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ACT-Ⅷ「バウータ」

バウータって、本当は、お祭り用の仮面。


「燈也さん・・・・・・」

「どうした?ギンガ。」

眠り姫であり、かつて、自分達が生み出した子供である、イクスヴェリアを眺めながら、すずかは、ただ、どこか、悲しい顔で、彼女を見ていた。

ギンガ・ナカジマは、慌しく、燈也とすずかのオフィスに入り込んできた。

痒いのか、少し、髪を掻き分けて、落ち着けるという、人間のような行動を取り、姿勢をただし、真っ直ぐと、燈也を見た。

「ユーノ・スクライアの殺害が・・・確認されました。」

「そうか。

大して、思うことなど、燈也には無かった。

もとより、殺害のリストの中に入っていたというのだから、殺されたって、別段不自然とは思わなかった。

しかし、ギンガは、何かを、別の情報を、今回のユーノ・スクライアの死に付いて、持っている。

燈也は、それを待っていた。

落ち着きを、完全に取り戻した、ギンガは、ゆっくりと近付き、燈也のデスクに、写真を載せた。

「死体・・・も得てるね。」

「はい。何故か、燃えてます。」

いくつかの遺品によって、それが、ユーノ・スクライアであると、理解する事が出来るし、既に、人の形になっていなくても、場所で誰が、殺されたか、解った。

しかし、

「彼は、何故、マリアージュにされなかった・・・?」

唯一の例外である殺され方。

燈也は、口全体を手で書くし、眉間にしわを寄せて考えた。

今更、マリアージュが、必要なくなったとでも言うのだろうか。

いや、それ以前に、

「これは、本当に、ユーノ・スクライアなのか?」

「は・・・?」

ギンガは、此れが、どういう意味なのか、全く解らなかった。

なぜなら、目の前にいるのは、確かに、ユーノ・スクライアであると解る証拠と言うものがあるからだ。

それが、ギンガの差し出した、もう一つの資料だった。

出されたのは、DNA鑑定の資料。

確かに、ユーノ・スクライアの細胞であると言う事なのだろう。

この資料が、完全に、此処に差し出され、物的証拠として出されてしまったという事は。

焼死体・・・・・・今回の事件、初めての焼死体。

「え・・・?」

ギンガの元に、突然の連絡が入り、ギンガは、その顔で燈也たちにもわかるように、驚きを表現していた。

いや、自然とそうなりたくなるような反応だったのだ。

ギンガが受けた、その報告と言うのは、ある種、信じることなど、出来なかったという事なのだろう。

念話をオンにした状態で、ギンガは常時、情報を取り入れ、燈也達に伝える。

「どうした・・・?」

「いえ・・・その、遺体の残骸なんですが・・・」

「うん?」

「現在・・・・・・マリアージュと融合・・・・・・そして、消えて、再び、動き出しました。」

「どこへ・・・?」

「小児科です・・・・・・」

「小児科?」

どういうことなのか、理解する事など、出来なかった。

マリアージュが、死体の残骸、それが、灰になろうとも、動かす事が出来るのは理解できた。

しかし、今になって・・・と、言う理由が、燈也には理解する事が出来なかった。

そもそも、あの男が殺したというのなら、今すぐにでも、ユーノ・スクライアの死体を、残骸にする筈だ。

しかし、そうしなかったのには、何がある。

そして、それが、テレポートでもしたかのように消えて、再登場した場所が、小児科であるという。

「今、誰が、向かっている・・・!?」

関係の無い、殺される必要の無い、子供たちの命が、完全にたたれてしまう。

今から向かったとしても、六課では、間に合いはしない。

テスタメントは、その能力を全て、封印されており、すずかも、テレポートなど、出来はしない。

正に、万事休すと言う所だろう。

「それが・・・突然の事で、対応できてません・・・」

誰も、そこにいない。

そこにいる人間達は、助かる術を持たないとでも言うのか。

何を、狙っているというのか。

イクスヴェリアを崩すというのなら、此方を狙えば、いいだけの話で、小児科へ向かうという意味が、解らなかった。

「あ、情報・・・・・・入りました・・・・・・シスターシャッハが・・・・・・」

シスターシャッハ・・・聖王教会の人間である。

恐らく、聖王病院の小児科に、奴は移動したということなのだろう。

シャッハがいれば、何とかなるとは思うが、念のためと言う事もある。

「既に、ナンバーズである、彼女達は、キャロの追跡に向かって折り・・・今、此処にいるのは、私とスバルと言う事になりますが・・・?」

「全く・・・次から、次へと・・・わけがわからなくなる。」

覆面の男=ユーノ・スクライアと言う、説は完全に破壊され、さらには、エリオの死亡、キャロの独断専行、此処に、覆面の男を入れてしまったこと、さらには、イクスヴェリアのことと、現在のマリアージュ、そして、浦島悠介。

