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ACT-Ⅵ「虚無と恐怖」

今回は、場面転換が多いです。
時系列的には、前回の話の直後。
前回の話は昼、今回は夜から始る。
あのシーンも編集して登場だぁ。


「随分と、派手な出迎えだこと。」

浦島悠介は絶対勝利を確信していた。

ただ、無心で目の前にいる人間はざっと60人と、いったところだろう。

戦力比は

「1対10・・・か。きついのは嫌なんだよなぁ…」

全てその通り。

敵は倒せる。

スカートは翻さないようにとは、よく言ったものだが、彼としては無駄な戦闘は避けたかった。

無論、スカートの中にはトランクスしか穿いてないし、それ以前に目の前にいるマリアージュに向かって言っても、それは無駄ではあるが。

心臓の鼓動は無駄に高まり、冷や汗が流れ始めている。

映画ならば、この状況で、緊迫したBGMでも流れている状況だろうが、そんなものが、流れている訳も無い。

「クロウ・・・展開!!」

「ライジング、展開!!」

目の前にいる、十人は自分のデバイスを解放し始める。

悠介は、対抗するために、その刀、草薙の剣を構え始める。

「さて、やるか・・・?」

それが合図だった。

それと共に、目の前にいる十人は、姿を消す。

これが、敵の攻撃開始の合図であると同時に、これを感じ取った悠介は、二回跳ね、攻撃の準備をし始める。

迷彩隠密魔術「サイレントシャドウ」

情報によれば、暗殺部隊がおもに用いる、自身の体を透明化させる、魔術の一つだそうだ。

「んじゃ、俺も行きますか。」

抜刀の構えをし、そのまま縮地を使って、見えない敵に突っ込む。

「10人なんざ、俺の速さの前では意味無し!!」

その通り。

ある意味では、亜高速で移動しているのと、同じに近い。

そして攻撃する悠介の前では止まっている。

それに等しい。

「はっ!!」

固まっている10人の中に、姿を消した悠介は風の如く。

「風・・・」

風が通り過ぎた時、10人から、鮮血が吹き出る。

「生きているなら、殺しはしなかったさ・・・」

敵は、異様だったということなのだ。

奇怪にも、顔は、過去の特撮ヒーロー、スペクトルマン、レッドマン、アンギラス、ラドン、クビラ、ネズバードン、レインボーマン、月光仮面、鉄人28号、そして、ナショナルキッド。

「ったく・・・ふざけた事しやがって。」

ナイトメア。

悠介は、その男達を、皮肉を込めて、呼んでいた。

全て、知っているものであるが故に、悠介は、それに対して、憧れを抱いていた事があったのを、や面のお面を見て、思い出していた。

自分の、憧れていた、ヒーローというものが、自分に向かって、いや、ヒーローという存在が、罪のない、人間や、子供に向かって、攻撃している。

無論、悪意を持って、ヒーローと戦い、敗れた怪獣のお面を付けているものもいるがだ。

フィクションであって、現実、雄介達のいる世界では、人間を守るヒーローのはずだ。

さらに、敵は、お面をつけた敵たちは、全員死人と来て、裏で誰かが、操っていると着ている。

恐らくは、あの時、顔を何十で隠した、あの男だろう。


ザシュッ・・・!!!


この音と同時に、お面を付けた人間たちの首が、一気に落ちたのだ。

縮地を使い、一気に、敵の中を駆け抜け、目にも見えない程度の速さで、敵の首を一瞬に切り落としたという事だ。

とは言え、この戦い方が、凄い楽であり、元の戦い方など、思い出す必要もないと思っていた。

技名を叫ばない、主人公も、この世界では珍しいことだろう。

ただ、技名を忘れているという事もあるかもしれないが、一通りの動きには、それなりの癖と呼べるものがある。

首を切り落としたとしても、敵は、再生し始める。

いや、再生というより、そこには、再利用という言葉が、相応しいといえるかもしれない。

その死体を再利用し、新たに生まれるのが、マリアージュと呼べる兵器だった。

此処最近、特に、何十にもマスクを被った男を見ていこう、一人の時を狙った時に、襲ってくるようになった。

最悪の出来事だと、その身に悠介は受け取った。

悠介は、スカートを翻さないように、その動作をあわせて日本舞踊が如く。

男でありながら、歌舞伎の女形のように全く持って戦う姿が美しい。

マリアージュは、何体異様とも、今の悠介の前では、特殊な拘束魔法を使ってくる訳でもなく、楽な物だった。

敵としては、マリアージュは、最後の爆発を除けば、弱いという部類に入るといえる。

しかし、その爆発を利用する事はできる。

向かってくる、敵の攻撃、自分の足元に攻撃が、着弾してきた時には、既に、撃った敵を切り裂いている。

誰よりも、誰よりも、速いのだ。

忍者のように、駆け抜けて、自分の靴屋、爪を使って、ブレーキをし、方向転換をする。

敵に攻撃する気も与えず、敵に、触れようとしたときには、全て、抜刀術で敵を倒している。

神速、縮地・・・正に、浦島悠介に与えられた、神の足技であるといえるだろう。


ギィィィィィィィ・・・・・・!!!!!!!!


