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EP-11「貴方の全てを受け入れる」

そんな感じで、11話。
A's編は後二話で終了だ・・・
あぁ・・・もう、疲れた・・・
今回は、すずかの迷いが、吹っ切れて、あの人が最後に登場。


「だから、あいつはバカだったんだよ。」

「燈也!?」

「わかんないかな?馬鹿ってことは、欠陥品だ。あいつは、所詮、欠陥品だよ。」

フェイトは、母の哀願人形である。

燈也のこの考えに揺るぎはない。

すずかは、何を思う。

友人である。

しかし、引っかかる物はある。

それが、なんなのかは、すずかには分からなかった。

フェイトは、取り込まれた。

燈也は、ただ、それを見ていただけ。

何も、思いはしなかった。

何も。

絶望しましたか。

好きな人が、闇へと捉えられて。

悲しいですか。

「姉さん・・・その悲しみ、取り除いてあげるよ。」

「なのはちゃん!!逃げて!!」

すずかの言葉に反応して、なのはは、燈也と距離をとった。

そして、叫ぶ。

「燈也!!どうして!!どうして!!殺そうとするの!?」

解っていることを言う。

「解ってるだろ。」

まだ、憎い。

復讐者は、ここで立ち上がる。

「我が主もあの子も覚めることない眠りのうちに終わりなき夢を見る。」

全ては同じ定めのもとで。

「「生と死のはざまの夢・・・それは、永遠・・・」」

「・・・か。」

燈也は、これの言いたいことが解った。

二人とも、考えていることは同じ。

お互い、そこまで絶望を見てきたということだ。

そして、地獄を。

「永遠なんて・・・無いよ・・・?」

不快。

燈也の中に不快な感情が生まれた。

「また、得意の綺麗ごとか。」

また、ここに来てまで、そのようなことを言い出す。

「皆、変わっていく・・・変わっていかなきゃ・・・いけないんだ!!」

「もう、聞きあきたよ。」

あんたの言い分も。

「戯言しか言えない女・・・」

「変わろう・・・私と、一緒に・・・」

なのはは、燈也に手を差し伸べる。

無駄だと、解っていても、自分の言葉で、今の言葉で変わることができるのなら。

しかし、それは燈也にとっては綺麗ごとにしか聞こえなかった。

「ほら・・・綺麗ごとか・・・変わっていけばいい・・・ふざけんな・・・じゃぁ、教えろよ!!僕は、どうすればいいんだよ!!!」

変わればいい。

そう言いながら、

「あんたの自覚はないとはいえ・・・」

本人は助けたつもりだった。

しかし、それは燈也を修羅の道へと送ってしまっただけだった。

「ここまで変えた張本人が、よく言ってくれるよ・・・」

すずかは、敢えて止めなかった。

燈也の答えを、ここで見たかったからだ。

一度、なのはと闘うことによって、見えてくるかもしれない。

「殺しすのも・・・ありなのかな・・・でも、いなくなるのはいや・・・」

変わり始めている、自分の中身に、恐怖など生まれてこなかった。

ただ、なのはを失いたくないという欲求も生まれていることはわかる。

殺してほしくない。

なのはを失いたくない。

しかし、燈也は自分の思いを叶えてほしい。

「私・・・燈也に、何を言えばいいのか、わからないよ・・・?」

それでも

「僕が間違っているっていうんだろ。人を殺せば解決しない・・・」

なのはは、そう言っているようなものだ。

と、燈也は解釈した。

「燈也・・・話し合おうよ・・・お父さんは、この世界でのプレシアさんを殺したかもしれないよ・・・?うぅん・・・殺したんだよね。でも・・・もう一度・・・やり直せるよ!!」

