PREV | PAGE-SELECT | NEXT

≫ EDIT

ACT-ⅢⅩⅠ『空っぽ』

なーんにもない。


「ゼウス。貴方の作った、システムに付加された物だ。」

「これは?」

「デバイス。この世界で言う、魔力を具現化するものだ。」

ヴォルケンリッターの虐殺・・・

アレを、虐殺と見る物は、これを呼んでいる方、全員は、そう思う事であろうと思うが、それは、一つの間違いであるといえる。

彼等にとっては、無用なゴミを破壊したに過ぎない。

感情を持っていたとしても、それは、ロボットと同じような、人形であるからだ。

いくら、構造が人間に近かろうと、動くだけの人形は、彼等にとっては、排除するのみだ。

「こんな物で、俗物的な格好をさせていたのか。」

ゼウスは、思う。

「やはり、人間の欲望とは、醜いものだ。」

完全に、人間の欲望を否定する、神の名はかつて、全能神であると呼ばれた男である。

別世界を治めたものの、その暴虐ぶりに、クーデターを起こされ、イエスに拾われた。

そして、人間殲滅兵器、闇の書の制作者でもある。

それを言い残した後、バラバは、別の部屋に向かおうとする。

「あのような、物は・・・不必要だ。」

ゼウスの、言葉を聞く。

「陽子・・・必要ないのだよ。」

バラバが、向かう先はかつての死体がある場所。

処分した筈の体が、再生している。

魂が、存在していないというのに。

何故だ・・・

何故だ・・・

何故だ・・・

何故だ・・・

何故だ・・・

何故だ・・・

何故だ・・・

何故だ・・・

何故だ・・・

何故だ・・・

何故だ・・・

何故だ・・・

好奇心が、バラバの体を満たしていく。

「・・・この死体・・・完全なまでに再生してる・・・」

骨格から、全て、再生は終了している。

バラバは、それを見て、少し、驚いている。

「あまり、人は死んでいないな。あの、大災害以外では。管理局の域のころは、まだ、大量に存在する。」

「その仲でも優しさを見せれば、それは、助けるべきです。まだ、善良なる人間を探し出していないのに、あの、攻撃で、人を殺すものではないわ。」

ただ、

「優しい人は、増えないわね・・・」

「処理は、ティーダが行っている。」

ティーダ・ランスター・・・

ある種の死神の存在であるといえる。

「この死体は・・・?」

「解らない・・・しかし、興味はあるだろう。前までは、完全に砕けていたのに、此処まで、見事に復元されている・・・何故だ・・・何故、此処まで・・・」

魂でも、宿っているというのだろうか。

それとも、執念か。

死体でありながら、何かに出会うまで、生きつづけるような、そのような気がしてならなかった。















「貴方は・・・」

「管理局の人間は、処分する。いや、されるか・・・」

そろそろ、

「民衆が動き出す。」

「結局、燈也の望む世界にはならないか・・・」

動き出す。

「ラグエルの派遣を・・・」

ただ、そう、言い残す。

笑みすら零すことなく、排除した、管理局の人間はあまりにも哀れだった。

「ティア、一つ言っておく。」

「兄さん?」

「仲間を探しているようだけど、奴らがいるのは、クラナガン。そして、ここは、クラナガンじゃないよ。」

「そう・・・」

もう、昔の仲間など、どうでもいい。

かすかに、よぎる、ティアナの心の中を、ティーダは痛いほど、解っていた。

「いつでも、おいで。瑠璃ちゃんと一緒にね。俺は、待ってるよ。」

「ティーダ様が、帰還した?」

「兄さん!!」

ただ、ティアナ・ランスターは叫ぶ。

少し、少しだけでも、このような、馬鹿な事はやめて欲しかった。

世界の破壊など・・・

するべきではない。

ただ、世界を破壊したくなる気持ちも解る。

この世界の人間を見れば、わかる事だ。

強者が、弱者を殺し、自分が、それ以上になろうとする。

そして、支配者になろうとし、己の欲求を晴らす。

