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ACT-Ⅳ「死体」

さぁて、いきなり死体が出る。


浦島悠介。

その素性は一切不明。

どこの世界からの人間なのか。

その人間が何なのか。

何故、この世界に現れたのか。

それは一体何を示すのか。

一切不明である。

記憶が無い事は、かつて、妹を存在させる為に使用した代償。

過去にいた、瑠璃という存在。

そんな悠介も戦いとなれば目が別人に代わる。

自らの装備している・・・

神の剣『天叢雲剣』を鞘から抜き放つ。

神速の如き脚で戦場を駆け抜け、牙突で敵を破壊する。

正に人斬りの武人。

そして、魔力を含む四つの力。

しかし、其れは本の断片的な部分にしか過ぎない。

あの、全てを戦慄させた力。

それは・・・

破壊、

破壊、

破壊。

破壊の象徴であるといえるだろう。

そんな、爆発的な力を有す中。

実際の戦闘から解放された彼はまだ、未熟である。

まだ、至らないような部分もある。

それでも、戦闘技術。

今のままなら、まだ、戦闘で使える。

並みの魔導師に比べれば、遥かにマシと言えるだろう。

並以上の強さがあるといえる状態だ。

しかし、それではまだ、足りないのだ。

まだ、これより来る敵に比べれば、あの程度の力は簡単に、破壊される。

階級はそれでも高い。

准尉。

何故、そのような階級なのか。

それは、実力主義。

ヴォルケンリッターとの戦いが、評価され、そのような一応は高い位についたのだ。

いわゆる、スカウトとは少し違う経緯だ。

だが、珍しい経緯ではある。

筆記試験も免除。

その時、悠介はかなり嬉しかったそうだ。

昨日の話しであるが。

それでいて、かなりの位。

出世欲にまみれた人間ならば、歯を食いしばって悔しがるだろう。

さらに、女の多い機動六課への所属だ。

とはいえ、案外馬鹿。

というより、馬鹿。

この日の新設部隊の設立式に参加しなければならない。

と、言うことでその日、悠介は寝坊していた。

昨日の戦闘が終了。

帰って自室でそのまま寝てしまったのだ。

そして、そのまま九時集合のはずが今、九時に起きたばかり。

起きる気は全く無いのだ。

そのまま、二度寝をしようと思ったとき、悠介の部屋に新手の影が入ってくる。

それは、悠介のよりも遥に階級が高い人間。

機動六課部隊長。

クロノ・ハラオウン。

二度寝をしようと思っていた悠介の布団を思いっきり剥ぎ取った。

その出来事に何があったのか。

全く理解できない悠介がそこにいた。

だが、その戦闘時の力を何故だか発揮し無理矢理奪って二度寝。

しようと思っていたが・・・

やはり、クロノはそれを許すつもりも無い。

再び布団を剥ぎ取る。

それでも、今度は枕に抱きついてそのまま寝てしまう。

だが、今度はその枕を剥ぎ取った。

流石に容赦が無いといっても良い。

だが、それでも、起きない。

全く起きないのだ。

それは、意地。

人間の欲求。

名は睡眠欲。

「おい、起きろ!!バカッ!!!」

悠介はその声を聞いて仕方なく悠介は置き始める。

起きたのがいいが、目は眠っている。

「うぅん・・・」

一応、起き始める。

だが、寝巻き。

それで設立式に行けば、威厳だのなんだのあったものではない。

部下の士気が下がってしまうかもしれない。

いや、確実に下がる。

下がることは必死。

絶対に下がるのだ。

「おい・・・早く着替えろ・・・」

「クロノさん・・・」

眠気眼を擦りながら悠介は真剣な表情になる。

「何だよ?」

真面目。

何を表すのか。

クロノは何か大切な記憶が蘇ったのかと思い、唾を飲む。

何が解明されるのか。

悠介のいた世界。

悠介の正体か。

それが、なんなのか。

解明されることになる。

「俺の二度寝を邪魔したら、軍法会議にかけてもいいですか?」

「ふざけたことを言うな!!早く着替えろ!!」

とか何とか言っていても、未だに寝巻き。

准尉の威厳も無い。

クロノはそのまま時空管理局の本物の次元航行部隊の制服を出す。

「これに着替えろ・・・」

「アレ?」

「新しいのだっ!!」

時刻は九時七分。

式まで後・・・

三分である。

「腹、減ったんですけど?」

「式が終わったら!!」

「眠いんですけど?」

「終わったら!!」

ってな訳で、悠介は哀れ。

朝飯抜きで式に向かうことになった。

「腹減りましたー・・・」

ぐぅぅ。

と、腹を鳴らしながら歩く悠介。

それをクロノは笑いながら見ている。

この凸凹コンビ。

結成はしていなかったものの、その一部始終を見ていたものたちにとっては有名である。

お馬鹿な漫才コンビと。

それでも、実力は確か。

やろうと思えば、ヴォルケンリッターを楽に倒せるのとか。

まぁ・・・

色々とである。

それが認められて、准尉である。

時間を見れば、既に10分経ってある。

どういうことか。

それは、遅刻。

完全なる遅刻である。

新設された部隊の戦闘部隊長が遅刻・・・

クロノは最悪の事態を考える。

士気の低下。

「お前のせいで士気が低下したらどうする!?」

「んなモン、しらねぇよ。」

このような調子だ。

まず、はやてにどやされる。

クロノが。

はやてにどやされるのだ。

ちなみに、そこは、修復された元機動六課隊舎。