「そうだ。そうじゃなきゃ、殺しにはいかない!!でも、あんたの言うことは・・・単なる綺麗ごと・・・!!!」

飛翔。

砲撃専門であるなのはは、まず、距離を取った。

砲撃専門なら、当然の戦略と言える。

しかし、燈也は風の如く。

燈也は、駆け抜け、広げた距離など、意味は無く、なのはに迫る。

また、あの時のように、殺しにかかる。

解ってるような口ぶりに、燈也は激昂する。

燈也となのはの実戦経験の差・・・

プレシアの全てを受け継ぎ、その運動神経は全て燈也が上回っている。

半年以上、死と隣り合わせだった燈也と、普通に魔法の練習をしていたなのはとは、かなりの力の差がある。

あの時の戦いの手で来るのであれば、燈也が狙う部分は、

「腹部・・・・・・!!」

なのはは、腹部のガードをなのはは、一層強めた。

今から、距離をとったとしても追いつかれ、背中から心臓を串刺しにされる。

「違う・・・あの人は、それくらいわかってる・・・なのはちゃんは、解ってない・・・」

防いだところで、至近距離で何かしらの砲撃魔術をくらわせるつもりなのだろう。

なのはは、燈也を見て、腹部のガードを厳重にした時だ。

「回った!!??」

空中で、燈也は宙返りをし、その勢いでなのはに近づいた時、その、なのはの脳天に

「踵落とし・・・なのはちゃんは、それにより、脳震盪を起こす・・・」

壊園剣を通して、伝わってくる燈也の闘い方。

本来は、お互いに呼吸を合わし、そのコンビネーションアタックをより確実にするための、壊園剣を持ったエンゲージ・パートナーのみに許されること。

しかし、今、それはすずかの迷いとなっている。

なのはに、このことを伝えることができるのであれば、燈也に勝利することはできるだろう。

「がっ・・・!?!?!?!?」

なのはの意識が、一瞬緩くなる。

これと同時に、隙が生まれた。

ここで、殺す隙が生まれ、燈也はその勢いに任せて、殺すはずだったが、目の前に展開された血に染まった短剣。

それと同時に、目の前に炎が吹き上がる。

血に染まった短剣を燈也は、全て砕こうとしたが、一発その身に受けた。

無言で、燈也は、それを引き抜いた。

突如の短剣、さらには目の前の炎の吹き上がり。

予想外のことに慣れようとしても、慣れないことはある。

しかし、その燈也がひるんでいるうちに、意識を取り戻した、なのはの放ったディバインバスターを完全に防ぐことは出来た。

「闇の書・・・水を刺すか!!」

「貴方の怨念は・・・大きすぎる・・・」

「そうだ!!だから、ここまで生きていくことが出来た!!」

敗北の屈辱で、煮え湯を飲みながら、各世界を渡り歩くことによって、怨念を膨らませてきた。

全ては、なのはをフェイトを士朗を、プレシアの邪魔をした時空管理局の人間どもを殺すために。

「解らないだろうな・・・」

わかってくれた人間を、恭也は目の前で殺した。

「知らないだろうさ・・・渡ってきた世界の中には、敵なら容赦無く殺す高町恭也だっていたさ・・・」

御神流を全て、破り、封じ、敵を殺した。

闇の書の意思の攻撃を全てその身に受け止める。思い出すことによって、怨念をその身に増大させ、全てを我が物とする。

お前には、解るまい。

燈也は、思い出す。

苦痛だった、これまでの日々を、全てにおいての、地獄を。

圧倒

そのプレッシャーに、なのはは負け、無防備なその姿をさらしてしまう。

なのはに迫ってきた燈也は、なのはの首を絞め始める。

この半年以上の地獄の日々を。その世界に逝けば、まず母、姉、そして自分の死体を見せられる。

この辛さは

「お前には解らない・・・最初から全部揃ってるお前には!!!」

許せなかった。

「お前の父親は、僕から全部奪ったんだ!!!」

また、掴み取ったものを

「お前は、引き離し、逆に地獄を与えた!!!」

「燈也を助けたくて・・・・・・」

「また奇麗事か!!!!!!」

首を、さらに強く絞め始める。

ここで、なのはが何を言っても、なのはの言うことは奇麗事だ。

燈也の中では、自然にそう、解釈される。

「ぐっ・・・・・・ぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!???」

