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マクロスLily エピローグ「PLANET DANCE」

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エピローグ
一先ず、これで終わり。


 「こいつ最新鋭よ?なんで、あんた、ここまで動かせるの……?」
 命の操縦技術は基本、乃木坂0046時代に培われたものである。しかも、それで実戦を繰り返したのだから。シュミレーターで、新統合軍のパイロットを軽く撃墜してしまったことから話は始まる。ただ、エースパイロットの集まりであるSMSには苦戦を強いられた敗北はした相手はいたものの、それでも数人はギリギリ勝利。
 何気に本来の世界での戦闘経験がこうしてバルキリーを使った戦闘にも生かされるのだから、世の中、どうなるかーなんてのはわからないものだ。そして、本来の芸能弾圧などを行っていた、連中と戦うための兵器ライブスーツ。
 いわゆる、彼女たち専用の人型戦闘用兵器。
 前の世界においては、いまだに長く続く芸能弾圧組織であるDESやら、その他もろもろの厄介な組織と戦うことにもなる。そういう連中と戦うために開発されたのが、鳥人型兵器である、NOGIZAKAライブスーツだ。所謂、00グループの持つ少女たちの専用マシンである。主翼を展開することで、亜音速飛行が可能で、戦車と戦闘機を合わせた特性とライブ支援機能も併せ持つ。例の鳥人兵器の運用が、こういう場所で役に立つとは正直、命自身、驚きを隠せなかった。
 コクピット周りのパーツが多少の形状は違えどライブスーツとバルキリーはかなり共通している部分が多くある。バサラのバルキリーのコクピットは特別製だが、後にマクロス7船団でバルキリーのコクピットを覗いたときは、基本、そのスーツの操縦方法がバルキリーシリーズと、ある程度、似ており、その所謂、相互性には驚かされたものだ。
 「でも、さすがにバサラのバルキリーは驚いたけどね。」
 「あー、操縦桿がギターって……」
 一番驚いたのは初めて搭乗したバルキリーであるYF-29改の操縦……では、あったが。マクロス7船団でレイ・ラブロックとミレーヌから基本レクチャーを受ければ、ある程度は同じという命の感覚には流石に周りを驚かせていた。
 ある程度の応用を生かせば、ファイター、バトロイドの操作方法も簡単に覚えてしまう。何気に、あの世界での戦闘が、こうも応用で役に立つとは。しかし、今回は……
 「鍛えれば伸びるわね……」
 「ほんとに……アイドルじゃなくても、ある程度、鍛えればSMSでも良いところ行くわ。売れなかったら転向させたいくらい。」
 「それにしても、どんだけ、命の世界のアイドルって厳しいのよ。」
 「昔はかなりひどかったらしいけど……」
 思い返せば、母たちは週に3回以上は芸能弾圧組織であるDESと戦闘していたというし、考えてみれば、あのアイドルグループに所属するということは必然的にエースパイロットになることを短期間で求められているということもあるのだろう。
 そうこうして、バルキリーとライブスーツの違いを思い浮かべると、ファイターになった形態は確実に空を飛んでいるような気分にもなる。ある種、一つの形態に何種の容量を詰め込んだライブスーツよりもメリハリというものが「バルキリーにはあるから、そっちのが使いやすい。って思ったけどね。」と、口にしながら、シュミレーターを命はやめた。
 「ライブスーツも、あれはあれでバルキリーに勝る長所はあるけど、でも、こっちのほうが柔らかい気がする。」
 それが、芸術家的センスから生まれる言葉なのかどうかはわからないが、バルキリーを柔らかいと評するのは、この少女くらいだろうと見つめながら、自分の持てる操縦技術というものに関して両手を握ったり開いたりして確かめていた。ついでに、母智恵理のゾディアックのランカスター支部でシュミレーターで遊んでいたことを思い出すと、それは、あながち無駄ではなかったのだろうと、こうしてバルキリーのシュミレーターをしていて思う。
 本来、アイドルには不要な技能ではあるかもしれないが、あの機械の塊を自在に動かすというのは結構、楽しかった。そして、格納庫の巨大モニターで見せられた戦績に周りの反応がゾワっとざわめいた。
 「このイサム・ダイソンって人、倒せないんだけど……VF-19ってマシンの設定で、こっちはVF-30使ってるのに。気づけば、一撃で終わっちゃうんだし。」
 「今、SMSで彼を撃墜できるほどのパイロットはいないわよ。もし、熱気バサラがSMS所属で戦闘とかするパイロットだったら解らないけどね。とりあえず、VF-30の1機を任されてるくらいだし。シュミレーターでだって、私が倒せたのは100回やって、7回勝ったんだし。」
 「バサラは唄うだけだしね。操縦技量は凄いけど。」
