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ACT-Ⅱ「平和を愛する最低組織」

リメイク版第二話
前までの悠介とかなり、違う。


クラウディア、本来の意味は小惑星帯にある典型的な小惑星。

コロニス族の一つである。

そして、このクラウディアは地球軌道に配置されている筈だったが、エフェソによって、その7割が破壊された。

それから、残された地上に滞在中のクラウディアの一つは機動六課に預けられる事となった。

全てはスサノオ・・・

いや、悠介のためでもあると言えるだろう。

「中々、似合ってるじゃないか?」

「そうっすか?」

そこは、悠介の聖王病院の療養個室。

そこにいる二人の男。

名は、クロノ・ハラオウン。

そして、記憶を無くした少年、浦島悠介。

しかし、着ているのは前述の医療ローブではない。

着用しているのは、機動六課の制服。

脅威の回復力で自由に歩きまわれるようになっていた。

それは、人によっては脅威にも思われるだけ。

いや、人の持っていない力を持つだけでも、脅威か。

悠介の目覚めたその日の36時間後に、支給された制服である。

新米の人間として、此処にいる。

此処に、存在している。

そうなった。

そう、なってしまった。

早い展開になったが、本人は其れを受け入れた。

既に、怪我を負っているわけでもなければ、一人で生きることの出来るほどの力。

金は、ない。

此処で、暮らす事は一生できなくなる。

既に、怪我人ではないからだ。

これ以上、庇いきれなくなる。

故に、機動六課に入ることを無理矢理な感じで、入隊させられる事になったのだ。

「救助活動って・・・」

「なれないことは、苦手かい?」

「やった事無いので、解りません。あったとしても、俺に記憶が無いから、思い出せない。」

「そうだな。」

「敵の排除なら、得意です。」

それは、かなり強いということを意味する。

敵には脅威。

「でも、よく、この組織の人間が許しましたね。」

「上が、かなりがたがたでな。試験無で、簡単に今は公務員になれるって世界だよ。」

「永久就職!?」

「そう、捕らえてもらっていい。」

この世界の人間が、有していない力。

上という組織が成り立たない世界。

崩壊した原因は、過去のJS事件。

浦島悠介が来訪した切欠となる事件。

明らかに危険である、その力を持っているという。

それが、浦島悠介。

より、危険な存在。

世界を消滅させるほどの核弾頭のような存在が、意思を持って目の前に存在する。

「それと、お前のからだは、僕達の知らない未知の力で護られているようだ。」

「未知の部分・・・ですか?」

実際には、リンカーコア同様に未知の部門。

この管理局でも構造を知っている人がいるか、微妙である。

「何か、思いしたのか?」

「全然、思い出せません。」

悠介は、そのままベッドに座り込んで聞き始める。

此処は、どういう組織であるのか。

「時空管理局・・・って、言いましたよね?」

「そうだな。」

「やっぱ、人殺しとかするんですか?」

既に、なれているつもりではあった。

武器の所持が許されている時点で、軍隊と同じ、人殺しのと同じ集団なのだ。

「まぁ、そうだな・・・人の死なない戦場なんか、無いだろ?」

「人殺し・・・か・・・」

慣れていない訳ではない。

記憶を失っていても、殺した感覚は自分の中にある。

自分は、その刃を持つ限り、かなりの人間を殺してきたのだろう。

記憶に無くても、刀を持てば、その血が滲み出てくるように、解る。

殺し・・・

「殺しを肯定する組織・・・」

「そうだな・・・奇麗事を言う気は無いさ。」

「そう・・・ですね。解りますよ。」

「奇麗事で全てが解決する訳が無いんだよ。」

「それ、解ります。」

奇麗事で、全てを解決する事なんて、出来ない。

人を殺す事を肯定する組織である時点で、最低の組織である。

「こういう組織に、殺しが無いなんて、ありえませんもん。」

記憶に無くても、殺した感覚はわかる。

悠介という男が、どのような世界にいたのか、解るような気がした。

解っている事。

戦場で人が死ぬのは、当たり前である。

逆に、自分達が死に直面した回数が、少ないだけだと、考える。

「奇麗事を言っても、人殺しの組織には変わらないさ。」

「そんなこと・・・言って、良いんですか?」

今更、言われても、それが、その組織の真実であり、真理であると考える。

如何に、組織が奇麗事を言っても、どのような大義名分があろうとも、やっている事は人殺しである事には間違いないのだ。

そして、何れ人は大義名分をも忘れ、人を殺すだけの組織で働く。

「良いんだよ・・・君は、間違っちゃいない。」

「どうも・・・」

この状況で、奇麗事を言っても意味は無いだろう。

どういおうと、この少年・・・悠介の前では、全てが奇麗事なのだ。

クロノは、其れを解っている。

「あ、言い忘れてたけど、試験があるぞ。」

突然、話題が変わってしまう。

しかし、試験という言葉を聞き、顔が強張る。

記憶は無い。

先天性な物なのか、試験という言葉には何故か、恐れがあった。

「は?」

悠介は、わざと聞かない振りをする。

クロノは、頭を痛めているような仕草を問った。

不満な連中もいるわけである。

「だから、試験。」

急遽耳を塞ぐ。

聞きたくない。

認めたくないのだ。

それを。

彼には地獄以上に辛いものなのだ。

「筆記は、出来ませんよ?」

事実。

筆記試験は苦手のようだ。

「実技だ。実戦のな。」

それだけ?