弱者は、踏むのみで、助けようともしない。

これが、管理局か・・・

今まで、民衆の頂点にいたはずの組織である、時空管理局は、導くのではなく、支配する側へとなった。

この状況になれば、管理局だなんだといってられない状況になったのだろう。

「ティア・・・今は・・・」

瑠璃も、その事を解っている。

ただ、此処までしなくても、良いのではないのだろうか。

そうすれば、人の醜い部分は見せなくてすむのではなかろうか。

それをわかる人間である筈なのに、それをしない。

今までの世界のやり方とは、かなり違う。

誰かに、人の醜さを教えるためのように。

「わかってるけど・・・」

「誰かに、人の醜さを見せつけるか・・・俺たちのことだろ。奴等が、直接、此処を破壊しないのは、俺達がいるから・・・」

「私たちの力が、必要か・・・」

ここに、何人もの、神人が存在している。

直接的な神の力を持っているものならば、その力は、人を導くための道しるべとなる事が出来るがゆえに、奴等は、自分達を欲しがっている。

奴等が、ある程度、理にかなった主張と、説得力ある行動をしている事は解っている。

しかし、やることが、異常と言うまでに、激しすぎる。

しかし、この人間の現状を見てしまえば、そう、思ってしまうが。

そして、ティアナはかつての、幼い頃にあった思い出の中に、あれほど、冷徹なティーダ・ランスターは見たことがなかった。

ティーダ・ランスターが帰還した理由は、ある種の、今の安定しているスサノオを感じ取ったからだろう。

確かに、それは、存在していた。

「ハルモニア・・・」

まだ、お前が、残っていたか。

何故、帰らなかった。

そのような、疑問を聞くのは、愚かなのだろうか。

一瞬、そう思う悠介は、ただ、見つめていた。

「恐怖を感じない・・・」

先ほど、密閉空間にいたときは、この、浦島悠介から、確たる恐怖と言う物をハルモニアは感じていた筈だった。

しかし、今は、恐怖を感じさせない。

外に出れば、有利と感じたのだろう。

最低ランクの大天使の一人である、ウリエルを破壊した。

その実力は、ハルモニアとて、認めるところだった。

しかし、密閉された施設の中に比べれば、別人と言える。

破壊神・・・

目の前にいる存在に、幾分無い恐怖を覚えるのは何故か。

単に、人間に、変わった刺青がしてあるような物だと、捕らえている筈だが、やはり、人間の体がスサノオのソレに変わっている。

そこから、来る、絶対的な自信というわけではないようだ。

あの時は、ヴィヴィオの能力によって、密閉空間でも戦えたが。

ヴィヴィオに頼る自分の存在も嫌だ。

こんな、時世でも、子供は戦わせたくないと思ったのだろう。

そして、今は、フルパワー状態に戦える。

防御性能を高めるために、スピードを犠牲にした、ソウルセイヴァー形態。

ある種、拘束的な役割を果す。

しかし、スサノオ形態の場合は、全てを解放する形態といってもいいだろう。

「何故・・・何故・・・何故・・・何故・・・何故・・・何故・・・!!」

ハルモニアが、疑問をもっていたとき、上空に、魔法陣が展開された。

そこから、天使が舞い降りる。

バンク・・・

とでも、言うべきような、ラジエルと同じ出現の仕方。

「ラグエル・・・」

ハルモニアは、ただ、そう、呟いた。

ラグエルと言う天使が、地上に舞い降りる。

みつかいの一人で、世界と光に復讐する・・・

そのような、意味をこめた、天使だ。

世界は、人の作り出した、哀れな世界を意味し、光は、愚かにも人が神と同等に立つと考える人間が、自らを光と言う者。

それ、神の冒涜を意味し、それらに対する物を復讐するために、舞い降りた。

13大天使・・・

3番目の天使である、ラグエル。

「にいさま・・・私達が・・・!」

「あぁ・・・こいつ、倒したら・・・すぐに行く。」

瑠璃とティアナは、動き出す。

二人がネクサスと懐園剣をセットし、二つの巨大な剣が生まれ、さらに、自分達の、デバイスを融合させる事で、別のデバイスを君臨させる。

