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ACT-ⅣⅩⅠ『そして死ぬ』

滅んで、死ぬって言うね。


「兄さん・・・」

ぼそっと、呟いた。

一つの世界の誕生の物語を知った直後の話でもあり、それは、この男、悠矢にとっては、衝撃的すぎる出来事でもあったからだ。

無気力状態になったといえる、あこがれの人物を否定するつもりはない。

「人が、天使になって、生きるのは・・・それは、不幸なことなのかもしれないな。」

無気力になった、悠介は、ただ、悠矢にそう、話した。

今の

「俺より、お前の方が戦力になるかもしれない。ちょっと、来てくれ。」

「え・・・?」

悠介が、悠矢に行ったこと・・・

それは・・・

「ドラグリオンの所有権を、お前に返そう。」

それは、

「何故・・・?」

「ドラグリオンはお前、専用の機神と言っても良いし、お前にしか、真の性能は発揮することはできない。そして、俺が、今、戦意を失っている今はな。でもさ、無理やり戦えってわけじゃないよ?」

「うん・・・」

「悪いな。」

「兄さんが、そうなったときの弱さを、俺は知っているから。」

「悪いな・・・」

「いや・・・気にしちゃいないよ。」

悠矢は、ドラグリオンを受け止める。

こうすることによって、最強の機神の一角が、真に出来上がるということだ。

極となる。

その姿の意味は、まさに、極の意味だ

「久しぶりだな・・・お前の操る、真のドラグリオンが姿を見せるかもしれないというのは。」

「あれは、俺だけが生んだ訳じゃないけどね。」

「それでも、奇跡の形態だよ。」

そして、究極の形態でもある。

「カイザーオルクスドラグリオン・・・」

「極だね・・・?俺の中の・・・それを超えるかもしれないけど。今の、俺の中では、もっとも、極といえる姿。」

「あぁ。それで、一つ頼みがある。」

「何?」

「俺の間違いを正してくれ。お前の中にあれば、お前が諭してくれ。」

「何故・・・!?」

「知世も俺も、自分たちの間違いに気づくことはできないから。」

「そんなの・・・俺が、しろって言うの?」

「お前じゃ無きゃ、できない。俺は流されやすいから。だから、俺が間違いを起こそうとするときは、お前が正してくれ。」

「わかった・・・」

悠介は、これを言ったことすら、すでに、忘れているだろう。

悠介と悠矢・・・

「何も、しない。」

俺は、何もしない。

ただ、悠介はそう言った。

求めていたのは、穏やかな生活。

それが壊されるのは嫌。

しかし、それが、敵から提供するのなら、喜んで受け入れた。

浦島悠介は、今、此処にいる。

浦島悠介は、草薙の剣を構えながら、ただ、そこにいる。

今と言う今。

隣にいる女の名前は、知世。

愛し合っている仲。

「それで良いわ。」

剣の結界すら張らずに、ただ、そこにいる。

みている。

時代劇に出ている侍ような、刀を持った座り方。

