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ACT-Ⅴ「緊張感が無くて、後味が悪くて・・・」

悠介の服装は、結構悩んだ。


ヴィヴィオが妹になってから、二日が過ぎた。

これといって大した日は無かった。

数人殺されたと言う事以外は。

新設機動六課が出来て、これも二日経つ。

新設機動六課が完成し、悠介にも直属の上司が出来た。

その直後といってもいいほどに、六課で死者が現れた。

ヴァイス・グランセニック。

涙を流すのは、妹のラグナ。

他のメンバーは、どのように表現すれば良いのか、対応できなかった。

自然と、涙は流れなかったのだ。

不自然なまでに。

この日、同時に数人の局員の人間が死んだ。

スバル

ティアナ

エリオ

キャロ

突然の出来事に、絶句したというのが、正直な感想という所だろう。

燈也達は違う。

求めるほどの力は持っている。

既に、死者に慣れてしまった。

「慣れたくないもんやな・・・」

「しかし、慣れなければならない。僕達は、人を殺す組織には間違いないんだ。」

「肯定はしないぞ・・・燈也。」

最も、この世界に入ってきたばかりの悠介は何が起こったのかすら、解らない。

ただ、死んだということを、そのまま、実感していただけだった。

人が死んだから、気持ち悪い。

その程度の感覚。

「そういえば・・・燈也、僕の新型デバイスなんだが・・・?」

朝から、そのような話などしたくはない。

だから、話を摩り替える。

「既に製作段階に入ってます。スラッシャーケイン・・・」

クロノの新型デバイス。

ネクサスタイプの姉妹機である。

「こんな適当で、解るんか?」

「まぁ、ある程度は・・・設計図は、頭の中に入ってるから。」

燈也の描く設計図というのは、かなり適当だ。

解るのは、すずかのみと言った所だろう。

その、製作されている場面を見ながら、燈也は別のデータを閲覧していた。

「・・・?」

その中に、異常があることに気付く。

死んだ筈の人間の資料が抹消されている事に気付く。

「あれ・・・・・・?」

全くダメ。

「ねぇ?何を・・・?」

「いや・・・あれ?」

消えている。

死者のデータが、規定の場所になかった。

ここから、ガフに干渉しても、全く、存在していない。

「ガフからも、データが削除されている?」

管理局を総括していると言って良いほどのスーパーコンピュータ、ガフから完全にデータが削除されていた。

いくら、優秀といえど、並みのハッカーでは、其れは成り立たない。

大抵、手を出せば侵入開始したパソコンを落とされる。

それで、何の目的で侵入したかは不明であるが。

だが、今のところだ。

「悠介君が怪しいと?」

「まぁ、武装としては・・・な。」

「それで・・・死体の近くに、変な仮面が落ちてたんやけどな・・・?」

「スペクトルマン・・・?って言う、ヒーローのお面らしいな。」

「なんやそれ?」

「昔やってた特撮のものだろ・・・?」














悠介の中にある優しさ。

とは言え、殺す理由という物が存在していない。

故に、彼は犯人ではないという事である。

それに、ここ最近では、ヴィヴィオと遊んでいる方が生活の中心となっている。

と、言うのが現状である。

「ヴァイスって、どんな人だった?」

気になっていた、悠介がティアナに尋ねるように聞いてきた。

「さぁ・・・あんま、話さなかったし。取りあえず、ヘリのパイロットで・・・狙撃する人って感じ。」

「殺される理由なんて、無かったし。」

そもそも、そんな理由は存在しない。

「無差別殺人って奴?」

「そう考えるのが妥当でしょ。」

そこにあるのは、苦悩と呼べる感情。

そこまでして殺される理由が解らないのだ。

「管理局でも男が何人か殺されてるらしいし。」

「何で?」

「さぁ?男を狙った無差別・・・いえ、男ならだれでも良いって感じかしら。」

「男性限定無差別殺人って・・・なんだそれ?じゃぁ、六課の男は何人も殺されるって?」

「あんたも狙われているわね。下手したらさ。」

「うわ…こわ。」

「そういう話…ヤダ…」

「そっか…ごめんな。」

枕を抱いている少女は、二人を睨むような形でヴィヴィオは訴えた。

悠介は、無理やり手を伸ばし、そんなヴィヴィオの頭をただ、優しく撫でた。

「悠介ってさ…」

「ん?」

「ロリコン?」

「ちがう…」













モニターを見ていても・・・

殺された人間のデータは見つからない。

どうすれば良い。

「それで、どういうのが?」

「どうのこうの以前にない・・・」

考えてみる。

管理局の中枢であるスーパーコンピュータ、ガフ。

そこから、データを簡単に削除できる人間など、そうはいない。

考えられるのは一つだけある。

「俺以上のハッカー・・・」

「燈也?」

自然と、口調が俺になっている事に気付く。

何処か、ショックのような部分が見え隠れしていた。

「いや、何でもない。」

「なら、良いんだけど・・・」

ガフにハッキングをかけることができる人間。

できるのは、自分以外の人間は、考える事ができるのは二人。

一人は、近くにいる、クロノ・ハラオウン。

「しかし・・・いや、考えられるか。」

嘘っぽいが。

再び、モニターに眼を通すと、そこに一つのレッドゾーンのような部分があることに気付いた。

「ん?見ちゃダメってことか・・・?」

その言葉に気付き、二人が寄ってくる。

だが、その三人も知らないようだった。

「はやてちゃん、知ってた?」

「いや、こんなものがあるなんて、知らんよ?」

燈也はそこをクリックしてみた。

「階級ID?」

を入力してくださいなるものが出てきた。

取りあえず、悠介は自分の階級Noを入れてみる。

だが、

[ERROR]

