PREV | PAGE-SELECT | NEXT

≫ EDIT

ACT-ⅡⅩⅦ「理由」

悠介の戦う理由はその場凌ぎです。
何故なら、失うものが多すぎて空っぽになったから。
彼の戦う理由なんて、今は、全部、嘘。
本当は理由なんて無い。


「もう・・・嫌だ。」

逃避・・・

何を、思うのか、彼は、そう思うことがある。

故に、思い出に浸る。

「ずっと・・・愛したい・・・会いたいと思う・・・」

「そんなに・・・?」

「うん・・・会いたい・・・」

手を伸ばせば、そこにいるような感覚。

それを、味わいたい。

ただ、この現状から今だけは逃げたいから、此処にいる。

「知世・・・」

「逃げたければ、逃げてもいいのよ?私は、貴方の味方だから・・・」

「逃げたい・・・」












そして、現実に戻る時












「君はいない・・・」

そのことに気付き、悠介は絶望する。

欲しいのに、そこに存在しない温もりをただ、求める。

だから、

「死にたい・・・」











「では、行ってまいります。」

「うむ・・・頼んだ。」

必要悪という物がある。

今回、ミッドチルダを崩壊に近い状態にさせ、さらに、時空管理局を事実的に壊滅にまで追いやった敵は、自分たちを悪と認識している分、まだ、立場的には、良い方と言えるか。

いや、それでも、やっていることは変わらないが。

しかし、自分たちを正義と信じ、神には向かうために、生き残った人間を人間としての権利を奪い、休むことなく、家畜として働かせるレジスタンス組織は、この場合、正義になるのだろうか。