「悠介君は・・・!?ティアと一緒にいるはずだ・・・!!」

「逆方向です・・・流石に、彼の縮地でも、間に合いは・・・・・・」

間に合いはしないなどと、思ってしまう。

せめて、自分が間に合い、動く事が出来るのなら、とっくに動いているし、今は、それすら出来ない。

乗り込んできた男は、囮。

目的は、子供の殺害と言う事なのだろう。

完全に、計られたといったほうがいいのかもしれない。

しかし、子供を殺害しようとする理由は、何だ。

何があるというのだ。

燈也にとっては、全く、道の出来事に近く、推理するという事が出来ない。

「あの・・・燈也さん・・・」

「どうした?」

「その・・・あの人が・・・来たそうです。」

「あの人・・・まさか・・・しかし、まともなデバイスは・・・」

「それが・・・テスト段階に入った、スラッシュケインを持ち出したそうです・・・」

「何だと・・・・・・?」

スラッシュケイン・・・使うのは、あの男の為に、製作した物であり、あの男以外、使うものなど、存在はしない。

あの男専用に製作をしたからだ。

ネクサスシリーズの兄弟気である、デバイス、スラッシュケイン・・・

「テスト段階とは言え、あれは、未完成だぞ・・・・・・?」

「しかし・・・S2Uも、デュランダルも・・・」

「そうだったね・・・迂闊だったよ・・・今、あの人のデバイスは、スラッシュケインしかない・・・」

「でも・・・道なの?実際・・・」

「マリアージュの一帯や二体・・・テスト段階でも、簡単に破壊できるさ。」







聖王病院・・・その男は、此処に、舞い降りた、一体のマリアージュを確認し、ただ、嘆く。

「変わったな・・・おまえ・・・」

かつて、親友と呼べるような関係に合ったはずだったが、いつ、変わってしまったのだろうか。

しばらく、会えない日々が、続き、再び、再会したときは、友人は死体となり、子供を殺す久々津にまで成り下がってしまっていた。


男は、一瞬、そのマリアージュを打つことを躊躇おうとしたが、首を一回、ゆっくり振り、その迷いを打ち消した。

どうせ消すのなら、我が手で、貴様を打つ。

スラッシュケインをその手に持った瞬間、スラッシュケインが、光が結晶化されることによって剣状の杖へと変化する。

人を切る物であると同時に、突き刺す物であるといえる。

かつての自分の使用してきた、デバイスたちの全ての遺志を受け継ぎ、作らせたのが、この、スラッシュケインというところだ。

これからのクロノのデバイスの中で、最も、使用される事のある、デバイスとなるだろう。

「クロノ・ハラオウン・・・参る。」

自分が、テスタメントであるという事を明かされた時から、何れ、自分は、世情の真中に立つべき存在になるのだろうと、思っていた。

マリアージュから打ち放たれる、触手の光線を、クロノは、華麗にスラッシュケインを用いて、弾き返し、弾き返した相手の光線は、消滅する。

「流石だな・・・此れの強さは・・・」

クロノが、唾を飲み込み、テスト段階であるとは言え、その力のいっぺんを見ただけで、驚いた。

「さぁて・・・!!!」

腰を屈め、そのまま、疾走し撃たれた光線を簡単に弾き、自分を突き殺すために、姿を表した無数の触手を、一回転しながら、避けるのと同時に、スラッシュケインで切り落とした。

回転した反動で、後ろに回ったが、一瞬で振り返り、クロノは一瞬、マリアージュを睨んだ。

「許せよ・・・・・・」

勢いをつけるために、体に捻りをつけ、止めをさす為の構えを取り始めた。

既に、マリアージュの中には、ユーノ・スクライアの僅かなパーツが、存在しているのみで、それらしい物など、もう、一部しか存在していない。

スラッシュケインの柄の部分を持ち、自分の魔力を一気に、スラッシュケインの中に注し、マリアージュの体を突き刺した。

「・・・・・・・!!!!!!!!」

クロノの魔力が、液状爆弾のような物となり、全て、マリアージュ・スクライアの中に送り込まれるのと同時、突き刺した部分から、火花が吹き出た。

爆発させるほどのエネルギーを送り込むのだ。

既に、敵の内部では、その、エネルギーの質量に耐え切れず、今にも、爆発しそうだった。

相手は、僅かながら、苦痛を感じているようにも思えたが、クロノは、そのようなこと、お構い無に、容赦無く、自分の魔力を相手の体に送り込んだ。

「はぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!」

かつての親友に対して、全力をつぎ込んで、破壊する。

そのまま、突き刺し、持てる力を、全て注ぎ込む。

もう、残す必要など、そこには、意味など、存在しない。

安心して、俺に殺されろ。

飛び散る火花の輝きに、クロノは、細めにしながら、マリアージュ・スクライアに、全てのエネルギーを注ぎ込んだ事を、体で実感した後、勢いよく、スラッシュケインを抜き放ち、マリアージュ・スクライアに背を向けた。

スラッシュケインの刃には、紅い何かが、べっとりとついていた。

それは、自分のエネルギーなのか、マリアージュ・スクライアの体内に流れる、特殊な液体なのか、スクライアの血液なのか、黒のは気にしたくも無かった。

ただ、背を向けそのまま、スラッシュケインを待機状体にした後に、

「ブラスト!!!!」

クロノは、天高く、右腕を上げ、目を瞑り、指を鳴らした瞬間、マリアージュ・スクライアが、爆発し、消滅した。

「クロノ・・・提督・・・」

シャッハは、その姿を見て、思わず、息を飲んだ。

「もう、提督じゃない。あのときの戦い・・・俺の託していた式のお陰で、提督から、二等空佐に降格だ。ついでに、執務官職も剥奪された・・・」

自分を残して、クラウディア艦隊の殆どは、消滅してしまった。

セブンスチャペルと言う、レイディーンによって、破壊されたものの、あの覚醒が無ければ、消滅させる事さえ難しかったといえる。

「そして、機動六課に配属・・・・・・降格したのが、今は、嬉しいと思ったよ。」

「そうですか・・・」

聞いてないことまで、しゃべるというのは、溜まっているという事なのだろう。

「エイミィ・・・・・・」

なのはと、フェイトを捜索する為に、瑠璃が消滅して以降、全く、エイミィにあっていない。

自慰する事すら、多くなってしまっているクロノが、そこにいた。

不思議と、他の女を抱く気になれない、

真面目な自分に、苛付く事さえあった。

「とりあえず、一度・・・戻ってみては、如何です?」

シャッハは、その提案をクロノに告げるも、クロノは笑って、それを却下した。

戻りたいが、それを行う手段と言うのが、今、非常に限られてしまっているのが、現状だ。

すずかの次元移動でさえ、テスタメントの昨日が封印しているが故に、不可能に近い。

レイディーンを使うのにも、書類が必要な状態となってしまうくらいだ。

それほど、時空管理局は今、弱っているという事だ。

まともに動くクラウディアなど、たったの5隻しかないし、その5隻を失えば、まともに、動く事など、出来なくなってしまう。

正に、弱体化の一歩を辿ってしまうという事だ。

次元航行は不可能。

ただの防衛組織へと変化を遂げる。

いや、その姿は、ある意味では、見たくなるものではあるが、ただ、世界を管理していた組織が、外部の恐怖に怯える姿は、反管理局の人間にとっては、失笑者といえるだろう。

ただでさえ、反時空管理局組織が存在している中で、今、エイミィのいる世界に変えることは出来なかった。

しかし、向こうの世界には、母である、リンディや、義母となる桃子がいる。彼女達がいれば、エイミィは安心できる。

「連絡は、取り合ってるんですか・・・?」

「あぁ・・・忘れてた・・・」

連絡くらいは、取れることを、天を仰ぎながら、クロノは思い出した。

今すぐ、声が聞きたくなった。

「行っていらしたら・・・如何ですか・・・?」

「あぁ・・・それもいいな・・・」

エイミィ・・・

エイミィ・・・

エイミィ・・・

ただ、声が聞きたかった。

愛した人の声を。

愛した人。

愛している人。

エイミィがいなければ、何もいらない。

そう、思い込むほど、彼女に入れ込んだ時期が合ったのを、クロノは思い出した。

この状況を、シャッハに任せ、クロノは歩き出した。

軽い足取りで、行けた。

声が、聞けるという、安心感からだろうか。

そうに違いないと、クロノは、一人頷いた。

直接的に会える訳じゃない。

しかし、会話は出来る。

それだけで良かった。

スラッシュケインを懐に入れながら、一人歩き出す。

「クロノさん・・・」

戻ってきた時、声をかけてきたのは、無論、燈也だった。

擦れ違い様に、スラッシュケインを燈也に渡す。

「すまん。」

「いえ・・・どうでした?調子は・・・」

「最高だ・・・」

確実に、敵を倒せる武器としてだ。

「すまないな・・・」

「いえ・・・今後、必要になるものですから。」

どの道、殺傷能力が高くなければ、ゴキブリは殺せないように、此処まで、強力なものが必要となった。

すでに、使者は訪れている。

クロノは、その報告を受けて、これからの激化を感じる。

スラッシュケインの再調整に入るために、動き出した、燈也と別れ、この事件が終わった後の結末を、クロノは考えていた。

ただ、此れが、プロローグのような気がしてならなかった。

そのようなことを考えていた時、自室の目の前にいた。

クロノは自室に入り、扉の鍵を閉め、エイミィに連絡を取り始めた。

「初めてだったな・・・そのまま、してみるか・・・」







「どうだい?スラッシュケイン・・・」

ネクサスシリーズの制作者は、燈也のみであり、それを修復、改良等をする事が出来るのは、燈也と、その燈也から、知識を盗んだ、すずか、そして、母であるプレシア・テスタロッサのみである。