そして、

「レイディーン・・・」

「降臨なさい。」

ティアナ・ランスターと、瑠璃・ランスターが、召喚する巨大兵器。

父より、授かりし堕天使レイディーン・・・

いや、無限光ノ神と言った所だろうか。

「あんたは?逃げる?」

「逃げても主は、許してくれる。無駄な命を奪うのは、嫌。でも、貴方は、連れて帰るように言われてるし。」

それに、

「私は、何故、そこまで・・・」

用意最低でも弱者を守るのは、力あるものの今の、仕事と言えるだろう。

それも含めて、別の目的があるが。

「何故・・・そこまで・・・」

「単純。復讐だよ。俺の場合は。」

かつての、世界で、

「仲間が殺されたから。」

「そっか・・・ごめんね。(空っぽの理由でも。本当は好きな人がいないから、自暴自棄になってるだけなのに、認めたくないんだ。)」

「なんで、あんたが謝る?」

「貴方が、こっちにこないきっかけを作ったの、こっちだから。」

素直すぎる・・・

そういわれれば、

「攻撃できなくなるだろ・・・・・・」

少なくとも、これから、戦う相手に、殺す殺されるのやり取りをする間のやり取りであるのに。

そう言う部分で、精神的な脆さがある。

それが、復讐の相手である敵であろうともだ。

そして

「人は、嫌なものだね。」

ただ、ハルモニアは、そう言う。

「思い出したくない記憶を・・・嫌でも、忘れる事は出来ない。」

「便利じゃないんだよ。人間って。」

ハルモニアが読み取るのは、管理局地下組織の捕らえた人間の扱い。

「君の心は、弱い。何で、アレに耐えられたの?」

「好きな人に、見守って貰ってるから。」

「それだけ?そんな理由で!?」

「あぁ・・・あいつが、いると・・・意外と、いけるもんだ。」

スサノオである、悠介の気迫を身に受けながら、ただ、女一人で、この状況を精神的に、辛いものが見ても、安心していられる、この男に、ただ、馬鹿なのかと。

いや、それこそ、俗に言う、愛の力なのかと、ハルモニアは思った。

それを、考えると、おかしくて、笑いのこみ上げてくる、ハルモニアがいた。

「まぁ、良いや・・・!!おしゃべりは・・・!!」

「此処までか・・・」

それが、合図だった。

スサノオは、駆け抜ける。

その間に、ヴィヴィオが入ろうとするが、悠介の一睨みで、動けなくなった。

そのまま、突っ込みながら、ハルモニアに対して、何かを行おうとする。

「-♪」

ハルモニアは、ただ、歌う。

歌が、攻撃になる。

それこそ、一発が、高町なのはの、スターライトブレイカーなど、軽く凌駕するほどの威力だ。

1万うって、やっと、互角になる。

そんなものを受ければ、テスタメントが能力を解放しているからとは言え、ただではすまない。

しかし、悠介は。

あえて、それを受けた。

「忘れたのかい?君の攻撃と、私の攻撃はっ・・・ガッ・・・!?」

そう、言った間に、ハルモニアに、何かが、直撃した。


目の前に流れている筈の、悠介の地は、流れていない。

そこに、血すら流れた、痕跡すらなかった。

そして、何に、直撃したのかは、わからないが音の壁でギリギリで防いだ物の自分にも、すっかり攻撃を受け血が流れている事に気付く。

自分の血を見る恐怖と言う物がある。

悠介の放った、高出力光線。

光の柱が上がっている。

何故、このようなものが、上がっているのか。

「らぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!!」

咆哮が、上がった。

既に、この、拾いフィールドの中で、完全戦闘形態に入ったスサノオが、ターゲットを見据えている。

「アンゲルスノイド・・・」

かつて、この世界に来た物。

その能力は、元が、オリジナルの天使であるがゆえに、テスタメント、神人と同じ、能力を持っている。

