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姫子先生と千歌音ちゃんのバレンタイン(つ=ω=)つ

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はい(つ=ω=)つ


 「宮様……か。」
 今日の授業で使う美術のプリントを見ながらボーっと真っ白に染まる都会を眺めていた時だ。まだ、この季節なのに寒くなる世界は冷酷に見える。白い幻想なんて小説で良くつづられる世界の中が広がる中で外に出ることは嫌悪に近い自然の侵略がある。何度、その銀世界の美しさに心奪われても、結局は人の生活を害する自然の送り込んだ侵略者にすぎないのだ。そして、それは教員という職を送る姫子にとっても可愛い侵略者というのは側にいる。
 宮様、姫宮千歌音を呼ぶときは、たいてい、彼女と同年代の人間は、そう呼ぶ人が多い。
 二重人格とでも言えてしまうくらいには自分の側にいる時と、自分と離れている時の顔が違う。品行方正な態度を出して皆から慕われる宮さまを演じて、学校では、そういうスタイルで行くのかと思ったら、姫子が来ると途端に少女姫宮千歌音に戻る。ベッドの上で無邪気に甘えてくる千歌音を知ってしまってからは、時折、どちらが本当の千歌音なのか解らなくなる時がある。
 姫子がいれば平気で宮様の仮面を捨てて甘えてくるし、それでも離れてしまえば説得力の無い優等生を演じるが、周りは、どちらも可愛らしいから、それはそれでいいという。それは千歌音の本来、持つ気品が、そうさせるのかもしれないと思いながら納得はするものの。しかし、宮様としての仮面が外れて本性がバレてしまった今、それでも恋する少女の姫宮千歌音としての自分を続けながら、結局、砂糖菓子のように溶けてしまう宮様としての仮面としての仮面をつける意味は何処にあるのだろうか。それでも自然と出てしまうお嬢様的な仕草から宮様と呼ばれる分、生まれついた処世術のようなものは簡単に捨てられないものなのかもしれない。
 しかし、そういう仕草と言うのは他者が勝手に与え続けたものだし、自分が捨てて恋する乙女になっても問題は無いということなのだろう。とはいえ、そういう部分を見せて戸惑う人はいたが、人の適応性は早い。数週間で、そんな千歌音も悪くないと受け入れた。最初は夜の適応がなく、九時過ぎになれば寝てしまう女の子だったというのに、成長するにつれて夜への耐性を付けてきた、まだ姫子が高校生だった時のことを思いだした。
 「凄い雪ね。姫子」
 「そうだね。」
 無邪気なセリフに聞こえながら他愛のないやり取りをしながら、姫宮千歌音は朝の気だるげにとりつかれたような顔で外を眺めてから最愛の人の白い肌を見つめるために振り替える。朝に寒い体験をしないで職場に行けるということは幸福だ。
 しかし、それでも気だるげに姫宮千歌音は流れる極悪な寒さが支配する白い世界よりも家でこたつの中で愛する人とゆっくりしたいと流れるような青い髪を姫子の髪と絡ませながら愚痴をこぼす。
 来栖川姫子は、登校に使用する自分専用の車で恋人を乗せながら運転をする筈で、本来なら、千歌音が助手席であるもの今日という日が乙女の中では、で、あるはずなのだが、どうも今日は姫子と千歌音の担当メイドである乙羽が空気を読んで自ら運転手を務めて二人きりの時間を作ってくれる。
 しかし、逆に、これが空気の読めないことになっていて、本来なら車の中で今日の授業の内容とか、恋人同士の赤裸々な会話なんて言うのが恥ずかしさから出来なくなってしまっている
 。ある種、誕生日や結婚記念日に相当する分、こうして一日中、一緒にいられる時間が増えるのは何よりもありがたいのだが、ありがたいと思いながらも、どうも運転手がいることと、そして二人と一人という特殊な空間となると大っぴらに出来ることは恥ずかしい。
 来栖川姫子は既に教師としての仮面を被り、千歌音に甘えたいという欲求を封印しながら今日の職場で使う書類を、ちゃんとあることを確認してから安堵の息を吐いて、外の様子を眺めた。
 ピンクのシャツの上に羽織ったスーツと膝から下が無い薄黒いスカートを身に纏う。露出して寒い部分は黒ストッキングが足を覆って、妙にぴっちりした感覚が心地いい。髪に留めた大切な千歌音からもらった、どこぞの平安歌人の漫画の慕う定子の如く大きなリボンが特徴的で、どうも年の割に童顔で体系はスレンダーで官能的なボディラインと千歌音は言うが、それ以上に同じ官能的なラインで主張の激しい胸を持っていないのが悩みの種である。それでも姫子のバストサイズは平均よりも少し大きい。だが、これでも大人になったのだから、少しは変わってくるとでも思っていたのに早々、変わらないことに悲観しながらも隣で、そんな変わらない自分のを心から愛し気に見つめてくる視線を思えば、どうでもよくなってしまう自分の図太い精神構造に呆れてしまいそうだ。
 どうなろうとも恋人が悦ぶのならというベクトルで動いている。
 焼くような視線に、恋人に長く愛撫され続けて膨張した胸が少々、きつい。昨日のベッドのことを思い出して心地よい溜息から、ふっと息を吐くと白く、それは車の外の世界が白く覆われているというの現実を映す証。
 車の外になると、極寒に身を震わせて叫んでいる社会人たちの断末魔が聞こえてきそうだ。見た目の白銀の美しさとは真逆の寒さは美麗な地獄とでも称したくなるし、未だに人の叡智は自然を支配できないのだろうと思いつつ自分も愛する人のことで自制が出来てないと思えば、人一人どうにもできないならそれは永遠に無理なことなのだろうからこそ、こうして千歌音は姫子と身体を密着させて最高の暖を取る。
 車の間にある微妙な隙間の間にも平然と侵略してくる寒さに哲学的なことを考えながら逆にメイドが一緒になったからこそ赤裸々なことを離せない環境に面白さを感じなくなったのか姫子の指と自分の指を絡ませて更なる暖を取り始めた。
 「ん?」
 そんな千歌音の感情を理解せずに書類をバッグにしまった姫子は、突如、肉体に忍び寄るよる這うような感触に背筋がゾクっと一瞬、走ってから身震いをして己の体を両手で抱きしめようとしたた時だ。優しく暖かく絡みつくような感触が右手をつたって全身に走る。眼球を、そっと温かさが蔦ってくるスタートラインに目を移せば当然といえば、当然だが、長く美しい切れ目が特徴的な顔の蒼い髪の美少女が退屈と不満を混ぜ合わせた顔を向けて隣に座っている。そんな顔を見せられてしまえば、姫子は平然と教師としての仮面を脱ぎ捨てる。
 学園の赤と白のコントラストが目立つ制服を身に纏い、黙って見ていれば大人な顔立ちに思わず胸が締め付けられるような緊張感が生まれる。不満に満たされて切なそうな顔をして、運転席にメイド入るものの、ここは二人きり、何か他愛ない話でもすればいいものの、それすら忘れていた。
 しかし、何度見ても、この生まれ持った天然の美貌と言うモノを見てしまうと化粧をした女と言うのは所詮、小手先の美貌でしかないと実感してしまう。姫子も、千歌音の言う通りすっぴんで入るのだが、どうにも自信がない。
 姫子が見ていることがうれしいのか蠱惑的な微笑が姫子を虜にしようとする。吸い込まれてしまいそうな悪戯で妖艶な瞳が、いつもは猫を被っている大人な雰囲気の奥にある少女らしい本性をどこであろうとも姫子の前で晒す。無論、それは職場である学校であってもだ。
 昨日は大きな猫になってしまったかのように裸体のまま抱き着いて離さなかった千歌音のことを思い出しながら、腰まで伸びて姫子に絡みつく千歌音の臭いを堪能して、学校に着くまでの数分間、甘える彼女のされるがままも悪くはない。
 「どうしたの?」
 「なんでもないわ。」
 貴女が、やっと私を見てくれるから。
 と、声にせずに口を紡ぐ。
 目を瞑り猫のようにマーキングするように頬を肩に擦り付けて甘えてくる姿が愛らしい。当てているのか、年の割には大きく柔らかい千歌音の胸が姫子の腕を撫でて、変に緊張する朝の出勤に癒しを与えてくれる年下の大事な彼女。
 出会ったときは、まだ、彼女は6歳の女の子で、そして、今は学園で宮様と呼ばれるほどの人気を持つ高貴な印象を持たれている美少女。あの時から全ての人に慕われるような大人の女としての雰囲気を身に纏っていた。そして、あの頃からあざとく、子供でありつつも、一目惚れした姫子に大人の色気を醸し出して迫ってきていた。
 だが、彼女も普通の女の子だと思うこともある。学校では宮様と呼ばれていたりはするが、それが重苦しくなるからイメージを壊そうとするように、露骨に学校でも姫子に甘えに来る姿は小動物のようで可愛い。そういう普通の女の子の様子を見ていると、可愛く映りすぎて、甘やかしてしまうのだろうし、そうして、今の千歌音を形成したのだろうと冷静に考えれば思う。彼女の中では宮様、姫宮千歌音の表しか見ていない人もいるだろうし、一人の女の子として見る人は姫子が千歌音のいる学校に入学する前まではいなかったようだ。
 千歌音からすれば、そういう部分からの解放というのがありそうだが、ただ、この状況を考えてみると愛しすぎて、教師になったことを良いことに権力を使い関係なくイチャイチャしたいというのがあるのだろう。姫子からすれば大学卒業と同時に教員免許を取って都合よく就職というのはあまりにも出来過ぎた、この現代において考えられる可能性は姫宮家の圧力に近い何かだと普通に思っている。
