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リンそな誕生日記念SS

AKB0048 - 05 - Large 24
そんな感じで、今日は、リンそなの誕生日です。
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神埼鈴子と…
東雲楚方…
異なる二人、でも、鏡のように二人は真逆だったりするのですよ。
えぇ・・・
百合可愛い。


「そろそろ、良いかな。」
ふと、楚方を見守る何かが、そんなことを言う。光が部屋に差し込んだ時、楚方を見守っていた一筋の光がとけこんだかのように消えていく。
「決めたの?貴女を名前を受け継ぐ子を。」
「うん。…ちゃんは?」
「もう決めたよ。私も…」
「「後は、二人が決めるだけ。」」
そうなれば、二人は襲名し、そうならなければ二人は襲名しない。道と言う物を決めるために遥なる宇宙の世界の中で輝き、AKB0048と名を変えたAKB48を見ている。惹かれ、そして、輝くための準備。それは・・・宇宙の黒を白に変えるほどに。
鏡の前で踊る少女の姿は可憐だ。
開花を待つ蕾のような少女は、自分を咲かせるために自分と言う存在を磨く。機械のように、この世に生まれたこと呪うかのような音では無く、芽吹いた草花の明るさを象徴するような鼓動が少女から感じられた。
東雲楚方の若く幼いバイタリティと言うのは、そういう植物が持つ蕾故の美しさであり、それと同時に、楚方は蕾から開きかけた花の美しさと生命感溢れる心を持っている。
もっと輝きたいがために。
東雲楚方が、もう少しで11歳になる。
過度な体験をして、アキバスター奪還作戦を成功させてから、1年以上過ごしているという実感がありながらも、その姿は、まだ、成長と言う物を見せていない可憐な少女のままであるともいえよう。
10代後半近くまで成長する過程で失われる少女らしさと言う物を、この10代に入りたてと言う純なる部分を多く持ち合わせている少女の精神と肢体は美しい。芽生えたばかりの果実のように。巣から旅立つ小鳥のそれのようにもみえる。それに近い感動があるからこそ魅力的なのだ。東雲楚方と言う少女は。
「おねぃは、楚方を妹としてしか見ていない。」
そこに悲観と言う文字はない。寧ろ、その現実を受け止めて精神に受け入れる。そこにあるのは決意。もう姉に甘えず、自分だけが甘えられる存在を探し、自分なりに周りを巻き込んで成長しようと言う、一種の表れであるとは言えよう。
姉に相手にされない寂しさと言う物がある。だが、姉は恋愛する権利と言う物もあるということを理解している。だからこそ、姉の関係と5代目高橋みなみの関係を理解した時、自然と身を引いて自分も大切な人を探そうと決意した。何よりも、姉が幸せであることは嬉しかった。
0048、最新兵器を操れる組織、マイクサーベルの出力を改造してあげれば確かに感電死をさせることは出来るし、起動兵器を操り、人体のように操れば人を殺すことは可能と言うことを知っているのか知らないのか、ただ、仇を打つために不殺生の組織に入った東雲彼方の猪突猛進、悪く言えば一点の部分しか見えない真っ直ぐさと呼べる部分も楚方にとっては、ある意味で敬愛すべき部分である。とはいえ、そんな姉の猪突猛進な部分を見て参考にすべき部分は参考にし、切り捨てるべき部分は切り捨てる。一種の反面教師として、今日まで楚方は生きている。
「でも、楚方も、おねぃを見習って前に出なきゃ。」
元より、その精神は受け継ぎながら、姉に会うと言う目的の為に無茶をしてきた思い出がある。まだ、10歳のころだった。いまでは、それよりも思慮深くなっているはず。と、目の前の鏡を見ながら確認する。
あれから、急成長とまでは言わないが、それなりの成長を見せている中で、徐々に、その芽は開きそうになっている。まだまだ、本人は気づいてはいないが。姉離れすることが一つの成長だと思う中で、
「でも、甘えられる相手は欲しいよねー」
そういう部分は、まだ、子供だと言うことに気づいてはいないが、それが楚方の可愛さであると言うことも事実。
まだ、温もりが欲しい。温もりがあれば、姉のように幸せになりながら前に進めると思った。望むのは、姉とたかみなのような関係。
「そういえば。」