悠介の新たなる現状の住居でもある。

ちなみに、燈也ほどになれば自分用の住居もあったりしている。

とはいえ、すずかやティアナ、ヴィヴィオのこともあるので一緒に住んでいたりしているが。

「そういや、部隊名はなんすか?」

「部隊名?」

「そそ。やっぱ、新撰組?」

「シンセングミ・・・?」

「知らないなら、良いっすよ。」

めんどくさいので、その会話を終わらせた。

ちなみに、何故ここにクロノがいるのか。

悠介の最後のクロノからの巣立ち。

と、言うことで、今日にはここを巣立つのだ。

そんなことをしている間に、新部隊のセレモニー会場に到着。

「と、言うことで、今ついた全部隊を統括する戦闘隊長を紹介します。」

はやての紹介で、目の前に現れた燈也に視線が集まる。

その中には、息を飲むもの。

凝視するもの。

歓声を上げるもの。

さらには皮肉るもの。

「燈也さん?」

「あぁ。一応、現場指揮官的なものだ。性格は悪い部分があるけど、それなりに優秀だ。」

「ま、あの人なら信用できる・・・かも?」

クロノは、前へとはやての横へ立ち、悠介は、シグナムたちの後ろに並んだ。

ただ・・・そんな中でも、異様な物が目に入ってきた。

「子供・・・・・・?」

自分より年下の子供が、近くにいた。

「何で・・・子供が・・・」

目の前に広がる異様な感覚。

子供を兵器で戦わせることの出切る組織。

「そういうことか・・・」

だから、最低の組織と燈也は言った。

あくまでも仕方なく。

いや、子供を戦わせることを仕方なくと思っていいのだろうか。

「そんなこと・・・」

あってはいけないような気がした。

しかし、自分には何ができる。

ただ、彼女達に言う事しか出来ない。

危ないから、戦うんじゃいとしか。

戦闘的な訓練はしてきたのだろう。

しかし、其れを、本当に許して良いのだろうか。

ある種、彼等が戦えば、ヒーローのような扱いは受けるかもしれないが、子供を戦わすという行為に疑問はもたないのか。

平気で、戦わせるとでも言うのか。

自分の考えと、組織がそこにある暗闇と衝突し始める。

あの時、燈也が言った言葉を思い出す。

自分は、最低の人間の一人であるという言葉。

子供を人間兵器にする事の出切る組織。

躊躇う事は無かったのだろうか。

子供を、幼い子供を戦わせるという行為について、何も、思うことは無かったのだろうか。

クロノは、普通に、其れを受け入れているようにも見える。

諦めるしかないのだろうか。

この問題を簡単に済ますという。

自分の中で、解答を見つけることは出来ない。

既に、そういう組織の体制に慣れている。

悠介は自分で何を考えているのか解らなくなっている。

子供を戦わせる。

何処かの、紛争地帯の話ではなく、これほど、恐らく、この世界で一番大きな組織でだ。

魔導師が不足しているとは言え、其れは、異常な世界だ。

「これから、よろしく頼む。」

その言葉を最後に満面の笑みを浮かべて、その挨拶は終わる。

そのまま、はやてに誘導され、燈也の特別な挨拶が終わり、はやてが代わりに話し始める。

悠介は何も言わずに、そのまま、一点を見つめた。

八神はやて。

信頼できる人物なのか。

いや、信頼以前に、八神はやてという人間に興味は湧かなかった。

「それじゃぁ、終わりにするで」

との言葉と共に、新設式は終了。

皆が解散する中、目覚めた悠介も朝食をとるために別の食堂を探しながら行こうと思った。

その時、ティアナに呼び止められる。

「どうかした?」

「何が・・・?」

ティアナの横に、ヴィヴィオがピタリとくっついていた。

「思いつめているような顔をしてる。」

思いつめたくもなる。

この部屋から出て行く、二人の子供。

まだ、10代に入って、2、3年位しか経っていない子供。

戦わせる。

ただそれだけで。

「何でもないわ・・・」

「瑠璃・・・隠さないで・・・?」

「瑠璃・・・?」

「ごめん・・・違う名前だった・・・」

悠介は、不信にティアナの顔を見る。

悠介としてではなく、瑠璃としてみているような感覚が、不快だった。

しかし、くだらないことで、自分も怒るものだ。

過去の自分だったら、どうだっただろう。

「あ、それより・・・食堂、何処?」

「一緒に行く・・・?」

「ん・・・頼んだ。」

連れて行かされる悠介、燈也とすずかはただ、眺めていた。

ティアナの中に残る、闇のような部分を見つけた。

瑠璃に、まだ、依存しているような物。

「なぁ、燈也。」

「どうした?ヴィータ。」

不信な顔をしながら、何かを悩んでいるような顔をして、ヴィータは燈也に話し掛けた。

「ヴァイス・・・いなくねぇか?」

「呼ばれていないんじゃないのか?」

「彼も、呼んだで。」

はやてが、突っ込むように、会話に入ってきた。

てっきり、いるものだと思っていた。

ヴァイス・グランセニックは、そこにいるものであると、思われていた。

「いや・・・いたはずだ。」

さっきまで、会話を聞いていた筈だった。

確かに、そこにいたからだ。

「グリフィス・・・彼を見なかったか?」

「いた筈です。でも・・・此処を出たようにも思えません。」

「召集には?」

「勿論、応じた。」

なら、此処にいるはず。

あの、いい加減に見えるような男であろうとも、此処にはちゃんと来る。

燈也は、其れくらい、知っている筈だ。

