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ACT‐ⅩⅠ「愚かな人」

キャロをけっこう、壊した。
次の話で、覆面の男辺は終わり。


PM:19:00

「それで…敵が、動き出したと?」

頭痛と呼べるものが、テスタメントのこういう怨霊や死霊に対して、敏感なものになる。

嫌でも、頭に、ずきずきと響いてくるのだ。

怨霊、死霊の助けを求める、哀れな声が、聞こえてくるのだ。

哀れにも、程がある声が、哀れすぎる声が、助けを求める声が、嫌でも頭の中に響いて、どうにかなりそうだった。

「燈也さんなら、感じているでしょ?」

「まぁ…不快なものがあるからね。」

だから、追撃をしたい。

手と言うものは、既に存在している。

あの男が、へまをしたおかげで、助かったのだから。

「燈也さん・・・」

ギンガが、額に汗をためて、慌しく入ってきた。

「はぁ・・・」

報告を受け取った、燈也はさすがに頭を痛めた。

それは、流石に、早すぎた行動であり、彼女の部屋にいた、看護兵は何をしていたのかと、問い詰めたくなる。

キャロの独断専行とも言える、敵のいたであろう、ホテルの破壊。

「そりゃ・・・早すぎる・・・」

幸いなことに、犠牲者は、時空管理局の人間、死ぬべき人間が、死んだということであり、奇跡的に、従業員に被害者はいないと言うことくらいだろう。

見事なままに、上の階層は、消滅してしまったのだから。

「勝手なことを・・・する・・・」

しかし、重傷者はいない。

消えたのは、上の連中であるということが、どこか、安心することができた。

元より、官僚と愛人のラブホテルような扱いを受けていたのだ。

ある種、このホテルが撤去される時間が、少し先になっただけと考えれば良い。

「お父様」

「イクス…?」

近づいてきた、遙か過去に生まれてきた、愛娘が、燈也の元へと走って来た。

燈也は、それを優しく抱き目、父親のような顔をした。

「いつ…終わるのでしょう…人が、人をたくさん殺す時代は・・・」

「大丈夫だよ。いずれ、終わるさ。」

「はい…お父様…マリアージュを苦しめないでほしいの・・・」

「解っているよ。」

「ここで、破壊してしまった方がいい…」

コアも、何もかも、無くなってしまえば良いと、彼女が、それを望む。

父親というものに、初めて接する、イクスは、やっと、何でも話せるような人に巡り会えたと思った。

「ヴィヴィオ・・・?」

ヴィヴィオは、その場面を、自分となのはとフェイトに照らし合わせてみていた。

どこか、悲しみがこみ上げてきて、悠介に抱きつく。

強く、強く、抱きしめた。

悠介は、彼女に、何も言うことはできなかった。

いや、良い言葉が見つからなかったのだ。

何を言えばいいのか、全く、解らなかった。

だから、何も言わなかった。

ヴィヴィオを自分の下に引き寄せるように、抱きしめていた。

優しく、優しく、抱きしめた。

「どうした・・・?」

「ヴィヴィオには、私たちがいるわ…」

「うん…」

「さて、悠介、ティア…」

燈也は、イクスを抱きしめたまま、追撃命令の許可を出した。

「あら、行くのね・・・」

「はい。」

ちょうど良く、やってきたすずかに、ヴィヴィオを預け、追撃を行うための準備をし終えた後に、準備運動をし、最後に肩を上下に動かして鳴らした後に、クラナガンへ向かうために、アルトの操縦する、ヘリに乗り込んだ。

