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貴女は無知で純真で未成熟で……

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千春さんと、あいねちゃんの百合SS(・ω・)


 辺りが真っ暗に染まる闇の中に光があるのなら、それは、どれだけ毒々しいものであるとしても、人は縋るものなのかもしれない。如何なる対価を払ったとしても、その光が欲しい。それが、たとえ自分の人生を引き換えにするものであったとしても、人は救いに対して、己の心地よくさせるものに貪欲になる。
 「はぁ……」
 静寂が自分の部屋を包み込む。
 一抹の寂しさを思えて虚無に近いものがあるが、仕事をする環境には適切だし、ただただ自分が作業する時間の中で秒を刻むように仕事を音を鳴らすのは良い意味で集中できる。
 新作の衣装が、そろそろ出来上がる。
 後は細かい微調整だけ。
 千春は作業していた机からゆっくりとローラーの付いた椅子を離して両手を伸ばして立ち上がった。それだけで終わると思うと気が緩んだのか、一瞬の眩暈を覚えてふらついて「流石に時間を忘れ過ぎたか。」と一人自嘲した。
 気づけば、既に外の様子は少女達がまばらに特徴的な掛け声で訓練すること無く、ゆっくりと談笑し合う時間、ただただ、ふわりとした心地よさだけが肉体を包み込む。
 夢中になって作業をしたせいか、肉体が異様に軋んで外に出ていないことに対する弊害から気持ち悪ささえも覚えてしまいそうだ。
 (そういえば、最近、ずっと籠りっぱなしだ。)
 ダメだとわかっていながらも、こういう作業をしていると、ついつい忘れてしまう自分がいることに呆れつつも、あとは最終調整だけだし、ゆっくりしようかと今後の予定を張り巡らせていた時だった。
 「千春さん……」
 ゆっくりと扉が開く音とともに、少女のか細い声と共に千春の耳に届いたのは。
 元気というものを感じさせない未成熟の果実の声が作業を休憩している主しかいない部屋に響いた。
 何かに縛られたような、奥底に芽吹いてしまった官能の胤に翻弄されているような少女の姿。その声の主は良く知っている。黄色のグラデーションがかかった桃色のロングヘア、ぱっちりと開いた元気いっぱいの瞳は不安色に染まっている。
 (今日も、断られるかもしれない。って思ってるんだ……)
 あいねの考えが、その身体が、どういう状況なのかレンズ越しで見通すことが出来る。それは自分の軽率が起こしてしまった過ちであり、彼女の肉体の反応、その全てが自分の罪である。
 下手をすれば、みおを苦しめてしまうこと、ピュアパレットを崩壊させてしまうほどに重罪ともいえる自分のやらかしてしまった愚かな欲望と情欲に任せた罪。
 (あいねちゃんは、私と本当に二人きりになると、ああいう顔になる。みおちゃんには見せたことが無いんだろうな。)
 何かに覚えているかのように見えるだろうが、不安の奥にあるのは限りない貪欲な欲求がそこにはある。学生では、余程のことが無い限り求めることが出来ない快楽のスイッチを自分が押してしまったのかもしれない。情欲と哀愁に満たされた表情は焦燥感に駆られているようで、何処か痛々しい。
 この状態にしてしまったのは自分だと思うと、罪悪感と言う泥が自分の足に纏わりつき、罪の意識に引きずり落そうとする。
 (じゃぁ、私にどうすればいいの……)
 「千春さんの甘くて、心地よくて……」
 少女の声色は怯えているように震えた声だが、内心は好奇心と寂しさに満ちている。蕩けてしまいそうなほどに、思春期に翻弄される少女の姿。
 (私が、これ以上、彼女に何かをすれば……もう、後戻りできないし、彼女の人生を殺すかもしれないのに。)

