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ACT-ⅡⅩⅨ修羅」

やっぱり、悠は空っぽ・・・


「ッ!?」

ティーダは帰還してから、その異様さに、気付いた。

頬が、斬れて、紅く染まっていた。

そっと、手で触れてみると、掌に、血がべっとりとついた。

眼球を見開き、この事実をようやく、ティーダは把握した。

脳内で処理できない感情と言うのがティーダの中を駆け巡る。

「憐・ヴィオラ・・・」

やはり、かつての上司は強い。

結果として、脳内にそう、処理をしておけば次の糧になる。

いや、もう、戦う存在はいないとは思われるが、恐らく、此処には来る存在であると。

「戦いは避けないと・・・ね。」

そう、思った。

しかし、それだけだ。

仮に戦ったとしても、次は、勝利する自信は、どこか、あった。

お互いに、全力を出していないと言うのにだ。

「どうした?」

「バラバ様・・・」

「大丈夫かい?」

「えぇ・・・この程度の傷なら・・・」

しかし、傷つけられた覚えは無い。

それも、憐・ヴィオラなのかと、一人で理解する。

「凄いな・・・やっぱり、あの人は・・・」

そう言った後に、バラバが動き出す。

「貴方が、動くほどですか?」

別に、貴方が動くほどではないだろう。

故に、自分が行こうと思った。

「私が、行きたいのだよ。スサノオに・・・会いたくてね。」

そう、言いながら、バラバは消えた。

そして、ティーダは、傷を癒す。















「私・・・戦わなくて、良いの・・・?」

少女は、一人思う。

この状況で、敵が出たと言う状況で。

気付けば、いつも、護られてばかりだ。力はある。

しかし、戦うことは許されない。

「仲間を・・・皆を、護りたいもん・・・」

また、悠介を優しい顔に戻したいと言う、決意もある。

アマテラスの因果に縛られている少女は、ただ、操られていることにすら気付かずに、その血に飢えているのか、ただ、愚かな子供なのか。

いつからか。

ティアナと瑠璃の妹であり、いつの間にか、兄である、浦島悠介がいて、アルフがいた。

二人の母よりも、掛け替えのない、家族となっていた。

ヴィヴィオは、末娘。

まだ、幼すぎるから、戦うことを周りからは拒む。

未だに、その力は発揮される事もなかった。

発揮される事は、無かったのだ。

この状況・・・

あの敵に対して、明らかに、悠介は不利だ。

その敵の特性を見抜いた、ヴィヴィオはただ、走る。

これで、言い訳がないのは解っている。

戦っていないのは自分だけだなどと、力があるのに、戦わせてもらえなかった。

それは、中に、怖いと言う感情もあったからだ。

それを見越してのこともあったのだろう。

ただ、ヴィヴィオの中で、力のある自分が

「怖くて逃げていいの・・・・・・?」

と、唆す。

自問自答の中、ただ、幼き感情に流されて、少女は動く。

「また、逃げていいの?」

何もせずに、護られるだけの自分に、嫌気が刺してしまう自分がいるようだ。

「嫌だ・・・死ぬなら・・・一緒が良いよ・・・」

ある種、その決意は本物であると、自分なりには自覚していた。

だから、力を欲したのだろう。

そして、アマテラスの使用していたデバイスが、機能し始める。

「戦うんだ・・・足を引っ張るのは、嫌・・・!」

八咫鏡・・・

少女は、たった一つの言葉で目覚めた。

アマテラスが、動き出す。

光のアマテラス。

これから、また、機能し始めるだろう。

アマテラスとしての、機能が。

そして、目覚めさせた。














人の死体は、塵と化し、天使によって葬られた。

哀しみの奥にある、人を憎むという気持ち。

そのようにした、人間を憎む気持ち。

もとより、天使は、慈しみ深いものだ。

「もう少し、私が、早めにくればよかったね・・・許しておくれ。」

その言葉は、悲しくあり、そのようにした人間を許す気はなかった。

「さて・・・時空管理局の人間は、この命の代価を、その命で払うべき・・・何てのは・・・」

言わなくても・・・

「解るよね?」

姿は、表さない。

ただ、声が響くだけ。

聞こえるのは、歌声・・・