此れで、遅刻したというのなら、流石に考えを改めなければなるまい。

「部屋には、いなかったですよ?」

「本当か?」

「はいです。朝礼中に、部屋を全部見回りましたが、他の部屋には誰もいなかったです。」

では、どこにいる。










この、ティアナの中に残っている瑠璃という感覚が、悠介を不快にする。

「ティアナさん、まだですか・・・」

完全にピンチである。

腹が大変なことになっているのだ。

腹に何も入れてないから、頭痛が襲う。

「あぁ・・・」

「大丈夫。もうついた。」

そこには、食堂という名の素晴らしき空間が広がっていた。

テーブルの上においてある割り箸。

そして、熱により、伝わってくる味が。

悠介を安心させる。

「やっと、飯か・・・」

破壊された、六課の隊舎を作り直し、今に至る。

「お姉ちゃん・・・」

「うん。私たちも、ここですまそうね。」

メニューを観ると、そこにあるものは・・・

「ラーメン・・・」

麺類の代表的な食べ物。

「うどん。」

伝統的な日本の麺類の食べ物。

「お茶漬け・・・」

日本の伝統的な食べ物。

そういや、最近食べていない。

などということを、何故だか思い出す。

記憶が・・・

下らない記憶が復活したのだ。

それだけである。

そんなアホなこと。

と、言うことで、

「茶漬け一つ。」

そんなお茶漬け大好きな悠介は、カウンターの向こうにいる調理師に伝えた。

良く、ありがちなインスタントの作り物。

その短い時間さえ、悠介は長いと感じてしまう。

悠介は苛立ちを隠し切れず、そのまま待つ。

「何?朝、食べてないの?」

「まぁ、起きたら、式に行け。でしたから。」

「敬語使わなくて良いよ。」

「ん・・・?」

「ティアで良い。」

何か、嬉しそうだった。

悠介は、其れの原因を何となく解るような気がした。

しかし、其れは自分を見ていない。

自分の中にいる、瑠璃という名の人間を見ているから。

「俺は・・・」

その先の言葉が、何故か、口にすることが、悠介は出来なかった。

何処か、不快な者が悠介の中に入り込む。

ティアナの視線を無視するかのように、悠介は朝食に手を付ける。

また、ずっと悠介を見つめているヴィヴィオと言う名の少女。

何処か、見る気すらおきなくなる。

二人の朝食に手をつけ、悠介を見つめる視線はいつの間にか、消えていた。








「取り合えず・・・小隊編成やけどな。」

「隊長は、燈也君、私、そして、シグナムや。」

「シグナムの部分を、すずかか、クロノさんにしたほうが適任じゃないのか?」

予め、朝食を済ませ、いつでも六課が動けるように今から、部隊編成をし始める。

本来は、今、やっておくべきであるのだが、急な再召集であるが故に、其れをする時間は無かった。

「絶対的な威力が必要だからや。クロノくんはかつての私の位置に入るわけだし。せやから、燈也君とすずかちゃんは絶対的な攻撃力を二人は持っているやろ?」

其れを、確実的なものにするが故に、二人は一緒になってもらう。

「まぁ、僕とすずかなら・・・ね。」

高町なのは、フェイト・テスタロッサ・ハラオウンでも勝利する事は出来なかった。

燈也が囮となりて、すずかが大気圏の超ギリギリから、相手を狙撃する。

「それならば、僕とすずかは決定として。ティアと悠介君は此方が貰おう。」

「事実上のテスタメント部隊・・・」

「とはいえ、能力は封印されてしまっているけどね・・・」

テスタメント・・・JS事件に使用された、力は余りにも兄弟すぎた。

管理局は無論、彼等を恐れた。

すずかのパラダイスロスと、さらに、ティアナのジークフリートミラージュにワルキューレビット、ミッドチルダで初めて召喚された、レイディーン、さらに、其れの進化。

管理局は、流石に恐れた。

彼等の存在を。

余程の事でない限り、その力を解く事は許されない状態になっている。

「ダンとマルスは、うちが借りてええかな?」

二人も、此処に招集されることとなった。

「いや、あいつ等は形としてのクロノさんの護衛として動いてもらう。」

「あぁ、そういう形なんや。」

「それに、あの二人はお前の言う事が聞くとは思えない。」

「だよな・・・僕だって、苦労した・・・」

クロノは、部屋に入ってくるなり、着席しながら、其れに皮肉を込めながら、燈也に言った。

「あの子達、可愛いのに。」

すずかは、首を傾げながら、呟いた。

燈也以外は、其れの意味が全く、解らずにいた。

「すまないね。事実上のテスタメント部隊は、承認させるよ。」

新生機動六課の先ほど述べた二人の戦闘員を除けば、他には、シグナム、ヴィータ、スバル、エリオ、キャロ、そして、新たに配属されたギンガ・ナカジマ。

経験には及ばない者の、悠介とギンガがなのはとフェイトの代わりのような物である。

「じゃぁ、私はヴィータ、スバル、ギンガ。」

と、言う事は残るシグナムはエリオとキャロ。

「そこに、シャマルか、ザフィーラを入れておくべきだろ。」

「そうやな。」

ひとまずの部隊編成は終了した。

そして、燈也の部隊の中に一つの問題がある。

「悠介君とティアちゃんを同室にする?」

すずかが、とんでもない事を言い出した。

「一つ屋根の下に男と女って・・・」

その一言で表情ががらりと変わる。

「まぁ、あのままだと支障が絶対に生まれる。」

「ティアナの中に、瑠璃がいる。」

「悠介・・・にてるからなぁ。流石は、兄や・・・」