包容力のある女が好きと言うことを指摘された部分が、どこぞのファンに言われたことがあるのを思い出す。肉体的にも精神的にも、まだ、幼いが故に、そういうことを望んでいたりするのかもしれない。
まだまだ、子供っぽいながらも、明日に向けての考えと姿勢と言う物は誰よりも前へ自分のスタイルを貫き通しながら進むことを目標としながら、どうすればいいのか分からないから足掻いていたわけではあるが、そんなとき、
「珠理奈も11歳の時に…」
と、握手会で熱心な女性ファンが、そんなことを言っていたことを思いだした。
「ラブタンになりたいって思ったけど、珠理奈も楚方と同じ年にAKBに入ったんだっけ。」
ふと、そんなことを言われて珠理奈の情報を気づけば常に隣に自分からすり寄っている鈴子に聞いた。鈴子の入りこんだマニアックな難しい話は解らなかったものの、その心地良さに甘えながら話を聞いていたことを思い出し、流し程度に聞いていたものの、鈴子の語りかけるような口調で、その時から珠理奈に興味が湧いていた。

『珠理奈さんは、アイドルとしての資質も凄かったそうですけど、それ以上に、とっても甘えん坊で、とあるメンバーと一緒の時はいつも甘えている特別な人がメンバーの中にいたそうですよ?そういうとこ、そなちーにソックリですね。』
『おぉ、甘えん坊…楚方とリンダみたい。』
『そう、ですね。』

一種に近い人間の存在。
感情移入と言うわけではないが、楚方の中で最も気になる襲名する名前の、かつてのメンバーに珠理奈はなっていた。
ただ、決定的に違うのは、その入った年にはセンターになっていたということであり、自分は、そろそろ、11になると言うのに、未だに、そういう素振りすら見せられず、そんなことを気にせず研究生と言う時代を謳歌している。
早く、襲名メンバーになりたいのはもちろんではあるが、年齢が年齢であるが故の余裕と言う物がゆっくりと、今と言う時間を楽しもうとしているのだ。それと同時に、襲名以上に、そういうことを語りあえる母のような優しさを持った人も欲しいと考える。彼方にとって、高橋みなみこと、有沢栞のような人が欲しい。
それは寂しさから来るものではなく、有沢栞と一緒にいる彼方や、凪沙や智恵理のような関係を見てから来る羨望の眼差しである。皆が皆、バディのような存在になった時、ライブで発する輝きは一人ずつの輝きよりも凄まじい。そんな光を放ち、魅了することが楚方にとっては羨ましいと言う思いで身を震わせた。
だから楚方は、最初に自分と常に一緒にいてくれるメンバーを探すことを選んだ。一緒に、襲名のことを楽しく話せる自分だけの相手と言う物に憧れたからだ。彼方は、その相手を恋人として、有沢栞、高橋みなみを選んだ。だが、誰が、そういう人物に相応しいのか分からない。
とりま、自分で姉と似てる猪突猛進の部分を理解しているからこそ、そういうのを止めてくれるパートナーは必要だと思った。しかし、どうすれば得ることが出来るのか解らないからこそ、だからこそ、楚方の足が向かった先は…
「凪沙ぁー。」
「そ、楚方!?」
「おぉ、凪沙のおっぱい、大きくなってる…」
低血圧の智恵理は眠りについており、楚方の扉を開ける音に驚きながらも、戸を開けた本人は気にもせず、生まれたままの姿の凪沙を見て特に驚く様子も無く部屋に侵入してくる。楚方がこのことに関して驚かないのは姉や、たかみなの部屋に入れば常に、このような状況と言うことが多いからだ。慣れっこになったように部屋に入り、慌てる凪沙を観察しながら、その肉付の良い身体をマジマジと眺めていた。
「凪沙達、ニャーニャーするのは良いけど、控えないと部屋中に丸聞こえだよー?」
「そ、そんな大きな声でしてないよ!」
部屋だって、防音壁の筈。
しかし、それすらも意味は無く楚方に聞こえてしまっている。恐らくは、楚方の聴力が異常に良いのだ。視力とて研究生の中で一番良い。確かに、声は抑えているのかもしれないが、楚方にとっては丸聞こえなのだろう。
そんなことを知らずに、凪沙と智恵理の部屋は夜な夜な桃色の声が響いていたという事実を認識してしまった時、凪沙の顔が比喩では無く、完全に赤くなってしまっている。
「凪沙、林檎だー」
全部、聞こえてしまっている。
今さら、情操教育も糞もないが、完全に、楚方の聴覚のことを忘れて、あの時の声も、少々、変わったプレイをした時の声も聞かれたとなれば、凪沙は気が気でいられなくなった。隣で爆睡している智恵理を叩き起こしたくなるほどには。恥ずかしいと。
