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ACT-ⅩⅥ「取り合えず戦う。」

使いまわしイエー


「どうして・・・どうして・・・」

嫌でも、外から、情報というものは入ってくる。

その情報は、少女にとっては、残酷なものだ。

神の器、その、神自身であろうとも、子供であることには変わりない。

少女にとっては、恐怖。

生きていたという、感情は、すべて、全世界の敵として出てしまったことによって、消えてしまった。

最悪の、再会の形。

なにも、言う言葉はない。

なにも言う必要はない。

ただ、出てくるのは、何故という言葉だけ。

高町ヴィヴィオという少女の中で、高町なのは、フェイト・テスタロッサ・ハラオウンというのは、どういうものなのか、わからなくなってしまった。

もはや母のか、親なのか。

「殺されるの・・・?うぅん・・・殺さなきゃいけないの・・・?」













助けることは、出来るのだろうか。

そして、失敗したとき、最後の覚悟は消えなければならない。

せめて、せめて、それを行うのは、自らの手で・・・

自らの手で、行う。

そう、考えたはずなのに、体と心は、すべて、自分の考えを否定した。

それは、ヴィヴィオ自身、間違っていると、わかっていたからだ。

誰かが、殺してくれるのを、待つしかない。

全ては流れ始めた。

「間違った手段でも・・・」

目の前に最大の障壁があるのなら、犠牲は厭わない。

敢えて、鬼となることにしよう。

破壊鬼神として、目覚める。

その瞬間、彼は、本当に人ではなくなるだろう。

言葉通りの存在となる。

言葉通り。

小さなものを犠牲してでも、多くを救うことができるというのなら。

正義に絶対たる形は存在しない。

そこに、アリはしないのだ。

自分がやっていたことはなんだ。

鬼とは何だ。

自分のやるべきことは、いかなる犠牲を払ってでも、災厄を振り払う。

全てを、破壊することのできるほどの力。

破壊によって、生まれる創造を実現するのが、スサノオたる、自分の行うべきこと。

救える命は、

「周りに委ねればいい。俺は、破壊するだけだ・・・かな?」

完全なる破壊。

破壊。

破壊だけ。

スサノオは、再び、生まれ変わったというのだろうか。

生まれたてのスサノオは、破壊の化身。

「それを、委ねろとでも言うのか?」

目の前にいたのは、銀髪の女。

その奥にいるのは、ティアナ・ランスター・・・

「お前は?」

「覚えてはいないのかい?」

「あぁ。」

本来のすべき行為かに鎖をつけられ、それから衝動から、解き放たれる瞬間はどのようなものなのだろうか。

あの奥から、見た自分。

破壊という衝動。

容赦なく、敵を切る自分。

一瞬、躊躇いそうになった。

バラバの盾に使われた、人間たち。

しかし、二度目は、何をした。

破壊だ。

自分の行うことは、破壊だけでいい。

「でもさ、あんた見てると落ち着くよ。」

「そうか・・・」

時折、スサノオの浮かべる、無邪気な笑みに、銀髪の女・・・

ツクヨミは、それを言う。

「ここは・・・どういうことなの・・・?」

「俺の中だよ。浦島悠介っていう・・・人間の中。」

こうして、別の人間が入ることなど、無かったような気がした。

たぶん、障害で一人。

この中へと、誘ったのは。

ちょうど、ツクヨミに似ている女。

と、言うより、ツクヨミ。

「あんた・・・壊すだけなの・・・?」

「あぁ。それで、ティア・・・お前が助けてくれればいい。救える命ってやつ。と入ってみたものの、特に難も無いんだよな―・・・ま、目の前に敵がいれば・・・ね。」

とりあえず、言いたいことはある。

「もうさ・・・壊せるときに、全部、壊す。」

「そう・・・」

それが、

「スサノオのやり方なわけね。」