歌が終わるたびに、敵を侮辱する台詞が聞こえる。

時空管理局と言う最低の組織。

「まぁ、私の場合は、寝ていたから・・・本当にすまない。」

ただ、許さないは、その男の存在。

ハルモニア・・・

産まれた子供たちはことごとく不幸な死に方をしたため、神の呪いがこれ以上テーバイに降りかからないようにと、カドモスと連れ添いテーバイを出て放浪の旅に出た。

アンゲルスノイドの一人である。

アンゲルスノイドというのは、かつて、ジェイル・スカリエッティの息子である、アヤ・スカリエッティの母体となった、生命体である。

その、別種といった方が正しいかもしれないが。

「侵入者!?」

今更、何を・・・

そう、思いながら、悠介は、草薙の剣を呼び寄せて、同時に、瑠璃に、全員のデバイスの在り処を送ってから悠介は、目の前にいる相手を目にした。

「管理局の人間は、全員処分したよ♪その代わり、あんた達が家畜に扱ってきた、人間は、全部、助けてあげた。」

この者は、人を愛する。

しかし、人を愛さない人は、愛さない。

故に、殺す。

極論が正義といえるのが、この天使の言い方なのかもしれない。

「そこにいるあなたも、そう考えてるんでしょ?」

姿の表さない、ハルモニアは、そのように言った。

「この情景を見たときから、目の前にいる男を殺したいって、何度も思ったでしょ?」

「そりゃぁ・・・ね・・・」

目の前に現れたのは、天使は、顔に出ている悠介の確信を簡単につく。

簡単であるとわかっていたからこそ、隠すことなく、悠介も言う。

「さて・・・此処は、もう、救いようの無い人間しかいない。」

少なからず、このハルモニアの意見に賛同してしまう自分がいた。

「私は、まだ、優しい方だ・・・一度、罪に手を染めた人間を、主は許しはしないからね・・・かつての慈悲を忘れた・・・」

慈悲を忘れた、イエス・キリスト・・・

その分、彼の慈悲を受け継いでいる物が、この世界の、管理局の人間達を護ったという事か。

ただ、そう、思いながらも、喋りかける天使は、明らかな殺意を出していた。

向けているのは、テスタメントの人間達じゃない。

時空管理局の残党組織だ。

「主の考えは正しいかもしれない・・・でも、それだと、本当に救い様のある人間が、救われないことも解ってる。だから、私達を、此処に呼ぶ。」

「抑止装置・・・」

「ま、簡単に言えば、そう。」

慈悲を失う筈の無い物が、慈悲を失い、鬼となって、人を助ける。

修羅となって・・・

そうする事によって、優しき人だけが集う、世界が成立する。

そして、その心を常に・・・

常に簡単に言えば、優しき心であるようにするための指導者が、イエス・キリストとなる、理想の世界。

確かに、優しさだけの世界は理想だ。

しかし、それゆえに、あえて、修羅になることができる。

修羅になった、あの手の男は危険と言う事だ。

故に、幾つ物、並行世界を簡単に破壊する琴だってできる。

恐ろしいまでに、人間と言う名の感情を押し殺してまで、行う意味というのは、今の人間の心と言う物が、完全に、荒み、汚れきって、醜いものであるからだろう。

そのような、人間は、今、この世界に多いことはわかる。

故に、世界を捨てて、世捨て人になる人間もいる。

優しさが集い、理想の国家が、望みであるのなら・・・

選ばれた者達は、喜ぶべきであろうが。

やることが、過激すぎる。

理想に相応しい住人を探すために、世界の一つを丸々潰すという事を平然とできる、慈悲を無くした男に、悠介は、恐怖が背中を走る感覚を覚えた。

ある種、そのようなことを平気で行う男ほど、怖いものは無い。

改めて、自分と戦う敵の恐怖を思い知った。

かなりの、強敵であることもわかる。

「怖くないのか?」

「怖い?どうして?怖くないよ。私はね?鬼となってまで、理想に走る主が好きなんだ。」

一度、不完全になることによって、慈悲を捨て、自分の理想のために、全うする。

怖い人間なんだ。

世界のことを最も、良く考えているが故に、怖い人間と表現できる。

そこまで、変えてしまったのは、人間と言う生き物であるが、余りにも、醜すぎる、その人の心が、イエス・キリストと言う、一人の聖人君子に、決意を与えてしまった。

慈悲を置いてきた。

それだけの行動で。

