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ACT-Ⅶ「気持ち悪い」

ただ、それだけ。
敵の魔法が少し解る。
それによって、記憶が一部蘇る。
全てが、気持ち悪いことよって、構成される。
そして、キャロが変わってしまう。


「僕の腕を切った・・・僕の腕を切った・・・僕の腕を切った・・・僕の腕を切った・・・」

かすかに聞こえる声は、殺害理由。

「エリ・・・オ・・・?」

気付いたのは、いつの事だっただろうか。

最初は実感と言う物が無かったが、鮮血が、床にぽたぽたと落ちる音と、血液独特の鉄の臭いが、キャロと言う一人の少女を現実へと連れ戻した。

一瞬の出来事のように思えたかもしれない。

先ほどまで、いっしょに会話をしていた、愛するべき人が、今、目の前で、見ず知らずの怪しい人間に、襲われ、殺されてしまっていると言う現実を受け入れることがキャロと言う少女には、地の臭いで、現実に戻され様とも、理解する事など、出来はしなかった。

こういうことに、なれなければならない舞台の上ににいる役者のような物とは言え、今の純粋なままの彼女には、そのようなこと、耐える事は不可能である。

少女が、目の前にいる、覆面の男に、確かなる殺意を抱いたのは、確かな事であり、それは、初めて、少女が持つ、復習と言う概念の感情である。

また、私は、大事な人を奪われてしまうと言うのか。

キャロと言う少女の中に、初めて、人を殺したいと思えるほどの殺意が目覚めた時、持ってきていたタオルを、床に落とす。

その目は、殺意溢れる血の赤で、充血し、初めて、彼女は、人に向かって、”殺したい”この男ほど、今、私が殺したい人はいません。

エリオは事実上の敗北。

そのような言葉を、目の前にいる覆面の男に向けていたが、今、自分が、目の前にいる男に、対抗できるほどの力は持っていないという事実も、彼女は受け入れていた。

悔しさが、悔しさが、彼女の心を、復讐と言う形に変えて、少女の中の優しさが、消えようとしている。

いや、消えた方が幸せであるのかもしれない。

ある種、感情のままに動き、目の前にいる男を殺す事ができるのであれば、そして、力があれば、彼女はより、彼女を殺す力を欲するだろう。

あぁ、少女に似合わない復讐の牙と言う物を、目の前にいる男は植付け、今までの彼女、キャロと言う少女を壊していく。

”何故、殺す””何故、殺した”などという言葉が、彼女の体を蝕み、激しく、キャロと言う少女の体が痙攣し始め、感情が爆発した。

「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」

彼女とて、これほど、感情のままに走り、爆発させ、叫んだのあの時以上のことになるであろうが、その姿は、どこか、美しく見える。

覆面の男は、その叫びの中に、確たる殺意と言う物を肌で感じ、戦慄を怯え、足が怯みそうになり、呼吸が、止まるほどの錯覚を覚えた。

何故、こんなことになっているのか。

しかし、一瞬で、平常を取り戻した、覆面の男は、証拠隠滅とばかりに、既に、殺すための一歩を前に進めていた。

サイレントブレイダー結成された、後の話。

叫び声が、届いたのか、エリオたちの部屋のドアを突き破り、声にならないほどの破棄を含んだ、咆哮とともに、男が一人、入り込んできた。

「悠介・・・さん・・・?エリオ君が・・・えりおくんがぁ・・・」

「キャロちゃん!下がって!!こいつは!!」

完全に、キャロを殺すための一歩を踏み出している、覆面の男と、キャロを守るために覆面の男を此処で殺そうとするために、勢いよく、床を力強く、悠介は、一歩踏み、その反動で敵を斬り殺す。

「子供を殺す何ザ、そこまで、性根が腐っていたのかよ!!!!」

男は、何も返さなかった。

悠介は、構えた刀を、一歩力強く踏み出した瞬間に、抜き放ち、覆面の男の攻撃を避け、下から、上と言う軌道を描き、覆面の男のナイフの刃を切り飛ばし、その斬撃から、繰り出された、衝撃破をその身に受ける。

覆面の男は、運良く、着用している服の一部が吹き飛んだだけですんだが、それは、悠介の静かな怒りを、表現する物であった。

お前だけは、お前だけは、絶対に許しはしない。

殺してやる、殺してやる、殺してやる、殺してやる、殺してやる、殺してやる、貴様だけは、絶対に許しはしないという鬼の感情が、いや、鬼神スサノオの感情が、爆発し様としていた。

悠介は目の前にいる、男だけは、如何なる事情があろうとも、殺す事を許すつもりは無い。

腕を切られようとも、それに原因があったのは、貴様の注意不足で、戦場では、覚悟しなければならない事であると言う事を、わかっているはずだが、この目の前にいる男は、何も解らなかった。

何も何も、戦場に対して、ヒーローのような、子供のような感情を持っているとおもっているのだろうか。

自分の体は、必ず、五体満足で帰ってくるのが、自分のいる戦場の当たり前だと思っているのだろうか。

基本的には優しい良い子だって、戦場では修羅となり、殺意が芽生える事だってあるのが、戦場と言う物だ。

それを、この、目の前にいる覆面の男は、全く解っていなくて、自分がいれば、絶対に勝てると思い込んでいる御めでたい人間なのだろう。

腕は、斬られれば、確実に斬られると言うのが当たり前なのだ。

ましてや、それが、戦場と言う世界であるのなら、当たり前ではないか。

それを逆恨みに近い感情で、目の前にいる敵を突き殺すと言うのは、ある種の戦場の概念と言うのが理解できないのと同じだろう。

恨みがあろうとも、殺す場所は、戦場で十分であると言える。

いや、この男にとっては、全てが戦場と言う可能性がある。

確実に人を殺すという、殺人樹であれば、この男の歩く場所は、全てが戦場と同様という事なのだろう。

あぁ、そう言う男なのだと、目の前にいる、確たる殺意を抱く男から、悠介は受け取った。

のさばらしておけば、罪な気人間まで、戦う必要の無い人間まで、巻き込み、そして、殺し、流れる必要の内治が流れる。

「今度こそ・・・」

「殺すのかい?バインドすら、解けない君に!!」

バインドが解けないのは、事実だが、それよりも前に、今の悠介の殺気によっては、バインドなど、簡単に弾く事の出来る代物になってしまっているのかもしれない。

子供を戦場に出す大人は、最低だが、子供を殺す大人はもっと、最低であり、その最低の大人に対して、悠介は、目の前の男を睨んでいた。

ある種、自分にも責任があるように思った。

それは・・・

バインドの一つも解けない自分が、どれだけ愚かなのか。

今回の事で、それを感じ取り、自分を助ける為に、このような状態にしてしまった自分にも責任があると、バインドの解けない自分自身に、苛立ちを覚える。

さらに、昨日聞いた、この男が人間を殺す理由は下らない。

エリオも、その下らない理由の為に、犠牲になったというのであれば、悠介にとっては、許せない事であり、一種の屈辱でもあったといえる。

いや、単純に、この男のいる場所がすべて戦場と考えるにしても、軍属ではない人間は、殺人鬼にしか過ぎない。

故に、目の前にいる、この男は人を殺して、勝てば、正義ではなく、悪戯に・・・

「人を殺す殺人鬼・・・いや、テロリスト・・・」

「違う!!僕は、なのはを愛しているから!!」

「なのはさん・・・・・・?私の・・・もう一人のお母さん・・・?私は、ヴィヴィオの姉・・・」

「なのは、僕のだ!!」

「キャロ・・・?」

不意に、取り乱したような事を、キャロが言い、眉間にしわを寄せながら、悠介は、キャロを見た。

一瞬、キャロという人間がバカのように取り乱してしまったのではないのだろうかと、思ったが、このしょうじょの母親は、フェイト・テスタロッサであるという事を思い出した。