とはいえ、

「ほんの断片だけどね。思い出したことはさ。本当は思いつき。とりあえず、敵は潰すってことで。」

戦闘で、破壊行為を繰り出そうとするとは思えないほどに、無邪気な笑顔だった。

破壊という行動には、似つかない。

「ね・・・悠介・・・」

「んー?」

「瑠璃っていう子・・・ここに・・・」

「わかんない。」

月村瑠璃・・・

確かに、見たのは瑠璃だった。

一瞬の出来事だったが、瑠璃だった。

確かに、いた。

そして、自分は完全に忘れきっていないということを再認識した瞬間だった。

「そんなに言うなんてさ・・・好きだったん?」

「愛してた。」

同性として、すべてを許せる存在として。

「ま、いいや。何れ・・・ね・・・?」

「うん・・・思い出したらで良い・・・あの子のこと・・・」

あれほど、すべてを許した、人間はいないと、自分では思ってたつもりだった。

「まぁさ・・・とりあえず、どうにかするにも・・・あいつら、倒さなきゃ、ダメだろ?」

「わかってる。」

さぁ、戻ろう。

やつらと戦うために。

ミッドチルダに戻る・・・

そして、答えはやっぱり出ない。

「とはいえ・・・ヴィヴィオの母親を殺したときは、覚悟決めないとダメだよなぁ・・・」

「まぁ・・・ね・・・」












ミッドチルダに行ってみたい。

しかし、隣にいる愛する人を見れば、逆に行く気はなくなるし、何を言っているのだろうと、自分を馬鹿だと思ってしまった。

どの道、戻る手段もないというのに。

「リンディ・・・行っちゃやだぁ・・・」

子供のように、リンディ・ハラオウンに縋るのは、高町桃子。

高町なのはの母である。

ベビーベッドにいる、二人の子供に目を移した後に、リンディは桃子を一度、抱きしめた。

例の件が報告されてから、精神的に参っている、桃子は、リンディが隣にいなければ、発狂してしまう。

隣にいなければ、ならないのだ。

リンディの存在は、一種の精神安定剤なのだろう。

抱きしめられて安心したのか、桃子はリンディの服を涙で脱がしながら、その胸で埋もれ、安らかな寝息を立てて、眠っていた。

時間を見れば、既に、午後11時を回っている。

当然と言えば、当然か。

眠りについたのと同時に、階段を下りる音が聞こえてくる。

エイミィ・ハラオウン・・・会いたい人に会えない、女。

「桃子さん・・・大丈夫ですか・・・?」

二人の子供を寝かしつけて、この部屋に入り込んだ。

桃子の隣で見た心配そうな顔をしながら、リンディの隣にエイミィは腰を下ろした。

「なのはちゃん達が敵となって出てきたこと・・・相当、堪えているようですね・・・」

「当り前よ・・・母親だもの。」

夫が、向こうにいる。

全ての人間が、向こうにいるのだ。

戦闘員たちが。

リンディは、再び、新しく生まれた我が子に視線を送りながら、これまでのことを思い出していた。

巡洋艦が、全ての巡洋艦が消滅してしまったことを、思い出す。

ジェイル・スカリエッティ事件の最中に現れた、一つの超大型戦艦。

セブンスチャペルの一つ、エフェソス。

この詳細を、管理局にいる人間は誰も知らない。

管理局は、巨大な戦艦ととらえていた。

その超大型戦艦エフェソスは、突如、ミッドチルダ上空に現れ集結していた、巡洋艦を時空管理局の巡洋艦を破壊した。

差し出された戦力は、すべて破壊されてしまったのだ。

時空管理局本局に残された、僅かな時空航行用巡洋艦は、ほんの数隻。

数えるほどしか無かった。

セブンスチャペルの一つは、管理局が、全ての世界で最高の文明をもっているという奢りを見事に打ち砕き、戦慄を与えた。

さらには、レイディーンすら追いつめ、あと一歩のところで、破壊するという、戦闘力を、誇っていたものの、アマテラス、スサノオ、ツクヨミが単なる人造神が真なる神としたことによって、エフェソスを破壊。