の文字が出ている。

全くだ。

全く出ない。

一体、そこに何があるのか。

「あ、」

燈也はそこで思い出す。

此処に、最高に高い階級を持っている人間がいる。

色々と、不便になることがあるが故に、こっちの方が楽である。

アレくらい、階級の高い人間である。

ならば・・・

「出来るはずだ。」

そのまま、クロノの階級IDを入力する。

「おい!!」

「まぁ・・・ねぇ?」

何が出てくるか。

龍が出てくるのか。

はたまた、虫が出てくるのか。

「一体、何が・・・」

そこに出てきたのは、驚いたものだった。

出てきたのは、管理局の裏事情のようなものだ。

そこには、

「おいおい・・・」

「これって、最近殺された人間たちじゃないですか・・・」

見えない敵に殺された。

恐ろしいほどの数が揃っていた。

実際、見ていないが故にニュースで殺人が起こった。

そのような感覚で見てしまう。

ヴァイスが殺されたことだって、そうだ。

身近な人物であるがゆえに、何故か、余計にどうでも良いと思ってしまう。

所詮は他人と言うことなのだろう。

考えることもなく、ただ、燈也は資料を眺める。

「今まで殺された人間と、最近殺された人間の資料が混ざってるな・・・」

表示のされ方は、ばらばらであるが。

「整理されたってわけじゃないか…」

そして、削除されたと思いきや、簡単に、馬鹿にするような場所にあったことに、どこか、殺意のようなものが燈也の中に生まれた。

「クロノさん、はやて、この状況は・・・?」

二人とて、長くここにいながらも初めてみた。

ある意味ではブラックリストに等しい。

その中には、死んでいる人間だっているのだ。

「時空管理局としてこれは・・・」

「あかんわ・・・」

この組織に入り、全く知らなかった真実。

それは、この二人とて同じである。

「しかし・・・見つけてくれといっているようなものだな・・・」

「そうやな・・・あえて、これを見やすい場所に置くって言うか・・・これのハッキング自体、やっちゃあかんことやで・・・?」

「何かと便利なんだよ。これ。」

その真実。

知られていない、管理局の影。

最も知らなければならない。

この事実。

「これは・・・」

シャリオが覗きこむ。

「見たままの通り。」

ブラックリスト。

それこそ、知れば危険人物と同じような扱いだ。

人道的にも許されない。

その扱いは明らかに許せないものがある。

「こんなものが・・・」

「えぇ。見つけました。」

燈也は、この中から取りあえずメンバーを探し出す。

殺されたはずのメンバー

「まさか・・・!」

はやてが声を上げる。

この中にあったのだ。

正に、探してくれといっているような物が。

「この中から、探すの!?」

「あったんだよ。」

燈也は当然の如く、希望の手を差し伸べるように、死んだ人間のリストを探していく。

どんなに殺された存在がいるのか。

ある種、管理局のうらを知るかのようにだ。

「さぁて・・・こんなことをしたのは?」

燈也は不適に笑いながら、モニターを別画面に変えていく。

「燈也、やるつもりなの?」

すずかは心配そうに燈也を見る。

ここに乗っている人間を知ることによって、真実を知る。

かなりの問題があるはずだ。

それを行うのだから、心配でならない。

さらに、六課の事まである。

ここで問題があり、何かあったら。

再結成された六課はどうなるか。

それも心配であるのだ。

「六課のことはそうだ。しかし・・・」

燈也は言葉を続ける。

「この人たちとて、このままにしておくわけにはいかないだろう。」

管理局によって、死を隠蔽された者達。

「既に死者だって」

存在している。

それを許すわけにはいかない。

人道的な処置としてもだ。

「だけど・・・」

クロノは上司として、それを許すわけにはいかなかった。

このままでは新設機動六課が解体させられる恐れがあるから。

今の燈也の考え方はこれだ。

『虎穴に入らずんば虎児を得ず』

それが燈也の今の考え。

純粋に必要な情報がこの中には揃っている。

ならばあえて

「虎穴の中に入るさ。」

魅力的な笑みを浮かべてすずかを見る。

その中でメンバーを見てみる。

やはり、その中に存在していた。

「ヴァイス陸曹…発見。」

「なんやて!?」

素っ頓狂な声が一室に響いた。

しかし、そこには、確かにヴァイスの資料があったのだ。

まさに、ブラックリストとでもいったところだろう。

そこには、なじみの顔も存在していた。

エリオ・モンディアル

グリフィス・ロウラン

ユーノ・スクライア

憐・ヴィオラ

その中には、

「俺の名前まである・・・」

向けられた殺意。、

リストというフォルダの中に、悠介達のデータがあり、killedというフォルダには、既に殺された連中の写真が乗っていた。

そのファイルの中に、訳の解らない特撮ヒーローのお面が付けられていた。

ヴァイスにスペクトルマン。

相手は、相当、特撮が好きなのかと、考えてしまう。

ヴァイスにスペクトルマン。

「これ・・・なのはちゃんの・・・」

「ロリコン部隊の隊長・・・殺されたのか。」

レッドマンのお面と共にあった。

同部隊のなのは、ユーノ崇拝者には、グリーンマン、8代目バルタン星人、宇宙猿人ゴリ・・

「どこでも、燈也を狙っているってこと・・・?」

「そうだろうな。」

そして、クロノ・ハラオウンもそこには存在している。

さらに、六課に入ったばかりの

「悠介君の名前が入っているのは、当り前か。」

新人にまで殺意を向ける。

尋常じゃない精神なのだろう。

「ほんまに?」

その意。

それは、現実であるのかというのを問いただすという意味なのだろう。

「ここにある以上・・・確かだろう。」

この中にあるのは、最近、管理局の中で殺された人間たち。

その一覧のリスト。

おそらく、これは犯人が次に誰を殺すかというものなのだろう。

燈也にとっては、何をいまさら。

といった表情だ。

「女性局員がいないな・・・」

燈也はそのまま、三人の反応など。

一切気にせずに、モニターを変えていく。

やはり、そこに女性局員は存在していない。

「なぁ・・・」

はやては一つ思う。

このように、中枢にハッキングばかり続けていれば。

問題になり。

新設機動六課は解体されるのではないだろうかと。

「なぁ、サイレントブレイダーは解体させられるかもしれんよ?」

サイレントブレイダー。

新設機動六課の別名である。

静かなる剣を意味するこの部隊。

だが、この部隊名になるまでは、どうでもいいほどの葛藤があった。

当初は、以前のように機動六課。

それだけでいいと思っていた。

しかし、クロノが、別名を付けたほうが面白いと言い出したのだ。

その意見に乗ったメンバーたち。

募集した意見の中に悠介は

「新撰組」

と、言う名前を書いていた。

しかし、幕末に敗れた組。

そのような不吉な名前を許すか。

そう思った新撰組の歴史を知っているメンバーたち。

それをつけさせるわけにはいかないのだ。

さらに、シグナムは悠介に時代劇マニア。

そう言って本人のいない場所で罵ったんだとか。

しかし、そんなシグナムも本気を出したのにも関わらず。

敗れたのも事実であるが。

ただ、何かと漢字をつけたがる。

それは、悠介の悪い癖の一つ。

というわけである。

そこから、どうでもいい議論が続き、悠介の意見は却下されたことは言うまでもない。

そして、どういう結果になったか。

それが、

『Silent Bradar』

サイレントブレイダーと名づけられたのだ。

その中の壱番隊。

(その主張は採用された)