誰から見ても、瑠璃は悠介に似ている。

故に、瑠璃を愛していたティアナが悠介の中で瑠璃を見るのも、当然か。

まだ、瑠璃が消えた精神的な傷みから、立ち直る事は出来ていない。

「同室にさせると言う事で・・・不安が治るとでも?」

「ふふ・・・」

すずかの絶対無敵のその笑顔。

その笑顔を断ったら何をされるかわからない。

そういう笑みも含んでいる。

「はい。」

此れを断れば、どういう仕打ちを受けるだろうか。

「絶対とは、限らないぞ?」

一緒にして、瑠璃と言う要素が消えるとは思えない。

いや、しかし、其れは、思うことがある。

ただ、思うのは、嫌な予感。

これ程、悪寒を感じたことは無いのだ。

すずかの中にある、そういう不安要素を消す為の作戦。

断れば、まだ、ある。

書類一万枚。

かつて、夏休みの宿題を全て押し付けられたような思い出が蘇る。

そのようなものが頭を過ぎる。

さらに、この場では言えないような罰。

正直、燈也の中では思い出したくないものが多い。

まぁ、掃除程度なら、この場にいる人間で、結構早く終わるかもしれないが。

しかし、すずかの笑顔が恐い。

何かをするつもりのような気がする。

この手のすずかの提案は、成功を収めてきたが、今回はどうだろう。

逆にティアナに、悠介の中で瑠璃を常に見てしまうのではないだろうか。

「男であろうともだ。」

「燈也・・・?そこまで、ティアちゃんは弱い子かな?」

その言葉のインパクト・・・いや、すずかの言葉の重圧に燈也は負けそうになる。

クロノとはやてはこの二人を改めてみて思う。

燈也は尻に敷かれるタイプであると。

毒は毒を持って制すと言う、時折過激な部分から来る者なのだろう。

「はやてちゃん達が、どういおうとも、この考えを曲げる気は無いよ。」

驚き。

「すずかちゃん・・・あの時のすずかちゃんが変わったんなら・・・燈也君のせいやな・・・。」

「だな・・・」

それも、インパクトが大きかったらしい。

すずかと言う存在の中にある、もう一人のすずか。

取り合えず、燈也はここで、用意されていたコーヒーを口にした。

こうなれば、燈也はもう、すずかに従うしかない。

あの罰を受けるというのであれば、ここで、すずかの考えを承認するしかない。

すずかに、その考えを実行させる事は出来なくなる。

「じゃ、じゃぁ・・・其れは、承認と言う事で・・・」

「僕も承認だ。」

その一言で一安心。

それにしても、すずかはいつもの笑顔を向けた。

ふふふと、言う顔は、いつもの笑顔でありながらも、恐怖があった。

今のすずかをクロノとはやては既に知った。

と、言うより知っているほうがおかしい。

故に、クロノとはやて以外は既に慣れきっていた。

此れが、裏に潜む、黒すずかであると。

燈也にも、黒すずかの前では、勝利する事は出来ない。

取り合えず、燈也達はすずかのその強引な意見を、強制的に強く言われた事によって、受け入れることになった。

此れが、凶と出るか、吉と出るのだろうか。

ある種、恐怖が燈也の中で生まれる。

潰されてしまっては・・・それでも、すずかのこういうときの事は正解してきた。

「賭けてみるか。」

「信じる・・・でしょ?」

燈也の背後に、冷たい風が駆け巡る。

「と、まぁ・・・其れくらいにして・・・」

無理矢理話を終わらせなければ、次に行くことは無いだろう。

「クロノさん。あの時・・・僕との戦いで見せた力・・・」

クロノと燈也の戦い。

あの時のクロノを忘れた訳ではない。

その時の戦いを・・・感覚を、

「思い出せ・・・」

十年ぶりの再会である・・・

「彼は、どうだ?」

「余計な情熱が無い分、使いやすいでしょう。」






それは神の領域に等しい組み合わせなのだ。

無論、悠介の視点であるが。

ちなみに、麦茶もセットである。

どうでも良い話だが。

悠介の主飲料水が麦茶である。

それは、最高の組み合わせなのだ。

無論、これも悠介にとってだが。

純和風なのだ。

多分。

「んで、その子・・・あんたの子?」

「まぁ・・・色々と。」

自分で言っておきながら、クロノに言われた、彼女の存在を思い出した。

あぁ、母親は消えたのだと。

というより、その母親自体、ぜんぜん知らない。

うん。

全く知らないのだ。

まぁ、知る気も無いのが悠介だが。

一体、それがなんなのか。

まぁ、寂しい人間かと思われるかもしれないが。

それは、決して無いのだ。

ただ、どうでも言い。

決して、自分とは関係無いと思っている。

故に、自分を睨んでくるように見ているものだとも思えた。

「これ・・・不味い・・・」

「お茶漬けなんて、皆、同じじゃないの?」

高町ヴィヴィオ。

それが、今のその少女の名。

「インスタントじゃ、最悪の部類に入るほど不味い。」

親のいない少女。

親がいないということは、気の毒であるとしかおもいようの無い。

父親がいなくて、二人の母親がいて、二人の姉がいたが、一人消えた。

複雑な物だ。

「まぁ、普通の子では無さそうだ。」

お茶漬けを食べ終わり、急に確信めいたことを言う。

確かに普通の子供ではない。

元は聖王のクローンである。

強大な力を秘めている。

しかし、悠介は思う。

本当は、自分以上に、いや、此処にいる誰よりも強いのではないだろうかと。

(まぁ、容易には考えないことだな・・・)