レイディーンがいなければ、存在すらしていなかっただろう。

ミッドチルダという世界は。

この事態によって、全ての世界に派遣されていた、次元航行巡洋艦を全てを呼び戻した。

その中には、リンディ・ハラオウンも存在し、機動六課の今後を検討。

かなりの制限を付けられあものの、存続は許された。

リンディ・ハラオウンは、この会議が終わった後に、機動六課の全権を左遷させられた、クロノ・ハラオウンに一任し、鳴海市に帰還。

その帰還と言う真意には、高町桃子との間に子供ができたということである。

また、上の人間が、完全に怯え腰であったり、ここから、自分たちが生きることを画策するために、圧制を敷く・・・などといった、行為に、嫌気がさしてしまったともいえる。

軍人であるならば、受け入れなければならないが、リンディはそれを受け入れなかった。

「世界どうこうよりも、生まれてくる命の方が大事よ・・・」

既に、世を捨てたような発言。

彼女は、それを口にしたという。

クラウディアで帰還し、彼女を送った、クラウディアはそのまま、ミッドチルダへ帰還。

巡洋艦はあくまでも、本局配置。

と、言うことなのだろう。

自分の命が大事であると言える。

それでも、愛する桃子が隣にいればいいと思った。

生まれてくる、子供。

名前は、瑠奈とセレスという名前に決めた。

いざとなれば、どこへでも、上の連中が逃げるための。

しかし、バラバの襲来よりも前に、二つの白い光によって、全てが破壊されてしまった。

形など、残りはしない。

見たとき、それは、死を意味した。

望もうも、望まないも、破壊した人間の、その姿は、高町なのはであり、フェイト・テスタロッサ・ハラオウンである。

このことが分からなかったのは、人員全てが、この二人の手によって、殺されてしまったからである。

また、これによって、管理局は完全に、ほかの世界に逃げ込むことができなくなってしまった。

そして、完全なる戦闘の参戦。

後日、月村すずかの手によって、リンディ・ハラオウンと高町桃子・・・

いや、桃子・ハラオウンに、そのことが報告された。

ミッドチルダで最悪の形で、再会したと。

その日は、瑠奈、セレスの二人が子供を生み、報告を受けたのは、それから二週間後のことだった。

恐怖。

「っ・・・リンディ・・・嘘だよね・・・?嘘って、言ってよぉ・・・!!」

桃子は、この事実を受け止めることができなかった。

このような、事実を。

自分の子供が、最悪の敵として、再び現れたという真実を。

精神的に、追い詰められていた。

「大丈夫・・・向こうには、すずかさんや、はやてさんがいるわ・・・」

その、言葉には根拠など、存在しない。

「嫌だぁ・・・嫌だよぉ・・・」

精神が、狂い始める感覚を桃子が襲った。

瑠奈とセレス、人は、なのはの母ということもあり、魔力を持ち合わせている桃子に、もとより、フェイトやなのは以上の魔力を持っているリンディ。

二人から生まれた魔力は、テスタメントを除けば、その数値は、現職管理局の誰も、追いつけない最強ともいえる二人。

「この子たちは・・・だめよ・・・」

魔法に関わらせない。

そう、決めた。

如何に、優秀な力の持ち主と言えようともだ。

後に、その魔力値が時空管理局の中で、テスタメントを除けば、最も高い、数値をたたき出しても、彼女は、それを望まなかった。

リンディの批判になると、わかっていたが、人を殺す組織の中に、子供を置きたくなかった。

いずれ、人を殺す。

子供を人殺しにしたくなかったのだ。

また、なのはのような思いもさせたくなかった。

