2023.06.03 Sat
ぼきく
ぼきく
気付けば、血が滲んでしまいそうなほど、強くシーツを握りしめていた。
どうして、こうなったのか、そんなことは覚えていない。気づけば、ホテルの一室に自分がいた。考えようとすればするほど、それを許してくれないほどの激しい快楽のさざ波が肉体を包み込む。
気持ちよくて、気持ちよすぎて、呼吸させてくれない。
頭が意識がぐらぐらする。ただ、与えられるものに身悶えながら、意識と言うものがすべて、何か、気持ちの良いものに歪んでいく。上書きされていく感情にどうしようもない何かに狂わされていく。
「あぁぁっ!」
やっと、出した声は、獣じみた、自分とは思えない声。まるで血反吐を吐いていそうな声だが、それでも、それでも、それしか声が出すことができなかった。
「はぁ……あぁっ❤」
まだ、未成年であるというのに、悪いことだと解っていながらも、それでも意志の弱い自分と言うのは簡単に乗せられてしまう。
しかし、今、その空間にいることを悪いことだとは思わなかった。この気持ちよさは、とても心地いいから。
溺れてしまうと、それは薬物のように、深く深く奥底に沈んでいく。
「ぼっちちゃん、すっごい感じやすいねぇ……」
今日もまた、奏でられる。
しかし、それが心地よい。
電流が肉体を貫く感触が、それが苦にならないというのが、きくりから教えてもらったセックスだった。
彼女は、ベースを奏でるときのように、慣れた手つきでひとりの気持ちの良い場所を探り、時に甘く、時に激しく、ひとりに苦悦を与えず、すべてが悦楽で満たされていく。
「ひとりちゃん、ここ好きでしょ?」
いつも、酒を飲むとだらしないはずの女が、ここに来ると、とても女豹のような色香をまとった女に変化する。そんな風に見られたら……
(誰でも落ちるよ……)
ぐったりしながら、ひとりは、ホテルで、それもベッドの上で一糸纏わぬ姿のまま、朝を迎えていた。
「気持ちよかったんだ。」
そして、自分は絶頂して意識を失ってから、ずっときくりに甘えていたらしい。
実際、ぼっちにとっては、きくりの胸元で眠るのは心地よかった。
このまま、蕩けて落ちてしまいたいほどには……それほどにまで、甘える感触と言うのは心地よい。自分のすべてを理解してくれる人。
そして、自分の気持ちいい場所を全てよく知っている人。
すべてを気持ちよくしてくれる人。
だから、いつの間にかホテルにいるときは、いや、彼女とベッドの上にいるときは、彼女の手をつなぐ。
居心地がよすぎて仕方がない。
(本当に、こうして甘える姿って、可愛いよね・……)
きくりは、耳にイヤホンを付けて音楽を聴くふり。
当然、音楽を聴いているわけではない。
『きくりさんっ❤もっと、もっとぉ❤あぁっ❤』
乳房を愛撫した時、乳房、いや、乳首と媚肉を同時に愛撫した時、時間が立てば立つほど、快楽に余裕が出てきたのか獣じみた声から、徐々に雌として自分を求めるような声になる。
その瞬間にゾクゾクして、心地よく、肉体を愉悦が満たしていく。
縋りつくように眠り、そのまま。その姿は、まるで「恋人みたいだったよ。」と、きくりはスマホに撮影した写真を見せながらにっこりと笑う。
「はぁ……」
そんな姿を見せられて、ぼっちは、いつも思う。
「なぜ、こうも……自分は乗せられるのだろうか」
と・・・・・
(でも、気持ちいいから、良いかな……)
| 適度なSS(黒歴史置場?) | 00:00 | comments:2 | trackbacks:0 | TOP↑
気持ちの良い場所
祝・映画化!
高純度ぼきくSS、きくりさんの超絶演奏テクが炸裂し、ひとりも激しくシャウトを繰り出すというね…
きくりさん視点だとひとりの可愛さが、ひとり視点だときくりさんの居心地良さが互いを結び付ける様です。
もう身体から何から、全てを知り尽くした所まで進んだ関係になっていたんですね。そういう関係良いなあ。
| kwai | 2023/06/04 22:26 | URL |