 シュミレーターから出て頭を軽く掻きながら、この化け物パイロットの存在に対して不機嫌な顔を浮かべてしまう。
 この世界に来て、正直に言えば、音楽のほうに夢中になってパイロット側の勉強をするのを忘れていたことに気付く。
 「まぁ、これはママから聞かされたことなんだけどさ。」
 陽美が母であるテレーズから聞かされたことを話し出す。イサム・ダイソンという、自身も戦い、そして敗北してしまった存在であるイサム・ダイソンという歴代パイロット。大体が、イサム・ダイソンの起こした無茶のせいで、後の地球統合軍第727独立戦隊VF-Xレイヴンズと呼ばれる組織に所属していた自分の父親であるエイジスも、かなり無茶な作戦をさせられてしまったという。
 基本、ジーナス家の最強パイロット系統の血を引く陽美が、そう口にしているのだから間違いはないのだろう。そして美月も頷いた。この二人が溜息を吐くほど厄介な存在というのは、どういうパイロットなのだろう。
 「ってか、私たちにバルキリーで勝てなかったくせに、イサム・ダイソンに勝てるとか生意気だよ。」
 「そうかも……」
 イサム・ダイソンを超えられないのは、考えてみれば、まだ、10代前半の少女が、そこまでの技量を得ていたら、それだけで恐ろしい。終盤のバジュラ戦役ではVF-19EF/A エクスカリバー・アドバンスにて、大量のゴーストV-9やバジュラを血祭りに上げて、さらには「ハイテクに頼りすぎ」という機会すらも超越したイサム・ダイソンはVF-27を撃墜して中指を立てながら、前述の台詞を吐き捨てて、さらに墜落死しかけたが、地面スレスレで機体を立て直し、そのまま戦闘を続行するという、まさに化け物と形容してもいい。そういう伝説を知ってしまえばだ。
 「無理だね。」
 「そうね。無理よ。」
 「無理ねぇ……私たちだって無理なんだし。」
 「あんたの爺さんと婆さんと比べて、どっちが強いんだろ。」
 「どっちだろ。うちの爺さんと婆さんも化け物だし。」
 伝説的なパイロットと言われているマクシミリアン・ジーナスとミリア・ファリーナ・ジーナス。想像するだけで恐ろしいというか、オペレーションスターゲイザーでのマックスの活躍や、バジュラ戦役に参加したマックスとミリアがデートと称してVF-27の群れを血祭りにあげたという伝説を含めて、今の年齢を含めて化け物と形容したくなる気分もわからんでもない。70に入って、いまだに、20代前半と見紛うほどの容姿を含めて、このまま若い姿のまま死んでいくのではないのか。前に見た漫画の影響で、何か不思議な石の仮面を付けたりとか。そういう噂もあったが、陽美の母であるテレーズも、考えてみれば7人の子供を産んでおきながら、あの容姿を保っているのだから「そう変わらないか」と片付ける、それしか言いようがないのだから仕方は無いのだろう。ジーナス一家の何もしない自然とそうなる若作りというのは未だに、この世界でも謎に包まれている。
 「この人、マクロス7船団……バトル7の艦長さんと、シティ7の市長さんだよね?」
 「そうよ。最初のマクロスに登場してたりとか、おばあちゃんはメルトランだったりとか。」
 「凄いよね。凄い若々しい。前にも教えてもらったし、ミレーヌさんから聞いたし、実際にあったけど本当に外見が。」
 「コミリアおばちゃんも、まったく外見、変わらないんだよね。」
 「あ、エミリアさんにもあったけど、凄い美人さんだったよ。」
 イサム・ダイソンの戦績の話から、ジーナス家の話に、昼間のOLのような会話はシフトチェンジし、久しく、こういう女子トークをしていなかったことを思い出す。そして、この時間を二人の嫁と、こうして語り合うと言うのは何かしら、忘れていたものを思い出すような気がする。ぬるま湯に浸かっているような何もない普通の時間のありがたみを、思い出す。バサラとの旅では考えられなかったことでもあるから。楽しくはあったが、こうしてまったりして女子と話す時間なんて存在はしていなかった。熟年男と15にも満たない少女の珍道中は惑星ARIAで一度は終えた。今度は女だけの海賊船に乗って、この世界を旅するのとなると、変わったことと言えば、賑やかになったことくらいか。
 「そういえば、私のバルキリー作るんだっけ?」
 「あぁ、そうだったわね。」
 今回の適正は、そのバルキリーの適正を図るため。これで、適性がなければどちらかのバルキリーに乗せて歌うということになったが、予想以上の力を持っているがために、改めて、今回、ハンドメイドとしての新しいバルキリーを制作することになった。とはいえ、新たにVF-32だ、46だ、48を作るわけでもなく。従来の開発されたバルキリーの専用カスタマイズをするということになる。陽美の専用機であるVF-30「命」と、美月専用のVF-XX「命」、そして、園命専用のバルキリーを開発するわけではあるが、
 「とりあえず、サウンドバルキリータイプでいいんじゃない?」