「ま、相手はどんな人かな?」

実戦と聞き、少し喜ぶ。

実戦は得意なのかもしれない。

だが、一応安心はする。

実技だけなら何とかなるかもしれないからだ。

「機械だ・・・機械・・・」

「実戦といえば、人でしょう?」

「それで、怪我したらどうする?」

「まぁ、そうっすね。」

「その刀は使うのか?」



それは、悠介の持つ今のところの唯一の武器の名前。

しかし、名の無い刀というわけではないのだ。

ちゃんと、名前がある。

この人は、何回言ったらわかるのだろうかという疑問が、思い浮かぶ。

「クロノさん、こいつの名前は・・・草薙ノの剣・・・」

「あぁ・・・そうだったな。」

草薙ノ剣・・・

神の、最強の神が持っていた刃。

クロノはその刃に、一種の神秘性を見た。

燈也、すずかの使う懐園剣のような神秘性があったからだ。

今まで見てきた以上のデバイスの中で、最も神秘的な光を有している。

やはり、スサノオ。

スサノオであるという証なのであろう。

一度は使ってみたい。

そのような欲求が生まれてくる。

クロノは、気を紛らわす為に、再び試験の話に戻す。

「取り合えず、どのような結果であろうとも、入れるとは思う。受けて欲しい・・・」

「受けるだけで、良いんですか?」

「ん?一応はな。」

「試験日は?」

「明日さ。」

「何か、急ですねぇー・・・」

「取り合えず、上の連中が煩くてね。」

「ただで、公務員になれないじゃないですか・・・」

「すまない・・・」

「あ・・・」

その時、悠介は思う。

自分は、魔法は愚か、飛べないということを。

「大丈夫か?俺・・・」

「そういや、そうか・・・やろうと思えば・・・出来るね。」
.
「まぁ、やろうと思えば、できるんですけど。」

「本当かぁ?」

「んー・・・取り合えず、自分流に。」

「出来るのか?」

「やって見ます。」

「あぁ。」

「それで・・・場所は?」

「明日、連れて行くよ・・・」

「解りました。」

「ただで、公務員になれると思ったんだけどな・・・」

「どんな結果であろうとも、慣れるんだからいいだろ。」

「そうなんですけどね。」

「んじゃぁ・・・行きますか。」

ベッドから立ち上がり、クロノは病室から出る。

「試験ね・・・ま、どんな結果であろうとも公務員に慣れるなら、食っていけるなら、其れでいいか。」

悠介は、それでも満足し、六課の制服を脱いだ後、再び眠りについた。

如何なる結果であろうとも、公務員になれるのであれば、誰もが喜んで飛びつく。

其れを、今、、実感していた。






後日

部屋を出た時、そこには既にクロノがいた。

そして、横にはティアナ・ランスター。

「瑠璃・・・」

「え、と・・・」

知らないけど、聞き覚えのある名前。

(瑠璃って・・・・・・)

