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ACT-ⅩⅨ「アルフ」

リンディさんと桃子さんの子供が出る。


旧約聖書の創世記などに記されている、神による世界の創世から始まり、黙示録戦争まで描かれたものなのだ。

人類が知っている通り、

1日目 原始の海の表面に混沌した暗闇がある中、神は光を作り、昼と夜が出来た。

2日目 神は空を作った。

3日目 神は大地を作り、海が生まれ、植物が出来た。

4日目 神は太陽と月と星を作った。

5日目 神は魚と鳥を作った。

6日目 神は獣と家畜と、神に似せた人を作った。

7日目 神は休んだ。

ここから、アダムとイブが蛇にそそのかされ、楽園を追い出されるまでの話は忠実に描かれている。

創世神話でも、それは同じだ。

男は本をたたんで、もう一度考えてみる。

一体、なんなのであるのかを。

プレシア・テスタロッサを眺めたのちに、男は、一人向かう。

以上に世界が崩壊したことを知らせる・・・

つまり、世界に異常が感知された時の音である。

ユーノは急いで駆け出した。

「まさか、来たのか・・・?」

ユーノの頭の中に最悪の出来事が過ぎった。

だから、総合司令室にまで走り出した。

科学者として、見る義務があると思ったからだ。

まさか、姿を現したのかと。

世界というものは無限に存在している。

それこそ、今でも無限に誕生している。

これらの世界を全て破壊するとなれば、かなりの時間がかかる。

ただ、その中にある発生源を破壊したら、どうだろう。

そこから出現した世界は一気に消える。

跡形も無く。

言葉どおりにだ。

それだけ続けていれば、世界は案外早く消滅する。

ただ、それは地球の消滅ということではない。

その全てが消滅するのだ。

宇宙も、何もかも。

いわば、何も無い。

何も、何も無い。

世界という言葉がつかない。

いわば、何かになるということだ。

言葉の付けられない何かに。

宇宙も何も無い何かになる。

それが、世界を破壊するということだ。

「貴様!!これ以上、この世界を破壊するのか!?」

「当たり前でしょう。この様な救いようの無い世界。」

その世界は、どちらかが、戦い、勝利すれば、勝利した者の世界は救われる。

そして、敗北した者の世界は消滅する。

そのような理不尽な世界が存在している。

前述の言葉を使うなら、単なる枝落しに過ぎない行為。

切っても、切っても、異常な速度で増殖し続ける。

つまり、異常なほどに成長の早い木と同じなのだ。

この管理者の男が行っている行為は無意味なものだ。

キリの無い行為。

キリのある世界を破壊すれば、それは可能となる。

もう一人いる男はそれを行い、そこから発生した世界を破壊し、二度と発生させないようにする。

そのような所為ができるものを。

この男は持っているのだ。

管理局側が、初めて手を出してはならない男と決めたものである。

あまりにも危険であるために。

手を出せば、管理局というものはなくなる。

存在自体さえも。

世界は、管理局の人間も手出しできない世界。

その世界に二人の男が存在している。

そのうちの一人は、その戦いの監視者と呼べるもの。

そして、もう一人は・・・得体の知れないものその気迫は十分だ。

その場にいるだけで、押し潰されそうだ。

正に、邪神がそこにいるようだ。

「救いようの無い世界だと!?」

「そうだ。このような理不尽な世界は消滅させるべき。」

「だから・・・貴様は!!」

その男の考えていることは異常だった。

しかし、その場にいる二人の男の考えは、どちらも異常なのだ。

さらに、それを実行させるだけの力があるということが恐ろしい。

「所詮は、無意味な戦いだったね。」

お互いの世界の存続権を得るために争う。

しかし、言い方を変えれば、無駄に世界を増やしていることに変わりは無いのだ。

だから

「残念だよ。」

心のそこから、その男は言った本当に残念だった。

しかし、この男は、使えないものは排除する。

それだけだ。使えると思ってい

しかし、全く使えない。

だから、

「死んでくれないか?」

本心だ。

その世界にだって、何人もの、幼い命は存在している。

しかし、それを簡単に排除したことには変わり無い。

ある意味では、殺されても仕方の無い男。

「貴様!!」

「殺したんだろ?」

仮に、この世界に百億人いたとする。

並行世界の完全破壊とは、その百億人を殺す行為である。

しかし、この場合はどちらも存続している。

「どういうことか、解るよね?」

つまり、どちらかが勝てば、その世界が存在する。

ただ、勝つパターンは二パターンある。

例えば、そこにAという人物と、Bという人物がいるとしよう。

