2016.03.31 Thu
春に変わるころ
桜が咲き誇る、春の兆しが見える3月の季節。
こうして、新たな春を迎えることに対して何かがあると言うわけではないが、こうして季節を迎えても普通に食物を口に入れ、水分を補給して、好きな人を抱くことが幸せなのかもしれない。とはいえ、そこには確かな休憩のような物があるからだ。
日差しが当たり、世間では春休みだというのに、このご時世は服装以外は変わることなく人は季節ごとのスペシャルを放映しながらも、特に内容が変わることの無いバラエティ番組のように休むことなく時間と金の奴隷であるかのように働き続ける。それを知らない子供というのは気が楽でいい。
「そういくと、私たちは幸せね。こうしてゆっくりと時間を謳歌出来るのだから。」
季節の移り変わりを感じながら愛しあうなんてのは他人から見れば贅沢だし、羨望と嫉妬の眼差しで見つめられることだろう。
「そうだね。でも、これは贅沢だからだよ。」
だからこそ、それが出来ない人達は、この時の自分に戻りたい。
春の新入生や、社会人一年生を見ると、特にその傾向が強くなる人たちは数多くいるのだろう。影響されてか、大規模なグループに所属するアイドル達は、この季節に多く卒業するメンバーが出てくる。それは、憧れ。なんて言葉に括られている。そんな、季節の変わり目にセンチメンタルになることの無い、今回の物語の主役である二人は、何に憧れているのか。
それはそれで、とても、今の生活以上に贅沢な悩みであると言っても良いだろう。娘達の恋を見ていると、あのころに戻って、もう一度、愛する人と淡い時期を。なんて、思う物は贅沢なのかもしれない。
非の打ちどころのない可愛い彼女を妻にしたわけだし、そうして、この季節は春休みであると言うことを思い出すし、そんな、娘達の初々しさが羨ましくなる娘達に、あのころの初恋の思いを憧れを抱いてしまうのは思い出を懐かしむためか。
「千歌音は春休みも帰るつもりはないのかしら?」
「そうみたい。」
「そう……」
そうして、このことについて思い返せば、やはり帰ってこない娘たちのことを気にかけつつも、ならば、こっちから訪れてやろうと、すら考える、姫宮千歌音と姫宮姫子の二人の両親がいる。
姫宮かおん、外見は千歌音を少し老けさせたら、こうなるだろうと予測できるほどには似ていて、その顔を見れば、誰が見ても千歌音は母親似なのだと、解るほどだ。
「千歌音は姫子を溺愛しているみたいね。」
「あの子、ひみこに似てるから……」
ひみこと呼ばれた女性は、姫子が成長したら、こういう物になるだろう。と、言う表情をしている。
姫宮ひみこと、姫宮かおん……れっきとした千歌音と姫子の両親である。その容姿は言うまでもなく、かおんは成長した千歌音と呼んでもいいし、その血を千歌音が受け継いでいることが良く解る。ひみこは成長した姫子、そのものである。かおんは思う。親子にわたって、似たような子を好きになるものだと。遠い記憶、そのような物でも絡んでいるのだろうか。
「姫子……ホント、あそこまでゾッコンになるとは思わなかったわ。」
遠い親戚と言うのは、姫子自身が、ひみこの家計の人間と言うことだ。だが、ひみことて、数回しか出会ったことが無いのは事実だが。と、してもだ。思わず、自分も可愛がりたくもなるのだが、そうさせないのが自分の娘の千歌音と言うことで頭を悩ませる。
義理の娘とはいえ、親子であるし、可愛がりたいとは思うことには変わりないが、そうしたくなるのも解る。好きな女の子と言うのは独占しておきたくもなるものだ。
それに姫子の顔を見たとき、かおんはすぐに解った。
親子だからか、どういう顔が好みなのかすぐに解るのだ。
それに、あの場所だから、春うららかな陽気は都会の空気とは違って心地の良い物がある。
都会が、そういう田舎よりも優れている部分と言えば、文明の利器を体感できることだろう。