その壱番隊の隊長。

それが燈也である。

戦闘隊長でありながら、壱番隊隊長。

それこそが月村燈也。

サイレントブレイダーの現時点で最強の戦士である。

その弐番隊隊長がはやて。

三番隊隊長がシグナムといった感じである。

調べてみて解ったことだが悠介の魔力は未知数だ。

燈也

すずか

ティアナ

クロノ

レベルの力を持っていることが、判明した。

それを見たときは驚かされたらしいが。

悠介には全く自覚が無いのも事実だ。

そんなことを思い出しながら、再び、モニターを見る。

何を望むのか。

もう一人は、誰を殺すのを望むのか。

この中で、また、誰かが殺される。

ロリコン部隊の人間も守らなければならないのだろうか。

救い様の無い連中だから、救う必要も無い。

燈也は、そのまま、殺人者リストに目を通した。

これだけ見ていると、共通点と呼ばれる物が、逆に解らなくなっていくほど、複雑だ。

しかし、これほど多いと理由は単純であるケースがある。

だが、それを見つけるのが、逆に難しいのだ。

六課の人間は、全員は行っている。

クロノは、あいつはそれはしないと考える。

憐はあの部屋から出た、形跡が無いからだ。

それは、モニターに映る。

殺される予定の人間達。

老若男女問わず、誰でも殺す。

そう言う意味が、含められているような気がした。

しかし、無差別に殺すにしろ、このチョイスは酷い。

さらに、良く解らない物をおいていく。

ただ、このような物は単純な物であるかもしれない。

「意味なんか、無いんだよ。」

第一印象として。

そうなイメージがある。

意味無く、これで、撹乱でもしようというこだろう。

意味無く、これを、ただ、置いたと言う訳だ。。

「じゃぁ、何で、こんなことするの?」

すずかが問う。

「だから、撹乱だよ。」

「意味無いのに?」

意味は、無い。

しかし、無能な警察の連中を騙すには、充分な素材だろう。

燈也が、ミッドチルダのニュース番組をモニターに移す。

現に、ニュースで今、ここ数日の殺人事件。

意味のない情報に振り回される、連中。

朝のニュース番組は、一貫して、この出来事を伝えている。

地球と言う世界のヒーローや、怪獣のお面。

意味なく、作品を解説している。

殺し方など、そのヒーローに乗っ取っているころ仕方ではない。

それ以前に、燈也はそこまで、特撮に詳しくない。

名前も、資料検索で知ったくらいだ。

大して、興味も沸くことのなかった作品。

それと比例して、殺し方はナイフで心臓か、頭部を突き刺すのみ。

ナイフは、回収されず、犯人が所持していると思われる。

この殺人事件は、単なる事件で終わると思われていた。












「何故か、怖い物が記憶を駆け巡ってる気がする・・・」

それは、オリジン。

記憶に残る最悪な何か。

それに対抗するためには、神の力を持たなければならない。

そうすれば、

「オリジンに対抗できる・・・」

小声で、一つの単語を思い出した。

オリジン・・・

「なんだ、それ?」

記憶に無い。

オリジン。

それは、何を意味するものなのか。

一体、なんなのか。

悠介は、思い出せない。

悠介の手が止まる。

オリジンとは何か。

自分が、悠介自身が一番よく知っている。

でも、それが

「わからない。」

そもそも、何故オリジンというものと

「戦う?」

解らない。

「なんだ?」









「何故・・・」









「戦う?」









「俺は?」









「何故?」









「戦うんだ?」









全てにおいての理解が、悠介には出来ない。

暗示の様なもの。

そうではない。

それこそが理解不能なのだ。

オリジン、セイバー

「それは・・・?」

「悠介!?」

現実世界に戻すように、一つの声が悠介の頭の中に響く。

「え?」

「また・・・思い出してた?」

ティアナが肩をゆすり、全てを呼び戻す。

「あぁ・・・記憶がな。」

それは事実。

オリジンという名の記憶。

「まぁ・・・それよりさ。」

「何・・・?」

オリジンと言う単語は、聞いた事がある。

しかし、そう言う物体は明らかに、この世界には存在しないもの。

それこそがオリジン。

「スカート無い・・・?」

探しながら、悠介は記憶を辿る。

「スカートって・・・貴方!?」

オリジンの率いる兵器。

「だから、制服にメンズスカートは無いの・・・?」

喋りながら、器用に悠介はティアナに話す。

オリジン

最悪の存在。

だから、戦うのか。

最悪の存在だから。

「まぁ、多分・・・そう言うことなんだけど・・・ロングスカートが望ましい。」

しかし、実際、どういうものか、それが解らない。

「ちょ、ちょっと待って!!」

「メンズスカート・・・ないの・・・?」

注意は必要。

「それ以前に、どうしてスカート?・・・じゃなくて、オリジンは、何?」

ティアナの持つ疑問。

それはもっともなこと。

自分達の装備で迎え撃てるか。

それは、もっともなことだ。

「解らないよ。」

単語を

「思い出しただけだから。」

その場合は

「思い出すまで、待って。」

その一言である。

記憶が思い出すまで、そうしておくしかない。

「邪神を復活させるわけでは、無いんだから。」

邪神を復活させるより、彼女たちを解放したほうが得がある。

「それより、もう一つのセイバーって、守護者って意味だよね。」

その守護者。

何を守護するものなのか。

それは、何を意味するのか。