「俺達人間の責任か・・・」

「うん。そうね。人間は、悪いわ。良い人も、悪い人に変えてしまうほどの、人間だって、いるわ。」

そして、

「人が人を作る・・・生命を冒涜した事も、平気でやってのける。」

生命の冒涜・・・

それは・・・

「見れば、解るでしょう?」

ナンバーズと呼ばれる、戦闘機人・・・

フェイト・テスタロッサ・ハラオウンと、エリオ・モンディアルと言う名の、プロジェクトFの遺産・・・

それは、人ではない。

仮初の魂を与えられた、人形であるといっても良い。

「生命の冒涜か・・・」

「そこに眠る、人間爆弾もね。」

「・・・」

「さらに、無作為に人を殺す物も現れた。」

自分の愛を受け入れてもらえることが出来ずに、暴走した、ユーノ・スクライア・・・

いや、しかし、半分は、

「嫉妬もあったけどね・・・」

燈也に対する、実力的な嫉妬・・・

なのはがフェイトのみに向ける特別な愛情への嫉妬・・・

「所詮、醜い人間は醜い人間なのかな?」

「それでも・・・」

「浦島悠介?君は、本当に、そう思うの?この男に、優しい部分があると思う?逢ったとしても、子供のとき・・・」

それでも、

「傲慢になるように、育てられた人間なら、子供時代から、狂っているんだよ?」

傲慢と言う感情に支配されて。

「ま、実際、そこにいる男は、酷い経歴・・・人を助けた事の無い、傲慢と金だけで、上に上り詰めた男。そのくせ、女を抱く事だけは上手いの。」

わからない、声に、どこか、恐怖を覚える。

姿を表さない。

男は、そのことに躍起になり、天使に向かって、叫ぶ。

この叫びは、自分が、この天使に勝てないとわかっているからだ。

それでも、大きな声で、虚勢を張り、自分は屈しないという姿勢を見せる。

「そう・・・なんだろうね。愚かだよ。」

そう、天使が言い放った後、男の近くに、死の香りがした。

ドサッ・・・

っと、言う音がした後に、男は、ヒッと、情けない声を上げた。

慣れていないのだろう。

やはり、このような組織で、椅子を暖めることだけは一人前といえる見た感じの男だ。

近くに、死臭が漂う。

男が、死臭の漂う方向に向かった時、死臭は、同時に消えた。

そして、男の気配も。

「弱い・・・よ。」

消したと言う事だろう。

いや、それと同時に、血の匂いと心臓の鼓動が聞こえてきた。

まだ、生きていたかと、悠介は呟く。

目の前にいる、天使の顔をした悪魔と言う存在が。

「いい加減、姿を見せたら、どうだ?」

「いいよ?簡単に言う女だ・・・」

天使に向かって、女と発言する、悠介の中は、内心、恐怖で焦っていた。

何せ、得体の知れない攻撃方法で人を簡単に殺す。

この女の場合は、それすらも、簡単に行っている。

日常であるかのように・・・

「ね?何が気に入らないの?」

姿を表したのは、やはり、天使だった。

綺麗な外見と、その翼は、正に、天使と言う姿に、相応しい。

「行け!!人間爆弾!!」

姿を表すのと同時に、

「それは・・・」

ハルモニアに突撃する。

「あぁ、愚かな人よ・・・」

浮かび上がる人間爆弾の姿。

それは、哀れな姿だった。

「ルールを・・・破ってる・・・人としての、ルールを・・・」

「人間とは不憫な物だね。」

ただ、

「それは、私もだけど。貴方達ほど、不完全じゃないわね。そういう所は・・・」

「本能だけに従う生き物なら・・・楽だったろうけどね。」

ただ、こうして、虚勢を張りながら、目の前にいる、天使と話すのは怖い。

迫る人間爆弾が爆発する前に、浄化される。

そして、終わる・・・

やっと、人間爆弾、人間としての全てが終わった。

一言発するたび恐れが、自分の体に具現化されて、言葉を言い終わる事に、唾を一回飲んでいる自分がいた。

恐怖・・・

それに、支配された、一人の男。

「そうだね。ね、人間に作られた、人形の話は御存知?」

「ピノキオ・・・?」

「いえ、それと良く似た物よ。」

良心の詰め込まれた回路を組み込まれた、一体のロボット。

最終的に、悪の言う事に従う服従回路を詰め込まれるが、それは、人間と同じ「不完全な善」と「完全な悪」の二面性を持った、「心」を持つようになり、放浪の旅に出て、終わる、ヒーロー漫画。

