2020.05.04 Mon
春と昼と夜と。
今も楽しいが、それ以上に、あの時は鮮烈的すぎる刺激と快楽で埋め尽くされた日々だった。
いつまでも当たり前であってほしかったというのに、それが全て無くなってしまうとなると輝かしい思い出であっても虚しく映る。
一夜の思い出に身を委ねながら香澄夜空は夢心地のような過去の出来事を思い出す。ぷっくりと乳輪と一緒に膨らんだ乳頭を摘まみながら、じんわりと炙られたように熱くなった肉襞は体をくねらせるだけで、ぬちゅぬちゅと淫靡な音を響かせて頬を紅く染めた。
既に、あれは夢ではないという実感があったからこそ、今、ここに存在していた筈のものが存在しないことに自分の中に現実味と言うものが、どうにも生まれずに頭を抱えていた。
あの頃のことを思いだすだけで今でも脳裏に快楽に嬌声がこだまする。
夜空を呼ぶ声が聞こえてくる。
愛し合った記憶達……
それを両手で作った盃に収めようとしても収めることができないかけがえのない大いなる記憶。
肉体に刻まれ、脳裏に刻まれ、世界がつながっただけでかつてないほどの充実が夜空の身も心も満たしていた。
女たちは自分が心地よくする。
胸に喜ぶがこみ上げる、あの嬌声たち、全てを聞くだけで愛しい感情、永遠に燃え滾る熱い心は決して消せはしない。綻ぶように開く卑猥な淫唇を持ったアイドル達、そのすべてが自分の同族だった。あの時間を永遠に、この手にすることができる力があれば、自分は、そうしていただろうと思う。
「はぁ……」
深いため息を吐きながら壁一面が大理石で覆われた場所で床を無慈悲に打ち付ける水音が、もう、あの夢のような時間が終わったのだと柔らかに包み込むように慰めるような熱が夜空を包み込む。
もう、帰ることのない、あの世界。
あぁ、もっと……
もっと欲しい……
終わることで浴びるように、あの世界の女たちの淫液を、この身にしみこませたい。
こべりつくように永遠に、この肉体に浴びる程、この肉体に包み込まれたい。
淫らで、かけがえのない思い出が、もっとかけがえのないものになっていく。手を伸ばしても、伸ばしたとしても届かない。あの頃に帰ることができない虚無感が包み込み、再度、深いため息を吐いた。
ある程度、肉体を洗えば、この肉体から記憶が洗い落とされてしまいそうで、親指を甘噛みして痛みによって、あの出来事を引き出した。燦然たる素晴らしき世界だったというのに、秒針がカチカチと音を立てるたびに、徐々に世界に亀裂が入ってくる。崩壊と言う名の別れを迎えるまで続くワルツは終わりを告げた。もとより無理やり三つの世界をパッチワークのように繋げた世界だったのだから、続ければ続けるほど無理が出る。
だからこそ、本来の姿に戻さなければならないというのは解らないでもないが、しかし、あの二つの世界で出会った女たちの記憶、その愛らしい姿は、この肉体にしっかり刻み込まれ、しみ込んでいる事実は今でも忘れまい。神崎美月をこの手中に抱いたこと、蜂谷ちはるの大人のセックス、ひびきとアリシアの立場をすべて捨てて本能に従った獣のようなセックス、ピュアパレット二人の情熱的で愛らしいセックスに酔わされたこと、星宮いちごと霧矢あおいに紫吹蘭……そして自分を完全に虜にした光石織姫と星宮りんごの性奴になると誓いを立てる程に与えられた快楽のこと……数え切れないほどの記憶、他では絶対にに味わえない、少なくとも、この世界では……
だが、その記憶を輝かしき栄光のように手繰り寄せて身を委ねても無慈悲に現実を刻む秒針の音が夜空の中ではシャワーの音と重なり現実に戻される。
これは虚しさ、あの記憶は現実なのに虚無なのだと思わせることが寂しくなってシャワーを止めてシャワー室を出てからタオルを巻いてベッドの上で待っている恋人の膝の上に頭を置いた。あの日常が終わっても、これだけは変わらない。
「また長かったですね。思いだしていましたか?夜空先輩……」
薄紫の髪の下にある眼鏡をかけた穏やかな表情が夜空の顔を覗き込んだ。
七倉小春は世界が再度、別れてからメランコリックになっている夜空を優しく抱きしめた。
まるで、母親のような姿に夜空は娘になったような気分で抱きしめる。
「思い出さない日なんて無いわ。それだけ、あの日々はアイドルとしての私、そして、レズビアンとしての私を満たすのに十分だったんだもの。」
「私がいるのに、沢山、愛していましたものね。」
「あら、小春ちゃんは、そう言う私も許してくれたのでしょう?」
「はい。だって、こうして私の元に来てくれるんですから。」
つくづく甘いと思いながらも小春は強く言うことができなかった。