「世界を・・・」

世界を

「守るもの。」

悠介の中でそう結論が出る。

ジュデッカを守護するなら、それはそれで合点が行くというものだ。














ただ、その中で、悠介の頭の中に一つのヴィジョンが流れる。

そのヴィジョンはモザイクがかかっていてよくはわからない。

だが、それが何か。

黒い

漆黒の翼

それが、何かと戦っている。

巨大な何かと。

そこに、再び、巨大な何かが現れる。

巨大な・・・



見方によっては神とも思われる。

そのようなものが、黒い何かと一緒に戦っている。

それは何か。

自分でも、悠介自身、全くわからなかった。

何があった。













「俺は、昔はなんだった・・・」

悠介の中に何かがある。

しかし、それを知りたくない。

知れば、辛くなる。

それを、無意識の中で悠介の肉体は実行していた。

そのヴィジョンを振り払う。

再び、目の前にいるティアナに眼を向ける。

その中で、悠介は何かに囚われたような感覚に陥った。

どこか、自分が絶望の闇に染まり、辛い物を無理して思い出せば、恐いと解っているから、現実逃避をしているように思えて、仕方が無かったのだ。

「嘘だ。」

恐くないのは、うそだ。

何かが、悠介を呼んでいる。

自分の脳内の中で、過去が、何かが。

悠介を呼んでいる。

「誰だ。」

解らない。

「誰が、俺を呼んでいる。」

悠介は、再び逃げるように、いや、何かを感じたように点を仰ぎ、画面を変えた。

その姿は、心は此処に無いようにも思える。

そこに何がいる。

何が待っている。

その先に何がある。

これ以上の、上にある世界に、更なる恐怖か、いや、希望が舞っているのだろうか。

それは彼にも、誰にもわかるはずの無い、永遠の問いかけだ。

それは、何か。

自分の胸に聞いても、帰ってくるはずの無い答えに、期待してしまう。

蘇らない事を、苦と言うのであれば、思い出さないほうが良い。

いや、同じなのだ。

全てが。

思い出すことも、思い出さないことも、結局苦しむのだから。

ただ、違うのは、思い出したときの開放感と、思い出せないときの真理的な気持ち悪さのみの違いである。

全ての人間に共通する、気持ち悪いこと。

愚かな事だとおもう人間もいる。

無理矢理忘れて、自分で解決させようとする人間だって、ここにはいるさ。

それはかつての自分と同じ・・・そんな気がした。

「とりあえず・・・ロングなら、あんたの妹のショートスカート・・・あるけど?」

「妹・・・瑠璃って言う子の?戦ったの?と、言うより・・・欲しいのはロング。」

ティアナは何も言わなかった。

応えたく、無かったからだ。

それは何か。

この、ミッドチルダいる世界での、記憶の無い浦島悠介。

別世界での浦島悠介と言える、ティアナの彼女であった瑠璃。

元々、別世界の住人なのだ。

悠介本人が、使わした分身。

それすらも忘れてしまっている。

あの時の、我侭のような物がティアナを苦しめていた。

「何か、知っているような気がする・・・」

悠介はティアナに向かって語りかける。

ティアナは、悠介に瑠璃と言う少女といた期間の写真を見せた。

モニターのその娘の写真は、まだ、幼かった。

実質、普通の写真であるはずなのに、何故か、悲しみが伝わってきたように思えた。

本当は、消えたくないような気配が伝わってきた。

「俺は・・・」

写真の中にいるこのティアナの彼女がそこに・・・

悠介に語りかける。

それを感じている。

そこにいる存在を。

「お前は・・・」

悠介は語りかける。

写真の少女に。

その娘の名は

「浦島・・・瑠璃・・・」

今・・・知る、瑠璃という名の少女。

それが、この世界でティアナに尽くしたという妹の存在なのか。

全てを知りたい。

「俺は・・・」

一体、なんなのかということを。

本当に、彼女を作ったのか。

人が、人を作ることは本当に可能なのか。

「愛していたのか・・・お前は・・・」

「まぁ・・・ね。じゃぁ、私の予備のロングで良い?」

ティアナは、それでへこんでいた時、聖王形態になったヴィヴィオに襲われたことを思い出した。

結局、知識も何もないヴィヴィオに、蹂躙された覚えがあったものの、許してしまった。

今を受け入れている自分がそこにいる。

「あぁ。」

瑠璃のスカートを受け取り、悠介はシャワールームに入った。

これから、穿くのは、自分の妹を恐らく、世界の誰よりも愛してくれた女、ティアナ・ランスターのロングスカート。













「クロノさん、どこ行った?」

燈也は一度立ち上がる。

「え・・・?」

意味が解らなかった。

何故、ここで、クロノの名が出てくるのかと。

「どっか行ったで?」

そう。

この場にクロノは存在していない。

少し、聞きたい事があったのだが、本人がいなければ、意味が無い。

「ちっ・・・肝心なところで役に立っちゃいない・・・」

燈也は一度椅子に座り行う。

影に、上官を罵ってから、眼を瞑って、クロノにアクセスを試みる。

早く・・・

「繋がれ・・・」

この、心の触れ合い通信。

名称は燈也。

だが、多忙・・・

か、どうかは解らないがクロノとは繋がりにくい。

大抵、その場合は

「奥さんといちゃついてるのか・・・?」

そのようなことは想像できる。

艦長室に奥さんを連れ込んで・・・

『って!変な想像するな!!』

そのようなヴィジョンを頭の中で想像して遊んでいると、不意にクロノの声が聞こえてきた。

『やっと、繋がった。』