二人が勝つパターンの中で、Aが勝つか。

Bが勝つか。その二つの世界が存在しているのだ。

減っても、また増える。

プラマイは0なのだ。

「貴様・・・・」

本来、パラレルワールドというものが発生する場合は、明らかに、起こりえない事態が発生した場合である。

テロ、戦争、殺人。

そして、世界の創生。

それだけで、世界は分かれる。

普通に、すぐに忘れるようなものでは、パラレルワールドの枝は発生しない。

発生しても、再び繋がるようにできている。

しかし、例えば、第二次世界大戦が起きた。

それだけで、起きた世界と起きない世界で枝分かれする。

広島、長崎に原爆が投下された世界。

しかし、落とされていない世界だってあるのだ。

大胆に言えば、男女が逆転している世界だって存在している。

それを破壊するのが

「私が世界を救済する目的だ。」

「貴様が、それを行う権利は・・・」

「そう。無い。」

この男はそれを自覚している。

「だが、いずれ誰かがやらねばならない。」

「風船に空気を入れすぎれば・・・爆発する・・・」

「それを救うんだ。君には、期待していたんだがね。」

管理者である男はいたたまれなくなって、もう一人の男に銃を構え始める。

「貴様も、共犯者だ。世界破壊という名のね。」

まさしく、その通りだ。

この管理者の男とて、数々の世界を破壊してきた。

「君は、破壊者だ。」

そして

「この私もね。」

そう。

この男は破壊者だ。

二人とも、大虐殺者。

決して許されることは無い行為。

だが、全てが終わった時に、善となるか、悪となるかは、勝利した時、敗北した時に決まる。

全ては、自分次第なのだ。

「私は、貴様ほどに世界を消滅させてはいない!!」

「しかし、消滅させたのは、事実だろう?」

「く・・・」

「良い?破壊は0へと還元する行為なんだ。」

これが、この男の動く心情である。

破壊こそが救世の道。

それによって失われる命は尊い。

しかし、世界の完全消滅に比べれば、この男にとっては、必要な犠牲としか思っていないのだ。

「良いかい?私と君は、共犯者なんだよ。世界を消滅させたね。」

消滅させた。

その事実には変わりない。

「うわぁぁぁぁ!!!!!」

いたたまれなくなったのか、管理者の男はもう一人の男に向かって銃を撃ちつける。

激しい弾が飛び出す音の中、その弾丸はスパイラルして、襲い掛かる。

その弾丸はもう一人の男の体を貫く。

だが、それだけだ。

どういうことか。

言った事だけだ。

貫通しただけなのだ。

血液は飛び散っていない。

ただ、貫通しているだけだ。

死んでもいない。

心臓は貫いたはずだ。

この管理者の男は内心焦っている。

ここで、殺さなければ、無限に死んでしまうだろう。

「まだ、初めて一年で・・・」

「動き出したばかりということだよ。」

「ゆっくりと、世界を破壊し・・・」

人身の心を恐怖で支配して、思う存分に恐怖させてから、世界を完全消滅させる。

「実にいいことじゃないか。この世界の全ての人間が消滅すれば・・・」

憎しみの連鎖というものは無くなる。

その世界に人間というものがいなくなるのだから。

メビウスの輪のように断ち切ることのできない連鎖を糸も簡単に終わらせることができる。

ある意味、人によってはそれ受け入れる人間が多いかもしれない。

「この世界は腐りきっている。」

虐め、怨恨、尊き命が失われている愚か内紛。

さらには、核実験、環境汚染。

殺人。

人間の行う悪事というものにはきりが無い。

だから、

「抹殺すると、決めたんだ。」

「人間が、そのような神の様な行いをするというのか!?」

「当然だ。」

誰かが行わないから。

自分が行うのだ。

世界を再び、創生し、自分が世界を救う。

「それにしても、この後の結果を知っていながら、よく闘うね。」

真っ暗な部屋に移っている目の前のモニターを見ながら、それを言う。

二体の巨大なロボットが、世界を救うために、お互いの世界を守るために闘おうとする。

「全く愚かだ。」

「・・・」

「笑ってしまうよね。」

「笑うだと!?」

「そうさ。これから行われる私の行為に比べればね。」

これから、行われるのは、世界の破壊である。

「良いじゃないか。最後の世界なのだから。」

最後の世界と言うこと。

それは、そのまんまの意味だ。

この出来事の起こった世界を

「僕は破壊したんだ。」

それは、

「彼等にとっては幸せだろう?」

もう、

「殺し合いをしなくて良いのだから。」

「最後の戦いか・・・勝っても負けても・・・」

「いや、単なる駆除だ。」

「駆除だと!?」

「私はこの世界を特に気に入っていない。」

それが真実だ。

この男は、この世界を気に入っていない。