「ならないよ。どう、考えてもね。」

クロノ・ハーヴェイは、そのような物を、見ながら、別の場所に向かう。

歩きながら、ただ、そのような物を見て、勝手に胸糞悪くなる。

クロノ・ハーヴェイとは、そう言う人間だ。

自分でいやな物を見て、自分で聞き分を悪くする。

そうして、自分の戦意を上げる。

人間を殺すという名目の為に。

陵辱や、拷問は特に嫌いだ。

「燈也とすずか・・・力が無いように見えたけど・・・何れ、帰ってくるか。ミッドにいる、テスタメントに、逃げ場は無い。」

「この体・・・」

一つの、神殿のような場所に、召喚された、一つの、ボロボロの体。

予定には無い。

何故、それが、来たのか。

「これは・・・いや・・・まさか・・・あの時、ラグーンの残骸から、回収した死体は・・・全て・・・」

頭髪と呼べる物は無く、全ては、焼け爛れている。

とても、人間の死体とは思えないほどに、酷い状態だった。

しかし、時がたつごとに、一秒立てば、別の個所が蘇る。

新たに、作り直されている。

全て、新たに蘇ろうとしている。

魂のない状態での、肉体の再構築。

「女・・・だったのか。」

体の焼ける、異臭と蘇るながら体を再構築する匂いが、クロノ・ハーヴェイの鼻についた。

構築されていくたび、良い体付きが目に付き、女であると理解する事が出来た。

何故、こんな物が、処分されずに、ここにあるというのか。

いや、

「以前・・・処分した筈だ・・・」

おぼえがある。

過去の、とある世界で。

蘇生している。

以前に、灰にしたはずの死体。

何回、蘇生されているのか。

この死体から、異様なプレッシャーを受けた。

自分の体を蝕むかのような。

いや、何かを、呼び寄せている。

興味が出てくるものの、何か、異様なものを、その身に受けているようだった。

感じる感情もある。

魂の無い、既に、何も出来ない、抜け殻が、クロノ・ハーヴェイに、異様なまでのプレッシャーを与える。

しかも、感情までも、露にしている。

「愛・・・」

歪んでいる。

ただ、そう、思った。

愛の形は、人其々なれど、この体の愛は、度を超している。

まだ、魂は、何処かの世界に漂っているのだろうか。

もし、魂が、この体の中に戻ってきたとき、間違いなく、恐怖になる。

「しかし、それは、使えるよ。」

「バラバ様・・・」

「この体・・・使えば、ミッドチルダの戦力をほぼ、向こうにできるといっても良い。」

「誰かが、乗り移ると?」

そこまで、大層な、体なのだろうか。

「いや、そのような物に使わないよ。ただ、それ以上に、この体がここに来ているというだけで、凄い事だ。」

この体に何がある。












「なんだろう・・・圧迫されてる気がする・・・」

目覚めた、最初の感想が、その言葉だった。

自分に、力と呼べる、全ての力を、今は、感じる事ができない。

自分の中に、何も内容な、全てがなくなったような感覚をおぼえた。

力という、ただ、一文字の物が消えてしまったような気がしてならなかった。

気付けば、自分の体が、幼くなっていた。

そんな、現象・・・

「すずか・・・?」

あぁ、力という、力は、全て、なくなったような感覚。

少年は、目覚めた。

真中に、母であるプレシア・テスタロッサが、いる。

右隣に、自分がいる。

左隣にいたのは、自分と同じ、幼き姿となった、月村すずかだった。

月村すずかも、自分と同じような、体付だった。

何故、何故、幼くなっているのか。

何故、そうなっている・・・

眠りながら、ただ、そこにいる。

眠りながら・・・

まだ、左隣には暖かい、感覚がある。

何故か・・・

それが、良く解らなかった。

「どうして・・・・・・」

ただ、もう、何も、考えたくなかった。

どうでも良かった。

ただ、目の前にいる、優しい人に甘える事が出きれば、それで良い。

それで・・・

それで・・・

それで・・・

「どうしたの?」

左隣に、暖かい感覚が戻る。

振り返れば、姉がいた・・・

アリシア・テスタロッサ・・・

しかも、彼女は、幼い外見ではなく、成長した姿でいる。

「お姉ちゃん・・・・・・」

虚ろな目で、少年は・・・

燈也は、そう、呟く。

目の前にいる人間が、幻想なのか、現実なのか、区別がつかなかった。

優しく、微笑みかけた後、幼い姿の燈也をやさしく抱きしめた。

「お姉ちゃん・・・苦しいよ・・・」

「ごめんね・・・」

愛しくて、愛しくて、何から言えば良いのか解らない。

もう、戦わせたくない。

やっと、出会えたのだから。

姉弟が・・・

燈也を抱きしめながら、ただ、思う。

(今まで、独りぼっちにしてごめんね・・・)