『悪かったな・・・なんかようか?トイレだぞ!?今!!』

『用が無ければ、こんなことしないでしょ。』

全く持ってその通りである。

用が無ければ、このようなことは行わない。

からかう為に、そのような事をするのは、嫌な大人のする事だと、燈也は思っていた。

『それで、用件は?』

「奇妙な事がありましてね・・・」

『何かあったか?』

さっきのニュースの映像を、もう一度、燈也は流し始めた。

それは、さっきまで映っていた、単に、ヒーローのお面、外部インタビューなど、当たり前の内容の流している、何も変哲も無い、ニュース番組だった。

「どう、思います?」

『見たまんまのものだ。』

こういう答えしか帰ってこないのは、ある種、妥当なせんと言えるだろう。

『しかし・・・?』

『なんだよ?』

『よく見れば、変なものが映ってるんです。」

『変なもの?』

『えぇ・・・インタビューの部分の右下・・・男が、調度、でてくる所を良く、見ていてください。』

やたら、綺麗なトイレの便座で、ウォッシュレットスイッチを軽快に押した次の瞬間、目をモニターに移す。

確かに、そこには違和感のような物があった。

『これは・・・』

『解りました?』

三人の男。

それが

『殺されてる?』

『そうです。』

『いや、これは・・・・・・』

それは

『大胆な犯行ですよね・・・』

しかし、今回の無差別事件と、これに移った無差別事件は関係無いようにも思える。

その理由は、いたって簡単だ。

説明すると・・・

『今までの犯人は慎重すぎた。』

まだ裏がある。

誰にも、読ませない。

そのように、暗示しているかのようにだ。

『それで・・・?』

『今回は、大胆すぎる・・・』

誰から見ても、明らかだった。

周りは気付いていないものの、殺人をしているので見て下さいと言っているようなものだ。

『かつての、スサノオ降臨祭程じゃないですけどね。』

スサノオ降臨祭。

かつての、スサノオである、SAVERの出現の時、管理局全体に激震が走った。

それまでの常識や、概念を覆すかのように、おぞましく、力強く、絶対的な何かを秘めていたようだった。

管理局は、勿論のこと、あれを敵として認識はしていたが、事前の作業によって、戦死したことにはなった。

だが、JS事件時

『アレが、来るとは・・・誰も、予想できなかった・・・』

浦島瑠璃でも、あの突然の来訪は全く、予想がつかなかった。

言いようのない恐怖に、あの時、スサノオを見たもの、スサノオを感じたものは、誰もが戦慄し、戦闘する意欲さえ、失った。

ナンバーズであろうが、ましてや、ヴォルテールであろうがだ。

龍でさえ、スサノオの気迫のようなものは、神の如き、最強の物であると、ひざまついたほどだった。

『黒い甲冑・・・神の戦士…』

『そうだ。そこから、上層部は』

スカリエッテイの新兵器だと思われていた。

ナンバーズヘの攻撃は単なるパフォーマンスであると。

しかし、スカリエッティがそこまでの機動兵器を作ることはできるのであろうか。

『不可能だった・・・あれほどの威力を持ってしても・・・アルカンシェルを超える兵器など・・・』

ミッドチルダには、常識はずれな出来事が、非常に多すぎたということになるのだろう。

裏切られるという明確な理由も無く、現在は機動六課に配属中。

戦闘力は、神の如しと、言ったところだろうか。

『さて、話を戻そう・・・』

『あの殺人犯に見覚えは?』

『文献だけなら…』

見たことは、ある。

しかし、現実に存在する者とは、思わなかった。

『マリアージュ・・・』

『マリアージュ?』

『冥王イクスヴェリアに仕えていた・・・屍兵器・・・』

『イクスヴェリア・・・?』

『過去に…俺とすずかが作り出した娘か…』

元より、冥府の女神と神である、二人がそこにいる。

過去から、未来へと送り出した、二人の希望。

『それが、殺人か?』

『どうした?』

『取りあえず、アレを統率しているイクスヴェリアがいるはずです。』

『解ってる。取りあえず・・・ケツを吹かせろ。』

その言葉を最後に、クロノからの言葉をシャットダウン。

マリアージュに対する文献を、ガフから探し始める。

「出来るん?」

「直接、無限書庫と繋がっているからね。」

「そこら辺のデータも存在していると。」

「あぁ。そういうことだ。」

スカリエッティの行動と共に起こした、野心家。

トレディア・グラーゼ

この事を、燈也をアヤと誤認したスカリエッティは今回、参加するはずだった人間の話をし始めた。

それが、トレディア・グラーゼである。

「死にましたよ。」

故に、アレが動いている理由は、冥王の捜索なのだろう。

「見当違いか・・・」

「少なくともね。」

「すいません。お茶が入りました。」

「悪いね……」

ここにいる、人数分・・・いや、一人分を余らせ、入ってきたギンガは彼らに普通のしぐさで配布した。

どさくさにまぎれて、燈也が目の前で展開している資料を見た。

「詰み状態ですか?」

「まぁね。戦場のエキスパートであっても、犯人探しのエキスパートではないよ。」

常に、勝利を齎す。

「敵として対峙すれば」

敵に戦慄という感覚を与え

「味方として共に戦えば」

我々に勇気を与える。

それが、月村燈也という名の人間だ。

「こう言うものを見ていると、頭が痛くなる・・・人はどこでも戦って、傷つけて、殺しあう。ここに連中は、それをよく知らないんだよな。姉さんも、フェイトも、人を殺したことがないからわからない。もう、血を洗う戦いは嫌だよ。」