このようなことをするのは

「私の様な人間だけで十分だ。」

しかし、管理者であるこの男は

「全く、無垢なる者に戦わせる。」

それは、最も

「卑劣な行為だよ。」

そのことを

「解っているよね。」

諭すように行っているが、その背後にはおぞましい悪鬼の様な何かが見える。

管理者の男はその場に倒れた。

「さようなら。」

その男は、異次元の扉を召喚。

そして、その扉を開き、開き、巨大な槍を出した。

その槍を管理者の男の左胸に付きつける。

表情は、あくまでも、笑顔で、その男を見た。

「私を、殺すつもりなのか?」

「当たり前でしょう?貴方の様な人は好きません。」

好きではない。

えてして、この男は人間であると言うことがわかった。

神ではない。

少なくとも、そういうことだ。

死ねば,それで終わってしまう。

この世界での,この管理者の人生は終わる。

いや、この男が、この無情な世界を管理しているのだから、この男は完全に死ぬ。

そういうことだ。

「やめろ・・・」

「さようなら。」

男は、管理者の左胸に、槍を刺した。

「エンヴァー・クロイツ・・・無情な世界の管理人よ。」

それが、管理者の男の名前だった。

もう知る必要の無い名前。

「さて、後始末をしてくるか。」

その男は、そこから、光となっていなくなる。

モニターでは、相変わらず、戦いが続いていた。

「うわぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!」

そのモニターから悲鳴が聞こえ始めると同時に、写る世界は黒く染まる。

悪魔に、のっとられたように。

いや、まさに悪魔にのっとられた。

目の前に現れたのは、正に悪魔だったからだ。

対峙する二対の間に入るようにその悪魔は降臨してきた。

大きさは、どれくらいだろうか。

市街地の高層ビルより、巨大に見える。

100mをゆうに超えるその異型なるものは何に見えるだろう。

本当に悪魔か。

この世の終わりを告げに来た神か。

そして、審判は始まった。

その世界の完全消滅という名の。

悲惨な終わり方を。

「私が、直々に、君達を壊してあげよう。」

その悪魔から、先程の男の声が聞こえる。

二体の巨大なロボットは戦いを中断した。

突然のイレギュラーの登場なのだ。

悪魔とも言えるその姿に怯えているようにも見える。

先ほどから、かなりの力をぶつけ合っていた二体が子供のように怯える様は、この悪魔にはどう見えるのか。

「闘わないのか・・・」

悪魔の中にいる男は呟いた。

しかし、その時、悪魔に小さい振動が襲い掛かる。

国連軍の戦闘機と見えるものが、悪魔にミサイルを撃ちはなった。

巨大なロケットに見えるミサイルは、美しい軌道を描きながら、悪魔のいる市街地に撃ち放つ。

市街地は破壊されるも、その悪魔には傷すらついていない。

市街地にいる人間は、既に全員死んでいると見るのが、妥当といえるだろう。

「やれやれ、醜いなぁ。」

何に向かって、それを言っているのか。

その、闘い方か。

いや、これからまず、壊す二体の巨大な異型の物か。

悪魔は動こうとしない。

しかし、二体は内蔵火器である何かのレーザー砲を撃ちつける。

しかし、喰らう様子も知らない。

国連軍の戦闘機F-20と見られるものは、あくまでもミサイルを放つ。

しかし、悪魔はあざ笑うかのように、ミサイルをワームホールで吸収し、戦闘機の前に出現させ、撃破する。

さらに、悪魔は体を発光させた。

「君達に、光のプレゼントを与えよう。」

それは、最後に見せる絶望の光。

しかし、光に包まれて死ぬのであれば、人間としては本望か。

「反物質か・・・面白みが無い。」

質量とスピンが全く同じで、構成する素粒子の電荷などが全く逆の性質を持つ反粒子によって組成される物質。

それを兵器として転用させている。

大した技術力ではあるが、この悪魔の前では、全ての攻撃に意味は無い。

意味を持たないのだ。

悲しくはあるが、これも、現実というものである。

「恐いんだね。」

正に、恐怖である。

その悪魔に乗っている男にはそれが伝わってくる。

しかし、敵わないと解ったのか、その荷体の異型からは、二人のパイロットは出てきた。

「全く、あいつも駄目だね。」

しかし

「私は君達を生かすつもりは無い。」

本音だ。

悪魔の発した光は、意図も簡単に周りを破壊した。

無論、投降しようとしたパイロットは光となって消えた。

「さぁ、最後の仕上げだ。次は、分岐点の破壊だな。」

悪魔は口を開き、方向をあげた。

それだけで、

「消滅完了。」

悪魔しか残らない、何も無い何かになった。

正に、言葉にできない何かである。

アレほどごたごたしていた世界は、一瞬のうちに何も無いものとなった。