もう、子供が傷つく姿は、見たくなかった。

「わかってるわ。桃子。」

何れにしろ、戦場などに、出す気はなかった。

人殺しには、させたくない。如何なる、力を持とうともだ。

セレスとエリス。

この二人の歩む道が描かれるのは、また、先の話。

「この子たち・・・泣きませんね。」

「桃子が、いつも・・・泣いてるから・・・」

桃子は泣いている。

あの日からずっと。

今までの分も、全部、全部、泣いている。

ある種、不幸な女性なのかもしれない。

高町桃子というのは。

最初は、息子が人類の敵として立ちはだかり、12月は、その息子が娘を殺そうとして。

後の、なのはの重傷。

高町の人間には、決して埋めることのできない溝が生まれ、19の時に、突如の行方不明。

そして、望まぬ形で、娘が戻ってきた今。

高町士郎がいれば、溝を埋めることはできたのだろうか。

いや、高町士郎が溝を埋めることはできない。

この世界の燈也の母親を殺した、張本人を殺してしまった。

和解をしても、どの道、明るさは戻ってこない。

人の命、肉親を奪うというのは、そういうことだ。

「向こうの状況は、どうなんですか?」

「相当悪いみたい・・・クラナガンの5分の1が、えぐり取られたようだし・・・」

「えぐり取られた・・・・・・?」

「しかも、別世界のクロノや、死んだはずのティーダ・ランスターの復活・・・」

ここにきて、ティーダ・ランスターの復活。

並行世界から来た、クロノ。

高町なのは、フェイト・テスタロッサ・ハラオウンが、人類の・・・全ての世界の敵となった。

戦いにくい相手となるだろう。

それでも、

「月村燈也は・・・殺す・・・」

高町なのはも、フェイト・テスタロッサ・ハラオウンも、もう一人のクロノも。

しかし、ティーダ・ランスターは、だれも殺せない。














好きだったといえば、そうではない。

好きかどうかなんて、わからない。

好きだという感情は、自分がそう思っているという思い過ごしでもある。

その可能性があるということだ。

好意というもの。

人は好きだ。

好きだと、言うが、冷静になってみれば、本心では嫌っている部分が、数多くある。

冷静に考える人間はそこから、別れを切り出すパターンがある。

正直、好きではないのだから。

この暗い部屋にいる人間はどうだろう。

居場所がそこにあるというのはいいものだ。

だが、そのうち、離れたり、失ったりする。

ここにいる人間の場合はどうだろう。

そこにいる人間は、いきなり、全てを失った。

ふとしたことによる、緊急帰還。

そして、その本局に戻っている間に、全てを失った。

ただ、失ったという感覚は無い。

そこに、今でもいると思っている。

でも、本当はそこには居ない。

自分が愛していたかもしれない人が死んだ。

実力というのが足らなかったからじゃない。

もとから、そこにいけないからだ。

宇宙まで・・・

いけない。

離れられない。

ただ、怨もうとは思わない。

自分が愛し、愛してくれた人間が、そのようなことを望むとは思えないからだ。

愛している

「ドゥーエ・・・」

かつて、愛した人の名前。

そこは、与えられた人間の部屋。

そこにいる人間は美しく。

髪をなびかせて、ただただ、憂鬱気味に外を見ている。

失った人は、戻ってこない。

永久的に。

ただ、失ったのと、同時に帰ってくるかもしれないという、心情がある。

何故かは解らない。

あの愛するものを・・・もう一度。

もしかしたら、自分の中にいるあれの力を必要とするのかもしれない。

ただ、自分は、愛していた。

