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ACT-ⅣⅩ『そして滅ぶ』

ミッドチルダ、消しちゃった。


「我々にかたどり、我々に似せて、人をつくろう。」

そして海の魚、空の鳥、家畜、地の獣、地を這うもの全てを支配させよう。

神はご自分にかたどって人を創造された。

神にかたどって創造された。

人は、そうやって、神から作られたという。

神の想像の力の残り滓と言うのがリンカーコアと言う説も存在している。

人の存在。

男と女に創造された。

この世界はリンカーコアを得たことによって、人間自ら最も進化した生物としてミッドチルダの人間は奢るようにもなった。

人間を超えた力・・・

魔力を得たのだから。

しかし、それは、人を超えたと言う事ではない。

「アル意味では・・・此れは、転機だったのかもしれないね。」

もとより、力のある人間と力の無い人間・・・

二つの人間の中に生まれるものは、高揚感と、劣等感。

人知れず、能力を持つ人間と言う者を、ある種、髪に値すると言ってもいい力を持つ人間は、自然と、差別のようなものが生まれる。

しかし、それをもっているものは、半々だ極少数であれば、隔離なり、何なりされる物の、ここは、そういう人間が多すぎた。

故に、奢る。

そして、

「世界を守護するのが、管理するのが、自分の仕事だと思ってしまったのが・・・」

「時空管理局なのですね・・・」

「そうね・・・今、思えば、傲慢な組織だわ。」

傲慢・・・

全てが、傲慢。

他世界の人間が、かつて、人間が「万物の霊長」と称していた時代があったが、裏返せば「地球上で最も恐ろしい生物」の称号の反映であった。

最も、恐ろしい。

動物達が、動物を食すのは、弱肉強食と言う名の、食物連鎖。

ただ、人は、欲望の為に動物を狩る事もあるその本性は、全て・・・全て、奥にある恐さ。

残忍性・・・人間の残忍性は、科学の発展を促し、残忍なまでに全てを喰らい尽くすかのごとく、環境を破壊し、大量殺戮兵器を作り出す。

そして、それを、容赦無く使用した世界レベルの戦争は人間の知能の所産である科学技術が自らに牙を剥きうる事を如実に示し、人間は産業革命の時代から続いた大量消費によって自然破壊、環境問題などを引き起こした。