 なぜ、手を出してしまったのだろうと思ってしまったのは、弱弱しい彼女を元気づける為と言えば、それは実に都合の良い言葉であることだろうと自覚はしている。
 「怖いの?」
 「……みおちゃんがいなくて……どうしたらいいのか、解らなくて……」
 何でも楽しめる少女が孤独になった時、みおとフレンズを一時的に解散した時の、あいねは、弱弱しく見えた。
 まるで目隠しされたうえで罠がいっぱいの迷路を歩いているような、そんな少女だった。思えば自分も罠の一つだったのかもしれない。ただ、それが弱く見えれば弱く見えるほど千春には食べごろの果実に見えてしまうこともあったし、何より放っておけなかった。何か、彼女の為にドレスでもとすら考えたが、あの時の、あいねの精神状態は千春であれ、誰であれ、誰かが優しく抱きしめなければ壊れていたかもしれないほどの脆弱さだったのだ。
 「それじゃぁ、少し落ち着くおまじない、しようか。」
 そんな、あいねは見たくは無かったが、だが、それ以上に自分の中で彼女の存在がとても食べごろの果実に見えてしまったのだろうと思う。
 「おまじない……?」
 「えぇ。一人ぼっちになって、寂しくなった、貴女は一人じゃない。って、私がいるよ。って……」
 だから自分は”お呪い”と称して彼女の心の隙に自分と言う存在を植え付けたかったのだろう。
 随分と自分の欲求に素直だったとすら思う。
 罪悪感よりも優先されてしまう自分の欲望の歯止めの効かなさ。
 しかし、あいねを見ると、いつも明るい子が自分の前で弱みを見せること。落ち着くわけがない。これはただの自分の欲望。ただ泣いている貴女が、とても美味しそうだから。まだ牝同士の交わりを知らない。これから知らずに終わっていくかもしれない、もしかすれば……
 彼女を異性と言う世間が勝手に決めた当たり前の規範に押し込めたくは無かった。
 これほどの少女なのだから。
 いつから彼女に抱く同情の念が情欲の念に変わったのだろう。
 「あいねちゃんは、大丈夫。私がいるわ。」
 孤独な少女に対して、随分と卑怯な言葉を使ったものだ。
 「千春さん……」
 か細く、泣くように、闇の中で唯一見つけた希望と言う光に縋るような、あいねの姿、その声色。
 例え、見つけた希望が非常に毒素が強いものであったとしても縋らずにはいられない、背徳感を煽り、快楽へと変換する。
 「あいね……」
 いつもとは違う千春の声だった。どこか、大人びつつもドラマで愛する人が誰かに媚びるような艶っぽい声。
 一瞬、あいねには、千春の顔が、みおと重なった。
 自分を、この世界に導いて手を刺し伸ばしてくれた、みお。
 そして、今、自分を優しく抱きしめてくれている千春の顔。
 普段、元気な少女が見せることのないネガティブな表情、いけないとわかりつつも哀しみに濡れた唇は、まるで、泣いている、あいねが千春を求めているように見えたから。
 (これは慰めるためだから……彼女は……)
 そう言い聞かせるように千春は流行る本能に従って、あいねを慰めた。そこに、彼女を思いやるという仮面を被りながら未成熟な果実が上げる心地よい声を上げる彼女に、媚肉を震わせた。
 (ごめんね……みおちゃん。あいねちゃん……)