そこには、絶対的な自信と言う物がこの男の前のはあった。

「久しぶりね。クロノ。」

その部屋に入ってきた人間の気配を感じて、その人はそういった。

「・・・憐。」

クロノに話しかけたその人。

かなりの美貌を持っている。

「あら、随分と暗い言い方ね。」

そこにいる人。

その名前は憐。

かなりの美貌を持っている。

髪は後ろに束ねて、ポニーテールで全てではないが、一部を降ろしておしとやかな印象を与える。

着崩れなく陸士隊の制服を好んできている。

周りにいる女性たちは、憐に比べれば。

と、言いたいくらいである。

ちなみに、憐のファンというものも存在する。

この男と言う全てを知らなければ、管理局内に男女問わずに人気がある。

だが、本人にとっては迷惑なものでもある。

一度観れば、忘れない容姿であるのだから。

趣味で、そういう格好をしているわけではない。

ただ、こういう格好をしているから、そういうやからが集まってくる。

ただ、この格好をしなければ、落ち着かない。

そういう、やからが近づいてきた場合は

「うるさい」

その一言で返してきた。

しかし、それで、人気というのは衰えることを知らない。

人との関係は、せめて、クロノ達だけにしたい。

それだけで充分だった。

人と関わるのが苦手であるならば、そのようなものは邪魔でもある。

もともと、憐は何者であるのか。

憐、その人はクロノ・ハラオウンの親友であり、ドゥーエの仇討ちの際、全てを破壊しようとしたが、クロノ・ハラオウンに止められた男。

暗い、明かりの差し込む、ただ、本があるだけの牢獄の中で、彼はその本を置き、ようやくクロノに目を合わせた。

「お久しぶりね。」

憐、クロノとは同期である。

エイミイとも。

「あぁ・・・どれくらいだ?」

「さぁ?どうでも良いわ。食事は、運ばれてきたし。」

「そうか・・・」

「さて、なんのお話かしら?」

もとより、少しは、落ち着いた性格になったのかもしれない。

ジェイル・スカリエッティシリーズの欠陥は、性格。

野心など持たなければ、単純な駒として使用できる。

余りにも、人間に近い人間として、作られたこのシリーズは、あくなき欲求に、飽くなき戦闘意欲を与えられた。

ある物には莫大な知識と。

ある物には全ての最高の兵士達の戦闘力を。

そのまま、与えられた。

結果として、作られたものは、人間に近い、人間であり、それは、不安定なものだった。

結果として、ジェイル・スカリエッティは、反乱を起こし、憐・ヴィオラも影で、ジェイル・スカリエッティをサポートした。

高官の、殺人。

その真実を知っているのは、六課の一部の人間と、クロノ・ハラオウンだけ。

オーリス・ゲイズの中にあった、記憶が削除。

父の死の意味を知らずに、今を生きている。

もたらされた、アルハザードの技術は、戦闘機人や、ヴォルケンリッターより、人間らしい人間を作るというものだった。

持ち帰った、その管理局の士官は、上の人間に暗殺される。

その真意は、独占したかったからだ。

単純に、アルハザードの技術を独占したかった。

しかし、作ったものは、歪んだものだったということだ。

人を作る技術で、人の望むものは作れないということだろう。

結果的に、作ったものは、人間らしく、人に縛られずに、己の欲望のままに生きたということだ。

「お前を、釈放する。」

「勝手に、入れておいて・・・また、勝手に出すだなんて、ずいぶんと、いい加減な男ね。」

項を見せるように髪をかき分ける仕草をしながら、クロノを眺めた。

「お前は・・・」

皮肉なことではあるが。