引き起こした・・・

「人・・・人・・・人・・・ホモサピエンスとしての人。」

「神と思うことが傲慢なんだ。」

「そう言う世界だよ。全てね。」

「じゃぁ・・・俺のいた世界はなんなんだ・・・・・・・・・」

悠矢はただ、一人、幻想を観ていたのかと思う。

「君が、悠矢。」

「あんたは・・・?」

悠矢は、出会う。

飛鳥であり、零である。

この戦いの現況であると言っても良い。

神の子と言われた、ある種、

「テスタメント以上の存在であるあんたが・・・」

「君の世界の話をしようか。」

「俺の居た世界の話・・・?」

謎が解ける。

ただ、そう思った。

この男が、真にそれであるのなら、嘘はつかないのだから。

「結局、最終的に俺たちは・・・」

「そんな・・・」

「そうなる運命よ。」

全て、人は、全てを望む。

何もかも。

傲慢に。

力の無い者は、力を望み、力ある物は、それ以上の物が現れれば、それ以上の力を望む。

それ以上・・・それ以上・・・もっと、もっと。

それ以上を望んだが故に、服従するか。

影で妬むか。

しかし、今回の事は、そういう人間達を一層、一気に動かしたと言うことになる。

全ての人間達が、一気に・・・一気に・・・一気に・・・能力があっても、結局、人は同じ。

中身など、変わるわけも無い。

彼等は、神でもなければ何でもない。

ただ、人を殺せる力を増幅させられた人間と言っても良いのだから。

人が忘れなかったのは、愛する事だけか。

等と、思えば、救いはあるかもしれないが、歪んだ愛は、多い。

愛ゆえに、人肉を食い、愛ゆえに戦い、愛ゆえに死に、愛ゆえに命をささげる。

管理局は、絶対正義と愛と言う言葉に基づき、勝利のために、民間人を人材資源として扱った。

しかし、過酷過ぎる行動は、民間人たちには・・・受け入れられなかった。

逆に、反感を買い・・・

「地獄を見た・・・そう。アレは、地獄よ。」

「そうだな・・・あの中で俺も満たし。」

「私が見たのは地獄・・・」

語られていない部分は、全て語ろう。

等と、瑠璃は悠介と記憶をリンクさせ、それを教えた。

リンカーコアを持った人間が、人類以上の力を持つなど、そのような物は奢りであると言っても良い。

中身は同じ、醜悪で歪んでいる人間であると言う事なのだから、どの道、自分達が神であると言う錯覚さえ起こした人間のいる、腐った世界なのだから。

「きゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!!!!!!!」

人間狩り・・・

それは、言葉通りの意味として、このミッドチルダに存在している。

かつての、明るい未来を反映した、都市のような作りは、ここで、死んだ。

荒廃した世界で、管理局のエゴのために刈られる人間達が、そこに存在している。

狩をするのには意味がある。

一つは、自分が生きるために、狩をする。

そして、もう一つは、敵と戦うために。

人間を殺す音と言うのが聞こえてくる。

人の後頭部を岩石で割り、そして、魔力光が人を貫き殺す、醜い人と人の殺し合い。

人が人を殺す。

正に、それは、人間の望まない、戦争と言う形だ。

とは言え、此れの形は紛争と言い方が正しいといえるかもしれないが、全ての人間の中に生まれる、管理局への不満と不安。

最大限のストレスが、人間の中で生まれた。

人間の中で、生まれてしまった最大限のストレスが、あの状況下で生まれてしまったという結果だ。

傲慢が生み出した。

魔法を使えれば、神様にもなれる。

そのような風潮とて生まれる。

いや、人は、魔法や、異様なる力を持つことで、自分が神であると勘違いすることもある。

力を持つ人間と持たない人間の差。

その中で生まれた、ストレス。

生まれた戦い・・・

ある種、人という名の食料を得るための戦いである。