「Ich war fähig, auf den besten Meister zu stoßen.Danke.」

S2Uに、デュランダル、二つのデバイスのコアから、クロノの戦闘記録を抽出し、新たな物として、取り込んだ、ネクサスシリーズ・3号機、スラッシュケイン。

「そうか・・・」

従来のデバイスを、助ける物とするのなら、ネクサスシリーズは破壊するためのデバイスであるといえる。

プレシア・テスタロッサの作り出した、最高傑作である、ネクサス。

零号機である、燈也のネクサス、1号機のすずかのネクサス、2号機のティアナ・ランスターのクロス・ミラージュ、そして、クロノのスラッシュケインで、4つのネクサスが、此処にあるということになる。

「そうか。それなら、いいよ。」

「燈也さん!!」

「どうした?ギンガ・・・」

慌しく、走ってくる少女を見ながら、燈也は、ギンガは慌しい少女だという、一瞬、親のような気持ちで見てしまった。

「彼女が・・・イクスヴェリアが、目覚めました!」

「そうか・・・予定より、速いね。」

「予定・・・?」

「いや、何でもない。」

ただ、彼は、少し、かけていただけである。

特に理由は無い。

スラッシュケインを渡した後に、燈也は、先ほどの部屋に戻るために、駆け足で移動した。

「スラッシュケイン・・・マリエルに渡しておいてくれ。」

「あ、はい。」

部屋に戻れば、既に、彼女は、目を覚ましていた。

「イクスヴェリア・・・・・・かつての、神滅大戦以降、何れ訪れるであろう、古代ベルカ時代の為に、僕とすずかが生み出した、子供か。」

「ハデスお父様・・・そして、ペルセポネーお母様・・・生まれ変わりであろうと、二人のお姿は変わりませんね。」

出会う事が出来たのは、本の一瞬。

二人が作り出し、そして、一瞬の邂逅の後に、ハデスとペルセポネーは次の時代に送り出した。

先代アマテラス・オリヴィエ、そして、当時のクローン技術で蘇らせた、スサノオ。

何故、月はいないのか、それは、戦神が愛したのは、太陽の神ではなく、月の神を愛したからだ。

新世界の創造のときに、いくつか、世界は、分裂した。

それが、かつて、悠介のいた世界と、このミッドチルダ。

文献を調べた燈也は、そのように考えた。

そこから、世界は、無限に派生したということなのだろう。

全ての世界。

全てが、蘇り、全てが、生まれ変わった。

月の神に嫉妬した、太陽の神は戦神にそっくりのクローン・・・

覇王を生み出したということだ。

「何故目覚めた・・・お前は、普通と同じようにして、あの世界に送り出した筈だ・・・」

イクスヴェリアを見るたびに、前世の自分の記憶が蘇る。

「解りません・・・しかし、私は、眠らされていたのです・・・永遠に近い、眠りだと思っていました・・・」

「でも、目覚めてしまったのね・・・」

「はい。そして、私の意に反して、無駄に、殺戮を繰り返す、マリアージュを・・・みました・・・」

「あれは、イクス・・・君の、所有物だった筈だ。」

しかし、目覚めた時、そこに、素体は存在していなかった。

マリアージュの核というものさえ、全て、無くなっていたのだ。

恐らく、持ち出したのは、あの男だろう。

「お父様とお母様の力を感じて・・・アマテラス様に導かれて、私は、ここに来る事が出来ました。」

「たいへんだったな・・・」

「でも、お母様たちの顔を、また、見ることが出来て・・・嬉しかった・・・よ・・・?」

「そうか・・・」

まだ、子供だった。

純粋すぎる、子供だった。

また、巻き込んでしまうという事なのだろう。

「マリアージュは・・・苦しんでいると思うんです・・・」

「何故・・・?」

咄嗟に出た、疑問だった。

「自分の意を解さず、無駄に殺戮を繰り返させられて、殺した人を無理矢理取り込み、自分の糧とする・・・私は、そんなことを、望んでいませんでした・・・」

「解った。何とかしよう。」

「できれば・・・全て、破壊して・・・お父様、お母様・・・」

「えぇ。」

「何とかしてくれると思うよ。」

スサノオが、動き出す時には。









「ウシロカァァァァ!!!!」

一瞬の出来事だった。

男が、ナイフを、キャロにむけた瞬間、キャロは、一瞬にしてかがみ、男の足を払った。

男の描いた、ナイフの軌道は、彼女とは別関係の位置で描かれ、その瞬間に、キャロは、ストラーダを振り払うように、切り上げて、衝撃波を生み出させ、覆面の男に対して、攻撃を仕掛け、確実に殺そうとする。