解りはしない。

しかし、聞いた事はある。

「ごめん・・・」

謝らなければいけないような気がした。
.
「良いわ・・・逆に感謝してるし・・・」

「感謝・・・?」
.
思い出せない記憶の中に、失った記憶の中に応えはある。

失った記憶を呼び戻す事は、悠介には出来なかった。

「何で・・・女の子が・・・。」

悠介の目の中に映る、一人の少女。

何で、そんな幼い少女が、此処にいる。

嫌な感覚が、悠介の中で浮かび上がる。

其れを、必死で悠介は否定した。

このような少女を戦わせるほど、最低の組織ではない。

そう、言い聞かせた。

「戦わせるつもりは無いわ・・・この子はね。」

「だよね・・・」

「戦わせる訳には・・・いかないの・・・」

安堵は出来た。

しかし、何れは戦う事に、戦場に出ることになるのだろうか。

それが、悠介の中に纏わりついた。

そもそも、殺し合いの組織の施設に、このような少女を置く事自体、

「間違っているんじゃないのか・・・」

「親がいないのよ・・・だから、私が引き取ったの。」

「親がいないって・・・」

「MIA・・・行方不明になったのよ・・・って、ごめん。ヴィヴィオ・・・」

ティアナはヴィヴィオと呼ばれたの頭を優しく撫でた。

ヴィヴィオは、少しはにかんだ笑みを浮かべた。

「本当なら、私だってここに置きたくないわ・・・」

「だろうね・・・解るよ。」

「でも、この子は私を選んだ・・・だから、此処に置いているの。同室・・・」

何故、ヴィヴィオはティアナを受け入れたのだろう。

他にも、人間がいたはずだ。

いや、ティアナをそれほど、信頼しているのだろう。

信頼に値する、何かをしたのだろう。

ヴィヴィオという少女を、笑顔に出来るほどの信頼できる事。

「悠介・・・ティアナ、そろそろ行くぞ?」

「は、はい。」

試験会場へと。

「ヴィヴィオは、此処で、はやてさんと待ってなさい。」

「やだ・・・ティアお姉ちゃんと一緒に行く。」

ティアナの制服を強く握り締め、ヴィヴィオは言った。

離れたくない。

このまま、離れてしまえば、消えてしまうかもしれない。

そう、思ってしまったのだろう。

そこまでの、ヴィヴィオが不安になる要素が、あるのだろう。

しかし、そこに何があった。

悠介の踏み込めない領域という物が、そこにある。

「瑠璃お姉ちゃんみたいに・・・消えちゃうかもしれないんだよ?」

そうならない事くらい、解っているつもりではあるが、どこか、感じてしまうのだろう。

「瑠璃・・・俺は・・・」

「気にしなくて良いのよ・・・」

「一人にしちゃ、嫌・・・!!」

ヴィヴィオが、等々、ティアなの中で泣き始めてしまった。

何も、解らない。

「ヴィヴィオ・・・」

「なのはママや、フェイトママ・・・瑠璃お姉ちゃんみたいにいなくなったら嫌なの・・・!!」

「消える・・・?」

「ヴィヴィオは、とある事件で両親が消えたのは、知っているだろ?」

「聞きました・・・」

消えた。

瑠璃という人物も、消えた。

それには、自分に責任という物があるのではないだろうか。

目の前にいる少女を悲しませるほどの因子を自分が作り出した。

「ティアお姉ちゃんまでいなくなったら・・・」

「クロノ提督・・・」

事故とか、あるかもしれない。

故に、連れて行くべきではない。

「ティアナ、残ってくれるか?」

「解りました・・・クロノ提督。」

ティアナを残す事で、この事態を解決させた。

ヴィヴィオ達が見送る中で、悠介とクロノは用意されたヘリのある場所へと車で向かう。

振り返れば、ティアナ達も別の場所へと向かおうとしていた。

悠介は、其れをゆっくりと歩きながら見送った。

自分の中にある、何かに苦しんでいる。

今、悠介の中で何かが、あの二人を縛っている事に、痛みのような感覚を覚える。

「苦しむな・・・今はな・・・」

「そんなん、無理ですよ・・・」

「・・・ま、そうだよな。」

「・・・」

黙り、何もいえなくなる。

「何が・・・あったんです。」

「お前の顔が、似すぎているんだよ・・・」

「瑠璃って子ですか・・・?」

「そう・・・月村瑠璃。」

悠介を兄と呼んでいた存在。

燈也から、瑠璃の資料をクロノは受け取っていた。

「似てるだけで・・・俺は・・・」

「解っているさ・・・」

「だがな・・・色々とあるんだよ。そこは、察してやれ。」

「解りました・・・」

車に乗り込み、悠介はただ、外を見た。

木々が、少なすぎる世界だと、ただ、そう思った。

あの二人のことを考える事など、しなかった。

無言の中で、自分という存在に苦悩する。

本来、この世界にいるべき人間ではないのではないだろうか。

「変なこと・・・考えるなよ。」

「それくらい、解ってます・・・大体、何であんたは・・・」

「お前が気に入ったから。此れで、良いだろ?」

「解りました・・・そういうことにしておきます・・・」。

今は、それだけで良い。

クロノという存在を今は信頼する。

何処まで信頼できるか、わからないが。

取り合えず、今は、信頼できるだろう。

「一時的な形ですけど・・・信頼はします・・・」

「それが聞けただけで、満足だ。」

「どうも・・・」

生まれる会話など無い。

目覚める前に、自分が死んでおけば良かった。

「お前を生かそうとしたのは・・・瑠璃だぞ?」

「瑠璃・・・」

「その子が、消える前まで・・・お前の事を心配していた。」

「そういわれても・・・どういえば良いのか、解りません・・・」

「今は解らなくてもいい・・・ただ、お前を知っている人間が心配していた事くらい、覚えていてほしいな。」

「解りました・・・」

憂鬱な気分になり始める。

自分は、此処まで、精神面が弱い人間だった事を思い知らされる瞬間だった。

あの程度の事で、結局、自分は傷ついた。

弱すぎる、自分の精神に絶望もする。

何故、此処まで、苦悩してしまうのだろうか。

自分が原因で、悲しむ人がいるというのを、極度に悠介は恐れる。

傍にいたクロノは、隣で其れを悟る事が出来た。
.
戦闘では、使えないだろう。

等という事を、考えてしまう。

精神的に弱いのは、死を生みやすくなる。

人を殺したことはあるが、精神的に辛い思いはしてきたのだろう。

人を殺しつづけても、なれる事は無いだろう。

「優しい奴なんだな・・・」

しかし、それが、戦場では弱点となる。

