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2008.12.26 Fri
エピローグ・・・
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次元の狭間の中で、僕達は流されている。
誰かが、助けようとしていた。
誰かが、ママを守ろうとしていた。
でも、そんなこと、どうでも良いんだ。
何処までも、落ちることが出来た。
必死に、ママが僕を抱きしめていてくれたから。
魂が無いっていても、お姉ちゃんは、僕に微笑んでくれているようにも見えた。
家族が、出来たんだ。
本当に、僕とお姉ちゃんと、ママの。
もう、高町の家に戻る必要なんか無い。
戻る必要なんて、無いんだよね。
偽りの優しさじゃなくて、本当の優しさに触れることが出来た。
満足だったんだよ。
それだけで。
他に、人なんていらないんだ。
ママとお姉ちゃんさえいれば、それで良いんだ。
だから、ママ・・・
僕を見捨てないで。
抱きしめてくれているときに、ママは、僕を頭を撫でてくれる。
僕は、安心して、ママの胸の中に顔を埋めるとができる。
胸の中で、歓喜の涙を流すことができる。
もう、闘う必要も無い。
ね・・・
君は、どう思っているかな。
偽りの優しさで、僕に触れていた・・・
タカマチナノハ・・・
タカマチキョウヤ・・・
タカマチモモコ・・・
ツキムラシノブ・・・
そして、苦しんで死んでくれたよね。
ユーノ・スクライア・・・
あれ?
どうして、僕は、こいつを憎んでいたんだ。
考えてみれば、殺す必要なんて・・・
でも、ママの目的を邪魔しようとしていたんだ。
だったら、もう、良いじゃないか。
殺したって、いいよね・・・
ママ・・・
喜んでくれるよね・・・
僕は、頑張ったよね?
ママ・・・
ごめんね・・・
最初に、ママの邪魔をして・・・
ここから先の道は見えない。
でも、ここから先の進路は、流れる如く。
自然に任せるんだ・・・
どうなろうか何て、僕はもう、知らないんだ。
暖かいな・・・
ママは・・・
ずっと、好きでいてくれるよね・・・
ずっと・・・
ずっと・・・
ずっと・・・
一緒にいてくれるよね。
でも、僕は気付いた・・・
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| 漆黒の破壊天使(完)
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2008.12.22 Mon
最終回・・・
あぁ、最終回・・・
最終回・・・
09/08/10何か、修正。
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最終話「貴女に全てを・・・」
この庭園の前にいる、一人の男。
トウヤ・テスタロッサ。
母に、負担を掛ける訳にはいかず。
望み、戦場へと立つ。
必ず、帰ってくると、約束して。
侵入者は、最悪の場合、全て殺すと。
「ケルベロスは・・・自ら、死を選んだ・・・」
トウヤは、既に、その序章の尖兵の目的を知っていた。
スサノオと、アマテラス、ツクヨミに仕組まれていた、出来事。
自らの覚醒。
これだけ。
後は、覚醒したトウヤに殺されるということ。
この覚醒は、上手くいった。
しかし、何故、トウヤの覚醒が必要になった。
いや、全ては、あの、スサノオとアマテラス、ツクヨミが一つになる前から、決められていたこと。
こうなることは、アマテラスにもスサノオにも、ツクヨミにも予想は出来ていなかったか。
何れ、起こるであろう、三人の最高神の再臨にあわせての、護衛として、必要となる。
ただ、アマテラスは一旦、敵の手に落ちることになるが。
まぁ、些細な事になるだろう。
歴史に刻むのも愚かな事になる些細な出来事。
三人の最高神が、送り込んだ、神の尖兵としてのトウヤ。
最高神が降臨するまでの、世界の守護者となるために。
「あんたの力は必要になる。だから、正気に・・・いや、それは残酷すぎるのか?」
歪んでいるとは言え、トウヤは、今の生活には、満足している。
プレシアは愛し、トウヤはプレシアを愛している。
ここで、正気に戻すことのほうが、残酷だ。
「クロノくん!!それに・・・燈也・・・?」
駆けつけたのは、高町なのは。
意識不明の重態となっているユーノは動けず。
ここで、少し、歴史が食い違っている。
「さぁて・・・人形供が沸いてきたんだが?」
「人形・・・?」
アニメとかに出てきそうな、西洋甲冑を纏ったような、機動兵器。
気付けば、それが、クロノと燈也、そして、なのはを囲んでいた。
「殺せ。」
燈也は、躊躇いなく、言い放つ。
「やれやれ・・・一騎討ちといきたかったんだがね。」
「どうするんだ・・・悠介!!」
「俺がでるまでも無く。ぶちかましちゃいな。」
「解った。」
人格をクロノに、変え、見せ場を創る。
既に、全体の力・・・
魔力だけでも、充分の急を封じられている悠介は、無駄に力を使いたくなかった。
だから、クロノに任せる。
「近くに来たものを攻撃するだけの機械なら・・・」
「じゃぁ、私も・・・」
クロノは、なのはを、左手のみで制す。
この意は、
「無駄弾を使う必要は無いよ。」
迫り来る人形たち。
しかし、クロノは、S2Uから、光の鳥を打ち放った。
それは、たちまち、一機を破壊し、徐々に、全てを貫く。
「うぅん・・・あれほどなら、簡単だけど・・・憐さんには、かなわなかったんだよな・・・」
「知っているのか!?」
憐を
「まぁ、仲間ですし。」
