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ACT-ⅩⅢ「選別」

ま、単なる人殺しよね・・・


ユーノ・スクライアは死亡。

浦島悠介によって、脳天を貫かれて、全ての体を食いつぶされ、この世を去り、腐食していた遺体は、フェイト・テスタロッサ・ハラオウンと、高町なのはによって、破壊された。

また、高町なのはの出現と同時に、全世界に、この光景がモニターされた。

ヴィヴィオと同じ部屋にいた、アイナ・トライトンはヴィヴィオが、戻る前に、この部屋のモニター機能を消した。

最善の行動だったとでも言えるだろう。

「なんやねん・・・まさか、こうなることは、ある程度予想していたけど・・・もう一人のクロノくんに、ティーダ・ランスターやてぇ・・・!?」

クロノ・ハーヴェイや、ティーダ・ランスターまでは、予想外だったと言えるだろう。

まさか、そのようなものが現れるとは思ってもいなかったからだ。

「ユーノ・スクライアは、犯人と確定・・・そうなんや・・・燈也君・・・ま、いまは、どうでもええけどな・・・」

殺人者の死亡より、目の前の出来事と言った方がいいだろう。

世界的殺人者は、目の前にある、インパクトに敗北してしまったということだ。

一応の燈也の報告を受けた時、その光景より、目の前のことに集中してしまう。

死人が、蘇ったり、行方不明になった、あの二人まで戻って来たのだから。

さらに、目的は、この世界の破壊といったものだ。

笑いしか出ない。

冗談を言っているようにしか、思えなかった。

「なんやねん・・・」

頭を押さえながら、モニター越しの光景に舌を打った。

ここで、破壊するのか、全てを終わらせてしまうのか。

「ヴィヴィオに、こんなもん、見せたら、あかんよ!?」

「解ってます・・・!!」

映し出される、浦島悠介や、高町なのは、フェイト・テスタロッサ・ハラオウン等。

上空にいる、なのは等4人は、白いバリアジャケットを身に纏い、まるで、クロノや悠介達が、悪のように見える。

「ヴィヴィオの方は、既に、アイナさんが、動いてくれました!!」

「よし・・・こんなん、見せられるかい・・・」
















悠介の制止を聞かずに、キャロは、漆黒のフリードにまたがり、突撃する。

悠介が止めようとしていた時には、すでに、飛翔している。

「あんたたちが、早く帰ってきていればさぁぁぁぁぁ!!!!!」

漆黒に染まった、フリードに乗りながら、再び、残虐な眼つきに戻り、キャロは、喜ぶのではなく、咆哮を上げ怒りの叫びを上げる。

鉈となった、ストラーダを持ち、突撃する。

悠介が、舌を打った瞬間には、鮮血が、悠介の体に降り注いでいた。

「ぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!!」


悲鳴と共に、アクセルシューターが鬼火のように消え、悠介限定かと思われていた、鮮血の雨は、周りにも降り注ぎ、辺りが血の色で染まりそうだった。

それと同時に、漆黒の竜が、翼を捥がれ、頭部を失い、落ち、さらに、竜の中にある内臓と呼べる内臓は、全て、消滅した。

落ちた先決は、竜の中にある内臓と、キャロの失った腕と脚の部分から流れてきた。

キャロが右足と左腕を失ったまま、落ちてきた。

おそらく、アクセルシューターによって、食いちぎられたのだろう。

そして、飲み込まれ、消滅してしまった。

堕ちてきた、キャロを悠介は、両腕でキャッチした。

左腕は、右から下が、存在していない。

肩から、持っていかれた方が、まだ、良いと思ってしまった。

ぼたぼたと、鮮血が止まることはない。

そして、左腕は、太ももの、下半分が切り落とされてしまっている。

口から、泡を吐いて、目は、白目をむいている。

それでも、心臓が動いているというのは、まだ、生きているという証。

この状況を受け入れた時、彼女の瞳は、また、何を映してしまうのだろうか。

「殺す相手は・・・殺すって訳だね。」

燈也は、その、状態のキャロを見て、一瞬でも、気の毒だと思ってしまった。

「ティーダ・・・負傷者をここから、離脱させることくらいは、許されるのだろう?」