乗りこんだとき、燈也があわただしく、こちらへ向かってきた。

「キャロを回収してくれ!!」

ただ、それだけを言って、彼は、また、戻っていった。

「キャロの回収ね・・・」

「寝ているんじゃなかったの?」

アルトが、悠介に、話しかける。

そして、悠介は、事実をアルトに話した。

「そっか…じゃぁ、早めに回収した方がいいか。道案内、お願いするわ。」

「はい。」

一度あった気もしたが、対して、印象に残らなかった女という印象しか無かった物に、男の気配を探りながら、指示を出し始めた。

「六課も動けなくなったものね・・・」

「あ、思ったんだけど、リンディって、人が何とか言えば、どうにかなるんじゃない?」

「ま、あの人が時空管理局の一番偉い人だったらね。」

リンディの権力だけで、同行なるものではなかった。

存続は許されたものの、一番上の人間は、犯罪者の集まりとも言える、六課の存在を許さず、理不尽な要求を突き付け、存続させることにとどまった。

仮に、その条件を飲まなければ、甲斐さんである。

動ける部隊は、一部隊。

テスタメントの能力封印、さらに、一部の力の封印等など。

上げれば、きりがないほどの条件が挙げられた。

動くのは自由でありながらも、動けるのはごく少数であるが故に、小回りが利かない組織と言えるだろう。

「愛人作って、飯食ってる人間が、そんなに偉いとは思えないね。」

「まぁね。悠介の言うこともわかる。」

殺伐としている、気配。

通りかかる、場所に、キャロが消滅させたホテルがあった。

「うわ・・・こりゃ、マジだねぇ・・・あの子もさ。解らなくないけど。」

骨組みすらも、刀で切断されたような状況に、流石に息をのんだ。

上がる黒煙は、キャロという少女の怨念を感じることができた。

あの男は、人に怨念を与え、人の人格を改変させる。

「全く・・・」

あの男という生き物はと、唇を噛みしめ、最低だと、一言だけつぶやいた。

その視線を、暗い外の窓に映すと、何か、白い二つの光が見えた気がした。

ゆっくりと、こっちに向かって、意味あり気な微笑を浮かべながら、どこかへと消えた。

姿を見せないのが、少し、気に入らなかったといえる。

奴らも、これから、悠介達が探すものを見つけるとでも言うのだろう。構

いはしないが。

「そのまま、直進して。良い感じに、跡が残ってるわ。」

「あとって?」

窓の下を、悠介が見ていたゆえに、ティアナも視線を下に移した。

見えたのは、良い感じに、煙が男の向かった道を示すかのように、黒煙が舞い上がっていた。

「すごい・・・」

「変えたね・・・全く・・・」

ある種の恐怖のようなものを、悠介は覚えた。

力ではなく、平気で、これを行う、キャロという少女にだ。

「やったのは、本当にキャロなの・・・?」

「まぁ・・・指示したのは、少なくとも、彼女だろ・・・」

ティアナとて、これほど、強力となったフリードの炎は、見たこともないだろう。

また、凄いことに、これでいて、民間人には、支障はいない。

軽い火傷を負ったのみと来たものだから、驚かされる。

「凄いものだね・・・全くさ・・・」

「本当に、奇跡ね・・・」

その言葉に会うほど、奇跡的な出来事に近い。

ここまで来て、死傷者がないというのは。

「ま、理屈としては、交通量の無い道路や、裏道を使ったからじゃない?」

「あぁ、そういう単純な奴ね。物騒だから、早めにおうちに帰りなさいってことね。」

「そ・・・素直な人たちが多いから・・・この時間でも、屋内にいる人が多いのよ。」

「あぁ・・・」

あの男の出現によって、この都市は静まり返った。

街が、出したものではなく、人による防衛反応のようなものだ。

外にいた人間は、男であれ、女であれ、老人だろうが、子供だろうが、殺される。

人は、家の中にひきこもった。

車の無粋な騒音は聞こえず、室内の光がイルミネーションとして街を華やかにする。