このような男が、本当にスサノオなのだろうか。

事実でありながらも、クロノは其れを疑いたくなる。

「人を殺す事に、抵抗はあるか?」

「無い人間の方がおかしいです・・・」

「そうだな。愚問だった・・・」

「愚問に、程がありますよ・・・あなたには、ないんですか?」

「あるさ・・・」

強く、言い返すことがクロノには出来なかった。

改めて、そうやって、自分という者を考えたからだ。

燈也の場合は、敵ならば、自分やすずかの脅威となるのなら、躊躇い無く消すだろう。

精神的におかしい。

自分は狂っている。

そう、かつて、クロノに伝えたことがあったからだ。

自分はどうだろう。

改めて、自分という者を考える。

殺す事に、抵抗は無いといえば、確かに嘘だ。

逃げてきた・・・

任務である。

目の前にいる人間は、鬼であり、人間ではない。

故に、そう言いつづけながら、殺したことだってある。

「僕は・・・逃げていたような気がする。」

「逃げた・・・?」

「そうだ。敵の人間を人間ではないと思い込んで、殺していた。」

「しかし、そう思わなければ、人は殺せない・・・」

「そうだな・・・だから、逃げていた。」

クロノの中で、自覚していた事。

戦いから、逃避していたのだ。

人間を殺す感覚から、逃げていたが為に。

目の前に、隣に座る少年は自分以上に殺しているかもしれない。

ただ、そのような感覚が、クロノの中で思い浮かぶ。

なのはや、フェイトは、殺しをしたことはないだろう。

消えた妹達は、何をしているのだろう。

安否を確認するのも、無駄とわかっていながらも、其れをあんじてしまう。

此れは、弱さじゃない。

自分に、クロノは言い聞かせた。

人を殺すとは、なんだろうか。

聞こえない声で、クロノは悠介に語りかけた。

浦島悠介。

その人。

「何か、寂しい街ですね。」

「クラナガンがか・・・?」

「はい。」

人ごみの溢れるクラナガンを眺めながら、悠介は呟いた。

特に、何もあるわけでもない、クラナガンという街の感想。

「頭の痛くなる街だ・・・」

「良く・・・解らないな。」

頭が痛い。

何も、解らずに、クロノは悠介を観察し始める。

悠介という人間を、どういう人間か知ってみたかった。

「これから行く所も・・・寂しい所ですか?」

悠介は、クロノの顔を見ずに、ただ、尋ねた。

「廃墟・・・だからな。」

「廃墟ね・・・人間の負の象徴って所かな・・・」

このミッドチルダという世界に、興味というのは持つことは出来ない。

「くだらないな・・・」

何処か、愚かなような感じ。

世界が、終わっても・・・
解るような気がした。

「此処が消えるのは。」

「それでも、護らなきゃいけないだろ・・・いや、お前、敵を知っているのか?」

「解りません・・・ただ、世界を消すような気がするのは覚えてますから・・・」

世界を消す。

それでも、焦りながら、言う訳ではない。

この世界を、本当に嫌っているような印象を、クロノは悠介から受けた。

大して、面白みの無い都市だと、心の中で自分も思う。

クロノは静かに悠介を見て、話しかけようとしている。

無論、さっきの言動についてだ。

「悠・・・?」

「なんですか・・・?」

「何でもない・・・」

「だったら、話し掛けてくんな・・・」

「すまない・・・」

「本当、つまらない世界・・・」

廃墟・・・

思い出すのは、破壊された廃墟。

生まれた、巨大なクレーター。

「スサノオ・・・」

クラナガンを抜け、再び、外の世界を悠介は眺める。

この、何かを感じている男が、クラナガンにある廃墟を破壊した。

信じる事ができるだろうか。

クロノは、信じる事が出来なかった。

しかし、それは、真実でもある。

いっそ、壊してくれた方が、幸せだったのではないだろうか。

しかし、世界を救う。

燈也の言葉を思い出したのは、救世主。

この悠介という存在が、どれだけ、凄い逸材か・・・

「それほどの実力者・・・」
.
「俺は・・・嫌ですよ・・・」

戦う事を否定しているのか。

ふと、悠介が横を見た。

クロノが、自分を見ていることを気付く。

自分で、何を言っているのか、良く解らなかった。

さっき、自分は、何を否定したのだろうか。

良く解らない。

「すいません。自分でも、良く、解らないんで。」

「まぁ、そんな簡単になれる訳がないよな。」

「そんな話じゃないような気がします・・・」

「ごめん・・・自然と、ずらしてた。」

「そうですか・・・」

「窮屈ですね・・・この世界。」

機械で充満しているといっても良い。

「窮屈・・・かもな。」

「自然と呼ばれる物が、本当に一部にしかない・・・」

「そうだな・・・」

「それでも、人間が暮らすには充分な世界だよ。」

「科学は、人の力って奴ですか・・・」

「そうは、言わないさ・・・」

人の傲慢が世界を破壊したこともある。

「確かに、狭苦しいさ・・・でも、暮らしやすい。」

何時つくか、わからない。

ほんの少しの長い時間が・・・

クロノには長く感じた。

この、悠介との会話・・・

ある種、自分の為になるような者。

「此処って、なんなんですか?」

ミッドチルダ、クラナガン。

住みにくい場所。

悠介が言った事。

「お前の言ったとおりの場所だよ。」

「俺の言った通りの場所か・・・」

「否定はしないさ。」

「何か、すいません・・・」

悠介は、ふと思う。

このような自分の考えをどう捕らえているかわからない人物が、上司に当たる存在になるのかと。

「デバイスは、刀か・・・」

「デバイス?」

全く解らない単語だった。

「そんなもの、ありません。こいつだけ。」

見せるのは、自分の愛刀。

それ一つのみである。

いや、他の武器など、悠介には邪魔になるだけだった。

「冗談かと思ったよ」

「俺にとっては、あんた達が魔法だけで戦うって事の方が、冗談かと思ったよ。」

魔法だけではない、ストライクアーツなどある。

「まぁ・・・似たようなものだな。」

局員の魔導師など、そのような物だ。

結局、デバイスを使って戦っている連中が多い。

苦悩のような物が、思い浮かぶ。

ストライクアーツなどがあっても、結果的に其れを活かす局員は少ない。

「俺は、刀一本の方が危険だと思うぞ。」

其れは、クロノの確たる本音だった。