 「千春さん、良い匂い……」
 惚けたような表情を浮かべて恋人のようにふるまう彼女の姿に一昔前なら喜びの声をあげただろうが今となっては後悔に近い感情に全身を包まれて牢獄に閉じ込められたような気分になる。
 自分のしでしかした過ちの表情、その全てが彼女の自分といる時の仕草の一つ一つに表れている。
 目の前の少女に対して自分への嫌悪が募り、気持ち悪くなりそう。彼女の誘惑は牢獄の中で終わることのないワルツへの誘い。一度、入ってしまえば、もうピュアパレットが崩壊しても彼女の肉欲を叶えるための奴隷として過ごすことになる。
 あの時、している時は、みおにも見せない、あいねの顔をずっと自分が見ているという優越感、自分を慕う子を抱いているという大人としての頼られる此処と良さに溺れて、その先の現実を忘れていたのだ。
 軽率過ぎた。
 フレンズなんて言っても、その繋がりは親友以上であり、恋人未満。
 誰よりも理解はしているが、その先を彼女たちが築くことだってある。めちゃくちゃな言い訳を繰り返すも、結局は自己嫌悪に陥るだけ。罪の意識に苛まれた千春が選択したことは、彼女との肉体関係を断ち切ることと、二人の為に己が最高のものを作り上げること。この、今、製作中のドレスだって、あいねに、最高のライブをしてもらいたいという罪滅ぼしから生まれた真心の産物であるというのは言うまでもない。
 しかし、あいねは、それを理解しない。
 いや、出来なかった。
 純粋無垢の少女に情欲の炎を当ててしまった自分の罪の重さを改めて感じさせる。
 未成年は、一度、セックスの快楽を、いや、性の快楽を知ってしまうと、それを手放すことが難しくなる。ましてや、あいねの場合は女同士の快楽をフレンズではなく、姉のように慕う千春に刻み付けられたのだ。
 千春の優しく少女を愛でる優しい愛撫に、身も心も……官能的な吐息、恋する少女が憧れの人に抱く淫らな感情を交えた卑猥な匂いのする吐息が千春の胸を擽った。煽情的な呼吸が、耐えず千春の胸を撫でる。
 「また、あれ……してください……」
 「ダメ。もう、みおちゃんとは関係が戻ったんだから。」
 私との、あの出来事は、もう忘れてほしいといえば身勝手ではあるが、そうしなければ互いに辛い思いをする。ならば、辛くても、その先に明るい未来を選ぶことは、それは必然ではないのか。
 「何で……?みおは、だって、みおじゃ……千春さんの唇が空き、千春さんが腰に手を回すしぐさが好き。千春さんの私を包み込んでくれる胸が好き。千春さんの……」
 「あいねちゃん……」
 (ソロではトップアイドルとはいえ、このことに関しては素人だものね……)
 しかし、目の前の少女は、それが解らない。
 ひょっとしたらわかっていても、解らないふりをしているのかもしれない。だからこそ、彼女は欲望のままに生きている。己が心地よいものを求めて千春のもとに訪れたのだから。
 きっちりと彼女との関係を絶たなければいけないのに、それが出来ない己の弱さ。結局は、彼女に魅了されているからこそ、それを手放すことが出来ないから、ちゃんと関係を断ち切らずに……
 (でも、ダメ。あいねちゃん……貴女が、私に向ける感情を知ってしまったら、貴女は壊れてしまう。輝けなくなってしまう。私は、その時、貴女を本当の意味で汚してしまう。ピュアパレットを壊してしまう。そしてファンも裏切ってしまう。そんなことをしたくない……)
 突き放せばいいし、一方的に逃げれば良いのは解っている。しかし、突き放してしまえば、もう自分を姉のように慕ってくれる、あいねはいなくなるかもしれない。だから、千春は強く出ることが出来ないし、どちらかに転ぶこともできない、ある意味では一番自分に甘くて辛い道を選んだ己の弱さを呪うしかできなかった。
 「私、そんなに魅力が無いんですか!?だったら、なんで、あの時……」
 「あいねちゃん……っ!」
 するりと、あいねは制服と下着を脱ぎ捨てた。
 また、貴女に食べられたいというかのように肥大化した大粒の乳首はぷっくりと浮かび上がった乳輪と共に紅く食べごろの苺のように染め上がっていた。食べごろで手のひらサイズに収まるであろう嫋やかな乳房が千春の逸らそうとする瞳を釘付けにする。全身から鼻孔を擽るほどの媚薬を思わせるような、千春の情欲を煽るような牝の匂いを発散させて、うっすらの、まだ生え揃っていない痴毛からは汗とは別の……未発達であるからこそ美しく瑞々しい、あいねの肉体が千春の瞳に刻み付けられる。
 どうして「服を着なさい」とか「やめなさい」とか彼女を叱ることが出来ないのだろう。いや、そんなこと、前から分かっている。理解しているからこそ、もしかすれば、彼女との関係を終わってしまうことになる選択肢を選びたくはない。
 そして、何より、みおに対して、彼女の知らない、あいねを知っていることに対する優越感が……