「死ね・・・死ね・・・死ね!!!!!!!」

何故、行けないのだろう。

すずかは、消えれば良いと、思っている。

思ってしまっている自分が、そこにいる。

このような、誰であろうとも、絶対的な苦しみを負い、虚しく復讐のために行き、幸福を得られない世界など。

消えてしまえば良い。

このような、無情なる世界にいるのであれば、いっそ、消えてしまったほうがいい。

「何・・・考えてるの・・・?」

自分の思っていたことに、一瞬、恐怖を覚えた。

これは、自分の思っていたことなのか。

今いる自分は、本当に自分なのか。

自分が解らなくなる。

記憶を、見せられたから、そういう気持ちになっている。

人なんて、優しい人間など、数えるほどにしかいない。

刷り込みと、言うのであろうか。

それが、すずかの頭を汚染してしまう。

知りたかった筈なのに、ここまで、このようなことを考えてしまうのは、飲み込まれやすい。

そんな自分に、嫌気が刺す。

しかし、葛藤はする。

本当に、なのはを助け出すべきなのか。

なのはを助け出した後に、この世界を救うと言う手もあるのではないだろうか。

だが、なのはを捨てることなど、すずかの奥底に眠り、目覚めた感情が許さなかった。

葛藤する中で、生まれてくる。

しかし、それを考えてしまうのは、傲慢なことだ。

ましてや、自分にできるのかとまで、思ってしまう。

しかし、多少傲慢になった方が、いや、ならなければ、出来ない。

今度こそ、二人を救い、フェイトも助け出す。

三人とも、全員助け出すということだ。

できるだろうか。

一度、失敗している。

しかし、今回、しなければ、それを行わなければ、全てが手遅れになる。

頭の中では、解っている。

しかし、すずかの体は、動かなかった。

全てを失うのが、怖かったからだ。

「これが・・・高町なのはか!!!!僕の憎かった高町なのはかよ!!!!!!!!!ママを妨害した!!!!!!!!!!」

本当に、お前は高町なのはか。

何故、お前のような、自分より弱い人間が、母を妨害した。

怨念の分まで、燈也は強くなった。

しかし、こいつは何だ。逆に、弱くなっているという感覚さえ、燈也は覚えてしまう。

少なからず、強くなっていることは解っている。

しかし、数々の修羅場をよりくぐっている燈也自身も、強くなっている。

「・・・」

闇の書の意思とて、燈也の怨念に、違和感を覚えた。

これが、本当に9歳の少年の持っている怨念なのだろうか。

救済が必要だろうか。

魂は、傷つき、潤いすら与えられていなかった。

見極める必要が、あるのだろうか。

闇の書の意思は、どこか違和感を覚えた。

感じたことの無い、感覚。

闇の書の意思は、自分の手を、眺めてみた。

(まさか・・・)

考えたくは無いが、震えている。

自分が創めて感じたというのか。

恐怖というものを。

さらに、足に、数十の蛇が巻きつき、拘束されているような感覚を覚えた。

何だ。

この怨念は、一体、何処から来るのだろうか。

掴んだことによって、自らの中に入ってくる怨念が、気持ち悪い。

吐き気さえ、覚えた。

闇の書の意思の中で、それは変わる。

救済が必要であり、ずっと、夢の中にいなければ、今、ずっと、このままの存在で許していたら、自分以上に危険な存在になると。

「まだ!!!!お前は!!!!」

言葉にならないほど、激しい想いが、燈也の口から、言葉という形で、なのはの中に入る。

(っ・・・・・・・!!!!!!)

燈也の中で、感じた力。

帰ってきた。

いや、この日のために、アレにならなかった。

どうせ消すのなら・・・

(懐かしい奴で消してやるさ!!!!!)

なのはの腹部を蹴り飛ばし、燈也は目の前に、魔法陣を展開させた。

漆黒と血の紅で塗られた魔法陣。

全ては、あの時の形態。帰ってきたとき、見せた簡易版ではなく、完全なる装備・・・その名こそ、セイヴァー・・・ダークネス。

しかし、その魔法陣に燈也が突っ込めば、セイヴァーダークネスとなることができる。

完全に、この戦況は自分が捕らえた。

燈也の中で、確信に変わったときだ。

(何!?)