正に、鬼神の咆哮を感じさせる。

「ここまでやれば、彼等も気付くかな?」

そして、世界のあった場所から、悪魔は消えた。

そして、分岐点ともいえる世界を、悪魔は全てを破壊した。















管理局の中に、異常なほどに資料がある施設がある。

無限書庫。そこで調べれば、探しているものは必ず見つかるといわれている。

しかし、探し続ければ、見つけたくない物だってある。

創世神話のこととて、そうだ。

キリスト教の神が傲慢である神であったことは、キリスト教徒にとっては冒涜に等しい。

コキュートスの中に入っているのは、イスカリオテのユダ。

イェス・キリスト

神曲の地獄篇、第九圏 裏切り者の地獄。

主人に対する裏切者。…「コキュートス」と呼ばれる氷地獄。

同心の四円に区切られ、最も重い罪、裏切を行った者が永遠に氷漬けとなっている。

裏切者は首まで氷に漬かり、涙も凍る寒さに歯を鳴らす。

それは、良く人間が知っているものだ。

そのコキュートスの奥に潜むもの。

イスカリオテのユダ。

創世神話と呼ばれるもの。

その中にいるものは、この神話の中では、前述のとおり、イェス・キリストといわれている。

しかし、この真実は、過去に行われた宗教裁判にかけられ、その資料の全てが葬られたといわれている。

一つの世界の結果である。

無数に分かれる世界の中で、その貴重な資料が、その無限書庫の中に収められていた。

大抵、繋がる世界によって、その資料は焼却される運命にあったのかもしれない。

だが、それは存在してしまった。

知らない方が幸せだったということは、よくあるものだ。

現にこの世界と手相である。

もとから、ジュエルシードなど、無いほうがよかった。

闇の書がなければ,はやては関わらなかった。

スカリエッテイが作られていなければ、ヴィヴィオとティアナたちは出会わなかった。

無論、数ある世界の中で、その可能性というものはある。

逆に、並行世界の論理を唱えるものならば、それは否定してはならない事実である。

事実、ジュエルシードに関わらなければ、なのはとて、このようなことに関わることなどなかっただろう。

何度も、言うようではあるが、その世界は存在する。

それは、今だって存在している。

管理局であれば、進入する事だって可能だ。

存在している・・・

いや、存在しているかもしれない。

既に、その世界とて、イエスに消滅させられているかもしれないからだ。

十分に、考えられる可能性である。

しかし、それを扱うならば、まだ猶予はあるはずだ。

人類の創生から、それを行わなければならないのだから。

微生物からこの世界が発展したのか。

もしくは、本当に創世神話が起こったことなのか。

そこから、ここまでのこの最新世代まで待つしかない。

唯一の救いは、未来まで行かないということだ。

何故,行かないのか。

しかし,今のところに資料では,未来に行った形跡は無い。

ただ、そうなると、矛盾は発生する。

何故、未来からキリストはここに来ないのか。

考えるならば、悠介がここにいるから。

その可能性は大いにある。

言うなれば、それらを司るもの達の復活を恐れている。

ジュデッカが恐れるものを、悠介が所持しているから。

そう考えるのが、今のところ妥当であろう。

創世神話の全てが揃っているといっても良い。

しかし、それだけだ。

創世神話の全ての資料が収められていただけ。

だが、ジュデッカの資料だけは、そこにはなかった。

ただ、異常なまで世界が崩壊しているなら、管理局の人間は誰だって気付いているはずだ。

しかし、未だにその報告が無いという。

正に、そのイエスというのは謎に包まれた存在である。

こちらの包囲網に気付かれずに簡単に世界は破壊されている。

どれほどまでに危険なものか。

だが、最初は自分が直面した事件を超えるほどのものではないと思っていた。

それと、同等か。

それ以下のものか。

それでも、興味というものは湧いてくる。

だから、考えてみた。

色々と考えてみた。

その、イエスの真実を。

イエスとは、一体なんなのか。

イエスとは、一体どういうものなのか。

それを掴んだのだ。

まだ、断片的なものではある。

しかし、それが真実ではあるのは確かである。

「まさか・・・そんなものが、存在するのか・・・?」

そう・・・これが、クロノ・ハーヴェイ。

目の前にいる、もう一人の俺と、今、戦うとしようか。














ヴィヴィオが泣き出したことによって、現れてしまった、天の岩戸で見た元は、正直、恐怖というものだった。

あぁ、あれほど、怖いものは見無かったよ。

あれは、何だろう。

そう、白い何かが、世界を食っているように思えた。

巨大な、蛇、いや、巨神?

