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小さい姫子と大きい千歌音

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姫千歌でおねロリって妄想したら結構、萌えた。


「姫子、おはよう。」
「千歌音ちゃん・・・」
「あら、まだ寝ているの?時間は・・・あぁ、30分、早いのね。」
近くに有る二人で決めた時計を眺めた時、まだ、自分たちが起きる時間には早いということに気づく。
しかし、こうして、妹の姫子の寝顔をゆっくり見られるというのは千歌音にとって憂鬱な朝を取り除くサプリメントに等しい。都会の喧騒と呼べる文明の音はなく、あたりは自然一色と姫宮邸の部屋だけ。いや、千歌音と姫子だけの館。他に侍女たちが数人いるものの、それは、自分たちの生活に干渉するものではないから、千歌音にとって数には含まれない。
自然の喧騒といえば、鳥の囀りくらいなもので、耳に音が入り込んだとしても、それは素敵な朝を演出するための小道具に等しい。鉄の
軋む音が耳に入らないだけで、この世界は随分と変わる。最高の環境と、最高の自然が作り上げる空間で最愛の人と目覚める空間は代え難い清らかな存在で満ちている。
「うみゅぅ・・・」
「ふふ、今日も可憐なままね。姫子。」
安らかな寝息を立てる姫子を見ながら、常に浮かべている鉄面皮という言葉が似合うクールな顔を浮かべずに、優しいという言葉が似合う表情を華を満開に、ただ、眠りについている幼い少女、姫仔の顔を眺めていた。
特徴的な栗毛色の髪が靡いている。幼稚園に入ったばかりの、5歳の子供である姫子。旧姓は来栖川と言う。姫宮家の養子として引き取られた遠縁の娘である。初めて会った時から、お互いにシンパシー的なものを感じていたのかもしれない。前世にでも、出会ったのかのように幼い姫子という少女は姫子は、初対面の千歌音に、こう叫んだ。
「千歌音ちゃん」
と。
なんだか、懐かしい気分になって、その引き取ることになった少女を眺めていた。
そう呼ばれることで、過去、所謂、虚憶と呼ばれるものを思い出した気になった。今になって思えば、姫子が自分の名前を呼んだのは、予め聞かされていたからかもしれない。だが、千歌音にとって、その少女の言う言葉は懐かしかったのだ。
姫子という少女が自分の名前を呼ぶだけで、ふわりと何かに抱きしめられるような気がした。名前を呼ばれただけで、太陽の暖かさに包み込まれているような、そんな錯覚さえも覚えたのだ。それが、心地よい。
そして、親を失った少女は、その儚さを含めて、穢れを知らない太陽のような人懐こい笑顔が千歌音が引き取る決意をさせた。当然ではあるが、社交的な関わり合い以外を持とうとしない千歌音の発する壁のようなものを軽々と飛び越えて接してきてくれた心優しい純粋無垢な少女に、いつしか千歌音自身も惹き込まれていた。
血の繋がりのない二人が、今まで出会ったことのないはずのふたりが、こうして巡りあった。
何か、運命的なものを感じずにはいられなかったのだ。千歌音を映す姫子の瞳は、青の銀河のように煌く瞳、春の日差しのような優しい眼差し。その瞳に、全てに惹かれてしまった。
「姫子、私と貴女は・・・どこかで。」
寝ている少女の姿を見て、ふと、そんなことを口にする。答えることのない深い優しい世界から、未だに戻ることのない姿を見て、時折、見えてしまう。不思議と誕生日まで解ってしまうものだ。
かつて、感じた姫子の温もりでさえ。
かすかに蘇る、巫女だった記憶と、巨大な鉄の戦神の記憶。
「あれから一体、どれくらい繰り返して、繰り返して恋をして・・・私たちは結ばれてきたのね。・・・え?」
姫子を見ていると思い出す。かつての、過去の記憶とでも言うべきもの。おそらく、前世でつながったものであることは間違いないのだと、そういうロマンチックなものに身と心を寄せるのも良いと思った。
そういうのを感じるのが、たとえ、妄想だとしても暖かな心地よさというものがある。
しかし、それ以上に、
「姫子、可愛い。」