 「まぁ、命のことを考えると殺しをさせるわけにはいかないわね。」
 「そのサポートとして、私たちか。」
 「あの……ありがとう。そう考えてくれるの、結構うれしい。」
 最初は武器と言うものを使い戦闘することも止む無しという、あの本来の世界のことを考えていたが、二人は、それを良しとしなかった。あの命を取り合った二人の女は命の恋人であることを自負すると同時に、命の最初のファンであるというのを自惚れながら、それを決める。
 それほど二人にとって命の歌というものは大きかった。
 与えるものは確実に歌を伝えるためのマシンである。兵士としての殺気感情が前面に芽生えた、あの戦場にいた二人の殺気を浄化した命の歌。だからこそだろう。あの時の殺気の感情を覚えているからこそ、あの場で、バルキリーに乗せるなら、ミサイルも全てを搭載せずに歌という武器を最大限に発揮する。
 バサラ専用のYF-29改のデータもハッキングしていた甲斐というのもある。
 見事にハートをぶつけてくれた命の歌、まさに、バサラの教えを自分らしく消化させた命の歌の力に相応しい、彼女専用の彼女のためだけのバルキリーを作り上げる。
 SMSマクロス・リリィ支社とSMSリーリヤ支社の合同機。
 新型機でも創造できそうな勢いではあるが、まずは、それ以上に、これから来るVF-31を味見してからということもあるようだ。自分専用のバルキリー……兵器は人の使い方しだいによって殺す道具にも平和をもたらす道具にも変わる。過去の歴史から学び、そして、一番優しい平和をもたらす兵器である熱気バサラのYF-29改が最初に思い浮かぶ。
 あれほどの力があれば……そう思う。
 だが、それでも、そこに一瞬、自分の中で傲慢さを見つけると首を振り冷静になる。子供ではあるが、これだけのことを体験してしまえば達観してしまう。だからこそ……
 「私は……」
 「いい?貴女の世界では、貴女は戦いながら歌う存在だったようだけどさ。」
 「これからの、貴女の戦場は地味泥臭いところじゃなくて、歌の世界よ。」
 「そして、私たちを含め、ここにいるすべての人間が、貴女を助けるために動くの。」
 その言葉に、この場所にいたすべての兵士たちが頷いた。惑星ARIAに集う人々は、あれ以来、園命のファンになったのだ。その光景は、まさに、今まで歌で震撼させてきた歌姫たちのようである。己の心の殻を破り、解放されて発揮された、ありのままの彼女の歌。光の翼を羽ばたかせて歌う少女の姿は、まさに、天使という言葉が似あっていた。
 「うん。」
 「だから……」
 「汚い仕事は私たちに任せなさい。」
 こうして自分のために、そこまでしてくれるのなら、命は、その期待に応えるのも、また自分の大切なことと考える。そして、そう言ってくれる、かつて自分を奪い合おうとして傷つけた女たちの、自分に対する本当の想いが好きだ。
 「あ、できれば、バサラのバルキリーが一番理想なんだけど。」
 キリッとした顔で、かつての師のバルキリーを二人に頼んだ。偉大であり、大切なことを教えてくれた師のバルキリー。そして、自分の歌を最大限にまで引き出してくれる翼を持つ、己の魂を直接、伝えてくれるバルキリーであると。実質、あのバルキリーに搭載された機能とキララの力、そして自分の歌の感触を肌で感じたときに、これだ!と、確かに感じた、その優しい力。
 「YF-29タイプか……まぁ、うちの生産プラントを使えばできるか。」
 「やるにしても、フォールドクォーツが必要でしょ?」
 「百カラットくらいのフォールドクォーツは、かなり余ってるのよね。」
 「なんで……」
 「まえに、どっかのクイーンクラスのバジュラを殺ったときに、クイッと。」
 「クイって……」
 「あんたの30にも同じの搭載してやるから。」
 そういうことではないのだろうというのは、陽美の反応を見ていて思った。そこまで希少なものをこうして持っているというのは、さすがは海賊だということなのだろうと自己完結し感心してしまう。マクロス・リリィ政府とリーリヤの繋がりというのは独自のパイプを築くに至る。
 この自然に覆われた惑星を自然を尊重し共存させて大きく発展し始める。所謂、人々は偽物の空から抜け出して好き勝手に生活し始める。現代、マクロス・リリィを含める、その他の船団の艦は巨大な湖に浸かり、そのまま、周りに地球で言う下町のようなものを形成しながら、徐々に発展していく。
 リーリヤの襲撃によって混乱した都市部は機能を回復。
 シティ・リリィは都会的なものではあるが、まだ、この惑星の街自体は田舎という言葉が似合う。
 それでも祭りのように露店などができ、再び、活気を取り戻す。今や、マクロス・リリィ船団のアイドルである園命の歌を活気に、ここで発展を遂げている。
 熱気バサラは、この惑星から去ったのは、ほんの二日前のこと。