アレを見たとき、一瞬かどうか、分からないが、紅い、紅い瞳が、悠介を睨んだ。

紅い、紅い瞳。

紅い瞳の、大きな何か。

世界を食らいつくそうとする、大きな何か。

恐怖。

恐怖。

それは、恐怖の何か。

世界を食らいつくそうとする、大きな何か。

それは、神と呼ばれるものなのかもしれない。

世界は、食らいつくされた。

一つの世界が、消滅してしまった。

そう。

今の世界にいるということに、どこか、凄いものが見れたような気がした。

「あれは・・・!?」

「世界が・・・食われてる・・・?」

最初の、第一印象と呼べる部分は、それだった。

その一言に尽きると言っても良いだろう。

怖かった。

足がすくんだ。

なぜなら、そこに、何も、無いのだから。

元あった、地球と呼ばれる、一つの惑星は、消えかかった。

いや、消滅したのだ。

13もある、巨大な何かが、一斉に、世界を食らいつくした。

しかし、一つの世界と、もう一つの世界が、融合しかけているのを見た。

「悠介。」

「おばあちゃん・・・」

その世界を見たとき、何かが、自分の中に、流れ込んできた。

思い出すのは、音羽山、母屋、扇子、何かの村。














「それで・・・リンディ・・・何から、聞けばいいのかな?」

今いる、家に、俺はいる。

俺は、存在している。

負けてしまった。

フェイト・テスタロッサ・ハラオウンに。

何もかも、負けてしまった。

俺は、負けた。

そう、思い込んだ。

バラバにも負けた。

負けたと、思い込んだ。

あぁ、負ける。

「だぁ・・・」

少年、浦島悠介の目の前にいるのは、幼すぎる赤ん坊。

セレスとエリス。

悠介のいる家の中にいる、二人の主の娘だ。

「今の状況・・・それだけ・・・・・・」

主の名前は、高町なのはの母親である高町桃子。

そして、フェイト・テスタロッサ・ハラオウンの母である、リンディ・ハラオウン。

裏切り者の母親が、この家の主で、悠介たちは、彼女たちの家にいた。

精神的に、不安定になっている、桃子。

それを、献身的に支える、リンディ。

「とりあえず、クロノは・・・元気で良いんだよね?」

「えぇ。最後に見たときは・・・」

ミッドチルダは、もう、食われたのだろうか。

「なのはさんと、フェイトは・・・敵か・・・」

「えぇ。俺の傷も、全部あの二人にやられました。」

悪びれることなく言う。

やったのは、あんたの娘なんだ。

そう、訴えるかのようだった。

新しくはやした腕が、まともに動かない。

さらに、足も動かすことができなくなっている。

悠介は体を動かすことができなかった。

フェイトに、だいぶやられたものが、まだ、修復中なのだ。

「フェイトがそんなこと・・・」

「したんだよ・・・お前の主が。アルフ・・・」

弱っている、一匹の犬がいた。

縋るように、悠介の傍にいたそうだ。

フェイトと、なのはを助けて欲しいと思うように。














「犬・・・?」

あの時、たどりついた場所は鳴海市だった。

天の岩戸から解放された、浦島悠介と、ティアナ・ランスター、高町ヴィヴィオ。

ヴィヴィオの、出した、黒いものが、まだ、悠介の中に残っている。

それが、体の中にとりついて、いまだに、取れるものが見つからなかった。

嫌みのようなものが、自分の中にあるような気がした。

夜の月の光に照らされた、その街は、鳴海市。

ティアナにとって、その降りた場所は、瑠璃が消えた場所だった。

海の公園の場所。

「あの人誰・・・?」

「あぁ・・・上司の、リンディ・ハラオウンさん・・・それと、アルフ・・・」

「おばあちゃんだよ?後、アルフさんは・・・フェイトママの使い魔なの。」

ヴィヴィオの祖母。

そして、フェイトとなのはの母親。

二人の子供を抱きしめていた、二人の母親。

赤ん坊である二人の子供。

何処か、嫌な感じがした。

(いや・・・?何が・・・いやなの?)

幼い声が、悠介の琴線に触れる。

幼子でありながら、どこか、妖艶と呼べる声の持ち主だった。

(ん・・・?)