仮にも、その能力がテスタメントと同じであるというのなら、惑星の破壊など、容易な事であり、何も苦も無く、行うという事は、破壊の象徴。

「ら・・・ら・・・♪」

音が、形作られ、現れるのは、高町なのは、フェイト・テスタロッサ・ハラオウン。

「それが・・・どうした・・・!?」

草薙の剣は、音すら、切り裂く。

しかし、切り捨てた時には、爆発し、熱風が、そのまま、地面を抉りとり、スサノオに、熱のダメージが来る。

「ボム・・・」

「人の形をしているものを・・・簡単に・・・」

「俺は、その二人が、嫌いだ・・・!!」

操られていたとはいえ、故郷を焼いた人間など、好きになれるか。

まだ、成長していない、悠介というものが、ここに存在している。

では、

「あの時、ヴィヴィオに言った言葉は・・・」

「方便に決まってる・・・!!」

音の弾丸を切り裂きながら、一陣の風が過ぎ去った。

すかさず、ハルモニアを横切り、擦れ違い様に無限に近い、抜刀術で相手を圧倒するも、それは、相手に、掠り傷程度しか与える事が出来ない。

本来なら、倒せる。

しかし、別の事に囚われているし、動きを止めるためだけの抜刀術。

それで良い。

今の抜刀術は、所詮囮なのだ。

今は、これで良い。

ハルモニアの背後を取り、ブレーキをかけた瞬間に、悠介は、分身し始めた。

何も言わずに、無言のままに、自分の作業を開始する。

分身開始・・・

悠介が、数多く増え始めた。

一瞬にして、悠介の人数が、十数から、数十のレベルに変化した。

「動けないだろう・・・・・・!?」

「目論見道理・・・と、言う訳か・・・しかも、分身しても、これほどの数では・・・!!あれを呼び出すしかないわね・・・」

縦横無尽に駆け抜け、ハルモニアを

「破邪・・・烈光!!!」

目から、放たれる怪光線は、光の柱を上げながら、音によって、作られた、高町なのはや、フェイト・テスタロッサ・ハラオウンを破壊する。

一斉に、数十の悠介の眼球から、光線が放たれた。

ハルモニアに対して、一点集中で、それは、放出されたのだ。

「ちぃ・・・!!最低出力なわけが・・・ないか!?」

一斉放射・・・

しかし、それを、ハルモニアは、音の壁を最大出力にして、耐えきる。

それほど、読めない戦いではない。

ぎりぎりまで、ハルモニアに近づき、そのまま、一気に切り捨てようとした。

ハルモニアは、ダミーボムを出しながら、ただ、上空に逃げ始めたが、突如、ハルモニアに異常な、までの重力がかかった。

何故、何故、突然、重力がかかる。

異様な感覚に、対して振り向いたときだ。

すでに、そこには、刀を振り下ろしている、悠介が存在し、全てを切り裂き、羽を根本から、切り裂いたのちに、左腕を肩から、切断した。

「がぁぁぁぁぁ!?!?!?まさか!!??!!??」

天使の血しぶきを浴びながら、神は、君臨する。確

かに、戦闘神は、ここに、君臨した。

「まだ、その程度では、ないだろう・・・?」

しかし、

「再生が、早い!?」

悠介は、再生した、ハルモニアの体をばねとして扱い、縮地で避けながら、光線で相手の作りだした、ダミーボムを破壊する。

空中に、一定の力場を無自覚に発生させながら相手に近付こうとした。

しかし、

「まだ・・・!!ここから!!」

ハルモニア・・・

これほどまでに、追い詰められやすい、能力ではない筈だ。

何か、再生するときに、声が聞こえた。

何かを、しようとしているはず。

ある程度の距離まで、離れたところで、何かが、肩に突き刺さる。

気づいたときには、何かが、貫通した跡だった。

一瞬、何か、意識が飛んだような、感覚を覚えた。

何かが、抜かれた後に、鮮血が出るも、その程度は、なにも、ならない。

しかし、若干、音の方が早い。

気づけば、四人・・・

目の前に、それは、存在しているものの、全ては、音である。

音が、全てを支配する中で、音が、全てを操り、

「音は、全てを司る。」

何かを操る事でさえも。