これほど、静かになるクラナガンは、100年に一度、あるかないかだという。

「綺麗だけど、恐怖に支配された街・・・ね。」

素直な感想が、それだった。

「さぁて・・・そろそろだね。」

悠介の顔が、キリっと、真面目な顔になる。

刀を手に取り、アルトに指示を出した。

「そのまま、降りるの!?」

「あぁ・・・彼女、相当ピンチね。」

開けられた、扉から、ティアナは、その状況を覗き込んだ。

大量のマリアージュに、囲まれたキャロと、覆面の男に、

「高町・・・なのは・・・?」

上空から、その光景を見降ろしているが故に、覆面の男の近くにいるのは、確かに、高町なのはだった。

では、先ほどのは、しかし、それを気にしている場合ではないだろう。

フリードが、こちらの気配に気づき、近づいてくる。

漆黒の竜は、かつての面影を見せない、姿だが、こちらが味方であるという認識は解るようだった。

アニメや、カードゲームに出てきそうな漆黒の竜に、姿を変え悠介は、素直にカッコいいと称賛した。

黒光りする体は、ブラックダイアモンドのように、美しく、夜の街に輝き、その翼は、猛々しく、細身となり、何処となく、機械生物のような印象を受けるほど、角角していた。

その、巨大な翼や、体には、金のラインが入り、邪悪さと共に、神々しさが増したと言えるかもしれない。

純粋に、カッコいいと称する者、美しいと称する者、そして、恐怖の象徴と称する者とているかもしれないだろう。

しかし、これが、フリード…いや、ダークネス・フリードリヒと言う名の真の姿と言えるのかもしれない。

「さて。行くか…」

「うん。」

悠介は、フリードに飛び乗り、ティアナに向かって、手をさしのばした。

「おいで!!」

「え・・・」

手を差し伸ばす姿が、ティアナは、一瞬、それが、瑠璃に見えた。

「さぁ、ティア!!」

「る・・・り・・・!?」

悠介の顔が、瑠璃に変わる。

ティアナは、一瞬、首を奮い、改めて、悠介を見た。

そこにいたのは、悠介だった。

瑠璃ではない。

悠介の腕につかまり、フリードにまたがった。

「さぁて…行こうか!!」

「えぇ。」

「ん・・・?」















数日で、目覚めた。

精神が、汚染されてしまった時から、ほんの数日が経ってしまった。

悠介が予告した通りに、彼女は目覚めた。

ほんの数日が経っただけで、彼女は目覚めてしまった。殺すために、彼女は目覚めた。

殺すために。

殺すために。

目覚めた感想は、自分が別の存在と思ってしまったほどに、爽快なものだったという。

自分が、自分ではないという感覚は、どのような感覚なのだろうか。

あまり体験しない、感覚、この感想と言うものを言えるのは、彼女だけ。

「ふふふふふふ・・・・・・あはははははははは!!!!!!」

眠りについて、ほんの数日、本当に、彼女と言う存在、キャロは、早めに目覚めた。

中にいた、死霊の怨念をその力に変えて、キャロは、蘇ってしまったのだ。

誰も、望まない形として、怨念を味方につけて、既に、幼かったあの日のあどけなさは、完全に消えてしまったといえるかもしれない。

あのときの、燈也のように、彼女は、消えてしまった。

過去の彼女は。

「鬼に捕まったら・・・食べられちゃうよ…?」

瞳の色は、復讐の炎を帯びた、紅の瞳に代わり、髪の色も、自然と、紅の色となる。

あぁ、もう、過去の面影など、見えやしない。

いや、逆に、大人となったとでもいうべきか。

ある種、人間と言う、神の生まれ変わりではない種族の中では、純粋種の人間としては、一番、強いといえるだろう。

自分の手首に、その八重歯を当てる。

唇の形が変わり、皮膚に当たる、八重歯の先が手首を覆う膜である、皮膚を突き破り、そのまま、突き刺した。

一瞬の痛みと同時に、伝わるのは、最高の快感。

突き破った皮膚から、流れ出た鮮血をキャロは口に運び、血が流れるのが止まるまで、飲みだした。