「と、ところで、どうしたの?楚方。」
朝の気だるさとでもいうべきか。そんな物と、衝撃的なものが襲いかかって眩暈を起こしながら、このまま眠りたいと思ってしまう。そんな凪沙の心情を無視して、楚方は口を開いた。
「楚方もね、おねぃや、凪沙のような一緒にいてくれるような人が欲しいなーって。」
「そうなんだ…」
「彼方さんに聞けば…」
「おねぃは、まだ、たかみなとニャーニャーしてるからダメー」
「そう、なんだ…」
ふと、凪沙は、この言葉から自分と智恵理のように恋人が欲しい。と、言うことなのだろうか。とか、思ったが、これから11歳になるような少女に、それは速いのではないのか。と、考えた。
しかも、まだ、相手は年齢的にいえば中学生に入る前の存在だ。
「あ、これって凪沙やおねぃみたいに、大好きな人と裸んぼになる。って、ことなのかな?」
「そ、そうじゃないかな?」
「でも、楚方も智恵理みたいに凪沙に、ニャーって甘えられる相手が欲しいんだー」
「まだ、早くないかな…?」
そうは言っても、15で、こんなことをしている自分達の姿を見て、説得力は無いな。等と、頭を抱えた。
そんな自分のパートナーは心地よさそうに凪沙の腰に手をまわして安らかな寝息を立てている。今の凪沙の心境を知らないとでもいうかのように眠り姫は意に介さない。
「楚方は、そういう気になる人はいないの?一緒にいて楽しいとか。ずっと、一緒にいたい人とか。」
「ほえ?」
「そういう人って、自分で気になったりするんだよ。」
「自分で、そういうのが解るの?」
「うん。私も、智恵理と一緒と、そういう物を感じたから。」
「そうなんだー。」
「楚方も、そういう人がいるんじゃない?」
「楚方も?」
「そういうことを聞いてくる時点で、もう、自分には誰が必要か。って、解ってるんじゃないかな?解らなかったら、ちょっと、考えてみたら?」
シンパシーと呼べるものを感じる相手。
そんな物が、この世にいるのであればと人は思う。
しかし、キララなどと言う0048特有のものを得てしまえば、大体のシンパシーと言うのが伝わってきてしまうのだが。
「そうなのかー。」
強く思いあう者同士が惹かれあう。
そして、惹かれあった者同士がどうなるかというのは、それこそ、本人次第という物になるのだが。
「ビビっと、感じるままにね。」
「ビビっとかー。」
ぴょこぴょこと、小動物のように音を立てながら、楚方はキララを通して、お互いに、そんなことがあったと思いだす。
「もしかしたら。」
「感じたことあるの?」
「あるよー。」
思い出して、自分の中で思い浮かんだのは、あの人しかいないと、楚方は頷き、そして、凪沙の部屋から出て行った。
それは常に前向きなだけの自分を止めてくれた人。時には後ろに立って一緒に全体を見渡し、自分達と言う存在を見渡して考えた人。0048に来て、誰よりも甘えていた。その人と一緒にいることが当たり前になりすぎてて忘れすぎていた。常に、今の自分のままでいられたのは、その人がいたからなのだと楚方は自覚した。
時に笑いあい、時に一緒に泣き、時に一緒に寝た人。ありのままで長所を伸ばし続けて成長させてくれたから、二人で一緒なのは無敵なのだと楚方は結論付けた。
今、自分のまま、彼女の悩みを自らが悩むことで解決し、自分の悩みを彼女に預けることで、その答えを求め、与え、そして、今と言う時間、自分のままでいられた。
気づくことに、まだ、遅いと言うことは無い。なら、今すぐに。小手先の手段に興じる気は楚方の中には無い。そこまで考えようとも、煩わしさがあるし、結果を聞くのであれば、真っ直ぐな方がいいと、そういう考えがあるからだ。
「相変わらず、猪突猛進だね。楚方…」
言葉通りの、その姿を見送りながら、ふと、横を向けば智恵理が眠りながらも、凪沙を引き寄せるように手を伸ばしていた。
「はいはい。」
智恵理姫の眠りながら求めてくる我がままに応えて、二人は繋がろうとする。
「また、凪沙と智恵理がニャーニャーしてる…」
無論、その声も聞こえていた。ただ、単純に進むことを望む。前に進むことを成長だと思っているからこそ。一人だと暴走してしまう自分がいる。
自分の持ってない物を持っている人に人は惹かれあうと言う。
凪沙と智恵理が、そうであったように。考えれば単純なことだった。でも、あまりにも、その人と一緒にいるのが当たり前すぎたから・・・