無言で、ただ、そこに居座る姿に、スサノオの威厳や、殺気など、そこには存在していないのだ。

あくまでも、ただの人間として、此処に存在している。

「あぁあ・・・やっちまったな・・・」

ゼウスが、はやてを天使ににする。

「っ・・・」

悠介は、ただ、この光景を見て、舌を打った。

それは、ただ、自分の気に入らない事が行われているだけだ。

ただ、それでも、それは、仕方の無い事なのだろうかと、割り切らなければならないのだろうかと思うこともある。

それが、この状況にあるというのなら、正に、そうだろう。

「何が、気に入らない?」

「生命を尊重してもいない、殺し方だな。」

「そこにいる我欲に溺れた人達の殺に生命の尊重も何も無い。私の父は選ばれた人間だけを箱舟の中に詰め、全ての人間を殺した。」

「ノアの箱舟か・・・」

神は地上に増えた人々やネフィリムが悪を行っているのを見て、これを洪水で滅ぼすと「神と共に歩んだ正しい人」であったノアに告げ、ノアに箱舟の建設を命じた。

「やることは、それと同じなのか?しかし、回りくどい。」

「選ばなければならないからな。」

「選ぶ・・・か。」

ノアは箱舟を完成させると、家族とその妻子、すべての動物のつがいを箱舟に乗せた。

洪水は40日40夜続き、地上に生きていたものを滅ぼしつくした。

水は150日の間、地上で勢いを失わなかった。

その後、箱舟はアララト山の上にとまった。

「あの時と同じことを・・・世界の統一と、全ての人間を悪意ある人間を滅ぼすための・・・」

「そうだ。私が、今度は、それをなす番でもあるのだ。」

ノアは水が引いたことを知り、家族と動物たちと共に箱舟を出た。

そこに祭壇を築いて、焼き尽くす献げ物を神に捧げた。

神はこれに対して、ノアとその息子たちを祝福し、ノアとその息子たちと後の子孫たち、そして地上の全ての肉なるものに対し、全ての生きとし生ける物を絶滅させてしまうような大洪水は、決して起こさない事を契約した。

神はその契約の証として、空に虹をかけた。

「もう、これっきりなんだよな?」

「全てが終えた後に、私はこの地に虹をかけるつもりだ。」

「しかし、その後も、あの世界では人はあんたを殺すという事までしたんだぞ?」

「そのための、私たちだよ。解るな?」

「人を導く役目が俺たちか・・・俺に、そんな資格は無い。」

「なら、見守っているだけで良い。」

ヤハウェ・・・イエスの父たるこの、神は、人間は幼いときから邪悪な性癖を持って生まれるのだからと、洪水で地上のすべてを破壊することは二度としないと約束し、自然の摂理を支えることを自身に約束した。

「しかし、私は、諦めたくは無かった。邪悪など、私は全てを浄化する。」

「それが、できるのは・・・あんたなのかい?」

「誰かが、やらなければならない。」

「そうか・・・」

神はノアとこの契約を交わし、これにより人々はすべての動物に対する優越を与えられ、すでに命を宿していない肉を食べることを初めて許され、新しい法の元で地上に繁殖するよう指示される。