世界の穢を知らない少女の姿というのは可憐そのものだ。
穢してならないと、千歌音の中に使命感のようなものが生まれてしまいほどには。財閥の金持ち共の欲望を見渡せば、嫌でも世界というものは穢らわしく見えてしまう。それを知らないからこそ、この純粋な少女には、そのまま穢れを知らずに育ってほしいと願った。
だから、自分のだけの世界で。
誰にも見せたくない宝石、宝物のような少女だ。そして、多少の邪な感情を抱きながら、姫子の寝顔を眺めて、ほくそ笑む。
まだ、夢の世界にいるのだろうか。千歌音の名前を呼んだ、その意味を考えると頬が緩み、そして、紅潮してしまう。
「姫子、貴女は、やっぱり私を狂わしてしまうわね。」
まだ、早いかもしれないが、そっと、己の唇を秘めこの唇に近づける。
悪いことだとは、何も思わない。
遠い昔、これが当たり前のように行われていた気がする。それだけの理由ではあるが。
そっと、髪を撫でながら、目の前の眠りについている幼い表情の無防備な唇に自分の唇を重ねようとする。
いけないことであることは分かっていながらも、理性は崩壊し、本能のままに千歌音の思考は動く。背徳心に苛まれることなどない。これは、当たり前のこととして行われていたことなのだから。自分の本能が、自分にブレーキをかけずに唇を重ねろと煽っている気がしたのだ。
桃色の誰も触れたことのない自然に濡れた唇に息を呑みながら、禁断のエリアに踏み入れる。
顔を近づけて、そして、まぶたと自分の瞳が重なった瞬間、息を飲んだ。
起きてしまった時、どうすればいい。いや、姫子のことだから受け入れてくるはず。無垢であれば自分の言い訳で全てを染めることが出来る。天真爛漫な少女のまま、千歌音の言葉で育つ純粋培養の。姫子の目元にかかった髪をかき分けながら、「シルクのようね・・・」と、つぶやき、その心地よさを実感する。
千歌音の手の上で閃く、シルクのような髪に触れるだけで夢中になった。さらさらとした、その髪質は、いつまでも触っていたくなる。これだけでも心地よい気分になって、どうにかなってしまいそうだというのに、今からすることを考えるだけで胸が熱くなる。
目の前にある、姫子の唇を見つめるほどに、心臓の鼓動が激しくなった。そっと、人差し指で未熟な果実に触れた。禁断の果実に手を出してしまいそうな背徳感と好奇心は抑えきれるものではない。
ゆっくりと、音を立てずに姫子の領域に侵略し、その機会を伺う。わずか、数センチほどだというのに、なぜ、ここまで緊張してしまうというのか。それほど、目の前にいる少女が愛らしい。
過去、愛し合った記憶、そんなものも混ざり合い、そして、自分の持っていないものを、この少女は持っている。遥か昔、自分が忘れてしまったものが、この少女に埋まっているような気もする。だからこそ、失わせずに、自分だけを見て欲しい存在になってほしい。
迫り来る理性を破壊しながら本能は姫子と繋げた。
ぷっくりと子供らしいサイズで膨れ上がった果実と自分を繋げるように、千歌音は姫子と唇を重ねていた。
「姫子…ん、ちゅ…」
「ぁぅ…」
太陽のように暖かく果実のように甘い。
「本当に、暖かいのね・・・太陽のような心地よさね。蜜のような口づけ・・・」
キスし終わったあとの、切ない吐息に心臓が鷲掴みにされたような気がして、キュッと、一瞬だけ体が締まった錯覚を受けた。一度、重ねてしまえば、何度でも味わいたくなる。小さい体ゆえの柔らかさもあるし、何より、体全体を包んでくれるような優しさも感じた。だから、その寝ている姫子に何度も、千歌音は唇を重ねた。
幼女だろうと、もう、姫子の唇の気持ちよさに比べたら、理性や背徳心などくだらない感情にしか過ぎないのだ。
この幼い肢体の中にある太陽のような暖かさを持った少女にとっては。
そう脳内で言い訳をして、しつこく姫子の唇を貪った。
既に15分、そろそろ、起きる時間かもしれないというのに、お構いなく、千歌音の欲望は本能と混ざり合い忠実な奴隷のように姫子の唇を貪った。
もっと触れたい。
その未熟な果実である乳房でさえも自分のものにしてしまいたいと欲望を抑えることはできない。
同時に姫子に自分を与えたいとすら思える。