与えられた能力は、上の人間が制御することのできなかった、持ちすぎた力。

元より、そのような技術で人を作るのは、神の行う技術であると言える。

どこまでやろうとも、人の力というものは、そこまでということだ。

歪んだものしか作れない。

それが、傲慢なまでに、神を気取ったかのように、スカリエッティシリーズ、戦闘機人、プロジェクトFの産物を作りだす。

人の力に限界があるというのは、人が、いかなる手段で人を作ろうとも、自分の望むものは作れない。

それを行うことができるのは、神のみであるということだ。

限界を超えてはならない。

人は、人であれば良い。

何故、それ以上の物を望んでしまうのか。

人の欲望は、嫌でも無限であるというなのだろう。

目標を達成しても、さらに、その上を超えたいと思ってしまうのが、人間だ。

それもひとえに、欲望であると言える。

「いえ・・・その気になったときに、戦場に戻りましょう。」

「そうか・・・」

オーディンとの戦いに敗北したのが、憐である。

確たる、自信というものがあった。

あの時は。

「さて・・・お話でもしましょうか?」

憐は、テーブルに腰を置き、クロノを眺めた。

先の台詞の言い方は、クロノをおちょくっているような、言い方だった。

「ふざけている場合じゃ・・・!」

「ほら、人が神のコピーを作って、北極か、南極が消滅する娯楽作品があったでしょ?」

クロノの言葉も聞かずに、憐はそのまま、話を続けた。

お話。

「あぁ・・・」

「今・・・人が、神を作ろうとしたら、どうなるかしら?」

「テスタメントのクローン・・・!」

「上の人間が、それを行おうとしていることは、知ってる?」

憐は、真剣な眼差しで、クロノ・ハラオウンを見た。

「その話・・・」

ここで、平気で話を切り出すことができるのは、盗聴器や、監視カメラ、全てを置いていない。

既に、管理局が、ここを管理していないからだ。

ここは、囚人を利用して、リサイクルレギオンのパイロットを作っていた、管理局の秘密工場の跡地と言ったところだ。

「嘘か誠は不明・・・でも、この状況を打破するために、そこまでする覚悟は・・・連中にもあるはず。」

「しかし・・・!」

「あったんでしょう?健康診断・・・」

「健康診断・・・?」

と、言う名の

「管理局の全ての組織の中にある、採血検査・・・」

その中には、燈也、ティアナ、瑠璃の血もある。

そして、

「テスタメントとして覚醒した、私の血もね・・・」

「血と言う、DNAの情報源から・・・それを作ることは、可能と言えるわ。」

とはいえ、

「向こうは、悪戦苦闘しているでしょうね。よほどの奇跡が無い限り、人間の力では不可能よ。」

「人間の力で、神の力を再現するのは不可能・・・と、言うことだな?」

「いや、一人だけ可能な人間がいた。」

別の声が、そこにはいる。

唯一、人工テスタメントを作り上げた男がいる。

ヒトのクローンを、テスタメント同等の力である、アンゲルスノイドを作り上げた男。

元より、アンゲルスノイドと言う言葉も、別世界からの言葉をそのまま、流用していたのだが。

「ジェイル・スカリエッティ・・・」

「あの男ね・・・」

かつて、一度だけの再生能力を使わなければ、勝利は不可能だった男が一人いた。

それこそ、人が造った神である。

人工テスタメント、人工アンゲルスノイド?

いや、どちらともとれる。

それは、燈也の遺伝子を使い、さらには、別世界で回収してきたアンゲルスノイドの遺伝子、また、ジェイル・スカリエッティ自身の遺伝子を結合させて生まれた、ハイブリット新生児。