目の前で、屍になりそうな、エリオという少年も。

そして、フェイト・テスタロッサ・ハラオウンと、高町なのははそう言う関係であるが故に、ある種、高町なのはの子供であるといえなくも無い。

あぁ、そう言うことかと、悠介は思い出した。

別に、同性愛者というものは嫌いな訳でもない。

寧ろ、どのような人間であるかと、悠介にとっては少し興味が湧くほどで、軽蔑するほどの物ではないのだ。

ただ、世間の頭の固い人間というのは、同性愛という物を受け入れてくれない。

愛は自由という言葉を、昔、誰かが言っていたが、そのようなことは、実際、認めることの出来ない頭の硬い人間達は、そこら中にもいるという事だろう。

無論、目の前にも。

それは悠介が一番望んでいないこと。

過去の時間で何があったのかは解らない。

だが、悠介はこの男を生理的に嫌っていて、昨日から、この男について考えると、気持ち悪いという感情しか出てこなかった。

kろえを、嫌悪という感情だと知ったのは、いつの頃からだっただろうか。

久しぶりに嫌いになれるという人間が、目の前にいて、その原因が、戦士であるとは言え、子供を殺してしまったという事にあるから。

全ては闇の中へ。

悠介の心の中へとそれは刻まれる。

何があった。

そして、どうしてこの世界で、子供を殺すようなろくでもない大人は存在しているのだろうか。

「どうしましょうか?」

ここで、目の前にいる男を殺せば、この世界は平和になる。

それが一番手っ取り早い。

そうすれば実力と言う以前に、勝った者が、官軍であるという事に繋がる。

「犠牲者の家族も、それを望むだろ・・・」

そういう手もある。

故に、目の前にいる男に如何なる事情があるとしても、許そうとは、絶対に思わなかった。

「殺す・・・」

確実に、悠介の目は、鷹の目、いや、人を殺す、鬼のような目となり、一瞬、般若の面をつけたかのような、違和感さえおぼえた。

「殺してください・・・」

既に、精気などが消えているよう名、虚ろな目をした少女は、悠介に、そのように告げる。

目の間にいる、浮く面を被った、ふざけた男にキャロは言う。

「悠介さん。」

「何・・・?」

改めて、そのことを、キャロは悠介に語り、全てを託す為に、ある種、鬼の主となって、悠介に命令を下すかのような存在となる。

まともに話すのは、今日、初めてであるにもかかわらあず、鬼に、主は命を下す。

悠介はそれを共通の願い、殺しを、共通の願いとして、躊躇いなく、動き出す準備へ。

目の前にいる、覆面の男は、何を考えようとしている。

時折見せる、腕の震えや、挙動から見れば、この状況、ある種焦っているかのように思える。

目の前にいる、鬼に対して、何か、違和感のような物を感じている。

仮にも、シグナムを無傷で倒した男のオーラだ。

かすかに見える、鬼のオーラを覆面の男は感じ、先ほどから、バインドをかけている。

いや、かけていたはずだった。

鬼のオーラは、完全に、バインドを遮断していると言う、この世界なら、先ず有り得ない出来事に、覆面の男は恐怖していた。

バン・・・バン・・・バン・・・!!