意識が、危険と判断し、悠介は、今いる場から、離脱し始めていた。

何か、危険、ダミーボムを喰らった方が、まだ、いいと思ったと判断した。

何かが、刺さり、意識が一回飛んだ時点で、危険な何かを感じ取っている。

「貴方は、危険すぎる・・・空っぽなのにそこまで・・・・・・!!」

ハルモニアは、一瞬だ。

爆発している中で、何かを見極め、

「くっ・・・!?」

熱のダメージが、悠介を襲う。

しかし、囲っている中で、両足に、何かが、突き刺さった。

一瞬の事で、何が起こったのか、よく、解らなかった。

突き刺さった感覚と言うのが、尾を引くかのように、微妙な、何かが伝わってくる。

しかし、気付いたときには、全てが走り出した。

「一種の電流・・・わかる?」

「っ・・・」

「電流の威力を高くすれば、どうなるか、解るだろ?」

血液を通して全体に、電流が走り出した。

「ぐぁぁぁぁぁ!?!?!?」

突き刺さったままに、下に、動かされ、突き刺された足は膝から、脛まで、全てが、切られている。

血液が、水分の役割を流し、さらに、全身に電流が走る。

今のは、警告レベル。

それでも、神人でなければ、死んでいると言ったレベルだろう。

それを、ハルモニアと言うのは、よく解っている。

全身が、ふわっとなる感覚に襲われた。

無意識に、避けようとはした。

しかし、それより、速いのだ。

何よりも、全てが、速い。

「弦・・・!?」

「そう。バイオリンとか、ひくための・・・ね。集まれば、それは、刃になるの。」

引き抜かれた、弦は、悠介から、自由を奪う。

いくらか、弦の方が、速い。

刀とは違う。このまま、再び、電流を流されれば、今度は、血液が、蒸発する。

悠介の鼓動が高鳴る。

一瞬。

一瞬の何かが、悠介の中をよぎった。

「このまま、貴方を・・・引き裂くことだって・・・貴方を拘束することさえできれば・・・」

「それで、良いってか・・・」

確かに、まともには動けない。

中には、爆弾に等しいものが入っているが、瞳からの光線で全てを破壊する。

この状態で切り裂けば、何も、できなくなるだろう。

しかし、これ以上のことよりは、まだ、マシ。

無駄に力は、使いたくない。

辺りを見回し、どう、対処するか、短い時間で、最低、2案は考える。

「はぁっ・・・!!」

突き刺さっている部分を消し去るかのように、眼球から放たれた光線が、弦を切り離し、離脱しようとするも、体の痺れが動きを拘束している。

離脱し様にも、体が、言う事を聞かなくなっている。

また、弦が、悠介の体を捕らえた。

今度こそ、最大出力で、電流を流され、脚が破裂し、全て吹っ飛ぶ。

ワイヤーのように、弦が脚に刺さりそうになったときだ。

何かが、横切り体温でそれを、燃やした。

体温といっても、一般的な、獣の体温ではない。

一度、死に瀕し、悠介の血を飲んだアルフは神獣と化した。

悠介の使い魔として、アルフと言う、紅蓮の神獣は、今、此処に存在している。

灼熱の体は弦を燃やし尽くす。

「まさか・・・あのような物があるとは・・・」

「物じゃない。仲間だ。俺の・・・!!」

アルフに跨り、脚の不自由が利かない中で新たな、仲間を得た。

いや、悠介が、呼び出したとでも言うべきだろう。

「ちぃ・・・面倒かけるやつだね!!」

ふらつく体の中で、何かが、悠介に手を貸した。

いや、悠介を、それに、乗せた・・・

と、でも言うべきなのだろうか。

「悪いな・・・でも、助かった。良い判断だった。アルフ。」

「ある程度、あんたの血を飲んじゃったからね・・・フェイトとの関係を断たれた今、主である、あんたを助けなきゃいけないんだよ。」

「良い女・・・」

悠介は、アルフの事を、そう、表した。

「神獣・・・爆誕・・・!!」

「それは・・・!!」

「させないと思うか?」

ハルモニアは、四体に、分身し、そこから、スターライトブレイカーを数億発分の威力を誇る。

それは、照射すれば、ここらへん、一帯は滅ぶだろう。