新しい法とは、人が誰かの血を流したら、彼自身の血も流されなければならない、というものである。

「しかし・・・それが、過ちだった。父は、人間を作り直さなかった。」

再び現れた、人間たちを。

全てが、この男、イエスのような人間であれば・・・神がもう一度、

「人を作り直せば・・・」

「あんたがヤハウェと同じ血を引いてる神の子なら、それができるんじゃないのか・・・?」

「それでは、意味が無いのだ。全てを消すだけでは・・・」

「そう・・・」

今、自分の力で新人類を作る気は無いのかと、どこか、拍子抜けした自分がそこにいたりもするが、やはり、そこまでの力も無いのかと考える。

奥底では、やはり、刈り取りたいのではないのだろうかと、悠介は、自分に問い詰める。

「あんたを、寝首を刈る気は無いよ。」

「ソレは、誰にいっているんだい?私には、解っているよ。」

「そうだな・・・」

誰に言っているのだろうか。

イエスは、ただ、そう言いながら笑っていた。

それは、自分自身に対して、言っている事なのだろうか。

悠介は、ただ、自分自身の発言に、意味を持てなくなっていた。

「それで・・・あれは?」

ただ、悠介は、モニターを見た。

そこには、はやてが天使となった姿・・・

それが、映っていた。

何故、目の前にいる、はやてと言う女が、天使の姿をしているのかは、よく解らない。

「ゼウスの行った事だよ。」

「あぁ、ゼウス・・・あの人か・・・」

銀髪の、残酷性を秘めた例の男。

それを、美しくもあり、残酷を表現した、その姿は天使・・・

この世界平和だ。

争いなどということなく、優しい世界がそこにある。

人の見る最終的な楽園は、その惑星となるだろう。

その世界で生きることができるのは、人間にとって、どれだけ幸福になることができるのだろう。

人は・・・人は・・・











「それが、真実だというのか?」

悠矢は自分の世界の真実を知る。

「真実だ・・・かの世界はね。そして、それこそ、私の目指そうとした世界だ。」

その世界こそ、イエス・キリストの創りたかった、真の世界であるはずだった。













「まさか、悠矢の世界の核を破壊しない理由と言うのが、そこにあったとはね。」

目の前にあった、世界は今、核となり消滅した。

核となった、その世界は消滅。

ミッドチルダは消滅。

ついに、ミッドチルダは消滅した。

しかし、それでいい。

ミッドチルダより優れた科学文明など、軽く凌駕する世界など、数多く存在してもいるし、どの道、破壊される運命。

そう、言っても良い世界など、無限に存在する。

ただ、そこにあった世界が目に付いたから、破壊するだけ。

確かに、それは、破壊された。

その住人だった者の手で・・・

破壊の福音を述べるために・・・賛美の歌は破壊の光。

彼は、此処で、死す・・・

世界は、此処で・・・

「死んだか・・・」

「破壊は必要だ。」

「あぁ・・・解るよ。この世界は、箱舟。」

自分自身の行いに気付き、間違いを直接見て、自分自身に恐怖し、そして、精神は崩壊に近い状態となると言う。

八神はやてが、その世界を破壊する光景を見る。

モニターに映し出された、趣味の悪い形をした、ガブリエルという名の天使。

その名を、ガブリエルと言うようだ。

「神の子の願いによって・・・私はこの世界を破壊する・・・」

ミッドチルダに放たれたのは、一つの願望と言う名の、破滅の光。

全ては、彼女の意思。天使と同化した、ガブリエルと同化した、彼女・・・八神はやての意思である。

人間としての、通常形態。

身体が、完全に天使となる、ガブリエル形態・・・天使としての残酷な性格と、八神はやてとしての人間の部分が完全に融合し、今、自分が誰なのかすら、解らない状況にあったが、やっと、自分が八神はやてであると言う事は保ち、わかっているようだ。

ガブリエルはキリスト教の伝統の中で「神のメッセンジャー」という役割を担うことが多い。

此処にいる天使も、その役割を継げ、ここで世界・・・ミッドチルダを光によって、破壊した。

聖書本文に名前は出ないが、伝統的に『ヨハネの黙示録』にあらわれて、ヨハネに神のことばを告げる天使もガブリエルであると考えられてきた。




「私は・・・ガブリエル・・・?」

本当の名前は?

「八神はやて・・・?私は・・・八神はやて・・・?」

八神はやては、ガブリエルと共に一つになりて。

『ルカによる福音書』では祭司ザカリアスのもとにあらわれて洗礼者ヨハネの誕生をつげ、マリアのもとに現れてイエス・キリストの誕生を告げる。






「八神はやて・・・その存在は、完全に破壊の権化に見えることだろう。」

「後は、ミッドチルダの権化を破壊するだけか。全てを破壊するだけ・・・」

「ゼウスよ、何故・・・彼女をガブリエルに?」

「彼女が、そう、望んだ。助かりたいと、心の奥底で一瞬だけでも考えたからなぁ。私は、助けてあげただけだ。」

「そうならば・・・」

聖書においてガブリエルは

「神のことばを伝える天使」

であった。

ガヴリーエールという名前は「神の人」あるいは「神は力強い」という意味である。

ユダ王国の滅亡からバビロン捕囚時代を舞台に書かれた旧約聖書の『ダニエル書』の中で、預言者ダニエルの幻の中に現れるのがガブリエルであり、神がその名前を呼ぶ場面がある。