「あぁ。あ、燈也。言っておくよ。僕らも殺素と解っている相手に、むざむざ斬られるわけにはいかないんだ。じゃ、速く彼女を送りな。」

答えは、受け取った。

「すずか・・・頼んだよ。イクスも、ママと行くんだ。良いね?」

「嫌です・・・お父様は、震えています・・・!私が、せめて、私が一緒に・・・」

燈也に隠されていた、イクスヴェリアは、燈也の不安を感じ取ることができた。

無理をしているようにも見える。

イクスに向ける笑みも、迷いがあるかのように、首を傾げて、笑っていた。

「ダメだ。お前は、行け・・・僕と、すずかの希望なのだからね。すずか!!イクスを!!」

燈也は、イクスの顔を、見ないように、イクスの言葉を遮るかのように、声を大にして、すずかに指示を送り出す。

ここで、死ぬかもしれないような、殺気が近づいているというのに、子供を出すわけにはいかない。

「すずか!!!」

愛する女の名前を叫び、キャロを抱き、一応の、止血処理をした後に、フリードは、キャロを運び、ここから離脱した

「えぇ・・・」

すずかの動きを見た後に、イクスを抱え、この場から、離脱しようとするが、イクスが、それを講義した。

「離して!!お母様!!そんなこと、お父様を見捨てるつもりですか!?」

イクスの叫びを受け入れながら、すずかは、優しくイクスを抱きしめた。

「大丈夫よ。お父様を信じましょう。私と、あなたのお父さんは、強いのだから。」

優しいすずかの言葉に、イクスは頷くしかなかった。

月が満ちる時、蒼い光が、夜を照らす都市を駆け抜ける時、すずかの体の中に異様なまでの寒気を感じ、恐怖を覚えてしまった。

何か、危険なものが来る。

それを、イクスも感じ取ったのだろう。

子供が、風邪をひいた時に起こる寒気ではない。

異様なまでの震えが、イクスを恐怖へ導いた。

「さぁて・・・ここで、俺たちの回答次第によっては、この世界は破壊するのかな?」

燈也は、大胆な質問をしたとは思えなかった。

おそらく、嘘ではないだろう。

世界を破壊する

などと、言ったような出来事は。

やろうと思えば、それらを破壊するほどの、力とて、発動させることくらいは、可能だろう。

「マジかよ・・・」

悠介は、それを聞いて、率直な感想を言う。

「マ・・・必然に近いことなのかもね・・・」

「いや、まだ、選別が終わっていない。僕たちは、それを行わない。」

選別・・・

「どーいう、ことさ。まさか、人選んで、この後、生きるに相応しいか、死ぬのが相応しいかって、決めるわけ?」

「そうだよ。」

「さらっと言いやがった・・・」

「浦島悠介・・・我がある時が呼んでいる。君も、来るべきだ。」

「俺は、お前の主を知らない。」

「そうか。記憶にない…か。」

それよか、面識自体、ないと思っていた。

この連中が言う、主とかいう連中と。

「覚えていないのも・・・無理はない。記憶は、無いのだからね。あの頃の記憶は、消えてしまったのだから。」

耳に、鼓膜の中に入り込む、一見、優しい声が入った瞬間に、威圧感が、悠介達を襲う。

悠介だけでなく、燈也達も、戦意を喪失する。

展開していた、デバイスを自然と、待機状態に戻してしまう。

こいつとは、戦っちゃいけない。

この声の持ち主とは、戦ってはいけないと、本能が、訴えていた。

なのは、フェイト、クロノ・ハーヴェイ、そして、ティーダ・ランスターと比べても、比較にならないほどの強さを持った男と言える。

優しさの中にある、強さというものを、具現化したというのなら、まさに、この男だろうか。

冷静でなければ、自分を守るという欲求が、目の前に出過ぎていて、気づけば、デバイスを持って、立ち向かい、気づけば、斬られている。

ある種、先ほどのキャロであれば、これから現れる、男に挑んでいたところだろう。

魔法陣が夜空に輝くのと同時に、聞こえる、不可思議な声を聞いた時、悠介の体が、恐怖で震えた。

これ以上に無いほどの、恐怖を覚えたのは、この世界に来て、初めてのことだった。

魔法陣から、その姿を現したとき、この男の瞳は、純粋だと、思った。

えらく純粋で、この状況において、なぜ、そこまで純粋になれるというのか、一種の疑問すら覚えてしまった。

この純粋さから、燈也は、血の気が引くほどの、恐怖を覚える。

とても、勝てる気がしないとまで、思った。