刀一本は無謀すぎる。

「デバイスより、役に立ちますよ。」

悠介の言葉の中には、確たる自信があるように見えた。

「そうかい・・・」

しかし、不便のような感じもする・・・

「通信とか、どうするんだ?」

「どうするんでしょうね?」
.
「解らないのか?」
.
「記憶が、ありませんから。」

「取り合えず、此れを渡しとく。」

「どうも。ありがとうございます。」
.
「通信用のデバイスだ。無いにこしたことはないだろ?」

悠介は、何も言わずに頷いた。

この世界での通信手段を手に入れたのだから、断る理由もなかった。

「だるい・・・」

外の世界は、自分が思ってた以上に暗かった。

悠介は、このミッドチルダにある殺気を感じ取っていた。

「誰か、つけてきていません?」

クロノは、そのひところに辺りを見回した。

しかし、そこに、何も感じることは無かった。

恐らく、人を殺す戦場にいすぎたから、無意識にそういう感覚を誰かが、発している。

そういう感覚に囚われているのかもしれないと、クロノは思った。

「気のせいだよ・・・」

「そうですかね?」

「変なこと、考えるな。」

「はい。」

そのままぶっきらぼうに返事をし、再び、辺りを見回した。

やはり、面白い物は何もなかった。

如何に、そこに、ミッドチルダという世界の文化を目にする事が出来ても。

そこには、自分が見てきたような世界がある。

だから、面白くない。

キリスト教の教会さえ、此処には存在している。

何処の世界にきても同じ。

キリスト教の反映を、伺わせる。

「聖王教会の人間と、いつも、冷戦状態だ。」

「聖王教会?」

「昔の世界にいた、王様を奉るような教会だよ。」

しかし、いるかどうかを解らないメシアを祀るとは何事か。

一部の聖王教会の人間のお陰で、キリスト教徒の人間と冷戦状態になってしまったという歴史がある。

「あの子・・・」

「まぁ、あの子は其れのクローンだな。」

高町ヴィヴィオ。

悠介は其れが、どういう人間かは知らないが。

「母親は、光になって消えた。」

揺り篭の中で。

「二人、母親がいてね。気付けば、行方不明になっていたってわけさ。ティアナが言うには、光とともに消えたらしい。」

気になる言葉もあった。

光になって消えたという言葉だ。

其れが、どういう意味なのか。

いや、言葉のままの意味なのだろう。

特に、何かあるわけでもない、言葉のままの意味。

「さらには、姉である子も、光になって消えてね・・・一種のトラウマなんだよ。」

悠介は、ただ、ただ、受け流した。

他人事のように、思ってしまったから。

ただ、気の毒な少女としか、思えなかった。

「その中に、妹がいてね・・・」

「あの子の母親?」

「そう。あの子の母親。」

だから、泣いていたのか

あの時の意味がやっと、解ったような気がした。

「高町なのは・・・フェイト・テスタロッサ・ハラオウン。」

かつて、この世界にいた人間の名前を口にした。

既に、そこにいない人間。

なのはを失った、桃子は、リンディに癒されている。

一日中、抱かれているようだ。

抱かれなければ、気を紛らわす事すら、出来ないのだろう。

ある種、護る事のできなかった、自分への罪悪感に苛まれる事もあった。

「罪悪感・・・か。」

何もない。

何も無い世界。

「すいません、寝ていいですか?」

「眠いのか?」

「目覚めたばかりですからね・・・まだ、眠いんですよ。」
.
「ゆっくりしてな。ついたら、教えるさかい。」

そのまま、悠介は眠りについた。

ただ、車の扉に体を預けながら。

そのまま・・・

ゆっくりと・・・

ゆっくりと・・・

「本当は、良い子なんだろうな・・・」

静かに、クロノは悠介の顔を見ながら言った。

それをいったとき、クロノはふっと笑う。

何を言っているのだろうと。

もう一度、悠介の顔を見てみる。

まだ、幼さが残る。

前の記憶が全くない。

覚えているとすれば、自分の名前と、一般的な常識。

まだ、自分の名前。

重要なものはそれしか覚えていない。

悠介が、昔どういう世界にいたのか。

どういう組織に配属されていたのかも。

全てがまだ、謎に包まれているのだ。

(こんな子に戦わせるなんて・・・いや、エリオやキャロ・・・昔、なのは達を戦わせていた分、僕達も同罪か・・・)

身長も、まだ低い。

「知代・・・」

「寝言・・・か・・・知代?」

クロノの知らない名前。

「どうでも良いか・・・?」

「うぅ・・・・・・」

誰も知らない、知ることの無い名前。

クロノの中で、生まれる罪悪感は、また、子供を戦わせてしまうこと。

「どうしようもない、大人だよ・・・僕は・・・」

その中で、何かあるわけでもなかった。

故に、何も無いのだ。

悠介の、まだ、幼さの残る顔を見て、罪悪感が生まれる。

心を痛めてしまう。

考えてみれば、あの時、管理局に全てを任せていればよかった。

過去の出来事を、クロノは悔やむ。

最高の協力者であったからこそ、彼女達の年齢など気にせず、管理局の仕事を手伝ってもらった事を自分達だけでしていれば、良かった。

何を、言われようとも、レイジングハートを没収して、自分達が行うべきだった。

「クロノ提督、彼を起こして下さい。」
.
「え?」

「着きました。」

既にそこは、ミッドチルダの廃墟地点。

過去に、スバルとティア達が試験を受けていた場所でもある。

やはり、そこには試験用のターゲットがそこにある。

赤いマーカーのもの。

攻撃をしてならない、青いマーカーのもの。

「悠介、起きてくれ。」

「あ?」

その一言だけで、悠介は目覚める。

眠りから解放された獅子と見れば、カッコいい表現かもしれないが、かなり、眠たがっている。

「また、寂しい所だ・・・」

悠介は、ただ、其れを呟いた。

「そうだな・・・俺達の、負の遺産と言える。」

「否定はしないんだ・・・」

その他愛のない会話をしている時、ヘリは廃墟ビルに着陸する。

そこは、スバルたちのかつて、スタートした位置。

「否定はしないさ。俺達に、過失があるのは事実だからな。悠介、そこに地点に立っててな。」

そここそ、スバルたちがウォーミングアップしていた場所である。

「クロノさんたちは?」

「ん?近くで、君の活躍を見てる。少し、ウォーミングアップでもしておけよ。」

(僕は・・・最低かもしれない・・・)