「ガブリエル・・・」

スバルとギンガのボディは、既に、腐食しており、使い物にならなくなってしまっていた。

戦闘機人の身体は、既に、使い物にならず。カブリエルと一つになった。

趣味が悪いかのように、ガブリエルの両肩には、スバルとギンガを象ったオブジェがある。

それは、二人のコアとなるもがガブリエルに移植され、ガブリエルの肩に宿った。

それは、ただのブースター魔力のブースターである。

機能はそれくらいのものしか、存在しない。

ただ、中に・・・

スバルとギンガの、所謂魂のような物が存在している。

いや・・・それが、バリアを展開したりするのか。

「そうや・・・もう、私は・・・」

しかし、ゼウスと言う神は嘘をつかなかった。

確かに、助けたのだから。

自分を。

スバルも、ギンガも。

そして、リィンフォースははやてのサポートとして、その体は人間の身体が与えられた。

「はやてちゃん・・・」

しかし、中身はガブリエルのそれと同じである。

リィンフォース・ガブリエルの名を与えられた、それは、リィンフォースⅡの遺伝子とガブリエルの遺伝子の二つが存在している。

リィンフォースでありながら、ガブリエルとしての自我が強い。

「任務終了です。ご苦労様です。」

「うん・・・リィン・・・」

ガブリエル・・・

八神はやてと言う名の、存在。

しかし、ただ、彼女の中で確かな事がある。

それは、ガブリエルと、こうして、同化しているうちの戦いは、凄い、自分の中で安定していると言うことだ。

ある意味では、充実していると言っても良いだろう。

此れまでの、どの戦いなどよりも。

それは、ガブリエルに毒されていると言う証でもあると言っても良いだろう。

ガブリエル=はやて・・・

ある種の、テスタメントと同種の存在であると言う天使。

そうして、臨んだ力を得てしまったと言う事だ。

人間として、ある意味、極限まで進化した形と言ってもいいだろう。

天使と同化する事によって、元あるテスタメントと同等のその力を得ることが出来たのだから。

「これは、私の力や・・・」

進化した存在は、全てを得ようとする。

それよりも、もっと、力を得たいと思ってしまう。

「前までは・・・私・・・何をするつもりやったんやろ?」

己の、なすべき事を完全に忘れ、

「まぁ、ええわ。私は、力を得ることができたんやから。」

此処にいる。

私は、此処にいる。

充実感。

ある種の、ヴォルケンリッターの長としての役割、いや、ヴォルケンリッターの存在など、既に彼女の中には無いだろう。

なぜなら、その力は、今ある天使の力によって、過去に持っていた力を忘れる。

ただ、彼女の中で、戦場だった場所が静けさを取り戻した時に訪れる嫌な感覚がある。

それは、虚無感だ。

何故、その虚無感が現れるのかが、彼女の中に、回答は無い。

「まだ・・・まだや・・・!!何で・・・!?何何や!!この感覚は!!」

嫌だ。

「抜けないで・・・」

嫌・・・?