 リーリヤの集団は、アグレッサーと認識された瞬間、ここでは人的被害は出ていないし、マクロス・リリィの不正を暴いたがゆえに暖かく迎え入れられた。それに対して、その歓迎を受ける。無論、マクロス・リリィの住民と恋に落ちることもあったが、全員が全員、女性に恋をし、厄介なことが起きそうなころには男という生き物は磔にされたりと、人が多いと、その分、トラブルも多い。
 無論、リーリヤの女たちが既婚者の女性やらを魅了して寝取るなんてことも多かったそうだが。と、余計な話は、ここまでにしておき、元よりリーリヤの長である美月は、マクロス・リリィの艦長がレズビアンでSMSマクロス・リリィ支社の隊長と出来ているというのだから、そういう意味で意気投合するのも出会ってから運命に等しかった。
 大統領とも長い交渉で話を付けて、互いに様々な貿易を開始し、そして利益をもたらす。とはいえ、リーリヤ自体の軍事技術の提供は信用できるSMSのみに留まるということになっている。
 「ついでに、フォールドクォーツがいっぱい埋まってる惑星……いえ、フォールドクォーツで出来てる惑星も知ってるし。仮にここで足りなかったら、そっから持ってくるし。もし、あれなら、そこに。」
 「ちょっと……フォールドクォーツって、自然界じゃほとんど存在しない希少物質よ?!」
 それだけ宇宙は広いということか。
 誰もが、その言葉、ある種の世界の理を超越した言葉を平然とはくことに頭痛が痛いと、そんな言葉が似合う。これが海賊ゆえの自由さというものなのだろうか。この星の歴史を、まだ、そんなに勉強していない命にとって、どういうことなのかは解らないが、何かしら凄いことなのだろうと片付けて、ただ、二人の会話に聞き耳を立てていた。
 ただただ、じっくりと話を聞く顔をしつつも、この世界の銀河の広さというのは圧倒されるものであるのだと感じさせ、同時に、それを響かせた己の歌の力というものを、己の歌の力の強大さを理解する。
 「さて、話を進めるとしてフォールドクォーツとキララの力、そして命の歌の共鳴は確かなものだし。」
 陽美の反応を無視して、美月は話を進める。とりあえずはYF-29改の製作は可能ということはよくわかった。細かいことを突っ込んではいけないのだと、そう自分に言い聞かせる。
 「だから、そういう世界よ。伊達に、無駄に艦隊を率いてるわけじゃないの。ついでに、すべてのバルキリーの設計データはハッキングして盗んだ。」
 「最低だ……」
 陽美の呆れ顔も気にせずに、そもそも、そこまで、そういう機密情報はザルなのかと考えざるを得ない。いや、おそらく、リーリヤ自体が異常なのだろう。文化に影響されつつも闘争本能を抑えられずに如何にして勝つか、その勝利の要因を得るために常々、何もかもを研究してきた母達の遺伝子を受け継いできたからこそ、このようなことも出来る。
 だからこそ……と、言うべきなのだろう。ゼネラルギャラクシーや、新星インダストリー等に投資する代わりに設計データ等の見返りを受けつつ、戦力を増強させてきた。文化を学んでから行われてきた、これらの投資は無駄ではなく、オーロラン、ブロンコⅡ、スパルタス、ローガン、レギオス、モスピーダ、ザーメ=ザウ、ヴィルデ=ザウ、ハードスーツ、モトスレイヴ等、そんな兵器が、ここに羅列しているのは。
 そして、エース専用として、こちらで独自に開発されたVF-αなどなど。それが、失われたマクロス5の復元にも役に立ったりと、ハンドメイドでオリジナルのバルキリーを作り、さらに従来のものを改造するのことも出来る。ここまでくると、一つの企業として経営者としてリーリヤは動いた方が良いのではないか、なんて話すらも出るほどだ。
 「ってか、ここまであるとさ。サウンドブースターもあるわけ?」
 あちこちにあるレアとも言える兵器を見ていると、さすがに、SMSリリィ支社にとっては驚きも隠せずにいられなかったのは言うまでもない。
 「そうねー。まぁ、こういうこともあろうかと。って感じで、命に出会った時から発注してた。」
 まさに、欲しいものは何でも手に入る海賊そのものであると言うのが解る。その思考、もし、そうならなかったら、どうするつもりだったというのだろうか。あの頃のホンの出会いから始まった時から、そうしようと思ったというのなら大した自信だ。言葉を聞くだけで誰もがあきれ果てる。
 「そういえば、命は少なくても10万チバソングはあるのよね。」
 「10万チバソング?」
 「あぁ、ここでいう、貴女の歌の力を数値化したもの。」
 「なんで、そんな変な単位なの……?」
 「まぁ、自己顕示欲が強いんじゃない?マクロス7船団のドクター千葉は。」
 「マクロス7船団にいたんだ。」
 とはいえ、接触していないものは接触していないのだから覚えようもないが、今度、会ったときには挨拶くらいはしようと胸に近いながら、表示されているYF-29のデータパネルを眺めていた。戦争を止めるための兵器……
 「よし。頑張ろう。私も……私として輝けることを証明するんだから。」