先ほどから、上述の音が聞こえているのだが、その音こそ、鬼のオーラが、バインドを遮断していると言う証。

この男は、修羅、鬼、いや、鬼神のように見えた。

「何なんだ・・・何なんだ!!この男は!!!」

「悪いな・・・お前を殺す事に、何故か・・・躊躇いはない。」

全力でバインドを、かけているはずであった。

しかし悠介は全力ではない。

自分で、今の自分の力が全力でない事が、悠介自身、その体で良く解っている。

それ以前に、覆面の男は動けなくなっている、この威圧に負けて何も出来なくなっている。

殺すために、動き出す事は、いつであろうと、いつだって、やることが出来る。

しかし、目の前にいる、男は近づこうとするたびに、何かがあるような気がしてならなかった。

殺そうと動こうとするも、どこか、近づこうとするたびに、何か、違和感を感じていた。

一時の、自分の中にある、人を殺そうとする、躊躇いがそのようなことを起こしているのだと、悠介は自分で踏み、力強く、殺すための一歩を踏み出した。

目の前にいる男を、動けない男を切り殺すのに、殺人を犯した男に、何を否定する必要があろうか。

腰を低くさせて、持ち前の機動力で、一瞬で、覆面の男に悠介は近づきつつあった。

「殺しちゃえ!!!!!」

そう言ったのは、無論、キャロである。

悠介の実力は知っているつもりだ。

こいつなら、この目の前にいる鬼なら、確実に、目の前にいる人間を殺してくれるはずであると。

叫ばれた瞬間、悠介の中で、自分の中にあった、気持ち悪い感覚が、一気に吹き飛んだ。

「駄目だ・・・!!」

男は、絶望を感じ、情けない声をあげる。

「だめだぁ・・・!!」

明らかに勝機は、悠介のほうにある。

その時、悠介の顔が絶対的な勝利を確信した微笑に変わる。

「なのはに会えなくなっちゃうよぉぉぉぉぉ!!!!なのはぁ!!!!なのはぁ!!!!」

間近で死者に対する、慈悲の言葉を呟き、悠介は決断する。

此処で、完全に、殺す事を躊躇ってはいけない。

好きな女の名前を叫び死ぬ事が出来るのであれば、それは、それで、本望と言える物であるかもしれない。

「なのはぁぁぁぁ!!!!僕を助けてよぉぉぉぉぉ!!!!!」

その叫びに対して、キャロは冷徹に応える。

「あんたなんか・・・なのはさんに見てもらうことなんて、出来やしない。」

「嘘だぁぁぁぁぁ!!!!昨日だって、僕を助けてくれたんだぁぁぁぁぁ!!!!」

「無駄だよ!!」

悠介が、男のすべての発言を否定するかのように、声を上げる。

確かに無駄なことだ。

悠介は強い。

シグナムさえも圧倒する。

ある種、今、そのなのはと言う女たちが、ここにきたとしても、絶対に撥ね退けるほどの力を持っていると、悠介は確信していた。

「構いません・・・やっちゃえ。」

「うわぁぁぁぁぁぁ・・・・・・・・・・!!!!!!!」

「あんた、殺しすぎたんだよ。」

ここで、殺して、相手を成仏させれば、死んだものたちに対する、唯一の供養と言う物ができると、頭の中で過ぎり、躊躇いなど、完全に捨て去った。

悠介はそう考る。

「基本は弱い・・・」

「なのはぁぁぁぁぁぁ・・・・・・・・・!!!!!!!」

煩く叫ぶ口を、突き刺す為に、覆面の中の、口の部分を悠介は、逆手に持った刃で突き刺そうとした、その時だった。

突如、目の前にいる、覆面の男から、黒くて、禍禍しいほどに、気持ち悪さを感じ、吐き気が遅い、悠介は、何も出来なくなっていたのだ。

絶対に、悠介は絶対に自分が勝つと思ってた。

約束された筈の絶対勝利。

だが、なにもできない自分が、動けなくなる自分が此処に、この場に存在していた。

キャロは、何はあったのか、悠介の実力を解っている筈なのに、何故、悠介が躊躇っている野か、想像をする事が出来なかった。

悠介は、違和感を覚えようとしていた。

どこかで、経験した記憶があるような気がしたが、それがいつかはわからずに、ただ、気持ち悪いという感情が漂っている。

一瞬の感覚でありながらも、その感覚を覚えていて、あまりの気持ち悪さに、悠介は後ろに飛んで、防御の姿勢をとった。

余りにも、気持ち悪すぎて、防御の姿勢をとりながら、口元を抑え、吐き気を無理矢理抑えようとした。

「お前は、なんだ・・・!?」

「悠介さん・・・?」

問いかけが、そう、言いたくなるほどに、目の前にいる覆面の男は、異様なまでのオーラを発し他人を気持ち悪くさせていた。

正直、眩暈が襲って、この場で倒れる事が許されるなら、倒れてもいいと思うほどだった。

気持ち悪い感覚だけが、吐き気となって、悠介の中で動き回り、一瞬でも気を緩ませてしまうと、ゲロとして吐き出しそうだった。

「なんなんだよ!!!お前!!!」

「ふふふ・・・ぼくはねぇ・・・?」

気持ち悪さを含んだ、ボイスチェンジャーの声と、さっきの気持ち悪い感覚が、体中を動き回り、肌にべっとりとこべりついているような気持ち悪さ。

女に抱かれる事がなければ、絶対に、取れることはないかもしれないが、いや、女を抱いたとしても、取れることは、無いだろう。

そうでなければ、此処まで、気持ち悪いものは、絶対に起こりえない。

「悠介さん・・・・・・?」

キャロは、悠介に何があったのかなど、理解する事が出来やしなかったが、目の前にいる男のオーラは感じ取る事が出来た。

確かに、気持ち悪いと、キャロは感じ取った。

「人間じゃない・・・・・・」

その言葉に、キャロも自然と頷いた。

あの、気持ち悪さは、体を拘束するには十分と言えるほどの気持ち悪さと言えるだろう。

今すぐにでも、この気持ち悪さを何とかする為に、目の前にいる男を殺したかったが、気持ち悪さが、そうさせない。

「オーラと言うより・・・・・・邪気だ・・・・・・」

そのまま、悠介は言葉に表現し、更に、刀を落とし、持っていた、もともとの腕で、頭を抑える。

目の前にいる男は、世の中の、最も気持ち悪いと呼べる物を具現化した存在だと悠介は、思い込んだ。

「気持ち悪すぎるんだよ・・・・・・あんた・・・・・・」

予想外のものだった。

悠介は思う。

本当にここで、勝てる、絶対に殺すことのできる、確実に勝利する事ができると、自惚れていた物の、勝利する事が、出来なかった。

たった一つの形、気持ち悪いという感覚だけで、自分自身が何も出来なくなってしまい、ある種の自分のだ足無さを呪った。

目の前にある、気持ち悪いという感覚だけで、悠介は、負けてしまった自分を呪った。

「悠介さん・・・・・・」

「勝利を確信していたつもりだった・・・・・・」

本当に勝つつもりだった。

「だから、絶対に殺せると思っていた!!!」

悠介たちは勝てない。

そう思っていた。

悠介の絶対に勝つ。

その表情に、確信はあった。

そして、考える。

気持ち悪さの正体。

「気持ち悪いんだよ・・・なんだ・・・?」

「気持ち悪さ・・・・・・?」

疑問は解決しない。

しかし、お互いに硬直している隙は利用されて、一発の弾丸が、覆面の男を貫いた。

「悠介!!キャロ!!」

ティアナ・ランスターが、叫び、二人の安否を確認した時、一瞬ほっとしたような感情があったものの、貫いた穴から、何かが、出てきたのを見逃さなかった。

我々のヴィジョンで見てみれば、いや、それでも、流れている物は、鮮血ではなく、黒い、どす黒い、赤みの無い、ただ、黒い血液だった。

そして、彼等のヴィジョンで、この男の傷口から見えたのは、黒い、溶けた人間のれ痛いという、どこか、気持ち悪いものだった。

いや、それが、本来、我々の目の前で覆面の男から、流れている物なのかもしれない。

それが、実態であり、その気持ち悪さは、一瞬にして、ティアナ・ランスターの体を硬直させるほどの、気持ち悪い何かだった。

人が、自分の体に流れ込んでくるような感覚こそが、悠介が確かに感じ取った感覚であり、気持ち悪さの正体だった。

あのときとて、刃を覆面に近づけた時とて、刃を通して、悠介の中に、人が入り込んできたような感覚が遅い、気持ち悪さが襲ったのだ。

「なんなのよぉ・・・!!」

気持ち悪さの拘束。

人が、自分の中に入り込むような、気持ち悪さだけが、体の中に入り込んだ、余りにも、気持ち悪すぎる感覚に、ティアナはこれ以上に無い、気持ち悪さを感じ取った。

やはり、誰もが、目の前にいる男に対して、思うことは一つだった。

「気持ち悪い・・・」

キャロ自身も、黒い何かが出てきた瞬間、気持ち悪さが確かに伝わってきた。

打った後の傷口から、確かに、黒い霊体をような物を確かに、目撃し、更に、その奥にある、奇妙な物まで、確認した。

「気持ち悪い・・・」

この言葉が、この部屋を蹂躙し、異常なまでの圧迫感が、酸素を殺しているような感覚さえ、覚えてしまう。

これを、逃亡のチャンスと見た、覆面の男は、逃亡した。

気持ち悪さが、体内に、膿のように動き、見事に、動きを止める事に成功する事が出来たこれは、精神的バインドと言えるだろう。

精神的拘束。

気持ち悪い。

気持ち悪い。

気持ち悪い。

気持ち悪い。

気持ち悪い。

気持ち悪い。

気持ち悪い。

気持ち悪い。

気持ち悪い。

気持ち悪い。

気持ち悪い。

気持ち悪い。