本能の、闘ってはいけないという言葉が、冷静さを保たせてくれていた。

「私は、バラバ。かつて、主の代わりに恩赦を受けた物。」

「主じゃない訳ね・・・ここまで、恐がらせておいて・・・燈也さん、全力で、あれと当たった場合、倒せそう?」

この男が、主ではないのだとしたら、どれだけ、主と呼ばれている男は、強いのだろうか。

主と呼ばれている男は、どれほどの強さなのか、想像することすら、出来なくなるほど、頭痛が襲う。

恐怖が、理解することのできないほどの、気持ち悪さとなって、襲う。

「すずかと一緒でも・・・無理だろう。」

燈也は、おそらく、ティーダ・ランスターと互角と言ったところだろうか。

悠介は、燈也が、この世界で、ミッドチルダで一番強い人間であると、確信することができた。

しかし、先ほどの言葉を聞いたとおり、あの言葉に嘘はないと思った。

「それにバラバって・・・過越し祭のたびの慣例となっていた罪人の恩赦で、釈放されちまった、奴じゃん・・・」

「そう。よく、知っているね。」

足がすくむ。

自然と、魔法と呼ばれるものも、解除され、まだ、あの戦いで破壊されていないビルの屋上の上に、両足をつけ、そのまま、座り込む。

「賢明な判断だ。」

「ウルトラマンかよ・・・」

瞬時に、そのような言葉が、悠介の口から出た。

ある種、そのような言葉が似合うような存在であるといえるかもしれないが。

「彼の場合は、守るのではなく・・・破壊だけどね・・・」

「その通りだ。私に、彼の物の名前はふさわしくない。彼等は我等のように、人を殺したりはしない。」

自覚は、しているのか、そこら辺は、感心した悠介がいた。

それでも、この男と戦う気にはなれないが。

「我々は、迎えに来たのだ。」

「迎えに・・・?」

「浦島悠介、ティアナ・ランスター、トウヤ・テスタロッサ、月村すずか・・・我等の家族よ。」

「・・・!」

「テスタロッサ・・・?」

久々に、自分の名前をテスタロッサで呼ぶ人間が、目の前に現れ、燈也は、驚かずにはいられなかった。

さらに、悠介、すずか、ティアナ。

「僕のもう一つの名字だよ・・・ママの・・・」

あぁ、マザコンなのかと、悠介は、燈也の人間らしい部分を、今、垣間見ることができた。

「家族って・・・」

「同じではないか。かつて、神滅大戦のときの血を・・・我等は、持っている。そして、選別は始まる。」

「何で、選別するんだよ・・・」

体全体が、動かなくなっていた。

何かに、拘束されたかのように。

威圧感という名のバインドが、悠介を含む、全てのメンバーにかかっていた。

あの男がいなければ、まだ、なのはやフェイトは、相打ち覚悟で倒せたかもしれないが、あの男の発する力だ。

相内覚悟で、殺そうとすれば、逆に殺されると思ってしまった。

「汚れたから。」

「何がだよ・・・」

「人の心。」

恥ずかしげもなく、よく言うと、舌を打ちながら、悠介は思った。

「人は、人であれば良い。人は、力を持ちすぎた。」

力を持ちすぎた人間というのは、

「リンカーコア・・・地上の生物を死滅させるほどの兵器・・・いらないものだとは思わないか?」

「そのために・・・!!僕たちは、質量兵器は、封じた!!」

クロノは、声を荒げて言う。

ミッドチルダは、間違いを犯したとは思っていない。

この世界にいることを、誇りに思っていると言った方がいいだろう。

「アルカンシェル、デバイスを開発した君たちは?」

「あれは、平和のために・・・!!」

「クロノさん、平和のためといっても、所詮は、人殺しの兵器に過ぎないんだよ。」

諭すように、悠介は、クロノに言い聞かせる。

「大義名分のもとーって、奴で・・・そうですよね?燈也さん。」

「あぁ。アルカンシェルも、デバイスも、いくら人のためとはいえ、平和維持のためとはいえ…人殺しの兵器には変わりない。」

従来のデバイスは、守るためという名目の、攻撃するための兵器。

「ママは、それが嫌いだった。だから、ネクサスは、殺すための兵器・・・」

聞かされたことがあった。

あの、闇の書事件が終了した後に、プレシアから、聞かされた、ネクサスの意味。