爪、足を使い、ブレーキを取り、方向転換の準備をし始めたとき、靴や、爪から、火花が舞い上がる。

その火花を武器として、使用し、最後のマリアージュを、完全に止まったのと同時に、剣の衝撃破で完全に真っ二つに切り裂いた。

全員が爆発した。

これこそ、この間に起こった戦闘時間は、僅か、30秒。

全ては、悠介の脚の速さが伴って、発生する事のできる、先頭時間であり、此処にいる人間には、恐らく出来ないだろう。

「ミッションコンプリート・・・って、またかよ!!」

かっこつけたときに、来やがって。

バインドで拘束され、未だに、これを、解除する事が出来ない。

「さぁ・・・君の命も今日で終わらせよう。」

「ふざけてんじゃねぇよ!!!俺に何の、恨むがあるって言うんだ!!!」

「君に対する恨み・・・?君が、なのはの後釜という事だよ。」

「だから、意味わかんねぇって!!!」

「僕には、意味があるんだ!」

あの時は、ティアナ・ランスターの助けによって、何とか、あの窮地を抜け出す事が出来た。

しかし、今は、誰もいないときたもんだ。

「訳わかんない理由で・・・殺されるのかよ!?」

心臓の鼓動が、高鳴り、いやな、緊張感が、悠介に走り、冷や汗が流れてしまう。

助けは、ない。

頭に思い浮かぶのは、クロノ、燈也、すずか、スバル、いや、誰でも言いから、ティアナ、ヴィヴィオ・・・いや、

「知世・・・」

ふと、呟いた、誰だか、解らない名前であろうとも、取り合えず、呟いてみたくもなる。

知っている人間の名前を呼べば、何れ着てくれるかもしれないなどと、悠介は、単純でありながらも、そのように考えてしまう。

無い物ねだりをしている、子供のように。

此処から、見れば、解るくらいに、覆面の男は、一歩近づくたびに、ナイフを握る時、強くなっているのが解る。

相当な握力で、握り、なおかつ、自分を殺したいという事が、解る。

わけの解らない理由で、俺は、殺されなきゃいけないのかという、どこか、屈辱に似た感情が、悠介の中に渦巻いた。

こんな、わけの解らない奴に、わけの解らない理由で殺される。

屈辱、怒り、侮辱、そして、わけのわからない感情が、悠介の中に渦巻いていた。

何を言っても、この男は、自分が何を話しても、聞こうとはしないだろう。

「ここまで弱いなんてね。」

バインドという、拘束魔術を使っているからじゃないかなどと、呟き、悠介は、ただ、一点を見る。

小ざかしい技で、こいつに殺されるとでも言うのなら、ある種、恥じに近いものがある。

何故、このように事態にいきなり、なってしまっているのだろう。

そもそも、何故、高町なのはの後釜というだけで、自分じゃ狙われなければならないというのだろうか。

こいつが、誰なのか解らないまま、自分は、殺され、マリアージュのコアとなるという事なのだろう。

馬鹿みたいに、鳴り響く、自分の心臓の鼓動に、嫌気が刺し、このまま、こいつに殺されるのであれば、自害する事も、考えてしまう。

「なぁ・・・死ぬ前に教えてくれない・・・?」

「何を?」

こうなったら、最大限までに、時間を稼ぐしかないと、悠介は踏んだ。

ただ、聞くのは、一つ。

「高町なのはって、あんたの何?」

「僕の女だよ。」

「女ね・・・」

恐らくは、この男が、ただ、一人で言っている事なのではないのだろうか。

等と、勝手に思った。

延々と語られるであろう、高町なのはとやらの自慢の間に、それなりに、この状況を打開する事を考えたい。

建築物的に、六課の隊舎の近くにあるし、そろそろ、就寝時間に近い。

そろそろ、ヴィヴィオ辺りが、気付いてくれるかもしれないという、希望が、生まれ始めていた。

この状況、どうにかならないかと模索するが、両腕、両足を拘束されているが故に、どうにもならない。

口に、刃を仕込み・・・と、言う手も、考えたが、それも意味はない。

とりあえず、思うは、目の前にいる馬鹿が、どれだけ、高町なのはの事を自慢するか、どうかで、自分の命が左右されると思っていた。

目の前に語る男は、高町なのはに対して、熱くなるタイプのようだ。

恐らく、行方不明である当の本人は、そこまで美化されていることにすら、気付いていないだろう。

好きなことに、いや、好きな人間に対して、ここまで、熱中すれば、目の前など、見えなくなるのがこの男の本性と見た。

バインドさえされていなければ、今、この状況で、この男を斬る事さえできる。

しかし、それが出来ないというのだから、この事実は、辛い物がある。

とりあえず、この態勢はかなりきつい。

「つまりさ・・・」

「まるでグールじゃねぇか・・・」

話を聞かずに、周りを見始めた時、マリアージュの構造を見て、グールと言う言葉を思いついた。

死体を利用し、再び、戦力となるマリアージュ。

墓をあさって人間の死体を食べたり、小さな子供を食べたりする。

また旅行者を砂漠の奥まで誘い込み、彼らを殺して食べたりもする。

マリアージュがグールであるという。

この場合のグールは、人間を殺し、食い、人員を増やしていくが。

食料を大量に食べる厄介者である。

「さぁて・・・どうした物か・・・」

置かれた状況は、ナンバーズを助けてた時、夜に、刀を修行していた時に、グールが襲ってきて、それを、撃墜、バインドに拘束されて、今に至るという状況だ。

そして、目の前に現れたのが、昼に、出会った人間ということだ。

此処まで、侵入されてしまったのかと、明らかに時空管理局の内部は、これほどまでに弱いのかと感じてしまった。

「さぁて・・・終わりだね・・・」

最後に、その言葉を呟き、再びナイフを構えた。

此処で、殺されるのは、明らかに、ばかげている。


ザザッ・・・


悠介の耳に、地面を抉るような音が聞こえた。

顔は動かさず、そのまま、眼球だけを動かして、その方向を見た。

物陰に隠れて、そこにいたのは、運がいいというべきか、エリオ・モンディアルが驚きの表情を浮かべながらも、そこにいてくれた。

『ゆ、悠介さん!?』

『ははっ・・・情けないところ見せちゃったね・・・』

しかし、バインドという拘束を解くことが出来ないのだから、仕方ない。

基本的なとき肩は、明日、ティアナが直接教えてもらえるが故の事だ。

今日は、まだ、刃の修行だけで、充分だと思っていた、悠介は自分が完全に甘いと思ってしまったものだ。

独学であれ、その手のものは読んでおくべきだったと、後悔した。

『今・・・助けに行きます!!』

『いや、まだだね・・・取り合えず、今は、君の攻撃を防ぐ事はできるだろ・・・でも、本気で俺を殺そうとするとき、ナイフに勢いつけさせる時ね?そのとき・・・隙ができると思う。そのとき!』