気持ち悪い。

気持ち悪い。

三人を、たった一つ、これだけの気持ち悪いという感情だけで、覆面の男はこの三人に勝利する事が出来た。

戦闘という空間の中で、最も、気持ち悪いと感じ取った瞬間であると言える。

それは、単純。

普通に、気持ち悪さで追い詰められた人間。

単純であるが故に、この吐き気で、更に、敵に逃げられてしまったと言う真実を、許すことが出来なかった。

気持ち悪いという感情だけで戦闘不可能。

ある種、屈辱と言えるだろう。

「っ・・・何してるんだ・・・」

悠介がまだ、抜けきる事の無い、人が入ってくると言う、気持ち悪さを拭う事が出来ずに、逃がした、自分を悔いていた。

キャロは、エリオの元にかけより、その状態を確かめようとしていたが、蝿がたかっていると言う事に気付く。

そして、確信する事が、キャロには簡単に出来た。

あぁ、もう、エリオは、完全に殺されてしまったのだと。

「ちぃ・・・本当に、気持ち悪すぎる・・・」

どこか、人間が、あの男の体内にいるような感覚をおぼえ、更に、一気に空気が重くなったと言う現実。

此処にいた、誰もが、気持ち悪いという感覚をおぼえるほどの違和感と言う者を、あの男は持っていた。

あの男の体の中にいたのは、怨念か、死霊の集まりが、あの人間の中にいたと言うのだろうか。

「とりあえず・・・追撃開始と・・・行くかい?」

その一言で、追撃が始まった。

「キャロは、行けるわね・・・?」

そういわれて、キャロは蝿の集っている、エリオの死体から、ストラーダを回収し、動き出す。

「クロス・ミラージュ、連絡・・・!!」

キャロは既に移動していた。

ストラーダを展開させたとき、その刃は、エリオが使用した時以上に、刃は巨大だった。

「追撃します!!」

キャロは、フリードリヒに飛行して一気にそこへ行く。

一瞬、キャロの巨竜が黒い、刺青に塗られた体になったのを、悠介は、見逃さなかった。

「彼女の・・・怨念・・・?」

取り敢えずは、逃げた敵を今は、あの殺人鬼を追わなければならない。

悠介は、窓から、飛び降りて、怨念を気配を見付け出そうとし、五本の指を顔に覆わせ、辺りを探し、始める。

怨念を察知し様としても、辺りに、死霊が渦巻いているのを、悠介は感じ取る。

現れるであろう、死体の山々が、作り上げる、ゴーストウォーリア・・・マリアージュ。

それ、正に風の如く、死体は木々の隙間から現れ、うじゃうじゃと、その姿を形作り、最終的に異形の物になる。

「なっ!!」

恐らく、もとより、配置していた訳ではないのだろう。

辺りを見回せば、少々の血液がコンクリートを濡らしていたのだ。

恐らく、そこで、警備をしていた管理局の人間達を、あの気持ち悪いと感じている間に、殺し、マリアージュに精製したのだろう。

あの気持ち悪さに負けていた、自分の汚点であると思った。

それが解る。

また、余計な犠牲者を出してしまった。

そんな自分に、嫌でも、嫌気がさした。

悠介はそれを自分の罪であると認識し、辺りにいる、マリアージュに刃を向ける。

急がなければ、キャロが、暴走し、奴に殺されると言う危険性だってあるのだから、速く、この場を切り抜けなければならない。

マリアージュが、こちらに向かって、攻撃を開始し様としていた。

しかし、悠介は、あの男に対する、怒りの威圧でそれを封じる。

マリアージュに動揺が見えた。

多少也とも、自分と言う存在に対して、威圧感を感じると言う事は、まだ、魂のみは生きているという事だと、悠介は踏んだ。

「うざいな・・・」

このまま、生かす訳にもいかない。

しかし、殺さなければ、魂が縛られた体によって、多くの命を奪う。

「悪いね。最初に・・・」

潰させてもらう。

動き出す、鬼。

マリアージュは、どこか、発せられる、底知れぬ悠介の殺気に恐怖していた。

神速の動きは、相手が、攻撃をしようとしたときには、既に、別の世界にいる。

「これが・・・現実か。」

考えてみる。

生まれ来る、気持ち悪さ。

「やっている事は、結局人殺し・・・軍隊の人間だからって、殺人鬼と差があるわけじゃないか・・・」

既に、人だったものであっても、殺す事は気が引ける。

「結局、人を斬った感覚は、手に残る・・・」

あの男と出会ってから、どことなく、体に植え付けられた気持ち悪さが、マリアージュを斬る野と同時に、嫌な感覚が残る。

「迷いを捨てろ・・・・・・軍隊は、殺すためのフィールドがある・・・・・・しかし、殺人鬼には、フィールドがない・・・・・・」

無理矢理、そのように、自分に言い聞かせて、悠介は、自分の頬を抓り、今の自分の感情を整理する。

自分達を勝利に導くには。

「あいつは、殺す・・・・・・」

「確かに・・・」

「ティア・・・・・・」

悠介は歩いてくる、ティアナに近づく。

ティアナは、悠介に向けて、銃を撃ち放つ。

悠介は、ビビル事無く、ティアナに近づき、平然と接した。

後ろから、聞こえた、爆発音・・・再び、現れた、マリアージュが、爆発した瞬間だった。

ティアナ・ランスターを既に、見方として、信頼しているという事だ。

此処で、追いかけなければならないのは、巨竜に乗って、あの男を追いかけ始めた、一人の少女が、あの男に殺されていないかと言う事だ。

「上からの、指示は?」

「キャロの捕獲を急ぐ事・・・そして、深追いは、無で・・・」

悠介達は、動き出した。

「増援は?」

「例の少女の担当とか、エリオのしたい処理とか・・・色々とあるから、私達が動くわ。後から、スバルたちが来てくれる。」

「解った・・・じゃぁ・・・」

改めて・・・二人が・・・。

「行こうか・・・・・・」

動き出す。








風が、激しく巨竜の上に乗った、少女が激しく、その身に受ける。

「フリード!!」

叫んだのと同時に、空中に、人影のような物が、キャロの視界の中に入った。

既にその人影は戦闘態勢に入っている。

「ストラーダ・・・」

それを構えて、少女は突っ込みだす。

「相手が、誰であろうと・・・・・・」

槍、ストラーダ。

それを従来の腕時計の形から、恨みに応えるかのごとく、鉈状に変化させる。

襲ってきた、人影の一閃を受け止めた。

「弱い・・・!」

キャロの正直な感想がそれだった。

その一閃で非力と見抜いた。

その癖。

その攻撃手順。

さっきの手順で全てを知った。

「何を!!」

フリードを巧みに使い、一旦距離をとりはじめる。

人影は馬鹿正直に突っ込んでいく。

「倒せない!!」

キャロは人影に向かって言い放つ。

その人影は、恐らく、空戦用マリアージュと見抜く。

フリードリヒを巧みに操る、自分の姿に、別の自分の姿を、キャロは見出しそうになっていた。

今、此処にいるのは、ドラゴン使いのキャロではなく、ドラゴンナイトになりつつある、キャロであると言える。

それさえも自分のは解る。

だから、背後からの人影の攻撃を読み、そして、避ける。

まだ、マリアージュは来ている。

そして、フリードリヒは目の前にいる敵に、火球を撃ち放つ。

「さぁ、こっちにおいで!!」

キャロはある程度の敵を破壊し、敵のいる場所へと、あの男の気配を辿りながら、突き進み、破壊する。

あの男が、何故、エリオを殺してしまったのか。

マリアージュをフリードリヒは、食いちぎり、その返り血をキャロも浴び、白い、バリアジャケットは紅い、死人の鮮血に染まる。

フリードは爆発的な加速力を使い、敵を破壊する。

既に、その力は、キャロの怨念のような物もあわせて、強大に増していく。

「帰れ・・・死人ども・・・」

破壊。

炎のように爆発的な加速力を持った物体は、現れる、マリアージュを簡単に破壊する。

全ての敵を振り払い、あとは、あの男を殺すだけだと、キャロは、そう考えていた。

しかし、再び、敵が目の前に現れる。

「エリオ・・・!?」

そのマリアージュは、確かに、先ほど、自室にいた、いや、存在していた、人間の死体を使っているかのように見えた。

この結果は覆面の男が望んだ通りなのだろうか。

いや、幻影型魔術の使用。

死体といえど、エリオに対して、攻撃をする事は、キャロは、出来なかった。

既に、人間じゃないのに。

まだ、彼女にとっては、彼は生きているという存在なのだろう。

その恐怖心からか。

何もできない。

「キャロ・・・・・・・・・」

聞こえる。

エリオはキャロの名前を呼んだ。

マリアージュから、発せられる声と、エリオの声は、全く違うのに、同じように聞こえてしまう。

「キャロ・・・・・・・・・」

「呼ばないで・・・」

思わず、体が、身震いし、ストラーダを落としそうになってしまう。

名前を呼ばれるたびに、自分と言う存在が、徐々にわからなくなってしまう。

何をすべきなのか。

エリオを象ったマリアージュは、キャロのストラーダを切り飛ばす。

ストラーダは空高く舞い上がり、キャロは、目の前にいる、マリアージュしか見えなかった。

それをキャロは取りに行こうとするが・・・既に、大地に突き刺さっているが、それでも、取りに行こうとする。

フリードの存在を、キャロは忘れてしまっていた。

それが隙を生んでしまった。