今、姉としてできることは、自分が何だって、してあげたい。

それが、自分のためであるから。

燈也のためにも、なると思ったから。

「お姉ちゃん?」

「もう少し・・・ねよっか?」

「うん・・・」

全ては、彼等が投降してくれれば、終わる。

本当の意味で、安心する事ができる。

眠る前の燈也の顔を、アリシアは見た。

きたときは、恐い目をしていた。

しかし、今は、純粋な、子供の目をしている。

本来、持つべき、人の目を。

どこか、にごった、復讐の黒に染まった、黒ではなかった。

「アリシア、お姉ちゃんになったわね。」

「うん・・・ママ・・・」

不思議な、空間に囚われながら、何も、出来なくなっている。

そして、自分の行ってきたことも、優しさの中で、全て、浄化される。

忘れ去られてしまう。

しかし、これで良い。

アリシアにとっては、そのような、記憶は、無いほうが良い。

「コロナ・・・イクス・・・」

「あの子達も、大丈夫よ。」

「うん・・・」

ただ、信じてしまうのは、本物の肉親ゆえか。














闘神・・・

かつて、そのように、称された、巨神がいた。

怒号の如き、威圧で、敵を圧倒し、拳と刃によって、全てを破壊してきた。

悪意と呼べる全てを。

全てを破壊した。

その、拳は前に突き出すたびに、龍の風が舞うという。

それが、悪を突き刺し、全てを破壊する。

如何なる物も、物理的な破壊をするという物。

何を、考えている。

愚かだ。

そう、思いながら、かすかに、思った、昔見た、テレビアニメのロボットのヴィジョンを思い浮かべながら、沈む。

こんな、絶望的な状況で、奇跡を望むのは、当然とはいえるが。

全ての作戦は、無意味になった。

故に、妄想が具現化して欲しいと望む。

不可能な事であると、解りながらも。

ただ、似ている。

以前も、こんな事を望んだ時、ドラグリオンを召喚した。

いや、アレは・・・

名前を思い出したからだ。

「そんなのを・・・妄想している場合かよ・・・」

傷だらけで、変な妄想が、頭の中に飛び交う。

異常なまでに、厚かった、ラジエルの装甲。

しかし、それは、今は、ラジエル以上に厚くなっている。

「まさか・・・あれは・・・」

瑠璃が、ただ、呟いた。

覚えがある。

その、姿には。それは、逆に、破壊の光を吸収しているように見えた。

そして、姿形が変化する。

それは、どこかで観た事のあるものだった。

また、どこかで、何れは、世界を救う、黒き救世主の巨神の姿に似ていた。

かつて、存在していた、セブンスチャペルを、進化する事で、より、強大となり、最終的には、ドラグリオンと並ぶほどの巨神となった。

その姿は、巨神の本来の姿である、生命の樹の破片から作られた。

しかし、それは、破片でしかなく、樹となる事はなかった。

そして、それは、神となった。

旧約聖書の創世記、エデンの園の中央に植えられた樹。

その生命の樹を司る神の一つである。

生命の樹から、作られた、生命の樹の守護神。

往々しく、巨大な翼を展開し、ソレは、神の光・・・

燈也とすずかが、唇を交わすことによって、天を咲き、光は大地に刺さり、現れる、一体の巨神。

そして、展開されたのは、全てを包み込むほどの美しい翼。

機械的な印象を受けた、以前の形態に比べると、やはり、巨神というイメージが、強い。

傷つき、全て消えかけようとした以前の姿。

あの時の邪の巨神のイメージを強く残していながらも、黒一色ではなく、空の青と、無限なる白が、生まれ変わらせ、これを染めていた。

それは、かつて、燈也とすずかが、二人同時にのる事によって、無限の力と化し、時空管理局の最もたる脅威と呼ばれる、漆黒の巨神の姿・・・

レイディーンという、巨神。

そして、本当の名は・・・

「アイン・ソフ・オウル・レイディーン・・・」

しかし、その色は・・・

白い。

白い、レイディーンだった。

逆に、出力を、与えてしまったという事になる。

「白い、レイディーン・・・」

かつて、JS事件によって、進化した、その姿だった。

白い、姿で・・・

それは、そこにいた。

純白のレイディーンは、漆黒のレイディーンと比べて、ロボットアニメに出てくる、正義とアクの勧善懲悪者であれば、確実に正義と呼ばれる部類に入るほどの印象を受ける。

(無限光の神か・・・)

覚えている。

そして、その形を見たことがある。

しかし、悠介自身、これで、終わりそうだ。

貫かれた体、そして、ソウルディストラクションをもてる限りの最大出力で照射・・・

流石に、ミッドチルダに穴を開けるほどの出力ではなかったが、既に、スターライトブレイカーを数千万回分、放った状態で、もう、戦える状態ではない。

「悠介を、回収・・・」

触手を振りほどき、ほぼ、全壊に近い、ドラグリオンは、悠介を収容する。

「コアを、貫こうと思ったんだけどね・・・」

「簡単に行く訳無い・・・馬鹿・・・」

「ごめん・・・」

ただ、目の前にいる、白い、レイディーンに対して、何もする事が出来ない。

それにあわせて、レイディーンも、何もする事が無いのか、動かないが、不気味だった。

「反逆者がー!!!」

鼓膜を破りそうな叫び声だけは、一人前な、声が聞こえてくる。

「っなんだよ・・・・・・」

「レギオン・・・?」

その言葉と同時に振り向けば、かつて、時空管理局のレギオンを使用した、機動兵器・・・

「月村燈也!!等々、本性を表したかぁぁぁ!!!」

ガーディアンと名付けられた物だった。

まだ、そのような物が残っているのかと、驚きたくなるような骨董品であり、クスリを打ち、体をレギオンにしなければ、操る事さえ出来ない、欠陥兵器。

一定の回数で身も心も、全てレギオンになり、さらには、大型レギオンや、ファントムが触れることによって、自我は失われ、完全なレギオンとなる速度を早くすることができる。