それが、狙う時という事だ。

『それじゃ・・・俺が、合図した時に・・・お願いね!』

『はい・・・!』

『さぁて・・・俺の勝ちかな・・・』

エリオが、外で練習していた事は、安心する事が出来た。

目の前にいる男は、力は大した事は無いし、今はまだ、エリオの気配も分からない。

今の状況を打ち崩す事なんて、一人の人間がいれば、可能という事だ。

「あんたの下らない理由で俺は殺されんのか・・・」

「そうだよ。悠介・・・さようなら・・・」

本来ならば、此処で、自分の死を受け入れるシーンではあるはずだろう。

目の前にいる敵は、既に、自分を突き刺す為にナイフを持っている腕のバネを、最大にまで伸縮させていた。

この瞬間だった。

最高の、隙が生まれる瞬間。

この音子、人は大量に殺したかもしれないが、殺し始めたのは、最近のことだろう。

恐らく、バインドを使い、全力でさすという殺し方しか、していないのだろう。

『今だ・・・!!』

刹那の瞬間に、悠介は合図し、エリオは草むらを瞬間的な速さで、駆け抜けて、物音をしたときには、既に遅い。

悠介は、一度見た時から、エリオの速さというものを見抜いていた。

そして、それは、予想通りのものだった。

刹那の瞬間には、一閃が閃いた。

ストラーダの描いた、刃の軌道は、非常に素晴らしい物だった。

気が、エリオに向いた瞬間に、バインドも解除された。

エリオの、ストラーダで描いた、斬の軌道は、ナイフを持っていた腕を斬り飛ばし、さらに、悠介が、近づいた。

純潔が吹き出て、ナイフを持っていた腕は、悠介の顔を、血で濡らし、空中を乱舞しながら、ぽとりと、月夜に照らされた小道に落ちる。

男は、一瞬の出来事がよくわからず、ただ、斬られ、悠介と、その隣にいた少年を見た時に、痛みがこみ上げてきた。

男が見た、悠介の目の色は、何色だったのだろう。

右手に、刃を持ち、一瞬屈み、左の腕で地面に手をつけたとき、悠介から溢れでたのは、大量の殺気だった。

エリオは、人の腕を切ったことによって、どこか、恐怖のような物に苛まれた。

「大丈夫だ・・・俺がいる!!」

悠介が宥めた瞬間、一瞬にしてエリオの迷いが消えたのは、確たる軍神のオーラを感じたから、安心する事が出来た。

その男の名は浦島悠介であり、一応の戦神、鬼神の化身。

「冗談・・・」

「いや、本当だ。」

先程の躊躇いなく、死体を斬りつけた瞬間を見れば、嘘だとは言えなくなる。

「グール・・・10人。さらに、死者を愚弄するかのように、仮面で誤魔化す・・・」

「まさか、さっきのマリアージュに取り込まれた人達って・・・」

「そうだよ。エリオ君・・・全部、死体だ。この男が殺した・・・」

「馬鹿いわないで下さいよ!こんな、手応えがあまり無い男ですよ!?武装隊って言えば、屈指の指折りの戦闘力を持っている集団でしょ!?」

「武装隊の事は良く知らないけどね・・・」

エリオはその強さは知っているつもりでいる。

それが、どういう組織なのかも。

エリートで構成されたような、組織であり、なのはや、フェイトレベルの魔導師とて、そこには存在しているのだ。

「まさか・・・」

「事実だよ。おそらく、こいつは、拘束形とか、そう言う魔術に強い人間なんだろう。」

静に言い放つが、溢れる殺気が、目の前にいる男に動きという物を与えない。

「あんたは黙ってる!!」

気合一閃のような叫びが、男の頭を突き刺す。

「あんたは・・・最低だ。自分の欲望の為だけに、人を殺しちゃいけないんだよ!!」

「ぼ・・・く・・・は・・・!!」

「人を殺すのに、復讐の理念なんて、あんたには無いんだろ!?」

なにかをいようとした男だが、悠介は、言葉を発する隙でさえ与えようとしない。

ある種の怒りのような物が湧き上がってきたような気がした。

自分の欲望の為だけに、人を殺すというのは、人間として、最も恥ずべき殺人理由であると言えるであろう。

男には、目の前にいる、スカートを穿き、刃を構えている男が、般若の面を付けているほどに、おぞましい顔に見えた。

恐怖を司っているかのような、男は、徐々に、男の目には、鬼になってくる。

刀を構えた、最悪の鬼が、目の前に存在している。

鬼・・・

その言葉が、正に似合う光景であるといえるだろう。

一瞬、顔をしかめる。

悠介の爪が、一瞬、鬼のように鋭くなったような気がしたが、さらに、人間ではしない仕草をした後に、さらに、覇気が男を完全に捕らえていた。

「そんなものが・・・」

「コロス・・・!!」

そう。

それは存在している。

しかし、その存在は今日、抹消される。

人の命を、弄びすぎた罰を、与えるという事なのだろうか。

「じゃぁ・・・な!!」

「くっ・・・!!」

形勢が逆転した。

彼を今、呼ぶのであれば、何が相応しいだろう。

修羅、いや、鬼だろうか。

「うっ・・・!!」

やっと、呼吸をするのが許された瞬間には、自分は、どうなっているのだろう。

死んでしまったのではないのだろうかと思ったときだった。

しかし、自分は生きていた。

変わりに、目の前には、巨大なクレーターが出来上がっていた。

事実。

目の前には、その攻撃をかわしていた、悠介に、エリオ。

運良く、助かったのだろうか。

男は、恐怖した。

「そんな・・・」

目の前に出来た、巨大なクレーターに。

「何だ・・・?」

悠介が、点を、目を細めてみた時、そこにいたのは、二人の女だった。

しかし、悠介の視線に気付くのと同時に、女達は、姿を消してしまった。

「まさか・・・」

エリオは、ある種、その人間を、考えたくない人間だと、思ってしまったのだ。

知っているような気がするが、しかし、あの戦いで、死んだのだ。

その人間が、どういう種の人間なのか。

爆発音なく、出来上がったクレーター

天に浮いた、奇妙な二人の女。

拘束される、恐怖。

「嘘だ・・・」

虚無

「事実。それはあったんだよ。」

何か、唖然とされた物の中で、気付けば、覆面の男さえも消えていた。

「エリオ君の、良く知っている人だったのかい?」

取り逃した事をおしいと思いながら、これ以上外にいてもいいことは無いと思った悠介は、隊舎の中に入ることにした。

「いえ、気のせいです・・・」

「そうかい。今日は、ありがとね。」

殺気の二人の女の子ともそうだが、エリオは、先ほどの、帰路につく中で、さっきの事を思い出していた。

一瞬ではあるが、修羅のような、殺気を醸し出していた、浦島悠介の先程の戦闘での姿。

僅かな時間ではあったが、傍にいたエリオは、恐怖のような物が伝わり、動く事が出来なかった。

この人は、どういう人なのか、一瞬、わからなくなるような異常な殺気にエリオは恐怖した。

「いえ・・・僕が、咄嗟に出ていたら、危なかったかもしれませんし。」

「どうかな?君に実力を過小評価してたようだしね。俺も。」

それは事実。

しかし、思いのほか、速かった。

縮地とまではいかないものの、その速さは見事な物だ。

実際、戦闘面においては、かなり活躍したのだろう。

一方のエリオも、シグナムを倒した猛者の戦い方に、一瞬の失望があったものの、それは一瞬にして、払いのけられた。

それは大きな疑問になる。

悠介とは・・・

何物なのだろうか。

「悠介さんって、何物なんですか?」

思いを、そのまま、直感的に聞いてみた。

「何だろうね。アレだって、あいつの下らない理由で、殺されるのは、何か、むかついたからかな。それに、下らない理由で、人間を殺すのって、誰だって嫌じゃん?」

「そうですね。」

「つーか、結局、俺も変わらんのよねー」

思い出せば、自分を助ける為に、今回、何をしたかを、悠介は自分を問い詰める。

エリオを、少年を利用してしまったではないか。

「あぁあ・・・あまり、エリオ君を利用したくなかったんだけどねぇ・・・」

「でも、それは、仕方ないじゃないですか。仲間を助ける為ですし。」