生き残り、世界を平和にし、悪の魔の手から勝利し、そして、優秀な魔力を持つ人間ばかりが生まれる。

この手の感情も、人の中には生まれていたといっても良いだろう。

復唱する。

それから・・・人肉・・・管理局の人間が、それを喰らう。明らかな食糧不足から、自分達だけでも生き残り、敵と戦い、敵を倒すために動き出す。

とは言え、現状は人肉を喰らおうとも、敗北し、そして、死んでいる。

死にさらされた。

それを、無駄死に・・・結局、管理局の人間狩りは無駄に終わり、無駄なことにされたくないと、民間人は当たり前のように立ち向かう。

女は性奴隷として扱い、そして、その後に、使い物にならなくなったときは、人肉として、管理局の連中は食す。

天然物の食材を使わずに、人肉を喰らう、異様なまでの集団である。

しかし、他に、食う物が無い。

ならば、人は人をお食う。

それが、人間と言う生き物であるといっても良いだろう。

殺しと殺しが、全てを生む。

人間達の、醜い戦い。

人肉・・・

それを食す人間は、最早、人といってもいいのだろうか。

語るとすれば、全てが、それとなる。

今、ここで述べた事、そして、述べられた事・・・その姿は、グールのように見える。

こう、ならないように・・・

燈也は望んでいたというのに。

結局、人は人であるということを、むざむざと見せ付けられた。

瑠璃達が見たのは、此れであり、悠介があの基地の中で見たのは、それである。

動物に姿を変えられる悪魔であり、特にハイエナを装う。

墓をあさって人間の死体を食べたり、小さな子供を食べたりする。

また旅行者を砂漠の奥まで誘い込み、彼らを殺して食べたりもする。

死体を食べることから日本では屍食鬼、あるいは食屍鬼または死食鬼と訳されることが多い。

正に、彼等の姿はハイエナのような姿だった。

その、目も、姿も・・・

正に、管理局員は全員、グールとなったと言っても良いだろう。

しかし、人肉を食しても・・・

結局は、敵と戦い、無駄に命を散らす。

人が、人を食らう。

全ては、生きるために。

生き残るために。

管理局と戦っていた民間人も、管理局員の人肉を食らう。

護るべき対象が、同じ醜い行為をする。

何故、護ってきたのか。

以前は、その儚くも弱い存在を護らなければ、後悔すると思ってきた。

しかし、人が、この事態で本性を現したときに、自分がいずれ、ああなるのではないのだろうかと、どこかで、自分自身すらも嫌悪する。

「此れが・・・人の真実・・・」

「本当の人の真実。」

極限になって現れる

「人の本性だよ。」

悠介はヴィヴィオに、その記憶を共有させた。

「う・・・・・・」

人として・・・

これが、人の本性。

力を持った人間のエゴ・・・

「管理局を毛嫌いする連中の事が良く解る・・・」

「人なの?」

人の醜い本性と言うのは、実に、その言葉に良く当てはまる。

醜いという、その言葉が良く、当てはまる。

これが、

「俺たちの人間の本性でもあるって考えるとさ・・・恐いだろ?」

故に、

「ここに居るんだ。」

ならば・・・

「俺があの奇跡で出来た・・・醜悪な部分が消されるかのような、感覚はなんだったんだ?」

考えながら、悠矢は男にイエス・キリストと名乗った物に、ついていった。

人の欲望でさえも、優しく包み込み、消してくれる。

優しさだけで出来ているといっても良い。

「私が、作ったのは世界のつもりだった。この、アルハザードも・・・しかし、それは、理想にはならなかった。私の犯した、過ちとなってしまった・・・」

「過ち?」

「誰もが、この世界を求めた。私の、奇跡と呼ばれる力を求めて・・・」

「奇跡の力か・・・」

「そう。私の奇跡の力だよ。」

ミッドチルダ

「あの世界では私の奇跡を求める者が沢山いた。」

求めていたのは

「こんな世界ではないんだ。」

求めていた物は、こんな世界ではない。

ただ、言われた一言で、全てが落ちる。