効果があるのは、今回、管理局が相手をしている以外の敵・・・

正に、欠陥兵器だ。

魔法世界で充実した世界でも、人型兵器の製作は困難であるといえるだろう。

所詮、それが、原因といった所だろうか。

装備は、アニメなどに良くある、実体剣にマシンガン・・・

しかし、ゲーデは勇ましく、無謀と解っていないかのように、ドンキ・ホーテよろしく、レイディーンに突っ込んでいった。

しかし、全て、破壊されたはずだ。

それが、残っているのは予備パーツ辺りで、復元したという事だろう。

おそらく、時空管理局の地下にある施設の中に、補完されていた、一つの兵器とでも言った所だろうか。

世界の表面上を削る物であったがゆえに・・・

とでも言った所だろうか。

それとも、敵が、わざと手加減したのか、その真相を知る必要は無い。

そのゲーデであるが、至る個所で、カラーリングが違っている。

パッチワークのような、感じだった

。見れば、見るほど、間抜けなカラーリングである。

同じ、黒でありながらも、所々、薄さと濃さが太陽の光に当たる度に解る。

「レイディーン・・・私の前では、貴様は・・・!!」

何処から、その自信が沸くというのだろうか。

レイデォーン・ラジエルは、わざわざ、ドラグリオンを地面に置き、そのまま、対処する事にした。

レイディーン・ラジエルがそのまま、ドラグリオンを大地に置いたのは、その状態で何も出来ないと踏んだからだろう。

そのとおり、ドラグリオンは、攻撃する手段さえ、失っている。

専用の二人のパイロットも戦闘不可能。

今、別のパイロットになっても、五体満足で動く事すらできない。

「月村燈也!!月村燈也!!月村燈也!!月村燈也!!月村燈也!!月村燈也!!月村燈也!!月村燈也!!月村燈也!月村燈也!!月村燈也!!月村燈也!!月村燈也!!月村燈也!!月村燈也!!月村燈也ぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!!!!!!!」