 ただ、そのおかげで、こうして千歌音の学校に赴任し、千歌音のクラスの担任になれたし、それはそれで姫宮家には感謝せねばなるまい。
 「どうしたの?」
 「んー、千歌音のクラスの担任になって一年近くが経つんだなーって。」
 優雅な蝶になるかのように妖艶な雰囲気を纏って迫ってくる。
 「姫子先生……」
 うっとりするような、ただでさえ甘いパンケーキの上にメープルシロップをぶちまけたかのような甘い声が耳の中を激流のように侵略する。心身が蕩けてしまいそうなほどの千歌音の声。こうしていると、普通の自分に恋する女の子であるということを何度も実感する。ぽかぽかする人周り近く離れた恋人の肌は常に暖かい。髪を絡めて、徐々に一本一本、確かめるように指も絡ませ合うたびに、太陽のような姫子の髪と、月が浮かぶ夜空のような千歌音の蒼い髪が美しいマーブルを描くように三つ編み上に絡ませる。このままになっていれば、永遠に結ばれるのにとか、学生らしい甘い妄想に身を委ねながら姫子と一緒に眠りにつきたいし、姫子に頭を撫でてもらいたい。姫子の鼓動を感じることに童心も顔も子供に戻る千歌音の顔は何よりも自分だけが見れる千歌音の姿そのものだ。このまま本当に膝枕に身体を埋めて、猫のように甘えてしまおうか。このまま仮病を使って二人で朝までラブホテルで。それも悪くはないと思っていた時だ。
 「千歌音様、姫子様、着きましたよ?」
 空気も読めずに距離というのは呆気なく縮こまんで車は既に学園の敷地内にある駐車場に止まっていた。
 扉の向こうに広がる白銀世界に出る前にあらかじめ用意していたコートを身に纏い、先ほどまで三つ編み上に結っていた髪を解いた。一瞬、寂しさのようなものを感じたが、これからは教師と生徒として一日の半分を過ごすし、千歌音は学校でも姫子の前ではいつものように接するのだから問題はあるまい。だが千歌音の顔は見るからに不満しか感じないし、これからのことを惜しむように憂鬱な顔を浮かべて肩を落とす姿に妙に罪悪感が湧いてしまう。姫子は肩を落とす千歌音に、そっと「それじゃぁ、今日は大事な日だからって羽目を外さないようにね?」と耳打ちして「解っているわ。姫子に迷惑はかけられないもの。」と静かに声を走らせた。その頬には少々、赤く染まっている。
 車の中でいつもすること。
 そっと唇を尖らせて甘い香りを漂わせる、いつもの誓いに胸をときめかせていた。
 「千歌音、愛してるわ。」
 姫子の顔がゆっくり近づき、千歌音の玉のような言っても過言ではない綺麗な肌に吸い寄せられる。ここから襲い掛かる全身を侵略する千歌音が姫子だけに発して包み込む誘惑の空気。いつも、この場所で千歌音を押し倒したいという欲求に駆られてしまいそうだ。
 キスを言い始めたのは千歌音から。
 瞬いている間に発せられる呼吸から感じる甘めの、今日というイベントを司る臭いが鼻孔を擽る。媚薬のように全身に駆け巡り、姫子としては、このまま押し倒したい。身体が熱くなる。胸の先端にしこりの様なものを感じてしまうほど、この強烈な媚薬には酔ってしまうほどの効力があるのは何度も体験しているし、さらに、この誘惑には抗体と言うものはまるでできない。全く自分を蝕むウィルスというのは愛というのなのエゴで満たされている。それを思春期で、性に敏感な千歌音は何度でも姫子を、こういう状況であれ誘惑してくる。
 休日であれば、その誘惑に載って一日、爛れた時間と言う名の微温湯に、この身体を埋めるのも悪いことではないだろう。全身を痙攣させるほどの甘く淡い今日のイベントを司る千歌音の臭いは、どれだけ頑張ってきたのか解ってしまう。全身が、そんな自分の為に必死になる千歌音の可愛らしさに、このまま押し倒して職務を放棄してしまいたい。
 渦巻く愛と言う名の欲望を無理やり抑えるのは苦労させる。千歌音からすれば、苺のように紅く染まった頬から、このまま姫子には押し倒してほしいという願望が見え隠れする。
 さらに今日は千歌音たっての希望で下着まで交換している。普段は清楚感漂う白の下着を身に纏っているのに今日は千歌音が姫子を誘惑するための派手な高級な下着を身に着けているのだから。それも、先ほどまで、家を出る前に千歌音たっての希望ということで仕方なく、その我儘を聞いて千歌音の下着を身に纏う。先ほどまで千歌音が身に纏っていたのだから、その体温の何もかもが姫子の肉体を侵食して発情の引鉄を引かせようとする。
 性に興味のある女学生仕掛ける罠と言えば可愛いものだが、それに単純に引っかかってしまう己の甘さを姫子は呪う。そして、これをも我慢した今夜のベッドは、とても激しいものになるだろうという千歌音の目論見は見事に成功したわけだ。複雑だが淫靡な要素を纏い緊張から芽生える千歌音への衝動を抑え込もうとすればするほど、全身が粟立つ。
 「姫子……」
 「誘ってるようにしか見えないよ?」
 乙羽がいようがいまいが、関係ない。
 潤んだ水気のある官能的な唇で誘われてしまえば、意識は全力で理性という壁を崩壊させる。解る。乳頭が勃起して下着の記事が擦れるたびに微小な電流が心地よい衝動を与えて身に着けている下着が気分の高揚でぐしょぐしょになる寸前で気持ち悪いが、これで脱げば、また危険で糸引いて千歌音への劣情を抑えることが出来ずに保健室で一時限目を潰すことになるだろう。
 人の壁は理性が一番壊れやすい。
 それは、この千歌音の誘いを受けて何度でも経験していることだ。それを狙っているかのように意識を全て千歌音に集中させるようなことをするのだから、千歌音が悪い。
 だから、何度でも何度でも姫子は千歌音が逃げないように恋人繋ぎをするようにしながらも逃げように抱きしめて唇を重ねた。砂糖で作った城のように、その甘さに導かれて簡単に理性を殺す。許されるならラブホテルのベッドの上で、その肢体を永遠に貪りたいと思うのは職業から生まれる教師という仕事によるストレスが胸の内に溜まる部分もある。
 「お嬢様方!?」
 が、そういう訳にも行かないのは言うまでもない。
 大きなため息をついてキスだけで終わらせるというのは随分とも酷なことをさせると目の前の大人顔負けの美貌を持つ少女に悪態をつきながら、唇を重ねた。車の中で誓いのキス。じんわりと今日と言う日を象徴しているかのように広がる、いつの間にか口に含んでいたのか千歌音の口腔の中でどろどろの液上に溶けたチョコの香りが姫子の中で広がる。これだけで昨日、頑張っていたことが解るくらいには微笑ましくなる。
 「さぁ、行きましょうか。」
 「えぇ。姫子。」
 外の銀世界は既に細胞を殺してしまいそうなくらいには冷え込んでいた。
 熱が逃げないように、手を繋ぎながら一緒に校舎の中に入り、そして、別れ際にもう一度、軽めのキスが二人の当たり前。これからは放課後まで二人は教師と生徒という関係になる。姫子は教師と言う名の仮面を被り、千歌音は名目上、生徒としての仮面を被り節度ある人間として半日を過ごすことになる。
 「今日は楽しみにしてて?」
 「うん……」
 信頼の笑みを浮かべて姫子は先に行く。
 少女の吐く息が外気によって物質になりそうな程の寒さに震えながらも手を繋ぐ二人の間には甘く熱い空気が流れていた。
 「はぁ……真面目ね……」
 教師の仮面を被った真面目過ぎる態度の姫子は嫌いと言う訳ではないし、凛々しい顔立ちで授業をする姫子に見つめられるのは好き。しかし、ここからは、どうアプローチしてもよほどのことが無い限り、快楽に靡くことはないだろう。しかし、先ほどの情熱的なキスの中で千歌音の肉体と精神は姫子を学校でも求めるようになってしまっていた。
 それは姫子も同じなのではないのか。長年、一緒にいれば、この季節、この時期、姫子がどういうことを考えているのか手に取るように解るくらいには一緒にいる。人には二面性がある。白く美しい仮面の奥には冷酷な部分があるのが雪と言うものなら、姫子は教師と言う仮面の奥に千歌音と一緒にいたいと言う快楽を求める愉悦の本性がある。
 「なら、それを壊してしまうのも……」
 まるで悪女のような微笑と愛する人から与えられる愉悦を我慢できない顔を浮かべながら千歌音は校舎に入っていった。


 外の凍獄と言っても誇張ではないほどの極寒の地である首都東京には今日も全身を貫くような風が我が物顔で吹き荒れて苦しむ人々を尻目に最愛の彼女である姫宮千歌音のリムジンで夫婦同伴登校をしてきたのを思い出す。あの時に味わった優越感というモノを思い出しながら同僚の家庭科担当の教師が作ったホットチョコレートドリンクを飲み干してから美術教師である来栖川姫子は最高の朝だ。
 そんなことを言いながら、この職員室と言う名の隔離された空間の向こうの異世界にも思えてしまう外の嫌味であるかの如く降り注ぐ雪の様子を見つめながら大きな幸せの溜息をついて、今晩、起こるであろう嬉しい出来事と、これから起こる憂鬱なことを淡々と脳裏で思い起こす。
 この寒さから来る職員室から出た自らが担任をするクラスの教室まで足を運ぶことからくる超絶的な気怠さであり、もう一つは最愛でありながらも我儘な恋人の喜ぶ姿が見たいからと言う部分もある。人間であるからこそ都合の悪い部分は斬り捨てて、良い処だけを妄想しながらホットチョコレートドリンクの入ったカップは内側に茶色い綺麗な甘い輪を残して姫子の身体に暖かさという潤いを与えていく。