バインドではない。

物理的拘束感覚

例の触手。

引きちぎろうとしても、また、別の触手が、斬る隙を与えず、燈也を縛る。

「ネクサス!!」

燈也の言葉に、反応し、ネクサスは触手等を焼き払おうとするも、間に合わない。

全てが、闇の書の意思によって、支配されている。

さらには、闇の書の意思は、ネクサスをも、自らのコントロール下に置こうとする。

その、芸術品ともいえるデバイス、ネクサス。

プレシア・テスタロッサの最高傑作と呼べるほどに、美しく、それはバルディッシュの出力を遥かに超える。

燈也専用である筈のものが、闇の書の意思によって、別の主へと渡る。

しかし、まだ、燈也には懐園剣がある。

まだ、それを、念意で操り、切り裂こうとした時だ。

切り裂くような、懐園剣の感触は無い。

なのはが、撃ち飛ばしていた。

「貴様・・・・・・!!」

「これが、痛みだよ・・・」

絞められた首元を抑えながら、なのはは、哀れむような目で燈也を見る。

痛みなど、とうに知っている。

だから、ここまで闘えた。

徐々に、絞められる感覚。

さらに、無数の触手で体の自由を奪う。

セイヴァーのことで、頭がいっぱいとなり、周りに展開されていた触手に気付かなかった燈也の、完全なるミスだった。

「ネクサス!!!僕の呼びかけに応えろ!!!ネクサス!!!」

既に、コントロールは、闇の書の意思にある。

どれだけ呼んでも、無駄だった。

愛する人が、自分のために作ってくれたデバイス。

しかし、それを誰かに奪われることが、この男にとっては屈辱以外の何物でもなかった。

プレシアが自分のために作ったものを他の誰かが使用する。

嫌だった。

誰にも、触れて欲しくない。

子供ながらの想いが、燈也の戦意を喪失させる。

既に、力というものが、燈也から浮かび上がってこなかった。

(負けた・・・?)

すずかは、感じ取った。

そして、燈也たちのいる場所を眺めた。

急激に、落ちていく。

普通の人間なんだ。

例え、人知を超えた力を持っていたとしても、愛する人は人間である。

普通の、9歳の少年だった。

(やめてよ・・・僕から、ママを・・・ママを取らないで・・・)