「そうじゃないんだよ・・・」

「え・・・?」

管理局の人間では、既に、戦士と呼べるほどの強さを有していても、やはり、子供を戦わせるのは、どうなのだろうと思ってしまった。

ある種、自分達は、非道ではないのだろうかと。

あの男と、やっていることが同じ気がして、ならなかった。

「子供ってさ、まだ、エリオ君の年齢だと、遊んで良い年頃なんだよなぁ・・・」

「そう・・・何ですか・・・?」

エリオは、その経歴上、それほど、遊ぶという経験は無い。

無論、本当の親に甘えた事など、無かった。

「悠介さんは遊んでたんですか・・・?」

聞かれると、困ってしまう物があるわけで、実際、自分は子供のころは何をしていたのか、全く覚えていなかったような気がした。

子供のころ、自分は何をしたのだろうか。

顔を天に向けて、考えても、悠介は何も思い出すことは無かったような気がした。

ただ、覚えている事が、一つだけあったような気がした。

「この太刀は、物心ついたころから握ってた・・・」

「え・・・?」

「何かと、戦っていたような気がしたんだ・・・」

「蘇ったんですか!?悠介さんの記憶!!」

「そうじゃないよ・・・完全じゃないんだ。」

ただ、どことなく、それを覚えていたような気がしただけだった。

「戦闘センスって、俺があそこまで闘えるのって、そう言うこと?」

苦悩

「とりあえずさ・・・友達になろうか?」

「はい!?」

突拍子に、悠介が、今と全く関係無い話をし始めたために、エリオは素っ頓狂な声をあげる。

悠介に至っては、何故、そのような顔をしているのか、理解できなかった。

「だから・・・友達に・・・」

「いや、突然でしたから・・・」

「あ・・・そっか・・・ごめん。」

「いえ・・・こちら・・・こそ。」

「ま、まぁ・・・良いや。彼女も、迎えにきているようだしね。」

「彼女?」

目の前にいたのは、エリオの彼女と言える存在の、キャロがそこにいた。

「か、彼女って!!」

「え、違うの?」

顔を赤くしている、エリオが、悠介には、どうも、面白くて仕方なかった。

「うわ・・・反応が、面白い。」

しかしながら、機動六課が再編された時の中で、この二人が、部屋に戻る時、いちゃついていたのは、見逃していた訳ではないのだ。

それを否定するのは、男女の恋愛を隠して、生活している中学生のように見えた。

実際、年齢としては、中学生というのが、事実ではあるが。

しかしながら、何かを忘れているような感覚が、忘却の海へと落とすように、エリオの頭を駆け巡った。

何かを忘れているような気がしてならなかった。

自分は、一体、何を忘れてしまったのだろうかと、あの戦場で、唐突すぎる、悠介の殺気に驚き、忘れてしまった。

とりあえず、恐怖を感じながらも、一瞬、目に入ったのはあの時、自分のデバイスに鮮血が付着した、ストラーダの刀身を見た。

鮮血は、徐々に硬化し、そして、消滅し、跡形も無くなった。

そして、思い出した。

「悠介さん!!あいつの腕!!」

「無かったよ・・・」

エリオが、悠介の顔を見た時には、あの時付着していた鮮血も、殺気の自分の血液と同じようになっていた。

「無かった・・・?」

「多分・・・あの時、消滅したか・・・」

「あ、タオルどうですか?!」

擦れ違った瞬間に、キャロからタオルを借りて、それで、いつの間にか吹き出ていた顔を拭いた。

何故、汗が吹き出ていたのか、自分でもわからなかった。

さらに、例の騒動は、キャロを見れば、何も起こらなかったのと同じだった。

恐らく、地味すぎた戦いだったのだろう。

いつの間にか、汗ばんでいた、自分の顔を、完全に拭いた後、それをキャロに返却しながら、考えた。

「反時空管理局組織・・・」

「まさか・・・」

動いている訳が無いと、エリオは思っていた。

しかし、実際は、管理局の人間達は殺されて、地味ながらも、戦力は減少している。

30分に一人が死ぬという割合だった。

次は、誰の番だと言う話が、管理局の中で広がり、精神的な弱さを露呈してしまった。

流石に、此処まで、殺しが続くとなると、反時空管理局組織が動いているとしか、思えなかった。

ただ、頭の中に、いやな監事に、後味悪く残る官職が、エリオの中に走り、纏わりついた。

次は、自分の番なのではないのだろうかと。

それならば、狙われていた悠介も同じと言う事か。

「そう言えば、何で、悠介さん・・・狙われてたんです?」

ふと、頭を整理すると、思い出したのは、顔に先決が付着した時に、異常なまでに殺気が沸きあがっていた。

血化粧することによって、強くなるタイプなのだろうか。

良くわからない部類の友人と言うナのカテゴリーに、エリオは悠介を入れた。

「良くわかんない。なのはって人の後釜だから・・・そうだよ?」

「良く・・・わからない理由ですね。僕も、狙われそうだ・・・」

「何で・・・?」

「腕を・・・切り落としました。」

「子供を殺すほど、落ちぶれちゃいないと思いたいけどね・・・」

その通りだと、思いたかった。

変な考えを打ち消し、キャロと合流した後、悠介に苦笑しながら、エリオは手を振り、帰っていった。

悠介も、再び、刃を持って、自室へと移動した。









「お帰り。」

出迎えたのは、ティアナ・ランスターだった。

雑誌を読みながらベッドの上に寝そべりながら、口にポッキーを入れながら、帰るべき部屋の住人に、挨拶をした。

「何か、あったの?」

特に、隠す事でもないがゆえに、悠介はティアナに、そのことを包み隠さず、無論、あの女のことも話した。

ついでに、バインドの解除の仕方を教えてくれと言う事も。

あの男が、殺す理由と言う物。

そして、腕を、エリオが切り落としたと言う事もだ。

「それで、その腕は、変な飛ぶ二人の女が出てきてから、どっか、言ってしまったと。」

「まぁね・・・良くわからないんだけど。」

「とりあえず、今の会話、録音しておいたけど、燈也さんに今日の出来事を報告する時、これ、報告する?」

「んー・・・頼んだ。」

ティアナの隣には、既に、熟睡状態に入っていた。

特に、顔を見る事無く、ティアナは、雑誌に目を戻し、悠介は寝巻きに着替え始めた。

今日は、腕を切り落とされたのだ。

五体満足のうち、一部を完全に切られたという、精神的苦痛は大きい。

故に、今日は、もう、アレはこないと悠介は踏んだ。

「高町なのはだっけ・・・?」

「それで、聞いてくるの何回目?」

一人の男が、自分を殺すために、なのはの後釜を認めないが故に殺しに来る。

しかし、ティアナの話を聞けば、そこまで凄い人間とは思えなかった。

「何でかな?」

「この管理局には、凄い憧れを抱いている人間がいるって事でしょ?」

しかし、燈也の行っていたロリコン部隊という名の、執行部は、既に、その男に殺された。

一瞬、一人の人間の名前が、ティアナの中に駆け巡った。

だが、思い浮かべた人間を簡単に肯定していいのだろうかと、そして、疑ってしまった、自分に対して、自己嫌悪してしまった。

「とりあえず、憧れの人が多くて、戦死を悲しんだ人もいたって事・・・」

「その人って、どういう形してた?」

「形?」

「何だっけ・・・?バリアジャケット・・・?」

「白かったかな・・・」

白の魔導師・・・初めて、戦場に出たのは、9歳のとであり、そのとき、高町燈也も覚醒し、敵として、プレシア・テスタロッサに付いた。

一応の写真のような物を、悠介は渡された。

見た時、確かに、美女と呼べる部類の女ではあるが、どうでも良いような気がしてならなかった。

確かに美女ではあるが、どこにでもいるレベルの美女であると言うことには、変わりなかった。

感じたのは、殺気。

ある種、今回の事件の全ての元凶といえるだろう。

「・・・今度は、エリオ君が・・・狙われそうだ。」

エリオが腕を切り落とした時、男から、異常なまでの殺気を感じた。