ぬいぐるみのような抱き心地の少女を前に、蕩けた表情を浮かべ、そっと愛撫を始めようとした。デリケートゾーンに爪先が触れた時、「うぅ」と、呻き声をあげながら姫子が目を覚ました。
少し、早かった。と、思いながら、同時にもっと触れていたかったと千歌音は苦虫を潰したような複雑な顔を浮かべた。
「おはよう。ちかねちゃん。」
小さな指で眠気眼を擦り、たどたどしい声で、ぼやけた視界に映るいつもの自慢な姉の姿を眺めた。
「おはよう。姫子。」
二人きりの時は姉と付けさせずに、千歌音と呼ばせる。
「お姉ちゃん」と呼ばれるよりも、何故か、そっちのほうがしっくりくるから千歌音と呼ぶようにと、姫子と約束をしたのだ。
「姫子…」
改めて、その顔を見る。姫子は可愛い。その顔を見るたびに姫子の取り巻く魅力というものが伝わってくる。少女らしい、無邪気なあどけない表情。寝ている時とは言え唇を交わした、その瞬間に千歌音は、この自分を姉と慕う少女を誰のもとにも行かせたくなくなる。
「どうしたの?ちかねちゃん。」
「なんでも、ないわ。」
首をかしげて、先ほど、何をされたとも知らずに無邪気に微笑む姫仔を見て一瞬だけ罪悪感のようなものが芽生えた。しかし、千歌音にとって、その様子すらも可愛いと映る故に許してしまう。動揺を隠しきれているだろうか。
「ちかねちゃん?」
「暖かいわね。姫子…」
無性に、姫子を抱きしめたくなった。故に、抱きしめた。
「今日は、二人で何をしましょうか?」
「え、とね、ちかねちゃんとしたいこと、いっぱいあるの。」
「あら、なにかしら。」
姫子のしたいことなら、できるだけさせてあげたい。
姫子の望む事なら、どんなわがままでも。
そんなことを思わせるほど、その幼児の柔らかさと姫子の暖かさが、もう、ここから動きたくない。そんなことすら考えていた時だ。
「千歌音様、姫子様、朝食の準備ができました。」
暖かい感触を抱きしめながら、愉悦に浸りながら二度目の眠りの時間にでも入ろうかと考えていた時に、突然、寝室に入ってきた一時期は最大の友人だったはずの侍女が、とても煩わしく思えてしまった。
だが、最愛の人との一緒に眠るという時間を無理に起こされて、不機嫌にならない人はいない。
姫子との時間は、そういうものだ。
「それと、旦那様と奥様からお手紙が届いております。」
「そう。」
となりに安らかな寝息をたてながら眠りについていた童顔の少女を眺めて、余計に怪訝な顔を浮かべた。父と母からの手紙、それが、どういうものなのかは良くわかっている。
常に、催促するかのように同じ内容だからだ。
「また、帰省のお話?乙羽さん。」
水を差された。そんな言葉が顔全体に見れば伝わるほどには学園で宮様と呼ばれて親しまれているとは思えないほどに優雅とはかけ離れた怒りの表情をわざと浮かべていた。
「ちかねおねーちゃん…?」
「姫子、ごめんなさい…」
今まで見たことのない千歌音の顔を見て、不安と恐怖に満ちた顔を姫子は浮かべる。自分が、何か悪いことをしてしまったのだろうか。自分が千歌音に悪いことを。
「大丈夫よ。姫子が原因ではないのだから。」
優雅に目覚めて、今日の休日は姫子と何をしようかと考えていた時だ。侍女である乙羽から、両親の「帰省するように。」と、言う伝言を受け取ったのは。会いたくないわけではない。ただ、自分の時間を、自分と姫子だけの時間を奪われてしまうのが我慢ならないのだ。
単なる二人きりでいたいというわがままではあるが。朝の目覚めは快調であるはずだった。学校のない休日は千歌音にとっては自分でいられる、”宮様”としてのペルソナを外し、姫子と一緒に素を見せることのできる日である。
演じる必要もなく、ただ、妹と何をするかを考えて何かをする、それだけで幸せだというのに。
今日は、姫子と一緒ではなく、実家に戻れば姫子と千歌音とプラスαの時間になってしまうのは、独占できないというのは、どこかいやなのだ。
「あ・・・」
しかし、こんな、誰かを独占したいと思ったのは初めてだと思う。
それが変化なのだろうとも思う。そう思ったとき、確かに、変わった気がする。