ネクサス・・・絆。

少なくとも、ネクサスを持っている時点で、プレシアとの絆を感じていることが出来る。

しかし、ネクサスのコントロールが、他人に移ってしまったとき、アレほどにまで力強く感じられた意志は、簡単に崩れ落ちてしまうのか。

燈也の意思は強い。

カッコたる新年がある故に、今まで動くことが出来た。

しかし、絆が断ち切られてしまったと思った今、全ては弱い。

この男は、弱体化する。

プレシアが好きだという純粋な思いから生まれたが故に、その純粋な想いは、儚く散ろうとしていた。

「ママ・・・恐いよ・・・ママは、そこに・・・」

そこに、高町燈也の意思は存在していない。

花のように、燈也の意思は散り始める。

既に、目には涙を浮かべている。

「ママを・・・」

悲しみと怒りが混ぜ合う。

「ママを・・・」

浮かび上がるオーラは、プレッシャーとなって

「ママを・・・返せぇぇぇぇぇぇ!!!!!」

力となる。

燈也が、咆哮をあげた。

巻きついている触手を全てを燃やし、ネクサスを取り戻すために、無防備にも、何もせずに、闇の書の意志に突っ込んだ。

「燈也!!だから、私たちと一緒に!!」

「燈也!!私が・・・私がいる!!」

今、燈也を助けることが出来る。

高町燈也を。

すずかは、まだ、迷いがありながらも、今、決意をして、その巨大な翼を広げて飛翔する。

今、崩れかけている心に漬け込むことによって、助けられる。

最低だ。

しかし、それでも、助けることが出来るのであれば、そうする。

「もう・・・悩む必要はない・・・」

「燈也!!」

燈也は、闇の書の意思に引き込まれる。

美しかった少年は、抵抗する事無く、そのまま、中へと入っていく。

もう、良い。

「お前は、十分に戦った・・・」

「ママ・・・そこにいるの・・・?」

「待って!!闇の書さん!!」

「この子には、救済が必要だ。」

飛翔し、空を駆け抜け、闇の書の意志の阻みを無視しながらも、すずかは、手を伸ばす。

「燈也!!手を伸ばして!!燈也!!」

叫び声に、反応したか、どうか。

それは、解らない。

しかし、一瞬、燈也に触れたような感覚。

暖かい感覚が、すずかに走った。

触れたとき、感じた。奥底にあった、本当の寂しさを、そして、優しさを、すずかは、それに触れた気がした。

解放することが、出来るかもしれない。

だから、燈也が取り込まれたとき、すずかも無理矢理、取り込んだ。

助け出すために。止めるために。

取り込んで死んだとしても、燈也と共に死ぬのであれば、悔いはない。

「燈也!?」

なのはは、愕然とする。

助けたいと、思っていた。

あぁなった後に、心に触れて、癒したいと思った。

しかし、うまくいかなかった。

フェイトを助けたように、燈也を救える自身があった。

しかし、出来なかった。

また、自分は間違いを犯してしまったのかと。

今度は、友人までも、巻き込んでしまったのかと。

後悔という名の、悪寒が、また、なのはの背に走った。

そして、今度は、取り返しのつきそうにないこと。

絶対に、助けることは出来ない。

しかし、それでもアルフとともに、二人で戦いつづける。













「燈也・・・起きて。燈也。」

目の前にいたのは、愛しき母。

最も、愛していた人。

「ママ・・・?」

「どうしたの?」

「ママ・・・ママ・・・」

燈也は、プレシアを強く抱きしめた。

プレシアも、燈也を強く抱きしめた。

目の前にいるのは、本当の母親。

自分の、最も愛していた人。

「燈也は、甘えんぼさん。」

「え・・・?」

そこにいたのは、フェイト。

いや、フェイトではなかった。

瓜二つの少女。