 しかし、この暖かさと香りは、余計に脚を重くさせて暖房のきいていない廊下に足を出すことを躊躇わせる。時間ギリギリまでいてやろうと、ぼーっと大地を白一色に埋め尽くす光景を見つめていていた時だ。
 「あ、ありがとうございますっ!」
 「いや、構いはしないさ。」
 突如、聞こえた黄色い少女の声が耳に響き、声がする方向に耳を少し傾けてみれば特徴的で骨とう品を思わせるような片眼鏡と、世界を映す金色の瞳は先ほど、生徒から渡されたのだろう。
 愛らしく包み込んであるプレゼントを両手に持っている。如何にも学者らしい服装をしながらも、足をスリットで隠して、それでいて、ちらっと露出している白い太腿を見せつけるのは生徒たちの劣情を煽ると有名らしい。腰まで伸びた高級絹のような黒髪を踊らせながら、やれやれと感情を表に出すように気だるげで、もうすでに何個も貰ってしまったとでも言うかのような顔を浮かべていた。悲鳴を上げながら去っていく生徒たちを尻目に明らかに困ったとでも言う表情を姫子の前で隠そうともしない。
 カミラ・有角……
 この学園の中にいる教師の中で、クールな外見とクールでありながら面倒見の良い性格で女生徒たちにかなりモテる。
 「私は、これでも結婚してるんだが……」
 気だるげだが、面倒見の良い性格だからこそ無碍には出来ずに受け取ってしまう。
 黄色い声を背に受けて、カミラ・有角は溜息をして、椅子に座り机の上にどっさりと溜まったプレゼント山を見て悩ましげな顔を浮かべながら頬杖を突く姿が官能的に見えて、美術教師としての性か、少々、スケッチしたくなる。
 「まぁ、奥さんと一緒に食べれば良いのでは?」
 「そういうことも……そうか……」
 この学校はと言えば、そんな気持ちを知っているのか知らないのか、それでいて若さと言うモノを十二分に感じさせるほどには寒さを吹き飛ばすほどの活気に溢れている。
 「バレンタインか……」
 この言葉を聞くと今頃、自分の彼女はどうしているのだろうとか考えてしまう。思えば頑張っていたことが解る程にキスの味は甘かったが、それ以上のことはよく知らないままに来たのだから。毎年、この時期や誕生日、クリスマス、恋人記念日になると千歌音は姫子に少女らしく可愛らしいサプライズをする。
 姫子の彼女は、この学園でおそらく一番積極的な人間だろう。頭の中ではいつものように余裕を漂わせながら、内面は、とてもそわそわしているのではないかと思うと思わずにやけてしまい、それが窓ガラス越しに写ると自分を律するように表情を整える。しかし、それでも、10年来の付き合いである彼女のことを考えると、自然と笑顔になってしまうし、胸のあたりに触れると、思わず楽しくなって嬉しさから鼓動の速さになって肉体が暖かくなる。
 すでに、その大好きな大好きな彼女の為にチョコレートは用意はしているものの、親公認、周り公認な状況で色々とある。所謂、生徒との禁断の関係でもなく、許嫁というカテゴリに入るのだから学園公認としても認められていて、ドラマや漫画で良くある禁断というのは皆無に等しいが、それは、それで苦労する部分がある。
 自分の女として接してくる彼女に対しては理性が保てないこともあるからだ。その恋人の迫ってくる姿は、前世でも恋人同士だったが、愛情を鎖につなぎとめて我慢していたような、それをオープンにして楽しんでいるようにも思える。姫子自身、そんな彼女に迫られてしまえば、おどおどしてしまうし、それでも大切にしたいし、出来れば四六時中、姫子だって幸せにしたい。だが、そうしてしまえば教師と生徒という立場の均衡が崩れてしまうことには自分に責任があるから何とか、婚約者の学校でのコミュニケーションやスキンシップは我慢しているというのに、アメリカンスタイルだのなんだと言いながら、迫ってくるのは身体に悪い。
 さらに、姫子との関係は公認とはいえ、彼女は宮様のペルソナを外し、姫子の前では甘えてくるが、それでもやはり宮様と呼ばれて慕われている存在。堂々と姫子からいちゃつけば、熱狂的な宮様のファンたちに色々と複雑な感情を抱かれて慟哭の獣が目を覚ますことになるだろう。それは下手をすれば学園の秩序の崩壊に近い状態になることは否定できないと考えると、教師として自分がどうにかしないととは思う。だが、その感情を知ってか知らずか、やはり、学校でのスキンシップを抑えるというのは年頃の少女の恋ともなると、そういう訳にも行かないようだ。やはり、我慢できない衝動が溢れてくる。だが、そういう行動のおかげで姫子にも千歌音にもチョコレートを渡そうと思えるような強者は出てこないわけではあるが。
 「来栖川先生。ここを出たくない気持ちも解るが……そろそろ、HRの時間ではないかな?」
 「え!?あ、も、もう、そんな時間ですか!?」
 ボーっとしながら千歌音のことを考えていたら、もう、こんな時間だと驚きを隠せない。
 「私も、そうも言っていられないか。」
 それを気にも留めずにクールな表情を隠さずに日誌を持って、そそくさと出ていく。それに合わせるように姫子も日誌を持って外に出て行った。
 「寒いですねぇ……」
 「今週はずっと、この気温だそうだ。」
 寒くなるのはお互い様だと溜息を吐きながら、飲み干したチョコレートドリンクの中身を思い出しポカポカする心地よさを身に纏って職員室から出た。受け持つクラスの教室に向かうために。冬場の廊下は地獄だ。しかし、所々から感じる甘いチョコレートの香りが多少なりとも暖かさを与えてくれる。身体は寒気という侵略者に身を震わせながら、教師という立場上、多少の防寒着を纏いながらも歯をキツツキのように鳴らしながら耐えるというのは仕方の無い事とはいえ、脳裏が自然と寒さには耐えられないから暖かい場所へ向かえと命令している姿はどうにも恥や外聞というものを知らない苛立ちのようなものがある。
 それは二十代の姿からすればどうも滑稽に見える。
 だが、この寒空、どうしようもない季節の侵略者に人間というの科学の力で立ち向かうも、結果的には、どうしようもなくなってしまう。こうして大自然の力に歯向かうことは酷く滑稽で人間の力という存在は、どうにも自然には抗えないように出来ているのかもしれないなんて、嘆きながら全身を流れる血液が凍り付いてしまいそうなほどの衝動と戦うのは世の常だ。多少の防寒用のお洒落でも身に纏っても罪はあるまいと思いつつもみっともなさから、千歌音に申し訳ないと思えば思うほど、そう言うことも出来なくなる。公認の関係とはいえ、それはそれで大変なのだ。
 しかし、こう言う時には体育教師はわざわざジャージを身に纏って見せびらかすように自慢するのだから多少の苛立ちが肉体と精神に悪影響を与える。しかも、それが親友ともなれば、なお恨めしくもなる。
 「大丈夫かー?ひーめこー。寒そうねー?リムジンで来たりするからだぞー?」
 「あれは……千歌音ちゃんがね?」
 同僚であり学生時代の親友と言うよりも悪友である早乙女マコトが現れて、いつものように会話する。あぁ、これから体育の授業で体を動かして暖まる楽しみを隠さずに笑顔を浮かべて同情の念を向けている。体育教師、彼女も、その繊細さとは違う健康的な美貌から以下略とでも言ったところか。
 「マコちゃん……」
 「暖めてあげたいけど、姫宮のお嬢様が許さないだろうし。」
 「そうかもね。」
 多少のことでは嫉妬はしないが過去のスキンシップで誤解した、千歌音は、どこかマコをライバル視している部分があるが、時に、プレゼントに何を上げたらいいかなどと聞いていたりと、それなりに関係は良好な模様。
 「それじゃ、姫子、頑張れー」
 「うん。マコちゃんも頑張れー」
 (そういう意味じゃないんだけどねー)
 これから、また、色々とあるだろうと、何か一人悟り切った顔を浮かべてマコは、これからの授業の為に体育館に向かう。来栖川姫子は教師として、この女学校に赴任して担任を任されてから、そろそろ一年近く経とうとしている二月の冬が節々を痛める。
 教室に近づけば近づくほど、今日は甘い匂いで満たされて、それで幸せになるのかもしれないし、そろそろ教室に近くなる分、室内はエアコンも聞いているし、これで幾分かは楽になる。
 しかし、それ以上に姫子が頭を悩ませるのは、やはり恋人の存在である。学校全体の公認とはいえ、やはり、そこで行き過ぎた関係を見せつけるというのは教師としては秩序的な意味で問題があるとは理解している。
 思春期の恋人が出来たばかり、しかもそれが身近な存在となれば怒られるのは必須。
 この年になって恋人との関係で怒られるというのはあまりにも愚かしい。
 例え、相手が、この学園に出資している姫宮財閥家のお嬢様であったとしてもだ。
 しかし、千歌音は思春期という部分も相まってか良い子のままではいられない。そういう部分は根本では変に大人びた部分を見せるし、大人ぶっている時ほど独占欲を出しす姿が外見に反して子供であり、その部分は幼いころから変わってはいない。ふと、時折、学校で姫子の前で宮様の仮面を見せるのは、基本、姫子が周りの生徒から色々と慕われている時。
 ただ、それが少し迷惑で、それ以上に嬉しい。
 「おはようございます。出席を取りますよ。」
 自分の中にある千歌音への思いを教師という仮面で隠して教室の中に入り、いつものように生徒たちの名前を読み上げる。既にチョコレートの交換などは終えた後なのか、甘いチョコレートの香りが心地いい。