「ずっと、楚方と一緒にいてくれたの。当たり前に思っちゃダメ。」


世界は広い。
しかし、その自由の世界の曇らせるのが自分ならば狭めてしまうのも自分。
神埼鈴子も、そうだが、人と言う物は自分で自分の可能性を潰すことがある。
リスク、人が背負うには恐ろしいほどにまでの覚悟と言う物がある。リターンなどと言うものが必ずあるとは言い切れない世界がある。保障されていない物に手を出すことほど恐ろしいものはない。必ずのリターンがリスク出ない限り人と言う物に手を出す。
しかし、そのリスクを考えれば考えるほど、まばゆく輝いていた憧れでさえ、クリアにならず、踏みとどまり現実と言う名の自分が縛りつけた鎖によって、やれるかもしれないことを、ただ、うだうだ言って足を止める。
だが、それが人にとっては、それが調度良いのだ。
結局、考えている時間は徒労に終わるがリスクを冒す必要はないからだ。失った時は失った時。そんな楽観的な答えが出来るほど、それは思考力が高い人間ほど、そういうスパイラルに陥る。そして、貯め込めばため込むほど、それはストレスという形になって己の内外に悪影響を与えて来た。
それを吹き飛ばすための娯楽なんてものがあるし、中年たちの酒と言う物においては、その典型でもあるだろう。しかし、そんな考えすぎな自分を変えようとAKB0048に所属しても、結局は、リスクを考えれば前へ進むことを躊躇ってしまう自分と言う存在を常々見て来た。
呆れながらも、そうやって進んでもいい。
そういう子だっているのがAKB0048なのだと、神埼鈴子はひとり頷く。
ただ、それでも内に溜まったストレスと言う物はそれを許してくれない。
かつての、凪沙と智恵理のように前に出たいと鈴子は思う。欲求に支配されて人が変わっていく。
願わくば楚方のように。自分に持ってないものを楚方は持っている。行動力を含めて、何もかもが、自分に必要で足りないものだ。その破天荒さ、無邪気さ、大人と言う世界の醜さを知っても失うことのない真っ直ぐさ。誰よりも純真であるが故に惹かれる。穢したくない物に自分だけが独占したくなる感覚に近い。楚方は性格は正反対ではあるが、その思考こそ鈴子に近いものがある。ある種、合わせ鏡のような存在。生気の宿っている瞳を見ているだけで活力が湧いてくる。強く前に出たいが、それは野性的本能によって考えないからこそ、楚方は前に出ることが出来ない。
しかし、そこに自分の思考力がプラスして、自分と一緒に走っていければ。アイドルという立場ではなく、自分の性格を理解しているからこそ、強く出れるものではないが、それでも楚方となら、最終的に凪沙と智恵理、彼方と有沢栞のような関係にまで行きつきたい。
常にムードメーカーな存在。
自身の陰湿さと言う部分を浄化するかのような光の少女に惹かれている。
どれだけキッカケが弱くても、最初は、そのアイドルとしての資質の高さに惹かれたものであった。だが、触れれば触れるほど、楚方と言う人間の純粋さと言う物に惹かれて行く。ないものを持ち、それでいて、自分の考えがあり、誰にも流されない。流動的な自分とは違う。
元より、真逆にいるからこそ惹かれてしまうのだろう。自分に持っていないものを持っている楚方に、その積極性、何から何まで羨望の眼差しで見つめてしまう。そんな自分に持ってないものをたくさん持っている楚方に惹かれているのだと。
ずっと好き。
自分にない無邪気さを見てから、ずっと、ずっと、ずっと、楚方が。年の差から妹ほどにしか思ってはいなかったが、愛らしさを含めて虜になっていく。
楚方と言う少女。
彼方曰く、「楚方も鈴子の思慮深いところとか見習ってほしいんだけど。」野性的な部分が、それを補って、楚方を形作っている。
寧ろ、鈴子らしい部分を持ったら、楚方は楚方で無くなってしまうような気もした。
そして、それは逆も然り。
だから、長所を伸ばしていくべきではあるのだろうと、考えるのではあるが。それ以上に、二つを組み合わせればより良い方向に行くかもしれないとも思う。智恵理と凪沙が一つになってから綺麗な円になったような関係を見て、もしかしたら自分と楚方も。等と、淡い希望だって抱いてしまう。
ただ、少しだけ行動力が欲しい。考えてばかりではいられない。だが、前に進むという行為は人にとって、決断を求める時でもある。
その勇気を前に出せないからこそ、パートナーが欲しい。自分の手を取って、一緒に前に進んでくれる人が欲しいのだと。
