エデンの処女、読み終わる。全体的には凄い大好きな話のままに終わった感じ。
ラストはやっぱり今までフラグを立ててきたこともあって小羽と葵で結ばれてお母さんは大満足です。
しかし、1巻からずっと追っかけていたトップクラスに好きな百合漫画が終わるのは辛い。
ただ、最後まで最高の百合漫画として自分の中で終わったのも、これはこれで。ってなるような感じなのかもしれない。そんな感じで、恋に対しては不器用と言うか、無自覚な主人公である小羽……
そんな彼女の作中の最後の仕事。
彼女は美しいものが好きだから、それが傷つくのは嫌なんだという行動原理があるわけでさ。それが、時に人を惹きつけると同時に、人を傷つけてしまい、自分も傷ついてしまう。さゆりの件なんて、正に、そういう話だったわけですよ。でも、彼女がいなければ、彼女は、彼女で、また、さゆり自身のしがらみから逃れることが出来なかったんだろうとも思う。
気づけば、全てを振り回しているんだよなーと。
だから、不器用なりの彼女の行動が不器用ゆえに慎重さと言うものが無いから烈火と宝条部長の関係を修復させたのだろうと思うんだわな。
そして気づけば人のデリケートな領域に入り込んで人を知ってしまうような、そんなスタイルだからこそ、時に人を傷つけ、しかし、それが癒しにもなるし、周りに影響を与えるんだろうとすら思えてくる。
最後の難題を終えた時、彼女は常に自分に対しての初恋を終わらせて、次のステップに進んでいく。
気づけば惹かれてしまう花束烈火と言う存在に振り回されて壊れていく何かの中で、不器用であり天然であるがゆえに包み込むような優しさで抱きとめた、それを為した小羽の純粋さでもあるような気がする。
だから、それを見抜いた烈火は小羽に対して愛情を抱いたんだろうと思えてくる。
そして、そんな小羽に感化されたのは、誰でもない藍宮葵の存在だろう。
一巻から読み直して思うけど良い感じにファーストインパクトから徐々に、小羽と葵の関係性って読者に好まれやすいような描き方になってることに気づく。
和解してから徐々に気の置けないパートナーになって、そして烈火と宝条部長の関係を修復するために小羽が葵に涙ながらに「貴女が必要」と救いを求めるように手を伸ばすシーンがすげー好きなんだわ。
葵は頭が良くて勘が良い女だから言葉の意味を察せてしまうし、深入りしてしまうし、更に慎重すぎて、それが言葉のとげになり、誰かを傷つけてしまう。
でも、それは彼女が求めたことではないし、誰も傷つけたくもない。でも、彼女の性格がそうしてしまうし、だから、そういう察しの良さから孤独を好むけど、そんな彼女ですら小羽は近づいてしまうんだよね。
烈火は葵が必要だから庭園に呼んだし、小羽も呼んだ。ある種、烈火と言う枷から二人が放たれることによって、惹かれ合うんよな。それが烈火が必然的に二人を求めた理由として描かれていく。
ある種、烈火に初恋の感情を実らせて共有しあうことで、彼女を救うために二人が手を組まなければどうにもならなかった状況をうまく作り上げたなと。
そして、烈火が本命の愛する人と結ばれて巣立ちを見送った二人は……互いを知り……そして、結ばれる。
最初の1巻の関係性だけ見ると安易に烈火に傾きそうな感じだけど着々と葵との関係性を深めているの好き。実は真逆の二人が惹かれ合うような構成になっているのが良いんだわ。
ただ、踏台になってしまったさゆりが不憫だが。
女性しかいない世界で描かれた百合漫画の最高峰だと思うの。
「女性」と言う生き物を作者は解っているからこそよくある、きらら系のようなイチャラブだけでなく、その内にある女性らしい激しい感情が入り混じるから本質はドロッドロッと言うのを最後まで描いた「エデンの処女」は傑作と私は評したい。
和解してから面白い感じに葵さんが小羽に惹かれていく描写、凄い好きだし、そんな彼女に惹かれ合う中で、さゆりはもうちょい突っ込んでほしかった。ってのもあるけど、そこまで行くと長くなるから難しいんだろうなw
最終的に、この二人が結ばれればええのに。とか思いながら4巻に入るまで烈火との関係性も深くなっている部分はなんというかスリルがあるのも個人的には良し。
後、個人的にエデンの処女で「人」を語るくだりは機甲界ガリアンを思い出した。
平和になった世界の真相やら闘争本能とか、そういうところ。所謂、エデンの処女で描かれた最終戦争が終わったことでガリアンで言うマーダルの語った「争いを克服することで真の平和が訪れなければ意味がない」って思想があるけど、正に、あの世界ってそれだったのではないか?ともなってくるわけで。
その一種のアンサーが、あれだったと。
どことなく緩やかな衰退を迎えているようにも思える。
でも、ナウシカやガリアンのランプレートのような現実には遠いし、そうはならないだろうと思えるのは、そこに、まだ愛と言う名の人としてのエゴが強く存在しているからだろうと思う。男性がいなくなったことによって表に出るようになった女性の闘争本能が発露が昇華されて、あの世界を支えているように思える。
所謂、男性がいたことで男性的な闘争本能は女にも伝染したけど、男がいなくなったことで、そういう男性的な闘争本能から解放された、ある種、人として平和な時代、かつての神が作り上げた楽園の初期に近い状態になっているとのこと。しかし、文明と言うしがらみが無いから、あの頃の変貌があるのかもしれない。緩やかな衰退とはいえ、あの世界が漫画版ナウシカのようなルートをたどることが無いというのは、なんとなく、そういう気がする。そこは、野郎の抱く闘争本能とか、そういうものが失われたことに対する
そして、それこそが人としての到達点でもあったというのは、結構、面白い結論でもある。
しかし、エデンの処女、個人的に学園の中のドラマがメインだったので外の世界とか見たかった(=ω=)
そんな感じで、まぁ、結構、トップクラスに好きな百合漫画がこうして終わってしまった。
良い感じにハッピーエンドだった(=ω=)
やっぱり、少女セクト、ルミナス=ブルー、青い花とかいろいろとありますけど個人的には、それくらいに入るほどには好きな百合作品になりました。
溢れんばかりのどうしようもない女と言う生き物の負の情念と正の情念を隠すことなく描き切って百合と言う形で美しく終わるスタイルは心地よい。
男がいないからこそ、そういう生の感情の中に生まれる女が抱く女の情念は、ある種、百合の持つ慎ましやかな部分を殺したようにも思えるが、しかし、それこそが、この作品の面白さでもあった。男がいないからこそ、女だけになって、恋愛対象も多く出るからこそ、激情に包みこまれつつ、その奥底にある女同士の美しさって言うのを耽美に描き切った。
本当に、そういう作品でした。
渡邊先生、今度は、どういう漫画を描いているのか(=ω=)
百合だったらいいなー読みたいなーって思いつつ終わり。