だが、そのような娘。

そして、悠介。

また、ティアナ・ランスター

どう関係あるのだろうか。

それが気になる。

「んで、その子と俺とあんた。」

「何・・・?」

「やっぱ・・・いいや。それにしても、不味い茶漬けだった・・・」

話は戻る。

余りにも、彼の中で不味いといえる茶漬けを腹に運び、既に、空腹から満腹に回復。

悠介いわく、その普通ではない子供。

名はヴィヴィオ。

それと自分がどう関わるのか。

何故か、会わなければならなっかったような、気もしないでもなかった。

ティアナ・ランスターも同様に。

そういう馬鹿みたいな事を、直感的に考えられる。

その少女を狙う敵の組織でもあるのか。

そう考えられるが、過去に・・・

約、半年前に崩壊。

ティアナ達の手によって崩壊した。

過去のJS事件である。

その時の悠介の突然の登場。

それは、ジェイル・スカリエッテイにとっては大きな誤算となったのも事実。

そのお陰で大きく時間が増えた。

それと引き換えに、ヴィヴィオを助けるのに悠介は記憶を失ったのだが。

そのような事を、全く覚えていない。

しかし、こう見ると、悠介は記憶の探索など、非常にどうでもいいように見える。

何処か、思い出せば辛い事を思い出す。

ある種、人間として最も思い出した時の汚い部分を思い出すような感覚があるのだろう。

「瑠璃・・・お姉ちゃん・・・」

またか。

瑠璃という名前が、自分の体を抉るように、悠介を襲う。

「まぁ、聖王と言う部分で、再び狙われる可能性があるんや。」

それは、仕方の無いこと。

「八神はやてさんだっけ?あんた、ホントに人間?」

「言ってる意味が、わからへんなぁ。」

何処か、奇麗事だけで生きてきているような感じがする。

燈也や、すずかという人間と違い、人の汚れた部分を見たことの無いような感じ。

「でな、今回の任務なんや。」

「任務?唐突じゃ、無いですか?」

一切関係の無いこと。

何故、その話が絡んでくるのだろうか。

一体、はやては・・・

いや、はやては何を企んでいるのか。

しかし、それははやての命令ではなく、すずかの命令であると言える。

其れが、聖王陛下の

「護衛ですか?」

「まぁな。」

ただ、とても大事そうな任務なのに、どうして、この人は呆れ顔なのだ。

悠介はそう思う。

「だったら、何で、俺に任せるんです?既に、彼女が護衛がいるじゃないですか。」

「まぁ、その疑問も最もやな。」

「普通なら、そうでしょ?」

「私も、立場壌逆らえへんねん・・・」

立場上。

結果的に、ある種上司の命令などには逆らえるが、一部の人間には逆らえないといった所だろうか。

「そーですか。」

また、そこで悠介に新たな疑問が生まれる。

「そんな、大事な子供なら、何でまた、ここで管理しないんです?」

「それは、そうなんやけど・・・」

「何を隠してるんです?」

「隠してないよ・・・」

「まぁ、ミッションの内容も聞いてませんしね。」

「そうやでー。」

「んで、任務は?」

「うーん・・・」

「任務は?」

悠介は、はやてと言う女の口から出る言葉を待つ。

しかし、勘のような物が訴えている。

「元々、これはミッションじゃないでしょ?」

「あぅ・・・」

「確信・・・ですね?」

「その通りや・・・」

「やっぱり。」

ほぼ、予想通りといったところだろう。

元より、任務の辞令書も無いのに、任務というのがおかしい。

しかし、任務とやらが所詮はお遊び程度な物であろうと思いながらもそれは、どの道面倒な者であるという事には変わりは無いだろうなどと思った。

新人としての、虐めのような者かと受け取りながら、その内容が来るまで、燈也は口を塞いだ。

「悠介の部屋、物置になる事になってな?」

「んー・・・はい。」

「ティアとヴィヴィオの部屋に、同居してもらう事になったんや。」

「はい・・・?」

そこに目の中に入ってきたのは、向かい側にいる、朱色の髪の少女と、金髪オッドアイの少女が、中に入ってきた。

高町ヴィヴィオと、ティアナ・ランスターというなの、史実の歴史よりも綺麗に映し出されている二人の少女。

このむちゃくちゃなミッションで悠介と共に戦う仲間。

綺麗に言えば、こうなる。

「んな・・・よりによって、男と女って、馬鹿ですか・・・?」

「仕方ないやろ・・・上からの命令なんやから・・・」

「えぇ。聞きました。」

「大体、あんたは反対しないのか?」

めんどくさそうな、巻き込まれた主として、ティアナに悠介は聞く。

「別に・・・私は、どうでも良いかな。貴方と、仲良くなりたいし。」

自分を見ないで、自分の中にいる少女のことを言っているくせに。

調子の良い事を言う。

自分を不快にさせる人間と、一緒にならなければならない。

実際、思うこと。

辛い、生活が続くようにも思える。

この先、どういう結果になるのだろうか。

しかし、断る事はできるであろうと考える。

このような、任務の内容としてはふざけた行為であるが故に、降りる事はできるであろう。

「あの・・・」

悠介は思ったとおりのことを口にする。

「ん?何かな?」

無論、言うことはアレである。

任務を降りるということ。

悠介の中では、余りにも、くだらなさすぎる。

と、言うより、それが世界の常識ではないのだろうか。

と、思ったのだ。

下らないから。

そして、おかしいのがティアナという少女の反応だ。

何故、喜んでいるというのだろうか。

見ず知らずの男と一緒の部屋で暮らすという。

「まぁ・・・そんなことは、どうでもいいかな。」

「良くないだろ・・・」

「悠介さんは嫌なの・・・?」

ヴィヴィオは、何かを求めるように。

(そんな・・・どうでも良い・・・って・・・)