「そうだね。ネクサスは、殺傷能力を高くしすぎた兵器と言える。アンファンス、ジュネッス、そして、ノア・・・1を犠牲にして、100を救う。それに似た、物だよ。」

「さて・・・そろそろ、終わらせようか?回答を聞こう。」

このまま、冷静に考えれば、このミッドチルダを棄て、彼らのいる場所へと行くのが、得策と考えても良いかもしれない。

バラバには、全員が立ち向かったとしても、勝利することはできないのだから。

「ごめん…もう一つ、良いかな・・・?」

「何か?」

「あんた達の選別に選ばれなかった人間は・・・?」

「殺す。」

「これも、さらっというね・・・」

ウルトラマンとは、確かに違う。

悠介は、心の中で思った。

この世界を破壊する前に、人を選ぶ。

どのような、基準で選ばれるのか、そのような物はわかったものではない。

迎え撃つことは、不可能。

この男に対抗することも、不可能。

「ハラオウン執務官、高町教導員・・・ふふふ・・・さぁ、こっちへ戻って来い!!」

この静寂を撃ち破るほどの、気合だけは一人前である、声が、聞こえてくる。

「バカはほうっておけ・・・」

下心丸出しの男を助ける気には、なれなかった。

二人のファンというより、自分の脳内彼女と思っているのだろう。

「馬鹿か・・・この人たちに、立ち向かえば、どうなるか分かっているはずだ・・・」

殺意は、男の前に向けている。

バラバに向かって、砲撃戦用のインテリジェントデバイスを構えた、先ほどの魔導師にあわせるように、わらわらとゴキブリのように時空管理局の魔導師たちがわいて来た。

「おやおや・・・ずいぶんと、歓迎されているようだ。」

バラバは、そのような状況であろうとも、恐ろしいほど冷静だった。















「はやて!!私達も行こう!!」

「あかん・・・クロノ君から、この席を任されている以上、六課のメンバーをあそこに行かせるわけにはいかんのや。」

あの男の危険性は、燈也達が、あのような行動をとった時点で分かっていた。

このまま、仮に、あの人間たちに、攻撃すれば、どうなるかくらいは。

「はやて!!なのはや、フェイトが、目の前に・・・!!」

失った仲間が、目の前にいるというのに、助けに行くことを許さない、自分の主。

ヴィータの居た堪れない気持は、はやてを懇願させる。

自分の仲間の前だと、冷静さを失ってしまう。

彼女の中にあるのは、燈也達も助け、なのは達も助けたい。

「止めろ・・・ヴィータ・・・主はやて、あなたの言いたいことはわかります。しかし・・・」

シグナムとて、目の前にいる、はやての意見に、完全に賛成している訳ではなかった。

やはり、可能性というものがあるのではないのだろうかと思う。

しかし、はやてにしてみれば、可能性なんて、完全に0と見たのだ。

「許可は、ださへん。」

「はやてぇ・・・」

甘い声を出しても、はやては、頑として認めなかった。

燈也達を助けたいと思うのは、はやても同じだ。

しかし、この状況で、助けに行くということは、自殺するのと同じものと見た。

行ってはならない。

「ヴィータ、殺されたいんか?」

どすの利いた声で、はやては、ヴィータに最後通告を出した。

今までに見たことのない、はやてに、シグナムとヴィータは困惑する。

いつもは、温厚で優しいはずのはやてが、全く違うものになったからだ。

はやてが、自分たちのことを思っているのは解っている。

それでも、目の前にいる、はやてが、別人だと思ってしまうのには、無理はなかった。

冷たいのだ。

氷で包まれたかのように、はやては冷たいと、目頭が熱くなりながら、ヴィータは、責めることはできなかった。

今、一番、あの二人や、あの現場に行って、助けたいのは、はやてであると、解ったからだった。

はやての体が、震えているのが解る。

この姿勢を貫かなければ、自分こそ無謀なことをしそうだと、解っていた。

「シャーリー、救出任務は、うちでは、行わへん・・・ナンバーズや、スバル達も、徹底させて・・・」

「しかし、それは!!」

「燈也君からの命令や!!!ええな!?」

声を荒げるのは、自分の心にうそをついている。

本当は、助けたい。

だが、どうなるか解っている。

「はい・・・」

行けば、確実に、殺されるのはわかっている。

しかし、このまま、彼等が、投降しても、しなくても、同じ道を辿ることも分かっている。