「力がなくなるのは、嫌ぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!!!!」

神に近い力を得たとき、それは現れる。

力という名の麻薬に、彼女は溺れているのだろう。

下手をすれば、自我を失うほどの、力を持っているのだろう。

何せ、それは、世界を作る力でもあるのだから。

失うのは、ある種、苦痛であるといっても良いだろう。

失いたくないと言う、この消える瞬間が、嫌になる。

「それは、かつて、私が作った力だ。」

「そうなんだ。」

「あぁ。」

浦島悠介は人の変わる様を見た。

「アレが、八神はやて・・・変わったな。」

「燈也さんは、良くご存知のようですね。」

「あぁ。」

「俺は、あまり交わった事がないから、よく解らない。」

「良い子だったよ。そして、すずかの親友だ。」

「すずかさんの?」

「そう・・・」

悠介は、ただ、此処にいる。

此処に存在している。

かつての、仲間だった人間が天使となっている。

天使は、ただ、世界を破壊する。

主、神の子イエスの願いのままに。

ただ、見て、何も感じないのは、その世界にも、どうせ、同じ連中がいるからと言う事でもある。







「へぇ・・・」

「悠は心配?」

「別に。そこまで、興味は無いし。」

「まぁ、そうだね。」

知世が抱くのは、他の女に、悠介が目移りしないこと。

悠介はただ、此処にいる。

知世も、ただ、此処にいる。

ただ、見ているだけの関係に飽きは来ない。

「それで・・・さ・・・勝てやしないよ。」

「そうね。」

ただ、見ているだけの存在。

「ふぅ・・・」

「寝よう・・・か?」

「良いよ。此処で、見よう?此処で・・・」

ただ、破壊される全てを悠介は見る。

大して、思うことなど、何も無い。

既に、此処にいる。

その、存在。

ただ、今は、ただ、見るのみ。

「何か、来るね。」

「此処を見つけてきた人間だと言う事だろう。」

モニターに映し出されたのは、巨大戦艦。

此処にも、セブンスチャペルと言う戦艦はあるものの、セブンスチャペルほどの巨大な感じは無い。

「どうするの?あんたが、原因じゃないの?」

「そうだな。明らかに、私に敵意を向けている。」

それを、楽しむ訳でもなく、悲しむ。

「家族を殺したんじゃないのか?」

「あの中にいる家族か・・・良き父親であり、母親は数人いる。」

「じゃぁ、俺達が行く。」

「救うと?」

「うん。」

「しかし、彼等の星に自然は無い。」

「滅ぼしたと?」

「良き、父親と母親はそれを反対した。」

「やっぱ、助けるの?」

「あぁ。」

彼等の子供達は・・・

「我々の中にいる。」

「そう。なら、良いや。」

さあ

「・・・知世、行こうか。」

「うん。」

イエスが、悠介の額に指を当てる。

そこに、助けるべき人間が、4人いた。

「他は、世界の破壊に自ら加担した連中か・・・」

それじゃぁ。

「知世・・・行こうか。」

「うん。」

駆ける。

ただ、悠介と知世は空を駆ける。

衣服と刀以外のものは、身につけずに、悠介は駆けた。

イエスのために・・・










「ヴィヴィオ・・・大丈夫・・・」

「ママ・・・こわい・・・よ・・・?」

人の穢れを統べてみてしまった、ヴィヴィオは精神が崩壊状態にある。

アルフの中にある、なのはとフェイトの魂を移植した、リンカーコアは、ヴィヴィオを癒すために、そこにいる。

いや、アルフの身体を変換させて、一時的になのはの姿や、フェイトの姿でいる。

一応、声帯を借りて、なのはや、フェイトの声に変換し、自分の意思を彼等に伝えることができる。

何もかもが、間違いだったのだろうか。

そして、正解は此処にあったのだろうかと。

「あれは・・・」

外を駆ける悠介と知世をヴィヴィオは見た。

「そんな・・・なにをするの・・・?」

こノ世界のために動くなどと、知る気もおきまい。

「エルヴェリオン・・・」

ヴィヴィオが、そう呟くと同時に、その、黒い巨神は現れた。

「どうして・・・もう、この世界があればいいのに!!どうして!!」

何故、召喚したのか、それは良く解らない。

ただ、見ているだけのヴィヴィオは、そう呟く。

ヴィヴィオは、悲しむ。

殻の中に篭りたくなる。

もう、戦う必要は無いのではなかったのかと、ただ、思う。

しかし、目の前にいる、全てを見て、それは解った。

まだ、消さなければならない人間と言うのは、たくさんいて、それは、仕方の無い者であるのだと。

仕方の無い事。

子供ながらに、ヴィヴィオは、まだ、子供だからと、自分の中に、感情を押し込んで、仕方の無い事と、何も見ないことにした。

「ヴィヴィオ・・・大丈夫だよ。ここにいれば、私達は死ぬ事は無いんだから・・・」

「うん・・・そうだよね・・・そうだよね・・・」

泣きじゃくる、少女を前に、ただ、アルフは抱きしめる。

ヴィヴィオは、何故、泣いているのか、わから無い。

子供心といえば、そうだろう。

しかし、複雑な感情が、ヴィヴィオのなかに渦巻いていたのも事実だ。

ヴィヴィオの中にあるのは、確かなる死。

精神の死を意味する。












「所詮は・・・子供と言う事ね・・・」

「アリシア・・・!?姉さん・・・!?」

「何もする気は無いわ。その子にも、貴方達にも。」

アルフを通して

「なのはとフェイトがいることなど、皆、解っている事ですから。」

「解っている・・・?」

「えぇ。」

アリシアは、ただ、目の前にいるだけ。

「私は、ただ、此処にいるわ。」

「そう・・・」














「ぐぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!邪魔だぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!」