 姫子が来る前に教室で、どれほどの生徒たちが愛を確かめていたのか、席に着く前の状況を見ればある程度分かってしまう。甘い空気というのは既に分かってしまうものなのだろうと実際、この教室に恋人がいる女子はかなり多い。
 思いを確かめ合うための下着交換だとか、そう言うことをする生徒もいる。
 そして、それは……千歌音の入れ知恵でもある。
 (千歌音ちゃんの暖かさが……)
 姫子もそうだ。
 「敷島魅零さん」
 「はい……」
 「渋谷凛さん」
 「はい。」
 「島村卯月さん」
 「はーい。」
 この出席を取る時間、毎度、見ていて思うことは、この学園は美少女が多い。
 「新条アカネさん。」
 「はーい。」
 この学校は出資者が厳選しているという噂もあるが、確かなことではない。ただ、ここまでアイドル顔負けの美少女たちが揃い過ぎると目の保養と言うのは、ありがたいことこの上ないと思うこともある。
 「宝多六花さん。」
 「はい。」
 基本、海外からの教師を招いたり生徒の入学を許可している分、様々な生徒が多い。そういうものであっても、郷に入れば郷に従う精神を教えられているのか助かっているところもあるのだが。先ほど、名前をあげた敷島魅零は学校の出資者である娘のボディガードであり、姫子も彼女込みで魅零とはよく顔を合わせるのだが、本当に高校一年生なのだろうか?と疑問に思いたくなるほどの抜群のスタイルと言うのは年齢査証だとも思いたくなる。
 とはいえ、これだけ美少女揃いになれば目の保養にもなるが寧ろ、自分はダメな女に見えていないだろうか?とも心配になる。
 「姫宮千歌音さん……」
 「はい。先生。」
 彼女の名前を呼んだ瞬間、口の端をそっと上げて幸福のアピールをする千歌音に一瞬、心臓の鼓動を掴まれるような緊張感が走る。一瞬、間が空いて姫子の頬が赤く染まる瞬間を生徒たちが見逃すはずもなく、上品に微笑みながら千歌音とのやり取りを見つめてニヤついていた。
 「湊友希那さん。」
 「はい。」
 「ユイ・アステリアさん。」
 「はい。」
 「レナ・アステリアさん。」
 気を取り直して、どこぞの国の留学生やら、どこぞのアニメの登場人物の名前として採用されそうな生徒の名前を呼び、出席簿を閉じた。千歌音のやることは相変わらず蠱惑的だ。
 「今日はバレンタインです。特例でチョコレートを渡すことは許されてはいますが、それ以上の行為はなるべくしないように。特に姫宮さんは……」
 これ以上は心臓に悪いと懇願の意味も込めて潤んだ瞳で見つめるも、これで引き下がる千歌音ではない。余程、嬉しいからこそ、こういうことをしてしまうことは痛いほど招致はしているのだが、それでも、こうなると他の生徒に示しというのが付かないということ位は解ってほしい。
 「あら、そう言いながら、先ほど、車の中で私を押し倒してキスを求めてきたのは先生ではなくって?」
 宮様を演じながら、ふふんと勝ち誇ったような悪戯な笑顔を浮かべる姿が他者から見れば可愛らしく映るだろうが姫子からすれば今朝の情事を話されて久しぶりに血の気が引く。確かにキスを求めてきたのは自分からだが、此処でそれを暴露するというのは、どういう意図があるのだろうか。流石に怒りたくもなるが。
 「私は、先生に……今からでも……それ以上のこと、したいんですよ?」
 頬を染めて宮様の艶のかかった声色で乙女のような声色で姫子の理性の壁を砂糖菓子のように脆くしてしまう魂胆が丸見えだ。しかし、その目論見は見事に成功している。十代にしては敷島魅零の様に目立った所謂、ナイスバディな大和撫子なのだが、姫宮千歌音の考えは姫子の中では出会った時と変わらないまま、純情さを持ち続けながら一途に慕う可愛い彼女が上目遣いで見つめてくるのだから。
 その視線に弱い。
 学校では真面目で周りから宮様と呼ばれているものの、姫子への独占欲は隠そうとしない。
 先ほどの宮様としての演技だって、姫子は自分の彼女だから手を出さないようにと、周りに警戒しているのだから、まるで己は危険だと伝えて獲物を遠ざけようとする、どこぞの爬虫類のようだ。そして、この学園の出資者の孫娘であり、既に非処女。捧げたのは言うまでもなく来栖川姫子、その人である。
 「こういう時ですもの。皆、愛を求めていますし……」
 どれくらい多くの間、会えてなかったのか、まるで、前世から恋人同士でもあったかのような言い回しと、この世界のクラスの恋愛模様を隠すことなく披露したり相談されたりしていれば、千歌音の言葉は解ってしまう。
 担任、来栖川姫子、既に非処女……捧げた相手は目の前にいる生徒であり許嫁であり恋人である姫宮千歌音、その人である。学生時代、寮生活を遅れなくなった送れなかった姫子は仕方なく偶然の出会いで当時は幼い千歌音に出会ったことで、そこで下宿することになった懐かしい思い出が蘇る。宮様としての箍を外すことなく、今日はいつも以上に積極的に迫ってくる。
 「先生、私達も……それ以上のこと、しましょう?」
 口で一口サイズの手作りチョコを咥えながら他の生徒の前でキスをせがむ、どこで、そういうスタイルを覚えたのだろう。似たような恰好をした別世界の積極的な同一人物でもいるのではないのだろうか?
 「ここでしてくれたら、我慢できるから。」
 その並行世界の千歌音が重なって、今の千歌音がいる。それも否定できないほどには積極的で、周りから黄色い声が聞こえてくるが、こんなもの我慢できるわけがないが、そういう訳にも行かない。肉体の発情を感じながらも我慢しなければいけない。しかし、我慢したくない。
 千歌音から与えられるご褒美はなんであれ、受け取りたいのだから。
 「私の身にもなってよ……」
 「だって、私だって今日は……」
 上目遣いで見つめてくる千歌音の様子に思わずノックアウトされてしまいそう。
 「それより、先生、チョコ。溶けそう。」
 ふふんと笑いながら柔らかな唇にチョコを咥えて誘ってくる少女を見つめて本能が再度、理性を壊して駆られてしまいそうだ。ただでさえ、車の中での出来事の熱が未だに引っ張られている状態で、こうなるのは狙っているようにも思える。
 生徒の前だろうと容赦なく仕掛けてくるのは自分達が認められている関係のバレンタインからくる欲望の襲撃と言うのは後を絶つことが無い。それに姫子のことだし、千歌音の誘惑には抗えないのは知っている。公認の関係だからと言っても、この場所で、こういうことをすればと注意するのが正しい教師の道なのかもしれないが、残念ながら教師の矜持よりも千歌音の愛を優先してしまう不良教師とでも言うべきだろうか。
 「今だけだよ?」
 もう、暴露されてしまったことだし、宮様ファンのことなど知ったことも無いし、そうなれば、ここでキスするのも変わるものではあるまい。
 結局、甘い、いや千歌音への思いに負けてしまう自分がいる。この大人ぶった蒼い髪の淫魔と言いたくなるほどに自分が悦ぶ術を全て熟知している。しかし、たおやかな桃色の唇に挟まれたチョコレートから、何と甘美な匂いがすることか。
 制服と言う衣服に拘束された胸を強調するように揺らして近づき、恍惚な顔で近づいてくる。傍から見れば余裕な態度。思えば、最初に寝込みを襲われた時からそうだ。自分の中にある牝を刺激するような大胆なネグリジェを身に纏い、姫子の前で挑発することに嫌と思う事もない。
 (でも、やっぱり、この光景を見つめられるのは……)
 千歌音とて人前でキスをするのは、やはり、緊張してしまうものがある。そもそも姫子は童顔な顔に似合わず千歌音を蕩けさせる程に百の愛の言葉を囁きながら、行動で自分を愛してしまうのだから、千歌音にとっては誘うのはこっちであっても常に緊張してしまうのだ。
 そんな思春期学生特有の身勝手さを感情に出しながら、姫子の唇を待っている。周りから聞こえる黄色い声援が千歌音にとっては緊張と感度を高める最高のスパイスになって、髪を再度振るって、乙女の様に染めた頬のまま、目をつむり姫子を待った。
 (姫子……)
 姫子の学生時代の時は自分は幼少の時。
 転びそうになった自分を助けてくれた姫子の優しさと、当時の千歌音にとっては自分を助けに来た聖女か姫騎士のような顔に魅了されて財閥の跡取りである令嬢はわざと、寮の部屋は手違いでいっぱいであるという漫画で良くあるネタをお嬢様特有の権力を駆使して作り上げた状況を作り上げて二人とメイドたちと一緒に暮らすという事を作り上げる。ずっとアプローチをかけて、成功してからは恋人同士と、ほぼ予定通りにはなったものの、千歌音にとって想定外だったのは意外と姫子の夜の性生活のテクが凄かったことか。
 千歌音を悦ばせる為に動画や本を購入して勉強したというが、姫子のキスや指、舌、全ての技を使い千歌音を心地よくする技で見事に夢中にさせた。いや、中毒と言っても良いかもしれない。姫子とのセックスにハマり、そのまま、挑発しながらネコのようにニャーニャーベッドの上で叫ぶ生活。
 年を取る度に求めてしまうほどに姫子との愛し合う行為にのめり込んでしまう。そんな出会ってからの輝かしくも、ちょっぴり甘酸っぱいスパイスのかかった思い出を充実させる為に権力を使用して教師になった姫子を無理やり、自分の高校に入れた甲斐があったと言うものだが、こうして人前で愛する人にキスを求められると何をされるのだろうと思う。
 覚悟を決めたのだろう。
 一度、目を瞑り、前に垂れた髪を掻き分けて、千歌音の元に近づいてくる。
 一瞬、見せてしまう大人の表情に思わず見惚れてしまう。