声が、聞こえたような気がした。

その声には、何かを感じていた。

誰かは、分からない。

「信用できるのか・・・?」

それが、悠介の最初の言葉だった。

そこで、偶然に、リンディ・ハラオウンと、高町桃子、アルフと出会い、ここにいるということだ。

今、ここに敵が来るのだとすれば、迎撃に出れるのは、ティアナのみ。

全てを、彼女に委ねるしかない。

ヴィヴィオに至っては、やはり、一度、母を殺したことが尾を引いている。

しかし、立ち直れば八咫鏡を使用したことでの戦闘は、今後も、役に立つだろう。

しかし、本人が、あの調子だ。

一度見せた、眩い光の後に、襲い着たのは、憎悪の含まれた黒い光を放出した。

それは、アマテラスの力の暴走といえるだろう。

この、戦場だけは。













「やべ・・・考えたら、余計痛くなってきた・・・」

ふと、目線を下に向けたとき、ヴィヴィオが、そこで寝ていた。

冷えないように、アルフがヴィヴィオの抱き枕になっていた。

何故、フェイトはアルフを生かすのだろう。

まだ、人間としての自我が残っているのか。

別の自我と対立しているのか。

考えれば、頭が痛くなる。

もう、どうでも良かった。

「ずっと、いたのか?お前は。」

「ヴィヴィオは、眠りについていた。だから・・・相手してもらえないお前に・・・さびしくないかなって・・・」

アルフは、そう応えた。

実に、人間のような応えだった。

少し、アルフと言う生き物に、興味がでてくるが、フェイトの使い魔ということに、どこか、嫌な物を抱いてしまう。

そんな、自分の邪念を振り払うかのように、頭を振って、再び、天井を見た。

畳の上で、布団を叱れて、療養している自分の姿は、なんとも、ばかげた格好か。

何もできない自分に、本気ではらが経ってきた。

フェイトに対して、何も、出来なかった。

太刀打ちさえ、する事すら出来なかった。

戦わせまいとしていた、ヴィヴィオを戦わせてしまった事。

さらには、馬鹿なことに、母殺しまでさせてしまった自分に、嫌気がさした。

まだ、自分の力が、弱いことに、嫌気がさす。

自分が、弱いということに、本当に、嫌気が刺して、気持ち悪くなって、食した物を一気に吐きそうになるような感覚だった。

そう考えていた時、本当に、自分の中で、いやな物がこみ上げ、眼球が、この世の物を見たとは思えないほどに、見開いていることに気付く。

必死に、自分の口を抑えて、それを防いだ。

全身の毛穴から、気持ち悪いものが出て行くような、汗が吹き出る感覚に、何かが、引っかかる。

気持ち悪い感覚と言うものが、一気に吹き出てきた。

この、無機質なたたみ部屋が、また、あの時のように、黒に染まる。

その黒は、邪念の、黒。

眼球が、周りを見渡した時、嫌なヴィジョンな流れ始める。

「嫌・・・?嫌ではない。そうじゃない・・・?」

自分自身で、何を見ているのか解らなかった。

何を言っているのか、解らなかった。

「いや・・・やれる・・・?」

嫌な感覚と同時に、立ち上がることが出来る。わずかながら、腕を動かすことが出来る。

「本来のものであれば、兄様が向かえば、手に入れることが出来ましょう。」

目の前の黒を晴らすかのように、少女が近づき、向かってくる。

「兄様・・・」

「来ます。兄様。」

「何が?」

「彼女です。そして、彼女に、私のことを聞けば良いでしょう。」

「おい!話、噛みあってないぞ!!」

兄と呼ぶものは、そのまま、一礼をしながら、消滅した。

黒の空間から、この現実空間に戻ったとき、体が、また、不自由になる感覚を覚えて、崩れ去る。

そこには、ティアナ・ランスターが、横にいた。

そして、横には、人間体となっていた、アルフが眠りについていた。

ティアナは、対して、気にせず、悠介を見ていた。

「なぁ・・・一つ聞いて良い?」