最初に触れてくれた手の暖かさが忘れられない。
大事なところを、お互いに補い合えば、凪沙と智恵理のようになれるのではないのか。いや、越えられるのではないのかと。パートナーとしての意味合いもそうだが、それ以上に気になっていく。
出会ってから、ずっと好きだった。恋を語ることに対して、詩人的な物になり感情を誤魔化す。
当たり前に一緒にいることが当然過ぎて、これ以上の関係を求めてしまったら壊れてしまうかもしれない。それが、何よりも怖かったから、今の関係に甘んじている自分がいた。無意識に人と人の関係、自分と人の関係を壊してしまうかもしれないからこそ、それによって与える影響が計り知れないからこそ、過去のAKBはメンバー同士の恋愛すらも禁止したのだろうと鈴子は考えた。
それだけで、諸刃という言葉が相応しいのだ。
だが、それを抑えられるほど鈴子も年老いているわけでもない。
思慮深いが、情熱を秘めた思いと言う物は、どうしても抑えられなくなる。それが抑えられなくなる引っ込み思案の性格と言う物は怒りの感情であろうと、なんであろうとも、抱く思いは曝け出さないだけで近い。
常に受け身だったからこそというものもあるのだが、腹の底では煮えたぎるほどの楚方への愛が鈴子を蹂躙している。
公演のことよりも、目の前にいる、今、何処かにいる楚方のことを考えてしまうのも若さと言う物なのだろう。
智恵理や凪沙のように感情を好きな者同士でぶつかり合えるパートナーがいれば。もっと積極的に。と、答えを出したが、一人だとやはり怖いものがある。悪くいえば道連れであるが、それでも、二人一緒なら、自分の手を引っ張って行ってくれる人なら自分は誰よりも一歩先に、その人と一緒に、もっと輝ける。
そうしてくれる人は、やはり、
「そなちー・・・」
楚方が一番の理想であるということを、やはり思う。
凪沙や智恵理が羨ましい。
一歩踏み出そうとすれば慎重すぎる自分がためらう。
ただ、我慢はできなくなってきている。
自然と愛しあい、輝きを増す同期や先輩達を見ての焦りもあるし、羨ましさもある。だから、楚方と…ただ、そう見れば、楚方を利用しているだけではないのか。考えれば感情と理性が混ざり合い、それがいけないものではないのか?と、疑問を抱く。
考えすぎてしまう。
既に答えは出ていても踏み込むことが怖いからこそ、効率や、可能性、結局、自分の世界だけの妄想に過ぎない意味の無い計算、そんな物を考えて考えすぎた結果、一日、何もせず無駄に終わってしまう後悔。
しかし、いざというとき、強く出れないと言うのが人の背負った弱さと言う物なのだろう。そうして、勝手に感傷的になって自分で気づけば勝手に辛くなってくる。
バカなことしてしまったと、本質から本能が無理やり質問を摩り替えて他の考えでは無く、ただ、だべっているようにしか思えなくなる。それは、もう、本来、自分がどうしたいか解っているからだ。
人が元来、持ってしまった弱さと言うのが鈴子を捕えて離さない。
その牢獄から、これではいけないと常に前へと動いていた楚方を思い出す。考えて、いや、異常なまでに考えすぎて休暇と言う休暇を無駄に過ごしているうちに鈴子はリビングでため息をついていた。
既に、時計の針は12時近くに入りこもうとしている。
ただでさえ、0048メンバーの休日と言うのは希少なものだと言うのに。これでは一日中、寝ている暇で不規則な生活を送る人間と変わり無いではないかと、そんなことを考えるなら、気晴らしに自己レッスンでもすべきだった。頭の中に後悔という文字がのしかかる。朝6時から起きて、自分は、今まで、何をしていたのか。気づけば、そんな自分を笑うほどに12時の鐘が煩わしく自分をあざ笑うかのように聞こえた。
楚方を好きという安易な言葉だけでは包みこめるほどでは無い強大な思いに満ちている。
今、抱いているうちなら、それは癌にしかならず、自分にとってはプラスにすらならない。
恋愛禁止と過去には言われていたが、こういう物に囚われるからか。表面上の理由を見たが納得できるものでは無かったし、メンバー同士でも禁止と言うのも納得は出来ないが、片思いだけはOKとは言ったものの、今、こうして片思いするだけで集中できなくなると言う部分から考えれば納得がいくものがある。それと同時に、これが失恋となったら。そして、結ばれたとしても破綻すれば、何より、それから続く結晶という物を粉砕するという形になり、同時に精神的な脆弱さが表れ、アイドルと言う本業、それどころでは無くなる。