 ぼーっとしてしまうほど、大人の顔をしているキスをする前の姫子の顔に魅了されてしまう。周りの黄色い声援が肉体を高揚させて、今、姫子にキスをされたら、そのまま求めてしまうかもしれないと、そこまでは望んでいなかったというのに、今は、どうしても欲しい。
 ずっと大人な顔を向けて、此方を魅了する姫子が悪いと胸の中で言い聞かせる。
 しかし、この顔は、動悸が激しくなる。
 突如、千歌音の緊張に反応して激しくなる千歌音の心臓に落ち着くようにと訴えるも媚肉が、姫子のキスに興奮して、いつものように膣の縁を丁寧に舌で愛撫しながら淫核をキスする大人の女性のテクに夢中になって絶頂させられてしまう感覚が、じんわりと全身に広がりなにもされていないのに絶頂されてしまいそうだ。
 キスをするだけだというのに欲しくて媚肉が痙攣してしまっている。
 キスだけではだめだ。
 これでは、どんどん、牝としての悦楽を欲しがっているように、誘惑の目を自然と姫子に向けた。魅せられてしまった身体は、もう、姫子を求めて誘うようにむわっとした牝の臭いが千歌音から広がってしまいそうなほどに、ぐっしょりと下着を濡らしてしまっている。
 「ここは学校なの分かってる?」
 臭いを感じたのか小さな姫子の口が聞こえないように子供に注意するように千歌音に告げる。これは最終警告だ。
 「で、でも、学校でも夫婦なのだから……これくらいのことをしても……姫子が来るまで、周りの恋人たちは全員……」
 (あぁ、そういう不満から、この流れね……)
 教室に入ってからの、このクラスの甘いキスの香りは思春期には我慢できるものではない。ほんのりと開放的なものを求めてしまっている。
 近づくたびに栗色の毛が揺れるたびに千歌音も揺れるように意識が混濁し始める。誘ったというのに、夜の姫子の美麗さに魅了されてからはずっと、こうだ。
 それからの人生、姫子がいるだけで常に依存症と言っていいほどに意識してしまう。
 こうしてクラスメイトがいる前で挑発的な言動を取ってしまうのも、その依存症から来るものなのかもしれない。
 しかし、生徒の前だろうと、甘いチョコの香りと、美味な千歌音の唾液が混じり合った淫蜜は何よりも美味で、それが何よりも姫子の好物なのは、これまでのベッドの上での経験から千歌音が一番良く知っている。
 「後で覚悟しておいてね?」
 そっと……
 なんて感触は生易しい。
 姫子の中で理性と言うものが抑えきれない。
 この短時間とはいえ今日という日に我慢してきたのだから千歌音が悪いと己の理性の脆さを責めずに抗議の意味も込めて唇を貪るように重ねた。柔らかいが、しかし、食いつくすかのような唇の感触にチョコと一緒に千歌音の意識まで持っていかれてしまいそうな、さっき、車の中でしていたキス以上に千歌音を独占しているのは自分だけと教師の仮面を外した姫子の情熱的なキスが千歌音の肉体や柔らかな桃色の唇の間に挟まれたチョコレートも何もかもを蕩けさせていく。
 淫靡な音を立てることも恥とも思うことなく千歌音の全てを飲みこむようなキスに溺れてしまいそうだ。
 蕩けてしまいそうなほどに身も心もとろとろになって倒れてしまいそうな身体を麗人のように抱き支えているが、姫子の中には麗人と言うには真逆のベクトルが蠢いている。とろとろになって、間欠泉の様に流れる蜜がストッキングやスカートを徐々に濡らし、この場で見られながら軽く絶頂してしまいそうなことを恥辱とは思わない。
 寧ろ、この場で愛されることに幸福すら覚える惚気の顔が姫子の視界に入る。
 あの千歌音が、こうも乙女のように陥落されてしまう姿が美しい。
 必死にバランスを取ろうと姫子の服に皺になったとしてもしがみつこうとする姿が愛らしくて姫子の性愛器官に情熱が走った。唇同士の情熱的なキスでは飽き足らずに舌と舌同士まで情熱的なキスをしている。
 柔らかで鮮烈な快感が二人の脳髄から全身に駆け巡る。どろりと流れるチョコの混じった甘い唾液の感触が頬を染める。
 「は、むぅ……あ……」
 今更ながら、この状況、姫子におとされているという状況に自分の欲求不満から誘っておいて、気恥ずかしくなるというのは、どうなのだろうと思う。だが、この見られながらキスをされるという状況に背中のゾクゾクが止まりそうにない。
 (みんなに見られながら、姫子とキス……最高……)
 恍惚に浸りながら千歌音が、もっと欲しいというように、じゅるじゅる音を立てて姫子を強く抱きしめた。
 姫子に甘える子猫の少女の部分が本当の千歌音なのだから、キスに対する恍惚感から、もっと快楽に堕落する彼女を見せてあげたくなる高揚感が肉体に芽生える。
 姫子と付き合う前、出会う前の千歌音は、まさに生徒の模範である宮様という行儀の良い子としての仮面を付けていたと乙羽は言うが、それ以上に学生時代の姫子に触れるころから『運命を人を見つけた』とか言いながら母親にじゃれつく子猫のように欲望を隠すことなく、今に至るらしい。
 千歌音からすれば、目の前に姫子がいるのだから甘えるのは当たり前で、どうやら、宮様としての仮面が姫子に甘えたいという欲望に敗北してしまうらしい。宮様としてなんてことは、目の上のたん瘤にも思ってはいなくて、このチョコレートキスに比べれば甘く鮮烈で心地よいと言うようにも思える。舌が口の中に残っていたチョコレートをかき回す。ベトベトになった口周りを気にすることなく、子供が乱暴にお菓子を食べた時のように汚れても心地よい、この見られながらのキスと言うのも癖になりそうなほどに心地よい淫熱が肉体に溜まる。
 もっと、乱れた宮様ではない、本当の自分の前での甘えん坊な子猫の千歌音を見せつけてやりたいとすら思う。
 そもそも姫子自身も教師として真面目さを見せつけようとしても千歌音の誘惑には負けてしまうから品行方正という言葉からは無縁になりつつある。
 (あぁ、そっか……私、今……)
 冷静になれば黄色い声が響いている。
 このまま、優しく押し倒して公開でセックスしてしまうのも悪くはない。
 姫子からすれば毛頭なかった。
 今晩はベッドの上で千歌音の身体にチョコレートクリームをぶっかけて愛してやろうと思っていたくらいだ。しかし、教師として、良識のある大人としてという仮面を被って千歌音に対する思いを我慢していたというのに、無神経にも、こうして己を誘うのなら……
 (私は、結構、抑えていたんだからね?)
 だから、もう少しだけ。
 本当は甘えん坊で姫子が大好きなだけの、ちょっとどころではないが裕福な家庭の女の子が自分の前では堂々と弱みを見せる姿に優越感の様なものは今まであって、これは一つの通過点に過ぎないものなのだろうとも思う。唇を通して伝わってくる熱の激しさが肉体の脈動を激しくさせる。
 (姫子のキス、甘い唇ぅ、もっとぉ……)
 求めるように千歌音が更に一歩前へ出た。
 冷静に状況を分析できるようになって千歌音のキスの味を、改めて実感していた。唾液と混ざり合い甘い心地よさに溺れてしまいそうだ。チョコレートの中にある甘さが心地よい。力なく倒れそうな千歌音の頭を撫でて、そっと唇を離す。
 「姫子、もっと……」
 姫子のキスの感触で再度、落ち着いて作り上げた理性の城を侵略して破壊しようと工作をし始め様とした小賢しさに自ら溺れて、少女のように”お願い”をする姿は、これがバトルアニメかなんかであれば酷く滑稽に見えるが、自分を喜ばそうとして策に溺れてとろとろになる姿は見ていてほほえましい。
 「だぁめ。我慢しなさい?暫くね。」
 耳元を甘噛みしながら囁き、肉体の疼きを止めることが出来ずに椅子に座る。
 耳に残る、劈くような黄色い声援と言う名の金切り声にクラスの生徒たちの妄想が含まれているであろう会話は止まろうとしない。今にして、不味いことをしてしまったと溜息を吐いて姫子は一つ咳をしてから場を静かにさせたものの、針のように突き刺す視線が妙に痛い。
 自分達だって我慢しているのに、先生は大好きな人と、こうして愛し合ってずるいという意味があるのは、同類として良く解る。だが、これは誘惑してくる千歌音が悪いのだと何度も何度も謝りながら千歌音の唾液を音を立てながら貪り飲み続けた。
 熱い吐息、自分たちの情熱がチョコレートを溶かして、この周りの少女たちを欲情の暴風雨を焚き付ける。そんな状況になれば千歌音自体もキスに対して鮮烈な快楽が何度も肉体を刻み付けて、ブルブルと肉体は高揚する。敏感な唇の粘膜すらも飲み込み、一方的に快楽を与える姿は姫子が千歌音を蹂躙しているようにも見えてくる。
 「ん、んきゅぅ、ん、みゅぅぅぅ」
 甲高い声を上げて、余計に愛しくなってくる。抱きしめる両腕も、服の上から擦れあう乳頭も、二人は既に夜モードに入りこんでいて、その微かな振動から二人の女から牝汁が下腹部からだらだらと漏れ始めていた。千歌音からすれば、ただ、キスしながらチョコレートを二人で堪能するだけだと思っていたのに、ここまで官能的な行為をするとは思っていなかったのだ。
 (可愛い……皆の前で、もっと本当の千歌音を見せてあげるのも良いわね……)
 千歌音は妙に呆けているし、今までは職務に忠実な大人を演じてきた分、今回の千歌音の挑発に乗ったキスはギャップを生み、あの先生は、ああいう情熱的なキスをするのねと、熱のこもった視線も送られては来るが流石にやりすぎたと反省をするしかない。千歌音からすれば、今日の学校はサボって二人で一日中愛し合いたいというのが本音だから、これはこれで、間違っていないのだろうし、このまま情熱に任せてとは思ったが、黄色い声援のおかげで逆に今の自分がやりすぎたという自覚が出てくる。