この、ハルモニア・・・

ウリエルと同様か、それ以上の力を誇る、力の調節加減が、上手いのだ。

ダミーボムは、紅蓮の神獣が、焼き尽くし、足場を得て、安心する事の出来た、悠介は、弦を弾き飛ばす。

「やはり・・・これでは・・・」

ハルモニアは、この状況を見て、ただ、思う。

「出すべきではないと・・・思っていたのですが・・・」

右手を振りかざしハルモニアは、ある物を手に持った。

「ラッパ・・・」

「天使のラッパって、やつかい?」

天使のラッパは、新約聖書の黙示禄の一つに出てきた兵器。

かつて、七人の天使にラッパが与えられた。

七人の天使に与えられた七つのラッパもまた、神の意志を伝えるもの。

だが、七つのラッパが次々に吹き鳴らされると、激しい破滅的な災害が連続して起こる。

人間ばかりでなく、あらゆる動物・植物・天体、すなわち全被造物が災いに晒された。

「そう。破滅のラッパって所かな。」

今、音楽を司る、ハルモニアは、それを自由に扱う事ができる。

ハルモニアが、そのラッパを吹き始めたとき、大気が、歪み始めた。

この状況、ミッドごと、破壊する力を見てからは、アルフに、機動の全てを無意識のうちに委ねた。

天使のラッパは、天使の歌声よりも、凄まじい。

既に、その、音で、大気を揺るがしているのだから。

さらに、大地も揺らし、天変地異を司っている。

辺りの瓦礫は、原子分解され始めた。

悠介の心臓の鼓動が、これ以上に無いほど、バクバクとなっていた。

今、近付けば、死を司るのか。

それほどにまで、恐れたものだ。

おそらく、

「そう。考えていることと、同じ。怖いよ。ウリエルは、このラッパで破壊できる。」

やっぱり・・・

解っていたが、実際に言われるというのは、嫌なものだ。

「一騎打ちかな・・・」

「そうだね・・・そうじゃないと、あの、音色を止めないと・・・不味いよ?」

「ヴィヴィオは?」

「此処だよ。」

「ヴィヴィオ・・・何をするつもりだ?」

「役に立ちたいの・・・」

「子供は、子供らしくしていろ・・・」

「そうだよ。ティアが、瑠璃が悲しむだろう?」

「だって、足手纏いは嫌なの!!」

「子供、能書きに付き合っていられるか・・・!!目の前に立つな・・・斬るぞ?ヴィヴィオ。」

脅しのつもりではない。

今の、ヴィヴィオは、単純に、子供すぎて、危険すぎる。

無邪気さゆえの恐れを知らない子供と言うのは、何よりも、恐ろしい。

「砕くぞ・・・」

「砕かせない。」

「どいていろ・・・!!」

八咫鏡と言う力で、幾多の物を返そうとしている。

しかし、本来の出力が出ていない、生半可な状態では、己を滅ぼす。

「己を、滅ぼす気か!!」

「自分を・・・?」

「そうだよ。ヴィヴィオ。あんたの力は、本来の半分しか出ていないんだ。」

アルフが、そのまま、説教するかのように、言い放つ。

「大丈夫だよ。私が、全てを返すから・・・!!」

そのまま、目の前にある、ラッパの音波を全て、弾き返そうとしたが、その前に、アルフが、悠介の指示で、ヴィヴィオを弾き飛ばした。

「キャぅ!?」

気を失わない程度で。

目の前から来る、音波は、悠介の咆哮と、アルフのシャウトで、軽減する。

「死にはしないだろう・・・!」

「解ってるよ・・・」

軽減しただけで、いくらか、掠れている。

全ての音波が、悠介とアルフの体を傷つけた。

悠介の傷ついた脚の部分は、アルフの体毛によって、護られている。

「ヴィヴィオは、戦わせない。」

「そうだね。」

「そう、やすやすと・・・やらせる物じゃない。」

ハルモニアは、ラッパから、口を離した。

「突っ込むよ?悠介・・・」

「あぁ・・・神獣。頼んだよ。」

「まったく・・・」

「あいつ・・・ほしいな。」

「何にだい?」

「使い魔に・・・」

ただ、そう、ぼそっとつぶやく。

天使のラッパの威力は、絶大だ。

しかし、そうは、させてはくれないだろう。