とはいえ、その恩恵を受けすぎて、なんてことはあるが、それ以上となると、この話から大いに脱線することになるので割愛するが。
「とはいえ、娘達が幸せなのは良いことなのよね。」
「それは、ね。」
まだ、同性愛と言う物に寛容では無かった時代、それでもと、意思を通して結ばれた二人である。
そうして、二人が同性カップルたちのパイオニアとなって、一つの時代を築き上げた。その時の財産が、この姫宮家の全てに詰まっている。と、言っても過言ではない。
「あ、そろそろ、準備しないとね。」
一言述べてから、ひみこは画材道具などを取り出し準備をし始める。
かおんは、その仕草仕草を見つめながら、目で、ひみこの身体を追いかける。揺れるヒップのラインは、今にも襲いたくなってしまいそうだ。と、その端正な顔とは真逆の思いが彩られている。
そうして、その肉体だけではなく、その内心まで見透かしていそうな瞳は、ひみこの中にあるどす黒い性の欲望まで見透かされているかのよう。
「ねぇ、ひみこは、あの子たちが顔を見せないことはどう思っているの?」
「んー、短絡的だけど、それなりの報告を乙羽さんから貰っているから……」
それだけで、安心とは言えるのだが。
実戦から暗殺まで熟すことのできるプロ集団の姫宮メイド隊達が、何か脅されていること、そういうことに関しては見逃しているとは思い難い。
そこ行くと、千歌音の最初の姫子への反応を見ていると、かつて、かおんが、ひみこに向けていた表情を思い出す。
一時期は、少しの間だけ、帰ってはきてはいたものの、ある日を境に帰って来なくなった。そして、乙羽から送られてくる写真は、とても幸せそうな表情。同族だから、そして、親子だからわかってしまうのだろう。
二人が付き合っているということを。
「千歌音と姫子……私たちは、それを認めるつもりなんだけどね。かおんちゃん。」
「年の差だから、反対されると思っているのよ。たぶんね。」
「わたしは、姫子ちゃんが千歌音と結ばれてくれたら。凄い嬉しいよ。」
姫宮姫子は一応、そういう自分達の遠縁であるからこそ、姫子も、ひみこに似ているのは、ある程度の事実なわけではある。そして、姫宮かおんが、どうも無邪気そうで太異様な暖かさを持つ少女、この血筋と言うのは、何かの因果であるかのごとく似たような人種に惚れてしまうようだ。
そうして、それは、ひみこ自信も、月のような神秘さを持った女性を愛してしまう性にあるらしい。気づいたとき、かおんを、その瞳の中に収めたとき、ひみこの心は、かおんに心奪われた。互いに心奪われて、今のような関係へとなった。
「かおんちゃん、そろそろ、良いかな?」
「えぇ。」
静かな書斎で娘たちが帰ってこないことに対して溜息をつきながらも、こちらも、こちらで夫婦水入らずで過ごせてもらっているが故に文句と言う文句は言えない。とはいえ、このままだと放任主義になるのではないのか。
しかし、それでも、実際に放任主義と言うわけではない。
「準備、出来たよ。お願い。」
「えぇ。」
ひみこが、部屋に鍵を賭けて、かおんは覗かれそうな場所以外の窓からカーテンを閉める。そうして、ある程度の準備をし終わった後に、かおんが衣服を脱ぎ始めた。
「デッサンの時間……」
なんて、いつものことを口走りながら、その千歌音が受け継いだであろう美しい肢体をストリップのように見せて、ゆっくりと脱ぎ始める。
「そんなの、しなくていいよ。」
「あら、私のこだわりよ。デッサンをやめて、ひみこが欲情してくれるかどうか。」
悪い女と自嘲するように笑みを浮かべて、一糸纏わぬ姿を、かおんは見せた。情熱的な視線の先に、全てが見透かされていそうな高揚感が湧きあがる。
「かおんちゃん、綺麗……」
「ひみこが、そうして見つめてくれているからよ……疼いてしまうわ……」
あたりを見回せば、かおんの身に着けていたブラウス、スカート、黒いストッキング、そして、情熱的な赤い下着。