 だが、今は、もうちょっと堪能したい。
 子宮の疼きが止まることを知らない。
 落ち着けるように汗を拭るように姫子は千歌音の髪を掻き揚げて髪からベットリと染みついた汗が飛び、光でギラギラ輝く汗がにおいと一緒に発散される。
 「あぁぁんぅぅぅ……」
 執拗に熱い吐息と甘い唾液を送り込みながら螺旋のように回転する舌愛撫は止まることなく延々と繰り返された。まだ、甘い香りのする千歌音の口の中を何度も堪能するように愛撫する。
 こういう時こそ、姫宮千歌音ではなく宮様として振舞ってほしいが、為すがままに受け入れて甲高い声で喘ぎ姫子を求める千歌音の可愛さはどうにもならない。大人が送る大人のキスのプレゼントに必死に受ける姿がいじらしい。必死に受け止めようとする姿に姫子の肉体は灼熱を余計に帯びてしまう。このまま続けたら、押し倒してしまいそうだ。
 常に姫宮千歌音として受けようとするキスに蕩けた瞳の奥にある姫子への大きな愛を、もっと見せつけたくなる。だが甘く淫靡な唾液に炙られながら、流石に、これ以上は生徒の前でするのは不味いと教師としての理性を見つめられる環境の中で改めて思い直し、唇を離した。攪拌されすぎてどろどろになった唾液は眩い糸になって千歌音と姫子の身に着けている邪魔な、この学園で生活を送る為の作業着に落ちる。
 涙目になりながらも姫子のキスを受け入れて幸福になった千歌音の表情は、どうして、こうも姫子の官能を煽り燻らせる。乳頭の勃起が痛くてブラに擦る度に心地よい快感が全身を巡るが、姫子は、それを抑えて一つ深呼吸をしてクラスメイト達に伝える。
 「と、こういうことを授業中にしないように。」
 あくまでも事後は教師らしくクールに振舞いながら内心はキスした分、千歌音と交わりたいと性欲が溢れようとしている。子宮から溢れる性欲を止めることができない程、姫子の中にも疼いてしまっている。まだ、朝の九時を過ぎた時間だというのに黄昏に染まったような千歌音を見つめながら、業務連絡だけをして教室を抜ける。ぐっしょりした下着の感触が寒い気候に妙に触れて、冷たさと快楽が同居する。教室を出た時は自分達の痴態を見て我慢できない生徒たちを尻目に足早に担当授業の美術が行われる美術室に向かった。
 「はぁ……」
 最初の一時限目は何とか我慢できた。
 二時限目になった時は千歌音のことを考えるだけで肉体の節々が敏感になり始めるのを感じた。
 三時限目になれば自然と千歌音の裸婦を描いて濡らしてしまっている自分がいる。
 そして四時限目と時間を重ねれば重ねる程に疼く性欲はうなぎ登りと言っていいほどには子宮から発せられる熱は身体全体に走り灼熱を帯びる。
 ただでさえ、女の性欲を満たすかのような甘いチョコレートの臭いが、あちこちで充満しているのだから甘い臭いを嗅ぐたびに、うっとりして授業をしているという事すら忘れてしまいそうだ。美術の時間、生徒を教える裏で千歌音の裸婦をいつの間にか描き、愛熱によって身体を火照らせ、生徒たちには猥談を聞かされるように迫られる。
 いつもの千歌音にしては浮かれすぎではあるし、それほどバレンタインと言うのは乙女を大胆にする力があるのだろうと、学生時代は姫子自身も千歌音に喜んでもらおうと一日中高揚していたことを思い出す。そんな一日を送っていれば同僚の蓮実レインや、島田千代、アーナス辺りにも色々と揶揄われて、墨廼江貴子には同類として同情される、そんな一日が続いて、昼休みの時にはブラに乳頭を撫でるだけで下着は下着の意味をなさずに既に透明色になるほどには蜜に染まってしまっているというのが嫌でも解る。歩くだけでもくちゅくちゅと粘膜がぬらつく音が自分の身体に鳴り響くと頭を抱えたくなるほどには性欲が渦を巻くかのように身体に積もり積もっていくのだから、あそこで保健室に連れ出すべきだったと後悔していた。
 しかし、今は、もう昼休み。
 職員室で弁当を食す時間が億劫になる。既に限界を迎えそうな肉体が千歌音を欲して汗を生み出し、衣服に密着して心地悪い。急ぎ、脱いで千歌音を抱けと肉体が訴えているかのようにだ。
 「来栖川先生、今日は午後、欠勤なさいますか?」
 「は、蓮実先生……」
 そんなことを考えて弁当まで食して五時限目までの時間を溢れようとする性欲をどう解決しようか。自慰行為などで簡単に収まる問題でもない。指で膣肉を掻き回して盛大に絶頂したいが、千歌音にしてもらえないのなら意味はない。
 むしろ逆効果。
 己の中に湧き出て留まることのない千歌音への思いをどう昇華仕様考えていた時だ。
 金髪で前髪に朱色のメッシュが入った同僚の蓮実レインが声をかけてきたのは。
 「雌を誘う臭いでいっぱいですよ?先生?」
 「その、姫宮さんが色々と……」
 「すでに、そう言うと思って姫宮さんは保健室に入るように言っておきましたので、お楽しみにしたら如何です?」
 「そ、そこまで……」
 「ふふ。来栖川先生のこと、大好きですから。」
 「で、でも、午後の授業……」
 「私が変わっておきます。ついでに、荷物も持って行って良いですよー」
 にっこりと微笑んでから背中を押して保健室に性欲の渦に飲み込まれた身体を歩かせた。
 既に肉体のほてりは限界に近い状態になっている気がする。
 蓮実先生の言葉に甘えて千歌音の為に作った手作りチョコの入った鞄を持って、そそくさと職員室を出た。
 保健室に入れば、既に求めていた存在がいた。
 ベッドの上にちょこんと座りながら、誰かにチョコを渡すことに緊張してそわそわしている顔が、千歌音が可愛らしい。周りに見えないようにカーテンを閉めて簡易的な二人だけの世界を作り上げて、目の前の少女に目線を合わせた。
 「千歌音っ!」
 「姫子……?」
 我慢できずに、キスは教室でした奴で許してとでもいうかのように、この学校での職務を破棄して愛する人の目の前でストリップのように衣服を脱ぎ捨てた。汗で塗れて保健室の照明に照らされる裸体が美しい。心の底から、千歌音はそう思った。
 蓮実先生から言われて、チョコレートを手に持ったまままじまじと今の姫子の顔を観察する。蕩けた顔、今すぐにでも千歌音を求めている顔、自分を必要としてくれているようで嬉しかった。ここまで手引きしてくれた蓮実レインに感謝しながら汗ばんだ艶めかしい身体を見せつけ、決壊して汁によって防御ラインを失ったショーツを脱ぎ捨てた。ムワッとする牝の香り。膣口から唾液のように垂れる蜜とツンと上向きで桜色の可愛い乳輪が乳首と一緒にぷっくりと勃起していて、貪欲に千歌音を求めているようで、内なる性欲を隠せないのが千歌音をますます興奮させる。
 ピンクの乳輪の周りに垂れ流れる大粒の汗が吸い付きたくて仕方なくなる。姫子の身体が発する卑猥な匂いに、鼻を引くつかせて千歌音は自然と豊満な胸を揉みしだき、隠すことなくだらしない顔を晒して自慰行為に耽る。肌を濡らす姫子の粘液が官能的で、抑えきれない感情が爆発しそうだ。
 「千歌音……もっと……」
 制服のスカートをたくし上げながら卑猥な匂いを生み出してだらだら唾液を垂らす蜜壺を見せて、目立つように大きく実った果実のような胸を露出させて千歌音の身に着けているブラを丁寧に外しながら耳元で千歌音に淫らな言葉を吐きながら反応を楽しんでいる。
 制服の全てを脱がさずに一部だけ露出させた。どうせなら、全身を脱がした方が良いのだろうが生憎、姫子は、全身を脱がすほど待つ余裕と言うモノがない。
 (あぁ……いつもの姫子……私をベッドの上で可愛がって気持ちよくする、ちょっと、サディスティックな姫子……。初めてのときのような情熱的な夜を思い出せるほど……)
 「貴女は、どこまで私を淫らにすれば気が済むのかしら?」
 下半身の千歌音の蜜壺を護りながら、既に、華の蜜でぐっちょりとなって形がくっきりと解りそうなほどに濡らしてしまい、護りの意味をなしていない。
 思わず教師としての顔を忘れて千歌音を愛でる彼女の顔を浮かべてしまう。頬が緩み、口元には笑みが零れる。いつものベッドの上でも来栖川姫子になっている。理性を壊した先にある牝の顔が、そこにはあった。千歌音は肉体をぶるぶる震わせながら、これからくる悦楽の余韻の波に身を任せていた。
 「学校では宮様と慕われていながら、私の前で牝になっちゃう千歌音は、本当に悪い子ね。」
 「い、今は、宮様じゃないからぁっ!姫子の彼女だもんっ……!」
 サディスティックな笑みを浮かべながら、蜜壺の入り口の縁を中指が、そっと撫でる。
 しかし、撫でるだけで、それ以上のことはしない。それだけで、もどかしい気持ちになって、足をもじもじさせている。そんなことをすれば、どうなるか解っているし、姫子の愛撫で淫猥なダンスが始まる。
 息を切らしながら発する嬌声にビクビクと、その肉を揺らしながら、大きな胸が綺麗な孤を描く。
 「あぁ……姫子ぉ……」
 猫なで声で自分の名前を呼ぶ姿に、姫子の肉の疼きが止められない。
 「千歌音……」
 互いに名前を呼びあい、くちゅくちゅと粘着音を響かせて身体を重ね合わせるだけで強烈な痺れが襲い二人から煌びやかな嬌声が漏れる。保健室には誰もいないとはいえ、大胆に、大声を出してしまう自分達に驚きながらも、この場所でしているという背徳感が手伝い、感度が上がる。
 卑猥に果実のように実った乳頭同士が重なり合い、ぬるりと擦れあうだけで心地よい痺れが嬌声を生む。