二人は、どうでも良い話である。

よほど、自分の中に瑠璃という少女を見ているのだろう。

すっかり、ミッションのことなどどうでも良い。

そう思っている二人がそこにいるように見えた。

取り敢えずは、どうでもいいような感じもしてきた。

流されるままに、流されてしまったというべきであるか。

「そうや。思い出すかも知れへんから、悠介が来たことでも、教えてあげようか?」

「あぁ、出切ればお願いします。」

と、言うことで過去のJS事件について語られる。

その中で・・・

思い出にふけって話されるようで。

悠介は興味を持つ。

かつて、自分がどのようにして、この世界にやってきたというのだろうか。

語られるのは、例の日の話である。

ナンバーズとの戦いなど。

正直、興味の無いもの。

しかし、その後の話の中で、色々と聞きたいものが、流れてきた。

はやていわく、翼のある黒い甲冑を装着し、一撃で退散させた。

黒い甲冑・・・一撃で退散という言葉は、魅力的なものであるといえる。

本人には記憶が無いのだ。

悠介の頭の中では、今は消えている。

今だけだが。

何時、思い出すか。

それは、いずれ解ることなり。

ただ、ヴィヴィオに対する記憶。

聖王のクローン体である。


ということ。

「クローンね・・・その、聖王・・・彼女か。」

古代ベルカ王族の固有スキル「聖王の鎧」を保持していた。

古代ベルカ王族が自らの体に生体兵器「レリックウェポン」としての力を付けていたとされる。

拉致された後スカリエッティによってレリックを体内に埋め込まれ、古代の戦船「聖王のゆりかご」の制御ユニッ
トとして組み込まれる。

その後、救出に来たティアナの前でクアットロの介入により聖王としての戦闘モードへ移行。

激闘を繰り広げ、その後、管理局の不甲斐無さをその身を持って味わう事になった。

そこまでの話。

それは気になるもの。

戦闘モード。

それを、聞き、自分と照らし合わせる。

その場合、自分には記憶はある。

自分で動き、自分の意思で。

あの判断を下すことが出来る。

ヴィヴィオと言う少女は、やはり普通じゃない。

実際に記憶はあったのだろうか。

どこか、助けてもらったような記憶がある。

しかし、其れまでの記憶を、どうも思い出す気にはなれなかった。

そういう記憶は辛いだけなのだから。

辛いだけ。

だから、思い出さないほうが良い。

「んで、そのこと、俺は・・・」

「・・・」

そして、本題という名の、厄介なミッションがが始まる。

今回のミッションが一体どういうものであるものなのか。

どれだけ、困難なものであるものなのか。

ただ、悠介は思う。

ろくでもないミッションだと。

さっきの内容から聞けば、本当に同姓という名のとんでもないミッションだ。

「明日までですよね?」

それだけならば、まだ楽な任務だったはずだ。

だが、そこまで楽なものではなかった。

「あぁ、そんな楽なものやないよ。」

はやてが再び、笑顔でいう。

「と、申しますと?」

嫌な予感というものはあるものである。

その嫌な予感が頭の中で過ぎる。

「出来れば、あの子が自立するまで。」

自立するまで。

現代で考えると、20以上。

それか、大学を卒業し、職についてからである。

「あぁ。自立するまで。」

「そや。自立するまで。」

悠介はその時、考える。

自立の意味を。

「まぁ、冗談やけどね?」

「本当は・・・?」

「この組織が解散するまで。」

真の意味を理解。

だが、全くわかっていない。

解散するまで。

それは・・・

「大体、何で同じ部屋なんです?隣同士でいいじゃないですか。」

「ティアナと同じ部隊に配属される事になったんや。」

はやての口を開く。

意味は深いのだ。

「戦友として。」

「戦友?」

その意味を考える。

悠介の中での戦友。

戦場で共に戦う仲間であるという事。

どんな人間であろうとも、それは、一緒の戦場で戦い、同じ飯を食えば、戦友となる。

と、言うことで、悠介はそのことを理解。

「あぁ、戦友・・・全然、関係無い・・・」

「まぁ、細かい事を全然気にしたらあかんよ。」

笑顔で、そのようなことを言うはやて。

それ以前に、出会ったばかりである悠介を受け入れるだろうか。

本人にとっては、二回目であろうとも、ほぼ、初めて出会ったのと同じだ。

初対面で、自分を受け入れる。

ある種、子供の純粋さを、悠介は目の当たりにした。

「大丈夫だよ。そこら辺は。」

何が大丈夫なのか。

それが気になったりしている。

「ヴィヴィオは・・・恐くないよ?」

「誰も、君を恐いって言ってない。」

顔に出していたのだ。

思った事が、顔に出ていたような気がした。

馬鹿みたいに。

どれだけ、愚かであるというのだろうか・・・

確実に心の中で死んでいる。

悠介の中で、顔に出している、いや、この場で少女に悟られてしまった事に、ある種の恐怖を感じた。

此処で、子供の純粋さという物に、自分は全く触れていなくて、久しぶりに触れた者が恐怖に近い感情であるといえる。

「大丈夫!!」

「え?」

「だって、一度会ってるんやろ?」

「はぁ・・・?それで、いつから?」

「悠介の記憶が、まだ、あった時・・・ヴィヴィオは、貴方を助けたらしいわ。」

「背後にいた悪魔から・・・」

背後にいた悪魔。

ヴィヴィオを精神的な眠りに落としてしまった。

「悪魔?」

「貴方の中に入ってきたらしいけどね。」

覚えの無い影。

思い出したくない過去。

何かが、そこにいたような記憶。

一応は、目の前にいる、ヴィヴィオという少女の護衛と呼べるものか。

一応という形ではあるが。

ただ、まだ彼は気付いていない。

それが、大切な運命的な出会いでもあるということを。

高町ヴィヴィオとの出会い。

悠介にとっての掛け替えの無い思い出の一つとなる。

「彼女・・・戦わせるつもりだったりします?」

また、子供を戦わせるのか。

そう、思ってしまった。

「前にも言ったけど、それはさせない。」

「まぁ、解りました・・・逆らえば、止めさせられるかもしれませんしね。」

「良し。あぁ、それと引越しの手続きと部隊の手続きもこっちでしておいたわ。」

相変わらず、仕事が速い。

悠介は常に思う。

仕事が速いと。

(そういえば、引き受けるって行った時、手を動かしていたような・・・)