大きく、なだらかな曲線を描く乳房、その先端にある乳頭は桃色の乳輪と共に少し血管が浮き出て大きく勃起している。年を感じさせないほどに細い折れそうな括れ。肉体に相応しいような、その尻肉は張りを見せて、形の良さを保っている。陰毛は全て剃っている訳ではなく、ある程度は残して生え揃い、ひみこに捧げた秘部は見えそうで見えない。肌の色は白く、ところどころに、ひみこがつけたキスマークが見える。
そうしているこれは、恋人同士になってから続けていること。
恋人時代は、毎日、毎日、会ってはこうして、かおんの肉体を延々と描きとどめた。相変わらず、見惚れてしまいそうになるほど、他の誰かが見てしまえ惹きつけられてしまうほどに魅力ある、この肉体を描きとどめるために筆を動かす。
既に、慣れた日課。ある程度の裸婦を描いてしまえば、後は、かおんに主導権が渡る。
「凄い綺麗……」
「だって、貴女に描かれているんだもの。だらしない体系になったら、申し訳ないわ。」
「そうなっても、多分、描き続けているよ。」
かおんの肉体は美しい。
その柔和な、ひみこの顔の瞳の奥で、その姿を一人占めしたい。独占的な感情が湧きあがる。そうして、二人のいつもの日常は絵を描き続けて、変わることの無い日常を味わう。
「そう言えば、今日は千歌音達は何をしているのかしら。」
「まだ、寝ているんじゃない?」
日が強く差し込む春の朝……まだ時間は長い。
「んぅ……」
流石に春先の、暖かい部屋とはいえ、冷たい風は侵入してくる。
田舎の風と言うのは、透明感がある分、寒さが、とても自然で田舎の空気はいいと思いながらも、こういうところが玉に瑕だ。
とはいえ、エアコンを起動させればよかったと思いつつも、そこは自分の怠慢だろう。なにしろ、最近、結ばれたばかり故にレズセックスが心地よくて仕方ない。
目の前の幼女が自分の大きな胸に溺れるように眠る姿は見ていて微笑ましいものではあるが。
白い肌に突き刺すように攻めてくる風、白いスーツも無意味のように吹き抜ける。
「ちかねちゃん……」
千歌音の瞳に映る少女は全裸で眠りについて己の胸の中で静かな寝息を立てている。
あどけない顔に、自分達が眠るまで何をしていたのかを思い出すと身体がほんのりと赤くなって胸の中で埋もれる姫宮姫子と言う、幼稚園児であり、年下の彼女。
春、少しの寝不足と言うこともあるかもしれないが、それ以上に、何処か眠くなってしまうことが多い。
ただただ、この時間を謳歌するだけで、幸福だと思えるのは遥か昔、何かあったから。そう考えると、何処か自分達恋人と言う存在が凄いものに感じ取れる。
「あん……」
そういうことを考えていた瞬間、千歌音の並の人よりも大きい乳房の、大きい乳頭に刺激が走った。
視線を下げてみれば、そこに姫子が赤ん坊のように己の乳首に吸いついている姿を見た。
ここのところの、姫子の性に対する知識の吸収力は早い。口の中で舌を巧みに使って乳頭を転がすだけで、背徳感も手伝い、何度も絶頂してしまう。
いけないことをしているように思える。いや、もう、警察沙汰になりそうなことは二人きりの時に何度もしたのではあるが、それが癖になってしまう自分は恐らく戻れないのだろう。
「姫子……」
「ちかねちゃん?」
むにゃっとしたような表情を浮かべた姫子はチュポッと音を建ててから唇を離し、上目づかいで千歌音を見た。
「ひ、姫子……」
これだけで体内の興奮はマグマのように煮えたぎる。が、如何せん、昨日も煮えたぎるほどに交わったせいか眠い。
まどろみに包まれて、再び襲ってきた眠気に思わず、負けそうになる。時間が経つことに寄って現れる春先のぽかぽかな陽射しが鮮やかに部屋を包んで心地良い。姫子は大きな口を開けてあくびをし、千歌音も、それに釣られて思わず、大きな口を開けてあくびをした。
「姫子、もう少し、寝ちゃいましょうか。」
「うん!」
元気に頷き再び春の日差しを浴びながら眠りにつく。
親の心、子知らず。
娘達は惰眠を貪った。