「さぁ・・・行こう。」

エリオはその一瞬の隙を付く。

マリアージュエリオは、抱きしめる形で、全身から、凶器を出して、キャロを抱き殺そうとする。

その、現実に気付いた時、此処で、殺されると、一瞬、唾を飲んだ。

現実に引き戻され、目の前にいる敵が、エリオではないということを、再認識する。

しかし、気付いた時には全てが、手遅れとなって、大地に叩き落されたが、体を言う事を聞かせるのは、まだ、時間がかかりそうだ。

マリアージュエリオヒの勝利と見える。

キャロはその場に倒れた。

此処で、あの時、助けてもらった命も消えてしまうのかと、一瞬、笑いそうになる。

どうすればいいのか。

何をすればいいのか。

ただ、行きたいという欲望が、彼女を支配して、彼女を強くしようとする。

「イッショニイコウ、キャロ!」

殺されようとしたとき、翼が、キャロを多い、マリアージュエリオを焼き殺す。

「ごめん・・・フリード・・・」

甘くは無い。

キャロは恐怖を久しぶりに味わった。

マリアージュエリオと言う、人の精神を揺さぶる兵器と戦ったのは、これが、初めてだった。

「これじゃ・・・しんじゃうね・・・」

いつも、一緒に一日を過ごして。

一緒にいた人間が、いつ死ぬかだなんて、解らない。

キャロにとっては、既に兄であり、家族であり、彼氏と同じような感じ。

だが、この場では既に、亡くなった人間。

存在しない亡霊。

死体として復活しても、殺せないと思ってしまう自分が、そこに存在している。

「駄目だな・・・」

絶望。

徐々に

徐々に

襲われていく。

絶望というものに。

あの、線上のあるべき形にうちかたなければ、キャロは間違いなく死ぬ。

それは、戦場で、確実に人を殺すという迷いを打ち消すのと同等であるといえるだろう。

キャロは何を考える。

この絶望的な状況に、何を望む。

希望か。

絶望か。

精神面では、ノックアウト状態と言える。

この迷いに、うちかてるかどうかなど、今、聞かれたのなら、彼女は、真っ先に応えるかもしれない。

それは

「勝てない。」
キャロはこの、人を殺すという戦場では、絶対に身につけなければならない迷いを捨てるという事に、敗北を確信する。

だが、思う。

戦場で、人を殺すという事は、絶対的に正しい行為であるのだろうかとも、思い始めていた。

「恐いの?」

キャロに、自分に対して確信を言う。

殺せない自分を肯定しているが故に、そんな、弱い事をいってしまっているのでは、無いのだろうかと、一瞬、思ってしまった。

殺せない自分も、殺す事に迷っている自分も、本物であるといえる。

殺すという、戦場で、絶対にクリアしなければならない、一兵士のルールのような物が恐怖となって、キャロを覆っていく。

目の前に無いが、感じる事のできる、殺す恐怖の威圧感。

自分が殺し、死体を作り上げる。

その事実を知ったとき、瞬きすら出来ない程の絶望に覆われた。

戦場で人を殺すというカタルシス。

いつも、自分に優しく接してくれている燈也が、戦場で人を殺す姿を見たとき、とてつもない恐怖を覚えてしまった。

しかし、言い換えれば、子供に、人殺しをさせるのを肯定させている、時空管理局と言う組織に、問題がある。

14で、大人と同じような扱いであろうと、関係は無い。

精神面で言えば、まだ、子供なのだ。

何を、この組織は考えているのだろう。

愚かなのではないのだろうかと考えてしまう、この組織。

人を殺す事を、時と場合によっては、肯定するという、これが、キャロの好きな人間のいる組織。

戦い

決して、奇麗事ではすまないこと。

予め、燈也から聞かされて、解っていた筈ではないか。

JS事件は、戦いとして、とても、甘い物であると。

アヤ・スカリエッティが、大量に管理局の人間達を、食い殺したように。

あの戦い。

人が、魂を食われ、肉の塊となって、落ちていくという、戦場では獄当たり前の光景。

キャロは、恐かった。

あれが、本当の戦場だと思ってしまったときには。

恐怖

戦場で当たり前の事を、ある種、時空管理局は子供に押し付けようとしている。

甘かった。

人を殺す事を、肯定しなければ、あの組織に、自分は不要に近い存在であるという事を。

言葉が出てこない。

何をすればいい。

何を言えば言い。

目の前にいる強い恐怖。

今のこの状況。

どう、切り抜ける。

いや、どう切り抜けたら勝てる。

しかし、何をやっても、勝つ方法。

恐怖を切り抜ける方法は思いつかない。

目の前にいるこの恐怖に、今のキャロが勝てる要素など無いのだ。

決して、楽に克服など出来やしない、戦場のルールを、この少女は、キャロという少女は、唾を飲みながら、受け入れようとしていた。

殺さなければ、殺される。

戦いを止めようといっても、それを聞かずに、自分を撃ち殺す事が出来るのが、兵士と言う人間だ。

今後、絶対に起きるであろう、時空管理局全体と別世界の戦争。

JS事件の規模で、人が死なない事のほうが、ある種、不自然すぎて、恐ろしかったといえる。

「マリアージュの中にある、したいくらい、斬らなければ、生き残れない・・・・・・」

殺す。

それを前提に、時空管理局と言う組織で、今後は生きるという事だろう。

前回の規模では、人が死なないほうが、おかしくて、そして、今回の事件は人が死ぬ事が前提となっている事件。

殺しを、肯定しなければならない事件が増える。

これを、覚悟しなければならないということなのだろう

「フリード・・・躊躇わないよ。」

覚悟を決めたキャロはフリードリヒの背中の上に、もう一度乗り、例の男のいる場所へと向かい始めた。

変わらなければならないということなのだろう。

あの男は、どの道、捕まえたとしても、逃げるだろう。

現場で、あの男を殺さなければ、意味は無いといえる。

もう、許されないほどにまで、あの男は人を殺し、エリオを躊躇い無く殺した。

差別するの事無く・・・女も、男も。

「エリオ君・・・・・・血で塗れちゃうけど・・・・・・ごめんね・・・・・・」

この、鉈状のストラーダで、あの男の頭をかち割るということなのだろう。

あの男の殺さなければ、気がすまなかった。

それは精神的に、彼女に対して、かなりのダメージがあったということなのだろう。

「ごめんね・・・・・・」

血で濡れる事を、此処にはいない、エリオに謝罪して、キャロは決意を胸に。

この戦闘が終わった後、ちゃんと、エリオに、会うことが出切ると言うのなら、それが出切ると言うのなら、今回の事を、包み隠さず、話すつもりだった。

此処に、キャロの行く手を阻むマリアージュ達を、簡単に、ストラーダで叩き切る。

「弱い・・・」

全てが

「弱すぎる・・・・・・」

マリアージュ達の完全なる敗北。

迷いの無い、美しい軌道で、マリアージュ達を、叩き切る姿は、ある種の戦乙女と見るべきなのかもしれない。

「弱い・・・」

あの男を呼べ・・・

直ちに、私が、ここで切り殺す。

既に、キャロ等言う少女は、強くなる力を得たが、その代わりに、人間として大切な何かを今、失ってしまったような気がした。

戦いが終われば、それは、また、得る事が出来るのだろうか。

それは、彼女の中に、まだ、その感情があればということだ。









ガジェット襲来

悠介たちに。

悠介とティアナは流石に、その敵の多さに苦戦していた。

「流石に、下手すれば捕まるからな・・・敵も必死か!!」

悠介は背中越しのパートナーに叫ぶように行った。

異常なまで敵の出現。

軽率すぎた、敵の行動によって、今回の出来事が起こった。

「まだ、彼女はついてなければいいが・・・!!」

ティアナに言い放つ。

テスタメントとしての力は、解放できない、解放する為の記憶が無いという事で、此処で、全ての方をつけることは、出来なかった。

だから、苦しんでいる自分達がいる。

「多すぎね・・・・・・」

ここまで多いとは

「思わなかった!!!!!」

対等以上には戦える。

そう思っていた。

だが、それ以上に、敵は出てきている。

そこまで甘くは無い。

そう簡単にはいない。

いや、いくわけが無い。

悠介が、刀を地に走らせ、一瞬の煙幕を作り出した。

「まってよ・・・」

ティアナは幻覚魔法を使用し、悠介とともに、この場から逃げる。

そこにティアナが何人もいるように見える。

相手は単純な機械であるがゆえに、それで暫くは簡単に逃げらることが出来る。

それくらいの仕事しかできない事は解っている。

「さぁて・・・一気に、奴等を殲滅するかい!?」

人が造った機械そのものであるのなら、敵の殲滅など、簡単に出切ると言うことだ。

人工物であるとは言え、古代の人間達が作った凄まじい物ではなく、最近の人間の作った、脆弱な機械兵器。

幻覚を使った、撹乱、しかし、突如の暴風によって、耐えられなかった幻覚は思いっきり消えた。

風邪によって、身動きが取れなくなったとき、凄まじい轟音が、大地を揺らす。

一人の鬼が、別世界から追い出されたときに、人を殺すためだけに、いや、破壊するのは機械だが、舞い降りたかのような、轟音であり、正に、鬼神は、降臨したという言葉にていた。