 命は胸に、かつての思いを秘めて改めて本来の世界に戻ることに対する決意を、このバルキリーを見て胸に誓う。誰かの名前を借りなくても、自分は自分として永遠に輝いていられるということを。それを、この世界の人達は教えてくれた。ここで得たものを伝えていきたい。
 「陽美……美月……」
 「お?」
 「ん?」
 命は頬を染めつつも、陽美と美月の腰を両手で引き寄せた。表情をあえて見つめずに二人は、その行動を受け入れていく。
 「ありがと……」
 切欠を教えてくれた二人。
 本当に大切に思ってくれていた二人。
 改めて、この二人がいなければ、もっともっと時間はかかっていたことだろうと考える。もしかしたら、この世界でアイドルをやめて、バルキリーのパイロットをやっていたかもしれないと言う、今となっては、そういう未来もあるかもしれない。そういうことを思う。
 俯き、恥ずかしそうな顔を浮かべながら切欠を与えてくれた二人を強く強く抱きしめる。
 「きっかけを与えたのはバサラの言葉じゃない?」
 「でも、もっと、深く考えられるようになったの……二人のお陰だし……」
 バサラの言葉は抽象的過ぎて、理解できそうにもなかった時、二人が打開するようなことを言ってくれたからこそ、今のような自分がいることに対しては誰よりも感謝はしてる。瞳は器用に一瞬だけ左右にいる二人を見て、それからさらに強く抱きしめた。
 「いいよ。」
 「それくらいならね。」
 二人一緒に抱きしめて銀河を唄わせたアイドルは一瞬だけ一人の少女に戻る。
 感謝の言葉を放ち、二人が恋人を気取った顔を浮かべて左右から一人の少女を包み込んだ。バサラはもちろんだが、この二人がいなければ今の自分だっていなかったのだから。その感謝の思いを言葉にせず、行動に示し、陽美と美月は、その感謝の思いを受け取った。早速、目の前の機械たちがデータを受信し、YF-29改を作り始める。
 「ふふ……」
 「どしたの?」
 「私、今まで、あの世界で私は私として名前を刻みたい。って、そんなことを考えていたの思い出して。」
 「じゃぁ、命はなんで歌うの?」
 改めて問われると、それに関して、なぜ、野望的なものを取っ払った自分。
 歌う理由、それは。
 「なんだろう。たぶん、唄いたいからなんだよ。私だけの輝きを持った、私だけの歌を。」
 「師匠譲りね。そこは。」
 「でも、仕方ないし。何か、この世界のアイドルには枷があって、それから解き放たれた人だから銀河を震わせることが出来たんだと思う。」
 「その枷だったものが翼に形を変えて……」
 「歴史に名を遺したか……」
 そこにはかつての野心を抱いて、自然に心を殻に閉じこもらせていた少女の姿は無い。ただ、彼女は熱気バサラのように唄いたいから唄う。そう屈託のない笑顔で、どこか嬉しそうに話した。


 乃木坂0046とAKB0048が合同ライブの音がランカスターに響く。熱狂的なファンの声が楽屋裏まで響くものの、一人の少女は疲れなのか、それとも、何か一つ大切なものを失ってから虚無に満ちたような顔を浮かべている。心にぽっかりと穴が開いて、外ではファンに笑顔を振りまいているものの、命にいないことに対する虚無感がプライベートでは嫌でも出てしまう。まだ、命の求めていたことについて理解できていなかった。なぜ……あの時……自分に……そのことを……そう語るが、その先を考える恐れから瞼が全力で開き、喉の渇きが襲い掛かる。命がいなくなってから、その答えを必死に探しているのに見つかることはない。
 あれから、一条流歌が立ち直りマイクを手に持ち命の穴を埋めるかのように努力した穴を埋めようとしても、誰しもが認めていた二代目齋藤飛鳥としての穴は埋めることが出来ずに、乃木坂0046には一抹の不安が残されていた。
 今回のAKB0048との合同ライブも、そういう部分を解消するためのところがあるのだが、ファンの望まぬ形を出すとはいえ、抜群のポテンシャルを持っていた園命が抜けた穴は乃木坂0046にとって、大きな失敗であるともいえよう。それをカバーするために頑張ってはいたのだが、ファンの歓声は、あのころと違う。
 身を震わせて、官能的な気分に浸らせるほどの、その快楽すらも、命がいないだけで存在しない。何曲か終わっても、その隣に彼女がいないだけで不安になる。好いていたし、愛していたと、いなくなってから、何度も何度も、この肉体には自分でした手淫の痕が刻まれている。
 いなくなったことで初めて気づく恋心はじわじわと少女を追い詰める。あれから、どれくらい、この虚空に身を使っているような人生を過ごしてきたのだろうか。
 流歌に対して命は問いかけていた。
 相談をしていた。
 理解していなかった自分の浅はかさというのは嫌悪に等しい。
 「次の楽曲、お願いします!!」
 それでも、本番となれば向かっていかなければならない。
 今は、ただ、一人、その思いをも振り払い二代目松村沙友理として、乃木坂を代表するセンターとして立ち上がる。