「速い・・・・・・!?」

「返せよ!!!!!!!」

変わっていく。

それが、今のキャロ。

バリアジャケットは、純白から、漆黒へと返還され、さらに、システムも、防御的なものから、攻撃的なものに変わり始める。

既に、その瞳は、殺人を起こすことすら、躊躇わない、人間の瞳だった。

「それにしても・・・・・・」

覆面の男は思う。

先ほどまで、普通の優しかった、ましてや、戦闘に向かないほどの少女が、此処まで、アグレッシブに動き、自分を恐怖させているという真実。

「ラァァァァァァァァァァァ!!!!!!!!!!!」

精神が、肉体と言う存在を凌駕して、思うが侭の動きを、自分の物とする、アル意味では、人間として、極限の状態に、今、彼女、キャロという存在は置かれている。

踏み出す一歩が、牙を研ぎ澄ませた、獣の如く、野性的な動きをし、相手を追い詰める。

覆面の男・・・

エリオを殺した、キャロにとっては、殺しても、殺したり無いほどの、憎く、憎く、憎み足りないほどの男。

既に、動きは、人のものではなくなっている。

彼女は、人ではないのだ。

既に、獣となりて、竜を使役し、相手を確実に仕留める、接近戦のスペシャリストとして、覚醒しようとしている、ある種、本能のままに戦っているといってもいいだろう。

幼い少女が、何をしたというのだろうか。

先頭の愚かさを、垣間見る事の出来る瞬間であるといえるだろう。

今の彼女は、その愚かと言える部分を取り込み、力へと変換させ、そこに存在している。

殺すために。

戦場の掟に従い、自分にとっての悪は消す。

牙を剥き出しにし、身軽な少女は、一歩、一歩、駆け足で、相手にせまり、殺しにかかる。

覆面の男は、どこから、攻撃を仕掛けてくるのか、それを予測する事すら、不可能だった。

「ブースト・・・アップ!!!」

刃を強化し、徐々に、相手に迫る。

シュッ、という音と同時に、キャロは覆面の男の胸倉を既に掴んでいた。

「はぁっ・・・!!!!」

後は、突き殺すだけで、この、全てが終わりを告げる。

躊躇う事無く、キャロが、その男を突き殺そうとした時だ。

手首、足首に異様感を感じた。

目を、ギョロリと動かし、異様感のある部分を見てみた。

光のチェーンが、自分をキツク、キツク、拘束していたのだ。

これを、バインドと言う事であると思い出したのは、そのチェーンを見た瞬間だった。

バインド

自由が利かず、目の前に、得物がいるというのに、殺すことの出来ない、屈辱感、そして、今度は自分が殺されてしまう、恐怖感を同時に、その身で感じた。

「フリィィィィド!!!!!!!」

その姿を見る前から、既に、フリードは動き出し、既に、上空へと駆け上り、この出来事をみす越していたかのように、男に向かって、炎を放っていた。

男のナイフが、キャロの心臓に迫りそうになったときには、既に、男に炎が落ちた。

次の瞬間には、火葬と言うべき、火柱が上がり、男と言う存在を焼き尽くす。

「くくく・・・ふふふ・・・ははははははは!!!!!!!」

燃え盛る、男の状態から、精神が乱れたのか、キャロは、バインドから解放され、ストラーダを手に持った。

そして、目の前にいる、燃える獲物を見て、笑う。

改めて、ストラーダを、キャロは構えた。

もう、そこから、逃げることなど、出来やしないだろう。

地獄の豪炎に焼かれ、そして、私に貫かれて、貴様は死ね。

既に、相手の心臓は捕らえた。

牙突のように、キャロは一撃で、突き殺す構えを取り始めた。

悠介が行えば、上半身などは吹っ飛ぶだろう。

悠介が行え場だ。

しかし、この小柄な少女が行えば、どうなるか。

こういうものには、興味と言う者が湧く。

燃える。

燃える。

燃える。

燃える、男の体。

この男に、裁きが下されるように。

地獄の炎に焼かれるという、苦痛を、その身に受けている男は、声にならない、雄叫びを上げ、黒煙を生み出し、その上空には、亡霊が漂っているように見えた。

そして・・・

「シネッ!!!!!!!」

キャロが、そのまま、槍投げに近い上で、ストラーダを持って腕を、勢いよく、前へ、力強く、押し出し、鉈が、そのまま、男の胸を貫こうとした時だ。

キャロは、確実に、男の胸を仕留め、既に、その身は返り血を受けていると思っていた。

そう、思っていたというのに、その、血と言うなの、熱い感覚が、中々伝わってこない。

いや、貫いていなかった。

その男の体に、触れてさえいなかった。

どういうことか。

キャロの心臓の鼓動が、常人以上に、緊張している人間以上に早まる。

自分は、何をやっているというのだ。

鉈は、男の着用しているスーツの胸元1mmで動きを止めていたのだ。

何故、何故、何故、何故、何故、何故、何故、何故、何故、貫くことが出来ない。

鉈の先を見ると、男の口から、黒いものが飛び出し、いや、黒煙自体が、キャロの動きを止めていたのだ。

黒煙は、キャロが、あの時感じた、気持ち悪いものだった。

負けるのか。

ただ、この気持ち悪いという、感覚だけで、自分は、負け、エリオの仇を取る事もできずにしんでいく問い言うのか。

黒煙は、キャロの体に、蛇のように、取り付き、取り付いた部分から、人の顔が浮かび上がる。

おいで。

おいで。

一緒になろう。

此処においで。

キャロの前進に、戦慄が走り、そう、言われているような気がした。

おいで。

おいで。

キャロの体に、戦慄が走り、意識を、この黒い、気持ち悪いものに乗っ取られそうになるほどの、気持ち悪い感覚が、走り出し、失禁する。

なけなしの力を使い、開いてる腕を使って、口を塞ぎだした。

そうでもしないと、耐え切れないのだ。

気持ち悪い。

気持ち悪い。

気持ち悪い。

気持ち悪い。

しかし、耐え切る事など、彼女には出来なかった。

この年齢の少女に、今の参上を全て受け止めろというのは、それは、無理からぬこと。

「おぇぇぇぇぇぇぇ・・・・・・・・・・・・・・・!」

等々、口から、汚物を吐き出し、抑えていた腕は、キャロの内蔵に入っていた物塗れとなる。

「おいで。」

頭の中で、キャロの頭の中で、ゴシック文字となって、その言葉が、キャロの頭を汚染させ、彼女の思考を停止させてしまう。

一方の男は、そのような時代に気付かず、ただ、ただ、地獄の炎に苦しむだけだった。

フリードは、何も出来ずに、ただ、止まるのみで、無力となっていた。

「来ないでぇぇぇぇぇぇぇ!!!!!!!」

おいで。

「いやぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!」

おいでという文字と、自分の吐いた汚物の臭いが、彼女の全てを奪っていく。

彼女が殺せなかったのは、殺しをする覚悟が足りなかった。

いざ、殺すというときに、躊躇ってしまった、キャロという存在がいた。

心の中で見ていた、キャロという存在ではなく、キャロとして過ごしていた、キャロが、殺すことに、仇をとる事を、躊躇ってしまったのだ。

少女は、ただ、ただ、無力な存在と成り下がってしまっていたのだ。

ただ、彼女の叫びが、店を貫き、フリードの耳に入り、精神は、気持ち悪いものに汚染されかけている。

連れて行かれてしまう。

確実に、連れて行かれてしまうのだ。

向かってくる、黒い、人の顔をした、蛇のような物は、ストラーダを掴んでいた、右腕に完全に、巻きついた。

「あぁぁぁああぁっぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!!!!!」

もう、人間の声にならない、叫びを、彼女は上げる。

そうすることで、少なくとも、彼女の人間としての何かを保っているかのように思える。

気持ち悪いものは、次に、彼女の首から、下を汚染し始める。

「気持ち悪いものがぁ・・・・・・・・・・私のなかにぃぃぃぃぃぃ・・・・・・・・・」

あぁ、哀れな殺し損ねた少女よ。

このような状況になろうとも、まだ、誰も、来ない、そして、何もできない、神は手を貸すことなど、ないという無情な世界が、彼女を襲う。

さらに、彼女の精神は汚染されていく。

「あぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!!」

おいで。

おいで、僕達の場所へおいで。

「こないでぇぇぇ・・・・・・こないでよぉぉぉぉぉぉぉ!!!!!!!!!」

何も出来なくなって、叫ぶ事しか、叫ぶ事しか、彼女には叫ぶ事しか出来なかった。

地獄にいる人間達が、その苦痛に酔って、醜い雄叫びを上げるように、彼女の叫びは、女でありながら、醜く、魅力的なものではない。

微動だにせず、彼女は、ただ、叫ぶ。

「いやぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!!」

入り込む、何か

「うぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!!」

叫ぶだけ、彼女は叫び、喉は、渇き、とうとう、叫ぶ事でさえ、出来なくなってしまった彼女は、本当に、無力な存在となった。

何も出来ない。

意識を、失いそうになってしまったとき、一瞬、世界が、黒く染まり、目の前に現れたのは、脳や、肉が、全て見えている、血だらけの自分。

あまりに、グロテスクである為に、精神世界でありながら、ニ止めの嘔吐をし、もう、助からない。

そう、思ったときだった。

「キャロ!!!!シャイニングシュート!!!」

それに、キャロは驚かされた。

シューティングモードのクロスミラージュから、放出された光は、キャロの精神、体から、気持ち悪いものを、全て追い出した。

長距離からの光を送り込むような、狙撃が、今、キャロの前で繰り広げられ、黒い包み込んでいた何かは、一瞬にして、男の体の中に戻っていった。

あまりの出来事に、何が怒ったか解らなくなった、キャロは、虚ろな目でありながらも、必死に、自分を助けてくれた、相手の目を見た。

ティアナが、まだ、男との間に距離を取りながら、急ぎ足で駆け、キャロを回収する。

「良かった・・・まだ、生きてた・・・」

絶望という名の恐怖心に囚われる、気持ち悪さであると、ティアナは、あの男の気持ち悪さに触れて思った。

しかし、まだ、まだ、キャロが生きているという事が解る。

完全に飲み込まれる前に、彼女を助ける事が出来たのは、唯一の成果といえるのではないのだろうかと、自分で、こうなる前に、何とか出来なかったことを、そうすることで、安心させる。