「どないすればええんや・・・!!」

舌打ちする回数が増えていく。

自分に苛立ち、何もできない存在であるということに、怒りを覚えている。

戦うのであれば、彼らと言う、テスタメントの戦力は必要であり、選別と言う行動が行われる前に、絶対に、何とかしなければならない。

彼らの救出は、必死。

しかし、救出に出た、人間たちは

「がっ・・・」

バラバと言う男によって、全員死亡。

温厚そうな顔立ちでありながら、主の為になら、殺すことなど厭わない人間。

しかし、何をしたのか分からなかった。

ただ、睨んだだけで、人の肉体は、ぶくぶくと肥大化し、爆発した。

『アレ等は・・・我等が理想郷に来るべきではない。』

はやては、その力に、自分が叶わないことを実感した。

睨んだだけで、睨んだだけで、そのような事態となる。

許されることなら、この世界から、逃げ出したい。

ミッドチルダから、抜け出したいと思ってしまう。

血の気が、引いた。














「なんやの・・・あの男・・・人間やない・・・今の力は!?」

「た、確かに・・・モニターの向こうの男から、魔力を感じていますが・・・」

そのような魔術は聞いたこともない。

いや、この世界、ミッドチルダ式、ベルカ式にも、そのようなものは存在していない。

「未知の力・・・」

この世に、ミッドチルダ式とベルカ式以外は無いとは思っていなかったが、それを見てしまうのは、恐怖である。

未知にして、強大、そして、恐怖。

「なんやの・・・あれ・・・」

逃げることが、できない。

選別と呼べる行動は、この男は、どれほどしてきたのだろうか。

世界が消えたという報告は、今までにない。

おそらく、これが、初めてと言って欲しいと思った。

しかし、そうじゃないだろう。

簡単に、人を選別し、アレは、違うと簡単に識別する。

慣れているということなのだろう。

如何なる人が選ばれるのか、どのような人間が、不適格と言える存在なのか。

神が、人を裁くように、この者達は、神と同じ権限を持っていると良いだろう。

では、燈也達が、あのような醜い殺し方をされないのはなぜか。

「選ばれた…?」

彼ら、全員が、選ばれた。

そして、月村すずかも。

共通していることと言うのは、テスタメントであるということ。

クロノは、未覚醒ではあるが、それと同じ種族であるということは、すでに瑠璃から聞いている。

「とにかく、行かれたら・・・ここで、終わりか・・・」

対抗できるのは、もう、テスタメントか、それ以上のものだけということだ。

「八神部隊長・・・」

「ナンバーズも待機と言ったはずやで?」

「しかし!!」

「ええか!?此処で、馬鹿みたいに動いてみぃや!?さっきの、局員みたいになりたいか!?」

臓器と呼ばれるものが、体内で異常なまでに膨れ上がり、耐え切れなくなり、爆発し、死に至る物。

ただ、あの光景を見ていることしか、できなかった。
















「私が、会いたい者に会えたのも、何かの縁だ。選別というものを、君たちに見せよう。」

地獄を、その目で見るような気分だった。

その言葉を聴いたとき、脳裏に嫌なものが、リアルに、悠介達の中で再生される。

「やめろ・・・」

悠介が唾を飲みながら、逆らうことを無駄と解っていながらも、揺れる瞳は、バラバを見つめ口を開き、バラバにやめろと告げる。

しかし、バラバは躊躇することなく、その場に、如何なる手段か解らないが、人を呼び出した。

複数人、管理局の人間、そして、中年の柄の悪そうな男、10人の子供、カトリックの修道女、また、神父が一人だった。

「お前は・・・!!」

「浦島悠介・・・君には、解らないのかい?あの男は、女のために、何をしたかわかっているだろう?」

「解っているが・・・!!しかし・・・あんたのやっていることは!!」

バラバが選んだのは修道女、子供達だけだった。

「この中に、あの男と同じ念を持っているものがいる。裁きを・・・」

その言葉と同時に、管理局の管理局の魔導師は、先程の魔導師のように、爆発した。

「な・・・!?」

そこまで、するのか。

「何をするつもりだ!?」

「この子らは、われらが、理想郷へと導かれる理由のある、人間達。」