「幸せに慣れたのかしら?」

決して、人間である事に、幸せは無い。

機械のままでいたほうが、幸せだった事もあるだろう。

「さあ?ただ、続編だと、別のヒーローに自分の生きるべき道を示して貰ってたけどね。」

「最後の戦いで、このロボットは嘘をついて、敵を殺した。そして、兄弟を殺せる自分に悲しんだ。」

結果的に、そのロボットは、作られたとは言え、人間の持つべきではない心まで、持ってしまったということだ。

今の、この世界の人間の場合は、自然と悪に服従してしまっている人間が多い。

全ては、不完全な善意を持っているが故の結果と言う事だ。

不完全な善意は、悪意に屈する事が多い。

「これらの人間も、全ては自分達のため・・・」

人間と言うのは、もとより、不完全な生き物だ。

「そんな、心を手に入れるのなら・・・その主人公は、幸せなんかに離れなかっただろうね・・・」

「主は、そんな、人間さえも愛された。導く事によって、不完全な善は、完全な悪を抑える事ができる。」

ただ、その教えも、廃れ、人は、生命の冒涜と呼べる行いをした。

「それが、人が人を造る・・・」

と、言う事だ。

「知っているでしょう?」

実際、人の悪意だけで、創られた、二人の人間は、暴走し、ミッドを破壊するほどの悪意の力を持ったのだから。

ましてや、それを制御する事など、できるはずも無かった。

どの世界においても、人工的に作り出した人は危険だ。

与えられすぎた力は、人を殺す。

自分のものにならずに、自我を持ち、人を殺す。

そして、そんなものが、

「新たに、機械の骨を使った、単純に悪意だけの戦闘機人を造った。」

それこそ、

「その物語のように、人を殺すことを躊躇わない・・・人と同じ顔を持った悪魔よ。」

人類・・・

いや、科学と魔法と言う名の力が発展した、この世界でも、それは、危険な力だ。

「悪意だけ・・・?違う・・・それは、違う・・・」

「何が?」

「少なくとも、俺の知ってる、戦闘機人である、二人は違う・・・」

「でも、機械よ?プログラムさえ変われば、全てが変わるわ。」

そういう、根拠は

「人じゃないもの。人の形をした、物だもの。」

ハルモニアなりに、戦う理由は

「その傲慢を抑えるためでもあるわ。このままだと、本当に、消滅を迎えるから。人は・・・」

「力の使い勝手がわからない、馬鹿がいるってことね・・・」

「そうやって、己の傲慢に気付かない、人間のために、力の無い人間が死ぬ姿は、見たくないのよ。」

「だから、あんたは・・・その人間と共に、人形と言える、戦闘機人とか、簡単に破壊するのか?」

「あの、自我を持った人形は危険・・・」

故に、破壊する。

「それに、貴女は、嘘をついてる・・・」

「っ・・・」

「本当は、人類のためーとか、言いながら・・・何も思ってない。貴方は空っぽ。一時の感情で戦ってるだけ・・・」

「それは・・・」

確信

「まぁ、良いわ。ついでに、本来、ティーダ様たちの力があれば・・・とも、思ってる・・・」

「解っているはずだ・・・彼等の力があれば。」

それこそ、ティーダや、バラバ、クロノ・ハーヴェイまで来たと言うのに、一斉に破壊すると言う事をしない。

「言うなれば・・・単なる、意味の無いルールかしら。」

ただ、

「人を探したり・・・人を見守っているだけ。」

そして、

「本来は、そんなことをするのは、仕事じゃないの。」

天使と言うのは、主と言うのは、

「滅ぼすためではなく、見守るための物。」

故に、本来、殺すのは仕事ではない。

「どんな、極悪人でも、殺すのは気が引ける・・・それが、私の理由。」

そして、

「他のメンバーは、独自の理由。主は、人を縛りたくないから、それを黙認してるだけ。」

ハルモニアは歌う。

ラララ・・・ラララ・・・ラララ・・・

「助けろ!!生き残ったのだ!!私を!!」

男は、まだ、生きようとする。

しかし、悠介は聞くにもならなかった。

「消えなさい・・・」

悠介は首を落とした。

ハルモニアは、完全に消す。

「あの子達も・・・」

隠れていた人間爆弾・・・

「哀れだね・・・生命を、こんな感じに、冒涜するなんて・・・」

「・・・あぁ。」














「あんた達に、付き合うのは・・・ごめんだ。。。」

男はただ、そのように吐き捨てた。