 「千歌音ちゃん、もっと、もっとしようね……?」
 「う、ん……」
 若い分、快楽に敏感な肉体がビクッと跳ね上がり、瞳が求めるように欲情で濡れ始めていた。学校で持つべき教師という仮面の箍を破壊してしまった千歌音からすれば、望んで仕方のなかったことだが、ここまで大胆になれるとは思わなかった。
 押し寄せる快楽の波に意識を失いそうになるほどの強烈さを覚えながらシーツを強く握り、腰がうねると同時にシーツの皴が千歌音の感度を表すように渦を巻く。
 「んっ……」
 押し倒したら左右に大きな乳房が別れて、より官能的なボディラインと肢体が目立ち、腰が踊るようにうねり度に敏感になって勃起したピンクの大粒の乳頭が擦れあい、過敏なほどに淫靡な快楽電流が肉体を満たしていく。
 汗まみれで、元より淫蜜塗れの肉体は接触するたびにぬちゃぬちゃと淫らな粘着音と淫靡な嬌声を上げて、互いの快楽が共生し合い響きあい、二人に軽い絶頂が何度も訪れて、この寒い中だというのに僅かなセックスへの高揚で肉欲が熱となって湧き上がり、二人の空間には媚薬のような熱気があふれかえっていた。
 自分が愛撫し育ててきた続けて大きくなった豊満な胸にむしゃぶりつきながら、姫子の柔らかい桃色の唇が乳頭に何度もキスをして、一度、ちゅぽっと甘噛みをしながら唇を離した。
 たまらなくなって、それだけで意識が消えてしまいそうなほどの強烈な刺激な全身に走った。
 「あ、あぁ……あうっ……!」
 声も絶え絶えに共生を漏らし続け、未だにとどまることはない。粘膜の糸で繋がった口と乳頭、学園の憧れの的である宮様が自分の手で、こんな淫らなセックスに我慢できない快楽奴隷になっていると知られたら、どうなるのだろう。
 初めて処女を奪ってから、千歌音の肉体にのめり込んできたことを思い出すように背徳感が手伝って脳から貪るような衝動が心を犯す。ぬるぬると、膣口の縁を何度も撫でながら姫子の不敵な瞳が千歌音を見つめている。
 「あっ……あぁっ、はぁぁぁぅっ……」
 撫でるだけで子犬のような身震いが可愛らしく、姫子の膣肉のマグマのように熱いものがどろどろ肉体から生み出されて、どうしようもなくなってくる。あぁ、もっと千歌音を貪りたい。この令嬢を、魅惑の肉体、感じるたびに跳ね上がる肉体と、男たちが羨むであろう豊満な胸に端正な顔立ちが姫子に淫らな染められる。
 「千歌音の、このチョコ、貰うわね。」
 不敵に笑いながら包装を解いて千歌音が姫子の為に作り出したチョコレートを取り出した。ドロドロの粘液に塗れた、千歌音が精一杯作り上げた姫子へのチョコレートを開封してにっこりとほほ笑んだ。
 「千歌音が悪いのよ?一日中、私を誘惑してたから。」
 開封された茶色いかなり少ない時間だが、これだけで漏れるというのは、かなり期待していたのだろう。
 「あんっ、ひっ、ひいっ……くうんっ」
 背中が浮いて「く」の字に身体が折れ曲がる。ぐっしょりした液体を吸い上げて重くなったスカートを脱がし下着も脱がす。大きな尻タブを、ぶるぶる震わせて喘ぎ、発情した牝犬のように切なく鼻を鳴らした。
 腰が快楽に満たされて淫猥で情熱的なダンスを踊る度に、髪がブワッと舞い上がり、姫子の全身を纏おうとしたら、再度ベッドに広がった。その年に合わないほどの美貌を持った少女に何度、迫られるうちに誘惑に負けてしまったというのは言うまでも無い。
 「や、やぁぁぁ……」
 教師ぶっている姿も可愛いが、千歌音からすれば、この姫子こそが自分の最も愛する姫子の姿でもあると冷酷な笑みを浮かべながら顔が自分の蜜壺を覗かれていることに、どうしようもないほどに濡れている。ゆっくりと、チョコレートを陰部に落とし込み、千歌音の淫熱によって解け始める。
 ぬるぬると、溶け始めたチョコレートが千歌音の膣口を甘くデコレショーンしていく。液体になり始めたチョコレートが、千歌音の淫蜜や汗と一つ混ざり合い、官能的な甘さを生み出した。
 「ひ、姫子ぉぉ……?」
 「ふふ、可愛い……」
 どろどろなチョコレートで和えられた、最も官能的なチョコレートタワーが出来上がり、ゆっくりと這うようなスピードで千歌音の尻の割れ目や肉体に零れ落ちていく。本当は、こんな、ベッドの上で、この肢体にチョコクリームをデコレーションして食すつもりで我慢はしていたが、もう無理だと理性は言う。割れ目から漏れだす淫蜜と一つになる自分の為のチョコレート……
 息も絶え絶え、悩ましく肢体をくねらせて、早く味わってほしいとひくひく蠢く姿を恥じらいも無く千歌音の本能が晒す。
 蠱惑的なダンスをして姫子にますます、神聖な職場で行う背徳感に酔わせて、ジワリと熟し始めた二十代の肉体には、この瑞々しい十代の少女の自らの肉体で手入れされて変わっていくことを実感させる、女を、姫子を誘惑させることが得意な牝の顔。
 くねらせるたび挑発するように揺れる大きな乳房が姫子を誘う。
 「こ、これ、恥ずかしくてぇ……」
 「今更、恥ずかしがる関係でもないくせに?」
 「んっ……!」
 溶けきれてないチョコレートを割りながら小さなチョコレートの板を二、三本、作り千歌音の蜜壺に挿入して恍惚な表情を浮かべた。
 「い、嫌よ……姫子ぉ……っ」
 懇願する姿勢がますます可愛らしい。脚の間から見せるチョコを挿入した蜜壺がひくひくと美味しそうに咥えこむ様子をじっくり観察している姫子の顔、この淫靡な痴態を永遠に見つめていたとでも言っているかのようだ。
 眼を細めながら、美味しそうに千歌音の膣肉が蠢きチョコレートの微かな動きを見つめるだけで己の膣肉もどろどろとベッドのシーツを濡らしている。
 「そ、そんなに、見つめないでぇ……」
 肉体の火照りが止まりそうにない。今まで、この肉体にどれほど自分の快楽を教えて刻み込んできたのだろうと考えれば考える程、姫子の倒錯的な感情と学校で、このような格好をして性器を見つめるという行為に背徳感を覚える。
 千歌音は見つめられれば見つめられるほど、羞恥が快楽になる。愛される姫子に、チョコレートを膣肉を開き中に挿入して灼熱の心地よさを覚えた媚肉が、どろどろと煮え滾ったような淫蜜を生み出し、じわじわと溶かし始める。こんな変態的なプレイなのに、気持ち良くなってしまう羞恥が千歌音の精神を蝕んでいく。じゅくじゅくと熱い蜜と液体になったチョコレートが絡み合う。世界一、淫靡なチョコレートジュースの出来上がりに、姫子は舌鼓を打った。
 「いただきます……千歌音。」
 ブランデーのように酔ってしまいそうだ。見つめられて煽られる羞恥心にじわじわと炙られるように湧き上がる熱が止められない。前に垂れた髪を掻き分けて性器をジーッと見つめている。
 硬くしこり始めた乳頭が早く愛でてほしいとでもいうかのようにいやらしく、太く、そして硬く膨張した。体温の上昇に合わせてチョコレートが溶けていく。
 膣に入れて離そうとしない、まるで子供のようだと、マジマジと見つめられて抑えられないし、ひくひくと千歌音の呼吸に合わせて膣口が動きチョコが徐々に膣肉の中に入っていくと姫子の指と間違えたかのような媚肉が感情的にうねりまわる。
 「んっ……」
 媚肉の熱に相当、やられたのだろう。汗まみれで蕩けたように柔らかくなった乳房のように蜜壺に差し込んだチョコレートは丸みを帯びて、どろどろに濃密なフェロモンを纏って姫子を誘う。
 淫熱を纏った粘膜、どろどろの肉孔が喘ぐように収縮してとかして、膣口の奥から千歌音の呼吸に合わせて、どぷどぷと粘膜とチョコレートが混ざり合ったラブジュースを生み出した。
 千歌音の膣洞は、牝襞の位置さえすぐには分からないほどふしだらに潤みきっていた。まるで姫子をねだって、ひくひくと媚肉の卑猥な蠕動に、姫子は背徳的で恍惚の戦慄を背筋に駆け上がらせる。
 「千歌音、凄いわ……ここ、ドロドロで……美味しそうな、チョコレートジュース……」
 「お願い、姫子ぉ!早く、早く愛して欲しいのぉぉぉぉ!」
 姫子への欲求を隠し切れずに、欲求不満を剥き出しにして誘うように、まろやかな完熟臀丘が右へ左へプリプリ揺れた。姫子は、流石にもうたまらずくびれた細腰を掴んで、最初からフルスロットルでルージュを纏った姫子の唇が千歌音の淫唇にむしゃぶりついた。
 「あ、あぁぁぁぁっ!」 
 最初の衝撃で脳髄を襲うような鮮烈な刺激が襲い掛かる。さらに吸い上げられて、膣肉が引っ張られるような刺激に千歌音の頭が真っ白に塗り替えられてしまう。
 「うわぁああっ!あ、あぁ、うぐううっ」
 愛撫と一緒に、このまま、媚肉の中で容赦なく掻き回される。これまで、姫子の焦らしに肉体は随分と火照らされて待ちわびていた分、熟成した果実のように実り上がった千歌音は極上の果実だった。
 最初の刺激で絶頂して痙攣しても容赦なく姫子の顔に淫汁が吹きかけられる。
 「ぷはぁ……美味しい。千歌音の……」
 一度、顔を離してから口の縁周りに着いた愛液を舌で舐めとり、甘美な痺れがビクビクっと千歌音を襲う。与えられる快楽に耐え切れずに腰を振り乱す。逃げようとするつもりは無いのだが、この態勢のままだともどかしくて大胆に欲しいと思ってしまう。
 「もっと、もっとぉっ!あぁぁぁっ!」
 「ふふ、可愛い……私の前では、可愛い猫になっちゃう、貴女も好きよ?」
 四本の指を膣口を開き、包む肉壁全体がヌルヌルとした触感を増し、膣粘膜を湿す愛液が急速に漏出しているのがわかる。たっぷりとした量の愛蜜で内部が十分に満たされたため、千歌音の膣内は柔らかく、更に甘くこなれていた。