「わかったろ?俺たちは、戦う意味がないんだよ・・・ここの連中と・・・」

知世と見てしまったのは、人の真実。

「悠・・・辛かったよね・・・」

「うん・・・・・・」





「管理局の奴隷になるなんて、ごめんだ!!」

「殺せ!!管理局の人間を殺せ!!」

「俺たちが!!」

「私達が世界を守る!!」

人は、見る。

人が・・・人が・・・人が・・・狂い出す。

そして、全てが動き出す。

「奴等は、生かす必要など無い。」

「我々のことを・・・!!」

人と、局員の中の醜い殺し合いは続く。

管理局員が、民間人を奴隷として扱っていた、管理局の人間を見て、悠介の中に迷いが生まれ、そして護る価値も無いと一瞬、思った。

それから、仲間だけ護れればいいと思い、そして、今は、敵と戦えない状態にある。

いや、戦う気など起きなくなっているといったほうが正しいのかもしれないが、偽りの信念によって、動き、自分を誤魔化していた自分と言うのが、そこにいた。

「・・・・・・・・・・・・・・・」

悠介の中で蘇るのは、人の死。

どの道、知世を生き返らせてもらったが故に、もう、戦う意味も理由すらも無い。

世界の敵から、悠介にとっては、ある種の恩人となってしまったからだ。

「だから・・・もう、戦わない・・・」

「では、弟達の反乱も無駄になるのね。」

「反乱?」

「燈也達が、あなたたちの行動を見越して・・・反乱をするつもりだった見たいなの。」

でも、

「良かったわ。あなたが、その決断をしてくれたから・・・無駄になった。」

「そう・・・」

別に、興味など無い。

そして、ここにいるのか。

ただ、それだけ。

「燈也さんも・・・」

「全ては・・・無駄になったか。この状況・・・何もかも。」

「燈也・・・」

「人間の敗北だよ・・・」

もとより、かなり、部の悪い賭けだ。

それが、外れてしまう事は、良くあることでもある。

人類の敗北・・・それは、全て・・・既に、テスタメントと呼ばれる、この世界・・・組織に勝てることの出来る人材は、すべて、戦意を喪失し、ここにいる。

戦意が喪失されれば、もう、やることなど、存在しない。

全て・・・暗闇の中にある状態であるといっても良いだろう。

存在しない。

全て、存在しない。

だから、何も無い。

勝利も無い。

相手にかみつくほどの力も・・・

何もかも・・・

「無いんだよ。」

ただ、

「僕達は生かされた・・・」

「お母様・・・お父様は・・・」

「もう、終わりにしましょう?」

月村夫妻は、既に、勝利する事は出来ないと考えた。

既に、戦う理由さえ、存在していないといっても良いだろう。

何もかも、存在していないのだから。

戦意という物が自分達の敗北と悟る事ができる。

流石に、分が悪すぎた。

この可能性がある世界など、おそらく、万を捜して一つ、あるかないかの確率。

あったとしても、全ての世界は、壊れている。

そして、負けていることもあるだろう。

「人は・・・やはり、人だったか。」

ただ、それは、

「僕が周りの・・・ミッドの人を完全に信じきれない部分もあったから・・・?」

「そう、思いたいだけよ・・・全ての人は、誰もが生きることを優先させれば・・・」

共食いは当たり前だと、すずかは、言う。

それを、燈也は静かに受け入れた。

「そう・・・無駄に終わった。」

ただ、

「僕がそれを望んでいた事も事実だ・・・」

敗北・・・完全なる敗北と言う名の言葉が、叩きつけられた。

「お父様は・・・それで、良いのですか?」

「イクス、コロナ・・・覚えておくといい。個人の力でできることなど、限られているんだ。」

大人から告げられた言葉は二人の幼い命に容赦無く突き刺さる。

「どうした?恐くなったか・・・?」

「うん・・・」

「だ大丈夫だよ。ここにいれば・・・少なくとも、死ぬことは無いのだから。」