自分も、夜空とは同類の影を纏っていることはあえて口にすまい。あの世界のつながりからデザイナー繋がりで沢山の少女や大人の女性と情報交換の名の元に交わった、あの日々は夜空の言うとおり確かに充実したものであったことは言うまでも無かった。あかりも、ゆめも巻き込んで彼女たちの自意識を改変するような女同士の快楽を刻み付けあう、あの時間、それが失われてしまえば夜空のように倦怠感に襲われてしまうのも無理はあるまい。
だからこそ、あの燦燦たる記憶を理解できるからこそ、強く言い出せないのだ。
それに憧れの人が自分の元に、こうして思いを共有しながら甘えてくれるということは悪い気分でもない。
そして、それは、夜空が不特定多数の人間には見せることのない甘えた猫のような表情を独占できるのも優越感に浸れて心地よさと言うものがある。泣く子をあやすように濡れた夜空の髪を撫でながら、水分を掌に集めて舌で舐めて恍惚な表情を浮かべてギュッと抱きしめた。
きつくならないように、それでも自分だけが貴女の、その感情を満たしてあげられると訴えるように独占欲のようなものが出ていたようにも思える。
しかし、この虚無から生まれる倦怠感は、同族でしか癒すこと出来まい。そう言う自負すら小春の中にはある。確かに、あの空間は……混沌としつつも美麗さに染められた美しさがそこにあった。夢心地のような、あの癒しの空間……そこにはないと解っていながらも求めてしまう麗しくも淫らな快楽の間。
「やっぱり、知らないけど……可愛い同族の子って、良いですよね……」
小春のぬくもりが心地よい。
こうして自分のことを肯定して甘えられる人がいるというのは幸福なことだ。
それは、彼女が自分と同族と言う部分も強いのだろうが。そういうあどけなさを持ちながらも自分と同じような牝を見初める力に惹かれたのかもしれないと思いながら「ふふ、そうね。」と笑いつつ這い回るように、小春の背中に両腕を回し、このまま押し倒して愛撫をしようとした。
小春のとろとろの牝の臭いが夜空の鼻腔をくすぐった。
あの時、確かな、この世界の思い出としてダイヤの原石である彼女を見初めてから、そんなに時間は経過していないのに長く感じてしまう。彼女との思い出も大切だが、それ以上に楽しいと感じてしまったのだろう。
あの全てのアイドルたちが繋がって終わってしまい、どこか二人して心にぽっかりと穴が開いてしまった、しかし、そう言うことを二人してベッドの上で語らいあうというのは徐々に慣れてきていると言うことなのかもしれないと思いつつ、目の前の濃厚な芳香に惹かれた牝犬の様に夜空は小春の股間に唇を当てて淫核を甘噛みした。
「ぁぅっ……」
「この虚無感を埋めるには、どうすればいいか……解るよね?」
「はい。私と夜空先輩は同族ですから……」
「ここも甘いし……」
「んっ……」
そのまま、下着越しに夜空は小春の淫唇全体にかぶりついた。
「んぅ……」
甘美な痺れが膣口から全身に電流のように走る。
徐々に、徐々に、媚肉から漏れる淫液がちょろちょろと産道を流れる。
夜空の唾液と淫液が混ざり合い、卑猥な臭いが夜空の口の中に広がる。
「お姉ちゃん、また真昼を独占しようとしてる……」
「あら、真昼ちゃん。」
「小春は私の彼女でもあるの。それに、あの思い出が築けないことに寂しさを感じるのは、お姉ちゃんだけじゃないの。」
真昼は不満な顔を浮かべなが衣服を脱ぎ始める。
「シャワー、浴びてきたら?」
「良いの。小春は私が練習した後の汗の臭いも好きだから、このままで。」
ふふん、知らなかったでしょ。
と勝ち誇るような顔を浮かべながら両腕をあげて掌を後頭部に当てて組みながら、むわっと広がる体臭が漂う腋を見せつけた。
「あらあら……」
膣口の愛撫に夢中の姉を余所に、真昼は快楽に蕩けた顔を浮かべて小春に唇を重ねた。
夜空はそれを気にせず下着をずらし、直接、抉るように舌を蠢かす。
そんな自分の快楽を取り合うようなセックスを始める二人を小春は抱きしめた。二人は自分の彼女……そう言うかのように小春はにやけた。そして時間や感覚はみんな通常に戻り肉体は慣れ始める。
| 適度なSS(黒歴史置場?) | 00:00 | comments:2 | trackbacks:0 | TOP↑
夜のドリームステージ
スターズ1好きなカプのSS嬉しいです!
あの状況を味わった後なら当事者同士が喪失感抱えても仕方ないよね…
香澄姉妹の熱愛を同時に受け止める小春ちゃん良いですね。
| kwai | 2020/05/04 01:11 | URL |