影で、そう思いながらも結局は見送っていく。

それは、やらなければならないこと。

自分達の為に彼を利用していることが、嫌な自分がいた。

「どうかしました?クロノさん・・・?」

会場にきていた燈也とすずかに驚きながらも、自分の本音をクロノは話した。

「既に、時空管理局というのが、最低の集団である事は、誰から見ても解るでしょう?」

誰であろうと

「子供であろうと、其れを利用する。だから、それに配属し、変えようともしない僕達も最悪の人間なんです。」

「燈也・・・」

「変えようとしても、変えることなんて、今更出来ない。」

クロノはその発言を、理解することが出来た。

また、利用しなければならない。

この、時空管理局という組織の人間として。







「生きるためなら、しゃぁねぇわな・・・ただで、公務員になる為だ・・・でも、まぁ、とりあえず、浮いてみるか・・・」

悠介は眼を閉じる。

記憶にはないが、久々の力の解放。

それが成功するか、失敗するかで、始まりと終わりがわかる。

順番に、空を飛ぶ・・・

というプログラムを頭の中で作っていく。

ゆっくりと・・・

焦らずに作成していく。

まだ、出来ない。

完成していない。

一度作ってしまえば、後は簡単に発動できる。

しかし、それまでの過程が大事なのだ。

ゆっくりと、完璧なプログラムを作成する。

まだ、出来ない。

完成しない。

瞬く間に時が経って行ったその時だった。

一息ついて、眼を開ける。

そして、念じる。

悠介の体が浮き出した。

さらに念じる。

次に浮いている状態を開放し、悠介がビルから、飛び降りる。

「飛べ!!!」

その合図と共に、急降下する体が、自由になる。

一旦空中浮遊してから、前に走り出すように空を駆け抜ける。

次は、

上昇、

降下、

右へ、

左へ、

前へ、

後ろへ・・・

スピードアップ・・・

ほんの数秒で悠介は自由に飛行できるようになった。

その状況を、訓練場にいた3人はみていた。

一瞬で、空を飛ぶことを忘れた男が、飛行する。

驚かされたものだった。







「嘘・・・」

「魔力は、使っていないようにも思えるね。」

「戦力としては、まだ、未知数かな?」

「速度は、なのはやフェイト以上・・・」

その速度の最大は、完全に過去にいたなのはたちを超えているようにも見えた。

クロノはそれを見て、大いに満足した。

「なら、そろそろ、試験開始と行くか・・・」

「やっぱり、やるんですか?」
色々と、蘇るかもしれない。

クロノが試験を受けさせる理由、それは、試験場といえど、戦場レベルのストレスを与えることで、記憶を復活させることが出来るのでは、ないだろうかと。

しかし、発案者であるクロノは考える。

仮に記憶を取り戻したとしても、辛い記憶なら、思い出させない方が良いと。

「やっぱり、最低だな。」

燈也は、ただ、その言葉に頷いた。

すずかも。

「悠介、さっきの地点に戻ってくれ。」

先ほどのデバイスを通してクロノの声が悠介に響く。

それを聞き、自由飛行をやめてさっきの廃墟ビルに降り立った。

時刻は13時00分調度。

その時、空中にデジタルモニターが現れる。

そのモニターに映っていたのは・・・

「なに、この、小っこいの・・・」

「小っこいの、言わないで下さいよー・・・」

「だって、事実だし。まぁ、んな事はいいんだけど・・・誰?」
.
「試験官の、リィンフォースⅡと申します。魔導師試験者の受験者、一名、ちゃんといますよね?」

「何それ?」

「・・・え?」

「魔導師って、何?」

「えーと・・・?」

「この世界で言う公務員の事?」

そんな、言葉をキャッチボールを繰り返している時に再びクロノの声が頭に過ぎる。

「悠介。」

「クロノさん。どういうこった。」

「ここでの公務員が、魔導師ということだ。」

「あ、そうなんだ・・・」

「頑張れよ。」

「別に、どうしようが、なれるじゃん・・・」

ただで公務員になれるのなら、訓練など必要ないと思う。

「あの・・・確認していいですか?」

すっかり忘れられていたリーンフォース。

恐る恐る悠介に聞く。

「良いよ。」

不機嫌

「では、浦島悠介さん、今回が初試験ですね?」

「知ってんだろ?」

「うぅ・・・」

少し、涙目になる。

そこまで、初めて酷いことをしたと気付く。

これ以上は流石にまずいと思い、一応、彼なりに真面目に返す。

「あーはいはい。そうです。初めてです。」

「ふぅ。最初から、そういう風に応えてください。」
.
「すいませんね。」

悠介は適当に座って説明を受ける。

そこからは、ポイントターゲットだの、ダミーターゲットの話、そして制限時間の話でこの説明は終わる。

質問は無し。

「では、スタートまであと少し。ゴール地点で会いましょう。ですよ♪」

そして、リーンフォースの映っているモニターは消えた。

「しゃぁねえな。」

その時、カウントダウンが始まった。









START

悠介は草薙の剣を解放。

鞘の付けた神殺が粗末な布切れから開放される。

そして、居合いの形をとる。

「何を考えている!?」

「ソニックブレード・・・?」

悠介はそんな反応もいざ知らず。

居合いの形をとってから、鞘から神殺を抜き放つ。

凄まじい速度の速さで抜き放ったために鋭い刃の衝撃波がターゲットの配備されている階層を一気に切り裂く。