相手は燈也にどれほどの、異常な感情を持っているのか。

それだけで、この言葉だけで、解る。

ただ、あの人の場合は、管理局に所属する、一部の人間しか好きじゃないように見えた。

おそらく、この男も、嫌われていたのだろう。

月村燈也から。

あの人なら、やりかねないと、瑠璃も、そっぽを向いた。

ドラグリオンに、何発かのマシンガンがヒットするも、それは、たいした外傷にならない。

おそらく、レイディーンに対して、真正面から受けても、ダメージはゼロだろう。

ゆっくり、ゆっくり、レイディーンは近付く。

レイディーン・ラジエルが迫る。

レイディーン・ラジエル・・・

その歩く姿さえも、美しい。

オリジナル含め、時空管理局が、最も美しいと称した、最強の巨神・・・

「ドラグリオン・・・動くのは・・・!!」

不可能・・・

全てを再生させようにも、それは出来ない。

ドラグリオン全てを再生させるほどの力は、持ち合わせてもいないし、仮にあったとしても、先ほどの、ソウルディストラクションで全てを使用した。

二度目の絶体絶命のピンチと言う物、後は、回収され、敵の行う事を、ただ、見るのみとなる。

「きさまぁぁぁぁ!!!」

オープンチャンネル・・・

いや、わざわざ、マイクをオンにしながら、周りに聞かせるように、戦闘するのは、相当な燈也に対する意地というものがあるからなのだろう。

おそらく、世界の命運より、ここで、燈也を倒して、株を上げる。

そう言う感情があるのかもしれない。

とはいえ、倒せないのは、事実でもあるし、乗っているのは、燈也じゃない。

動かしているのは、天使の意思だ。

天使ラジエルなのだ。

レイディーン・ラジエルこそが、ラジエル。

ただ、相手は、それを知らない。

全く知らないのだ。

「たかが、少し、性能が良いからってぇぇぇぇ!!!!」

今度は、実剣に持ち帰る。

マシンガンの弾丸が、そこを尽いたようだ。

マシンガンを相手に投げるも、それは、形ごと、全て、レイディーンに触れる前に消滅した。

『弱い。』

「くそ・・・!!くそ・・・!!!くそ・・・!!!」

実剣を持って、ゲーデは駆け抜ける。

そのまま、中のパイロットは血眼になりながら、剣を振り下ろそうとするものの、実剣を持っていた、腕ごと、持っていかれた。

「そんな・・・!?」

『貴様は・・・この世界に・・・のこる・・・必要・・・無し・・・!!』

パイロットの中に、ラジエルの声が響く。

「これで、終わりな筈がない・・・!!俺は、待った、異世界から、全てを引き上げて、MK-Ωまで調達した!!!」

その声は、ドラグリオンの中にまで聞こえている。

「全て、貴様を殺すためだ!!!」

もちろん、その意味も解る。

「冗談でしょう・・・!?」

突如、知世の体が、ティアの物に戻る、強制的に、ティアナに変換した。

MK-Ω

その意味を知っている。

「ティア・・・?」

ティアナの思い出の中にある。

それは、確かに、見たことがある。

MK-Ω・・・燈也との任務の中で、かつて、レイディーンが全てを浄化した筈の別世界の悪魔の兵器。

世界浄化を目的とし、全ての人間を滅ぼした後に、放射能も消え、その後に、緑の地球に戻すという、理論はめちゃめちゃだが、その、威力だけは、保証しても良い。

それは、一つで、核ミサイル数十本分の威力を誇る。

かつて、レイディーンを呼び出さなければ、勝利は無かったとまで言われるほどの人間の悪意が作り出した最悪の兵器

「下手をすれば、アレの自爆で、全ては、終わりよ?!でも、どうして・・・」

ティアナは知っている。

量産された、それは、全て破壊した。

しかし、裏で・・・

「隠し持ってたって言うの?どの道、あんなもん、隠してた時点で・・・管理局は終わってたわね・・・」

さらに、

「満身創痍のドラグリオンで完全に防げるとは思えません・・・」

瑠璃も、その話は、燈也から、聞かされている。

「っ・・・防ぎ様が、ないのか!?」

満身創痍の状態でなければ、その程度のもは、完全に防げる。

しかし、今は、状態が、状態だ。

死ぬかもしれない。

死と言う、感情が、全ての中を駆け抜ける。

体を通して、全てを支配し、動かす事も出来なくなる。

またも、味わう。

死と言う名の感覚。

最悪だ。

ビビっている。

死と言う感覚の中で、出て来る物は、何故か、自分の妄想。

闘神と呼ばれる、何か。

そんなものは、自分が作り上げた、妄想。

存在しない物だ。

「おいおい・・・!!」