姫子と出会ってから。名も無い花を見て、喜ぶ姿を見て、自分が、かつてそうだった姿を忘れてしまったような。
「それで、千歌音様、本日は…」
「はぁ…」
千歌音が帰りたくない理由は、先のように、この姫子との二人きりの時間を邪魔されたくない。と、言う、それだけの話で、溺愛されている姫子を実家に連れて行けば、当然のごとく姫子との二人きりの時間など消えてしまう。
どうやら、姫宮家の人間というのは、こういう素朴な少女に惹かれてしまう部分があるようだ。
「やっぱ、帰りたくないわー・・・」
「かえりたくないの?ちかねおねえちゃん。」
「そうね。帰ってしまったら、姫子と一緒にいられなくなるもの。」
ふと、軽い気持ちで「一緒にいられなくなる。」そんなことを呟いた時、一緒に乙羽の話を聞いていた姫子の顔から絶望の顔が浮かび上がる。
先の可憐な表情は死んで、千歌音を掴み、その顔を千歌音の胸に埋めた。
ドキッとするような感触が千歌音を襲ったが、それ以上に姫子の浮かべた顔の方が気になって仕方なかった。
「どうしたの?」
と、口にした後に、姫子が千歌音の胸の中で首を振り、恐ろしい物を見たあとのように声に出して叫んだ。
「やだよぉ……お姉ちゃんと一緒じゃないの、嫌だよぉ……!」
「姫子、どういうこと?」
この心地よさを、ずっと身に感じてはいたいものの、それ以上に姫子が泣くことのほうが重要だ。
下心全開の気持ちを我慢しながら、姫子に聞いたとき、“一緒にいられなくなる”と、何気なく千歌音が口にした言葉を、養子であるという部分から、どうやら、だいぶ道に逸れた解釈をしてしまったらしい。
軽い気持ちで言ったが、こんな予定外の副作用が生まれ、実家に帰ることを拒否されたのは千歌音にとって好都合だ。これで、二人きりの時間が満喫できる。
計算していたわけではないが、予想外の出来事に姫子を抱きしめながら心の中で天に祈るように感謝した。憧れの姉として、姫子を強く抱きしめ、浮かべているだらしのない顔を見せないように強く強く抱きしめた。
天井は、いつものように千歌音を黙って無表情に見続けている。鳥が羽ばたく音が聞こえ、20世紀の田舎のような憧憬の土地の静けさとは裏腹に千歌音の思いは真逆で忙しないものだった。
「大丈夫。一緒にいられなくなるわけがないでしょう?姫子。」
「本当……?」
不安が入り混じり、ぐしゃぐしゃになった顔のまま、姫子が上目遣いでち金を眺めた。
思わず、だらしない顔を浮かべそうになったが、それをこらえて優雅に「本当よ。」と、答え、姫子の頭を撫でた。
「乙羽さん、今日は、こういうことだから実家に帰るのは無理よ。」
とにかく、行けない口実は出来た。
「は、はぁ……」
乙羽も、それを腑に落ちないまま受け入れて仕方ないと口にしながら二人の寝室から出て行った。
「それじゃぁ、姫子、今日は何をしましょうか?」
今週も二人だけの休日。誰にも邪魔されない時間が始まる。
「あ、あのね?」
先程まで泣いていた少女の顔は影を潜め、頬を赤くした恋する幼女状態になっていた。
「うん?」
感情豊かすぎる、その千歌音の抱く可愛さにどうにかなりそうだったが、それを堪えなければならない。
何度、自分は理性を保って、これから接していかなければならないのか。
そんなことまで考えてしまいそうだった。
「ちかねちゃんが、さっき、わたしのくちびるにしてくれたやつ……が、いいな……あと、おしっこするあなにさわろうとしてた……あの……」
恥ずかしそうに、顔を伏せて再び、姫子は顔を胸の中に埋めた。
可愛いと思う反面、一瞬、千歌音は意識がなくなりそうなくらいの喜びに打ち震えていた。
しかし、後に寒さとなって後悔の念が来なかったのは、姫子が千歌音とのキスを望んでいるからということを知ったからだろう。
「き、気づいてたの?」
しかし、隠れていたつもりであるのに、なぜか、バレていたことに驚きは隠せなかった。
「うん……でも、ちかねちゃんと、そういうふうにいっしょになるだけで、きもちよくて……あとね、なんだか、なつかしいの……」
もじもじしながら、それでもちゃんと、千歌音に言葉で伝えながら恥ずかしそうにいう。