ビルに目立った傷は無い。

崩れもしなかった。






しかし、ターゲットは・・・

「た、ターゲットは!?」

「全部破壊・・・ソニックブレードなら、可能だ。」

「やはり、瑠璃の兄か・・・」

再び、悠介を見たときには既にそこに何も無い。

既に、そのビルの別の階層のターゲットを破壊しに行っていた。

「あの階層には、ダミーがある・・・うかつに衝撃波は使えない・・・」

窓ガラスを突き破り、その矢先にダミーを蹴り飛ばし遠くに配置させる。

そして、飛行術を応用させ、そこで刀を垂直にし、体全体を回転させた。

ターゲットは全て破壊される。

「ターゲット・・・この建築物のものは全て破壊。」

そのまま一気に飛んで移動し始める。




「速いな・・・」

クロノがゴール地点で確認し始める。

燈也は、その動きの中で悠介のスサノオとしての片鱗を見出していた。

「強いな・・・」

「やっぱり、仮の戦場の中でも戦い方が徐々に目覚めている・・・自分なりの、戦闘スタイル。」

「恐らく、大型オートスフィアなど、相手にならないだろ。」


そこに配備されているもの。

大型オートスフィア。

受講者のほとんどが落ちる。




悠介は、次のターゲットのある高速道路を滑空しながら、オートスフィア、ターゲットに突っ込んでいく。

その速さ、隼の如きスピード。

「なるほど・・・トンネルね・・・高速の二段階層・・・いや、三段階層か・・・この階層にダミーは・・・」

悠介の蘇る戦場での経験。

思い出そうとすれば、単純な者だ。

あらゆる、構造を見抜く。

いわゆる千里眼の一つでもある。

滑空状態で再び、抜刀の構えを取る。

「あの体勢で・・・」

燈也は、興味を持った。

魔力だけの人間なら、その状態では反動で吹き飛ぶ危険があるからだ。

「これが、テスタメントの力を持つものか・・・」

悠介はそのトンネルに突っ込む。

「邪魔だっ!!!」

二階層の敵を再び、刃の衝撃波で全て全滅させる。

「次ッ!!!」

その勢いで、垂直に上昇。

オートスフィアの攻撃が悠介を襲う。

吹き上がる黒煙。

それは、全てを無に返すかのごとく。

「やられた?」

すずかが呟く。

しかし、悠介はやられたわけではない。

「違う・・・」

「彼は、生きている・・・」

「やられたのは・・・」

さめる黒煙。

そこに現れたのは、オートスフィアではない。

「悠介・・・」

ターゲットまで全壊していた。

「何が、起こっている・・・?」

「透明度100%で再生してみるね・・・」

その情景を、再び再生する。

その情景は、普通の魔導師なら信じられないものだった。

上に出てきて、攻撃をするのをわかっていたのかのごとく、人間業では不可能なことをやっていた。

それは、回転し、その風圧を利用して、弾を弾き返し、そのまま全てを破壊するという荒技であった。

「これが、悠介という人間なんだな。」

燈也は感嘆した。

魔力を使ったとしても、その行動はかなり難易度が高いからだ。

傷一つ、衣服も破れ箇所も何も無い、そのままの悠介を見て。

「第二段階・・・ミッション終了・・・第三段階に移る。」

悠介はそのまま第三段階に移る。

滑空し、トンネルを出て最終ターゲットの破壊に向かう。

「アレに突っ込むつもりか!?無謀だ!!悠介!!」

クロノの警告が悠介の中に入る。

しかし、聞き入れはしない。

「勝てる!!」

「スサノオは、その程度でやられないでしょう?」

そう言い放った瞬間、大型オートスフィアから発射されたビームが悠介に直撃した・・・

と、思われていたが、それは・・・

「残像!?だと・・・」

残像。

それ以上、語る意味を持たない。

驚いていたのは、クロノだけだった。

「おとりか・・・!?では、本体は!!」

「既に・・・大型スフィアの前・・・」

その通り、第三段階のエリア、そこにいたのは浦島悠介・・・

その人である。

「たかが、でかいだけ!!」

そのまま大型オートスフィアに突っ込んだ。

すれ違ったほんの一瞬の間である。

それは起こった。

そのまま、オートスフィアに亀裂が入る。

既に悠介は神殺を鞘に収めている。

「撃破」

大型オートスフィアを撃破。

そのまま再び滑空し始めた。

向かうは、ゴール地点。

「ここまでのタイム・・・2分30秒・・・」

「新記録・・・だな。」

「決して破られることの無いね・・・」

「既にゴール地点・・・か・・・」

悠介は既にそこへ、移動していた。

「ラストターゲット!!」

最後のターゲットを破壊。

そして、ミッションクリア。

既にリーンフォースと共にクロノたちがそこにいた。

「ミッションクリア」

悠介は傷一つ無い状態でそこにいた。

疾風の如く。

「総合タイムは・・・?」

「2分45秒76・・・」

常人なら脅威のタイム。

全てが一瞬の出来事だった。

「終わった。」
.
「おつかれ。悠介君。」
.
「どうも、燈也さん。」

「十分に実戦で使える領域・・・」

「何の話っすか?」

「悠介・・・合格だ・・・正式な授与式は明日行う。」

そういってクロノは悠介を眺めた。

ただ、汗を少しかいているのみ。

あまり、疲れてなど、いないのだろう。

「合格・・・公務員になれるんだ。」

「まぁね・・・ようこそ、最低の集団の集まりへ。」