「後は・・・悠介・・・」

ティアナは思う。

ヴォルケンリッターを燃したであろう、あのゾンビ達と、どのようにして戦い、今、どのような状況におかれているかと言う事をだ。

「キャロ・・・送れてごめんね・・・」

精神的に、参っているようにも思える。

彼女の存在を見て、ティアナは、ただ、謝った。

此処まで、彼女を廃人のようにする必要は、どこにあったというのだろうか。

ただ、握ったまま離さない、ストラーダ・・・

ある種の復活を・・・

このデバイスは、キャロという少女に望んでいるという事なのかもしれない。









気持ち悪い怨念が、戦場から、一瞬、消えてしまったことを、悠介は感じ取り、向かっていた足を止め、安堵の溜め息をそのまま、吐いた。

自分は何時からだろう。

そのような記憶は無い。

どこにでもいる。

訳ではない。

何時だろうか。

記憶など、思い出せない。

あの背景で思い出せるものなど、何も無い。

まだ足りない。

ただ、知ったのは、高町なのはと言う女が、9歳のころから、戦場にいたということくらい走る事が出来た。

ただ、自分が、どれくらいのときから戦場に出ているのか、少し気になった。

ただ、自分も、幼いころから、戦場に身を置いていたような気がした。

何と戦っていたのだろうか。

思い出すのは、威圧。

寒くなる世界の中で、自分は、一人で、何かと戦い、そして、それ以上の物と闘っていたような気がした。

背後に、思い浮かぶのは、トモヨという名前の女。

誰だか、解らなくなっていた。

自分の中では、どういう女なのか。

どういう存在なのかなど、解る筈も無かった。

まだ、その時期ではないのだろう。

悠介は心の中で、自分に、ただ、そう、言い聞かせ、満足させようとしていた。

しかし、そうではない。

本心では、知りたくて、知りたくて、自分の欲求が爆発しそうな気分に、いつも刈られてしまう事がある。

悠介は眼を瞑って、ティアを待つ。

「来た・・・ティアか・・・」

悠介は鞘に、刀を戻す。

そこには、精気と呼べるものを、あの気持ち悪いものに、吸い取られてしまったように見える、キャロと、彼女をおんぶしながら、運んだ、ティアナ・ランスターだった。

「おつかれ・・・」

「まぁね・・・それより、早く、シャマル先生の所にいかないとさ・・・」

悠介は、ただ、頷くだけだった。

「しかし・・・あの男・・・とんでもない術を・・・」

あの時、感じた、気持ち悪い正体というものを、やっと理解する事が、悠介は出来た。

言わば、諸刃の剣であり、下手をすれば、無意味に殺戮を繰り返すようになってしまうという、一つの狂気と言える術。

自然と、唾を飲み込み、事の重大さを、悠介は取り込まれ、思い出したことで、改めて理解する事が出来た。

かつて、感じた事がある。

あの時戦った、最悪の敵。

術者は人間であり、人を喰らい過ぎて、鬼となる。

その代償は、幼子まで殺すような感覚にまで、落ちぶれ、最終的には、赤子を殺しにかかる。

外道になるための術と言えるだろう。

いや、すで、その術に触れたときには、外道と化しているということなのだ。

人として、最も、使ってはならない技を、つかい、その男は、悠介に殺されること無く、消滅してしまった。

「自然と消滅させるには・・・力の消耗か・・・」

もとより、既に、人間の情を捨ててまで、力を欲する為に、そのような力を得たような人間を生かすつもりなのド、無い。

確実に、あの時以上の戦いを繰り広げ、力を無理矢理消耗させるしかない。

自滅させるには、それが、必要となる。

「ディバインバスタァァァァァァ!!!!!!」

悠介の耳が、キーンと、鳴り響いた、その時だった。

反射的に、悠介は、その光から、避ける事が出来た。

「ディバインバスター・・・・・・?」

振り返れば、そこにいる。

鮮血が吹き出ていた。

「ヨケンナヨォォォ!!!」

男はそのようなことを言う。

無理である事くらい、相手がよくわかっているはずだ。

何せ、良ければ、しぬほどの光を、その身で浴びそうになったのだから、それくらいの、良識は、もって頂かなければならない。

「オシャベリハオワリダァァァァァ!!!!アクセルディバインバスタァァァァ!!!!」

その時だ。

魔力砲が悠介に向かって飛んでくる。

「ちっ・・・此処で、避けりゃ、被害がでかいな・・・計都、羅睺!!」

その時、悠介の目の前に結界が現れる。

男のその技はトライデントスマッシャーに似ていると、ティアナは確信した。

近接戦闘専門家と思いきや、砲撃戦が得意とは、ある種、予想はつかなかったといえる。

ご丁寧に、レイジングハートのような形にまで模している。

魔力砲が微妙な時間差で発射されるも、二つの神の力を利用した結界は、その攻撃の一部を通したが、被害は少なめに済んだ。

時間差で発射されたはずだが、その結界に飲み込まれるような形で終わったのを、男は理解できなかった。

「これが、計都と羅睺。どの世界にもある、土を司ったり、汚らわしさを嫌う星。それを利用した。」

「クッ・・・」

全く、相手を過小評価していた。

そう思った男は決まったと思った。

だが、

「それくらい防がないと、意味無いんだよ。」

「グッ・・・」

やはり、伊達ではない。

シグナムをも敗北させた、剣の申し子といっても良い。

いや、神。

確かに、あの時、全てと一定鋳物を、破壊することが可能になった殺気。

「ディバインシューターフルパワー!!」

それでも、この男には、一矢報いたかった。

光の弾丸。

無数といってもいいだろう。

「・・・」

悠介はただ、無言で、その迫りくる光の弾丸を、腕を組みながら、眺めていた。

至近距離状態の時、鞘から、刃を抜き放ち、無数の光の弾丸を2、3回、振るい、破壊し、何も無かった状態にした。

「やはり・・・弱いか・・・今じゃ、自滅は狙えない・・・」

この男を殺すことより、キャラの精神状態が気になる。

一度、ティアナを逃がす為に、念をティアナに、悠介は送り出す。

それと同時に、ティアナは、駆け出した。

それを逃しは住まいと、覆面の男が動き出す。

しかし、それを許すまいと、動き出した、男を止める為に悠介は動き出す。

「あんた、殺す!!」

遠距離攻撃をする奴は厄介だ。

「ちっ・・・速い・・・」

覆面の男は、上昇し、悠介から、逃げようとするも、如何せん、悠介が速い。

驚き、此処で、自らの心臓が止まりそうになるほどの窮屈なスピードが、ギリギリで、悠介と自分の距離の一定を保っていた。

「このまま・・・突き昇れば・・・」

酸素の無い場所へ。

さらに相手は、縮地のスピード。

恐らく、本気ではないかもしれない。

しかし、その二つがあわさった時、目にも移らぬ速さとなる。

男は、ディバインバスターを撃つ。

それまが悠介に襲いかかる。

だが、草薙の剣の刃に当たった、ディバインバスターの光が割れる。

「しかし、良くやる!!!」

覚醒しつつあった。

怒りによって。

それが、自分のお陰であるという事など、全く気付かないこの男は、哀れと言える。

「何があった・・・!?バインドさえとく事の出来なかった小僧だぞ!?くっ!!」

悠介が、追いついた瞬間には、そこに、誰もいなかった。

「ここにアイツはいないっ!」

そう。

そこに、男はいないのだ。

陰に隠れて移動していた。

「クロスファイヤー・・・シュートッ!!!」

既に、男を目指すことは解っていた。

だから、男はあのディバインバスターを撃った瞬間に、その場から移動していた。

さらに今度は16発の光の弾丸を再び一斉発射。

「黙れっ!!!」

その一言で光の弾丸が全て消えた。

悠介は草薙の剣神殺で円を描き始める。

「何を始めるつもり・・・?でも・・・」

男はそれを危険だと悟り、攻撃を開始しようとする。

悠介が何を始めようとも。

何を使おうとも。

「フィニッ・・・」

それで片付いた。

と、思っていただけだった。

何があったか。

止められたのだ。

悠介の描いた円に。

その円から、徐々に出来上がっていく。

魔方陣が。

その魔方陣、ミッドチルダ式でもなければ。ベルカ式の物でもない。

独特の日本のもの。

漢字で形成された。

東洋魔方陣。

そこに、草薙の剣がゆっくり・・・

輝き始める。

その意味を思い出す。

その使い方。

それが、何を意味するものなのか。

「悪いな・・・・・・」

悠介がその力を解放する。

それこそ、日本の神。

スサノオの生まれ変わり。

日本最強の武具。

「天叢雲剣・・・・・・」

三種の神器の一。

草薙剣・都牟刈の大刀・八重垣剣も称される。

三種の神器の中では天皇の持つ武力の象徴であるとされる。

スサノオが出雲国で倒したヤマタノオロチの尾から出てきた太刀で、天叢雲という名前は、ヤマタノオロチの頭上に常に叢雲が掛かっていたためとしている。

剣はスサノオからアマテラスに奉納され、天孫降臨の際にニニギに手渡された。

以降、皇居内にアマテラスの御神体として八咫鏡とともに祀られていたが、崇神天皇の時代に皇女トヨスキイリビメにより八咫鏡とともに皇居の外に祀るようになり、途中で垂仁天皇の皇女ヤマトヒメに引き継がれ、あわせて約60年をかけて現在の伊勢神宮内宮に落ち着いた。