言葉と同時に、選ばれた人間達は、姿を消した。

送られたのだ。

本拠地へと。

同じ、カトリックの人間である、神父でも、選ばれることの無かった。

逆に、破壊された。

「この、街のすべての人間達を、選別しても良い。」

「馬鹿・・・あんた達は・・・神の・・・代理人かよ・・・」

「・・・?」

燈也は、目の前にいる、悠介が、何か、恐れていることに気づく。

先ほどまで、ユーノ・スクライアと対峙してた時の悠介と違うと、燈也は思った。

どこか、弱っているような気がしてならなかった。

管理局の人間が殺される兵士と言う立場である、魔導師を殺されることには、抵抗はなかったように見える。

ここは、戦場なのだから、それくらいは解っている。

「そこまで、するのか・・・」

「悠介・・・?」

「大丈夫・・・大丈夫だ・・・」

「そうか・・・なれないんだな。兵士が死ぬのはなれたが・・・」

バラバが、悠介の奥底を見透かすかのような、瞳でただ、見ていた。

「ここが、戦場であるというなら、お前は受け入れられないだろうなぁ・・・」

優しく、諭すかのように

「っ・・・!!」

確信だった。

「戦場に似つかわない、一般人の死と言うものは。」

しかし

「これは、選別なのだ。我等が、望む条件を満たしているか、どうか・・・」

人一倍、そういうものに、悠介は敏感だった。

その奥にある物に、何を見たのだろうか。

「悠介・・・」

また、選ばれ。送られ、満たされないものは、処刑される。

必要のない人間は、ここに入らないかと、言うように。

「行くのが、利口かな・・・今の、彼を考えるなら・・・」

ある種、白旗をあげるのも一つの手だろう。自分たちだけが生きていくというのなら。

ただ、その後、言いようの無いような、後悔に襲われ、生きているのが、愚かと思ってしまうかもしれないが。

「そう・・・ですね。」

「悠介・・・そむけてはならないよ?この、ことから。」

バラバは、イエスのように、悠介に諭すかのように言う。

優しき言葉と同時に、選ばれなかった人間たちは、先ほどの魔導師同様、醜い死を与えられ、この世から消滅してしまう。

「やめろ・・・」

「何故だ?生かす価値など、この者達にはない。母親であれど、平気で、子供を虐待し、死に至らしめる。この、目の前にいる人間など、生きる価値はない。」

確かに、生きる価値などないと、その女には存在しない。

バラバは、容赦なく、その、母親だった人間を破壊する。

ドクッ・・・

高鳴る、自分の心臓の音が、高鳴る。

「やめろ・・・」

「死ぬのは、兵隊で十分なのか、お前は、それで良いのか?許して良いのか?」

バラバに、問い詰められても、帰ってくる答えは、止めろという言葉だけが、悠介の口から出てくる。

「ヤメロォ・・・」

「死ぬべき兵隊と、死ぬべき非戦闘員・・・世界には、そういうものがいる。」

殺すことなのか。

まだ、更生できる余地があるのではないのか。

ゆっくりと、悠介は、立ち上がる。

「ヤメロォ・・・!!」

「なれないか・・・戦場で死ぬべきではない人間が、死ぬというものは。」

消えていく、子供たち。

選ばれた人間たち。

それは、迫害を受けた人たち、選ばれるのは、山上の垂訓の中の、前者。

「まだ・・・まだ、奴らにも・・・」

「手遅れなのだ。世界が、世界だけに。」

どく・・・

どく・・・

どく・・・

悠介の心臓が、高鳴る。

「ヤメロ・・・」

ドク・・・

ドク・・・

ドク・・・

「悠介くん・・・?」

「悠介・・・あんた・・・?」

「ヤメロ・・・」

高鳴る。

高鳴る。

悠介の記憶が、また、蘇る。

だれかはわからない。

しかし、それ以上に、誰かが、誰かに、殺されていく。

殺しあう。

罪の無い、殺される必要のない人物が、殺されていく。

選別と言う名の下に、起こる殺しは、悠介の頭脳を揺さぶり、それを、より激しくさせ、トリガーとなり始める。

それは、記憶を思い出すという引き金を引くための記憶。

殺される。

殺される。

最後の断末魔の中で、それは、悠介の脳内で、完全に記憶をよみがえらせるトリガーが、今、弾かれた。

誰だ!

俺の記憶の中で、人を殺すお前は、誰だ!

