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ハロウィンだったらしいので。

姫千歌

短時間で、何も考えず姫千歌のハロウィンを考えた。


「そう…今日は、ハロウィンよね。」
仕事が無いと言うのは人によっては天の国にいるような錯覚を覚えるほどには幸福である。姫宮千歌音は家の財産と地位、全てを受け継いだものの、この新婚生活を謳歌するため、全てを乙羽に任せている。
無論、二人で生活をし、多少の贅沢をする位ならできるが、親不幸はそれなりにしてきたが故に、会社だけは親の言うとおり受け継いだというわけだ。とはいえ、状況を見て指示するだけではあるが。事務は全て有能な秘書たちが行う。実質、形だけ受け継いだ状況と言っても良い。
「凪沙ちゃんと智恵理ちゃん、そういえば、公演のハロウィンの衣装がどうのとか言ってたわね…」
今はいないテレビに映る隣人たちの会話を思い出しつつ千歌音は、ふと考える。
「お菓子をくれないと悪戯…と、言うことは…」
不敵な笑みを浮かべながら、着ている衣服とテレビの画面に映る吸血鬼の衣装を見ながら不敵に笑った。
「姫子、お菓子をくれないと悪戯してしまうわよ。」
どうせ仕事疲れで、ハロウィンの為のお菓子など買って来ない。スーツ姿の姫子を、そのまま押し倒して。と、脳内で思考しながら、乙羽に電話してハロウィン用の衣装を注文した。