勝手に引き寄せておいて、ヴィヴィオを人質に取り、デバイスをも没収しておきながら。

瑠璃は、流石に目の前にいる、デバイスを回収した。

「あなた方のやることに、問題があるから、天使は反応して、貴方達を殺すのではなくて!?」

今更、何を言っている。

そう、兵士の持ってきたデバイスをその手で、回収しながら、武器を構えた。

「瑠璃お姉ちゃん・・・行かなくちゃ・・・」

「ヴィヴィオ・・・?」

「行って来る・・・悠介じゃ・・・相性が悪い。」

そう言いながら、ヴィヴィオは、突如、姿を消した。

「私なら・・・できる・・・」

聖王形態になり、ふっと、不適に微笑みながら。

「ヴィヴィオ・・・!!」

「追いかけるよ!?」

「いえ・・・まだ、行くべきでは・・・」

「無いわね・・・やばいのが出ちゃったし。」

デバイスを展開したときに、唾を飲んだ瞬間に、冷汗が流れた。

「君は・・・相応しくない。」

その声と共に、やはり、あの男が来たのかと、嫌な物を想像した。

嫌な男。

殺戮など、相応しくない人間の殺害など、簡単にやってのける。

「ぐぁ・・・!?」

先ほどの、男の気配が簡単に消えた。

突如、現れたのは、兄である、ティーダ・・・

では、無かった。

バラバ・・・

見まごう事の無い、その姿に、誰もが戦慄を覚えた。

「アルフ・・・!?」

目の前にいる一人の男は、神獣と化した、その女を軽く戦意不能にした。

一撃の下に。

「ティアナ・・・そろそろ、答えを聞いても良い頃かな?瑠璃ちゃんと一緒においで・・・と、ティーダは言っていたよ。」

笑顔を絶やさずに、男は、そう言う。

アルフを一撃で倒した時点でその強さは折り紙付だ。

その威力は、高い。

高すぎる・・・

「お兄様を倒した者ですか・・・」

瑠璃は、恐怖で、ティアナの手を握った。

ティアナは、それを握り返す。

怖いのは、お互い様の事だ。

「貴方とは戦いたくありませんが・・・」

「逃がしては、くれないようね・・・」

ネクサスを展開しようとも思ったが、今は、それを許される状態でもない。

どう、逃げる。

この状態から、どう、逃げるのか。

「もう、やめよう・・・君達は、導き手だ。それに、君が傷つけば・・・ティーダが悲しむ。」

導き手と言う名の、テスタメント・・・

人を導くための、神の力を持っている存在。

「貴方の言葉で・・・ティアは、動かさせません。」

「ティーダ・・・君か。」

風を縫うように、その男は現れた。

ティーダ・ランスター・・・

「やぁ・・・ティーダ。」

「何のつもりですか。」

「君の代弁をしただけさ。」

「兄さん・・・」

ティアナは明らかに、ティーダが乱れている事を感じ取っていた。

「妹を、ティアと瑠璃ちゃんを導くのは、俺の役割だ!あんたは、下がっていろ。」

「そうか。すまない。」

そう言った後、バラバは、そのまま、姿を消した。

ここで、戦うのは、得策ではない。

ティーダが出てきたことによって、助かった。

ただ、目の前に敵がいることは間違いない。

緊張が解ける事は無かった。

「兄さん・・・」

「殺したくない。お前は、俺が動かしたいんだ。」

「兄さん・・・」

「お前は、見たはずだ。」

いままで、この人間・・・

いや、人間の本質と言う物を。

護られるべき物が、殺される世界。













そして

「貴方は、そのヴィジョンを見た。」

しかし、

「とある希望を得た。それが、知世と言う、女。貴方の、ガールフレンド・・・」

「どんな状況でも、あんな物を見るのは嫌さ・・・でも・・・あいつの言葉で、精神的に追い詰められた時、俺は・・・知世に何度も救われた。」

正直、

「一番愛してた。」

「そう・・・悲しい物だね。人って言うのは。君は、その、彼女や、仲間は・・・」

「殺された・・・お前達に。まだ、中学生の悠矢もいた。あいつの母親をしていた、葉子さんや・・・俺より、力のあった、正義さんも。俺の親友達も・・・!」

その程度の慈悲があるなら・・・

「何故、殺した。」

「最終的に、あの時、動いたのは暴走した主だ・・・気の毒には思う。」

あの時、

「主は人の毒を諸に浴びたのだろう。」

「諸に・・・ね・・・」

人の毒・・・

それは、如何なる物でさえも、狂気に変えてしまうものなのか。