事実。

「百戦錬磨の言葉とは思えませんが・・・」

まだ、一度も記憶にある限り、拳を交えて、戦ったことは無いが、ギンガそこまで解った。

普通の人間であるのだと。

時折見せる人間らしい姿は、誰よりも弱弱しい。

「少し、休んだら?」

「すずかが、傍にいれば・・・それでいい。」

「そう・・・」

俺と、燈也が呼称する時は弱い部分をさらけ出しているときと、感情がむき出しにしているときだ。

ギンガは、そういう部分を見つけることが出来て、少し得した気分になった。

「それでいて、子供を兵器として外に出す…嫌な世界になった。」

後悔している。

「エリオも、キャロも・・・止めておくべきだったな。」

まだ、自立もできない年で、人殺しの手伝いをさせているようなものだ。

考えてみれば、それを平然と受け入れている。

俺は、病気なのかもしれない。

隣にいた、すずかに甘えるように抱きしめながら、燈也はそう静かにつぶやいた。

すずかは、黙って、燈也の頭を優しく撫でる。

「ここで、いちゃつくなー。」

はやての言うことを無視しながら、燈也は今の状態を維持する。

「ギンガー・・・・」

「は、はい!?」

唐突に声をかけられ、ギンガは素っ頓狂な声を上げた。

「彼女たち・・・もう、更生は終わったかい?」

「はい・・・陸士108部隊、それか、聖王教会に配属予定ですが・・・?」

「クロノさんから、正式な命令書・・・出すから…ティア達と一緒に、彼女らをうちに配属させてくれ・・・」

「そ、そんな?!」

「今後は、それでも・・・人手不足になる・・・」

その意味を理解するのは、まだ、先となる。














「見えた。」

海上隔離施設に到着。

いたるところで、彼が動くたびに声をかけられる。

悠介は有名となった。

シグナムとの戦闘シーンが中継されていたため。

悠介を見れば、その戦闘力の嫉妬心からか、非難する声もある。

大抵、悠介は気にしない。

気にしている時間が勿体無い。

それが理由である。

受付など、ギンガに任せ、そのまま、中にはいる。

「お願いします。」

「はい。」

ギンガの最初の印象は、何故、スカート。

「あ、あの…なぜ、スカートを…」

「何でって・・・戦いやすいから。」

「あぁ、余り・・・気にしないでください。」

ティアナは、頭を痛めながら、再開したギンガに、そう、告げたという。

メンズスカートというものは、知っていたが、それを吐いているのは悠介だけだ。

「ヴィヴィオは、大丈夫なのか?」

平然と会話するも、周りから見れば普通に浮いていた。

シグナムを倒したということで、流石に尊敬の念は抱いていたが、現実はスカートだ。

現実したのは、言うまでもない。

「シグナムさんと戦ってどうでした?」

仕事は速い。

いつの間にか終わっていた。

「強い人でしたよ。」

事実。

強いことだけは確か。

しかし、シグナムはフルパワーで負けたが・・・

しかも余裕で。

「本当ですか?」

全てを見透かしているように。

しかも、結構疑っている。

「えぇ・・・強いのは事実ですから・・・」

「でも、余裕でしたよね?」

確かにそうだ。

しかも悠介は思い出してしまった。

あのときにシグナムに言った台詞さえも。

「だって・・・『少し、落ち着け。冷静であるがゆえに、あんたは強い。しかし、今のあんたはそうじゃない。』とか。」

一語一句間違えずに。

当時の台詞をギンガは言う。

それを聞いて、悠介は赤面した。

「やめてください・・・は、恥ずかしいですから…」

「あはは、ごめんねー」

笑いながらって言う問題ではない。

悠介には恥ずかしいの一言である。

全部、戦いを挑んできたあいつが悪い。

さらに、そのあと

「殺されそうになるし・・・」

「犯人は、まだ…捕まってないって。」

「まだ、命…狙われてんのかなー・・・」

悠介はギンガから渡された資料を受け取り一度を見回す。

その中には、

「女の子?」

ナンバーズ

「まぁ、かつての敵は今は味方。」

内容は、ナンバーズのこれまでの被害状況という名の戦暦。

とのこと。

「それにしても、燈也さんも・・・」

ギンガは嫌な顔をして言う。

少しは、構って欲しかったのだろうか。

「それより、スカートって・・・」

「ショートよりはましでしょう?」

「ま、まぁ・・・」

かといって、スカートはいているのは、どうかと思うギンガだった。

ティアナはというと、既に慣れきっているようにも思える。

「ヘリで数分か…」

「まぁね。」

「大丈夫かな?」

「何がです?」

「あまりに、すんなり・・・・・・」

「ギンガさんだっけ…?あんたが、担当だからじゃないの?」

「そんなもんかな・・・。」

「さぁ?。」

「言った本人が…随分と無責任だ・・・」

「そーですかね。」

「しかも、スカート・・・。」

「関係無いでしょ。」

意味無く、行ってきます。

と言って、三人はその場を去った。

今存在している、戦力になる奴らのいる場所を目指して歩く。

公式とはいえ、今回の事件のためにマリアージュの存在が事実であればそれは経歴から、彼女たちの存在に問題がある。

今の管理局のことだ。

マリアージュとナンバーズを同一規格のものとみなすことがあるだろう。

事実、レジアス・ゲイズの後任となった男である、アンドリュー・メイスという男は、そういう人間だ。

悠介の中では、最悪の男というレッテルがはりつけられた。

人望も、レジアスほどではない。

存在する理由が分からない男とでもいったところか。

「取りあえず、聞きたいんだけどさ、良いかな?」

「ん?」

そんな時、悠介の頭の中にふと、蘇る。

ヴィヴィオの本当の母親。

隣で寝ていると、どうも彼女の寝言で、二人の人間の名前を呟いている。

「なのはとフェイト・・・だったかな・・・」

「何故?」

「気になった。そこまで、凄い人だったのか?」

「弱い人だったかな・・・最終的に行方不明になったし。」

話を聞き流し、前に進む。

まぁ、そういうものもあるのだろうなどと、思った。

