新章突入…に、相応しい一作目だったのではなかろうか。正直、宇宙刑事ギャバンTHE MOVIEの出来やら、ついでに、スーパーヒーロー大戦Zの出来やらが、色々と酷かった訳でござーますが。
まぁ、そんな感じで…宇宙刑事シャリバン。
刑事ドラマであり、特撮ドラマであり、そして成長物語でもある。
ただ、従来の宇宙刑事像を求めている人には厳しいと思う。リアルタイム世代の人なら、なお厳しい評価するだろうなーって。
大人向けを意識したような流血や吐血描写が多い。
特撮要素よりも、刑事ドラマ要素のが強いって思える部分もあるからねー。このシャリバンを受け入れられない人もいる気がする。
でもね。あたしはリアタイ世代ってわけもないし、それでもVHSで全シリーズ、見直して、なんとやらーだけど。
こういう、刑事ドラマ要素を強くしたのも悪くないんじゃない?って、思った。今回は、爆死するわけではなく、一応、廃材者なので逮捕です。故に、カタルシス的な部分は薄い!従来の場合は、ちゃんと裁いて殺してたじゃないか!!って人もいるだろうけど、そのカタルシスを越えるほどのアクションシーンは必見なんだよなー。流石は、坂本浩一!!って言いたくなるね。
犯罪者は、ただ殺すだけじゃない。って言うね、そういう部分が良いですよね。
ドラマ要素、刑事要素、特撮要素、成長要素が見事に上手くマッチしてたと思う。これまでの宇宙刑事要素を残しつつ、さらにスプラッタ描写やゲストのお話とか、アダルトな雰囲気に仕立て上げると言う、新たな風を入れた感じが、とても良かったと思います。
アクションも坂本浩一監督らしくかっこいいですし、何より俳優陣が全員、一生懸命なのが良いですね。
何より、今まではオマケ的存在で、なんか釈然としなかった二代目シャリバンこと快も深く掘り下げられているのが良いですね。ずっと、関係性、キャラクター性が表面上のままで、深く掘り下げられたことは、より良い物になったと思います。こいつは、こういう情熱を胸に秘めている熱い奴なんだ!!って言う感じで。
日向快は、こういう奴なんだよ。って言う部分ね。
効率重視の考えだったけど、電のことば、それを理解できたアイリーン、ジェンサーの真実を知ったことによって…そして、幼馴染が敵となって立ちふさがることで、計算を越えた何かを越えることで成長することが出来た。全ては臨機応変…ってのもあるんだろうね。とか、そんなことを思った。
如何にしてシャリバンになったのか。そりゃ、あのクールなままじゃ、電さんも不満だよね。って、思いながらも、彼はあれだね。相棒で言う、神戸君みたいなタイプの宇宙刑事なのかもしれんね。
甲して不透明なまま、宇宙刑事シャリバンが出る中で、この作品の中で、様々な肉付けをしたのは良いです。とはいえ、キャラがつかめてないせいで、スパヒロ大戦Zとかアレだったけどね。
此処で、ちゃんとキャラ付けしてから、作品を出した方が良かったね。
独自の性格があるからこそ、そこにあるわけで。
でも、それだけじゃ一辺倒になるからこそ、ちゃんとした成長要素も入れて物語が成立し、そして必要になる。今まで、色々と、何処か気の抜けたように見える赤射もね。あれだよ。
ホントねー…
今までのやる気の無いように見える赤射も、溜めて溜めて、最後にエステバンって奴と戦う時に
赤射!!!!って纏う時は、めっちゃかっこいいんだよなー。
アクションも良かったんですよ。
金田治よりも、良かったよ…
生身アクションも凄いけど、それと同時にシャリバンの主題歌が流れる中で、コンバットスーツ同士の戦闘シーンもかっこいいし、最後のレーザーブレード同士のぶつかり合いの中で、シャリバンのレーザーブレードのテーマが流れる。あの、シーンもかっこいい。
ラストの戦闘シーンは全て見ておくべきですよ。
絵ぇ…瞬きしないでね。
ってか、シャリバンクラッシュ…ああいう風にもなるのね。
驚きよ。
そんな感じで如何なる経緯で電から快に受け継がれ、そして、どういうキャラクターなのかと言うのを掘り下げると同時に、最初は電に認められず、しかし、今作の事件を通して、そこから、さらに成長して最終的に電に認められる、あのラストは凄い良かったと思うんですよね。
同時に、自分なりの宇宙刑事とは何か?と、言う答えを出す。
快は計算で全てが成り立っていたけど、それ以上のことが起こり、それを対処する。効率ばかりで解決するばかりがヒーローではない。人の情を汲み取りながらも人を助け、悪を倒す。これが宇宙刑事なのでしょうね。そして、拳は虐げられている物の為に振るうと言うのが、快の導きだした答えなわけですが、それが宇宙刑事の熱き魂を感じさせて良いものです。
これと同時に、同僚であり、幼馴染であるエステバンことセイギが敵になってしまった理由って言うのは、これ、彼は酷く純粋なんだろうなーって。それゆえに、人の心が悪と言うことを完全に感じ取ったからこそ。ってのがあると、思うと、やっぱ、無意識って言うか、虚無感が来るのかもしれませんね。頑張って頑張って正義のために働いても、結局、その後、自分達の頑張りを無にしてしまう。
それゆえに、もう、どうせなら悪に回った方が自分の心も楽だと思ってしまう…宇宙刑事とは言え心の弱い人であると言うことが良く解りますわ…ある意味、彼は悲劇の悪なのかもしれませんね。犯罪と言う気持ちを人一倍憎むからこそ、一向に減らない、この状況に業を煮やして虚しさが襲ったのだろうと…
同時に電さんが出て来たの良かったよ。
あの短い絡みの中で、一種の師弟的な関係を作り上げるってのはね。流石の手腕ですよ。
ジェンサが異型になってでも己の姿を捨てて組織に身を置いた意味を考えてくると泣けてくるね。その拳を弱気人を守るために使いたい…かっこいいなぁ…追いおいおい…
計算と言う名の理屈を越えた場所を乗り越えてこそ、宇宙刑事であるという答えね。それを自分で、今回の事件を通して導きだしたからこそ、電も快を宇宙刑事と認め、自分のシャリバンという名前を、本格的に快に譲る気になれたんだろうな。って、そういうことを思いましたよ。
何事にも、この職には暑さも必要ですからねー…いや、そうじゃなくて。
ま、なんていうかで。
いやぁ、濃厚な1時間だった。最高の出来だったよ。
…これで、ギャバンNEXT GENERATIONってのもやって再出発してくれないかなー。って、思った。