この場合、何も、すべき事は存在しない。

あの時、無敵を誇った、ドラグリオンは、先ほど、敗れ去った。

ラジエルの前に。

「悠矢じゃなきゃ・・・駄目なのか・・・?」

「にいさま・・・今は・・・」

「解ってるけど・・・!!」

唯一、ドラグリオンを極にまで引き出した、存在。

ドラグリオンは、その癖が、何故か、まだ、残っている。

まだ、何か、あるのなら。

「さぁ・・・!!お前を捕らえたぁぁぁぁ!!!!」

ゲーデが、変わり始める。

「どういうことだ!?コントロールが!?」

『もとより、我等が配下より生み出した物・・・しかし、貴様の望み・・・一度なら。』

コクピット付近が、纏わり始め、圧縮され始める。

潰されている。

中にある、機材は、全て、男の体という体に突き刺さる。

足は、完全に潰され、腕の感覚は、そこに存在しない。

潰された。

あぁ、もう、何もないのかと。

腕も足も、この男にはない。

「何でだぁ・・・!!三年前・・・!!見つけた、これと、MK-Ω・・・!!」

見る見るうちに、コクピットは圧縮されていく。

「精一杯直した!!あいつを超えたいから!!」

あぁ、消えていく。

消え始める。

ついに、心臓を捕らえ、脳を潰し、コクピット部分に、流れるのは、単なる、紅い何か・・・

それを血と認識する人はいない。

ここで、この男が死のうとも、それは、物語の中で、意味をなさない。

『俺は!!まだ・・・!!月村の!!死・・・を・・・!!』

核の光の前に、そのような物は、無意味であるというのに。

粗筋もなく、唐突にでてきた、ゲーデのパイロットは、圧縮され、ここで死ぬ。

そして、ゲーデは、球体になり、レイディーンに纏わり付いた。

「終わった・・・?何もない・・?」

「まさか・・・そんなこと・・・」

確かに、殺気は、あの男の残した、怨念は、そこにある。

怨念だけは・・・

「まだ、残ってるのか・・・!!」

「爆発は、するでしょうね・・・私達を倒す事もできる状態なんですから・・・」

解っている。

そして、悠介の中で、妄想だと思っていた、ヴィジョンが、徐々に具現化する。

それは、かつての姿・・・

なのだろうか。

「なんだよ・・・・・・」

「にいさま・・・それは・・・」

「瑠璃?感じているのか?」

兄と妹の関係だ。

そして、元は一つの魂だった物。

それが、少なからず、共有されている。

瑠璃が、感じているという事は、それは、妄想ではないと、確かな断言は出来ないが。

「名前・・・!!誰か、知らないか!?」

瑠璃は、知らず。

無論、ここにいる誰かが、覚えているわけではない。

ゲーデに包まれた、ラジエルが、徐々に近付いてきた。

全ては、戯言に終わるのか。

「さぁ、遊びは終わりだ。」

ラジエルに取り付いていた、レギオンの鎧が取り込まれていく。

全てが、レイディーン・ラジエルに戻り、ラジエルの手に持っていたのは、悪意の象徴といえる、兵器。MK-Ω・・・

レイディーン・ラジエルは、レギオンを、無意味な物であるかのように逆に吐き出し、吐き出したレギオンは全て、塵となって消滅した。

同時に、MK-Ωをも浄化した。

ゆっくりと、歩き出す。

「所詮は・・・妄想か・・・」

ある種、ここで、生きられるならば、それも良しと考える。

所詮、ゲーデとの戦いは、本来、時間稼ぎにもならなかったという事だろう。

ゆっくりと、歩いてくる、レイディーン・ラジエル。

やろうと思えば、簡単に、こちらを捕まえる事が出切ると言うのに、それをしない、いやらしい天使。

もう、何も、出来ないのか。

ただ、そう、絶望の中で、そう、思う。

ゆっくりと、ゆっくりと、歩き、目の前に止まり、ただ、ドラグリオンを見つめた。

既に、人類に勝ち目無しとは良く言ったものだ。

おそらく、歌で心すらも変える事のできるお助けキャラでもいなければ、この戦いは、終わらないのではないのだろうかと、どこか、無責任な事すら考える。

昔、憧れた事のあった、あのアニメのキャラのように、なることは出来ないから、武力を使って、平和を作り出す。

侵略する、敵から、自分の大切な物を護る為に、戦ってきた。

等と、この、死に際に、考える。

テスタメント全員でも、あの天使は倒せない。

いま、戦っている敵というのは、そう言うものだ。

「お父様がいれば・・・」

この絶望的な状況を打開する案を持ってきてくれる。

等と、望まない事を望む、瑠璃がいる。

「何で・・・投降するのが嫌なんだ・・・」