ティアナは、その言葉に、耳を傾けた。

「どういうこと?」

寝転がりながら、スカートを翻さずに、ティアナにありのままを話した。

切り落とされた腕。

切り落とした時に感じた、異常なまでの殺気。

しかし、それと同時に、別の殺気を感じ取る事が出来た。

破壊と言う名の行為を犯しながら、何かを感じ取っていた、別の殺気。

あいつの前に、切刻んだ状態で差し出す。

憎んでいる女がいるように見えたのだ。

「とりあえず・・・エリオって、養子だからねぇ・・・」

「養子・・・?」

「そう。フェイトって人の・・・」

「ふぅん・・・」

フェイト・テスタロッサ・・・高町なのはの彼女。

消えてしまった、高町なのはの女。

どのような人間であるのかなど、特に興味を持つ訳ではない。

「とりあえず・・・やさしくて、綺麗な人だったわよ・・・」

「ふーん・・・」

「すずかさんほどじゃないけどね・・・・・・」

「一応、母親自慢?」

悠介に言われた時、ティアナは、そのことを、今、気付き、ふと笑い出した。

「案外、可愛い顔するんだ。」

「え・・・?」

「クールで、あまり笑わない人だと思ってた。」

笑っていない。

瑠璃を失ってからは、笑えなくなってしまって、無理して過ごしていたのが、やっとだった。

単なる、何気ない一言でティアナは笑ってしまっている事が、まだ、自分は笑えるんだと、ティアナ自身は安心する事が出来た。

悠介自身は、何故、ティアナがそう言う顔をしているのかと、解らなかった。

ただ、その瞳の中に映る、ティアナ・ランスターと言う人間を観察しながら、知らない部分がある人間だと思うことが出来て、どこか面白かった。

知らない部分を見つけ出す事が出切ると言うのは、悠介にとって、どこか、楽しい物だった。

目の前にいる女と言う生き物から、面白さが滲み出ている。

いや、ちゃんと笑える人間であると言う事を、安心する事が出来た。

瞳から映ったティアナと言う女は、芸術的に映し出されていた。

鮮明に、美しく、それこそ、生きている人間の女と言う物が目の前に映っていた。

悠介にとっては、此処の世界でであった、どの女達よりも、魅力的に映し出されていた。

あの時、空に映った、殺気ばかりを溢れ出さしていた、女達よりも。

笑えない人間と言うのは、つまらない人間であると、彼なりに、そういう哲学的なものがあるのかもしれない。

女にしろ、男にしろ、どちらにしてもだ。

とはいえ、無理に笑わせるのは、好きではないことではあるが。

彼が、無自覚のうちに築いてきた哲学のような物は、後に無意味となるだろう。

彼自身が、笑いとかけ離れた、状態に陥る事になるだろう。

笑顔と言う物は、単に、苛つかせるものと変わらなくなり、何れ、誰かを殺す事になるだろう。

笑顔と言う物が、不快な物に変わることになるのだから。

殺意を覚えるほどに、むごたらしい物となり、殺意と変わり、人を殺し、救われない物となる。

それを実行している男が、身近にいることなど、悠介も、ティアナも、ましてや、眠りに付いているヴィヴィオも、知る事はなかった。

今は、まだ、笑っていられる状況であれば良い。

後に知る事になるのだから。

笑顔を見ることが、嫌になるほどの事を。

だから、今のうちに、笑って置ける分まで、笑っておけばいいのだ。

全ての現況は、やがて肥大化し、人間では、ただの人間では対処できないほどの脅威を誇る事になってしまうのだ。

全ての人間が、信じられなくなる前に。

必要な時間はある。

戦士が笑顔でいるだけの時間が、必要になる。

早い時期に失われる物になろうともだ。

ただ、今は、この時間を享受すれば良い。

「ライト・・・消すよ?」

「あぁ・・・頼んだ。」

ティアナは起き上がり、ライトに付いている糸をひっぱり、オレンジのライトに変える。

悠介は随分と、原始的なシステムがこの世界にある物だと思った。

興味心身に、それを見た後、部屋一面が闇に覆われるように、小さな光に照らされたとき、眠りについた。

さぁ、今は眠ろう。

「寝巻きも・・・スカートなんだ・・・」

悠介の中に、瑠璃の癖が、悠介に受け継がれているような気がしていた。

ロングスカートを穿いていなければ、どこか、落ち着きのないように思えるし、短い髪を掻き分ける癖は、どこか、瑠璃を髣髴させた。

瑠璃の残留思念的なものが、悠介の中に残っているような気がしてならなかった。

思い違いであるのかもしれないが。

そう思わずに入られないような、男が行うには、どうもおかしい女の癖を男が行う。

「変な子・・・」

口で、そう呟きながら、ティアナは眠りに付いた。








「覆面の男か・・・例のクロスミラージュに写された画像の人間か。」

「ただならぬ、殺気を感じました。」

「うん。切り落とした腕・・・そして、空に浮かんでいた、二人の女か・・・」

かけている、伊達眼鏡を少し持ち上げて、燈也は、覆面の男よりも、空に浮かんでいた二人の女のほうが気になっていた。

あからさまに、考えられる二人が、いるからだ。

高町なのはと、フェイト・テスタロッサ・ハラオウン。

どの道、敵になる運命と言う事にあるのだろう。

「燈也・・・!!」

「すずか・・・考えたくないのは解るよ・・・」

すずかが感極まって、立ち上がる。

「親友ですか・・・?」

「僕にとっては、姉であり、すずかには親友だよ。」

「親友ですか・・・敵として寝返り、殺すときが来たと?」

考えられる事だ。

敵として捕らえられ、洗脳され、最終的には敵として登場し殺される。

アニメや漫画でよくある展開だ。

最終的には、殺さなければならない。

そう言うことになるのだろう。

まだ、燈也を除けば、甘い人間たちがいる。

不意に、そう思った。

親友とて、敵に寝返り、洗脳させられれば、殺さなければならない。

「当然の事でしょう?」

「悠介君・・・!!」

「落ち着けよ・・・すずか。彼の言う事は正しいよ。」

まだ、人を殺したこのない人間がいる、機動六課。

「これからは、その覚悟を決められない物は死ぬと言うのか!」

「そのとおりです。クロノさん。」

すずかとクロノに悪寒が走った。

「妹だぞ!?」

「敵と決まった訳ではないでしょう?」

「敵となれば、殺すと言うのか・・・」

卑屈な声を出した。

その意味はどういうことか。

まだ、人を殺す事の出来ない人間と言う事である。

すずかが、言うのであれば、友達を殺すと言う事はできない物の、人を殺す事は出来る。

殺す覚悟と言う物はある。

しかし、それが、親友などという生き物になると、殺すのは難しくなってくると言う、人間の心理的な部分を付いた物だと言える。

殺す覚悟はある。

しかし、親友は殺せない。

よくある話と言えるだろう。

「所詮は甘い人か・・・」

虚ろ

「本当に敵になったら・・・どうするんですか?」

衝撃的な一言でだった。

考える事のほうが、おぞましくなる。

徐々に・・・

徐々に・・・

崩れていった。

「恐怖・・・」

悠介は、肌でそれを感じていた。

クロノや、すずかが恐れている。

階級が与えられている時点で、人を殺す事を肯定する組織ではないのか。

「だから・・・」

「すずかたちは、殺さなくて良い。」

ティアナにも、エリオにも、ましてや、キャロにも、殺しをさせるつもりはない。

殺す事になれた。

慣れてしまった、自分が何とかしなければならない。

「敵に回った場合はね。」

ただ、どこかで、確証的なものがあった。

何れ、高町なのはは、自分達の適になる。

漠然とした理由は無いが、そう言うのがあるかもしれない。

それを燈也から感じ取った、悠介がいた。

「んで、まぁ、仮の話をして喪章がありません。」

「そうだね。当面は、目の前にいる男だね。」

写真の中にいる、覆面の男。

あぁ、そうだよ。

(この男は・・・危険だ。)

