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神無月の巫女の愛

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(2009/08/25)
Destiny of the Shrine Maiden

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言うまでもなく…
来栖川姫子

姫宮千歌音

誕生です!!!!!!!

おめでとうございます!!!!!!


二人きりになれない。
いや、それには語弊がある。
二人きりに離れるが時間が限りなく少ない。
仕事の影響で、色々とあるのだが、それ以上に疲れもあって姫子が気を使い、二人きりの時間が少なくなっていく。それでも、姫子に膝枕してもらうだけで良いのだが、しかし、そのまま眠ってしまうこともあってか、此処最近、思い出と言う物は全く作れていなかった。
ただ、こうして、一緒に寝る時間だけが千歌音の唯一の憩いの場とでも言うべきか。
正直に言えば、気を使わせてしまっている姫子に申し訳が無かった。
「千歌音ちゃん…」
悪夢、そんな物が人を苦しめる。
蛇が全身に巻きつくかのように人に苦しみを与えるもの。
心理的なトラウマが絶対的に安全な空間であろうとも、それを引き起こさせる。
姫宮財閥の妻として誰よりも気丈に振舞いながらも、本心は変わらない。
二人きりになった時は優しい姫子のまま。千歌音の愛する姫子のままで、本当の演じる必要の無い場所にいるときだけ、姫子の千歌音への呼び方が昔に戻る。芯は強いものの、まだまだ、昔から変わらない部分がある。
何かに囚われて、そして、一人で苦しんでいる。
克服しても強烈な恐怖の瞬間はしつこく、情動の神経回路に記憶としてくっきちと刻まれている。
かつての父との虐待の記憶。ギロチの存在。暴走したソウマ。許しているはずだった。自分の中では、何かを許しているはずだった。
しかし、この社交界に来て千歌音や自身を見る男たちの目の汚さに気付いたとき、再び、トラウマとしてかつての記憶が恐怖となりて蘇り、姫子に蛇のよう纏わりついて記憶から離れようとしない。
異変に気付いた千歌音が姫子に近づき強く抱きしめる。もう、悪夢は見なくて良い。悪夢は、そこにはない。それは夢。ただの夢。姫子に纏わりついた蛇を千歌音は必死に千の言葉で追い出そうとする。
何よりも、無事な千歌音の声が姫子の悪夢を吹き飛ばす。
一つ一つの千歌音の淡く熟れた唇から発せられる言葉が姫子を癒す。
「千歌音ちゃんを誰かに奪われるのは嫌…」
目覚めと同時に纏わりつく悪寒が姫子に襲いかかり、苦痛に歪んだ顔から安堵の顔に変わる。
千歌音の身体にある温もりに包まれて、姫子の柔肌に突き刺さったような蛇の牙の痛みが徐々に消えていく。恐怖で歪んでいた顔は徐々に平静を取り戻しながら悪夢、そんなものが顔から消えていく。
「もう、怖いのは無いのよ?姫子…」
「うん…ありがとう…」
でも、怖かった。
背中を突き刺すような痛みが姫子を襲う。
あのとき、あの場所に、姫子を連れていくべきでは無かったと千歌音は深く後悔した。
強がりながら
「私のことなら大丈夫だよ。」
と、告げる姿は、何処か痛々しい。
「千歌音ちゃんだって、色々と立場があるよね。妻なんだから、従わなきゃ。」
と、笑顔で言いながら、千歌音に従おうとする姿が蘇る。
こんなことになるのなら、拘束してでも、あのような場所に連れていくべきでは無かった。
千歌音自身、そういう社交場と言うもので出会う男や女たちの醜さと言う物は嫌と言うほど見てきた。あの欲望と醜悪な部分をコンクリートミキサーにぶちまけたような空間に幼いころから浸かっているような存在であり、故に嫌悪している千歌音は、既に慣れていたものの、純粋すぎる優しさを持った姫子には、それが刺激の強すぎる毒だった。
男であろうと、女であろうと何処にでも醜い夢と言う名の欲望を持った人間達が他者を蹴落とし、そして、自分達の関係を理解ようとすることすらせずに種を残そうと必死に迫ってくる男たちが姫子には酷く醜いものに見えた。