その光景を思い出す。

携帯電話を使用し、メールをしていたのだろう。

相手は燈也だと思われる。

だから、荷物も既にあの部屋には無いだろう。

「あ、そういうことは・・・」

「ん?どないしたん?」

ふとしたことを思いつく。

それは、どうでも良い事。

正直、疲れている人間なら。

誰でも考えることである。

「今日は、引越し準備が終わったら、やすみっすか?」

休み。

それは、欲しいものである。

悠介は、実質、ちゃんと目覚めてから全く休んでいない。

普通に寝ているだけである。

一日目は目覚めて、試験。

ヴォルケンリッターと戦い。

さらには、上からの会議。

説明等。

起きて、今日はいきなり挨拶。

そして今に至るのだ。

そこから、この世界から来ての新しい任務。

それが、今から始まるのだ。

「んで、ここから、二人の部屋まで・・・ね。」

抵抗というものは無い。

そのようなことを気にしていたら、生きていられないのだ。

自分達の世界以外の世界は。

この世界では。

はやてたちは、そのまま動き出した。

その行動に合わせて悠介も動き出す。

新たな世界のために。



草薙の剣を持ち、はやてたちについていく。

悠介の中では、長く使っている愛刀。

記憶を探らなくても、それはよくわかる。

伝わってくるのだ。

今までの、記憶にない戦歴が。

神殺を通してかつての技をも思い出させてくれる。

「しかし・・・まぁ・・・」

とにかく、悠介は思う。

「本当に受け入れてくれんだかね。」

「私・・・悠介さんの事、好きだよ?」

「そうかい・・・」

そのようなことを思う。

それでも、嫌われるなら・・・

「接しない。」

それが、正しき人間関係。

それが、悠介の・・・

「俺の選んだやり方・・・まだ、完全じゃない・・・俺の、昔・・・か。」

普通にそういうこを、思い出す。

悠介の記憶は、どうでもいいときに思い出すことが多い。

今だってそうだ。

何かがキーワードとなって思い出すことが多い。

今回も、そのケースである。

しかし、オリジン・・・

「それだけは、思い出せない・・・」

それほどまでに、悠介にとって、

「辛い記憶なのか・・・?」

一つのキーワードで

「思い出すのも・・・」

恐怖の存在であるのか。

オリジンの言葉を聞くたびに体に蛇が入り込んでくる。

「そんな感じが・・・」

悠介を襲う。

何かが襲い掛かる。

「だが・・・」

存在を知ろうとするたびに、

「それが恐くなってくる。」

「ん?何?」

そんなことを考えている時に良く聞きなれた声。

同い年であるティアナだった。

「脚が、止まってる。」

気付けば、記憶のことを考えており、動いてなかった。

一歩も。

「記憶のことを、気にしてるの?」

「まぁ・・・そうだね。」

「別に、思い出したらで、良いんだから。行こう。」

「そうですね。」

その言葉に、記憶を探るのをやめる。

無理矢理、記憶を探り当てるのは。

頭痛がするだけと知った。

ティアナの隣を歩き、一旦、はやての顔を見る。

普通なら、どこにでもいそうな普通の女の子。

でも、それが、自分の上司。

そのことが、一つの彼の記憶を呼び覚ます。

かつて悠介は、

「似たような状況にいた。」

と。

そのことを思い出した。

「どうした。」

「いえ、同じような環境にいたのを思い出したんで。」

「昔の記憶?」

「そうだね。」

ただ、上司の名前が思い出せない。

自分にとっては過去の仲間だったはずの人。

憧れの人間だったはずの人。

その人の名前が思い出せない。

「何をやっている・・・」

悠介は、さっきのことを思い出した。

「さっき、思い出さないようにしていたじゃないか・・・」

自分の辛い記憶を無理に思い出す必要はない。

だから

「進むさ。」

そう、皆に聞こえないように。

小声で再び歩き出す。

目の前にあるのは明るい未来か。

暗い未来か。

それを知るのは、後でいいのだから。

ただ、その未来をも、オリジンの関わりがあることには、まだ気付かなかった。

歩けば進む。

そのような感覚で気付けば、自分の部屋に異臭が漂っていた。

いや、思い出したくない匂いが、自分の部屋に漂っていた。

自分の部屋となる場所に。

「何だ・・・?」

何だ。

「何が・・・?」

ティアナの部屋に何かがある。

恐らく、有ってはならない物。

肉の塊。

存在してはならない物。

「まさか・・・」

ヴィヴィオ

ティアナ

はやて

そして悠介が異様感に立ち尽くされた。

何が、そこにあった。

悠介はそこに有る、異様なものに驚かされた。

そこにいる人間を、知っている訳ではない。

「相変わらず、嫌な臭いだな・・・」

悠介が言う。

「何・・・此れ・・・。」

ティアナ。

「まさか、ほんまに・・・消えたはずの人間が・・・」

はやて。

死体となって、そこに存在していた。

人の死体というものは、何故か、先ほどまで生きていたというのに、気味が悪い。

誰も、悲鳴をあげる事無く、ただただ、絶句するのみであった。

言葉に出来ないとは、正に、このことであろう。

「結局、何処の世界に言っても死ぬのか・・・」

「ヴィヴィオは・・・!?」

「恐くないよ・・・?どうしてだろ・・・」

光で人が消えるのは恐くて、こうして、生の死体が有るのは、何故か恐いと思わない、不思議な感覚を持つ少女。

この、最低の組織の中でも、やはり、殺しというものは起こる。

何故、殺したのか、誰が殺したのか、殺され方は、刃物のような者で心臓を一突きされた単純な事仕方でありながらも、殺した人間が誰かわからず、結果的に改めて操作は行われる事となる。