「さて、話を変えましょう。クロノさん。」

既に燈也達に渡されている資料。

「遅れて、ごめんなー」

「はやて、遅い。」

現状、この場にいる人間は、悠介、ティアナ、燈也、すずか、クロノ、はやてとなった。

先ほどの会話でティアナは、ヴィヴィオのことを考えていた。

もし、敵に回ったら、ヴィヴィオは、彼女達をどう迎えるのだろうか。

それは知りたいと思うことが出来る。

ただ、見せたくはなかった。

仮に、そうなってしまったと言う事をだ。

「この男・・・」

奇妙な男が、ここに、写真の中にいる。

昨日の出来事とあわせて、全ての事件と並行させれば、この男に行くと言う事か。

「反時空管理局組織って、一人なのかもしれませんね・・・」

悠介は、ボソッと呟いた。

可能性というものは存在している。

悠介の推理だって、当たっているかもしれない。

架空の組織を作って、この事件を組織的なものへと演出する。

「その根拠は?」

それは

「あぁ、動いてる人間って・・・生きている奴だと、こいつだけなんですよね。」

「それで、一人・・・か。」

反時空管理局組織は一人によって運営されている。

仲間というものが存在していないのだ。

「さて、此処までする理由は何かな?」

「なのはちゃんに対して、何も出来なかった時空管理局への報復?」

「そう言う考えって・・・」

「ある種の考えだよ・・・バカな事さ。」

単なる仮説と、燈也は言う。

周りは静かに頷いた。

反時空管理局組織アイアルクス

如何なる理由であれ。

「その存在を許す事は出来ない。」

「当然の事ですよ。」

今後、人を殺すと言う事を、どの道覚悟しなければならないと言う事になるのだろう。

「人を殺す覚悟ほど、嫌な物はないな。」

「当然です。」

「さて・・・これなんだが・・・」

「あぁ、それって・・・」

現場から、回収された、特撮ヒーローのお面が、半分焼けた物だった。

グールから、とられた、仮面の刃。

マリアージュ。

「知っているかい・・・?」

「えぇ・・・」

「ベクトルスマン・・・」

悠介は、一瞬、その名前を聞いて、耳を疑い、燈也を疑いの目で、少し、強張った顔で見た。

ベクトルスマンなどと言うヒーローを、悠介は知らなかったのだ。

そのようなヒーローは、自分の記憶の中では、あくまでも存在していないのだから、同じ仮面であっても、それは違う。

ベクトルスマンなどというヒーローは、少なくとも、燈也の世界では放映はしていないはずのヒーローだった。

「スペクトルマンでしょう!?富士山の中に、ガスタンクを投げ込んだ!!」

「へー・・・そういうシーンがあるんだ。そして、君の知っている名前を僕達は知らない。」

全身に、違和感が電流のように流れた。

あぁ、此処は、本当に異世界なのだと言う感覚が、気持ち悪いくらいに、体を駆け抜けていく。

しかし、お面の浦には、ベクトルスマンという名前がある。

これは、鳴海市の祭りで売られていた物なのだろう。

「とりあえず・・・君は犯人じゃないね。それは、そうなんだけどさ。」

「嘘をついてるって・・・こと、ありますよ?」

「元より、記憶を失っているし・・・名前を言った時の君の反応でわかったよ。」

「しかし、随分と特撮については詳しいね。」

「なんででしょうね。」

悠介自身も頭をかしげた。

「まぁ、犯人は随分と今ので絞られたね。」

「それ以前に・・・何で、これが、男っていえるんや?」

「悠介君・・・頼めるかい?」

「戦っている時に、興奮していたのか・・・勃起していましたから・・・こんな事、言わせないで下さい・・・セクハラです・・・」

理由は、どうあれ、戦闘中に股間が勃起していたという事なのだから、男と言う事は、単純な理由かもしれない。

大抵、その手の魔術を使うにしても、胸のふくらみは感じないし、体系も男そのもので、女がわざと、それをつける理由もない。

「さて・・・例の問題によって、このお面が鳴海市で買われた物は解ったとして・・・」

問題は、別の所にあると言っても良いだろう。

犯人は、かつて、鳴海市に住んでいたか、訪れたりした事のある、人間だ。

このお面は、買ったか、盗んだかのどちらかと言う事なのだろう。

鳴海市に訪れた物は、悠介を除いて、全員だ。

全員の心臓の鼓動が、嫌でも、高鳴ってしまう。

それは、この部屋の中にいる、男が犯人であると言う可能性があるからだ。

しかし、冷静に考えてみれば、その可能性の数の少なさに気付き、冷や汗は、簡単に干上がっていく。

人間と言うのは、簡単な生き物であるとは、よく言ったものだ。

鳴海市に訪れた、男性。

大分絞られてきたのではないのだろうか。

女という生き物が、心理的に男と言う生き物を、疑い始める瞬間が、始ろうとしていた。

しかし、クロノと燈也の疑いは、すぐに晴れることとなった。

燈也の場合は、嫌と言うほどに、すずかは隣にいるし、魔術を使った場合は、懐園剣を通して、シンクロされ伝わってくる。

クロノとて、一応の護衛はついているし、特殊な何かをしたという報告も、ダンや、マルスからは受け取っていない。

エリオも、相手の腕を切り落としてしまったのだか亜、その戦は正直言って、薄いといえる。

ましてやあの性格ゆえに、昔は、人を殺そうとしても、今は、人を殺すなどと言う事で気はしないのだから。

大分、丸くなったといえるかもしれない。

さらに、ヴァイス・グランセニックは死亡して、疑いのかけた、男性局員達は、見事に殺されていると着たのだ。

おかしいくらいにまで、人が殺され、今を、享受されてきている。

誰かの一回の行動で、何もかもが妖しく見えてしまう。

全てを疑ってしまうよう。

しかし、運がいいことに、六課の人間は、大抵パートナーが男の面倒を見ているが故に、それらを見ているが故に、六課の人間は、白だ。

無意識に、人を殺す事のない人間が、人を殺してしまうと言うことだってあるのだ。

信じたくない事なのかもしれないが、全ての男性局員か、ミッドチルダにいる、鳴海市に言った男は全て疑わなければならない。