「無駄・・・なのね。何をしても。」

「頼みのスサノオの戦意を完全にもぎ取ったからね。彼が蘇れば、僕達は勝てるかも・・・ね。」

「この世界は・・・この世界の意味は・・・」

「人の欲望を抑え込み、誰もが人の革新と呼ばれるような・・・そうか。天の国を作る・・・その天の国は・・・」

「私たち、神人、テスタメントが人を導くという事?」

「いや、僕たちは見守るだけだ。」

「永遠の寿命を持つ、イエス・キリストが全てを導く。もう、それで、良いですよね。」

「悠介君・・・そして・・・」

「浦島悠介の許婚である皇知世と申します。」

知世と言う女を初めて見る。

あぁ、これが、例の女かと、燈也は笑みを浮かべた。

取り敢えずは、この関係が壊れる事も、どうなる事も無いだろう。

何も、手立ては無いのだから。

「一種の人間不信になりそうかい?」

「まぁ。そうですね。」

「僕も、人間不信になった時があったよ。あの組織の連中、殆どがね。」

そして、

「見てみるかい?ここに、神によって選ばれた人々を。」

「えぇ。」

悠介はただ、頷いた。

燈也はその目を見て思った。

完全に、戦意が、ここと戦う戦意という物が消えてしまっているということに。

「それでいいんですか・・・?」

イクスヴェリア・・・

「何が?」

「本当に、もう・・・戦わなくて、良いんですか・・・!?」

「良いんだよ。人間が、報いって奴を受けるときなんだろ?今は。」

躊躇い無く、悠介は言う。

此れが、人だ。

平気で私利私欲のために必要以上の動物を殺し、全滅させ環境を破壊し、今度は人を殺す。

それが、人間だ。

「自分勝手な生き物なんだよ。その中で、俺たちが、殺されずに、此処にいる。もう、それで良いじゃん。」

「・・・・・・」

悠介は、燈也に案内されて、再び動き出す。

知世は、そんな、生意気な口を叩いた、イクスヴェリアを睨んだ後に、悠介の手を繋ぎながら、燈也に案内された場所に向かう。

「歪んでるんだ・・・」

その様子をすずかが、冷静に分析した。

愛しすぎているが故に。

おそらく、悠介に嫌われた時は自殺をするタイプでもあるだろう。

とことん、尽くすタイプといった方がいいのかもしれないが。

歪んでいる部分は、そこにある。

おそらく、悠介自身も彼女が・・・いなければ、ダメだろう。

だから、今までと違う優しさの表情を浮かべていたのだ。

「今のにいさまは、人間として、魔術師として、そして、神人としての最高の100%に、最大の鍵となる愛による補正で最高の力が出せます。」

しかし、

「見ても御解りのとおり、にいさまは戦いません。」

「貴女は・・・?」

「私は、瑠璃。貴方達と同じ、すずかお母様と燈也お父様の義理の娘ですわ。そして、ティアの伴侶です。」

「はぁ・・・」

そして、横にヴィヴィオを抱いた、ティアナ・ランスターがいた。

「聖王陛下・・・」

「もう、戦う気力も無いわ。この年で人の醜いところ見ちゃったから・・・」

「そんな・・・聖王陛下だって・・・」

「だめだよ・・・イクス・・・もう。あきらめよう。」

「コロナ・・・」

もう、コロナはこの状況が、どういうことか解っている。

なまじ、正義と言う感情を振りかざしても、動かなければ、意味と言う物は無い。

存在していない。

否定・・・

全て、否定される。

「無駄なの?」

「今は・・・」

「ヴィヴィオは、何をしたと思う?」

「何を・・・」

「知世という人間を殺そうとしたの。」

「さっきの人を・・・」

「そう。止められたけどね。寸での所で。」

「わたし・・・もう、やだ・・・なにも・・・まもりたく・・・ない・・・」

人の醜い部分をある種、訴えられたことで、それは、中に人の醜い部分が終末思想に怯えた人間達は、憎悪の連鎖と将来不安と言う目に見えな、牢獄に囚われている状態であり、全ての人間が、発狂し、そして、今の状態となってしまっている。