敵のいる場所に逝くのが嫌なのは、単なる我侭なのではないのだろうかと思った。

過去に人を殺したことを棚に上げて、人を殺した敵は、汚いと、押し付けるような考え方。

ただ、改心して優しくなる人だって、いるような気がする。

「じゃぁ・・・ママ達を洗脳してまで・・・ああいう事をさせる人たちは、正しいの・・・?」

「ヴィヴィオ・・・解らない・・・」

そんなものは、既に、哲学的な考えに近いと、気付けば、思った。

『悩む必要は無い。』

ラジエルの声が耳の中に入ってきた。

確かに、もう、このままであるのなら、戦う必要は無いのかもしれない。

ただ、何もいえない。

ラジエルが、ゆっくりと手を広げ、ドラグリオンを掴んだ。

「・・・」

ある種、間違っていたのは、自分ではないのだろうかと、ただ、笑う。

ただ、過激すぎる行動が、気に入らないのではないのだろうか。

それで、良いのだろうか。

だからといって、歯向かって良いのだろうか。

確かに、ヴィヴィオの母親にやったことは、酷いことだ。

そして、自分にとっては・・・

「そっか・・・復讐か・・・」

ヴィヴィオの母親を使って、自分の故郷を焼かせた、最悪の存在。

そして、止める事の出来なかった、自分に絶望した。

「すっかり・・・忘れてた・・・」

それでも、戦う理由は曖昧だが。

しかし、それこそ、敵にとっては、小さな感情と言える。

単に、ちっぽけ。

それが、体現されたのが、今回の戦いなのかもしれない。

強大すぎる、理想の前に、余りにも小さな力で立ち向かう。

扱いきれていない、ドラグリオンで・・・

敵に本拠地に連れて行かれようとする。

どうせ、特別待遇で受け入れてくれるなら。

まだ、生きられるなら・・・

全員が、ただ、そう思った。

「どうして!?おかしいよ!!」

ヴィヴィオは、ただ、子供ながらに、今の敵を受け入れる状況をおかしいと思う。

しかし、それは、ただの子供の我侭を言っているように思えた。

何も、無い。

如何なる言葉をかけても、この状況では、何も、意味をなさない。

「絶望か・・・僕も一度、そう思ったよ・・・」

「燈也さん・・・?」

声が聞こえる。

ただ、優しい声が・・・

聞こえてくる。

何も出来ない、この状況で、悠介に鼓膜を優しく刺激する、男の声。

「まだ、賭けて見ないかい?この世界に・・・」

「出来ないよ・・・正直、信じられなかった・・・核弾頭以上の威力を持ってる武器を持ちながら、管理局の人間は、言ったんだ・・・あんたの名前を・・・」

燈也の声が聞こえてきた瞬間、ラジエルの動きが止まった。

いや、ドラグリオンを落とした。

その衝撃の中で、ふと、我に返った。

「まだ、ここに来るのは早いよ。」

ラジエルから、聞こえてきたのは、一人の声。

燈也の声。

何故、聞こえる。

一瞬、我に返る。

「僕が言っても・・・信用できないかもしれない。」

ある種、この世界と組織に絶望した人間だ。

「まだ、生きているかもしれない人間は、信用できるかもしれない・・・管理局の人間以外はね。それに、君は、仲間を守って、生きたいんだろ?精一杯・・・」

だから、

「もう一度、考えてみてくれないか?君は、俺のようにならないで欲しい。」

何を、言っている。

楽をさせてくれよ。

悠介は、ただ、ラジエルから聞こえる燈也に、そう言った。

もう、人の死体を、汚い所を俺に見せないでくれよ。

そう、悠介は叫ぶ。

「君は、俺に・・・似ているよ。酷く傷つきやすい所はね。」

管理局の腐った連中のためじゃない。

「それに、生きている人は・・・いるの?」

「あぁ・・・まだ・・・ね。」

映像を見せられれば、そこには、必死に生きている、子供や、その親達だった。

団結し、その中で、精一杯生きている人がいる。

「無責任だ・・・」

「そう、言われても仕方ないだろうね・・・」

歯を、食いしばり、目の前にいる、燈也が憎いと思った。

ただ、それだと、死んだ、故郷の人間達が、浮かばれないような気がしてきた。

まだ、あの世界には、良い人がいると思う。そう、思った。

「でもさ・・・戦おうにも、もう、この状態だよ?」

「大丈夫。僕の力が、こいつを支配した。とは言え、後、数秒で切れるけど・・・その間に、やることをする事は、もうやった。」

「それって・・・」

動きは止まっているそして、白い、レイディーン・ラジエルが・・・

「大丈夫だよ。助けて見せる。いや、余計な事かもしれないけど。」

「いや、いいよ・・・今は・・・」