 甲高い声を上げて、甘い痙攣が続く千歌音に止めを刺すように、再度、しゃぶりついた。
 「んぅぅぅぅっ!」
 千歌音の嬌声が、もっともっとと求めて叫んでいるかのようで、ますます、姫子は舌愛撫に没頭した。まだ、残った自分へのチョコレートの臭いに姫子自身が求めているように、千歌音の中に入ったチョコレートというチョコレートをもっと堪能したいと、千歌音のラビアを愛撫しながら拡張し、螺旋のように舌を蠢かして千歌音の膣肉を味わいつくす。
 「だ、だめっ、なのぉ!ず、ずぅっとぉっ!」
 一方的にされるがままなら何も考えられなくなってしまいそうで何度も、ビクビクっと蠢いて淫核を舌で甘噛みされた時、千歌音の中で内なる何かが爆発したような鮮烈な悦楽の核が爆発したかのように跳ね上がり、今の態勢を保てずにぐったりとバランスを崩してしまう。これ以上してしまえば、されてしまえば戻ってこれなくなってしまうかもしれない。
 それでも、淫魔のような顔を浮かべた姫子は膣壁を抉るように右へと左へと、余すことなく膣肉を堪能するような姫子の舌愛撫は蹂躙だ。
 「ひっ……あっ、あぅっ!」
 螺旋が抉るように余すことなく千歌音の膣肉を味わいながら、ざらざらした舌腹が千歌音の淫核に細かい刺激を与えながら舐め上げて、甘美な痺れは波のように何度も何度も甘美な快感電流が千歌音を襲う。
 流石に、耐えられなくなったのか、ベッドの上で大きく股を広げてガクンガクンと大袈裟なほどベッドを揺らし真っ赤に充血した膣肉からドロドロの淫蜜を大きく痙攣するたびに噴出してしまっていた。
 お嬢様とはかけ離れた格好とだらしない顔が、姫子には余計に可愛い。
 「ごちそうさま。でも、まだ、だぁめ。」
 「ふぇ?」
 気の抜けたような声の後に再度、甘美で鮮烈な電流が千歌音の中に走った。もう、絶頂したのかと思う程には、心地よい刺激だったのに、まだ、足りないとでもいうかのように再度、淫核と膣肉に二つの淫熱電流が千歌音の肉体に走った。
 擦り合わされ、甘噛みされ、千歌音の体調など気にせずに姫子は愛撫のスピードをさらに苛烈させた。
 絶頂に等しい衝動を何度も味わっている千歌音は、ただただ、甘んじて姫子の攻撃に耐えることしかできない。快楽に耐えられずに正直に跳ねる千歌音の身体を拘束し、さらに攻撃のスピードを速めた。
 「ひぅっ!?ふわぁぁぁっ!」
 熟した肉体に送られた刺激が千歌音の声をさらに甲高くさせる。ここは保健室だった筈なのに、もう、そんなことはどうでも良い。もっと姫子に愛してほしいと言うかのように肉体は正直に甲高く声を上げて姫子を挑発した。何度も零れる淡い透明の雫を飲み干しながらキスをして濃厚な痺れが走り回る。
 さぞ美味であったことを表すように満足な顔をしてから、何度も何度も、全ての雫を淫核ごと卑猥な音を発して啜り、千歌音の肉体の中で何かが吸い取られて膨張し爆発して、最後に目いっぱいの淫蜜が千歌音から噴き出して気付いた時には意識を手放していた。
 「きっひぃぃぃぃぃ!?い、きゅ、ぅぁぁぁぅぅうぅぅぅっっっ!」
 大きな声と一緒に、未だに止まることの無い潮吹きに姫子はうっとりとした。場所もわきまえずに、そんな淫らな姿を晒す千歌音を、もっと可愛がりたくなる。あまりに気持ち良かったのか、それとも快楽電流に肉体が耐えられなかったのか蒼のかかった黒髪が扇状のように広がり、口をパクパクさせながら、空気を求めていた。
 「千歌音……」
 艶めかしい顔を浮かべて、千歌音の淫蜜塗れになった顔のまま、愛しい彼女と口づけを交わした。
 「あ、あぁ……」
 「おっぱい、こっちもしてほしかったんだね……」
 絶頂したばかりだというのに、それでも、なお満足できずに求めてくる姫子の姿に千歌音は再度、突き動かされる。どろりと、再度、淫蜜が流れる膣口の縁を撫でながら、きつく抱きしめあう。
 痛い程、野イチゴの様に勃起した乳頭を愛でて、二人は再度、快楽に溺れた。中指が媚肉の内側を何度も何度も抉り、擦る。昔、千歌音の処女膜を破った中指が学校という場所で再度、侵略をし始めていた。


 行為の後……時刻はすでにホームルームが終わっており、それほどまでに夢中になった保健室のセックスの後、二人の生み出した空気はむせ返ってしまいそうになるほど官能色に満ち満ちていた。
 「ねぇ、千歌音にとって宮様って何なの?」
 ふと、この場で気になっていたことを、あれから、千歌音は何度も絶頂を迎えて気を失い、呼吸を整えて目覚めたところで改めて聞いて見た。千歌音が話すまで、艶やかに肢体を濡らし官能的に映す裸体を見つめ、舌で少し愛撫をしたら愛らしい声を出して、もっと聞きたくなったが、内側から再度、ふつふつと湧き上がる感情を抑えて愛する年下の恋人を見つめた。
 「それは……周りが勝手につけたことだし、子供のころは家の作法が習慣になってたから、そうしてただけだし……それに姫子に出会ってからは、この作法が綺麗って言われてたし、そうすれば姫子に相応しい女としてあろうとする私のもう一つの姿だったんだけど……でも……」
 「でも?」
 「普段は皆に慕われている姫子の恋人として相応しい女生徒として宮様としてふるまっているけど……姫子が側にいるってだけで、我慢できなくなっちゃった……」
 姫子の胸に甘えて乳房の内側にキスしながら千歌音は、そう告げた。
 まるで、そんな自分を嫌うのではないのか?と不安に陥る付き合って互いの本性を知る恋人のようにだ。
 「そっか。」
 宮様としての振る舞い、姫子に相応しい存在としてと言うのは、やっぱり聞いていてうれしくなるが、それでも自分がいると我慢できなくなるというのもやっぱり可愛く映る。
 それを自分の胸の中で聞くだけで心地よくなった。
 「ダメ?」
 「うぅん……ダメって言いたいけどね。でも、こうなっちゃったし……でも、出来るだけ私が怒られないように、普段から、その注意して……私は、千歌音が、その調子だと、こういう風に暴走しちゃうんだから……」
 「できるだけ善処します……でも、私は姫子だったら……」
 「それに、千歌音が思うほど、私はそこまで……」
 「そんなことないよ?美術部の来栖川先生は本当に人気なんだから。」
 本当に奪われないか心配だと言いながら二度と離さないようにぎゅっと力強く抱きしめられた。曰く、そこまで人気という自覚はないが、上目遣いで姫子を見て、いつものベッドの上にいるような感覚で、この独占欲を出されると、どうにもそういうことらしい。
 「あ、そうだ。」
 「ん?」
 「姫子の、このチョコレート……姫子の身体に塗って、私の姫子ってマーキングするの。」
 いつの間にか姫子の鞄から取り出した自分用のチョコレートを取り出して千歌音は開放していた。
 「ま、待って、それじゃぁ……」
 それは、さっき姫子が千歌音がやったこととほぼ同じこと。しかも、夜まで我慢することを今、するというのは……いや、既に、それは説得力はないが。
 「拒絶はダメ。それに、ほら……」
 「あぁ……」
 この淫熱の生み出す空気で、既に液状になりかけているハート形のチョコレートを見て、流石に溜息を吐いた。自分たちの熱で、ここまで溶かしたのは凄いが、ここまで夢中になっていたというのも、どれだけ激しかったのか、また、どういう状況だったのかなど、それだけで情報が手に取るようにわかってしまう。
 「だって、姫子はしたのに、私はダメ?毎年やってるのに?」
 「そ、それは……」
 そう。
 確かに、二人、毎年、この日はベッドの上でしていること。
 だが、それは保健室のベッドの上ではなく姫宮家の自室のベッドの上だ。
 千歌音の甘えるような、おねだりに、また誘惑を受けそうになる。
 どうしようかと考えていた時……
 「来栖川先生に姫宮さん?HRが終わるまで盛り上がるのは良いけど、ちゃんと鍵は閉めないとダメよ?二人の声は響くし、ここら辺はチョコと淫熱の混じったにおいで生徒たちが盛って、もう大変。」
 蓮実先生の声が二人に響いて、突如、二人だけの世界を崩されビクっと響く。
 そして告げられる真実に思わず姫子は大きくため息を吐いた。
 千歌音は、その姫子の感情をあえて察せずに腰回りに手をまわし、ぎゅっと抱きしめて愛する人の汗の匂いに塗れながら、ゆっくりと肉体を委ねた。

| 神無月の巫女 After | 00:00 | comments:2 | trackbacks:0 | TOP↑

COMMENT

バレンタインという単語を聞くと、いつもつい、「バラバ」「タイラント」を思い出します
バルタンでも良いですが
どうにも商業漫画ではバレンタインネタが出ると友チョコという意味のわからないモノに逃げがちなので……百合要素のある漫画でバレンタインが出ると鬼門に感じてしまうんですよねぇ

| 毒穴子四太夫 | 2019/02/14 02:06 | URL |

Re: タイトルなし

バレンタインと聞くと、自然と「女の子同士でチョコを渡す」って言う妄想が始まります。
商業的に、ちゃんと、あれですよね。
バレンタインを扱う百合漫画とか―
なんか、会ったような気がするんですが、まぁ、どうなんでしょうね。

| 月 | 2019/02/14 23:57 | URL |















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