蘇る記憶と共に、溢れ出ているのは、漆黒のオーラ。

漆黒のオーラが、悠介の体から、溢れ出ているように見えた。

先ほどの、ユーノ・スクライアに対する、無差別殺人にキレた時のようにだ。

しかし、それと違うのが、それと違う現象が、起ころうとしている。

ゆっくりと、弱弱しく立ち上がる姿は、目の前の敵に怯えている、子供のようにしか見えないが、発せられるオーラの前には、バラバ以外は、息をのんだ。

フリードが、かつて、発していた黒いオーラよりも、ある意味、純粋に見える。

このオーラは、そうだ。

あのときだと、ティアナは、思い出した。

あのとき、悠介が、ミッドチルダに来訪したとき、全てを混沌へと落とし込んだ、破壊の化身。

そうだ。

このオーラだ。

いや、それでも、あのときよりはまだ、弱い気がした。

全ての人間を、動けなくさせたのだ。

燈也とて、まともに動くことはできなかった。

冥府の神が、戦闘の神に怯えたというのだ。

慣れようとしても、全くなれるというものではなく、思い出すだけで、吐き気さえ、覚えてくるほどだが、今は、それほど、強くはない。

プレッシャーによって、全てが、封印されるような、感覚、体の全てを縛られるような感覚にはならなかった。

全ては、月村瑠璃の為に、全ての力を封印し、彼女を、ほんの数カ月だけでも、延命させたという、人によっては、馬鹿な男ではある。

しかし、それが、今、ほんの入り口程度ではあるが、再び、目覚めようとしている。

目覚める。

目覚めようとしている。

悠介の露出している、左右の弐本の歯が、鬼のように、鋭くなり始め、爪も、鬼のように鋭くなり始める。

これで、角でも生やせば、

「鬼・・・いや、スサノオか・・・?」

燈也は、今、身震いする。

舞い上がる血の中で、その返り血を、悠介は、引き寄せるかのように、その血を吸収しているように見えた。

「ヤメロォ・・・殺すなぁ・・・殺すなぁ・・・殺すなぁ・・・!!!!」

金色の瞳と、瑠璃色の瞳。

「瑠璃!?」

ティアナには、今見えた。

悠介を守るかのように、彼女の霊体のようなものは現れる。

一瞬、ティアナを見た後に、微笑みかけて、再び、悠介の体に・・・

「ハァァァァァァァ・・・・・・・・・・!!!!!」

鬼神の息とでも言ったところか。

牙を剥き出しにし、浴びた、鮮血の塊を、手でぬぐった後に、自らの顔に、べっとりと塗り始めた。

血化粧とでも言ったところだろう。

べっとりと、塗くだし、その顔は、すでに、人間ではなく、まさに、鬼神と言えるかも知れない。

べっとりと、べっとりと、塗りつけた、その顔は、人間とは思えない。

かすかな隙間が、金色と、瑠璃に光る量の瞳が、神秘的ではあるが、確かに、人間であると、明かしていた。

鬼だ。

いや、鬼の神、鬼の中の鬼、鬼神がいる。

「はぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ・・・・・・・・・・・・・・・!!!!!!!!」