あのとき、二人だけでずっと社にいることができればと思えるほどに。
あしらい方を知っている千歌音には常日頃に近い出来事だったが、吐き気を催すほどに醜さを感じ取った姫子には地獄そのもに見えたことだろう。
「夢を見たの…千歌音ちゃんが誰かに奪われちゃうの…千歌音ちゃんは泣き叫んでいるのに、私、何も出来ないで…ずっと怖くて立ち竦んで…私も、好きでもない人に…」
見たくない夢。そんな物を見せてしまった自分に責任を持つ。
酷く自分と言う存在に後悔した。
「千歌音ちゃんのせいじゃないよ。私が、弱いから…」
「そんなことない!姫子のような子が、あんな場所に行けば、こうなるって解ってたはずなのに…私…」
連れて行った理由として、私の愛する人にはお前たちには無い純粋さがあるのだと自慢したかった。
後悔しても、後悔しきれるものではないのだ。
トラウマの再発の原因は、明らかに自分にある。
やつらを全員、この世界から消したとしても、そんな行動、狂気に駆り立てられそうになりながらも、そんなことをすれば姫子が悲しむから出来ない。
姫子が、そういうことを了承する人間であれば、どれほど楽なことか。
しかし、そんな心を盛っていない姫子を千歌音は愛したのだ。
その存在を許してはならないからこそ一緒に悲しみを共有することしかできない自分の弱さと姫子の優しさに苦しむ。
いっそのこと、自分を責めてくれれば、どれだけ楽になれることか。今まで、お互いに言いたいことは言いあってきた。
それでも、お互いに受け入れてきたからこそ、今、二人だけの家庭と言う物がある。
ただ、今回は姫子は自分にも非があると解っているからこそ、自分で何とかしようと胸に閉じ込めようとしている。ただ、するのであれば、これを覆すほどに、忘れさせるほどにまで楽しい思い出を姫子に与えるしかない。
何もかもを覆すような、そんな、楽しい思い出。
「私に…」
それが出来るのか。
不安になる。
この記憶は完全に無くならない。
また、何を切っ掛けで再発させるか解らない。
ただ、それ以上に…
「姫子、たくさん、良い思い出を作りましょう。」
恐れてどうすると言うのだ。
自分は、そういうのも支え合う覚悟で、姫子と結ばれたのではなかったのか。自分の中にある恐れを吹き飛ばし、姫子の手を取った。
「え…?」
「そんなことを忘れさせてあげるほど、私といっぱい思い出を作るの。だから、今日から旅に出ましょう。」
「でも…」
「仕事は、どこでだってできるわ。でも、今の姫子とたくさん、思い出を作るなら今しかないもの。」
「だって、そんなの…」
「私が、そうしたいの。今、姫子と一緒に思い出を作りたい。そんな、私の我がまま。ダメかしら?」
「だ、ダメじゃないよ?千歌音ちゃんがしたいなら…私。」
「なら、決まりね…」
これで、思い出も作れて、さらに、姫子の一種の精神的な病が直れば千歌音としては言うことはない。
それに、
「今日は、誕生日だもの。今日と言う日に、此処を経って、来年の今日、此処に戻ってくるの。素敵な思い出をいっぱい持って。」
「うん…千歌音ちゃん…あ…」
「此処は、始まりの地…姫子、旅立ちの前のキスを…」
千歌音の顔が姫子の顔に一気に近づき、姫子は受け入れるようにして目を閉じる。
いつもキスはしているはずなのに、何故、此処まで特別な日のキスは自分の中で高揚してしまうのか、よく解らなかった。
しかし、それでも悪くはないと千歌音の愛を目一杯、いや、身体全体で受け入れた。
全身と心で千歌音の姫子に対する純粋なる愛が伝わってくる。青の入った黒髪が姫子の視界を隠して自分の流せるだけの伝えられるだけの愛を送りこんだ。
キスをされて頬を紅くしながら、呆けている姫子を余所に一人、唇を指で触れながら一人、微笑む。
「絶対に姫子を幸せにする…それが出来るのは私だけだもの。楽しい思い出を作りましょう…姫子。」

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