きつく言えずに、許してしまう自分が嫌になる。

「だけど、嫌なら、それは止める。」

「・・・」

数秒の中で、たくさん考えた。

今の自分にとって、最適な行動は、投降する事だ。

どの道、助かる人間はいる。

少なくとも、仲間は助かる。

自分も生きれる。

しかし、その中で、あの災害で生き残り、団結して、生きている人たち。

あの中で、自分のかつて、行ったかもしれない、悪意のある行動を忘れ、弱者を護る為に戦おうとしている。

イエスは、そんな、人間をも、殺そうとする。

今、改心した物さえも。

まだ、自分には戦える力がある。

それを見捨てて、投降すれば・・・

後悔するかもしれない。

後悔する前に、護る為に、

「戦えば良いんだろ!!」

悠介は、そう、叫ぶ。

「・・・」

その言葉に呼応し、白いレイディーンは、そのまま、黒に変換され始める。

支配されたくない、そう、思っているのか、白いレイディーンは、頭を抑えながら、苦しがる。

同時に、白い肌から、何かが、脱皮するかのように、突き破り、黒い腕が、白い腕を引き抜き、捨てる。

別の中が、いるかのような、完全に、意識が、別の何かに乗っ取られている。

突き出した、腕は、ある種の狂気を感じ取る事が出来たような気がする。

それを捨てる、行動も、また、狂気の一つではあるが。

あまりの苦しさに、片方の腕で、黒い腕を引き抜こうとするが、逆に、黒い腕は、それを粉砕する。

砕かれた、白い腕は、黒い腕に、変換される。

本質は、月村燈也と言う人間がラジエルを破壊しようとしている。

何も言わずに、そのまま、ラジエルを攻撃している。

咆哮を上げるかのように、ラジエルは苦しみだし、一部は爆発し、痛みに耐え切れずに、飛翔し始めた。

帰るつもりなのか。

帰還用の魔法陣を、ラジエルは展開する。

しかし、その、魔法陣の中に入ろうとした瞬間、腕が、地面に引っ張られているような、仕草をする。

それは、仕草ではない。

本当に、地面に引っ張られているのだ。

翼を展開させ、全てを振り払おうとするも、翼を展開したとき、黒い翼が、翼を突き破り、飛翔能力さえも、奪う。

生きるために、もがき足掻く、姿が見える。

地面に落下し、その衝撃は、凄まじい轟音を鳴り響かせる。

燈也の怨念のような姿が、見えたような気がした。

自我を持った、翼は、白のレイディーンの体を突き刺しながら、徐々に、白が黒となる。

蒼の瞳から、真紅の瞳に変わり、意識を乗っ取った。

白の鍍金が、剥がれるかのように、黒が、レイディーン・ラジエルを覆い、完全に、アイン・ソフ・オウル・レイディーンへと変貌を遂げた。

多少の差異すらも、完全に変わる。

全てを支配した後に、立ち上がり、咆哮を上げる。

もとより、神の形など、無限と言う事か。

霊の様に化したレイディーンが、ラジエルを乗っ取り、完全なる、レイディーンとなった。

「レイディーン・・・・・・貴方なの?」

レイディーンは、今度は、自分の心臓と呼べる部分を突き刺し、そこから、コアのような物を取り出した。

いくつかのコードが、それを引き剥がす事を拒絶していたが、レイディーンはそれすらも圧倒し、ドラグリオンに近付き、悠介をその手に取り出し、呼んだ。

「何だ・・・?俺に・・・何を・・・?」

突然、レイディーンと悠介が、共鳴し始めた。

レイディーンは、自らを作り出した、親を呼び出したのだ。

レイディーンが、悠介と共鳴を図る中で、聞こえてくる音が合った。

知っている。

巨神だ。

レイディーン・ラジエルを見たことによって、巨神を見た。

その巨神の名前は・・・

「エル・・・ヴェ・・・リ・・・オ・・・ン・・・」

悠介の背後に現れたのは、漆黒の巨神・・・

闇を司る巨神。

エルヴェリオン・・・

それは、レイディーンの掌にある、コアを掴み、握りつぶし、破壊した。

そして、気付けば、大破したドラグリオンや、レイディーン、エルヴェリオンを取り囲むように、管理局の人間が、囲んでいた。

| TESTAMENT IS SAVER | 01:43 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

COMMENT















非公開コメント

TRACKBACK URL

http://civer.blog122.fc2.com/tb.php/893-f0bec69e

TRACKBACK

PREV | PAGE-SELECT | NEXT