「特に、最後を迎える世界の人間は、皆、そうよ?毒を諸に発散する。この世界でも、そう言う人間はいるわ。」

それが、

「瑠璃とティアナのみていた、一つの世界か。」

人間を人間と思わない。

此処では、管理局ではない人間は、人間として扱われていなかった。

仲間を殺した連中の手先とはいえ、言っている事は、間違いとは言えない。

そして、自分が、敵・・・

いや、目の前にいる天使・・・

は、ある種、人類の、弱者の味方である。

人は、また、何度もやり直せる。

「でも・・・もう、完全な悪って奴の心に汚染されれば・・・」

それは

「私たちの消さなければならない人間・・・」

「それなのか?お前が、いままで消してきた人間は・・・」

「えぇ。断言して良い。」

「なら、高町なのはと、フェイト・テスタロッサ・ハラオウンは、どうだ!あの二人は・・・俺の故郷を・・・赤子や、罪の無い、幼馴染まで、殺した・・・」

「アレは、試練よ・・・私も、残念だったわ。」

「何故、止めなかった・・・何故!何故・・・!」

あの戦場で、こいつらが着て、止める事は、出来たはずだ。

「私の場合は、まだ、目覚めてなかった。私の場合は、それが理由。でも、向こうには、ティーダ様が言っていた筈・・・」

「何で、止めなかったの?」

「試練だよ・・・テスタメントでなければならない。天使の力を持った、人間が、人間を導く。」

その力を、なのはとフェイトに与えた。

「それは、あの二人が、乗り越えなければならない、試練だったのさ。僕等の手を使わないでね。手を出していいのは、失敗した時・・・そう、一度、瑠璃ちゃんに負けた時のように・・・あのときだよ。」

「そんな、理由で・・・」

「俺等は、神の力を一人で自在に制御できる。」

しかし、

「普通の人間に、神の力を与えたときはどうだ?それは、確かに、別世界の外主の力は手に入れたようだが・・・」

それでも、導くには不足している力。

「結果、彼女たちは、導き手になる事が出来ずに・・・京都で暴走をしてしまった。彼には、悪い事をした・・・そう、思っている。」

「そんな、理由だったのかよ・・・・・・」

ティーダが語っている事を、悠介は、ハルモニアを通して、聞いていた。

「かつて、主イエスは・・・一度死に、蘇り、神となった。」

「テスタメントだって、似たようなものよ・・・」

しかし、

「なのはとフェイトは、その器を有していない。」

それだけで、それだけの理由で・・・

「俺の故郷の人間、全てを焼き払ったのか・・・そうか・・・そうだったんだ・・・はは・・・」

「落ち着け・・・君は、戦うべきではない。」

「そんなわけが・・・」

悠介の顔に、絶望が浮かぶ。

それと同時に、気付けば、体を動かしていた。

ティーダ・ランスターを殺すために。

衝動的なものだろう。

「ある・・・か・・・よ!?」

止められた。

何か、見えないものに、止められてしまった。

ハルモニアの前面に、幅広く、構成されているような。

「音の壁・・・私、ハルモニウムの能力。」

だから、

「行ってはだめ。音は、具現化されるわ。そのまま・・・貴方は、行ってはだめよ。」

「そんなもの・・・」

草薙の剣を鞘に納め、抜刀術の構えを取った後に、刃に力を挿入した後に、得意の縮地で眼にも映らぬ速さで、敵の音の壁を突破し、そのまま、ハルモニアを破壊しようとしたときだった。

刀を抜き、刃が、音の壁に当たる。

しかし、縮地を使ったが故に、突発力はある。

まだ、終わった訳ではない。

「!!」

悠介が、筋肉に力を入れ、戦闘モードに完全移行した時に、音の壁を破り、ハルモニアは倒さず、そのまま、進もうと思った。

しかし、

「何故、戦う?故郷をやられたから?やっぱり、一時の感情だよね・・・?それしかない。それとも、知世が殺されてしまったこと?」

いつのまにか、ハルモニアが楽器を取り出していた。

「笛・・・・・・」

フルート・・・

それを口に当て、吹いた時、悠介は、何が起こったのか解らなくなった。

吹き飛ばされていたからだ。

そして、壁に直撃し、血反吐を吐いている自分がそこにいた。

気付けば、飛ばされている。

何が、起こった。

高町なのは以上の砲撃を喰らった様な、そんな、痛みだった。

一回だけではなく、

(五回・・・?)