「出るべき救世主は・・・悠介の筈だった。」

「でも、にいさまはそこまで強くない。」

むしろ。

「精神面じゃ誰よりも弱い。」

「ただ、その弱さが破壊の行動に結びつく。」

それが、浦島悠介・・・

スサノオの強さの由縁。

スサノオ・・・今、最高の状態でありながら、そこに戦意という物は無い。

既に、戦う気さえ起きないだろう。

今の状態なら、

「バラバは倒せるかもしれませんが。」

しかし、

「それをやらないのが浦島悠介だ。」

バラバが現れる。

今までの、会話を聞いていたかのように。

その顔は、ヴォルケンリッターを本当に殺したのかと思うほど、優しい顔をしていた。

「もとより、奇跡を使って、にいさまの戦意をもぎ取る・・・」

「ただ、此れが出来たのは奇跡だよ。」

「奇跡・・・?」

「彼女の体が、此処に存在していた。何度も焼いたが・・・蘇った。」

「そんな・・・こと・・・」

「あるのさ。主の奇跡でその遺体の修復を行った。あれ以上燃やしていれば、復活しても、魂が宿っても、灰になる所だった。」

「灰にならなかったら・・・にいさまは苦しんでた・・・そして、死を選んでたでしょうね。」

「・・・・・・」

それほどにまで、最愛の女性。

やっと、出会えた、最愛の人。

この世で一番

「愛している人・・・」

「そう・・・良かった。」

やけになって、死なれては、困る。

とはいえ、もう、彼が、悠介が戦わないと決めたときから、世界は終わったような物でもあるが、浦島悠介は、もう、動かない。

燈也のやることは、全て、無駄。

しかし、

「燈也さん。この組織の人間達がやることって・・・逆に、人類にとっては有益なんじゃ無いですかね?」

「そうだろうね・・・ただ、やっていることは・・・」

「無差別殺人でも、良いですよ。でも、対象が醜悪な生き物なんですから・・・」

だから、

「選ばれた事に価値があるんです。」

「そうだね・・・」

自分の中で、肯定している。

悠介の気持ちが痛いほどわかる。

そういう、時代を過ごしてきた、燈也と言う人間にとっては、ある種の人間不信のようなものが生まれていたからだ。

全て、終わり。

信じられるのは、仲間と呼ばれる、人間達だけ。

もう、終わり。

「終わりだね。」

そして、確保と言う、選ばれた人間達の下へと、行った後に悠介は顔なじみを見た。

真相を聞いた時、祖母の存在は無いと思った。

やはり、無い。

そして、

「仲間もいないか・・・・・・」

ただ、笑う。

解ってしまったから。

「仲間・・・・・・?」

「えぇ。俺の親友はいない。」

「そうか・・・」

不公平だと思った。

自分の知り合いは多いというのに。

リンディ、桃子、エリス、セレス、アリサ・・・向こうの世界で・・・選ばれた人間と言うもの。

「なぁ・・・何でだよ・・・あいつ等、全員、神人だったんだよ・・・・・・?」

ははは・・・と、苦笑を浮かべながら、此処にいる人間達を、全て見回して、悠介は一人笑う。

笑いながら、崩れ落ちる。

「悠・・・私がいるよ・・・」

「知世・・・一生、愛して・・・俺を愛して・・・・一生・・・

」もう、自分を愛している人は、知世と、この世界の人間しかいない。

自分の世界の人間と言う者は、此処に存在しているものの、自分の知っている存在は誰もいない。

誰もいないのだから・・・もう・・・何も無い・・・燈也は、ただ、黙ってみていた。

「私は、悠介がいないとダメだよ?今は、此処にいない子達のことより、私が此処にいることを実感して?」

「うん・・・知世、好きだよ?」

ダブる。

この二人の関係は、かつての、自分とプレシアの関係に似ている。

そして、すずかと自分の関係に。

お互いに依存してしまっている。

ただ、この歪んだ愛が人を強くするのであれば、燈也は何も言うつもりは無かった。

一瞬、自分とプレシアが身体を重ね合わせた何もかもが・・・狂っていた、あの頃。

この二人は、狂う事で強くなる。だから、何も言わない。

燈也はただ、二人の様子を黙ってみていただけだった。

「殺された奴等は・・・」

「良い人たちでしたか?」

「少なくとも、俺にとっては。」

アリシア・テスタロッサが優しい笑みを浮かべる。

フェイト・テスタロッサ・ハラオウンとは違う、優しい笑みを浮かべる、アリシア・テスタロッサ。

彼女の声は、フェイトのどこか、かなぎり臭い癖のある声とは違う。

アリシアの声は、優しい、一度聞けば忘れる事の出来ない優しい声だった。

ただ、もう、彼女にとっては・・・

「私は、生死を自由に扱える事のできるもの。」

しかし、生死を操るには・・・

「誰かを消さなければなりません。これは、私の人を蘇らせるための、条件。」



「それのストックがあれば・・・貴方の言う人物は蘇らせる事ができるわ。」

その魂のストックは

「此処にいる人たちを使わなければならないけど・・・」

「なら・・・良い・・・」

「そう。」

唐突に現れた、その、アリシア・テスタロッサの言葉を聞きながら、悠介は力なく、そう答えた。

「姉さん・・・」

「何?燈也。」

「残酷だね・・・神の力は・・・」

「えぇ。」

デスのテスタメントは、そう言った。

悲しむ事も、笑う事も無く、ただ、無表情に、そう言ったのだった。

「全部、無駄になったわね。」

「あぁ。でも、それでよかったのかもしれない。一つ、聞いて良い?」

「なぁに?」

「後、世界は、このフラスコの中に広がる無限の世界は、どれくらいあるの?」

「無限に近かった、世界の核は・・・あと、64個になったわ。」

「そう・・・随分、あるんだね。」

「無限に近い世界を消して来たのだもの。少なくなった方よ。」

「そっか・・・」

後、64.