こうして、新たな春を迎えることに対して何かがあると言うわけではないが、こうして季節を迎えても普通に食物を口に入れ、水分を補給して、好きな人を抱くことが幸せなのかもしれない。とはいえ、そこには確かな休憩のような物があるからだ。
日差しが当たり、世間では春休みだというのに、このご時世は服装以外は変わることなく人は季節ごとのスペシャルを放映しながらも、特に内容が変わることの無いバラエティ番組のように休むことなく時間と金の奴隷であるかのように働き続ける。それを知らない子供というのは気が楽でいい。
「そういくと、私たちは幸せね。こうしてゆっくりと時間を謳歌出来るのだから。」
季節の移り変わりを感じながら愛しあうなんてのは他人から見れば贅沢だし、羨望と嫉妬の眼差しで見つめられることだろう。
「そうだね。でも、これは贅沢だからだよ。」
だからこそ、それが出来ない人達は、この時の自分に戻りたい。
春の新入生や、社会人一年生を見ると、特にその傾向が強くなる人たちは数多くいるのだろう。影響されてか、大規模なグループに所属するアイドル達は、この季節に多く卒業するメンバーが出てくる。それは、憧れ。なんて言葉に括られている。そんな、季節の変わり目にセンチメンタルになることの無い、今回の物語の主役である二人は、何に憧れているのか。
それはそれで、とても、今の生活以上に贅沢な悩みであると言っても良いだろう。娘達の恋を見ていると、あのころに戻って、もう一度、愛する人と淡い時期を。なんて、思う物は贅沢なのかもしれない。
非の打ちどころのない可愛い彼女を妻にしたわけだし、そうして、この季節は春休みであると言うことを思い出すし、そんな、娘達の初々しさが羨ましくなる娘達に、あのころの初恋の思いを憧れを抱いてしまうのは思い出を懐かしむためか。
「千歌音は春休みも帰るつもりはないのかしら?」
「そうみたい。」
「そう……」
そうして、このことについて思い返せば、やはり帰ってこない娘たちのことを気にかけつつも、ならば、こっちから訪れてやろうと、すら考える、姫宮千歌音と姫宮姫子の二人の両親がいる。
姫宮かおん、外見は千歌音を少し老けさせたら、こうなるだろうと予測できるほどには似ていて、その顔を見れば、誰が見ても千歌音は母親似なのだと、解るほどだ。
「千歌音は姫子を溺愛しているみたいね。」
「あの子、ひみこに似てるから……」
ひみこと呼ばれた女性は、姫子が成長したら、こういう物になるだろう。と、言う表情をしている。
姫宮ひみこと、姫宮かおん……れっきとした千歌音と姫子の両親である。その容姿は言うまでもなく、かおんは成長した千歌音と呼んでもいいし、その血を千歌音が受け継いでいることが良く解る。ひみこは成長した姫子、そのものである。かおんは思う。親子にわたって、似たような子を好きになるものだと。遠い記憶、そのような物でも絡んでいるのだろうか。
「姫子……ホント、あそこまでゾッコンになるとは思わなかったわ。」
遠い親戚と言うのは、姫子自身が、ひみこの家計の人間と言うことだ。だが、ひみことて、数回しか出会ったことが無いのは事実だが。と、してもだ。思わず、自分も可愛がりたくもなるのだが、そうさせないのが自分の娘の千歌音と言うことで頭を悩ませる。
義理の娘とはいえ、親子であるし、可愛がりたいとは思うことには変わりないが、そうしたくなるのも解る。好きな女の子と言うのは独占しておきたくもなるものだ。
それに姫子の顔を見たとき、かおんはすぐに解った。
親子だからか、どういう顔が好みなのかすぐに解るのだ。
それに、あの場所だから、春うららかな陽気は都会の空気とは違って心地の良い物がある。
都会が、そういう田舎よりも優れている部分と言えば、文明の利器を体感できることだろう。
とはいえ、その恩恵を受けすぎて、なんてことはあるが、それ以上となると、この話から大いに脱線することになるので割愛するが。