だが、そのリスクだけを考えて、今と言う状況を塗り替えられると言うのなら、弱さと言う強大な感情の波にでさえも逆らいたいと思う。
故に、いま、その恐れと言う名の鎖に囚われている場合ではない。
いや、肉体が、精神が、その理性の制御を受け付けなくなるほどに番いとなるであろう楚方を見つめて離さない。手でつかむのは濁った敗北では無く、クリアな世界。弱さと言う感情の牢獄から抜け出るために鈴子は立ち上がる。


気持ちなんて、直接ぶつけて伝えれば良い。
楚方は立ちあがった鈴子に出会った矢先に抱きついてきた。
身体を離し、お互いの顔を見つめあい、鈴子が考えていた言葉を紡ごうとした時には楚方が大きな声で鼓膜を破るほどの勢いで口を開き言葉を紡いだ。
「楚方、リンダのこと大好き!」
稚拙で飾り気は無いが、まっすぐだった。体当たりのようだ。しかし、勢いが強すぎて自分の伝えたいことすら忘れてしまう。
「楚方ね、リンダのことが必要だって、解ったの!今まで一緒にいるのが当たり前だと思ってたけど、それじゃダメだって!」
「私も、そなちーのことが必要です!」
楚方の真っ直ぐな言葉に後押しされて、それに釣られていたのと抱え込んでいた感情を吐き出すように、大した詩人的な言葉も全て吹っ飛び、大きく流されたような感じがしたが、気にせずに話が進められていく。これが、楚方なのだと。自身の考えていたことが矮小だと思えてきた。
楚方の、このペース、考え過ぎていた自分がバカらしくなってくる。これで良いのだ。これで。
「両想い!」
「両想いです!」
今度は高速で手を取りあう。
考えるのは性に会わない。
言葉を伝えれば、それで良いと結果が聞ければ、後は、OKならば、それで良しと。触れ合うことで確かなシンパシーを感じる。二つのキララが重なって、天を突きぬけ光の柱を形成し、昼に映される星空と一つになって散っていく。
そして、二人のいる空間に強い風が吹いた。
ミストラルのように猛々しく勇ましい風の中、自分達が立っていられると言うこと、その荒々しさに温もりを感じられるほどに風と言う物を掴み、一種の空を飛んでいるような気分にもなれた。
風が寮の中に入り込んでいる。
ラウンジのモノを全て吹き飛ばし、荒らすほどの強い風。
だが、その風に二人は微動だにすることなく、ありのまま、その風を受ける。
衣服が破け、生まれたままの姿で、その風を受けよとでも言うかのように、今度はラウンジまで光に包まれて、異空間にいることに気づく。風の吹く向こう側から二つの赤い光が近付いてくる。それは人の形を成したと思うと二人の目の前に止まり一瞬、見合った。
「あ…」
楚方が、ゆっくりと、自分たちに触れようとする赤い光に、未知のもの触れる好奇心を持った子供のように手を伸ばそうとしうたが、一瞬だけ鈴子を見た。その短絡的な考えがいけないのだと思っての判断だった。
大丈夫。
その筈だと、頷きながら記憶の中に無いデータをかなぐり捨てて、楚方に合わせて、鈴子もゆっくりと手を伸ばす。そこには未知のものに触れると言う恐怖もある。
だが、
「リンダと一緒なら…」
「そなちーと一緒なら…」
二人でなら。
これからは、二人で一緒なのだから。
炎のように熱く、触れたとき、その刹那の瞬間、痛みとも取れない電流が走ったような刺激が身体全体を通して魂をも支配し、自分の全てが生まれ変わったような気がした。支配される中で瞳はトランス状態に入ったかのように生気と呼ばれるものを失っていく。心臓の鼓動が速くなり、自分自身が肉体と言う枷から解き放たれたかのように。球体だった赤い光が自分たちに溶け込んでいく。
一つになるかのように。
楚方は鈴子、鈴子は楚方。互いの肉体が一度、遺伝子まで分解されるほどに肉体と言う物が維持できなくなり、一度、崩壊するが、新たな人の器が赤い球体と融合した二人の手によって再度構築される。
この空間限定で神となった二人が望む願いは、今一度、現世に戻ること。一瞬、振り向いたとき、人の魂が流星となって楚方と鈴子を導いた。元の世界に戻る中、キララが呼びよせたとでも言うかのように二人を包みこみ、これまでの、二人の一瞬でありながら永遠に近い出来事の意味であると教えたようだった。
そうして自覚する。