この世界の中で、後、64.

その中で、後、どれくらい、テスタメントはいるのだろうかと思う。

しかし、いれば、既に・・・

もう、此処にいるとも思う。

「どうするの?」

「もう、良い・・・って、さっき言ったよ。」

所詮は

「無駄よ。私たちは勝てないわ。ネ?悠介。」

「もう、戦うのは・・・」

今、一番、力があるのに、戦えない。

故に、もう・・・

何もしない。

何も出来ない。

「終わり。全部、終わり。」

終わる・・・

いや、終わったとでも言うべきか。

後、64の世界で・・・終わった。

終わったのだ。

「もう、良いよ。戻ろう。」

カプセルの中にいる、人間達。

時期を待って、それは目覚める。

憎しみや、欲望を忘れて神の使徒として蘇る事となる。

「僕達は、そこまで戻った人間達を導く存在になるのか・・・」

「そう。それが、テスタメントたる・・・」

「俺たちの仕事・・・」

一つの人間関係か・・・

「同性愛は罪だろ?」

「それくらい、考慮しないでどうするの・・・?十戒は人が知恵の実を食べた後の出来事。なら・・・それを戻すなら・・・」

「十戒は意味をなさないんだ・・・」

悠介は、アリシアから聞いた答えを聞いて理解した。

そして、考える。

自分達が、これから、やることを。

「人間が汚した世界を・・・浄化するか。」

女は、ただ、従うのみ。

男は、ただ、そこにいるのみ。

「それで良いんだ・・・」

もう、前のことなど、

「気にしないよね。知世。」

「うん。悠・・・」

ただ、手を繋ぎ、二人は自室へと戻る。

知世は悠を慰めるために。

悠は知世に甘えるためだけに。












ただ、この場にいない、仲間を供養しながら、光が落ちる。

光が・・・眩いばかりの、強大な光が、ミッドチルダに落ちる。




ドゴォォォォォォォォオォォォォォオォォォォォォン!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!




凄まじいほどの爆音が、ミッドを揺らした。

二人・・・

二人だけになったはやては、その異変に気付く。

イや、その、轟音に気付く。

ギリギリまで、ミッドチルダを砕かないようにしている光が、落ちた。

「はやてちゃん・・・はやてちゃん・・・」

「敗北・・・した・・・?」

希望は、そこに無い。

全てが尽きた中で、スバルとギンガは自らが望んで、機能を停止させて、今は動かずに、何人かは舌を噛み切り自ら死を選び、自然と生きている人間は、ある種、自分は何もしていない、いや、何もできない、はやてが生き残っていた。