「相変わらず・・・技名無いんだ・・・」

しかも、

「あったとしても、恥ずかしくて言えないかもねー」

ましてや

「記憶なんて、無いしね。」

暴風と、先ほどの衝撃によって、舞い上がった土、そして、全てが解かれた時、全てが、破壊され、そして、砂を振り払っていた、一体の鬼神が存在していた。

機械は、それを見切れない。

見極められるものではない。

さらに、突然の事に、対処など出来ないのだ。

機械とは言え、捉えられなければ意味は無い。

「刀一本で・・・」

完全に、砂塵が止み悠介は姿を現す。

ティアなの中では、瑠璃以上に、強い人間と巡り会ってしまったという、どこか、脅威に感じてしまった物。

「なぁ・・・これは・・・?」

「後で、回収させましょう。」

回収と言う言葉を耳に入れた時点で、悠介とティアナは動き出す。

「散らばっているのは・・・死体・・・?」

そう。

それこそは、キャロが作り出した、マリアージュの残骸であるといえるだろう。

キャロに対する、戦闘力が、怨念によって、爆発的に成長したという事なのだろう。

絶対なる復讐を確信した少女は、戦場をかけるということなのだろう。

「どこにいる・・・・・・怨念だけで伸びた、戦闘力は・・・・・・危険だぞ・・・・・・?」

悠介は気配を察して、キャロの場所を探ろうとしている。

『貴様がぁぁぁぁぁ!!!!!』

聞こえた。

悠介とキャロは、どう児に、その声を聞き、その声に導かれるように。

声のする方向を見る。

漆黒の怨念

どす黒い怨念を抱えた、一つの巨大なオーラを、二人は目の当たりにし、特にティアナは、今まで感じた事のない恐怖を感じていた。

これが、かつてのキャロなのか。

信じられないものを見るような目で、ティアは、それを見ていた。

その姿は

「修羅じゃない・・・・・・」

正にその通りだった。

ある種、復讐に生きる女は美しいというが、キャロは、既にその歳で、それを得てしまったのだ。

「ちっ・・・」

ティアナさえも、それは起こるべき出来事ではないと思う。

美しく、黒く、輝く、修羅

「ティア・・・」

悠介は思う。

今の、彼女を。

キャロと言う、少女の今を。

「怨念の塊だ・・・・・・」

「あの男が、それをしたって事なんでしょう・・・」

全ては、覆面の男がしでかした事であるとは言える。

ということであろう。

腕を切り落とされたのは、それは、戦場としては当たり前である事であり、自分の力量のせいだ。

「もとより、戦場で、そう言うのは決着をつけるべきだったんだよ!!」

ティアナも、悠介はそれを解っている。

だから、逆に呆れた。

「あの男・・・単なる、殺人鬼ね・・・」

「まぁな・・・戦場と言う本当の世界は、初めてなんだろ。」

「私は、何度も、本当の戦場を見てきた。」

その全て。

死体の焼ける臭い。

救えるはずなのに、誰も救えないという無力な自分に、嘆き、叫び、何度も、地面を叩いた記憶があった。

そして、時空管理局は、完全に、最強の組織ではないという事を、改めて知ることが出来たのだった。

「全く・・・本当に最低の組織だ・・・」

「反論はしないわ。」

ティアナも、そのことを実感し始めていた。

今回の犯人とて、自分達を含めて、犠牲者を増やし、ただ、逃がしているだけ。

「犯罪を拡大させている・・・」

完全に全てが裏目に出ている。

「全く・・・」

悠介はこの状況に、後頭部を抑えながら、嘆いた。

一見見ればただの女性として見えた。

だが、そうしているときにも、安息の時間と言う物は訪れない。

「あの子達、付き合っていなくても、両思いに近かったしね・・・」

「それ以前に、両思いだろ・・・?」

あの二人の仕草を見るだけで、悠介は、一瞬で理解する事が出来た。

あぁ、そう言う関係で、kろ絵から、体をくっつけて、子供作っていく関係になる物なんだろうと、理解する事が出来た。

ただ、その二人の関係を、あの男は壊してしまったのだ。

「腕は、切り落とされたほうが悪い・・・」

「それには、同感だわ。」

うざい男の一つ。

この二人の考えはシンクロしていた。

いや、常識的な考えなのだろう。

邪魔だ。

必要悪といっても良いだろう。

ある意味では、アイドルストーカーと同じと見てもいいかもしれない。

自分の好きな女が、女と付き合って、全く相手にされない。

典型的な、アイドルストーカーといってもいいだろう。

その、ファンとしての感情が強すぎて、殺人を起こしているという子なら、ある意味では、哀れであるといえるだろう。

考えているうちに、再び、敵が登場したことに気付く。

「また!?」

5秒前まではいなかった。

だが、今はそこにいる。

どこにもだ。

「まさか・・・ここまで、うざいとはね・・・」

「殲滅させておきたいんだろ・・・?如何なる犠牲を払ってでも、俺等をさ・・・」

しかし、これだけ、兵器があると、反時空管理局組織の兵装も馬鹿には出来ないと思った。

此処まで、自分を殲滅させる為に動き出す。

そうなれば・・・

「かなりの数を揃えているか・・・」

さらに、敵の中に量産型戦闘機人もいた。

その戦闘力は高い。

だから最初に・・・

「潰す。」

全力・・・とまではいかないものの、悠介は突撃する。

紙一重で避けようとしても、刃が作り出す、カマイタチによって、その風に触れた物は、一瞬で真っ二つとなる。

風の衝撃が敵を真っ二つにする。

「・・・!!」

絶句。

一定の距離を動いているはずだ。

だが、その攻撃は

「見えない・・・」

全く見えなかった。

ティアナは生き残った敵に向かってクロスミラージュを構える。

「・・・・・・・・・・!!」

上げてしまうのは、機械の内部が、その風に耐えられなく、ぎしぎしと音を鳴らし、崩壊のカウントダウンを刻んでいた。

切られておらず、生き残っている物に弾丸を刻む。

「弱い・・・・・・」

口でそのようなことを言ってしまうほど、自惚れるようにもなってしまった。

本の数秒の出来事が、こんなに、簡単に行われて、そして終わりを告げる。

簡単に倒してしまう。

反時空管理局組織とは言え、少し、違和感のような物を感じる。

その違和感が応えとして、弱いという印象を与えた理由を理解する事が出来た。

「全てが、機械のみ・・・」

機械、機械、機械機械機械機械機械機械機械機械機械機械機械機械機械機械機械機械機械機械機械機械機械機械機械機械。

戦っている相手は、全て機械なのだ。

「統率力が無い・・・・・・」

余りにも、手ごたえは無いとは思っていたが、今更、それに気付いた自分達もどうかと思ってしまった。

機械と、単なる攻撃プログラムを刻み込まれた、死体兵器しか、此処にはないのだ。

「まさか・・・本当は、あの男だけ・・・?」

ティアナは思う。

反時空管理局組織と言うのは、ワンマングループで成り立ち、全ては、彼による自作自演なのではないのだろうかと。

「下手したら・・・」

全兵器が

「機械って言う可能性がある・・・」

ティアナは、そう、推測した。

反時空管理局組織など、あの男、一人勝手に作り上げた物。

喋る事の出来ない、単純な人工知能しか装備していない、量産型戦闘機人。

余りにも、弱すぎた。

単純な、死体兵器である、マリアージュに、ガジェット。

みた敵は、それが、全て。

ティアナの中で生まれる、一つの考え。

「機械ばっかだな・・・」

「本気が出ない?」

機械としたいばかりの相手であるが故に、正直、本気も糞も悠介には無かった。

「ただ、手応えが無い・・・それだけ。」

「手応えね・・・解るわ。」

「機械だけと言うのは、どうも気持ちが悪いね・・・」

「そうなんだけどさ・・・」

「解らないね・・・」

「人望が、無いとか・・・?」

こういう理由であるのなら、十分に考える事ができる。

人望が無いゆえに、機械しか、敵はいない。

それを踏まえて、機械のみでできた組織。

ある種、考えるという物が一人だけであるが故に、あの覆面の男は自由に動けるということなのだろう。

「まぁ、あの男と対峙しても、大した事はないんだけどさ・・・・・・」

「ただ、気持ち悪い、あの理解できない感情が、恐い。」

わかってはいた。

気持ち悪い。

あの気持ち悪さをどうにかしなければ、あの男には勝てない。

「動く事すらできなくなる・・・」

「えぇ・・・入り込んでくる形・・・・・・」

あれに囚われれば、如何なる物であろうとも、太刀打ちはできない。

実際、囚われて、何もできなくなっている、気持ち悪いというなの感覚。

吐き気さえ、襲ってくる。

「とりあえず、行くしかないんだけどさ・・・」

おぞましい物・・・

キャロの怨念・・・

「嫌だね・・・俺たちは・・・」

「あの子、人を殺せるような子じゃなかったんだけどね・・・」

笑顔

その言葉が似合う少女だった。

「今は、その気配さえ、感じる事ができないほど、おぞましい物に見えるよ・・・」

彼女

「怨念が、強くしたか・・・禍禍しくさせたのか・・・」

事実









「破壊・・・破壊・・・破壊・・・」

「弱すぎる・・・・・・・・・」

「全ては、機械だけか・・・・・・」

「破壊・・・・・・・・・」

感情のないような声で、此処一面に仕掛けられた、全てのトラップを、キャロは破壊する。

破壊だけ

「弱すぎる・・・」

今までの物。

機動六課。

「大事な人がいなくなった・・・」

敵のいる、目の前まで

「なのはさん・・・」

「フェイトさん・・・」

「瑠璃さん・・・」

辺りを破壊した後に、徐々に、怨念が強くなり始め、今一度、自分と言う存在を確かめる。

「エリオ君・・・」

何も無い。

「奪った・・・」

そう、判断した。

「貴方が、奪った・・・」

そして考える。

あの男の殺し方を。

「そのまま、何倍も・・・」

そう。

何倍も、何倍も、何倍もの痛みを受けてもらわなければならない。

「そうしなきゃ・・・困る・・・」

「私が納まらない・・・・・・」

自分が、自分でなくなるような気がした。

ただ、自分の手で、殺したい。

「あの男を・・・私が・・・」

「絶対に・・・」

「殺したい。」

やはり、消えている。

「私が、あの男を殺す。」

「確実に・・・」

「絶対に・・・」

「あの男を仕留める・・・」

怨念という力で、強くなろうとしている。

ある種、今のキャロと言う物は、精神が肉体を凌駕した存在と言えるのだろう。

「さぁ・・・」

「殺そうか・・・・・・」

精神が、肉体を凌駕している状態でなければ、彼女は、此処まで覚醒はしていないだろう。

今後の力で役立つのだとしたら、あの男に感謝すべきなのだろうか。

覚醒させてしまった、あの男を。

「殺す・・・・・・」

無数なる怨念を、その身に纏い、彼女は、今、此処にいる。

「ストラーダ・・・」

「エリオ君のもの・・・」

でも、今は・・・?

「私のもの・・・私が、それを貰った・・・」

譲り受けたもの?

それ以上のものにする?

どうするの?

「私は、殺したい・・・それだけ・・・」

変わるよ?

「構いません・・・」

欲しい・・・ただ、彼女は、力が欲しいという。

それが適切。

怨念を力に買えて、肉体が精神を凌駕して、それ以上に望む形となる。

でも、所詮は人間だ。

リンカーコアを持っただけの人間。

それ以上に、なれる訳ではない。

「勝つよ・・・・・・」

ただ、普通の人間より、強くなちゃッただけ・・・

受け入れてしまえと、いう。

キャロは、ただ、男を殺すためだけに。

「後悔はしないから。」

「後悔はしないし、私が、勝つから。」

絶対なる自信。

勝利と言うより、望むのは殺す事でしょう?

「そうだよ・・・・・・」

「殺したいから、此処にいるんだ!!!」

正にそれ修羅の如し。

ある種の最強の人間の修羅。

今、テスタメントを除けば、一番強いといえる。

しかし、キャロの場合

「どこまで・・・?」

どこまで。

その力を受け入れ、持続させる事ができるのでしょう?

「してみせるよ・・・そうでなければ・・・私、ここまでした、意味が無いもの。」

どうでしょう?