ティーダ・ランスターは苦しむ。

力の兆候が現れた、体の部分を殴りつけるように、殺す。

殺す。

殺す。

思い切り、壁に打ち付けた。

無駄だと解っていながらも、抑え込むために、自らの身体を痛めつける。

「ぐぁ!!」

ルシファー・・・

その痛みは、その力を押さえつけるために存在している。

ティーダ・ランスターの中にある痛みは、ルシファーが支配しようとしている証。

ただ、鍛える。

それだけで・・・

それだけで・・・

物にするつもりは無い。

此処で、ルシファーを消しても良い。

強大な力のために、

「自分の命を捨てる事は無い。」

「捨てる事は無い・・・ほう。」

中にいる、ルシファーは、優しく、ティーダに語りかける。

「強大な力一つに、命を賭けたくも無いからな。」

「ふふ・・・面白い。しかし、それで、私を消すと?」

「消すか・・・出きれば、良いんだがな。」

ルシファーは、笑うように、いや、嬉しそうに、ティーダに言う。

「その喜びはなんだ・・・?」

「解る筈だ。私は、お前で、お前は私であるのだから。」

「ふん・・・」

それに

「此れは、ただの戯れなのだからな。」

「ふざけるな!!」

「仮に、私がお前を支配した所で、お前と言う自我が消え、私は消える。」

「なに?!」

「言った筈だ。お前は私であり、私は、お前であると。」

完全に

「融合しているのだ。私の意思はお前の意思であり、お前の意思は私の意思だ。私は、お前が鏡で見ている自分に過ぎん。」

自分と言う存在を客観的に見る存在である自分。

「お前の言う、からかうと言う行為・・・それは・・・何故だ?」

「それは、以前にも言ったはずだが?」

「人と人が、醜く殺しあうのを待つというお前の考えか・・・?」

「そうだ。人の滅亡に、神が手を貸すことは無い。」

何故、

「そこまで?」

「やはり、人が滅ぶ姿を見るのは、楽しいからなぁ・・・」

「歪んでいる・・・」

「私は、お前の性格が少しは、受け継がれると思ったが・・・」

ここまで、

「渡しらしさが出ないことに驚きだよ。」

「鍛えられたからな・・・」

「イエスか。」

「あぁ。素晴らしき人だ。」

「そうか。素晴らしいか・・・ははは・・・」

「何を・・・?」

「私が、最初に神に反乱した理由を知っているな?」

「流そうとしたのだろう?人間を・・・」

「何れ、滅びるのに、神は一度、全てを無に消そうとした。」

神のやることは

「いや、イエスのやることは、それと同じ。貴様は、何れ滅びる醜い人間を見たくないから、そうするのか?」

「主の願いのために、俺は動いているだけだ。」

「自分の意思がそこには無いな。」

「いや、意思はあるさ。俺は主のために、主を愛しているが故に・・・」

共にいる。

その愛は、アガペー・・・

神から、受ける愛がティーダにとっての純粋な目的でもある。

キリスト教における神学概念で、神の人間に対する「愛」を表す。

神は無限の愛において人間を愛しているのであり、神が人間を愛することで、神は何かの利益を得る訳ではないので、「無償の愛」とされる。

また、それは不変の愛なので、旧約聖書には、神の「不朽の愛」としてでてくる。

新約聖書では、キリストの十字架での死において顕された愛・・・

「それだけのためにか?」

「それだけで、十分だ。俺にとってわな。」

またキリスト教においては、神が人間をアガペーの愛において愛するように、人間同士は、互いに愛し合うことが望ましいとされており、キリスト教徒のあいだでの相互の愛もまた、広い意味でアガペーの愛である・・・