ずっと、はやてが、ここに残っていた。

後、生きているのは、もう、自分しかいないと言っても良い。

「なんや・・・人の死の臭い・・・」

「はやてちゃん・・・」

「リィン・・・分けが、わからんよ・・・なんやの?!此れ・・・!!」

目の前の世界は、人、人、人、人、人、人、人、人、人、人、人、人、人、人、人、人、人、人、人、人、人、人、人、人・・・の、死体。

人、人、人、人、人、人、人、人、人、人、人、人、人、人、人、人、人、人、人、人、人、人、人、人、人・・・人の焼ける臭いもする。

光は、あえて、人をそのまま、消す事は無かった。

それは、戒めであるかのようにだ。

「今、一人の人間が、この大地に降り立った。」

「誰や・・・!?」

ふと、見ると、銀髪の男がはやての目の前に立っていた。

「さて・・・ここに、人間がいるわけだが?」

はやて・・・

「ほう、何もいえないか。」

そう。

その感情は恐怖だ。

人の象徴を表した感情の一つである恐怖。

八神はやては、目の前にいる男を確かに、恐ろしいと感じた。

なんなのだという事、そして、目の前にいる男が、自分よりはるかに強いということ。

此れが、人と、神の差とでも言った所なのだろうか。

その差は、余りにも大きすぎた。

力の差という物が・・・

強大すぎる。

此れは、一体・・・

なんなのだろうかと思おう程にまで、強大な力だった。

強大すぎて、言葉に出来ない。

「冷静になる事も出来ず、攻撃衝動さえない。人が、正に、神を畏れる当然の姿とでも言うべきか。」

「か・・・み・・・」

「人が、命を作る・・・こうも、神が天使を作るかのように。」

「それは・・・悪い・・・ことなのですか・・・・・・?」

それは、

「人と人の交わりを必要とせず有機物を使い人を作り出す。それは、生命の、そして神の冒涜だ。」

人が、このように、天使と同じような物を作る。

ある種、

「神の所業を人間が行う。この私、ゼウスは人間がそこまで、神に近付く傲慢な世界が嫌いだ。」

「それは・・・人間の欲望・・・」

「そう。過去に、アダムとイヴと言う人間が、愚かにも知恵の実を食した結果・・・貴様等が産まれた。」

特殊な力を持つべき人間など、

「持つべきではないのだ。」

ただ、あの攻撃で、殆ど死滅しきった、選ばれなかった人間が、今、此処に生きている。

「貴様を天使にでもしようか?」

「天使・・・?」

「天使・・・・・・?」

「貴様を救ってやる。面白い、素材だ。」

「・・・・!!」

自分だけが助かる。

ある種、そのような感情が産まれた。

しかし、

「まだ・・・生きてる・・・仲間がいる・・・神よ、願わくば・・・彼女達を・・・」

「どうしろと?」

ゼウスは、見下すようにはやてを見る。

対して、気に止める訳でもない、普通の女の顔をした、はやてと言う女を。

「助ける事を・・・」

今は、生き残った、機能を停止した

「戦闘機人二人を・・・」

「機械人形の一体や二体。それ位は良いか。」

ゼウスは、邪悪な笑みを浮かべながら、はやては、魔力を使い、スバルとギンガを運んだ。

スバルとギンガは、自らを機能停止状態にまで追い込んだ。

一種の仮死状態のままで・・・

「この二人を・・・・・・助けてあげて・・・・・・下さい・・・・・・」

「はやてちゃん・・・」

神に、完全なる服従を本能的に行っている、八神はやての精神は、既に、朽ちている

「この二体を・・・助けろと?」

「はい・・・・・・おねがいしま・・・・・・す・・・・・・」

そう、はやてが呟いた瞬間、はやての意識は薄れ、倒れる。

そして・・・肉体と魂は天使と同化した。

13体の天使の中の一つであり、そのコアとして。

永遠に天使として生きる宿命を背負う事になってしまった。

「一応・・・計画通りやな・・・」

せめて、一糸報いるための戦いが、はやての中で起きていることに気付いていながらも、誰も動こうとしないのは、コントロールは全て、神の側へとあるからだ。

意識を取り戻して、神への服従をも忘れた時のために・・・完全に同化させられたと言っても良いかもしれない。

「動くのに・・・何故・・・」

はやては、天使となりながら、目の前にいる、全てを見た。

「醜い世界・・・」

そして、天使が光を放つ。

それは、見事に・・・

「嘘や・・・!!私が、こんな・・・!!」

はやての天使は・・・

全てを・・・

全てを・・・

ミッドチルダを全て、破壊した。

跡形もなく・・・

「嘘やぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!!!!!!!!!!」

はやての消滅した無色の世界で、虚しく消えて行った。

八神はやて・・・

その意思により、ミッドチルダを破壊。

| TESTAMENT IS SAVER | 20:14 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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