「はぁー・・・さいっこう・・・」

幼さを失った、少女は、ただ、復讐のために生きる、女となってしまった。

ただ、幸いなのは、六課の味方であるということだろうか。

エリオの復讐のために、キャロと言う少女は、生まれ変わった。

いや、人によっては、生まれ変わってしまったとでもいうべきなのだろうか。

今の、この少女なら、復讐の鬼となってしまった、キャロと言う女なら、あの覆面の男を簡単に殺せるはず。

だから、動き出す。

ある種、死霊の怨念を、自らの力と変換させてしまったが故に、男の発している怨念が、キャロの中に、どんどん、感じて、秘部を濡らしていく。

「くくく・・・・・・あはははは!!!!今すぐ、殺してあげるぅ…!!」

確実に、絶対に、生かしはしない。

ケリュケイオンと、ストラーダ・・・・ケリュケイオンは、黒みを帯びた、赤の色に変わり、ストラーダの刀身は、血の色に変わる。

鉈状の物へと変わる、ストラーダが、従来のものとは違う物であるということを示す。

「フリードぉ…?」

意味もなく、人差指を舐めながら、かつての竜の名前を呼ぶ。

竜は、かつての、白色から、黒と、黒から派生した色へと変わり、かつての形からも、従来の面影的なものはない。

言うなれば、怨竜とでも言ったところだろうか。

「さぁ、あの男を、殺しに行くわよぉ?」

甘ったるい声を漏らしながら、秘部を濡らし、血を、一気に浴びたように、濡れてしまったバリアジャケットをその身に纏う。

「待っててねぇー?エリオくぅん・・・私の、だぁい好きな、エリオくぅん・・・」

最愛の人である、エリオに、唇を重ね、無理やり、唇を抉じ開け、舌を挿入し、相手の動かない舌と、妖艶に絡ませ、自分の唾液を、エリオに送る。

その代わり、エリオの唾液を自分の口へと吸い上げて、一気に飲み込んだ。

「んふ・・・美味しい…」

姫のキスでは、王子は起きない。

しかし、満足することは出来た。

赤らめた、頬は、興奮を司り、胸が躍るような感覚と共に、男がいた場所を目指す。

器用に、フリードの上に乗り、男の力を感じとる。

ただ、一つの出来事で、女を変えてしまった、ある意味、悲劇の事件とでもいうべきだろう。

燃やし、そして、殺す。

もう一度、フリードの業火で、地獄を見せて、燃やしつくし、そして、殺す。

「ふふふ・・・生きていた証も無く、消してあげる…」

消滅…消滅…消滅…消滅…消滅…望のは、消滅。

破壊。

絶体絶命の中で掴んだ星は、復讐の星。

あぁ、目覚めてしまう。

彼女には、本来、やどるべきではなかった、破壊衝動が。見つけ出したのは、痕跡。

「さぁ・・・燃やしなさい…!!」

フリードの皮膚が、赤く、光始める。

「あははははは!!!!!そうよ!!燈也伯父さんも言ってたじゃない・・・あそこには、腐った、上の連中しかいないんだもの…!!」

だから、

「殺しちゃえ~フリィドォー!!!!」

発光し始めた、死へと誘う、紅の光は、帰還を通り、出口である、口を通り、出口に向かい、走り出す。

フリードの口が、膨らみ始め、目は、相手を殺す、野性の瞳をしていた。

殺す、殺す、殺す、殺す、殺す、殺す。

フリードは、目の前にある、ホテルにむかい、一直線に、殺意の瞳を送った。

口の中が、紅く染まり、限界まで、貯め込んだ、それは、既に、耐えきれないほどにまで、膨張している。

その中に、全てを焼きつくすほどの殺意が眠っているということを、誰が、気づくだろうか。

温厚だった、フリードを知っていれば、直のことと言えるだろう。

フリードから、放出されたものは、紅の光の束。

炎と言うより、光線といった表現が正しいだろう。

血の色のような、紅の光の束は狙った階層を、すべてを飲み込もうとしている。

溶ける。

ホテルが、溶け始める。

鮮血に飲まれるかのように、光の束と同化していくような、光が、街を照らす。