洗脳や、呪縛的なものは見当たらないが、あの天使は、そうするつもりはないだろう。

「いけ・・・!!アルフ・・・!!!」

その言葉と同時に、それと、同時に、ラグエルを呼び寄せた。

天使のラッパは、吹き荒れる。

ミッドチルダの海や、大地に、砂塵の大荒らしが咲き乱れる。

天使のラッパは、そこから、怒号が聞こえ始める。

人の声ではない。

「メテオ・・・」

これが、ハルモニアの落とした、隕石・・・

天使のラッパで、

「こんなものと一緒に降ってくるとはね。」

それが、できるのもある種、ハルモニアの凄さとでもいうべきか。

「あんなのがあったら、あんな、十三大天使なんて、いらないんじゃないのかい?むろん、巨神も・・・」

そういう

「わけにはいかなさい。俺たち神人の能力を全てフィードバックし、さらに、出力を大幅拡大するものが、巨神だ。そして、奴らも、13大天使が、それに妥当する。」

「斬神・・・・・・!!」

向かってくるのは、メテオ。

超巨大隕石・・・

「やれるのかい!?」

「やってみせる。」

刀身に指を走らせ、刃を上空に挙げた時、回しだした。

「すぅぅぅぅぅ・・・・・・」

あんなもん、

「俺を殺すために、落とすなんざ・・・どこまで、やる。」

「無傷で、とらえるとは思っちゃいない。」

「無限・・・解放・・・」

「今、攻撃チャンスじゃないのかい?」

「無理だよ。音のカマイタチが、あいつの防御してる。あのとき、完全に心臓をとらえて、殺すべきだった。」

アルフに、そう、言った。

悠介は、そう、返す。

天使のラッパを持っている時点で、即効性は、奴の方が、速い。

ようは、

「隕石を除去した後に・・・奴を如何にして、倒すかが・・・」

「重要だ・・・」

「来たぞ!?どさくさに、紛れて・・・!!」

アルフは、飛翔・・・

それと同時に、悠介は、変化させた草薙の剣を持ち、来訪した、隕石を前に、ニヤッと、笑う。

柄の部分を両手持ちにし、刀身をより、巨大にした、巨大兵器、殲滅・・・

破壊重視形態。

容赦することなく、それは、そこに、存在している。

巨大隕石の君臨・・・

それと、同時に、

「アルフ・・・!!レゾナンス・ザルツフォング!!!」

その言葉と同時に、

「あいよ・・・!!!」

アルフが、紅の巨大なリングを作り出し、横で、巨大化した、草薙の剣を回しながら、リングの中に入り、その、リングの中に入り、紅に燃える。

その姿は、焔の神であるかのように。

レゾナンス・ザルツフォング・・・

簡単に説明すれば、焔の属性付加+攻撃力強化。

ある程度の戦闘力の増強といったところではあるが。

その、一撃は、高い。

悠介の殲滅破壊用の刀と、相性が良い。

悠介とアルフは、上空を駆け抜け、悠介は、刀身を縦にし、メテオに、破壊重視形態の草薙の剣に、全てをぶつけた。

刀身が、メテオに直撃し、メテオの材質が、何であるのかすら、思い出すことなく、燃やしつくされる。

全てを切り裂き、全てを砕き、紅き獣に乗った、紅き神は、メテオを切り裂く。

真っ二つに、切り裂かれ、燃やされ、そして、爆発する。

そのまま、アルフはハルモニアに、突撃し、悠介は、破壊重視から、両手持ちの殺生重視に戻し、刃が光の波を創り出す。

瞬時に、刃を横にし、後は、アルフの機動に、全てを任せるのみだ。

アルフの機動力は、一般的な、獣のそれより速い。

今、獣と呼べるものの中で、最速を誇るだろう。

全ての敵を破壊するために、神速を駆使しながら、微妙な、ラッパの音激を避けながら、紅き閃光は、駆け抜ける。

「そんなものに・・・のりながら・・・はやい・・・!!」

「あぁ・・・はやいさ・・・」

獣は、元より、人より速い。

それが、縮地を使う事によって、より速くなる。

速さだけで言えば、悠介をも上回るほどの速さなのだ。

それは、捕らえようも無いほどに速い。

悠介のときよりも、残像が、くっきりと残っている。

乗っている人間・・・