剣の名前の由来はヤマタノオロチの頭上にはいつも雲がかかっていたので「天叢雲剣」と名付けられた。

「殺すぜ・・・?!」

その剣。

神の剣也。

しかし、その神の剣。

神の美しさを持っているといってほどの、美しさを持っている。

ただの、刃に見えたはずのものが、髪が持つに相応しいほどの輝きを発しているという事に、男は、一瞬の恐怖を覚えた。

全身に、悪寒が走る。

「失禁してんじゃない・・・・・・」

「くっ・・・・!!」

天叢雲剣が、覚醒するという事は、スサノオの覇気が、少し、戻ってきたという事だ。

今まで隠されていた。

その覇気。

この剣を持っていたのは・・・

「スサノオ・・・」

スサノオの覇気が、吹き返す。

男が動けなくなったのは、その魔法陣では無い。

スサノオの覇気が、そうさせたのだ。

ある種、目覚めつつある、スサノオ。

それが悠介だ。

「天叢雲剣・・・神だよ。」

悠介と草薙の剣が組み合わせることによって、真の姿を現す。

言うなれば

「あんたの中にいる怨霊を成仏させる為の剣。というのが、こいつの真の姿。」

その剣の大きさは普通の刀と変わらない。

草薙の剣と全く変わらない大きさだった。

「変わっていない・・・?」

「いや、変わったさ。」

より、扱いやすく。

そして、より強く。

「うらっ!!」

刀を振ることによって恐ろしいほどの風の刃が襲い掛かる。

一発。

ただの一発であるはずが男のデバイスはその一発でぼろぼろになる。

「嘘だ・・・」

「思い出したよ。この力。あんたの卑劣な術の行いでさ・・・」

記憶が無い。

ならば、どういう力か、確かめる必要がある。

だが、男をあそこまで傷つけた。

その力は

「凄まじい・・・ね。」

だが、思う。

それが、

「こいつの真の姿・・・ね?」

そう。

思い出す。

自分はかつて、この刀で戦っていたということを。

では、何時、今までの戦いで、それをしなかった。

記憶が思い出せない。

何故、思い出せなかったのか。

この術を見た瞬間から、自分の封印した記憶の中に、どれほどの術の知識があるというのか、気になっては、いた。

恐らく、此れは、強化魔術に近いものだろう。

誰かを思い出しそうになる。

かつて、あの男と戦い、使用した術の中には、人の礼が、怨霊となって、その男の体の中に染み付く。

その中に入ってしまった。

少女や、罪の無い人間達。

記憶に関するプロテクト。

それが死霊術というワード。

「この、強化した姿になった・・・」

その名。

「天叢雲剣」

それで真の姿の力を見せる。

「アレが、なのはの、代わりの力・・・」

ある種、本気の時のなのは異常の力を、男は感じてしまった。

高町なのは以上の存在が、そこにいる。

悠介の新たなる力を目撃。

さらに、牙突。

「っ・・・・・・!!」

刀を頭上に掲げるように構え、刃先を挟むように、二本の指がブレを防ぐために、支えられる。

剣術の突きを徹底的に磨き上げ、最上級の物として、昇華させた、最高の突きと言える。

男は、ただ、デバイスを前にむけることしか出来なかった。

「ディバインバスター」

ただ、それを苦し紛れに撃った所で、スサノオの破棄と言うものによって、簡単にかき消され、消滅してしまう。

恐らく、敵は、戦闘と言う者をあまりしたことが無く、独自の戦術で戦っているという事なのだろう。

それでも、空戦の際に男はこの技をなのはのように、多用する。

それを五発。

撃ち込んだ。

すぐにレイジングハートにそっくりに作られたソレのストライクフレームを展開した状態で前に突き出す。

その魔術の名は

「ACSドライバー」

そのまま噴射口からブースターを展開して一気に加速飛行しながら突撃する。

動けない代わりに、そのブースターの加速力のみに任せて、攻撃するという事だろう。

対象とすれ違うだけ一気に攻撃&破壊することが可能。

悠介はそれでも、絶対に勝利する事が出切ると言う確信があった。

何が雇用とも、絶対に勝利する自信と言う物がある。

相手は、怯えているのだから、既に、臆していない、悠介に軍配が上がるといってもいいだろう。

「こいよ。」

「う、動けない・・・」

どう、あがいても体は動けないようだ。

「高町なのはの魔術だろ?行くよ。」

その、技再び対抗するために。

一気に顔が険しくなる。

その顔、般若の如く。

「さぁ・・・・・・!!!」

その技、絶対昇華した物。

しかし、まがい物とは言え、ACSドライバーだ。

その威力は、それなりに強い物だろう。

悠介の牙突の真意。

何を秘めている。

それは牙突の衝撃を出来る限り最大に上げる。

それは、

全ての・・・

持てる・・・



ソレを・・・

その力を刀身が保つまで上げる。

体のバネを、限界まで引き伸ばし、いつでも、放てるように。

その、ギラリと輝く目は獲物を完全に捕らえた、龍の目となる。

その威力は、爆発的なものとなりて。

正に、龍が突撃するかの如くの強さ。

正にその龍。

四霊の一つにあげられている応龍の如く。

その応龍の逆鱗に触れたの如く。

荒々しく。

また、それは激しく。

「なのはぁぁぁぁぁ!!!!!!」

男が叫ぶ。

その叫びが、助けになると信じて。

苦し紛れで撃った、ショートバスターの砲弾が龍の糧になる。

流石にそれを見て、男は吐き気さえ襲ってきた。

「MASTER」

「大丈夫だよ。レイジングハート。」

レイジングハートモドキを落ち着かせるように。