 0048側では園家の長女と次女が、その位置に立つことになった。しかし、いなくなってから、その辛さを罪悪としてとらえてしまった流歌自体、もう歌うことすら、何かを裏切っているかのようでつらい。
 「大丈夫なの?」
 「咲蘭……お姉さん。大丈夫です。」
 命に、どことなく似ている一人の少女、園命の姉である園咲蘭……手に肩を置いて察しているかのように言葉をかける。相変わらずの人見知りな部分が多いのか、クールを装って、手から伝わってくる震えが、この状況、どれだけ話しかけることに苦労したのかが解り、思わず苦笑してしまう。
 「疲れたの?大丈夫?」
 「いえ……」
 命がいない。
 考えてはいけないと思いながらも、己の中にある蟠りを隠して全力でパフォーマンスをした、あの人の影を、常に追っていた。己は己として輝く。その道を突き進みながら光の作った虚空の中へと消えていった、あの人の存在。
 「私たちは、個人的な感傷をライブで出すことは許されない存在……そうしなければ人に希望なんて与えられないわ。偶像でなければならない哀しみなんてのもある。あの子は、それに、誰よりも敏感すぎた。」
 「なんで、いなくなったのに……」「私たちはママの言葉を信じてるだけ。あの子は生きてる。いずれ、戻ってくる。凪沙ママは憶測だけでモノをいう人じゃないわ。」
 「一応、あの子の姉だから……何かある前に、相談はしてほしかったけどね。でも、時折、あの子の価値観は、この世界のアイドルの常識を超えてしまうものだから。不思議なものね。芸能弾圧の前の世界では、それが当たり前だったはずなのに、気づけば、この世界は誰かの名前を借りなければ注目されなくなってしまった。むしろ、今の芸能事情に、この世界は毒されているのよね。」
 「私は、まだわかりません……」
 そう評さなければならないほどに、この世界の芸能界というものは、より偶像を求めてしまう傾向にある。それほど、偉大であるというのは解ってはいるし、命の考えも姉として応援はしていた。
 しかし、まだ、この世界は新しいアイドルを受け入れるほどやさしくもないのだと、そういうのは肌で感じる。未だに、過去の偶像に縛られて、この世界のアイドルたちは成長できずにいる。
 「偶像になり切れなければ、しかも、自分らしくではなく他人らしさを求められてしまえば、己を考える時期に、それはきついもの。ママたちの時は、そこまででは無かったようだけど。ただ、それだけ、乃木坂46の中で美を司った斎藤飛鳥という存在は大きかった。って見ることが出来る。私も、最初はそうだったけど、不思議なモノね。あの子を見てしまうと、自分も、もう一つの名前を捨てて、もっと輝きたいと思えてくる。」
 「私は襲名するだけで満足でした……」
 「そうね。本当は、皆、そう。あの子しか、解らない何かだった。」
 しかし、斎藤飛鳥と命はあまりにも違いすぎたし、逸脱した行動、つまり自分として振舞っていた。そして、それがファンから顰蹙を買うというのは映像などを通してオリジナルを知ってしまえば反感が来るのも仕方は無い。
 「器用に思えたけど、意外と、あの子は不器用だったのかも。」
 全てを演じろとは言わないが、襲名したメンバーらしい振る舞いをしながら己を混ぜ合わせるのが襲名メンバーのスタイルである。だが、あくまでも自分として輝こうとする命にとっては、それさえも苦痛に近い何かを味わっていたのだろう。名誉であることが命にとっては。
 「まぁ、贅沢な悩みだとは思うけど、自分というスタイルを表に出したかった命からすれば苦痛なことなのかもね。だから、私たちにはあの子のことがわからない。」
 「どうしたら……」
 「帰ることを祈るしかないわ。」
 現存するがゆえに、そうではないにしろ、オリジナルの48Gや、46Gの映像がある限り、オリジナルと比較はされる。それでも、自分というものを出し続けるなら……。
 「でも、それだったら……」
 「智沙、一人は怖いものよ。それに、あこがれるグループだから自分は自分でいたいというのもあるわ。それに、AKBや乃木坂だって、あの子は好きだった。そんな好きなグループに自分の名前を、自分として、刻めることというのは、それだって、素敵なことよ。」
 よりオリジナルから離れれば離れるほど強く比較するようになった。襲名という部分が色濃く残り、2代目橋本奈々未を襲名した流歌は己の愚かさを恥じる。彼女の中の園命……
 「でも、帰ってきたら、あの子は、もっと、私たちの知らない凄い存在になっているかもしれないわね。」
 「すごい……存在……」
 「覚悟しなきゃ。姉として負けちゃう。」
 そして、三人はライブに移動した。今、こうして、彼女のことを考えながら歌うと、襲名の先にある世界というものを理解できない。襲名、オリジナルメンバーの名前を得ることの、何がいけなかったのだろう。
 唄っていても、答えはまるで出ない。
