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夏休みだし、本だって読むよ。「暗黒少女」

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聖母女子高等学院で、一番美しく一番カリスマ性のある女生徒が死んだ。
今晩学校に集められたのは、彼女を殺したと噂される、同じ文学サークルの「容疑者」たち。
彼女たちは一人ずつ、自分が推理した彼女の死の真相を発表することに。
会は「告発」の場となり、うら若き容疑者たちの「信じられない姿」が明かされていき――。

人の不幸は蜜の味。美しければ美しいほど、その秘密は黒黒い。それを利用して、自分という名の人生の物語を最も面白くしよう。人なら、だれもがこう考えること。しかし、だれもしないのは、それを行えば後ろからばっさり。裏切りなんてことがあるから。そうした登場人物も、どんなに大人しい人間であろうとも、そこには鋭いナイフを隠し持っているわけで。
しかし、一番、おぞましい黒いナイフを持っていたのは、なんとやら。
こうして読んでみたら、傍観者として徹することが一番、人生というのは面白いのだろうな。なんて、そういうことすら思うほど人の醜さが、そこにある。
まぁ、そういう感じのお話ですかね。そこが面白いって話ではあるんだけど。普段、本とか読まない人間にとっては、結構、面白いだろうし、普段、本とか読んでいる人にとってはつまらないかもしれない。あたしは、前者ですが。
さて、まぁ、人は誰もが黒いナイフを持っているものです。研ぎ澄まされたものであろうと、鈍であろうとも。
えてして、この作品のすべてをつかさどっていた存在すらも、そのナイフを持っている。そして、それは弱みであり、強みである。そうして、黒く研ぎ澄まされた美しさを持ったナイフを持った女が、そこにいた。カリスマ性を持ちながら、しかし、その願いは素朴。素朴であるがゆえに物足らず、自分の人生という物語を、己を主役としてより強く演出するために少女たちを脇役にした。
しかし、黒い感情を交えて支配すれば、誰だって上手くはいかないわけですよ。いつかは、裏切りに合うか、いつかは、倒される。ジョジョや、仮面ライダー、ウルトラマンがそうであるように。
そして、その美しいナイフに魅了された6人の女たち。しかし、なぜ、魅了されたのか。そこには狡猾な手段があったりするわけです。
今後、読むだろうって人も出てくるだろうけど、それは言わない。
えてして、6人の少女は気持ち悪いほど、今回の物語を司るキャラクターを崇拝しています。百合作品の先輩のお嬢様に憧れる後輩の感情以上に。
でも、現実の男関係であれ、女性関係であれば、こういう感情を抱いている人間は多くいるのではないのか。一人一人が、事件の真相を語っていく中で、その真相がわかると全てが醜い。えてして隠していた悪意という名の弱みが掴まれてしまったが故の脅迫から生まれた崇拝者たちの気持ち悪さ。一つ一つ、秘密はある。しかし、それが暴かれてしまえば人は暴いた人の奴隷になるしかない。
しかし、それが暴いたものが死んでしまえば、知っているものから見れば他殺の如く己の殺せば。
誰かがうそを言っているわけではない。
誰もが自分を美化して嘘を書きながら他人のことは真実を書く。
恐怖政治をコンパクトに描くと、こういう感じではあるという印象を受ける。
その悪のカリスマにひかれた人間もいれば、脅されて崇拝しているという人もいる。
えてして、死んだ少女の願いは素朴だった。すべてのカリスマである存在が、一つの幸せを手に入れた瞬間・・・・・・その願いは素朴なんですがね。その素朴であるがゆえ変化が生じて最後の最後に裏切りに合う。
全ては、とある登場人物の脚本通り。すべて、すんなり。
でも、素朴だったから裏切りに合う。
悪の魅力っていうのは、そこにあると中毒のように惹かれていく。ある種、彼女のカリスマ性は悪の方面で強すぎたからこそ、当然の死が訪れていたのだと思う。
えてして、作中の出来事を小説として登場人物が発表しているからこそ、それを読み従いながら、考え、そしてラストに至る結末の楽しさ。
読んでいけば美しいまでに黒く研ぎ澄まされたナイフを持った人ほど、そのまさかの展開に変な笑いが出る。これが、その作品の特徴。
出てくるすべての少女は闇を持つ。
そうして、出てくるうちの犯人は、以下の人物
物語冒頭で死んだ絶対的なカリスマを持つ女……
その隣にいて常にサポートし続けた親友……
美貌にひかれた留学生……
やさしさに惚れた少女……
そのカリスマ性に惹かれた少女……
居場所のない自分に手をさし延ばされ心を救われた少女……
ライバルでありながらその存在に惹かれた少女……
自分の才能を認めてくれたことから惹かれた少女……

この登場人物たちと都合のいい言い訳という名の自作小説の醜さったら無いね。己の欲をなすために悪を成し、それが物語の因果応報へとつながっていく。犯人の擦り付け合いとでもいうか。
しかも、小説という媒体で、推理を暴露するから、自分の都合のいいように脚色できる。一人一人の作品を読み終えた後、あぁ、通りで、全てが嘘くさい。そう思ったのは、これが理由でござった。
しかし、そこまで崇拝、賛美した文章を描かなければ、そいつが犯人だ。と、疑われるからこその過剰とまでいえる崇拝文章。本当に愛しているなら、あそこまで過剰ではないよな。己と彼女の関係を自慢げに話すような奴だっていやしない。
この7人、全てが小説を書いているわけですが、共通していることは全てが醜い。真相を知ってしまえば特に、誰もかれもが醜く映る。
えてして、人の中にある鬱屈したものっていうのは、こういうものだよな。っていう部分もわかる。
自分を美しく見出し、他人をゴミのような目で見るかのように描く。
そんなやり取りの中で、真実を知った時、まぁーなんとやらですよ。
誰かに感情移入できる作品ではありません。
この世界に参加した第三者としてみるのが楽しいでしょう。
とはいえ、それをしていたら、最後の最後に面白い文章がついてくるわけですが。
ただ、物語のモチーフにやたら、スズランが出てきたのは……なんていうか……あの結末を解りやすくしてしまうのではないか?だって、スズランっていうのが、しつこいほど1節目あたりに出てきたとき、「おい、まさか、このオチって……」って思ったし。予想通り、それは当たったんだけどね。過程は外れてたけど。
ただ、その結末、本筋に行くまでの推理は楽しいものになってます。
あたしのように、めったに本を読まない人は特にね。
まぁ、人の醜さやら、そういう黒い感情を、裏切りを描いた、この小説、まぁ、非常に文章も読みやすいものとなっているので読んでみるのはいかがでございましょうか。

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