予測はつかない。

どちらが勝利するかなど。

貴方は私。

私は貴方。

「どちらが勝つかなんて・・・」

「私に決まっているでしょう・・・?私・・・」

貴方を見ている、もう一人の私がここにいる。

全ては、私。

冷静に、貴方と言う私を、私は見ている。

「変わった?」

私は思う。

この、短時間で、人という存在は、本当に変わることが、怨念だけに力を任せて、力を増幅させる事など、本当に他愛も無い出来事であると。

私は、気付いた。

「私は、貴方に気付いた。」

問いかけ

私は、貴方に問い掛ける役割。

いつ、私が、貴方に話し掛けるか、それは、私次第。

彼女に力を貸すというのなら、私は、力を惜しむのはやめませんし、そうしなければ、あの男を殺す事は絶対に出来やしないでしょう。








「・・・彼女が、入った・・・?」

それと同時に、目の前に、ヴォルケンリッターを象ったような、黒い、何か、気持ち悪いもので作られた何かと出くわした。

相手は気持ち悪いもので作られた、皮膚は、放射能で焼け爛れたような顔をしていた。

人間として、まだ、できていないような、何かが、唐突に現れた。

「感じるのは・・・あの男の雰囲気・・・」

あの男の雰囲気が、気持ち悪さが、全てを、体現しているように、目の前にいる4体はゾンビのように。

「どうも、気持ち悪いね・・・」

「そうね・・・・・・シグナム体調たちが見たら・・・・・・卒倒でもするかな?」

「どうかな・・・?そう言う玉じゃないよ・・・」

「そうね・・・」

とりあえず、こいつ等は潰す。

気持ち悪い感情は渦巻くが、挙動の一つ一つに、どこか、うざさが湧いて、そういう大胆なことをいいたくなるほど、目の前にいる敵はうざかった。

「殺しても良いんだよな・・・・・・」

「まぁ、気持ち悪さがあるけどね・・・」

最終的に、殺さなければならないし、此処で、気持ち悪い敵に克服していれば、相手と戦えば、その分は楽になれると思った。

「ちっ・・・」

先ほどから、何か、変な雑音が聞こえてくる。

「ノイズ・・・?」

耳の中に入り込んでくる、何か、気持ち悪いノイズが、自分を不快にさせるノイズが、自分の中に入り込み、汚染させるような気分になる。

悠介。

目の前にいるゾンビ達から、そう言うものが聞こえてくる。

ザフィーラのような、ゾンビが、ザフィーラゾンビが動いた瞬間に、他のゾンビも動き出した。

「さぁて・・・殲滅と行きますか・・・!」

悠介は言い放つ。

「ザフィーラ、こいつの魔法は形無し状態か。」

ザフィーラの本職は魔法ではない。

本来の能力は・・・

格闘也

ザフィーラは、獣から人へと姿を変える。

それこそ、ヴォルケンリッターの三位一体の攻撃手段へと移るという事だろう。

「私の出番は無し・・・か」

ザフィーラの格闘術。

ヴィータのパンツァーアイゼンから繰り出される技。

その名をラケーテンハンマー。

シグナムのレヴァンティン。

ボーゲンフォルムから繰り出される夥しい量の矢。

「ティアは、先に言ってろ・・・気持ち悪いのを殲滅させる・・・!!」

「解った・・・!!頼んだよ!!」

ゾンビであるが故に、ヴォルケンリッターのように、応用的な戦い方ができず、先に行く、ティアナを見逃し、目の前にいる悠介のみをターゲットとする。

ある程度、指の骨を鳴らした後、ゾンビから放たれた攻撃を跳躍して、矢は、全て、切り落とし全て避けた。

しかし、後から、熱さにような物が走り、その、熱い部分を見たとき、何発か、自分のその身に、シグナムタイプのゾンビが放った矢を何発かが、左側の脇腹を貫いていた。

完全に、見切ったと思っていたが、そうはならなかったようだ。

さらに、痛みから、黒い何かが、入り込んでいるような、気持ち悪いものが入り始める。

ノイズと共に、気持ち悪いものが、嘔吐感が傷口から入ってきていた。

「こいつっ!」

悠介は、自分がこの程度の物なのか、と、一瞬、絶望し、舌を打った後に、背後から迫っていた、ザフィーラタイプのゾンビの一撃を交わす。

このゾンビ達の戦闘スタイルは、ただ、コピーしただけの物。

ただ、コピーして、それっぽく動かしているだけの事だ。

それを、完全に避ける事ができなかったのは、自分の動きに、まだ、無駄と言う物があるからだろう。

しかし、ニ弾のラケーテンハンマー

再び、来た、ザフィーラの体術をも返す。

「近づけば、気持ち悪い・・・その上、こっちは、刀のみ・・・やっぱ、ティアを残しておくんだったなぁ・・・」

最も愚かな事をしてしまった。

「なんだ・・・あの気持ち悪さは・・・」

近付けば、身動きできないほどの気持ち悪さが、襲ってくるし、何も出来なくなる。

「たす・・・・・・けて・・・・・・」

「あぁ・・・!?」

確かに、ゾンビの中から、何か、声が聞こえるような気がした。

その、悠介の二つの耳で、しっかりと、聞こえた。

助けてくれと

「なんだ!?おい!!助けてって、どういうことだ!!」

このまま、相手の攻撃を、ジグザグに、距離を取るように、避けつづけながら相手に向かって叫ぶ。

何かが、訴えている事は確かであり、それが、気持ち悪いものであると、結びつけようとしていた。

それでも、容赦無く、助けてと訴えながら、ゾンビ達は攻撃を仕掛けてくる。

「一閃タイプ・・・」

シグナムタイプのゾンビの一撃をその刃で受けて、あえて、相手の気持ち悪さの中にある、奥を見ようとしていたが、聞こえてくるのは、その声だけ。

助けてという言葉だけが、聞こえてくる。

それは、一人ではない。

「複数が、このゾンビの中にいるとでもいうのかよ!!」

ヴィータタイプとシグナムタイプ、ザフィーラタイプのゾンビから聞こえる、君の悪い物。

助けろというのであれば、自分は、何を、何をすれば良い。

複数の攻撃をその俊敏さを駆使して、地形を利用し、避けていた時、何かが、自分の腕に取り付いた。

気持ち悪いものだが、それを何打と確認したとき、自分の体から、相手の腕が、シャマルタイプのゾンビが、自分の体を貫いていた。

「がぁ・・・!!!」

「助けて・・・殺して・・・助けて・・・」

突如、どこからか聞こえる声。

「殺して助ける・・・!?」

殺す事が、助ける事だというのだろうか。

一瞬、目の前にいるものを考えて、シャマルタイプのゾンビに貫かれた、腕を見てみた。

「たすけてぇ・・・・・・」

「っ・・・・・・!?」

絶句だった。

その腕から、人が、人の顔が、浮かび上がり、はがれ、流れ落ち、自分の中に入ってくるような感覚が、相手の腕から、自分の中に流れた。

「くっ・・・・・・!!」

あまりの違和感に、刃を逆手に取り出し、そのまま、腕を切り落とした時、切れ目から、黒く染まった人の顔が流れ出した。

そこに、たくさんの人がいたかのようにだ。

「ありがとう・・・ありがとう・・・・・・・・・」

「お前等は・・・・・・いったい・・・・・・なんなんだ・・・!?」

切り落とした腕は、そのまま、黒い光となって、消滅し、その刃で切られた腕から霊は完全に、消滅した。

「殺されれば、救われる・・・・・・?」

草薙の剣の刃で切られた霊体は、そのまま、消滅する。

「そっか・・・お前、そう言う力あったな・・・・・・」

自分の体に、殺気まで纏わり付いていた、感触と言う物は、今は無い。

刀に、言い聞かしながら、悠介は、目を閉じ、何かを呟く。

思い出したのだ。

この出来事、これが、どういう力であり、いかに危険であるかと言う事をだ。

「まさか・・・殺した人間の霊を・・・」

思わず、息を飲み、最も、自分の嫌う術を使う奴と、この世界でも戦わなければならないと、思い、吐き気に襲われた。

誰が使っていたのかなど、全く覚えてはいないが、術の反動的な代償は、比べん物にならないほどに、きつい物である事を思い出す。

その先にいた人間が、どうなってしまったのかと言う結末でさえも、あれを見て、思い出した瞬間、嫌な気分に、悠介はなり、今度は、完全に吐いてしまった。

もとより、戦場であるが故に、それを使わない敵がいないとは限らないし、見方も使っているかもしれないが、嫌な気分になった。

「お前達は!?」

此処で、ずっと、倒していても、その原因が掴み取れる物ではない。

悠介は、腕を落とされて、まじまじとしている、シャマルタイプのゾンビを破壊した後に、同時に、攻めてきたザフィーラタイプのゾンビを一瞬で、破壊する。

浄化されていく、体の中にいる、複数の霊大河、光となって礼を良いながら消滅してしまう。

挙動を見せながら、現実に何があったのかなど、理解する事は出来やしない。

ならば、最後の一帯にでも、拘束し、聞こうとする。

腰をかがめて、手で顔全体を覆いながら、瞼を完全に開き、そのまま、縮地に入った後に、相手を捕らえる事のできない、シグナムタイプのゾンビを破壊する。

「話くらい・・・聞いてもらうぞ・・・思い出すことが出来た・・・」

シュッ、ッ問い魚とが聞こえた瞬間、ヴィータタイプのゾンビに、結界が張り巡らされる。

ゾンビにありがちな、動きがとろいという特性が、そのまま乗っていたために、非常に助かった。

「計都と羅睺・・・そうだ。助かった・・・」

計都と羅睺・・・一つは、土を司り、一つは、不浄を嫌う者。

ある種、あの手のタイプのゾンビを穢れとして扱う事によって、術者にしか干渉されない結界を、悠介は、音も無く、作り上げる事ができた。

「悪いが、探らせてもらうぞ・・・・・・」

どこに、何があるかが解らないが、悠介は、精神体を体の中に送り込み、送られてくる映像を自分の目で見る。

この、全ての体の中から、声が聞こえてくる。

「ありがとう・・・やっと、喋る事ができた・・・君が、何かをしてくれたお陰で、”助けて””殺して”鹿、いう事ができなかった。僕等は、久しぶりに喋る事ができた。」

顔だけが浮かび上がり、その顔が、やさしく語りかけ、礼を言う。

「助けて・・・殺して・・・僕達は、この言葉しか言えなかった。」

「何故・・・そうなった・・・?」

「僕達は、肉体が壊されたんだ・・・・・・」

「肉体が、壊れて・・・・・・壊された体は、操り人形のように利用された。そして、残った魂は・・・その手の件で殺されない限り、解放はされない・・・壊されたからだの持ち主である魂は、嫌でも、殺した相手に張り付いてしまう・・・君が、あの男に対して、気持ち悪いという気持ちを持ったのは、もとより、僕達が、君たちの精神に入り込ませようとしたから・・・・だから、殺せなかった・・・朴達の魂を作り出した、素体・・・的な体に乗り込ませた。」

「あんた達は・・・誰に殺された・・・・・・?」

「解らない・・・」

誰もが、顔を合わせて、その男の正体に関して、口を閉ざした。

誰もが、自分達の体をマリアージュにして、魂を一つの肉体に縛られ、解放される事を許されない魂。

それを殺した人間を、悠介は、探りを入れることができなかった。

「君は、此処にいても、大丈夫なのかい?」

「不浄を嫌うものと大地を司る物が見方をしてくれている。誰か、君たちを殺した人間を知らないか・・・?」

「誰も解らない・・・」

これが

「誰にも解らないんだ。皆、覆面の男に殺されたから。」

全員が、覆面を付けた男に殺され、魂を覆面の男に牛耳られてしまっているという。

「でも、君があの結界を這ってくれたお陰で、こうして、話すことができた・・・・・・」

自由など、あったものではない生活を、此処にいる死霊と言える、者達は過ごしてきたのだろう。

男女問わずに、その中に助けをこう人間達はいた。

口々に、ここから、出せ、助けてくれと言う人間達は言う。

浮かび上がる、人の顔、顔、顔、顔・・・顔・・・顔と言う名の顔が、全て、浮かび上がり、悠介に助けをこう。

「あんた達を解放するには、どうする・・・?」

「僕達を、縛っている・・・あの体を破壊するしかない。」

「僕達の解放は、死によってでしか、解放されないんだ。」

だから、殺せと、浮かび上がるかお立ちは、殺せという。

此処には、何も、何も無い。

楽しい事も、悲しいことも、何も共有できず、魂は一人の男の肉体によって、縛られて、そこから、出ることすらできないのだから、いっそのこと、破壊して欲しいと、此処にいる人間だった者達は望む。