ドク・・・ドク・・・ドク・・・鼓動が走る。

「私の武器は、音。音の発するスピードは、君の居合より、速いよ。いや、音って言うより、音波かな。」

そう、言いながら、

「っ・・・!?」

音が、しっかりと具現化した。

「やろうと思えば、何でもできるわ。これで、音波でソウルディストラクションを放つ事もね。元より、普通の人間が、神の力を手に入れる。私たちは、その力を平気で使えるわ。」

でも

「一般人が、ただの人が、神の力を制御するのは、私たちの力もなしに、使いこなすと言う事よ。」

それが

「所詮、人は人。神の力など、使いこなせず、堕ちる・・・のみ。」














それは、

「解っている筈だよね?ティア?」

使いこなせずに、暴走した、

「ただの人間だよ。あの二人は・・・ただ、人が憧れる才能しか持っていないのさ。それに、ティア達だって・・・止めることは出来た筈。ただ、皮肉な事に、そうでもしなければ、彼は救世主にはなれなかった。いや・・・」

あの時は・・・

「ティアナ達でも、止められなかったか・・・天使の器として、一応は機能していたから。後、11体だけになった。」

だから、

「止めるべき人間が、止めるべきだったね・・・」

ただ、

「あの世界で死んだ人間の命は、主の所に行く・・・それが・・・救いだね・・・」

「それより・・・何よ・・・」

「何が?」

「11体?」

「あぁ・・・13体の天使のコア・・・主しか知らない、侵略用・・・いや、粛清用の兵器・・・でも、知っているのは、実力と名前だけ。」

埋め込まれた、なのはとフェイトの体の中に。

「二つのコアを半分にしてね・・・戦闘が始れば、最高の天使の力を得ることができる。」

それでも

「ウリエルは最低で、さっき、戦ったラジエルはそれ以上の実力だ。」

しかし、

「まさかの、レイディーンの内部侵食で、驚いたけどね。」

そういいながら、ティーダは、ハルモニアの戦いを感じていた。

「高町なのはと、フェイト・テスタロッサ・ハラオウンは、弱いよ。」

「そんなこと・・・あるわけない・・・!!フェイトは・・・!!」

「「相性が悪い・・・天使を殺すにも。。。此処じゃ、ぺしゃんこだ・・・」

密閉された空間では、逆に不利だ。















「ソウル・・・イグニション・・・」

一気に鎧に包まれ、悠介は、穴を開けた。

そのまま、地上に出ようとしたが、変身しようとした時に、音の槍が悠介の体に突き刺さろうとした時だ。

「ー♪」

目の前に、ヴィヴィオが現れた。

死ぬ気か。そう、言おうとした時、吹っ飛んでいたのは、ハルモニアだった。

何故・・・

ハルモニアが、飛んでいる。

気付けば、ヴィヴィオが、鏡のようなものを展開させていた。

「アマテラスのデバイス、八咫鏡・・・!!」

本当は

「戦いたくなかったよ?」

「お前は、引っ込んでろ・・・!!子供が、戦って良いもんじゃない!!」

「だって、私、力があるもん!!」

「力とか、そう言う・・・」

「皆、戦って、傷ついてるんだよ?それなのに・・・私だけ見ているのはいや!!」

ソウルセイヴァーになった状態で、ただ、立ち上がる、ハルモニアをよそに、

「お前は!!」

「だって、悠介に死んで欲しくないもん!!」

大体、

「悠介、押されてた・・・今の、私がいなきゃ、あの状態にならなかったもん・・・」

「そうじゃなくて、子供が、戦場に出るもんじゃないだろ!?」

死んでほしくない。

だから、怒鳴る。

しかし、ヴィヴィオは解ろうとしなかった。

「だって・・・」

「子供の言い分が、一々、通ると思うな!!」

それに

「必要ない・・・アマテラスの力なんて!!」

「どうして、そう、言えるの?!前だって・・・あの天使と戦った時だって、正直、勝てなかったじゃない!!」

勝てたのは、確かに、奇跡的な部分がある。

しかし、それでも・・・