「とはいえ、娘達が幸せなのは良いことなのよね。」
「それは、ね。」
まだ、同性愛と言う物に寛容では無かった時代、それでもと、意思を通して結ばれた二人である。
そうして、二人が同性カップルたちのパイオニアとなって、一つの時代を築き上げた。その時の財産が、この姫宮家の全てに詰まっている。と、言っても過言ではない。
「あ、そろそろ、準備しないとね。」
一言述べてから、ひみこは画材道具などを取り出し準備をし始める。
かおんは、その仕草仕草を見つめながら、目で、ひみこの身体を追いかける。揺れるヒップのラインは、今にも襲いたくなってしまいそうだ。と、その端正な顔とは真逆の思いが彩られている。
そうして、その肉体だけではなく、その内心まで見透かしていそうな瞳は、ひみこの中にあるどす黒い性の欲望まで見透かされているかのよう。
「ねぇ、ひみこは、あの子たちが顔を見せないことはどう思っているの?」
「んー、短絡的だけど、それなりの報告を乙羽さんから貰っているから……」
それだけで、安心とは言えるのだが。
実戦から暗殺まで熟すことのできるプロ集団の姫宮メイド隊達が、何か脅されていること、そういうことに関しては見逃しているとは思い難い。
そこ行くと、千歌音の最初の姫子への反応を見ていると、かつて、かおんが、ひみこに向けていた表情を思い出す。
一時期は、少しの間だけ、帰ってはきてはいたものの、ある日を境に帰って来なくなった。そして、乙羽から送られてくる写真は、とても幸せそうな表情。同族だから、そして、親子だからわかってしまうのだろう。
二人が付き合っているということを。
「千歌音と姫子……私たちは、それを認めるつもりなんだけどね。かおんちゃん。」
「年の差だから、反対されると思っているのよ。たぶんね。」
「わたしは、姫子ちゃんが千歌音と結ばれてくれたら。凄い嬉しいよ。」
姫宮姫子は一応、そういう自分達の遠縁であるからこそ、姫子も、ひみこに似ているのは、ある程度の事実なわけではある。そして、姫宮かおんが、どうも無邪気そうで太異様な暖かさを持つ少女、この血筋と言うのは、何かの因果であるかのごとく似たような人種に惚れてしまうようだ。
そうして、それは、ひみこ自信も、月のような神秘さを持った女性を愛してしまう性にあるらしい。気づいたとき、かおんを、その瞳の中に収めたとき、ひみこの心は、かおんに心奪われた。互いに心奪われて、今のような関係へとなった。
「かおんちゃん、そろそろ、良いかな?」
「えぇ。」
静かな書斎で娘たちが帰ってこないことに対して溜息をつきながらも、こちらも、こちらで夫婦水入らずで過ごせてもらっているが故に文句と言う文句は言えない。とはいえ、このままだと放任主義になるのではないのか。
しかし、それでも、実際に放任主義と言うわけではない。
「準備、出来たよ。お願い。」
「えぇ。」
ひみこが、部屋に鍵を賭けて、かおんは覗かれそうな場所以外の窓からカーテンを閉める。そうして、ある程度の準備をし終わった後に、かおんが衣服を脱ぎ始めた。
「デッサンの時間……」
なんて、いつものことを口走りながら、その千歌音が受け継いだであろう美しい肢体をストリップのように見せて、ゆっくりと脱ぎ始める。
「そんなの、しなくていいよ。」
「あら、私のこだわりよ。デッサンをやめて、ひみこが欲情してくれるかどうか。」
悪い女と自嘲するように笑みを浮かべて、一糸纏わぬ姿を、かおんは見せた。情熱的な視線の先に、全てが見透かされていそうな高揚感が湧きあがる。
「かおんちゃん、綺麗……」
「ひみこが、そうして見つめてくれているからよ……疼いてしまうわ……」
あたりを見回せば、かおんの身に着けていたブラウス、スカート、黒いストッキング、そして、情熱的な赤い下着。