ある種のゲームのような感覚で、この事件は迎え入れる事になるのだろうか。

どの道、ろくなゲームではないことは確かだが。

人を疑い、疑われた人間は殺さなければならないのだろう。

「あ、そう言えば・・・昔の俺の・・・ここに来た姿・・・見せてくれるって・・・」

「黒い甲冑を身にまとって・・・そうだったね。見せてあげるよ。」

思い出したように、悠介は言った。

今の、緊迫した空気を壊すには、調度良い言葉だった。

そういって、止まっていた言葉は再び動き出す。

燈也は、そのまま、言葉を発っして、目の前のモニターにかつての、悠介の姿を写した。

「君が、この世界に来たのは、ほんの少し前っていうのは、知っているよね。少しは、思い出すかな・・・?」

モニターに光が入った瞬間だった。

公開意見陳述会当日







「っ・・・!?」

「何だ!?」

ティアナ、瑠璃、そしてアヤも、その力を確認し、止まる。

何があった。

誰もが、脳裏にその言葉が、駆け巡った。

「来たのね・・・」

ヴィヴィオというナのアマテラスは、其れを純粋に感じ取る。

突如、時空は避け始める。

何が、起こっている。

何が、このミッドチルダ、クラナガンに起こっているというのだ。

クラナガンの上空に見える、全長十kmは有るであろう超巨大魔法陣が出現した。

突如のことだ。

誰もが、その手を止めた。

「そんな・・・体が・・・」

「何なのだ!!この恐怖は!!」

チンクは、スバルの怒りが呼応して、アレを呼び出したのかと思ってしまった。

いや、其れは正しいのかもしれない。

此処にいる人間の全ての、スバル、燈也、ティアナの気迫が、アレをこのような状況に召還されてしまった。

全員が、動かない。

「返せ・・・」

「条件は同じ・・・」

チンクは、己の中にある恐怖を抑えながら、ただ、目の前にいるものに恐れ、逃げる。

「ま・・・て・・・」

覚醒の咆哮と共に。







「何だ・・・アレは・・・」

ジェイル・スカリエッティとて、今回のこれは予定に入ることは無かっただろう。

しかし、其れは、全長も無く、突如現れたのだ。

誰も、何も、予期してはいない、この状況で、其れは出現し、誰もが、それに釘付け状態だった。

心、此処にあらず。

さらに、全ての殺気を奪うほどの強大な殺気を放っている。

このまま、突っ立っているだけでも嘔吐しそうだ。

何かを感じて、失禁している物とて存在している。

なんなのだ。

突如の出来事という物に、対処は出来ない。







破滅来訪・・・







とでも、言った所か。

其れは、神。

破壊神、戦神全ての破壊に等しい行為に当てはまるか身の来訪。

望んではいないだろう。

しかし、それの放つ殺気によって、此処でおきた全ての戦いは、嫌でも収まる事になるだろう。

其れは、神なのだ。

神は、此処にいる。

金縛りにあい、既に気を失っている。

「どれだけの・・・力を秘めているというんだ・・・!?」

誰も、その力を感じ取る事は出来ない。

余りにも、其れは強大すぎたのだ。

正に、悪魔。

破壊神と呼ぶべきか。

冥府の神の生まれ変わりであろうとも、其れを受け止める事は出来ない。

燈也は、久しぶりに恐怖で、足が竦んだ。

見ているのか。

全ての人間が、これを目撃しているという事実。

誰もが、感じる恐怖、そして、怯える自分がそこにいる。

「ははは・・・」

あんまりの恐怖に、笑いが零れた、その時だった。

魔法陣が、突如、真中の部分がはくだけ散り始める。

でるのか。

アレが。

「本当に・・・其れが・・・でるというのか・・・」

「アレ・・・何・・・?」

キャロが怯える。

エリオも、言葉には出していない物の、その尋常ではない殺気に怯え始めていた。

召還されたヴォルテールは、主が帰ってきたことを喜ぶかのように、跪いているように見えた。

解っているのだろう。

動物的な本能として、どちらが弱者か、よくわかっているのだ。

「きゃ・・・ろ・・・」

「エリオ君・・・」

「何・・・アレ・・・?」

同じ事を、キャロに聞く。

しかし、其れは良く解らなかった。

割れた、中心部から現れた物は、人間。

人間だった。

しかし、その体には、鎧のような物が身につけられていた。

鎧、翼、仮面を装備。

何なのだ。

アレは、一体。

十字架に、貼り付けられているかのごとく、十字になりながら、其れは降臨する。

神に等しいその存在。

いや、神だ。

降臨し、神は目覚める。

「あ、アレを破壊しろ!!」

レジアスは、声を荒げて、ガーディアン部隊に命令した。

レジアス・ゲイズとて恐怖しているのだ。

「ガーディアンが!?」

「もとより・・・ガーディアンの体が反応したか?」

十字の神は、ゆっくりと、その宙に止まった。

ゲーデ一機を中心に、ブラッディ4機が攻撃を開始する。

「殺される!?」

「いや・・・違う・・・殺されるのは・・・!!」

ゲーデ、そしてブラッディ。

「ウォォォォォォォォォォォォ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」

突如、天を、地を割くほどの咆哮が上がる。

咆哮は攻撃してきたガーディアン・ゲーデ、ブラッディを破壊する。

咆哮だけでだ。

神の上げた、雄叫びだけで、ガーディアンは破壊されてしまったのだ。

ガーディアンに乗っていたパイロットは、肉片が飛び散るどころか、粒子となって、消滅する。

そのような人間は、そこにいなかったのを表すようにだ。

あまりに強大で、砂塵が舞い上がり、自然がそれに恐れをなすかのように、さらに、竜巻が舞い上がる。

その竜巻が、出現したのと同時に、敵は破壊され、見方にも破壊がおきる。

まさに、破壊神か・・・

さらに、

「あの方・・・」

突如、翼が巨大化し、形を変えて、その、神の肩に装着された。

アレは、

「知っている・・・俺は、アレを知っている・・・」

燈也は、それを見た。

「マズイ!!!!」

”バニシング”