発し続けられる、鬼の息。

歯をガキッと、言う音が聞こえるほどに、噛み締める音が、聞こえ始める。

「ほう・・・その姿・・・取り戻し始めたな。」

「ば、バラバ様!!!」

「恐れるか。そうだろうな。」

ティーダは、燈也と同様に、息をのむのみ。

しかし、クロノと、なのは、フェイトは、目の前にいる存在を、悪鬼とみる。

見つめるだけで、足が竦んでしまう。

今度は、なのは達が、蛇に絡まれるような感覚に襲われるような形になった。

倒さなければならない、鬼神であると。

「さぁ・・・見せてくれるか・・・?それとも、死ぬか?」

「攻撃・・・許可を・・・」

ティーダを除く、なのは達は、バラバに許可を求めるが、首を横に振り、許可を出さない。

バラバは、裁きを下すものでありながら、戦士である。

目の前にいる、鬼神スサノオが、どのようになるか、どのような姿となって、自分たちに何をするのか、楽しみなものがあった。

それは、戦士特有の、強者と戦いたいという感情である。

「くっ・・・」

額から、嫌でも、気持ち悪いくらいに、滝のように汗が流れ始め、ここにいてはならないと、警戒している。

「ティアナ・・・燈也さん・・・下がれ・・・!!」

まだ、人間のような言葉を発することができる。

しかし、それは、まだ、まともだといえる。

それでも、悪鬼、いや、鬼神を表すかのようなオーラは、敵を殺さずに勝つという手段には、上等な手段とは言えるが、発する者は、目の前にいる人間を殺すための存在。

純粋なる、闘気を現した、漆黒のオーラを纏った、力なく立ち上がった、鬼神スサノオの片鱗が目覚めた、悠介。

「うぅ・・・うぉぉぉぉぉぉぉ・・・・・・・」

バキ、バキバキバキ、そのような音が聞こえるかのように、圧倒する力は、より、圧倒されるような力が、形となって表れる。

背中から、生やしたのは、漫画やアニメのような、物で見る、悪魔、いや、翼竜の翼。

揺らめくかのように、人間の殻が、変わり始める

「離れろ・・・ここで、奴らを潰すことができるかもしれない・・・!!!」

姿が、変わる。

変わる。

変わる。

人間から、異系の生物へと。

いや、これが、鬼神なのか、鬼神なのだろう。

いや、鬼神と言うより、中にある、余計なものが、力を与え、よみがえろうとしているのかもしれない。

それは、草薙の剣を取り込み、自らの体内へと送り出し、武器となる。

鬼であり、修羅鬼であり、鬼神であるとも言える。

そして、新たに見せた、その姿は、龍に近いものとなり始めている。

その小柄な身長から、想像もできないほどの、巨大な鬼龍に、変化しようとしていた。

「お前達は、帰ってもいい。こいつは、私しか倒せない。」

動けない部下たちをよそに、バラバは、その姿を見て、笑う。

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