姫子の体温が熱くなっていることを千歌音は感じた。
感じ取った瞬間、自分の身体も喜びによって熱くなっていることを知る。鼓動まで伝わってくる。姫子の口で紡がれた言葉のように自分たちは、遥か遠い昔の世界でキスをしていた気がする。そして、それ以上のことでさえも。
「いいわ。姫子、今日はいっぱい、キスと、それ以上のことをしましょう。でも、今日から、私以外の人としてはダメよ。約束できる?」
早くなる鼓動。
約束。
姫子は自分だけの千歌音だけのものであると。
「私も、姫子以外の人とはキスをしないわ。」
そして、自分は姫子だけのものであると。その証を立てるものにしようと千歌音は決めた。
「うん。やくそくするよ。ちかねちゃん。」
「それじゃぁ、姫子からしてくれるかしら?最初は唇を重ねるだけでいいの。これは、約束のキスよ。」
キスしやすいように千歌音が四つん這いになって、姫子の視線に合わせ唇を差し出した。姫子は千歌音の桃色の唇を見て思わず唾を飲んだ。艶っぽい。子供の自分とは大違いな大人の魅力に溢れた千歌音と唇を交わらせることに対することに、どこか胸が湧き上がる感情を覚えた。
目を閉じて、自分と唇を重ねる時を待っている千歌音の姿。彫刻のような美しい顔に、白い肌を見とれて姫子はキスをするということでさえも忘れてしまいそうになった。自分が、この人と交えてもいいものか。そんなことさえ思う。
だが、目の前の美少女からの誘いは幼い少女の心に魔性を植え付けるかのごとく誘う表情が姫子の心にまとわりつく。
「どうしたの?姫子。」
「ちかねちゃん……」
もとより、二人共、魔性にかかった存在か。
千歌音自身も誘っておきながら、姫子にされるということを考えるだけで表面上の余裕を保っていられる今が精一杯だった。幼児だからか、そういうわけでもない。
やはり、過去にあった甘い時間を思い起こすような、そういう期待感にも千歌音は溢れていた。
迫る唇を見つめながら二つの形が重なり合う。
二人の精神と肉体の快感が共有されて、浮き上がるような心地よさの中に二人入る。鼓動も、感触も、感覚も、全てが一つになった気がした。ふわりと重なった唇の感触を確かめるように姫子を抱きしめ、柔らかさを確認すると同時に、懐かしい気分にもなった。
刹那の瞬間なのに、無限の記憶が呼び起こされる様な錯覚さえ覚えた。微かに感じた温もりと、愛される人に抱きしめられる感触。思い出にふけるような優しく甘いキスは二人の過去の記憶すらも垣間見せるような気がした。
(姫子……姫子……姫子……)
抱きしめながら何度も、その愛しい名前を千歌音は連呼する。
無我夢中で、何もかもを忘れたくなる。ただ、こうして唇を重ねるだけの行為が二人にとっては、とても特別なものであるような、そんな気がする。
流石に息苦しくなって、唇を離した時、蕩けた表情を浮かべて言葉にせずとも、その表情だけで姫子の全てがわかる。
千歌音の心臓はわしづかみにされたような気がした。鼓動すら再び激しくなる。
この姫子を、もっと、自分と感じ合いたい。
姫子と、姫子と。姫子と、そうしたい。思い出すように、かつての記憶の中にある関係が全て呼び起こされるように無限の思い出が二人の中に入り込んだ。夢のような甘い時間だけ切り取ったようなかつての思い出。
もっと欲しくなる。
過去にできたもの、これから作られるもの。
二人の記憶に刻まれる甘い時間。“好き”この言葉に包まれながら、もっと。
見えない赤い糸で繋がれているような、そんなことさえ思う優しい刻。幼く優しい少女に刻まれた千歌音の心。重ねただけで、姫子の思いが全員に走った。
伝わってきたのだ。
「ちかねちゃん…」
「あぁ…姫子…」
甘ったるい言葉を浮かばせながら、千歌音は姫子を抱きしめて囁いた。
「姫子、今度は…私からしてあげる。」
密約をかわすためのキスが姫子に降り注がれる。

| 神無月の巫女 After | 00:00 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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