恐らく、展開された時点で、もう、止めるすべを知らない。

止める事など、出来はしない。

「エァァァァァァァァァァァァァァァァ!!!!!!!!!!!!!!!!」

重力が反転するかのように。

崩壊された瓦礫、敵の破片が、全て浮かび上がる。

正に、大地を揺るがすとは、このことだ。

体内に蓄積された何か、凄まじい力が加速し、レンズに光が収束され、咆哮とともに収束された光が、漆黒の光が放出された。

これが、

「神の息吹・・・ははは・・・」

瞬きする事を、燈也はできなかった。

瞬きすれば、殺される。

何か、光が光が、光が、ミッドチルダの、廃墟と化した部分を全て消滅させてしまった。

なんという力なのだ。

何という、恐ろしい力。

あの光が、クラナガンの廃墟と化した全てを破壊してしまったというのか。

これが、燈也の予言で見た神の息吹。

全身の神経が、凍りつく。

酸素が、体に行き渡る事が出来なくなるような感覚。

何だ、これは、この恐怖感は。

今まで、味わったことの無いような感覚。

「何ていう力を・・・これを、これを僕らが預かれというのか!!!」

漆黒の翼と鎧。

一見すれば、燈也のセイヴァーと似ている。

しかし、其れは全く違う。

一体、其れは何だ。

アレは、一体なんなのだろうか。

燈也は知っている。

その正体を、なんであるのかをだ。

「やはり・・・着たのか!?」

何処からでも、其れは目に映る。

「何だ・・・!?力が!!」

アヤは獣神形態から元の人間へと戻り、そしてティアナは、瑠璃と分離した。

「兄様・・・うっぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!」

「瑠璃!?瑠璃!!どうしたの!?」

突如の激痛。

痛みが、すべてを、瑠璃を襲う。

全てのテスタメントの力は、0へと還元させられる。

「熱い・・・熱いよぉ!!兄様ァ!!!熱い・・・熱い・・・ここまで熱いのは私は・・・無理です!!!誰かぁ!!!兄様の復讐を!!!!」

「瑠璃!!!!」

何も、このような状況に何も、出来ないというのか。

自分は一体、どうすれば良い。

何が、できると言うのだ。

瑠璃の痛みを、ティアナは止めることが出来ないのだろうか。

異様な恐怖が、身を包む。

「兄様・・・兄様・・・」

「大丈夫・・・」

そして、何故、あそこにいる神を、兄と呼ぶのか。

ティアナの中に起きる疑問。瑠璃とは、一体、何者なのか。

ティアナは、ただ、瑠璃を抱きしめる事しか出来なかった。

そして、無駄と解っていながらも、励ます事しか出来なかった。

「アヤ!!・・・聞こえているな!?戻れ!!」

「解ってる・・・しかし、動けない・・・!!動けないんだ!!!」

一体、アレは、なんなんだ。

ジェイル・スカリエッティさえ、知らないことだった。

「気持ち悪い・・・恐い・・・死ぬ!?」

恐怖のあまり、己の中で、ルーテシア橋をも感じ取る。

「ルーちゃん・・・?」

アヤは、恐怖で怯えた体から解放し、無理矢理、体を動かし、

ルーテシアの元へと向かう。

それでも、重い。

体が、重くて、まともに動く事さえ許されなかった。

しかし、ルーテシアを保護する事だけは出来た。














「恐かった・・・恐かったよぉ・・・」

「そうだ・・・アレは、怖い物だ・・・」

アヤは、ルーテシアをその身に抱きしめた。

「ガリュー・・・ちゃんと、その子は、保護しているね。」

ガリューは、ただ、同意と頷き、呟いた。

周りに

「ディード・・・ディエチ・・・」

「アヤ・・・・・・今回は、一体、何ナノ・・・?」

「さァね・・・俺にも、わかりはしないよ・・・ただ、与えられた遺伝子が叫んでいるような気がする・・・アレほど、危険な物はないってね・・・」

その正体こそ、

「スサノオ・・・」

ガリューの腕の中で、ヴィヴィオは、その名を呟いた。

「うわぁァァァ!!!!!」

セッテ、

「馬鹿な!!!攻撃を仕掛けるな!!!!」

「無駄よ・・・恐怖に怯えてる・・・」

「なら、力付くで誰か、アレを止めろ!!!」

しかし、恐怖に怯えたものの攻撃は、射出された。

「アァァァァァ・・・・・・」

攻撃をすれば、

「アレは、帰って来るんだ!!!」

故に、気付けば、その攻撃は見えない。

故に、

「いヤァァァァァァァ!!!!」

両腕が、真っ二つに切られた。

『止めて・・・こんな・・・貴方は・・・』

『ワレハ・・・ワレハァァァァァァァァァ!!!!!!!!!!!!!!』









「なに・・・これ・・・!?」

一瞬、悠介の中に、誰か、別の精神が入り込んだ感触を、気持ち悪いと認識して、流れ込んだ。

入り込んできた精神は、形となって、悠介の中に存在し、この、モニターのある部屋の中へと、美しく降臨した。

アマテラス・・・







これが・・・

「俺なのか・・・」

異様なまでの黒い甲冑・・・そして、異常なまでの破壊だけの力が、かつて、この男の中にあったということだ。

誰もが、恐怖して、誰もが、恐れをなして、全てに混乱を与え、本当のカオスだけの世界に作り上げた、その存在がいる。

しかし、悠介には、その記憶が存在していなかった。

かつての自分の映像を見ても、それが自分であるなどという事を信じきる事が、できなかったのは、自分が自分に対して、恐れをなしたからだ。

浦島悠介と言う人間に、浦島悠介と言う人間が、恐怖を覚え、足が竦み、呼吸が出来なくなってしまうほどの、錯覚を覚えてしまった。

本当に、あれが自分なのか。

もし、それが、本当だと言うのなら・・・

「貴方は、何を思いますか?」

「ヴィヴィオ・・・?」

いつのまにか、目の前にいたのは、確かにヴィヴィオではあったが、どこか、いつもの幼い雰囲気は感じないし、感じる物は、高貴な物だ。

王としての、聖王としての何かを、感じ取る事が出来た。

「ヴィヴィオ・・・俺は、君に・・・?」

今のヴィヴィオの姿が、一つのキーとなって、蘇ってしまう。

何かから、この後に起こった、何かから、自分はヴィヴィオから助けてもらい、暫くの眠りについてしまったということを思い出した。

「君は・・・何から、俺を守った。」

正直な感想である。

子供が目の前に存在している子供が、かつて自分を何から助けてくれたと言うのだろうか。

目の前にいる子供は、純粋な、子供によくある、瞳をしているのではなく、その目は、心理を見ているかのような目だった。

純粋さなどではなく、そこにあるのは、神の瞳と言ったほうが正しいのかもしれない。

燈也でさえ、目の前にいるヴィヴィオに怯えるような感触を覚え、吐き気が襲った。

目の前にいる人間は、本当にヴィヴィオなのだろうかと、疑いの目で見てしまうほど、目の前にいるヴィヴィオの目は、神々しかった。

「恐らく、今の、アマテラスとしての私が・・・貴方と会話するのは、これで後、数回になるでしょう。全ては、この子の中にあります。」

「それで・・・?」

「貴方は・・・何を思いますか?かつての自分の姿に・・・」

「恐怖・・・それだけだ・・・」

「恐れては・・・駄目だよ?スサノオ・・・?」

スサノオ・・・かつての自分。

脈絡もなく、突如現れ、勝手な事をいう、このヴィヴィオという子供の存在が、一瞬わからなくなった。

そこに何があるか。

気になるものだ。

いや、この少女には・・・

「あとは・・・彼女が・・・そうだ。連れてきたの・・・困っているから。」

「誰を・・・?」

「ハーデスと、ペルセポネ―の子供。」

「俺と、すずか・・・!?」

突然の事に、流石に何を言っているのか、彼女自身という、ヴィヴィオと言う少女の中にいる、アマテラスの言っている事が本当にわからなくなった。

「それでは。」

アマテラスが消えようとしたときだった。

「大丈夫よ・・・ツクヨミ・・・」

「え・・・?」

ツクヨミ・・・月の神の名。

「待てよ!!勝手に来て、勝手に質問して、勝手に変なこと言って、勝手に帰るのか!?」

「ごめんね。でも、この状態を保つのも、やっとなのよ。じゃね。」

頭の痛くなる女と言う印象が、先ほどまでのヴィヴィオに生まれた。

変な女である。

「ヴィヴィオ・・・!!」

アマテラスから、解放されたヴィヴィオが、虚ろな目となり、生気を失い、倒れそうになった所を、ティアナが支えた。

そのときだった。

重い足音と同時に、何かが倒れるかのような音がした。

ツレテキタ・・・その意味が解った。

「この子・・・」

少女が、いつの間にか、此処に侵入し、そして、倒れていた。

すずかが、その少女に触れた。

あぁ、お前は。

燈也に、激痛が走った。

その少女を見た瞬間、自分の過去・・・はるか昔の記憶が、流れ始めた。








「ハーデス・・・私たちは・・・」

「未来に・・・希望を残そう・・・」








言葉と共に、一人の少女が、創生された瞬間だった。

その少女の名前こそ・・・

冥府の二人の神から生まれた、冥王と呼ばれる少女だった。

本来なら、何れ、ハーデスと、ペルセポネ―のテスタメントの器となる筈だった少女。

いつしか戦いは終わり、さめることのない眠りについてしまった少女は、今、このミッドチルダで目覚めてしまったと言う事になる。

二人は、その子供の名前を覚えている。

あぁ、そうだ。

お前の名前こそ・・・

我々は知っているのだと、燈也と鈴かは、同時に、その少女の名前を一語一句間違えず、呟こうとしていた。

額から、汗が滲み出ていて、本当に、お前が、生きているなど、思わなかったと、良いそう顔をしていた。

全身の毛穴から、汗を噴出して、二人は、これから、戦いに巻き込まなければならない少女の名前を言う。

少女の名前は・・・

「「イクスヴェリア・・・」」

その言葉に、少女は、ただ、一言、言葉で返した。

お父様と。










「エリオ君・・・」

人をきった感覚に慣れる事無く、一時は、その感覚を凌いだ物の、耐え切れずに、体が熱くなるような感覚と共に、ベッドの上で蹲り、呼吸ができないほどの気持ち悪さと、人を切った感覚に襲われ、エリオは、動けなくなるのがやっとの状態だった。

動けなくなると言う、体の気だるさとともに、一つ間違えれば、殺してしまうかもしれないと言う感覚に、気持ち悪さを覚え、頭が麻痺し、何も考えられなくなり、何度も、嘔吐してしまう。

「タオル・・・変えるね・・・」

キャロが、エリオの場から、離れた時、訳の解らない気持ち悪さが、襲ってきた。

何か、わからないが、別のタオルを持ってこようとした時に、気持ち悪いものが、体全体から、溢れ出てくるような感覚を覚える。

「うぇっ・・・」

思わず、嘔吐すら、覚えてしまうほどに、気持ち悪かった。

別のタオルを濡らし、エリオのベッドに戻ろうとした時、そのエリオのベッドの上にいたのは、紅い鮮血で塗られていた一人の少年と、覆面の男だった。

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