クラナガンを破壊する、モノノケのように、見えた物もいた。

誰が、見ても、テロリストの行うこととしか思えなかった。

吐き出された光線は、無能な上の人間が、愛人と寝ていた部屋と、覆面の男が寝ていていた部屋、ホテル、すべてを焼き尽くした。

消滅した。

そこの階層に、何もなかったように。

元より、そのような階層に何も無かったかのように、そこには、何も存在していなかったかのように、破壊した。

紅い光の束は、目標の物体を消滅させたのを見届けた後に、消滅した。

「ちっ・・・アイツ、もう、逃げてたか・・・」

今の、炎で、殺すことはできなかった。

楽に、殺してやろうと思ったのに。

手間が、増えたということに、少し、舌を売った後に、再び、邪悪な笑みを浮かべた。

「そっかぁ…狩りに向かえば、良いんだぁ…!!あいつを、狩ってやればぁさぁ!!狩り殺しちゃえばさぁ!!」

飼って、追いつめて、敵を殺して、最終的には、塵一つ残さず、破壊する。

「何なんだよぉ…!!あいつはさぁ!!」

夕闇に、逃げ込んでも、男にうつるのは、浮かび上がる、顔、顔、顔。

たった、一回の性交がこのような事態を巻き起こすとは、思わなかった。

「なのは・・・・・・!!」

男は、高町なのはを連れて、そのホテルから逃げ出した。

後、少し、遅れていたら、彼は、死んでいた。

いや、死んでいたほうが、楽と言えたかもしれないが、これは、無限の苦痛へと繋がる、切符を切ってもらったということだろう。

楽に、時空管理局の上の人間と一緒に、消えてしまえば、良かったと思っても、すでに遅いといえるかもしれない。

折角、手に入れた幸せを、この手に逃したくはなかった。

人間的な欲望を剥き出しにして、歯を食いしばり、眼球を思いきり開きながら、ただ、逃げようとしている。

「滑稽な姿……」

ただ、その姿を笑いながら、眺める一人の女が、そこにいた。

白いバリアジャケットを身に包み、ただ、その状態を眺めるのみ。

笑いながら、ただ、笑いながら、バウータの仮面を身につけて、ただ、笑う、一人の少女が、そこにいる。

「ね…面白いね。」

「うん。面白いよ。」

もう一人、現れる、バウータをつけた将が、現れる。

夜に逃げる、その男を二人は、楽しそうに、不気味に笑いながら、その少女達は、逃げる覆面の男を見ていた。

「おかしいね・・・」

「うん。おかしくて、笑ってしまうね。」

あまりにも、滑稽すぎた、その姿。

あまりにも、みじめ過ぎた、その姿。

動かない人間を抱き上げながら、本来、ここにいない何かから逃げ纏う姿は、本当に滑稽な姿だった。

誰も、わからない、誰も知ろうとしない、誰が見ても、滑稽に見えてしまう姿が、ここにあった。

ただ、愚かなだけの存在。

そのようにしか見えなくなってしまった存在が、ここにある。

これが、時空管理局で、エリオを殺し、また、キャロを精神的に汚染した存在である。

その姿は、どうして、ここまで、醜く見えてしまうのだろうか。

見ることが、愚かとしか思えなくなってくる。

笑いがこみあげてくるほどに、愚かな姿。

「どうしようか?」

「どうしよう?」

「助けてあげる?」

「助けてあげない。」

「どうして?」

「あの男、嫌いだからかな。」

「うん。私も、嫌いかな。」

だから

「「助けてあげない。」」

さっきは、助けたというのに、今は、助けない。

まぎれもなく、バウータをつけた、この二人は、行方不明になったあの二人である。

しかし、なぜ、助けようとしない。

「さっき、助けたのは…」

「まだ、利用する価値があると思ったから…」

「でも・・・」

「調子に乗りすぎた。」

この言葉を発した時だけ、確かなる殺意がわきあがった。

「ふふふ…逃げろ!!逃げろぉ!!すぐに、見つけてあげるぅ!!」

フリードを駆りながら、その痕跡を辿り、キャロは動き出す。