自分達は一人ずつならば片翼の鳥であると言うことを、二人で一つになることによって、やっと飛べるだけ鳥になるのではなく、二つの思念、二つの力がぶつかり合うことによって、それ以上の存在になれることを触れ合った瞬間に理解できた。
決して、全てにおいて二人が常に一つと言うわけではないが、それは二人で一人、センターノヴァ以上の存在になれることなのかもしれないと鈴子は考えた。
少女達の瑞々しい思いの前で、二人は異空間から、元の場所に帰される。
そこは、かつて凪沙が見ていたセンターノヴァ達が集まる世界なのかもしれない。
しかし、それを見ること、その領域に行くことこそが、ある意味0048としての始まりであり、AKB0048に所属する上で外せない必須な条件であると言えるのかもしれないと鈴子は一人頷いた。
記憶、そして、何故、二人同時なのか。記憶と言う名のエッジが二人の精神の中に刻み込まれ、そして、自分をベースのままに、新たな自分が生まれる中で、その真意を知る。二人、同時でなければ曖昧なままの襲名メンバーになるから。その絆の強さこそがジュリレナ…
二人一緒だから、何ものよりも強いのだ。
元より愛しあっていたオリジナルのメンバーが、愛しあう自分たちによく似た少女達と一つになるからこそ、その力は増幅されるピースは当てはまる。
かつて地球に人が住んでいた時代、二人で一人になって、それ以上の力を得るヒーローがいたように。
「そなちーと触れ合うだけで感じられる…」
「リンダも?楚方も楚方の中にリンダを感じるよ?」
そうして感じ合うのだ。
互いの中に互いの思念が感じ取れることに気づくから。
恋愛とは諸刃である。
純情、淫ら、憧れ、数々の思いが交錯し、その情報として与えられたもの、今まで抱いていた思いが知れ渡ったが故に二人が頬を紅くする。だが、今は痛みと言う物はない。むしろ、知れたが故の心地良さと言う物が包みこんでいた。今、この瞬間に精神で結ばれていると言うことが良く解る。だが、此処に一つでも悪情が入れば、それは崩れ去るだろう。
諸刃であるが、故に、ちゃんとした形として扱えば、これほど強いものは無い。
故に、メンバー同士の恋愛は全てにおける中で最強の輝きを発するのだと鈴子は自覚した。
特徴的なロールの入った髪が解かれる。
楚方は、これからパートナーとなる、その女の姿を見て美しいと感じた。
風が吹く。とどまることなく、それは自分たちに何かを伝えるようだった。革新、革命、二人で一人の鳥となった楚方と鈴子が輝き、そして、風を浴びるたびにキララの輝きが力強くなる。
そうして互いの心を知れてしまうが故の諸刃の思いは微笑ましくもあり、誰もが味わう痛みでもある。
この二人は1と1が足されても、2になるような単純な関係ではない。
「そなちー…」
「楚方はリンダと一緒にいるよ。」
瞳に失った生気が戻り、それが元の空間に戻ってきたという現実感を感じる。
風の寒さ、身体の暖かさ、人、いや生物が持つ特有の感覚を改めて感じ取ることによって元のラウンジにいる感覚が、それこそが現実に戻ってきたという証でもあった。
このまま、離れたら二度とないかもしれないと脳裏に過ったからこそ、二人は手を強く握りあった。ミストラルは鈴子の髪をストレートにする中で、確かな体な熱を帯びていることに気づく。
「松井玲奈…」
ふと、鈴子が、その名前を口にした。
運命的な出会いを果たしたかのようにだ。
「楚方、珠理奈が見えたよ。」
一瞬だった。
風が見せていた幻影なのか、その幻影を見た途端に二人の肉体に熱が帯びた。襲名熱など、そんな物も感じず、いや、事実、身体は熱くなってはいるが、それ以上に満ち足りてる気分が二人を、そして、ミストラルが熱を感じさせなくした。
己の中にある魂と言う物が、その風が自分の魂を進化させるかのように形を変えていく。
襲名するのだと言うことを二人の本能が悟った。それを実感できるのだ。肉体の熱と、心の中にある熱さと言う物が、それを伝えていく。
「楚方ね、リンダと一緒が一番良いの。」
「私もです。珠理奈…」
「玲奈…」
襲名したことを、いや、確かに自分達はなったのだと、今、此処にいる。
自分が自分のまま、そして、変わる。いや、進化する。襲名とは新たな自分に、自分のまま進化すると言うことなのだと言うことを知る。
光を浴びて、その時、全てを知った。
襲名とは、真実とは。
ジュリレナ・・・かつての二人が、そう呼ばれていたように。かつてのメンバーが自分たちを選んでくれたことに意味があるのだと。満たされていく感覚と言う物がある。