「最低・・・何ですか?」

「子供を兵器として戦わす事のできる・・・最低の大人の集団だよ。僕もだけどね。」

其れは、燈也もその一人であるということを自負している。

現に、娘を戦わせてしまったのだ。

「やめるのなら、今のうちだよ・・・」

「食わなきゃいけないんで・・・まぁ・・・何か、すいません・・・」

「其れも、生きていくためか。言うのであれば、平和を愛する最低の集団だ・・・」

「なんか、戦わせていたんですか・・・?」

「まぁね。色々とあったよ。」

今にして思えば、スバルやティアな、ダン達もそうだ。食うためとは言え、魔導師と言う名の、子供の人間兵器。

「僕の姉も・・・9歳から、この組織の為に働いていたさ・・・」

既に、消えた人間。

「まぁ、事情があったとしても、子供を戦わすのは、確かにありますね・・・」

其れでも、最低の組織であっても、食うためなら、此処で働く。

燈也は、その解答に肯定も否定もしない。

自分も食うために戦っているからだ。

すずかのために。

「しかし・・・やっぱり、気持ち悪い・・・」

先ほどから、続く感覚。

「あんたか?ずっと、俺を見ていたのは。いや・・・あと一人いるか。」

その声の位置を眺めながら悠介は言う。

周りを気にせずだ。

そこには何も無い方向を見て言っている。

「俺を見ていたんだろ。この試験を受けるとき・・・いや、病院を出るときから、ずっと感じていた。視線を。」

そこには人がいる。

全身を、黒で覆った一人の人間。

それに応えるかのように・・・

聞こえる声。

「気持ち悪いよ・・・あんた、殺気出しすぎてて。」

それが、悠介を見ていた。

燈也もすずかも、感じてはいた。

しかし、気配からして弱そうだったから、放置していても構いはしなかった。

言うのであれば、雑魚と呼べる部分。

その領域の人間。

「・・・」

姿を見せない一体目の影。
「あんたさぁ・・・。」

現れた人間を、悠介は不気味に思う。

「なぁ、気持ち悪いよ?」

姿を表さないのは

「恐いのかい・・・?クロノさんたちが、此処にいるから。」

姿だけは現さない。

「いい加減、姿を現したらどうなんだ?本当は、俺達を殺したいんだろ?」

悠介は影のある方向に近づいていく。

草薙の剣を構えながら。

しかし、そこから、姿を消した。

何か、会ったわけでも無く。

また、そこから、新たな傍観者も姿を表す。

「うわっ・・・」

「成る程・・・大した力だ。」

シグナム。

「まぁ、少し、無茶をするようだけどな。ま、よろしくな。」

ぶっきらぼうに顔を水に挨拶したのが、二番目に言い当てた人物だった。

「ま、一応、ついて着て良かったわ。ええもんが、見れた。」

そして、もう一人はショートへアの栗色の髪をした女性。

「マスターはやて、頼みがあります。」

シグナムの突然の頼み。

「何や?」
長年の付き合いから悟ったのか、あまり浮かない顔をしている。

「私たち二人、彼と・・・浦島と戦わせていただけないでしょうか?」

その願いは顔を曇らせる。

「私たち、こいつと戦いたい。」

ヴィータも、それを望む。

「マスター、許可を。」

許可したくは無い。

「ダメ・・・」

それは、拒否を意味する。

「どうし・・・!!」

「悠介が望んでないから。」

悠介の顔を見れば、戦う気は、殆ど起きないという顔をしていた。

ヴィータが言い寄ろうとしたが、シグナムが手で制す。

マスターの言うことは絶対なのだから。

「取り合えず、悠介が望むなら・・・?」

「良いよ・・・やろう。

「悠介?!」

はやては悠介の顔を見る。

だるそうな顔はしているが、表情は真剣だ。

既に戦闘態勢になっているといっても過言ではない。

「そっちの人はやらないと、気がすまないようだし。」

そして

「何が、不満なんだよ。」

燈也たちが考える事は一つ。

不満なんだろう。

高町なのは、フェイト・テスタロッサ・ハラオウンの変わりのような者だから。

「くだらね・・・・・・」

「くだらない!?」

悠介は、その感情をくだらないと受け止めた。

戦友であろうが、誰であろうが、

「死ぬ時は、死ぬんだよ。人って。知らない、あんた達じゃないでしょ?」

知らない訳が無い。

しかし、其れを悠介に言われた事で、少し、はらが立った。

「戦闘フィールドはここ一体。全てだ。」

「良いさ。二対一でかかってきな。」

自意識過剰・・・

周りから見ればそう思うだろう。

「わかった・・・手加減は・・・」

悠介には必要ない。

「いらないな。」

それは、失礼に値するものだ。

「解った。では、戦闘開始だ。」

ミッドチルダ廃墟エリアが、三人の勝手な行為によって戦場になる。

クロノ、すずか、燈也が止めなかったのは、なのは達が、生きているのは、もう、妄想でしかない。

そう、思わせるためだった。

ただ、この時はこの場にいる人間全てがあのような結果になるなど・・・

誰も、誰も予期していなかった。

その時、本局では機動六課の全メンバーが集結しつつあった。









「アレが・・・アレが・・・なのはの代わりだって・・・!?冗談じゃない・・・!!」

シグナムや、ヴィータ以上に悠介の存在を認めたくない人間が、此処に一人・・・

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