 自分として、この組織に名を残したいと思っていた、その気持ちがあるから。
 命の姉である二人は、それが解っているようだ。
 だが、一緒に暮して来た自分にはなぜ、分からないのか。
 オリジナルのメンバーの名前を受け継ぐ。
 それとて、素晴らしいことだし、先輩メンバーに対する敬意というのは無いのだろうか。
 解らない。
 わからないから、自分を磨き、流歌は努力し、己を磨き、さらにはセンターを獲得できるまでに、今の地位を得た。しかし、頑張っても、解らなかった。彼女の思考は、乃木坂0046という組織に所属する人としてあまりにも一般的過ぎたからこそ、襲名で満足をしてしまう、その気持ちから抗うことはできなかった。
 ただ、襲名に甘んじて、あとは、そのまま名前を受け継いだまま卒業してしまうという、そのことが、命には解らなかったが流歌は、なぜ、そうなのかが解らなかった。あまりにも理解しようとしても理解できないがゆえに利己的に扱ってしまう己の感情はついていけなくなる。
 だが、それでも、彼女の気を惹きたくて、ただただ、話だけを聞いていた。
 「それじゃぁ!聞いてください!裸足でsummer!」
 ここで復活したAKB0048と乃木坂0046の二つのグループが入り乱れあう。
 しかし、その時だった。
 空を埋め尽くすほどの軍勢がワープして登場したのは。これを狙っていたかのようにDES軍の兵器が大量に攻めてくる。観客たちは焦り、そして、当然のごとく現場は混乱し、自分たちは当然のように戦闘態勢に入る。全員が戦闘態勢を取りつつ、これから、血みどろの戦争が行われる。誰かが嫌でも傷つく。それは仕方のないこと。傷つけないことは大切だが、それ以上に、この場を守ることの方が大切なのだと、咲蘭や智沙達が活躍する中で、自分も動き出す。
 それでも覚悟しなければならないと解りつつも、それでも、恐怖心を煽るように、アキバスターを責めてきた時以上の軍勢がコンサート会場に迫る。AKB0048も、乃木坂0046も唄いながら、戦場を駆け抜けて戦う。歌いながら戦場で人々に勇気を与え、そして、自分たちを鼓舞するために荒ぶるのだ。歌にならない酷い声が響くときもある。
 それでも、命ある限り……
 この理不尽とは戦わなければならない。
 覚悟した時だった。
 流歌、咲蘭、智沙の全身にゾクゾクと走る感覚が襲い掛かる。
 これは、なんだ。
 ドクドクと心臓の鼓動が全身に響き渡るように聞こえてくる。
 この激しい戦場の世界にいるというのに、緊張感以上の興奮が、この場所に近づいてきている。
 確かな、それを感じさせる何か。
 戦闘など、そんなことすらも笹生なことに思えてしまうほどに、気分は、早くそれを求めてしまっている全身と精神に張り巡らされたサーキットに電流が走り、戦闘中だというのに、そっちに全神経が集中しているのだから、恐らく、この場にいるアイドルと呼ばれる存在は、すべて、神経がビンビンに世界というものを、この事態すらも小さなことと感じさせる。
 何が来る。
 そこに、何が来るというのか。
 大気が微妙に振動し、徐々に大きくなっているのを感じる。
 大気が震えると同時に、己の体さえも震え始めていることに気付き、呼吸が荒くなる。ビリッと電流が恍惚な愉悦となって駆け抜ける。
 悦びを感じているのだ。
 この身体に、徐々に灼熱を帯びてくるのを感じ取り、まさか、なぜ、こうなっているのか。
 予想だにしない反応に、思わず、戦場だというのに一瞬、動きを止めてアイドルたちは天を仰ぎ見た。
 それを当然、隙と捉えたDES軍は好機と見て捕獲装置を起動させたが、それ以上にアイドルたちの周りに飛び交うキララ達が、それを守護する。
 異様にキララ達が、そのアイドルたちの肉体に突き刺すような感触に反応するかのように肥大化している。
 何だ。
 何が来るというのだ。
 誰もが、この光景を見て、一大プロモーション的なものだというのだろうかと考えた。
 だが、それにしては、それにしては、DES軍の動きはあまりにもプロモーションと呼ぶには統制が取れすぎている。
 「ママ……これは……」
 凪沙と智恵理たちも、それを感じ取っていないというわけではない。
 むしろ、まだ、アイドルとしてやっていけるほどにまで、細胞が活性化しているのを、この肉体に感じ取っている。
 いったい、これは。
 「帰ってくる……」
 疼く。
 肉体が、細胞が、精神が。
 「凪沙……?」
 「お腹を痛めて産んだ子供だよ?解るよ。」
 その言葉と同時に、全てのキララが震えあがる。
 それは恐怖ではない。
 明らかに、アイドルたちと同じように興奮している震えだ。
 『何?この酷い歌……』
 ランカスターのライブ会場を揺らすほどに大きな声が響き渡り、流歌は、その声の持ち主が誰なのか、流歌は、すぐに理解する。
 「やっぱり……あの子だ。」
 「命……今なら、確かに私にも感じ取れる。」