「お姉ちゃん・・・アリシア・・・お姉ちゃん・・・?」

「そうだよ?」

アリシアは、背中から、燈也を抱きしめた。

暖かい。

暖かい、感情が、燈也を包み込んだ。

「恐かった・・・恐かったよぉ・・・」

「もう、いいのよ?無理をしないで・・・ずっと・・・ここで、ね?」

恐い思いをする必要はない。

プレシアは、そのように諭す。

目の前にいるプレシアは、燈也にとっては女神のように微笑んでいる。

「燈也のお母さんっこは、相変わらずだね。」

「だから、可愛いの。アリシア。」

「あー、私の可愛くないの?」

「燈也に比べたら・・・どうかしら?」

「酷いよー!」

アリシアの頬が、ふくらみ、不機嫌そうな顔をする。

プレシアは、そんなアリシアの頬を突っついて、優しい笑みを浮かべた。

この世界にいるプレシアは、本当に幸せを掴んでいた。

死ぬ筈の子供達は、二人ともここにいる。

最も、これが、闇の書に作られたことであっても、燈也の頭の中から、それは削除されていた。

幻想でも、良いじゃないか。

暖かい、感覚が、目の前にあるのなら。

それを今、実感することが出来るのなら。

「お母さんばかり、燈也を独占してて、ずるいよ!」

「あら、燈也は私を求めているんだからいいじゃない♪」

今、そこにいるプレシアが、燈也には可愛らしく。

そんな母の顔を、見た瞬間、燈也の頬は赤く染まった。

これで良い。

これが、自分の求めていた世界なのだから。

「僕は、ずっとここにいて良いんだよね・・・?」

この夢から這い出ることを、この少年は望まない。

「っ!!??」

夢に支配される前に。

「間に合った・・・」

「ユファさん!?」

「まだ・・・迷ってますね・・・」

「え・・・?」

全て、見破られている。

最初は、成り行き的なこともあった。

ただ、ユファを失いたくない。

そんな感情も、あの時はあった。

「まだ・・・すずかちゃんは・・・」

なのはを一度殺したことによって、燈也の中に生まれてくる。

「全てを・・・許したいの・・・」

「でも・・・それは・・・」

「私の中の迷い・・・」

燈也を、本当に助け出すことは、いいことであるのだろうか。

土壇場の所で、すずかは、改めて考える。

「・・・」

ここが、闇の書の意思の中。

夢へと取り込まれる前に、目覚めたユファが、本来の天使としてもてる力を発動させた。

そうすることによって、中級天使であるユファにも、内部から闇の所を破壊することが出来る。

「私・・・燈也を傷つけることが恐かった・・・」

怪我させれば、嫌われるかもしれない。

その、一つの迷い。

「絶対に助けられると思っても、最初の迷いが私を咎めさせた。」

「下手をすれば、殺してしまうかもしれない・・・それが恐くて・・・」

あの時、闘ったことによって、後悔した。

無理して連れてくれば、悲しむことは無かったと。

「全ての公開が渦巻いて・・・私は、攻撃することも出来なくて・・・燈也をここに・・・」

しかし、後悔してきたとしても、その中にあるのは、中心にあるのは全て自分。

今まで、自分を否定していた。

全員助けることを、傲慢な考えだと思ってしまったことが、自分をさらに否定していた。

「ガムシャラに行動すれば、殺してしまう恐怖が、私を止めた・・・」

そして、

「燈也に酷いこと・・・言った・・・」

救う方法は、解らない。

「迷いってますね・・・」

「でも・・・今は、自分の本能に従いたい・・・今、全部の自分を、これまでの自分を受け入れたい・・・でも、その方法が解らない・・・」

一度、目を瞑り、すずかは、ばらばらになった自分を拾い集める。

助けられる気がする?

わからない?

(あなた・・・燈也を救ってくれる・・・?)