既に、見つけて、探しているふりをしているのか、本当に見つかっていないのか、今の、壊れた、キャロには、解りはしないだろう。

変わってしまったのではない。

この世界が、変えてしまったと、言った方が良いだろうか。

面白いままに、誰もが、望まないように。

変わり果てた、フリードの姿。

邪悪なまでに変わってしまった、この姿の竜に、誰もが、キャロと言う少女であることは気付かない。

気づくのは、機動六課の人間だけだろう。

血のような、紅い目は、男を探し求める。

「さぁさぁさぁ!!!出ておいでよぉ!!!そうじゃないと、焼き払っちゃうよぉ!?」

だらだらと伝わってくる、相手の、黒いオーラのような、後に向かって、火球を撃ち放つ。

死を呼び込む、火球が、男の逃げた痕跡のある部分に、打ち込まれる。

打ち込まれた炎。

破壊、破壊、破壊の限りを尽くして、なかなか、殺せないこの状況に、フリードは咆哮を上げ、熱線を撃ち放つ。

焼き払われた、地面が、舞い上がり、その様子を見ていた、キャロは、興奮していた。

「あはははははは!!!!!死んじゃえぇぇぇ!!!!!」

暴走

「ほらほらぁ!!逃げるんだったら、死んじゃうよぉ!?あんたが、殺したことになっちゃうよぉ?」

わざとなのか、自覚はないのか、一般人の死傷者は、まだ、出していないのも、事実だった。

幸いなのが、男が、人のいない路地を通って、逃げているからと言える。

「ほらほらぁ!!出ておいでよぉ!!殺しあいしようよぉ!!」

覆面の男は、失禁しながら、フリードから、逃げる。

「くそぉ・・・!!」

何も、できなくなっている。

皮肉にも、この男がしてしまったことは、キャロの強化と言える。

かつての、この少女の実態を、覆面の男は知っていた。

似ても、似つかない状況。

いや、それよりも、彼女が誰であるのかもわからないかもしれないだろう。

「なんだよ・・・何だよぉ…!!僕が、何をしたっていうんだよぉ…!!」

覆面の男は、疲れたのか、公園の物陰に潜んだ。

息を荒くし、これまでの状態を整理してみた。

自分の体から、浮かび上がった、殺してきた人の顔、その殺した人間の悲鳴。

自分の体が、誰かにコントロールされているようで、自由のきかない体に恐怖していた。

指から、ぼこっぼこっ、っと言う、音が聞こえる。

見てみれば、助けを請うかのように、口を開き、焼けただれた皮膚を持っているかのように、男の両手に、人間が浮かび上がる。

助けて・・・助けて・・・聞き届けられないだろうが、浮かび上がった人間たちは、叫ぶ。

助けてと・・・言葉を伝える手段を知らない、赤子は、ただ、泣き叫ぶ。

この声が、男の琴線を刺激し、徐々に、精神が朽ちていくような感覚に襲われて、この日に、食したものを、すべて戻してしまった。

出した、汚物からも、人の顔が、体が、手が、浮かび上がり、自立しているかのように、動き、覆面の男に取りつこうとするが、男が、その物体を踏みつける。

触るな、触るな!そう、叫ぶかのようにだ。

何度も、何度も、何度も、地面に落ちた、自分の汚物を踏みつぶし、中にいる者達を踏みつぶす。

なのはは、その姿を、ただただ、見ているだけだった。

踏みつぶした跡を見れば、自分の戻したものが、血の水たまりのように見えた。

踏みつぶした汚物の中にいた、人間の血とでも言うのだろうか。

さらに、フラッシュバックとして、踏みつぶされた人間たちの、踏みつぶされて、内臓や、体がぐちゃぐちゃになる瞬間が、脳内で再生される。

それも、鮮明に。

テレビのカメラで撮ったかのように、鮮明に写りだす。

自分が、踏みつぶした人間たちの、眼球や、脳が、ぐちゃぐちゃに踏みつぶされていくヴィジョンが、何回も、何百回も再生される。

ただ、男の眼球の向こうに見えるのは、ただの血の水たまりだから、ある種、幸運と言えるのかもしれない。

ヴィジョンは、単なる、妄想なのだ。

移してくれ。

移してくれ。