「強いの?」

「えっ!?」

「そんな・・・変なこと聞いた?」

やましいことではない筈だ。

未だに、管理局はその二人に依存しているような感じがあるが故に、聞きたかったのだ。

ヴィヴィオの母親が、本当に強かったのか、本当は、弱かったのではないのだろうか。

どうも、燈也の口から出てくる二人の扱いは、まるで弱者のような扱いであるが故に、問いただしたかった。

「まぁ、彼女以上に強い力を身に着けていれば・・・楽に勝てる。」

ティアナが思い出すのは、かつて、カグツチに覚醒した時の闘い。

「そりゃぁ・・・そうだ。」

「指揮能力は・・・無いに等しいって感じかな。集団で人を育てるのは優秀だけどね。でも、個人個人を極限まで育てようとする燈也さんには…勝てない。」

有能なのか、無能なのか。

自分自身を無能と考えている悠介には、よく解らなかった。

「遠くない?」

「そう・・・?」

遠く感じてしまうのは、待機状態の出来ない重いデバイスをもって、歩いているからだ。

戦闘時以外は、あまり役に立たないタイプのような物であると考える。

自分も、そう言うタイプのデバイスがほしいと、そう思っていたときに

「ん・・・?」

どこか、ぶれているような影を悠介は見つけた。

「殺気が目立ってる・・・」

「どしたの?」

「俺達以外に、此処って入れる人入るんですか?」

「面会者がいれば、書類を回せば誰でも入れるわ。」

結構、アバウトな組織であるのかもしれない。

そこまで、甘い組織に自分は存在するのかと、重いながらも、公務員、適当に働いて給与をもらえるのなら、それで良いと思った。

と、何故かそう思っていた別に深い意味があるわけではない。

さっきから、感じている嫌な気配は既に此処から消えたように思える。

微妙に、嫌な感じで悠介の脳内に残ってはいるが。

少し、頭痛がする以外は大して傷みは無かった。

「オマチシテオリマシタ。」

そんな、下らない事を考えていた時、目の前に現れたのは、白目になっている、局員の人間だった。

あぁ、そう言うことか。

「グァッ!?!?」

「早い!?」

悠介は、抜刀し、生まれた衝撃破で、白目をむいた男達を殺した。

いや、既に死んでいた。

「ここに来る前からね。」

その証拠に、マリアージュがしたいと融合し始め、本来の姿を取り戻した。

しかし、何故、此処にいる。

「そんな疑問より、こっちだよ。」

二人は一斉に頷く。

「了解!」

この、施設の中で暴れるのは骨が折れる。

後で、それなりの抗議文が届き、クロノの頭を痛めるだろうなどと、頭の隅っこに置きながらも、ここで戦い始める。

「うわ、斬られた死体を融合させてやがらぁ・・・」

有りえないは有りえない。

等と、馬鹿にするように言った時には、既に、マリアージュは爆発していた。

出番は無いなぁと、しかし、楽になった。

「はや・・・。」

「これでも・・・けっこう、燈也さんにしごかれたから。」

より早く、より強く、それを求めていた。

既に、神の戦士としてティアナ・ランスターは覚醒しているし、ギンガ・ナカジマもスバルと同じ教育を受けている。

マリアージュの一体や似たいなど、簡単に撃破できる代物である。

それほど、価値の無い、敵といえるかも知れない。

また、既に、ここにマリアージュが侵入している。

「一匹いれば、三十匹・・・三匹いれば、九十匹・・・」

「うわっ・・・ちょっと、そう言うのやめてよ・・・!!」

「し・か・し・・・ね!!」

「緊張感のない戦いって言いたいの?」

実に緊張感が無いと思ったときだった。

「っ・・・!?!?!?」

鼓膜を引き裂くような、無駄にでかい爆発音が、響いた。

「何!?」

「何って、爆発だろ!?」

「会場施設での爆発・・・浸水して、此処は沈む・・・最悪ね!!」

「取り合えず、彼女達の回収を!!」

一度、屈伸した後に、指を鳴らしながら、この状況を考える。

取り合えず、ほぼ互角に戦った、人間達であるというのなら、既に脱出はしているはず。

そういう考えだ。

「まぁ・・・考えれば・・・だけど・・・」

状況が、状況だけに、ある種、一方通行であるここにいたほうが、安心はできる。

何れは、ここに来るか、それか、仮に外に出たとするのであればだ。

そして、此処は沈むだろう。

「さっきの爆発・・・そして、今回のアレですね・・・」

率直な感想だ。

「既に、此処には人はいない。」

「人の形を模した、殺戮兵器?」

「そーだね・・・俺達も、ついてないよ・・・」

このような状況であろうとも、緊張感が無い。

「ふざけてる・・・」

ギンガは小声で、悠介を罵った。

あくまでも、聞こえないようにだ。

マリアージュの数は、恐らく此処の局員の数だろう。

誰が、此処に、マリアージュを輸送したのかはわからないが、相当、誰かに恨みを抱いているだろう。

恨みは、持ちたくないものだ。

いや、この場合は、もたれたくない物だ。

「しかし、恨み買われてんの誰よ?」

こいつ等を見ていると悠介は思う。

何を考えている。

いや、恨みを代われるようなことを、誰がして、どのような事をしたのだろう。

此処で隔離して、水で殺す。

本当に、もうそろそろならば

「最悪だ。」

「恨みって言うか、自分勝手な怨念なのかも。」

しかし、誰がそう言うことをしたのかが、解らないといったのが状況といったところだろうか。

怨念だの、どうだろうが、取り敢えずは脱出か。

最優先事項は、そこにある。

ついで、やろうと思えば、マリアージュのサンプルを回収する事ができるかもしれない。

とはいえ、とどめのようなものをさした時点で、敵は爆発するが故に、回収が出来ない。

厄介な物だと、悠介は思う。

「倒したとしても、速攻で離れないと意味が無い訳だ。」

故に、悠介は抜き打ちで生まれる衝撃破だけで敵を撃破する。

斬衝破という名の、燈也の使う抜き打ちの技の一つ。

とは言え、燈也の場合は峰討ち状態もできるが。

刃を抜くスピードが、速く、それは、ギンガを圧倒させるには充分な物だった。

スパンッ!!

