒い影のように、液状・・・

墨汁を零したように、黒くなったときだ。

突然、黒い影は、腕のような物を伸ばしながら、拘束した、管理局残党の人間を黒く、蝕んでいく。

振り払おうにも、抵抗しようにも、それは出来ない。

全ては、ティーダ・ランスターの思うが侭に・・・

全てが、無駄な事だ。

全て・・・

無駄。

全てを飲み管理局の人間を飲み込んだ。

助けてくれ・・・

助けてくれと、管理局の人間の断末魔が聞こえてくる。

それは、当然の報い。

管理局の人間は、人間は、飲み込まれた。

しかし、

「ミッドの大地と同化した。その血肉は、大地となったんだ。」

その言葉と同時に、ティーダは、この世界から、去った。

悠介は、それを、解っていながら、見逃した。

それは、まだ、人間として、いや、ティアナの兄であるティーダを討てなかったからだ。

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