「何?それと、こっちも質問。体調・・・まだ、悪い?」

「あぁ・・・まぁ、体調の方はね・・・まだ、回復してない。で、辛いこと・・・かもしれないけどさ。」

「ん?」

「瑠璃って子のこと・・・教えてくれないかな?」

「瑠璃・・・?どうして・・・」

「いや・・・辛かったら良いんだ・・・」

月村瑠璃・・・

「良いわ。何れ、あの子が、あんたに教えろって言ってたことだし。」

月村瑠璃・・・

またの名を、浦島瑠璃。

浦島悠介の妹であり、月村すずかと、月村燈也の娘である。

最終的には、月村瑠璃・ランスター。

ランスターの名をもらった、少女は、最後に、

「光になって、消滅しました・・・そういう話・・・」

そして、可能な限り、瑠璃の外見、瑠璃の覚えている限りの、出生を、全て話した。

覚えている限りの全て。

「ありがとう・・・それで良いよ。辛かった?」

「ん・・・振り切ってたつもりだったけど・・・あの子から、言われてたんだけどね。そういう感情を持ったままだと、神人としての、本来の力は、発揮できないって。」

「今まで、本領発揮じゃなかったん?」

「まぁね。」

今までの、出力は、出ていない。

瑠璃がいないときの出力と、いないときの出力が、はっきり、その身で解るほどだった。

その身で。

眠る、ヴィヴィオとアルフの頭を撫でながら、悠介は、思い出していた。

瑠璃と言う、少女の何かを。

瑠璃は、いわば、

「悠介の記憶の結晶体・・・」

「記憶?」

「そう。覚えてないかもしれないけど、ヴィヴィオを元に戻すとき・・・あの子は、無理して、力を振り絞ったの。」

本来、ミッドチルダにいる時間まで使って、ヴィヴィオを元に戻そうとした。

そして、ヴィヴィオは戻り、本来、それを見届けた後に、本来は消えるはずだった。

しかし

「そこで・・・貴方が、記憶を瑠璃に差し出すことによって、寿命は永らえた。」

そして、

「消えた。あの場所で・・・」

「どうも、降りた、あの場所は、懐かしいって言う感覚があった。」

「多分、あのこの感覚が、まだ、残っているから。あの公園の大木のところで・・・あの子は、消えた。」

そして、

「悠介を見たとき・・・あの子に似てた。」

「・・・」

瑠璃と言う、かつての、ティアナ・ランスターの彼女に。

体まで、重ねた仲だった。

ティアナは、そこまで、瑠璃のことを、話した。

「良い子過ぎたのよ・・・依存しても、可笑しくない子だった・・・」

依存しても。

依存しても、可笑しくない。

そこまでして、自分の妹は、

「良い子だったんだな・・・」

「うん。良い子過ぎて、困ってた。何れ、消えるのに・・・あの子を愛してしまったことに・・・」

「瑠璃・・・」

かすかにあるのは、妹の面影。

「写真もあるけど・・・見る?」

「あぁ・・・」

ティアナから、渡された、写真は、妹である瑠璃ガ映っていた。

言われたからかもしれないが、どこか、自分と似ているような気がした。

記憶のどこかで、彼女の存在が生まれる。

しかし、

「でも、本当に消えたのか・・・不安になる。」

「どういうことさ・・・?」

「前にも言ったでしょ?悠介の中に、瑠璃を見るって。」

「あぁ・・・」

「気のせいかもしれないけど・・・ここに来てから、余計にあの子の思念?見たいな奴が、強くなってる。」

「瑠璃・・・月村瑠璃か・・・」

起こしていた、上半身を、布団に、倒す。

本来、いなかった存在。

自分が、本来、二つだったものが、一つになった。

そして、分霊として、使い魔的な存在のものが、瑠璃。

もとより、使用しなかったもの。

「結構・・・俺って、残酷だ・・・」

「そう・・・かもね・・・」

どう、言えば良いのかわからなかった。

「会いたいの?」

「ん?」

ヴィヴィオの声じゃない。

誰の声か、わからない。