等と、言う音が聞こえたすぐ後には、マリアージュは爆発している。

「ブライトン・バスター・サーベル・・・!!」

その時だった。

次の爆発音が、耳に響いた。

「この、爆発音はなれないね・・・!!」

「やばいわ・・・もう・・・二階下には、水が浸水してるのが、わかる・・・!」

「取り合えず・・・例の彼女達はまだなわけ?」

来る敵を、バスター・サーベルのみで敵を排除するという強さ。

「余裕な格好をしていて良いのかなぁぁぁぁ!?!?!?!?」

「あぁ・・・!?なんだよ!!」

振り向けば、ナイフを持った男が、そこにいる。

背後から、奇襲を受け、悠介は一回、しゃがんだ後に、一撃を回避し、二撃目で、敵の攻撃を受け止める。

目の前にいる敵は、異様だった。

ヴォイスチェンジャーで、声を書き換え、さらに、顔を、何重にしたマスクで隠していた。

「言っても解らないようならぁ・・・!!」

「何のことだか・・・!!わかんねぇよ!!」

こいつは、何を言っている。

しかし、見た目のインパクトの割には、力は無い事に気付く。

此処で、こいつを捕らえられるかもしれない・・・そう、読んだときだ。

「うぉ!?!」

何かが、自分を拘束していることに気付く。

本当に一瞬の出来事だった。

此処に、拘束具などあるはずも無いというのに、何故、自分は拘束されている。

「ティア!!これ、何!?」

悠介は、叫ぶ。

叫ぶ合間に、覆面の男が迫って来る。

「ギンガさん、頼みます・・・!!」

「えぇ・・・!!」

近距離であるという事が、幸いだった。

ティアはクロス・ミラージュをブレードモードに変換させ、相手より速いスピードで、覆面の男に接近し、相手の持っていた刃物を軽く弾いた。

最後通告だ。

さらに、左腕で腹部を切り裂き、右腕で、刀身を頭に突き立てる。

ティアナ・ランスターが相手を見る時の眼差しは、そこに容赦は無い。

「ティアナ・ランスター!!!僕が、僕が、するはずだったのに!!!」

「なにを・・・!?」

どうやら、恨みを変われているのは、ティアナ・ランスターと、浦島悠介のようだ。

目の前にいる男は、一体、誰なのだろう。

3分の好奇心と、7分の恐怖に挟まれながらも、その葛藤する時間は、相手に隙を与えてしまう。

「僕は・・・お前達を許さない・・・!!」

そう言いながら、一瞬で影となって、この世界から消えた。

さらに、悠介を拘束していた何かも、そのまま消えた。

悠介が手首を見た時、あざのようなものが出来上がっていたし、まだ、熱かった。

「バインド・・・」

ティアナが、悠介に呟いた。

「バインド・・・ね・・・」

拘束していた、魔術の名を聞きながら、厄介な物だと、頭の中でうざいと囁いた。

そして、気付けば、目の前にマリアージュは消えていた。

あの父君面の男が消えてから、敵は出てこなくなったようだ。

「姉上・・・!!!」

出てきたのは、銀髪の見た目は少女だった。

眼帯で片目を隠し、妙に小さい少女。

見た目で、敵を見るなというは、正にこのことなのだろう。

どこか、古風のような感じのする少女が、悠介の資料で見た、ナンバーズの一人なのだろう。

「チンク!!!皆!!!」

チンクは、そのまま、ギンガを抱きしめる。

ここにも、同性愛者がいるのか。

「別に、女同士なら、悪い気はしないわな。」

等と、思いながら、辺りを見回した。

「それより・・・此処は、そろそろ沈みます。姉さま。」

「えぇ・・・じゃぁ、脱出しましょうか。」

そして、

「そう言えば・・・あの、スカートの穿いている男はなんなのですか。」

「貴方達の同僚よ。」

そう、言われた時に、現れた全ナンバーズ達は呆気に取られた。

「冗談でしょう・・・」

「冗談じゃない。このスタイルは、戦いやすいよ?」

あくまでも、その重要性をといても、解りはしないだろう。

「とりあえずサー・・・脱出だろ?」

悠介の言葉に、全員がそう言えば・・・と、言うように頷いた。

「どうも、緊張感が無いな・・・」

海水が、すぐ、目の前に迫ってきているというのにだ。

どうも、それに違和感を覚えてしまう。

緊迫感が無いと言ったような所なのではないのだろうか。

それに関しては、先ほどの男と良い、どうも、敵が弱い。

「私等が、強いだけっす。」

ウェンディ・・・という名の少女が、そのような事を言い出す。

「変態にしろ、強さは本物であると信じたいな。」

変態とは、自分のことなのだろうかなどと、悠介は考えてしまう。

いや、メンズスカートを着けて戦うのは、自分しかいないのだろう。

スカートを着けて戦う人間など、自分しかいない。

5番から、12番間での数を名前として当てられた少女達。

しかし、一番から、4番まではどうなってしまったのだろうなどと、考える。

いや、五番以前の人間は此処にいないのではないのだろうか。

其れ以前に、敵は此処に存在していないと言う静けさが、妙に思ってしまう。

この環境は正に生き地獄と、言う場所を、早く抜け出したかった。

「もう、いいんだろ?ここにいなくてさ。」

悠介が、構ってきたナンバーズ達を適当にあしらいながら、それを言った。

緊張感の無い脱出劇に、悠介も流石に欠伸をしてしまう。

「必要だから・・・来て、くれる?」

ギンガが、全員に今更な事を問いただす。

また、思うのは、燈也はこの状況を読んでいたのではないのだろうか。

故に、書類まで作り、わざわざ、此処まで寄越したのではないのだろうかと。

マリアージュ等に殺される前に、海水に沈む前に、何とか。

と、言う事なのだろう。

「出ようよ・・・もう。俺、泳げないんだよ。」

悠介が、そう、呟いた時には、全員が動き出していた。

気付けば、取り残されていそうな、自分がいる。

「ちょっと!!お前等!!」

取り残された悠介は、どこか、切れる。

自分を置いていってるんじゃないと、叫ぶかのように、駆け出した。

さらに、また、ここで、目の前に敵がいる訳が無いと思った敵がいる。

舌打ちしながら、悠介は目の前にいる敵を見た。

「さっさと動く!!」

「早く行け!!」

泳げないと言うのに、こいつは、何を邪魔してくれるのだろうかこの覆面の、妙なヴォイスチェンジャーを使った男と言うのは、それほど、この世界に着たばかりの自分を恨むと言うのか。

「しぶといっ!!」

悠介が、手を出そうと思っていたとき。

既に、刀を抜いていた。

妙なバインドと言う術を使われる前にだ。

「悠介!!」

叫んだ時には、先程の男は倒れていた。

そして、影となって消えていた。

「高速の抜刀術・・・」

下手をすれば、燈也より速いかもしれない。

チンクは、それを見て、一瞬、鳥肌が立った。

それは逸材だった。

「さぁて・・・ここにいる敵もあらかた片づけたし・・・!!帰ろうか!!」

その言葉に反応し、全員が出口に向かって、走り出した。

「あれは・・・・・・?」

「悠介!」

逃げるように、黒い影が、この場から消え、完全に気配を消していった。

「い、良いんですか?」

「それより、脱出。」

「ヘリはあるんだろ?」

外に出たとき、沈む感覚は、自分を襲う。

太陽の暖かい感覚と、潮臭い感じをその身で感じながら、出口を見ていた。

もう、ここに人という人は、存在していないと言うのが、よくわかる。

あるべきヘリに乗っているのは、六課の人間のみしか存在しなかった。

「最悪の状況だな・・・これ・・・」

「そうね・・・後味が、非常に悪すぎるわ・・・これは。」

「緊張感が無いくせに、後味が最悪の戦いか・・・」

気持ち悪かった。

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