元の体に、移してくれ。

返してくれ。

死に際の、断末魔の叫びが、男の中に響き、行動力すら、奪っていく。

そして、改めて実感した。

あれが、今まで、自分の殺してきた人間であるということを。

自分の殺してきた人間の気持ちや、殺された所を見られて、殺してしまった子供や、赤ん坊の気持ちが解って来るような錯覚に襲われる。

「馬鹿な・・・」

自分は、なのはを助けるために、正義のために人を殺したのだと、どこか、バカの考えるような、愚かなことを考えてしまう。

なのはを、悪い男から助けるために、なのはをフェイトに渡さないために。

自分は、強くなった。

強くなろうとした。

そして、見つけたものによって、強くなった。

自分は、強くなったのだ。殺して、怨霊を死霊を取り込んで。

人を殺して、強くなった。

望まぬ形で、怨念や、死霊を与えたのに、それを浄化させて、新たな力として返還させ、自分のものにしたという者も出てしまったが。

「うわぁぁぁぁぁ!!!!!」

頭痛が襲い、この男が、黄泉の国に送られるのではないのだろうかと思うように、奇声をあげる。

「あぁぁぁぁぁ・・・・・・・!!!あぁ…!!あぁ…!!」

汚物を吐いた、生理的な気持ち悪さが、今頃になって襲った。

「はぁ・・・はぁ・・・うぇ・・・」

めまいが襲い、倒れこみそうになる。

頭を押さえて、倒れこみそうな衝動を抑え始める。

「おぎゃー!!!おぎゃぁー!!」

また、自分の視線を体に移したとき、赤ん坊の泣き声が、男の脳内を襲い、頭痛が、余計にひどくなる。

蛇が、頭の中に入り込み、とぐろを巻いて、縛りつけているような感覚だ。

「気持ち悪い…」

感じるのは、視線。

何かが、自分を見ていることに気づく。

何かが、何かが、自分を見ている。

笑い声と一緒に、聞こえる、一人の声。

「お兄さん、何で、泣いてるの?」

幼い声が、聞こえてくる。

「ふふ…辛くてねぇ…」

そう、言いいながら、殺したい衝動に駆られる。

「そうなんだ。でも、大丈夫だよ。」

見知らぬ一人の無邪気な声が、彼の中に、強姦したいという思いが生まれてくる。

「僕は、どうすれば・・・」

もう、善の気持ちなど、存在していない。

自分でもわからないのだから。

だから、求めてしまう。

誰か分からないが、自分に話しかけてきた人の声の主を襲いたくなってしまう。

「助けてほしい?」

ただ、今、この瞬間だけは、忘れたかった。

痛みを、気持ち悪さを。

聞こえてくる、幼い声の主を強姦でもすれば、自分の気持ち悪さは、少しでも引くだろうと思った。

男であろうとも、女であろうとも。

「私には、どうすればいいか分からないや。お兄ちゃんの好きにして良いよ?」

「そう・・・かい・・・だったら・・・」

襲う。

強姦でもする。

そう思い、男は、声の主に近づいた。

だから、

「死んでぇ!?あ、私が、殺してあげようか…?あはははははははは!!!!!」

「んぅ!?」

突如聞こえてきた、何か分からないものが、自分を襲う。

先ほどの声の主から聞こえてきた、先ほどの薄倖そうな少女とは全く噛み合わない、異様な甲高い笑い声。

「こーんな、簡単な事に引っかかっちゃうんだぁ…ばっかじゃないのぉ?!脳みそ、作り替えたらぁ?」

現れたのは、恐怖。

利いた声。

ホテルが、消滅する時に聞こえた、快楽と殺意に満ちた声。

「みぃつけた……!!」

「キャロ…やめよう…」

「はぁ!?」

今更

「なに、綺麗ごと言ってんだよ・・・気持ちわりぃんだよ!!」

キャロが変わってしまった原因すらすら分からず、良く、言ったものだと思った。

この男を殺せば、キャロはエリオが喜ぶ。

目が覚めて、自分を良くしてくれると思った。

また、あのころに戻れると。

だから、

「燃やしちゃえぇ!!フリードぉ!!」

熱線が、男の上空を徘徊していたフリードが、男に向かって撃ち放った。