しかし、その声が、突然、現れた。

現れたのは、二人。

二人の、少女。

「まさか・・・あんた達・・・」

その二人こそ、セレスと、エリス。

高町家、ハラオウン家、テスタロッサ家。

神人と言う、分野を除けば、最強と呼べる部類に入る二人。

「ティアナお姉ちゃん。」

しかし、あの時、見た姿は、赤子だった。

まだ、零歳の、赤子だった。

「会いたいの?私も、会いたい。」

しかし、目の前にいる、セレスと、エリスは、9歳の少女の姿を象っている。

「でも、その前に・・・」

「殺しちゃえば良いの。」

「ママ達を苦しませる、二人のお姉ちゃんを・・・」

「殺しちゃえば良いの。」

「あんた達・・・何を言って・・・!!」

言うことが、少女じゃない。

いや、少女以前に、生まれたばかりの子どもだ。

それゆえに、無邪気で、母親を苦しませる人間が、許せなかった。

事情が、知らなくて、まっすぐに、純粋に守ろうとするのは、子どもの良くある癖だ。

その純粋な瞳の中にあるのは、殺意だった。

「殺すって、言っちゃだめよ・・・」

「でも、来るよ。」

「来ちゃうよ。」

それは

「ママ達を苦しませる、嫌いなおねえちゃんが、来ちゃうんだから。」

「ママ達だって、殺しちゃうんだから。」

「残酷なお姉ちゃん達は、許しちゃ駄目だよ。」

「ツクヨミ様。」

「アマテラス様。」

そして

「「スサノオ様。」」

知っている。

この二人は、知っている。

彼と、彼女達の正体を。

「許しちゃ駄目。」

「ママ達を、苦しませるのは、許しちゃ駄目。」

全ては、愛する母のため。

冷酷な言い方をする、純粋な少女達は、許しはしない。

「でも、私たちは、戦っちゃ駄目。」

「ママ達が悲しんでしまうから。」

許しはしない。

「だから、お願い。」

「お姉ちゃん達を、殺して。」

歪んだ愛情と言えるかもしれない。

その言葉と同時に、光が広がり始める。

「殺意の無い破壊は、単なる暴力。」

言葉と同時に、

「広がって、消えてしまう。」

障子の紙に、桃色の光が、広がり始める知っている光だ。

やはり、あの程度で、死んではいなかった。

やはり、生きていた。

やはり・・・やはり・・・やはり・・・やはり・・・やはり・・・

「ちっ・・・!!迎撃にでる・・・」

「バカ!そんな、体で・・・」

「だけどよ!!」

まだ、まともに動かない体で、どこまでやれる。

地面に、落下した、桃色の光は、爆発する。

「ちぃ・・・!!」

「私が出る・・・」

ティアナが、立ち上がる。

しかし、

「お前に、勝ち目は!!」

「私を、誰だと思ってるの?」

強がっている。

ヴィヴィオもアルフ、今の爆発で目覚めた。

その前には、もう、ティアナが、出ていた。

「ママ達が・・・来てる・・・」

「ティア・・・お姉ちゃんは?」

「もう出たよ。」

「出ちゃった。」

二人の少女は、ヴィヴィオに、そう告げてから、消えた。

「今の・・・ティアでは、勝てない・・・」

悠介は、呟いた。

「また・・・ママ達と、戦うの?」

「あぁ・・・」

何を、すれば良いのか。

この中で、創られた、記憶の中で動き出す。

かつて、ティアナが言っていた少女の面影。

悠介は、わかる。

ティアナと、高町なのは、そしてフェイト・テスタロッサ・ハラオウンの戦いは、絶対に

「負ける・・・」

悠介は、ただ、一言、そう言った。

また、

「俺は・・・何だ。」

記憶の中に、微かにある、祖母の記憶。

かつて、自分のいた部屋も、この部屋。

「婆ちゃん・・・・・・」

祖母・・・何か、全てにかけて。

「そうか・・・この戦いが終わった後・・・」

行くとしよう。

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