アヤ・・・

アヤ・スカリエッティ。

管理局側にテスタメントがいなければ、ジェイル・スカリエッティに敗北していただろう。

しかも、アヤ・スカリエッティ一人にだ。

とはいえ、この出来事によって、本人は、プログラムされた、無限の欲望は消えてしまったらしいが。

「燈也・・・どうして、ここが・・・」

「クロノさんの行動を、俺が、知らないとでも?」

「いや・・・」

「お久しぶりです。憐さん。」

「久しぶりね。燈也?」

なのはとの間に、ある種の確執を作り上げたとはいえ、燈也はそれをしっているし、今でも、慕っている。

それでも、憐は、一瞬、燈也から顔をそむけた。

クロノは、それなりに、罪悪感を感じていると思っているかもしれないと思った。

そう感じたのは、自分の体に、愛した人を取り込んだからだろう。

しかし、そのあと、憐がいつものように、邪悪な笑みを浮かべている。

その顔を見て、反省など、していないと、先ほど考えたことを、訂正した。

「で・・・ジェイルの話だけど?」

「ジェイル・スカリエッティが動くとは思えませんけどね・・・」

「その根拠は?」

「一つは、彼の精神的な部分、そして、もう一つはそれを行ういほどのサンプルは、既に存在していない。」

後に、ジェイル・スカリエッティから渡された資料から、既に、アヤと同じような物を作るのは不可能。

育成するのに、10年間。

さらに、最高のサンプルは既に、アヤと完全に融合させたが故に、完全に消滅。

管理局側が、アンゲルスノイドのデータがあるわけでも無い。

とはいえ、テスタメントと言う、優秀な人材のクローンを製作するというのなら、それは、それで、強敵となりうるかもしれないが。

「理想として・・・あれほどまでのサンプルが無ければ、製作は不可能でしょう。」

もっとも、あれの場合は、アヤの場合は、複製と呼べるものであるかも知れないが。

しかし、あの能力は、確かに、テスタメントであり、アンゲルスノイドと呼べるものだった。

かつての部下であり、高町なのはの教え子と一対一の決闘をさせ、全て勝利したもの達を、無傷で撃退させた。

ティアナ・ランスターを圧倒した、その強さに、エースオブエースの二人、ヴィータを圧倒したことは、管理局を震撼させた。

その程度の敵として、戦場に出れば、敵とダンスして、殺される程度の実力と、なのはの教え子たちは、そのような烙印を付けられた。

その教え子たちは、アヤとの戦いによって、全員死亡。

傷一つ、おわせることすら、出来やしなかった。

むろん、高町なのはも、傷を負わせることなど、出来なかったのだが。

そして、当夜の教え子は、ダン、マルスの二人を残して、死亡。

さらに、テスタメントとして覚醒した、ティアナ・ランスターを圧倒。

カグツチを、一撃で撃破。

さらに、燈也と死闘を繰り広げた。

「スサノオは、戦ったのかしら?」

「えぇ・・・この前、敗北しましたけどね。」

「巨大な力・・・あいつね。」

感じた力は、強大な力。

「そうか。」

そして、

「そろそろ、俺たちの力を、解放する時では?」

「おい・・・!」

本格的に、テスタメントとしての力を解放しなければ、勝利することはできないだろう。

そうでなければ、明日すら、人一人を救うことなど、出来はしない。













バラバ等の襲来から、一夜開けた、ミッドチルダ。

消滅させた、ミッドチルダの五分の一に、生存者は無し。

本当に消滅したという事なのだろう。

ぱっくりと、飲み込まれてしまったかのように、そこには、巨大なクレーターが出来上がっていた。

スターライトブレイカーとは、比にならないほどの、小さすぎた、魔力球。

「生存者は無し。」

はやては、その報告を受け取った。

「お疲れ様・・・もう、寝てええよ・・・」

「了解。」

マルスは、ただ、はやてを見下すような目線を送りながら頷き、ダンは無口にうなづいて、そのまま消えた。

反時空管理局組織のことなど、バラバに比べれば、本当に些細なことであったのかもしれない。

人が人であるのなら、まだ、可愛い方だった。

表されるのは、恐怖。

事実上、裏切り行為と見てとれる二人のエースオブエースや、さらに、もう一人のクロノことクロノ・ハーヴェイ、死亡したはずのティーダ・ランスターや、バラバの絶対的な力。

かつての、闇の書、プレシア攻防戦、アヤ・スカリエッティとの戦いで自ら気を失うことのなかった、月村燈也が初めて相手の攻撃によって、気を失い、さらに、一撃で倒されたということ。