既に、肉体は、マリアージュとなって、助からないのだから。

「だから・・・朴達は、ある意味では運がいいんだ。頼む。」

死によってでしか肉体を破壊された例たちを清める事は出来ない。

それゆえに、彼等は死と言う者を望む。

「意識も全て・・・僕達は、あの男に乗っ取られている・・・」

「解放はするさ・・・・・・知っちまった、俺の責任でもあるし・・・・・・」

「待って・・・待って・・・」

「ん・・・?」

そこにいたのは、少女の顔をした、顔だった。

まだ、幼い、ヴィヴィオと同じくらいの女の子だろうか、そんな子まで、あの男は、敵は、殺してしまったというのか。

ます先ず、あの男を殺したいと、この手で思ってしまった。

余りにも、残酷すぎる出来事であり、戦場と無縁の物を殺すという、あの男の行為に、確たる殺意を、その身に覚えた。

お前と言う人間は、どこまで、残酷な人間なのか。

此処まで、小さな少女を殺す必要があるとでもいうのだろうか。

「見たよ・・・あの人・・・私、見た・・・」

その少女は、見たという。

弱弱しく呟いて、必死に、その声で、悠介に訴えようとしていた。

何故、子供まで殺した。

「その人・・・見たことあるの・・・時空管理局の人で・・・」

たどたどしく、説明をし始め、悠介は、それを息を飲んで聞き始め、瞬きする事無く、その少女を見た。

何を、その少女は、何を見たというのだろうか。

何を・・・

「パパとママが、あの男に殺されて・・・私は、ずっと・・・見てた・・・殺されるまでの瞬間・・・それで、マスクを脱いだ時、その素顔も瞬間まで見たの・・・」

悠介は、入り耐えてゆえに、その人物の名前や特徴を行っても、全く解らないが、六課にこの情報を持ち帰れな、確実に正体がわかる。

速くしろという意識が、悠介の心臓の鼓動を速くしている。

説明、その時の状況が、滞りなく伝わり、全てが伝わり、全てを理解する事ができた。

語られる、敵の目的。

その中に出てくるのは、やはり、高町なのはと言う名前が、少女の口の中から、何回も、何回も出てきた。

「その人の名前をね・・・・・・私、知ってたの・・・・・・」

「その人間は・・・!?」

「信じること・・・できなかった・・・知ってた、私の優しい人だったから・・・」

早く言えと言っても、あのときのことを思い出せば、全ての出来事を聞いてもらいたいというこのなのだろう。

少女は、全ての事を、話し、そして、その男の名前を口にしようとした、時だった。

「その人の名前は・・・む・・・がっ・・・・・・!!」

名前を口にしようとしたとき、少女の顔が、潰れ、完全に消滅してしまった。

「そんな・・・」

無情だけが、悠介のいる、この空間を漂い、残った物は、ただ、空しさと言う物だけだった。

許されることの無い、殺人。

犯人の、実行者の名前を言おうとしただけで、如何なる人間の魂であろうと、容赦無く、殺してしまうのか。

「所詮、僕達は、君にヒントを教えることもできないということさ・・・話を聞いてもらう事ができてもね・・・」

「もう開放してくれぇ・・・」

他の顔たちが、少女の死に共鳴してか、死を求めながら、彼女は叫ぶ。

もう、殺して、解放するしかないというのなら、悠介は、その覚悟を決める。

「本当に・・・・・・良いんだよな・・・・・・」

「後悔はしないよ・・・頼むから、僕達を・・・もう・・・」

「解放してよぉ・・・嫌なんだ・・・此処は、いやだぁ・・・!!」

「解った・・・ごめんな・・・」

その謝罪は、何もできなかった彼等の事なのか、殺す事を防ぐ事ができなかった、彼等に行っているのか、或いは、その両方か。

自然と、悠介は涙を流し、このゾンビの体内から、悠介の精神体は、その中から、消えた。

全てが、最悪だった。

もう、100というレベルじゃない。

「既に、何人、いや、何千人なのか・・・?あの男が、殺したのは・・・」

躊躇ってはならない。

計都と羅睺の結界をそのままにし、草薙の件の刃を、二本の自分の指で、なぞる。

光った刀身は、相手の霊に対して、痛み無く昇天させる、ある種では、怨霊に優しい刃とでも行った所だろうか。

悠介は、一度、安らかに眠れるように、指で、印を切ってから、草薙の剣を、その手に持って、ヴィータタイプのゾンビに向かって、一歩ずつ歩きだした。

もう、やるしかない。

中にある、何もできない、魂を解放するために、目の前にいる敵を潰す。

「やるぞ・・・」

「たのんだよ・・・・・・」

ヴィータタイプのゾンビから、先ほど、話した、男の顔が、現れ、優しい顔を浮かべて、笑顔を見せていた。

安らげるということなのだろう。

光る、刃を振り上げて、そのまま、結界の中にいる、ヴィータタイプのゾンビに対して、勢いよく、振り下ろした。

目を瞑らずに、悠介は、瞬きすら、する事無く、光となって還元される、その男達の最後を確認した。

安らかな顔、ヴィータタイプのゾンビの顔から浮かび上がるデスマスク。

苦悩の中で、悠介は、刀身が大地につくまで、剣を降ろし、その最後に立ち会った。

「ごめんな・・・・・・」

自分は、所詮は、人であると、人であるということを改めて、実感した瞬間だった。

「魔法って奴を・・・!!」

持っていても・・・

「結局は・・・」

あの魂や肉体たちを

「再生する事なんかできやしない・・・」

ましてや

「完全に助ける事すらできない・・・」

しなければなら無い事は、これ以上、犠牲者が増える前に、あの男を、確実に、この手で、殺さなければならないということだ。

許してはならない。

いくら、敵に、どのような思いがあったとしてもだ。

「誰であろうと・・・」

瞳にうかびあがあるのは、殺意と言う名の、自分の新たなる力の解放。

殺意と同時に、蘇る。

憎しみと言う者が、悠介に力を与え、眠らせていた力は、強制と言う名の抗う事のできない運命から、蘇り、その消える光景を見ていた。

苦悩・・・

消える、消える、消える、安らかに昇天する声が、聞こえてくる。

あぁ、もう、何もする必要は無い。

ただ、その瞳から流れる涙は、あの男に殺された者達への供養となる。

全てが、残酷すぎた。

まさか、記憶の中で、絶対に戦いたくないと思っていたものが、この世界で、最初に、殺さなければならない、嫌な思い出。

その術を見破った時には、記憶の中で、誰かが、それを使う。

また、それを使った人間の結末が、如何なる物だったのかを思い出す。

「バカヤロウ・・・・・・」

もう、あそこまで殺していれば

「逃げることなんてできやしない・・・」

ただでさえ、人としてみることができなくなるほど、嫌な物だ。

悠介が、最も、嫌悪した、術と言えるだろう。

思い出すだけで、血の気が引き、吐き気が襲い、頭痛が来て、直視する事すら、まともで着なくなる、その術を使った物の末路。

「何で・・・そこまで・・・する・・・」

殺してまで、力を得る必要があるとでもいうのか。

一度殺せば、確かに、強くはなる。

「一発目の力は確実・・・」

此処から、誘惑に駆られるように、どんどん、人を殺していく。

最初は、自分の憎んでいた物、そして、徐々に、殺す人間を選ばなくなり、最終的には、子供であろうと、誰であろうと殺してしまう。

「生まれたばかりの・・・・・・子供であろうと・・・・・・」

虚しく、その大地に膝をつけて、何もできない自分に嫌気がさして、悠介は呟き、涙を流す。

まだ、ここに来て、日は浅いというのに、絶望してしまう。

「うざいんだよ・・・・・・」

瞳が血によって、充血し、唇を噛み締め、改めて、刃を持って、怨念の感じる方角を、悠介はじっと、殺意を込めて、睨んだ。

「良いさ・・・殺してやるよ・・・」

もう、あの男の命は、どの道、長くは無い。

悠介は、ゾンビタイプのヴォルケンリッターを全滅させ、怨念の感じる方向へ向かって、動き出す。

血が滾り、速く殺せと、言われているような気がして、ならなかった。

早く、あの覆面タイプの男を殺せと、言っているように。









「フリード・・・ここらへん・・・焼き払って。」

静に、キャロが呟久野と同時に、フリードの口から、何発かの火球が放出され、打たれた部分は、全てが、焼け野原となる。

それでも、あの男は、出てはこなかった。

「いい加減にしろよぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!!!!!!!!」

気配を全く、感じなかった。

此処にいる様子すら、全く無いように思える。

「いい加減に出てきやがれ!!!!!糞やろうが!!!!!!!」

キャロは、フリードによって、辺りを燃やしながら、鉈状のストラーダで、大地を切り裂き、叫び、苛付いていた時だった、背後に、殺意と言う者を感じたのは。

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