怯えながらも、冷静に、この状況を見極めていく。

「アレは、本気・・・でも、完全じゃない。」

まだ、先があるようなことを見抜いていく。

完全の本気ではない。

自分でも、何を言っているのか解らないなのは。

しかし、表現的にはそれが正しいのだ。

動き出した、最大にまで、動き出した、二つの突撃の技は、一方では、恐怖に誘われ、一方は恐れを知らぬ、神の覇気をまとう。

いや、そうでなければならない。

ACSドライバーと牙突。

その技が激突する。

どれだけの衝撃が来るか。

解ったものではないのだ。

ただ、もしかしたら

「レイジングハートが・・・」

壊れてしまうかもしれない。

「さて・・・やるかっ!!」

今までのが、嘘のようでありたかった。

再び、そのスピードが、上がる。

そして、男と悠介が重なり合う。

その時。衝撃が発生する。

「グ、うっぁあぁあぁぁぁあ・・・!!」

この男の力は、弱い。

その男が絶叫を上げる。

これ程までのエネルギー衝撃波はなかった。

応龍

なのはは例えるならば、よくて、スズメと言ったところか。

いや、この男を、神、または、鳥と例える事が、失礼と言えるほどにまで、弱い、弱すぎる力だった。

「強い・・・・・・」

男は改めて、悠介の強さを実感する。

レイジングハートモドキで、草薙の剣を相手する。

日本古来からの最強の剣を融合させたその姿。

衝突するエネルギーの中、悠介は刀を一度轢かせる。

「何!?」

男はその真意が解らない。

男はその勢いに負け、悠介に後ろを許してしまう。

「そんな・・・」

何を
「企んでいるの!?」

ACSドライバーを解除。

まだ、何とか真っ向を向いている。

だが、悠介の技は男に迫る。

「らっ!!」

刃は抉るように駆け抜け、龍が上昇するようになのはに襲い掛かる。

その刃に龍が宿っているかのごとく。

男はそれをレイジングハートモドキで受け止めるも、その龍に負け、天空に連れて行かれてしまう。

「うあぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!」

斬撃は終了している。

だが、悠介の生成したした魔力の龍の力は大きい。

それになのはの体が持っていかれてしまったのだ。

技の名前は、思い出せない。

しかし、斬撃が終わっても、龍が相手を襲い掛かる技。

正に、神を象徴する悠介の技であった。

「なのはっ!!」

「無駄だよ・・・誰も、きやしない。」

しかし、そのとき、金色の斬撃が、悠介に襲いかかる。

「あまり、調子に乗りすぎないほうがいいよ?」

女。

しかし、かなりの力がある。

その女は、バウータという、仮面を身に付けて、気付いた時には、既に距離を取っていた。

「速い・・・・・・」

バウータの女。

白いバリアジャケットを、身に纏っている、この女は、間違いないと思った。

あの時、エリオとともに、覆面の男を殺そうとしたときに、夜空に現れた、もう一人の、砲撃をした魔導師の隣に、縋りつくように、存在していた人間だ。

その力、一瞬、戦慄さえ、覚えた。

悠介は、ただ、距離を取った女を、キッと睨む。

バウータをつけた女は、何も言わなかった。

そして、覆面の男は、既に、別の魔導師によって、もう一人いた、その魔導師回収されていた。

悠介は呼吸を一つ乱すことなく、ただ、息を飲む。

数的に、恐らく、今、全力で当たったとしても、負ける事は必須と言えるだろう。

「無理に殺さないよ・・・ただ、今は、じっとしていて。」

魔力で形成されてきた手錠が悠介を捕縛する。

「小賢しい!!!」

その覇気でバインドを悠介は、破壊する。

全てを破壊する。

いや、消滅させる。

「全く、仕方が無いな・・・」

「敵を信用するほど、俺は甘くない。」

おそらく、敵は、本気だろう。

本気の人間相手に手加減などすることが出来るわけもない。

攻撃すれば、それこそ、殺す殺されるの戦いになる。

それが、本番の戦い。

訓練もなにも無い、本当の殺し合いというものを、それほどの実力を、あの女は持っている。

だから、追いかけようとすることも、出来なくなっていたし、恐らく、今、あの男の魔力を探すのは無理だろう。

バウータの女は、解放されたデバイスを待機状体にする。

余裕があるというのか、どこか、それは屈辱に似たような感覚で、悠介は受け止めた。

「全く・・・」

目の前にいる女に、少し、怯えてしまっているという事も、事実。

いや、それは、この女のオーラと呼べるものではなく、この女の背後にいるものを感じ取ったからだ。

敵の根源的なもの。

恐らく、自分を捕らえている物は、ソレだろう。

心臓が、ドクン、ドクン、ドクンと、速度を速め、眼球を見開きながら、ただ、その女の後ろにいる何かを探ろうとしていた。

出切れば、今すぐにでも、目の前にいる女を切りたかった。

また、それ以外にも、自分の血のようなものが、この女を殺してはならないと、警告する。

いったい、この女は何だ。

自分は知っているのか。

知っている、女なのだろうか。

知っているのなら、知世と言う名前が、頭の中に浮かぶ。

悠介とて、圧倒的な力をもっているが、その女も、持っている。

魔力だけでは無い、何かを使用している証。



それは、神の力。

テスタメントであるという事だろう。

やはり、目の前にいる女は、知世なのだろうか。

ならば・・・

あの時、あの男を運んだ、もう一人の女は誰だ。

(知らない奴・・・・・・)