「形の無い愛を求めるか?」

「そうだ。俺は、それだけで良い。」

「つまらない答えだったな。」

「お前の面白いと思う答えを俺は、もっていない。」

「だいぶ、毒されているな・・・」

ルシファーの仲に過ぎる。

この男、ティーダ・ランスターの過剰なまでの信仰心に自分を消す事は無いだろう。

その意味は、ルシファーとティーダは完全に融合していると言う事だ。

ティーダを消せば、ルシファーも消える。

しかし、このまま、神の子に仕えるのはルシファーとしては、不快そのものである。

ティーダを暴走させる事はできる。

下手をすれば、己の崩壊に繋がる事ではあるが。その思惑に、ティーダは気付く事は無い。

「兄さん?」

「ティアか・・・それに、瑠璃ちゃんも・・・」

「何があったの?」

「自分を抑え込んでいる・・・俺の力が・・・でかいからな・・・」

下手をすれば、食われる。

目覚めたのは、ほんの数日前のこと。

「あまり・・・こいつは、力を飼いならすのは大変でね・・・」

「兄さん・・・無理、しないで・・・妹は、そうやって傷つく所・・・見たくないよ・・・」

「わかってるけど・・・な・・・」

ティーダは、少し弱気な笑顔を浮かべながら、ティアナと瑠璃を見た。

弱弱しい顔を見せたのは、ルシファーの力が・・・その身に・・・入り込んできたから。

まだ、扱いきる事の出来ない、ルシファーの力・・・














「んでさ・・・もう、やめよう?クロノ・ハラオウン?」

クロノ・ハーヴェイと、クロノ・ハラオウンの差。

イエスの計画を全て聞かされた後に、クロノ・ハラオウンは反対した。

憐は、ただ、反対もせず、賛成もせずに・・・傍観者でいることを選んだ。

「お前は!!この状況に!!」

「人は、愚かな事をした・・・それは、紛れも無い事実よ?」

そして、自分も。

「今更、そんなことを反対しても、これほどの力を持つ組織。反乱しても、無駄。」

「そんなことは・・・そんなことは、無い筈だ!」

「あの、悠介を見ても、そういえる?」

「言える・・・あいつは、怯えているだけだ・・・」

「あれは。」

イエスと言う男に。

「私たちは、彼を救世主にしようとした。でも、彼も人間。」

それには、

「敵わない。」

「っ・・・」

相手は

「神の生まれ変わりでもなく、人類を想像した真なる神の子であるのだから。」

真なる神の子・・・それは、全てを束ねて・・・そして、

「降伏した。」

また、そこで、

「ミッドチルダは破壊された。」

やったのは、

「八神はやてよ。」

「っ・・・!!」

そこで、クロノは誤解した。

「貴様がぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!」

「おいおい、お前の家族は助けたんだぞ?」

「何故、何故、ミッドの人間に、それをさせた!!」

「全ては、ゼウスに聞けよ。俺に八つ当たりされたって・・・うわっ!?」

クロノ・ハーヴェイに飛ばされた、光・・・

それは、オーディンの光。

破壊、戦神の光・・・

「おいおいおい・・・俺に八つ当たりかぁ?俺が抵抗して、死んでも、知らないよ?」

クロノ・ハーヴェイは駆け抜ける。

一応は、逃げるために・・・

「黙れ!!」

「大体、噂で言えば、ゼウスがはやてを助けるために、天使にしたっていうしさ!それよか・・・」

シュッと、いう動きがしたとたんに、

「抵抗はするなよ?」

クロノ・ハラオウンの背中についている、ハーヴェイのデバイス。

「望んだのは、八神はやてなんだぜ?それでも、お前は、間違えというかい?」

「仲間を・・・!!ただの人間として、助けることだって・・・!」

「良いじゃん。天使と同じ力を得たんだからさぁ・・・馬鹿みたいに、考えすぎなんだよ。」

「そんなもの・・・あいつが・・・」

「求めるさ。俺たちと同じ力が欲しいってさ。それを」

読み取った

「ゼウスが・・・」

天使に・・・

「したんだろ?」

ガブリエルに。

だから、それは、

「お前の受け止め方。でも、向こうは満足してるっぽい。だからさ、それで良いじゃん?」

「だから・・・!!」