 そのタイミングでキララフォールドから抜けた、赤と青で彩られた一機の戦闘機が出現した。
 それは一瞬にして、巨大な人に変形し、同時に現れた巨大戦艦から発進したブースター状の何かと合体した。
 全てが、あれは何なのだと、流石に全て、動きを止めざるを得ない。DES軍は本来の目的である外宇宙からの侵略者を迎え撃つ存在ではあったが、明らかに、その規模に対して恐怖を抱いていた。アイドルたちとは、まさに真逆の反応を見せていたわけだ。人型に変形した、その戦闘機だったモノ、その周りに2機の戦闘機が守護するように飛び交う。
 あそこに弾丸を打ち込んだ時点で、どうなるか、DES軍も流石に、愚かではない。
 戦艦、いや、機動要塞と言えるほどの巨大な群れが、上空に現れたというのだから。
 「やっぱ、皆で来たらこうなるよね。」
 「あら、ここからが本番でしょ。」
 「この艦隊よりもすごいサウンドを……」
 『それじゃ、始めようか。』
 この世界において全く知らないイントロが流れ始めた時、園命の声が銀河を震わせるほどのサウンドが響いた。全ての者たちの細胞が活性化するほどの心地よさが肉体を襲う。
 「命……!」
 この世界において、それは全く新しい歌だった。
 全く、聞いたことのない、AKBでも、乃木坂でもない、新たな歌のスタイル。
 コクピットから出現し、小型化された歌エネルギー変換システムに繋がれたサウンドブースターが光り輝き、全ての者たちに園命は己のサウンドを響かせた。
 「あの子、私たちと全く違う光を身に着けてる……」
 誰もが、驚く。
 ランカスターに光が走った。
 歌が生んだエネルギーの美しさ、キララと合わさることによって、この場にいるすべてのキララを支配した。
 「私たちの時と同じ?」
 「ううん、それ以上かも。相当、凄かったんだろうね。向こうでの体験は。」
 二人の母親から映る帰ってきた娘の強さというのは予想以上のことだった。良い出会いをしたのだろう。その歌を聞いていれば、手に取るようにわかるし伝わってくる。
 「あの子、もう、超えられないところにいるのね……」
 「お姉ちゃん……」
 「咲蘭……」
 鮮やかな音色たちが踊るように命の周りを飛び交い、全ての人達に入り込んで戦いというものを忘れさせる。
 広がった色たちは銀河を照らし、そして、神々しく、その場に君臨する光を与えて、夜の世界を内なる人の力で光の世界に作り替える。銀河の震えを素肌で感じた、この感覚は、どうにもならないほどの圧倒的な差を付けられて、今に、君臨している。
 しかし、同時にわくわくするほど、咲蘭も、智沙も、この状態に対して高鳴りを隠せない。
 いや、ここにいる全てのアイドルたちが、そうだ。これが、園命の目指した、この世界にもう一度復活させたアイドルの形であると言っても良いだろう。昔、それは当たり前で、マクロスという要塞があった世界でも、それは当たり前で、今まで、この世界ではありえなかったこと。
 そう言っても過言ではない。
 蒼と紅の色持つマシンから拡大される命の歌の演出はプロ意識すらも忘れさせるほどに大きく、そして、激しい。
 「こんなの、知らない……」
 流歌は全身が別の生き物になっているのを感じ取った。確かに、ここにいるというのに、目の前の存在に、良く解らない感情を抱く。唐突に来る、この全身に走る痛みとも快楽ともわからない、いや両方かもしれない、幼馴染の姿に対して肉体に痛みが走る。
 この感情は、この思いは、それは、何。
 問いかけて、問いかけて、彼女の歌の光を取り込み、情報を得ようと脳が必死に処理をする。
 この感情は何だ。
 求める先にあるものを感じ取ろうとしたが、大気の震えと同時に振動する肉体の鼓動の激しさは、快楽を求めてしまっている。
 この歌は、そういう力がある歌であった。
 その目の前の艦隊以上に迫力のあるサウンドを響かせて全ての人を艦隊以上に魅了しているその歌。
 そして、自分も魅了されている、この現実に気付き、この全身に走る電流のような感覚の中で麻痺してしまいそうなほどの中で考える。恋愛、そして、電流、脳のシナプスは、すでに、彼女が遠い世界の領域にいる存在だと知っている。
 彼女は自分のことなんか見ていない。
 羨望と嫉妬と歓喜
 (本当に全てが止まった。)
 唄う中で、この世界の理、それを改めて理解したとき、命の中にあるのは、今という時代を喜んでいるという、この歓喜と快楽の感情が身を包み込む。
 唄う事の楽しさ、この凱旋はあらゆる人に一つの可能性をもたらした。
 フライングプレートに乗りながら、近づいてくる二人の姉が近づいてくる。
 命の存在は、この世界の、ランカスターにいるアイドルを中心に、他のアイドルたちにも一つの希望を与えたのだ。
 この日、園命は本来の世界で一つの可能性を示した。

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