悠介は思う。
あの二人は自分がよく知っている。

誰かと同じ力。

その力。

一体、その力は。

(まさか・・・)

あの二人はそうなのだろうか。

(いや、待て・・・・・・)

死んだはずだと、思っていた。

しかし、それが、目の前にいる人間と、知世と言う名前の人間と同じようには思えなかった。

(魔力以外に・・・)

それは宿っている。

(なんだ・・・神の力・・・?いや、よく似たもの?)

その身に宿す力。

それは神の力。

理解できない状況が、続き、目の前にいる女は、何もしてこなかった。

「悠介・・・」

「知世・・・!?」

似ているような気がした。

「お前は・・・」

誰だ。

悠介が、この女に問い掛けるも、女は、何も答えやしなかった。

さらに、仮面を被っているから、何も読めなくなっている。

マネキンに話しているような気分になった。

何も言わずに。

ただただ、時間だけが、過ぎていく。

「風・・・」

女は、何かを感じた。

「はい。終わり。」

「え?」

終わりと言い出したのは悠介。

「どういうこと?」

「おとなしく、連行されてくれないか?」

悠介が敗北を悟る。

女自身、ソレはありえないことだと思っていた。

負けを認める。

悠介は、そのようなこともしないと、女は教えられてきたからだ。

「敗北したのは、あんた。」

「えっ?」

理解できない。

「どういうことなの?」

一瞬、女の中で、血の気というものが、引いていくような、感覚を覚え、何かに、恐怖するように、一瞬、腕が、挙動氏、眼球は、周りを見始める。

「周りを見る。」

女が周りを見てみる。

それを見てみると

「そんな・・・・・・」

「チンク・・・」

そして、

「セイン、オットー、ノーヴェ、ディエチ、ウェンディ、ディード・・・そして、スバル・・・」

全員だ。

其の全員がこの女を囲んでいた。

敗北とはこのことである。

まさにそこにいるものこそ。

なのは達の周りにいるものこそ。

「ナンバーズ・・・」

女はそのような言葉を口にする。

「あえて、負けるとしましょう。勝利する事は可能かもしれませんが、数的に不利であり、スサノオがいる・・・」

殺せるかもしれないというものの中に、誰かを傷つけてしまうかもしれないという、嫌な感情が、自分の中に渦巻を巻いていく。

しかし、傷つくのであるのなら、ソレは、それは、一帯、誰になるのだろうかという、ある種の恐怖が、悠介の中に入り込んでくる。

誰かを、傷つけてしまうほどの恐怖が、悠介の中に入り込んでくる。

「ちっ・・・・・・」

それでも、相手にその感情を悟られないように、平常心を悠介は、保つ。

ただ、目の前にいる、女を睨む。

「ふふ・・・確かに、勝てないね。」

残りの魔力の差というものではなく、女のエミには、余裕と言えるものがあった。

勝てない。

悠介は、ここで、全員で、この女と戦ったとしても、絶対的に敗北してしまうという、完全な敗北を悟った。

目の前にいる女は、殺すということに、完全に躊躇いは無い。

普段の自分なら、そうであるはずなのに。

あの男を回収した人間の中であるのなら、完全に殺すことだって出来るのではないのだろうか。

思わず笑みを浮かべる。

「今日は、見逃してあげる。スカートをはいた、男の子、悠介君。」

「このまま、あの男を殺してくれれば・・・助かるんだけどね。」

「そうはいかないよ・・・・・・アレでも、慈悲を与えないと・・・・・・」

「慈悲だと!?何人もの、罪の無い子供を・・・」

チンクは、思わず、その女に向かって、叫んだ物の、悠介に止められた。

そこで止まったのは、完全なる、スサノオの破棄を感じ取り、一瞬、恐怖してしまったからだ。

悠介は、天叢雲剣をそのまま、鞘の中に入れ、いつでも、殺す準備を行っていた。

「天叢雲剣・・・だっけ?良いんだよ。此処で、殺しても。でも、殺せないよね?」

殺すことが、出来なくなってしまっているという事を、既に悟られてしまっている。

こうなれば、悠介は使えない。

戦えるのは、ナンバーズの人間達のみ。

しかし、目の前にいる女は、ナンバーズ達には、絶対に倒す事が出来ない。

スバルは、一瞬、悠介を見た。

そして、その額から溢れ流れている、汗から、目の前にいる女の強さが、どれくらいのものかを理解する事が出来た。

実力をさぐる事は出来ない。

あぁ、ただ、目の前にいる人間は、危険であるという事を、悠介を通して、感じるという事が本当に出来た。

そして、女が、デバイスを解放する。

「バルディッシュ!?!?」

女の、仮面越しではわからないが、確かなる笑み。

「バルディッシュ?」

悠介は、スバルの言葉を耳にしたとき、聞きなれない単語、バルディッシュと言う物が、良く解らなかった。

「フェイトさんなんですか!?」

スバルの問いかけ、その反応に、ナンバーズ達は、驚きながらも、ソレを気にせず、スバルは”フェイト”と呼ばれた、女に尋ねるが、何も、言わなかった。

フェイト・・・聞いたことのある名前だった。

フェイト・テスタロッサ・ハラオウン

「高町なのはの彼女だっけ?」

「うん・・・そうだよ・・・」

女は、ふっと、笑い、バルディッシュと呼ばれた、デバイスを解放する。

ザンバーモード・・・フェイトが、使用していた、基本的なもの。

「ふふふ・・・・・・!!!!」

女は、いきなり、消えた。

しかし、そうではなかった、目にもとまらない速さと言う物があれば、その速さで、消えたという錯覚を見せて、既に、悠介に近付き、切り殺そうとしていた所だった。

しかし、悠介は、此れを、反射的に、殺されたくないが故に、受け止めていた。

「ふふ・・・強い。受け止めるとは、思わなかったよ。じゃぁね・・・」

バウータの女は、消えた。

「また、会おうね。スバル。皆に、よろしくね。」

そのように、風の中で呟き、女は風邪の中へと消え、残された、悠介は、殺意、スバル達は、ただ、絶句していた。

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