大きく、なだらかな曲線を描く乳房、その先端にある乳頭は桃色の乳輪と共に少し血管が浮き出て大きく勃起している。年を感じさせないほどに細い折れそうな括れ。肉体に相応しいような、その尻肉は張りを見せて、形の良さを保っている。陰毛は全て剃っている訳ではなく、ある程度は残して生え揃い、ひみこに捧げた秘部は見えそうで見えない。肌の色は白く、ところどころに、ひみこがつけたキスマークが見える。
そうしているこれは、恋人同士になってから続けていること。
恋人時代は、毎日、毎日、会ってはこうして、かおんの肉体を延々と描きとどめた。相変わらず、見惚れてしまいそうになるほど、他の誰かが見てしまえ惹きつけられてしまうほどに魅力ある、この肉体を描きとどめるために筆を動かす。
既に、慣れた日課。ある程度の裸婦を描いてしまえば、後は、かおんに主導権が渡る。
「凄い綺麗……」
「だって、貴女に描かれているんだもの。だらしない体系になったら、申し訳ないわ。」
「そうなっても、多分、描き続けているよ。」
かおんの肉体は美しい。
その柔和な、ひみこの顔の瞳の奥で、その姿を一人占めしたい。独占的な感情が湧きあがる。そうして、二人のいつもの日常は絵を描き続けて、変わることの無い日常を味わう。
「そう言えば、今日は千歌音達は何をしているのかしら。」
「まだ、寝ているんじゃない?」
日が強く差し込む春の朝……まだ時間は長い。
「んぅ……」
流石に春先の、暖かい部屋とはいえ、冷たい風は侵入してくる。
田舎の風と言うのは、透明感がある分、寒さが、とても自然で田舎の空気はいいと思いながらも、こういうところが玉に瑕だ。
とはいえ、エアコンを起動させればよかったと思いつつも、そこは自分の怠慢だろう。なにしろ、最近、結ばれたばかり故にレズセックスが心地よくて仕方ない。
目の前の幼女が自分の大きな胸に溺れるように眠る姿は見ていて微笑ましいものではあるが。
白い肌に突き刺すように攻めてくる風、白いスーツも無意味のように吹き抜ける。
「ちかねちゃん……」
千歌音の瞳に映る少女は全裸で眠りについて己の胸の中で静かな寝息を立てている。
あどけない顔に、自分達が眠るまで何をしていたのかを思い出すと身体がほんのりと赤くなって胸の中で埋もれる姫宮姫子と言う、幼稚園児であり、年下の彼女。
春、少しの寝不足と言うこともあるかもしれないが、それ以上に、何処か眠くなってしまうことが多い。
ただただ、この時間を謳歌するだけで、幸福だと思えるのは遥か昔、何かあったから。そう考えると、何処か自分達恋人と言う存在が凄いものに感じ取れる。
「あん……」
そういうことを考えていた瞬間、千歌音の並の人よりも大きい乳房の、大きい乳頭に刺激が走った。
視線を下げてみれば、そこに姫子が赤ん坊のように己の乳首に吸いついている姿を見た。
ここのところの、姫子の性に対する知識の吸収力は早い。口の中で舌を巧みに使って乳頭を転がすだけで、背徳感も手伝い、何度も絶頂してしまう。
いけないことをしているように思える。いや、もう、警察沙汰になりそうなことは二人きりの時に何度もしたのではあるが、それが癖になってしまう自分は恐らく戻れないのだろう。
「姫子……」
「ちかねちゃん?」
むにゃっとしたような表情を浮かべた姫子はチュポッと音を建ててから唇を離し、上目づかいで千歌音を見た。
「ひ、姫子……」
これだけで体内の興奮はマグマのように煮えたぎる。が、如何せん、昨日も煮えたぎるほどに交わったせいか眠い。
まどろみに包まれて、再び襲ってきた眠気に思わず、負けそうになる。時間が経つことに寄って現れる春先のぽかぽかな陽射しが鮮やかに部屋を包んで心地良い。姫子は大きな口を開けてあくびをし、千歌音も、それに釣られて思わず、大きな口を開けてあくびをした。
「姫子、もう少し、寝ちゃいましょうか。」
「うん!」
元気に頷き再び春の日差しを浴びながら眠りにつく。
親の心、子知らず。
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