「なかなか、解放してくれないんだから。」
仕事の会議が終わりレストランで優雅にコーヒーを飲み、キラリと輝く眼鏡の縁の髪を優雅に靡かせて手を振る編集担当(女)を眺めた。溜息を吐きながら、自分の仕事の編集部の人間に内心で悪態を突き帰路につく。女であれば彼女がいようと誰でも手を出そうとする、ある意味、そんな怖いもの知らずの女の元で働くのは姫子にとっては不幸であるかもしれない。千歌音が姫宮家の御令嬢だと知っても、だろう。
気慣れないスーツを身につけて、いつもとは風貌の違う街を闊歩する。本来は、もう少し早く帰るつもりではあるが仕事相手の編集者が無駄にレストランに居座らされた。
「さすがに、千歌音ちゃんも怒ってるよね。」
時計を見て予定よりも帰る時間を見て、そんなことを思ってた時だ。
目の前を魔女の帽子を被った子供たちが通り過ぎた。姫子のマンションの近くにある聖ミカエル女学園の初等部の制服を着ていた。
「そっか。今日はハロウィンだよね。」
その日を忘れていたことを思い出し、脚が一歩進むたびに、都会の人の負の感情を打ち消すような歓喜の感情が入り混じった喧騒が姫子の耳に直撃する。考える余裕を邪魔するほどに街が昼間だと言うのに随分と派手なアニメやら、特撮やら、多彩なコスプレをしている人が目立つ。テレビカメラがこぞって集まり、その中心に隣人である凪沙と智恵理が懐かしい前の世界で着用していた学生服を着てインタビューしている処を見つけた。
街に蔓延る異様なカボチャの雰囲気を見て思い出す。あぁ、そういえば、バレンタインか。と、同時に、いつから、日本はハロウィンが、そんなクリスマスレベルに匹敵するイベントに定着したのだろうと考えていた時だ。どうせなら、自分も、お詫びに千歌音に何かを買ってやろうと思い、近くにあったケーキ屋でおそろいのケーキを二つずつ購入して帰路についた。
「ただいまー。遅れてごめんね。」
『気にしてないわ。おかえりなさい。こっちも調度終わったところよ。姫子。』
「千歌音ちゃん?どこ?」
帰宅すると部屋が意図的に薄暗くなっている。太陽の光を遮断しながらも、完全ではなく微かに光が漏れている個所がある。何処となく感じる手作り感に思わず苦笑する。随分と急に思い立って、急ごしらえで、この空間を作ったのだろう。
安心したのは、かつての機械と呪術に満ちた破壊神たちが戦う世界の嵐の夜のように静けさ漂う世界に我が家が変貌していないと言うところか。
どちらかと言うと、悪戯心で満たされているような、そんな部屋作りだった。
「姫子、寝室よ。」
とりあえずケーキを持って、声のする寝室へと足を運び扉を開けた瞬間、とあるゲームで見たことのある悪魔の恰好をしている千歌音を見つけた。
絵本などで見る蝙蝠の羽を背中と頭に付けて、頭の部分はいつもの黄色いカチューシャを外しているからアクセサリ関係なのだろうと思った。大胆に胸もとを露出させて、その下には生地をハートマークに切り抜いて色っぽさを表現している。姫子の記憶ではピンクのストッキングも付けていたが、千歌音は、それを着ていないようだ。しかし、抜群の千歌音のプロポーションは、それを忘れさせる魅力と言う物があった。
しかし、千歌音の性質上、姫子の前でしか、そんな露出の多い衣装は見せない。そう考えると姫子との為に驚かそうと、そういう色気のある衣装を着たと考えると姫子は、ふと笑みが零れそうになった。
恐ろしいほどにあっているし、本人が至って真面目ではあるが、緊張しているのか妙に硬くなっている姿を見るのも笑いがこみあげてくる。
「千歌音ちゃん?」
姫子が、そう声をかけると千歌音は淫らと言う言葉が似合う足取りで近づき、姫子に耳元で「お帰りなさい」と囁く。
「トリックオアトリート。お菓子をくれないと、姫子が大好きな悪~いサキュバスが悪戯しちゃうわよ?」
「はい。ただいま。千歌音ちゃん。そういうと思ってケーキ、買って来たよ。ハロウィンだもんね。後、帰りが遅くなっちゃったことのお詫び。」
千歌音の意図を汲み取らず、いったん、距離を取って先ほど購入したケーキを目の前に出した。
姫子は、今日はハロウィンだから、千歌音が、そういう恰好をしていると思い込んでおり、同時に悪戯するって言うのも、お菓子が食べたいからだと言うことを真正面に受け取っていた。
「千歌音ちゃんの大好きな奴も買って来たよ。」
「え?」
顔には希望と言う言葉が漂わず、その真逆の言葉が似合うほどの、かつての前世での運命を知った時のような顔をしている。
「違う…」
「え?」
「違うの!姫子ぉ!」
「え?え?」
いつもの凛々しい千歌音の顔が子供のように泣き崩れた。
何かしただろうか?と、そんなことさえ思えるほどに泣きじゃくる姿を久しぶりに見た。サキュバスの衣装のまま、泣き崩れてしまっている。
目論見が完全に外れたのだ。千歌音からすれば仕事帰り、疲れていれば今日、ハロウィンと言うことを忘れているだろうし、お菓子を買ってくることはないだろうと踏んで、それを口実にスーツを着た姫子とコスプレセックスでも興じようとでも、考えていた時だ。文字通り全てが外れたのだ。此処までコスプレに力を入れたと言うのに姫子の前で恥をかいたと。ただ、下心がある方にも問題はあるとは思うが。それに気づく、今の千歌音ではない。
「千歌音ちゃん、悪戯したかったの?」
「そ、そうよ…」
悪い?と、子供のように拗ねて頬を膨らませ露骨な落ち込む顔を見せて、姫子の前で下らない理由で泣いてしまったことを初めて顔を伏せた。
「千歌音ちゃん。」
覗きこんだ顔に栗色の長い髪が視線を覆い隠す。
千歌音の顔を見ることを邪魔する自分の髪を掻き分けながら、姫子が好物のサキュバスの淡い桃色の唇にキスをする。
「ん、ぅ…姫…」
「千歌音ちゃん…」
しかし、それだけでは飽き足らないのか唇を離した姫子が、いつもの優しい顔から妖艶な顔を浮かべる。
「それだけで良いの?千歌音ちゃん、したいんだよね。うぅん、私のことが大好きなサキュバス様?今日、遅れちゃったから好きにして良いよ。」
姫子が、そっと、着ている衣服のボタンを外し、胸の谷間を露出する。大胆な姫子の行動に驚きながら、千歌音は胸の高まりを抑えることが出来なかった。久しぶりに、今の姫子を見たからだ。
「ケーキにする?それとも、私に悪戯する?千歌音ちゃん…」
「姫子が…良いの…」
「どうぞ。サキュバス様。」
息を飲みながら、千歌音が姫子のスーツを少しずつ脱がし、ブラを捨てて胸だけを露出させ吸いつき始めた。
「千歌音ちゃん…」
「だぁめ。」
誘った手前、スーツが染みになるからという理由で脱ぐために辞める訳にも行かず、姫子は失敗した。と、思った。
だが、千歌音もスーツ姿の姫子を汚せると思うと、その手を止めることはできなくなっていった。
この今、感じている快楽に肉体と自分を気持ちよくさせようと頑張る千歌音に支配されて、これでも良いかと思った。仕事疲れで多少は辛い物の、それを上回る指使いが姫子の中で暴れ回った。

| 神無月の巫女 After | 00:00 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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