普通の人間ならば、振り落とされている所だろう。

アルフの速度と、悠介の剣技が混ざる。

それ、即ちカマイタチと同意。

ハルモニアの音撃を紙一重で避けながら、ついに、スサノオと神獣は、その隙を捕らえた。

「焔風・・・」

「斬爆殺・・・!!」

ハルモニアは、その斬撃や、神獣の閃光を捕らえる事は出来なかった。

全てのそれは、無意味と化す。

ハルモニアの行動は。

一太刀入れたときに、声が聞こえた。

こう、なることを予測していたかのように。

「私と一つになりなさい。ラグエル・・・」

聞こえない声。

呼び寄せたのだろう。

「何!?」

現れたのは、ラグエル。

しかし、その、ラグエルの姿も、傷ついていた。

だいぶ、損傷している。

相手は、レイディーンか。

レイディーンにやられたのか。

悠介は、ハルモニアが、ラグエルに吸収される瞬間を見た。

「にいさま!!」

「レイディーン・・・その姿は、美しいな・・・」

「こっちも、すぐに出す・・・!!」

悠介は、エルヴェリオンを召喚し、アルフもそのまま、吸収しながら、コクピットの中に入った。

虹色の空間で、アルフが、そのまま、エルヴェリオンの駆る機械化した、紅蓮の神獣として現れる。

「相手は手負い・・・瑠璃、ティア、アルフ・・・?行くよ。」

其々が、構えを取り始める。

アルフは、獲物を食い殺す姿勢を取り、レイディーンは10個のセフィラを召喚し、エルヴェリオンは漆黒の草薙の剣を召喚した。

「斬・・・・・・・・・・・・!!!!!」

その一言で、全てが、終息した・・・

アルフは、ラグエルの喉元を食いちぎるかのように噛み付いた後に、コアを露出させる。

レイディーンは、10個のセフィラを使い、ラグエルの体を貫いていく。

徐々に、崩壊する、ラグエルの体。

腕も、何もかも、全て、虚空へと飛ばされていく。

そこは、レイディーンの空間・・・

抗う事は出来ない。

レイディーンは、ラグエルを食い尽くしている。

そして・・・

エルヴェリオンは、黒の装飾・・・

闇を断つ闇・・・

破邪の力で強化武装された、草薙の剣を使い、刀身は漆黒に染まる。

「消えろ・・・・・・」

そのまま、コアに、刃を突き刺した。

三体目の天使を悠介達は、破壊した。

ただ、戦いが終わった後に、何か、虚しさが残る。

天使と戦う・・・

彼等の言い分は正しい。復讐だけに、身を投じていいのだろうか。

ただ、残ったのは、虚しさと似た、何かの感覚。

アンゲルスノイドの・・・

ハルモニアのコアが、ヴィヴィオの前に落ちる。

紅の、レイジングハートの待機状態のような宝石に触れた。少し、皹が入っていた。

「これ・・・・・・」

それを、拾い自分の服のポケットの中に入れる何があるというのか・・・

自分でも、それは、よく解っているつもりだ。

ただ、皹が入っている。

だから、完全に、壊れている。

子供心に、そう、思っていた。

子供心に・・・

「私の・・・」

何かに、囚われている訳ではない。

何故、それを、欲しているのか、よく解らなかった。

何かに、囚われている訳でもないというのに。

ただ、重ねていたのかもしれない。

会えない、高町なのはのレイジングハートを思い出す。

姉達はいるが、母達に会いたくなる事がある。

ただ、そう、思いながら・・・

疲れて、帰ってきた悠介達を出迎えた。

悠介は、ただ、空っぽ・・・

「何れ死ぬために・・・?」

そこにいる。

| TESTAMENT IS SAVER | 22:35 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

COMMENT















非公開コメント

TRACKBACK URL

http://civer.blog122.fc2.com/tb.php/1023-0ba2dacb

TRACKBACK

PREV | PAGE-SELECT | NEXT