「え・・・?」

誰かが、自分を見てくれている。

この時、すずかの視界の中に、コアである少女が映った。

「はやてちゃん・・・」

見つけることが出来た。

取り込まれたもの。

「すずかちゃん・・・」

対面

「はやてちゃん・・・大丈夫なの?」

「大丈夫。こっちは、任せとき。今、この子に新しい名前を与えたんや。」

「そう・・・」

「リィンフォースや。」

リィンフォースと呼ばれたものは、静かに、すずかをみつめていた。

罪悪感を、感じているような印象を受ける。

「すずかちゃんは・・・好きな人を・・・」

「うん。そのつもりだよ。」

隣にいたのが、闇の書の意思・・・いや、それの本来の姿なのだろう。

そして、

「すずか!!」

フェイトは、本来、そこにいない筈の人物に驚いた。

「フェイトちゃん・・・」

取り込まれたはずの、フェイト。

それが、ここにいる。

夢から、解放された。

「フェイトちゃん・・・なのはちゃんは、今・・・外に。」

「わかってる。すずかは・・・どうするの?」

「助け出したい・・・でも、まだ、迷ってる・・・」

「そっか・・・・・・」

自分が、それをすべきなのか。

「迷ってても・・・今、できることをする・・・」

「私・・・そこまで、強い人間じゃないんだよ。」

「すずか・・・」

今言える、すずかの本心が、そこにある。

フェイト達のように、戦える人間じゃない。

「それに、フェイトちゃんは、燈也のこと・・・」

嫌いだった。

再会した時、なのはを殺したから。

「でも・・・許そうと思う。私のお母さんのこと、思ってああなったんだから・・・」

それでも、恐怖は、抜けやしなかった。

「本当は、なのはちゃんが言ったから・・・?」

「・・・・・・・・・本音を言えばね。」

やはり、本心はなのはにあった。

「なのはちゃんは・・・か。」

「もう一度、話したいんだよ。話して、もう一度やり直したいの。私だって、恐いけど、話してみたい・・・」

「燈也は・・・ここにいるよ。」

「でも、ここに入れそうにないんや。」

「え・・・?」

「・・・この中にいる、私たちを異物だと防衛プログラムは認識しだします。守護騎士の形をしたバグが、大量に出現するのです。」

それに

「もう、あの少年を・・・コアとして、取り込み始めている。」

一度、コアを失えば、捕らえるのは、燈也自身。

「なんやて!?燈也君が・・・」

「いなくなるの・・・?」

「いえ・・・どうかする・・・確かに、心は残りますが、体は・・・消滅します。」

夢から帰らないあの少年は、絶好の獲物であり、最高のコアである。

「ただ、本人の意思によって・・・ここにとどまるのなら・・・」

「そんなの・・・ダメ。」

「すずか・・・ちゃん?」

今まで、してきたことの償いは、受けさせる。

それが、今回の受けるべき燈也の痛みであると同時に、解放であるのなら、もう一つその心に傷を受けてもらうのならば。

「彼は・・・この世界が崩壊すれば、また書のコアとして生き続ける・・・」

また・・・

「崩壊しなくても・・・防衛プログラムに取り込まれれば、そのまま・・・何れ、死に至ります。」

「ずっと、独りぼっちになるの・・・?」

「はい・・・」

「ここから・・・いなくなる?」

好きだった人が、ここから消えようとしている。

「時間が無いなら・・・仕方ないんかな・・・」

「そんなのダメ!!」

「すずかちゃん!?」

全ての迷いが、いま、すずかの中で吹っ切れた。

暫く、永久に近い時間にまだ、何も伝えていないのに、このままになるのは嫌だった。

全ての迷いが、一つになり、力へと変換されようとしている。

「燈也を助ける・・・!!」

「でも・・・今の彼は・・・」

おそらく、夢からでることは無いだろう。

「それでも・・・ダメだよ・・・気付けば、夢が終わって・・・死んでいただなんて、絶対にダメ!!」

「すずか・・・」

もう、躊躇いは、無かった。

嫌われてもいい。

「絶対に助ける・・・」

「すずか・・・でも、抜け出さないと・・・」

バグが、現われ、襲い掛かる。

「絶対に・・・死ぬつもりは無いよ。」

「すずかちゃん・・・」

そのすずかの真剣な顔をはやては信じることが出来た。

「解った。死んだら、あかんよ?」

「はやて!?」

信頼する。

だから

「行っておいで・・・」

「燈也は、私たち異常に傷ついてると思う・・・」

「それを、癒すのは・・・このプログラムの夢や無い・・・すずかちゃんのすることや。」

「うん!」

二人笑顔を向けて、すずかを送り出し、背中を押した。

すずかは改めて、その胸に決意を秘めて、救うための翼を広げ燈也の元へと向かった。

まだ、魂を解放できる。

「今まで・・・弱かった私の心・・・でも、今・・・強くなることを決めたから!!」

自分に足りなかったもの、恐怖より先に一歩足を踏み出す勇気。

フェイトとて、はやてとて、自らの呪縛から解放したのだ。

そして、その二人が、自分に一歩踏み出す勇気を与えてくれた。

今、目の前にある愛する人の呪縛。

それを、解き放つために。