「もうちょい、冷静になれよ。故郷の世界になんて、ろくな奴はいないだろ?」

冷たく、言い放たれる言葉。

ある種、人の起こす凶悪事件は、並行世界の中で最も多いだろう。

魔法と言う力がある中で、より、高みを目指したいと思う人は多い。

故に・・・

「求めたのさ。」

「はやてが・・・・・・?」

「そう。力を求めた。」

より、強力な天使の力を・・・

「良いじゃないか。彼女は、今、その力を主のために、平和のために使っているのだから。」

力の根源である、神を敬え・・・

そして、

「服従せよ。このルールに従いな?」

主に従えば

「間違った事はしない。」

「それでも・・・!!人を失った事は・・・!!たくさんの命を奪った事は!!」

「当然だ。そんな計画、あそこまで命を減らす事でしか実現はしない!!既に、人の革新を待っているほど、全ては壊れたのさ。」

「そんなことは!!」

「無いと?」

クロノは、スラッシュケインをハーヴェイに叩きつけようとしたが、ハーヴェイはそれを簡単に避けた。

「お前、奇麗事言いすぎだよ。現実、受け入れな?」

「現実だと・・・・・・!?」

「そう。現実。」

「テスタメント一人で、主に敵う訳が無い。」

「いくら、内に、何体もの神を潜めようともね。」

「何体もの、神を・・・」

しかし、

「この、オーディンたる、テスタメントである、俺は・・・!」

「何を?」

「俺だけでも!!」

「無駄に、正義感が強いこって!!」

ハーヴェイはハラオウンの腹を蹴りつけた。

さらに、自らのデバイスを腹部に突き刺す。

「がっ!?」

一瞬・・・

一瞬の出来事。

それと同時に、クロノの腹部から大量の鮮血が流れ出た。

「お前は・・・理解できないんだな・・・俺と同じなのに・・・」

しかし、

「安心しろ・・・殺しはしない。ただ、眠ってもらうだけだ・・・」

スラッシュケインを奪取し、クロノ・ハラオウンに、その真の性能を見せつけるかのごとく、華麗な太刀さばきで、

「まさか・・・!?」

「あの時、追い詰められたときは、本気だった。でも、今のお前は、本気でも、感情に駆られている。」

だから、

「殺しやすかった?」

「あぁ。いや、殺してもいないさ。もう、殺さなくて、すむからな。」

だから、

「今は、寝ろ。クロノ・ハラオウン。」

声をあげさせる暇さえ与えずに、両腕、両足を切り取り、既に、切り離した部分とは別々に、意識を失ったのを、一瞬で確認した後に、テレポートで拘束治癒室に送り出した。

「お前は、本当に、何もしないんだな?」

「えぇ。何?一々聞いて、恐いの?」

「いや、あまり、戦いたくない・・・!それだけ。」

ぐっと、体を延ばした後に、クロノ・ハーヴェイは、そう言った。

既に、戦いたくない。

それは、本心なのだろう。

だから、何度でも聞く。

しかし、自分を殺すのであれば、言葉で相手を宥める事は出来ないから・・・

できないから・・・

武力を持って、制するしかないのだ。

「さて・・・俺の仕事か・・・」

エルヴェリオン・・・

その、漆黒の瞳は、何を見るのか。

何を、しようとしているのか。

自分は、ただ、イエスの願いをかなえようとしている。

しかし、それで良い。

知世のことを気にかけてくれていて、復活させたのだから。

しかし、チカラニオボレルモノシュツゲンシ、ソレハマタ、ヒトツノハメツヲヨビオコス。

「力・・・力・・・力・・・力・・・力・・・力・・・力・・・力・・・力・・・力・・・力・・・力・・・チカラ・・・チカラ・・・チカラ・・・!!!!!!!私の力!!!!破壊の力!!!!」

「八神はやて!?」

それは、敵襲・・・

いや、目の前に現れた、巨大戦艦を破壊した。

エルヴェリオンは・・・

ただ・・

それを、見ていただけだった。

「嘘だろ・・・・・・!?」

「敵は・・・消去・・・私は、世界のために!!」

八神はやて・・・

「排除するのか・・・?」

破壊・・・

するか・・・・・・

悠介に決断が下される。

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