「まだ、不安定なんだよ?下手したら、私より、悠介の方が、死んじゃうかもしれないんだよ?」

「何も見ていない、子供が、勝手な事を・・・」

「見てるもん・・・」

心配そうに、俯く、ヴィヴィオに、まだ、何もいえない自分がいた。

子供に、口で負けた。

ソウルセイヴァーになった時、ただ、中で、聞こえない舌を打つ。

「参戦するなら・・・足は引っ張るな・・・」

それでも、使うものは使う。

「まさか、アマテラス参戦なんてね・・・誰も、聞いてないよ。この状況で・・・諸に、自分の攻撃受けたの・・・初めてだ・・・」

腹部を抱えながら、ハルモニアは立ち上がる。

「ラー・・・・・・」

「音波!?」

こえが、歌声が綺麗な声が、地面を抉り、突き進む。

ヴィヴィオは再び八咫鏡を展開した。

「でもさ・・・それ・・・正面でしか、対応できないよね?」

だから、

「分身したか・・・」

「此処は、どうかな!?」

分身したハルモニアが一斉に音波で攻撃しようとする。

しかし、悠介は、ヴィヴィオを抱えて、天井を突き破り、そのまま、ハルモニアの十字砲火を逃げる。

そのまま、それを追うかのように、ハルモニアの砲撃が、ソウルセイヴァーを襲う。

ソウルセイヴァーのスピードを音速にしながら、追撃する音檄を睨みながら、上昇し、雲を突き抜けていることに気付く

「私が何とかする!!」

八咫鏡を下に向け、音撃を反射する。

それが、再び、雲を貫き、同時に、ヴィヴィオは息遣いがきつくなる。

酸素の薄い空間・・・

「お前、アマテラスだろ・・・」

「そうでも・・・!!」

「少し、我慢しろ・・・」

きつい物は、きつい。

「来た!?」

シャン・・・

シャン・・・

風を切り裂く、音がする。

それと同時に、音が色を纏ったような形で現れ、巨大なカッターがほぼ、零距離に近い状態で作り出した。

音から作り出された、カッターに対処は出来ない。

紙一重で避けた後、ソウルセイヴァーは、ヴィヴィオを庇うように、降下した。

「----------♪」

歌声が、響く、色のついた、音を見分けながら、ヴィヴィオの八咫鏡で反射させ、全てを返す。

後ろから来る、音は、感覚で避けるしかない。

それしかないのだ。

「ちぃ!?」

砲撃の威力は、アルカンシェル以上・・・

その、おぞましい音の色は喰らうのも怖い。正直、大地に、音の砲撃がつかないのは、天使の力であるということだろう。

上に出たのは、ある種、こちらにとっても、向こうにとっても、有利だった事に気付く。

「殺す気でいかないと駄目ってことね・・・」

悠介は、ヴィヴィヴォを廃墟の上に置いた。

ここで、無限斬状態となった、刀を振り回し、辺り一面を破壊しながら、全てを破壊する。

それで行こうかと思ったときだった。

別の場所から、殺意が湧いてきた。

それに反応したのか、天使は、何もしていなかった。

天使も自分の力は感じているが、別から現れた殺意は天使を失望させた物だった。

ヴィヴィオを連れて、大地に降下したとき、その、上空に、ハルモニアがいたことに気付き、さらに、光が収束され、全ての光が、撃ち放たれた。

それは、ハルモニアに一点集中されたものの、元より、天使にそのようなものは無意味だった。

「---♪」

音の刃物が出現し、辺りを回す。

歓喜の声を上げるかのように、デバイスを持った、腕を舞い飛んだ。

悠介はソウルセイヴァーモードから、スサノオ形態に変化し、ハルモニアを待つ。

「それ、周りにいる人間を殺すための物?」

全てを見透かしていたかのように、一人の男が現れた。

「ティーダ様・・・」

「人は、変わらないね。此処と同じように。」

また、管理局の残党か。

どれくらい生きているのか。

そう、思いながら、ただ、悠介は、状況が、飲み込めずにいた。

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