しかし、それを何かが、はじく。

上斜め30度から割り込んできた、金色の光。

キャロは、うざいものを見るような眼で、光を撃った人間を見た。

「あぁあ!?」

誰だ、うざいことをしてくれたのは。

きっと、睨みつけた先にいたのは、白いバリアジャケットと、バウータの仮面をつけた、二人の女。

「もっと…苦しんでもらわなきゃ駄目だよ・・・?キャロ。」

そう、言っているかのように思えた。

「あぁ!?何言ってんのか、解んないんだけど!?」

「ありがとう・・・なのはぁ・・・!!」

覆面の男は、影に沈み込むように、一時的に、逃げだした。

これと同時に、マリアージュを召喚する。

「またぁ・・・か!!」

キャロは、ストラーダを一回だけ、横一閃に振るう。

起きた、一陣の風。

それは、マリアージュを破壊し、爆発させる。

この男は、マリアージュの特性を分かっていない。

撃破される時は、爆発する。

故に、起こった爆発によって、出したマリアージュ達は、連鎖爆発を起こす。

しかし、限りないほどに、マリアージュは湧きあがる。

地獄から、死者が舞い戻るかのように、マリアージュは、何処からともなく湧き出てくる。

フリードに任せようとも、あの出力では、キャロをも殺しかねない状況だ。

うかつに、フリードと口走れば、自滅を招く。

それだけは、できない状況だった。

あの時、フリードの熱戦が直撃していれば、絶対に、殺すことができたという自信が、キャロの中にはあった。

しかし、バウータの女たちによって、阻止された。

祝い事に使うための、バウータが、キャロにとっては、もっとも、見たくないものに変わり始める。

あの仮面をぶち破り、自分の前でひざまづかせたいと思う欲求に駆られてしまう。

手を休めば、自分を囲むマリアージュの数が、嫌でも増えてくる。

気持ち悪さだけが、漂う、ゴキブリのような生物兵器。

「うざいなぁぁぁぁぁぁ!!!!」

連鎖爆発を起こし、殺そうとするものの、きりがない。

浮かび上がる、血の数。

それでも、減ることの無い、敵、敵、敵、敵と言う名のマリアージュ。

自滅はしたくない。

あの男を、この槍で刺さなければ、意味はないのだから。

「手伝ってやるよ!!!」

「えっ・・・!?」

キャロは、声のする方向を見た。

上空。

そこには、漆黒の竜から、スカートをはいた少年が、抜刀しながら、朱色の髪の乙女が、弾丸を撃ち込みながら、舞い降りてきた。

キャロを守るように、舞い降り、地上に着地した時、マリアージュが爆発した。

連鎖を起こして、ここにある物は、先ほどのキャラの攻撃と合わさって、かなりの大爆発を起こすほどの、連鎖爆発を起こした。

「悠介さん・・・ティアさん・・・」

「待たせたって言ったところね。」

「ま、助っ人登場ってところかな。」

悠介は、スカートのポケットから、8枚の札を取り出した。

「こいつら、全滅させるんだったら…八卦使うか?」

まさか、こんなに早く使うとは、悠介自身も思っていなかった。

札を投げ、その8枚は草薙の剣の刃に取り憑いたかのように、回り始める。

全ての札が、刃に吸収され、淡い輝きを放ちだした。

その光は、まさに、破壊の光であると言っても良いだろう。

蒼白く、光だしたそれは、刃が生きているような、錯覚を覚えてしまう。

霊的なものなのか、いずれにしろ、未知の光が取り囲み、光が宿る、その刃に、見とれてしまうものとて、いると思うほど、美しかった。

八卦の属性を、その刃が一気に受けたのだ。

八重歯を出しながら、笑い、刃の峰を、自分の肩に乗せる。

増殖し続けるマリアージュは、その刃を光に屈したかのように、何もできなくなっている。

「さぁて・・・一気に、こいつらを消そうか?」

覚醒し始めるのは、スサノオの片鱗か・・・

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