未覚醒であったとスサノオの攻撃など、無傷で耐え、さらに、本人の専用の武器である達を抜くどころか、その素振りさえ見せなかった。

圧倒的なまでの力を見せつけられても、管理局としては、それすらも持ちすぎた力でありながら、結果として敗北を招いた。

上記のことによって、人は、絶望を悟る。

選別という名の行為によって、人が人と思えないほどに醜い形となって、破壊される。

人ではない扱いのように。

あのようなものを見せつけられたとき、はやては、自分自身がこの戦いに不要なものであると思ってしまう。

「何もかも・・・」

「何もできない・・・」

すずかが、部屋に入り込む。

何もできない。

なにも、出来なくなってしまっている。

何かをしようとすれば、殺される。

「すずかちゃん・・・イクスや、ほかの皆は・・・?」

「イクスは、眠りについたわ・・・あの子が言うには、一般的な眠りと同じみたいだけどね。キャロちゃんは、義手義足の生活を送ることになるみたい。燈也は完全完治・・・」

そして、

「悠介君・・・完全に、傷がふさがったわ。なにも、無かったように。既に、意識も取り戻した。」

「そうか・・・」

はやての気分は複雑だった。

キャロの義手義足化・・・

死んでいないとはいえ、部隊員の一人をそのような状態にしてしまったことを、はやては悔やんだ。

「それじゃ・・・はやてちゃん・・・」

「ん・・・ありがとう。すずかちゃん。」

望もうが、望まないが、どの道、最悪の形で、今回は管理局全体が、敗北というものを味わった。

勝ち続けている組織には、いい薬であるともいえるが。

すずかは、そのまま、部屋を出て行き、かわるがわるに、悠介とティアナが、その中に入ってきた。

一応、傷もすべて回復した故に、報告しに来たということだ。

眠る中で見た、人の死を恐れた、自分の戦い方。

「さぁて・・・今度は、狩る側だよな?」

「そうね・・・やらなきゃ、私たちに待っているのは、死だけ・・・」

そこには、昔の自分を思い出した、スサノオの姿があり。

どこか、外見的に変わった様子はない。

「まぁ・・・そうやな。」

「あんたは、辛くない・・・わけないか。」

「まぁなぁ・・・そりゃ、辛くない方がおかしいわ。」

「そっか。」

「悠介の場合は・・・つらくないんか?間違って、殺せば、ヴィヴィオに恨まれるかもしれないんやで?」

「別に。取り合えず、信念とか、正義とか、そう言う柄じゃないですしね。戦いますよ。犠牲もやむ無ってことで。」

小数を犠牲にして、大を救う覚悟など、間違ったとしても、それを行うことはできる。

ヴィヴィオに恨まれたとしても、

「そのヴィヴィオは?」

「ひきこもってますよ。部屋の中で。」

相当きていることが、わかる。

引きこもっている間にきて、敵を殺す。

高町なのはも、フェイト・テスタロッサも。

あの中で見たものは、かつての自分。

人が死ぬことを恐れていた。

目の前で、人が死ぬことを恐れていた。

かつての自分の姿。

しかし、今は、間違いを犯してでも、人を助けなければならない。

ただ、自分に、そう言い聞かせていた。

目覚めてからの結論。

「で・・・あれに勝てる自信はあるんか?」

「バラバ・・・ですか?」

「そうや・・・」

管理局全体に、恐怖という印象を与えた、バラバ。

その姿は、破壊神に見えたことだろう。破壊を救済と見る者もいるように。

「無理。今は・・・それで・・・実際、本局は、どうなってるんです?」

「あぁー・・・機能してないわ・・・依然として、時空管理局は何もしていない。ただ、静けさがあるのみ。」

退路は、既に断たれたと言った方がいいが。

「逃げる準備ですかね?」

「そうやろな・・・実際、もう、逃げるしかあらへんもん。」

逃げる場所は、もう、ここしかないが。

ミッドチルダと言う、限りなく小さい世界でしか、逃げる道は存在しない。

「ま、今度・・・死にそうになったら、逃げます。」

そして、戦う時は犠牲を出してでも、敵は殺す。

それで、脅威が去るのならば。

あえて、鬼になる。

鬼になる、覚悟はある。

「とりあえずや・・・私は、敵になることはできへん・・・」

「ヴィヴィオの母親であるのと同時に、あんたの親友だから?」

悠介の中に、そのような感情はない。

ヴィヴィオの母親というものを、よく知らないからというのもあるが、それ以上に、どこか、気に入らないものがあった。

ただ、この組織の中で、殺すことができるのは自分だけのような気がした。

時空管理局・・・

いや、機動六課の中で。

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