 彼女に嘘はつきたくは無いけど、傷つきたくもないし、でも、離れるようなことはしたくないし、これ以上、あの時の様に関係を結ぶことはラブミーティアを倒して本当に彼女のアイドル人生を華やかなものにする為には、この先の行いを許してはいけない。
 それでも求めてしまうのは千春も、あいねを愛しているから。
 アイドルとしての、あいね。
 自分を慕う妹としての、あいね。
 そして、何よりも同じ女として……
 三重の感情が千春を芽吹かせる。
 だが、これ以上生まれてくる醜い感情に溺れて這いずり出れば、彼女の前で情欲を抑えきれない化物になってしまいそう。
 「千春さんなら、もっと……私……」
 誘惑の言葉が耳を刺し、全身に凶器となって駆け巡る。
 いっそのこと、彼女を受け入れてしまえば、どれだけ楽になることだろう。
 だが、それからは自分の愛したアイドルとして前向きな純真な彼女を自分の色に染めることで崩壊する人生、その時、彼女が味わう転落とは、どのような感情になるだろう。 
 そして、その引き金が自分であると思えば思うほど、抱くことが怖くなる。一度、染めてしまえば、それからは……
 (やめて!それ以上、私を、その気にさせないで……貴女は何も知らない……この先の麻薬にも等しい、その行いが私を、それが、どれだけ自分を狂わしてしまうのか……ピュアパレットが無くなるかもしれないのに。)
 「その感情は、みおちゃんにぶつけなさい。」
 「みおは関係ないよ……」
 縋り泣く姿、彼女が千春に裸体を見せることに、どれだけの勇気が、そこまでしたのか良く分かる。良く分かるからこそ怒る顔が出来ない。彼女に嫌われてしまうかもしれないから。彼女の勇気を、その先にある自分への愛情を否定したくない。千春のわがままな感情だった。あいねのことを考えても、ちゃんと突き放すことのできない自分の弱さ、これが精いっぱいの自分だって独占したいという欲望を精一杯押さえつけた結果だと思うと情けなくなる。
 「いや……千春さんが私にしてくれたおまじない、あれのおかげで、私は……」
 「聞き分けて……あいねちゃん……」
 突き放すべきなのに、どうして、彼女を優しく抱きしめているのか。
 千春は、あいねから、純粋無垢な部分を奪った。
 あの時、奪った時、その無垢な部分を自分色に染めた時、どうなっていただろう……どういう顔をどういう感情なのだろう。 理性ではわかっていても、あの時、必死に爪を立ても千春を求める姿は、どうしようもない感情が心を燻ぶらせるほどの情欲が身を焦がし、どうしようもない悦楽が身を包んだ。
 純粋無垢な少女が自分の自分色に染まる瞬間、あの何もかもが、自分の色に染めてしまう、なんとも言えない、少女の顔が千春の愉悦を脈動させた。
 あぁ、なんという、それをラブミーティアを超越した、ピュアパレットの、この前までは普通の学生だった少女が自分の色に染まってしまうのだから。
 だが、彼女が活躍をすればするほど、自分の過ちに気づいてしまう。あの後のこと冷静になって自分のしたことを知ってしまえば苦悩が全身を針をように千春に突き刺す。自分についた、その罪悪は、まるで一生、自分を傷つけることであり、未成年のアイドルを官能の扉に誘ったことに対する罪……認めてしまえば、彼女が全てを失う代わりに甘い生活が罪悪感の横で延々と約束される世界。
 「千春さん……」
 此処までされても抱いてくれない虚無感から、あいねは、とうとう泣きじゃくる。千春は、ただ、あいねを優しく抱きしめることしか出来なかった。
 (ごめんね……もう、貴女を抱くことは出来ない……だから、貴女に恨みの感情があるなら、私を恨んで……そして、みおちゃんに……)
 身勝手な思いを抱きながら千春は、穏やかな表情を浮かべながら、何も身にまとっていない、あいねの背中を彼女を愛した掌で優しく撫でた。

| 適度なSS(黒歴史置場?) | 00:00 | comments:2 | trackbacks:0 | TOP↑

COMMENT

すれ違い

たった一度の過ちが…(´;ω;`)ブワッ

その過ちに気付いた時は既に手遅れであるとか、ある種の優しさが時に誰かを傷付ける状況もあり得るとか、そういった悲劇性を感じました。二人とも切ないよ…
状況を打破する為にも、ここはもう二人を呼ばないと!(台無し)

| kwai | 2019/06/04 19:19 | URL |

kwai さんへ

自分を慕う少女が、ああなると、やっぱり惹きつけられる毒素があるような気がします。

その毒素の多い肉体に牙を刺した時点で、千春さんは、もうという感じで。
そんなこんなでねー、千春さんは優しいですからね。優しいから厳しいこともできない彼女の人間的な、こういう事態に陥った時の弱さのようなものを描いて見ました。
あの二人‐、呼ぶべきか……どうするか。

| 月 | 2019/06/04 23:56 | URL |















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