ここで、六課・・・実質二人目の死亡者が確認された。

見えない敵がいる中で、彼は何も残さず、与えるのは見えない殺し屋の恐怖。

ヴァイス・グランセニック・・・死亡。

肉親に知られる事になるのは、後日となった。









「知代・・・」

「悠介・・・?」

「同じ・・・名前・・・」

知らない筈なのに聞き覚えのある名前。

ティアナの記憶の中に確かに存在するその名前。

一体

「何・・・」

思い出せない自分が気持ち悪くなる。

ティアナという人間の中で、何を意味するのか。

「一体・・・私の中に・・・」

何が宿っている。

いや、何がその中にいる。

はやても、この際、葛藤してみる。

知代。

記憶にあるが、意味を知らない名前。

「誰?」

ただ、眼を瞑って思い出す。

誰なのか。

落ち着かせて、頭の中で夢の中を思い浮かべる。

そこから、一つのヴィジョンを作り出す。

『助けて・・・』

そこにいる。

何か・・・

『貴方は、誰・・・』

少女の中に、一人の幻影が現れる。

『助けて・・・』

終わらない願い。

『待ってて。今から、助けたる・・・』

出来るだろうか。

『私じゃない・・・あの・・・子を』

あの子とは、誰か。

『あの子・・・?』

背後に何かが浮かび上がる。

『オ・・・ジ・・・ら・・・』

解らない。

『何を、何から、助ければ・・・』

不明

『おね・・・がい・・・こ・・・れ・・・を・・・』

その時渡されたもの。

『悠・・・に』

悠介

『悠介に渡せばええんやな?』

その問いに答えることなく、ヴィジョンは終了する。

「はぁ・・・はぁ・・・終わった・・・」

ユメノオワリ。

しかし、手には、何かが握られている。

今まで、握ったことのないもの。

それは・・・

「勾玉・・・?」

持っていた

「勾玉・・・」

いつ目覚めるかわからぬ、三種の神器の一つ。









「初日から、死亡者か・・・」

その悠介の一言。

悠介の言葉によって、ティアナは目覚めた。

「ヴィヴィオ、ティアナを起こして。」

「もう、起きてるよ?」

取り合えず、ティアナの頭がゆすられる。

「ん?」

ヴァイスには、大した感情は持っていなかったが、やはり、仲間内の一人が殺されたとなると、全員、動揺が隠せなくなっていた。

殺される事によって、仲間内の全体の士気が下がる。

ティアナとヴィヴィオの部屋は立ち入り禁止となり、荷物と呼べる荷物らしい物も無い、簡易な悠介の荷物は、結局、戻される事となった。

起きたティアナは手に何か持っていることに気付く。

丸っこい、勾玉のようなもの。

やはり、其れは、勾玉だった。

「ティア、何、持ってんだよ・・・」

いつの間にか、握られていた物。

いつ、目覚めるか解らない三種の神器

悠介は、其れに気付く事は無い。

「化粧道具か・・・?」

「此れで、どうしろと?」

突如、ティアナに渡されたもの。

勾玉

「勾玉
・・・?」

「うん。」

悠介はそれに触れたものの、何も思い出せない。

その勾玉で何を思い出すのか。

それは、まだ解らない。

「ね、知世って言う人・・・記憶にある?」

「記憶には有る・・・でも、誰だか知らない。」

「そっか・・・」

ヴィヴィオは、其れに触れようとした時、何か、知っているような口ぶりで其れについて、話す。

「此れは、私のじゃないよ。此れは、お姉ちゃんの。」

何を言っているのか、良く解らない。

小さい女の子。

やはり、神という事なのだろう。

「これが・・・私の?」

かつての聖王・・・いや、神の力で感じる。

「誰かが持ってたかな・・・?」

それを不思議がる悠介。

「取り合えず、寝かせてよ・・・今日は、いろいろ有って疲れた・・・」

「あぁ、起こして悪かったね。」

「んー・・・悪いけど、先に寝るね。お休み・・・ヴィヴィオ、悠介」

ティアナが目を閉じた時、再び眠りについた。

相当、応えているのだろう。

「悠介さん・・・」

出会って、数時間だが、どうやら、懐いてくれたようだ。

「んー?」

「覚えてないの・・・?」

「あぁ・・・全く。」

残酷

「そっか。でも、これから・・・」

「思い出されれば良いんだけどね・・・」

「思い出したくないの・・・?」

解らないといった方が正しいのかもしれない。

「思い出したくは無いけど、知りたいと思う・・・」

背後にいた悪魔。

自分が行ってきた、破壊行動。

知らず知らずに恐怖する悠介に、ヴィヴィオは安心させる為に、ゆっくりと、背中から抱きしめた。

「お兄ちゃん。これからよろしくね。」

「あぁ・・・」

ベッドから降り、悠介は隣に敷かれている布団の上で眠りにつき始める。

「一緒に・・・」

ヴィヴィオが、ゆっくりと隣に身を置きだす。

少年はその仕草をゆっくりと見ながら、眠りにつく様子を、じっと、何も言わずに見ていた。

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