「中途半端だった・・・今度は、本当に助けるために・・・」

今まで、理屈に拘っていたり、怒りに身を任せたり、全てに対する不信感によって、真の力を発揮できずにいた。

真実を知り、もろくなり、相手が好きな人であるが故に、攻撃できなかった。

寂しさに触れて、不安にもなった。

全てにおいて、滅んでしまっても良いと、負の感情が鈴鹿を取り巻いたこともあった。

燈也を助け出すことにも迷いが生じた。

本当に、それが、救いであるのだろうかと。

自らの欲求から、来る贅沢な願いであると思った。なのはやフェイトを疑い、二人にぶつけたこともあった。

だが、それは逃げていたのだ。

奥へ、その奥へと。

救えなかった絶望が、彼女を自暴自棄にしてしまった。

また、自分が傷つくのが、恐かったのだ。

他人のことを思っても、結局自分中心の考えになってしまう。

「全部受け入れる・・・私・・・燈也君・・・絶対に、助けるから!!だから、貴方も迎え入れて!!!」

動き出す。

しかし、中にある防御プログラムが、燈也を渡すまいと、中に潜むヴォルケンリッターに似た、バグが、すずかに襲い掛かる。

「諦めない!!!」

懐園剣・・・

展開

「燈也君・・・貴方の記憶のお陰で・・・えたものがある。」

それは、燈也の全ての剣技

「パラレル・リング・スラッシャー!!」

すずかは、5体の分身を作りだし、さらに、分身の腕から、リング状の刃を作り出し、投げ飛ばす。

「フェザー・・・メガセリオン!!!」

背中の羽が、巨大な獣となり、バグ達を食らう。

一度に、かなりのバグを破壊する。

二つの翼と、二本の腕で、すずかは己の中の迷いと、恐怖を力に変えて、激進する。

迷い、恐怖、否定でもがきつづけた日々を、今、すずかは勇気に変えた。

すずかの中にあるユファの力が、高まり、これ以上に無い光を、すずかは輝かせていた。

「ソニックブレード・・・!!トリプルヘキサグラム!!!!」

数々のバグは、まだ、本領を発揮していない。

「凄い・・・すずかちゃん・・・」

それは、まだ、

「燈也が全てを支配していないから!!!」

目の前に現れる、巨大なバグ。

「マキシマム・メガセリオン・タイフォーン!!!!!!」

しかし、それをもすずかは吹き飛ばし、破壊する。

これが、迷いを肯定し、全ての負の感情を自らの力に返還したものの力。

すずかの風の力と、想いの力を懐園剣に乗せ、全ての質量をもった、斬衝撃破が、防御プログラムの張った20の障壁を破壊し、すずかに道を示す。

「見えた!!!」

先に見えた。

輝く光の球体。

そこに、いる。

その中に、肉体は変貌を遂げ、別の形、コアとして、そこにいる。

周りから来るバグを全て破壊しながら、すずかは、燈也の元へと。

「行くよ・・・燈也・・・!!」

球体に触れたとき、すずかの中に、痛みが走った。

恐怖、寂しさ、悲しみが、すずかを汚染させる。

痛みが、すずかの体全体に走る。

触れたことによって、解った。

「燈也の・・・心の壁・・・」

それでも

「燈也!!」

すずかが、迎え入れようとするだけ、燈也は拒否をしている。

「私のせいでも・・・あるのなら・・・」

自分がタカマチシロウの殺害や、なのはの殺害を妨害した。

だから、燈也はすずかを拒否している。

「全てを拒否してるんだ・・・」

願う。

「私・・・貴方の全てを・・・受け入れる・・・帰ってきて・・・」

それでも、燈也は受け入れない。

「そこが、気持ち良いんだよね・・・」

そこの居心地が良いのだろう。

「燈也!!きゃっ・・・!!!」

すずかに、心理的な痛みが走り、一時的に球体から引き離される。

「戻ってきて・・・私・・・燈也のことが好きだから!!!愛してるの!!!」

両手を広げ、すずかは、燈也を迎え入れるために、近づく。

しかし、燈也は、それを改めて拒否した。

この身が、傷ついても、すずかは、燈也に近づいた。

電撃は、走り、すずかに当たる。

「怖いの・・・?そこから、出ることが・・・怖いの?大丈夫だよ・・・?皆がいるから・・・私がいるから!!」

「本当に・・・燈也のことが、好きなの?」

「え・・・?」

突如の声に、すずかは振り向いた。

聞き慣れぬ声。

しかし、燈也の記憶を得たことによって、その声の持ち主を知っている。

「私・・・燈也のこと好きですよ・・・?プレシアさん。」

プレシア・テスタロッサ。

「本当に、あの子のことを愛しているなら・・・私の代わりに・・・あの子を愛して欲しいの・・・」

度のみ、この世界には長くとどまることはできない。

何故、ここにいるのか。

いや、今はそれは、良い。

「傷ついたあの子の心を・・・私の変わりに癒してあげて・・・」

「はい・・・」

もう、傷つく姿を見る覚悟は、既に出来ている。

すずかとプレシアが、燈也を助け出す。

| THE WORST AVENGER | 17:28 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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