それと同時に高揚感も湧きあがる。悪くない、それは快楽と言っても良い。今すぐにでも、この肉体と言う殻から魂を開放したくなるほどの快感。
その身が軽くなったとさえ、そんな錯覚も覚える。何かの枷から解き放たれた。そんな、気分だった。
「玲奈…」
「はい。珠理奈。」
得られたものは二人だけの共有財産。
生まれたものは絶対的に強固な絆。
元より、二人が抱いていた思いがクロスして混ざり合い、それに共鳴したのが、かつてのオリジナルメンバー二人の魂。そうして、与えられたものを、今、感じているからこそ確かな感覚を身につけていた時、楚方は4代目松井珠理奈、鈴子は2代目松井玲奈として、今、此処にいる。
そっと、寄り添いあいながら、楚方が鈴子に身を委ねたとき、ミストラルが止んだ。
そして、今まで破壊されたものが全て物に戻る。ミストラルによって引き裂かれたい服まで。
しかし、時間が戻り、全てが戻った中で確かなものがある。この魂が、確かに二つの魂と同化した。
「リンダ、うぅん、玲奈は、これからその髪で行くの?」
「そうですね。後、私のことは今までリンダ…で、良いですよ。」
「うん…」
スペクタクルな体験をしたという実感が今になって湧いてくる。
今、自分の肉体の中に同化したかつてのオリジナルメンバーの魂が肉体の中に入っていると言うことも感じる。
肉体の内から感じる、その意思と力強さ。
「あ、そういえば、このことで忘れてたけど、楚方とリンダって、こいびとどーし・・・なんだよね?」
今さらという感じだが、それでも、気づけば、そういう物になっていると感じる。一回とはいえ、全ての精神、思考、何もかもを共有し合ったからこそ、その赤裸々な気持ちを知ったことによって無邪気な部分はなりを潜め、頬を紅く染めながら、ちらちらと覗きこむように尋ねて来た。
仕草を見れば、この少女の姿もキスやハグをするだけでは無い姓愛と言う領域と、その意味を知れば無邪気さがなりをひそめた少女らしい表情を楚方は見せる。恋愛と言う、その感情を知った乙女の顔は鈴子の心を掴んで離さない。それを、その意味を本格的に知る年齢になって思う。裸になって抱きあう行為に、どういう意味があるのかと言うのも楚方は知った。
そういう物を含んで意識してからなのか、それとも、鈴子の純真を受け取ったが故なのか、それとも鈴子の、その愛を受け止める覚悟があると言う表れなのか楚方が一瞬、鈴子の顔を見た瞬間、顔全体が赤くなり鈴子の胸に顔を埋めた。
自分と鈴子の鼓動が聞こえる。
その速さは楚方がどんなライブでも味わったことの無い興奮であると同時に、幸せと呼べるものを感じていた。これが好きな人と一緒になる感覚なのだと同時に高揚感をも味わっていた。
比較にならない二人だけの公演以上の体験し、生まれ変わったと言う感覚が二人の関係を前へと進めた。
「りんだ…になら、いいよ。」
顔を埋めながら聞こえてくる楚方の吐息交じりの甘い誘惑が鈴子の脳に響く。
今、空間が通常に戻った時、その奥にある本心のようなものは、此処まで密着しても互いに触れても思考の全ては読み取れない。だが、それでも、解ることがある。松井珠理奈を襲名した東雲楚方は、松井玲奈を襲名した神埼鈴子はお互いを愛していると。
今は感情のリンクは途絶えたが、その思いは結びあうことで体温を感じ合うだけで理解できる。
「リンダー、大好き。」
甘い告白と言う言葉。
いても経ってもいられなくなってきたのか、いや、鈴子は自分から前へと動く。
一度、楚方を離し視線を楚肩に合わせた。一瞬、驚きながらも、そのませた少女は一瞬で何をするのか理解したからこそ、目を閉じた。重ねあい感じとる暖かな少女の蕾の感触。そして、これから愛する人の柔らかさ。暖かく、優しく、自分を包みこんでくれるものだと楚方は知る。
快楽が徐々に上がり、楚方の頬も赤く染まる。それは鈴子も同じだった。共鳴するかのように甘く短い時間が無限の水面にいるかのような一種の無重力的な心地良さを感じさせた。
「りん…んぅっ…」
散らかってた部屋がキスによって確かな現実に戻り、そして時間が巻き戻るかのように最初の状態になる。だが、二人の全ては戻ること無く変わった。二人のオリジナルメンバーの魂を宿して。

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