悠介のミッドチルダではクロノと戦い、今のところは、99勝99敗となっている。
未だに、決着をつくことは無い。
刃の付いていないデバイスで暴れまわる姿は、未熟ながらもテスタメントである証とでも言えようか。
最後の一機を、ブレイクインパルスで片付けた時、既にそこに、燈也の姿は無い。
「逃げられた・・・ね。」
「あぁ。」
唇を噛み締め、クロノとなのはは、動き出す。
「全く・・・えげつない地形だね・・・」
虚数空間のことを、言っているのだろう。
全ての魔法がデリートされてしまう、その空間。
落ちれば、全てが終わるに等しい。
だが、それが、魔力だけであるのなら、神の力を得ている悠介は、どうなのだろうと、自分で考えてしまう。
下らないことであると、解っていてもだ。
「あぁ・・・ここに落ちたら、最後だからね・・・」
精神の中での、悠介の会話。
確かに、黒騎士と戦っても、今のクロノでは、倒すことなど出来ないだろう。
だから、中にいる男。
浦島悠介に、委ねるしかない。
如何に、この、身が傷つこうともだ。
扉を開けた時、そこにも、無数の機械人形がいた。
数の問題ではない。
ここで、二手に分かれる。
どの道、プレシアを目指すのであれば、黒騎士と当たるだろう。
なのはは、駆動炉の破壊を担当。
クロノは、道を創り、なのはを通す。
「クロノ君!!気を付けてね!!」
「あぁ。同時に助けて見せるさ・・・」
ブレイズキャノンで、なのはの道を作り、自らは、その奥へと進みだす。
「ここにもいない!?」
「いるなら・・・プレシアの近くだ・・・」
群がる、邪魔な人形達を、クロノは倒す。
何処だ。
何処にいる。
何故、黒騎士は、姿を現さない。
「婆ちゃん・・・」
悠介にとって、会った数は少ないとは言え、プレシアは、祖母のような存在。
しかし、ここで、余計なことに手を加えることは許されない。
「さぁて・・・ここが最後・・・かな。」
クロノが、扉の前で、足を止めた。
無傷で、良くここまで来られたものだ。
クロノは、一人で感心する。
悠介は、何も応えない。
その先に、ある物を感じたから。
お前は、ここにいたのか。
変わるときは、闘うとき。
無駄に力を消費させないために。
燈也は、ずっと、そこで待っていた。
「頼んだぞ?」
「あぁ・・・信じてくれたことに・・・感謝する。」
剣を構えていなくて、黒騎士でもない燈也から溢れる殺気。
悠介は、びりびりと、それを感じ取ることが出来た。
「あんたが、投降してくれれば・・・プレシアと、二人で暮らすことができるんだけどな。」
「お姉ちゃんがいないと、意味が無いんだ。それは、ママがお姉ちゃんだけではいけないように。」
話し合う予知は
「無い・・・ね。」
基から、敵と見方だ。
燈也は、黒騎士となりて。
悠介は、鬼神となりて。
「「参る!!!」」
お互いに、その相手に向かって、真っ向対決といく。
同時に、二人は、屋敷を縦横無尽に駆け巡り、二人の刃が、ぶつかり合い、最初の衝撃が生まれる。
草薙の剣と、懐園剣
親と子供の刃が合わさり、生まれる衝撃波は、庭園の障壁を完全に打ち崩す。
その、ソニックブームは、壁を破壊し、二度目に起こるソニックブームは、その部屋を崩壊へと導く龍となる。
懐園剣を弾き、草薙の剣で、倒そうとするも、
「貴方には、僕を殺したくないという欲求がある!!」
「その通り!!!」
否定する必要は無い。
自らの心をさらけ出し、悠介はぶつかる。
悠介が、切り払うのと、同時に、距離を取った時、それを予期していたように、トウヤは巨大なカマイタチを発生させた。
「ソニックブレード!!!」
「ちっ・・・!!」
悠介は、その身で受け止める。
しかし、無傷だ。
鬼神障壁の使用。
「全く・・・」
「強者だ・・・」
二人が、同時に呟く。
「あれを使うとはね・・・ソニックブレード・・・強いよ。」
風乃如。
ソニックブレード・・・
そして、悠介の完全にソニックブレードを防いだものは、防御障壁。
山乃如。
絶対防御。
鬼神障壁・・・並みの攻撃なら、完全に防げる。
この男も、それと似たような物から得たのだろう。
「四つの基礎にあるうちの一つ・・・なら、それを打ち砕くのであれば・・・全てを越えるほどの技を出せば良い!!」
そして、今目の前にいる男は・・・
「早い・・・!!」
凄まじい、その斬撃、侵略をする火の如。
悠介は、紙一重で、それを受け流すものの、流石に、精神と体が、マッチしていないのか、若干の遅れが出ている。
言うなれば、未来の管理局の切り札である悠介には、かなりのハンデがあるのだ。
徐々に押され始めている。
まだ、経験が浅いとは言え、常人では死んでいる。
管理局の人間なら、この火の時点で、何人も死んでいるだろう。
無限にも見える、その斬激によって。
しかし、
「その中に、弱点はある・・・」
トウヤは、気付いていない。
既に、悠介の剣の結界の中に、入っている事をだ。
「0.6秒の隙が・・・まだ、あんたにはある。」
悠介は、それより速く動く。
体自身は、まだ、突いてきていないゆえに、左腕かに、懐園剣が辺り、血飛沫が出るものの、その隙を突くことは出来た。
トウヤの鎧の一部の破壊と同時に、左腕を切りつける事が出来た。
また、それよりも早く。
トウヤが、身を引いていたが故に、ダメージは浅く済んだものの、それによって、隙が再び生まれる。
「らぁっ!!!!!」
ソニックブレードと同威力とも言える。
斬衝破・・・
いや、性質はソニックブレードと同じ。
黒騎士の体が真っ二つに消えるも、それが、分身だということはわかっている。
本体は、
「後ろ!!!」
クロノが、精神の中で叫ぶ。
しかし、その場所
「いや・・・もう、囲まれている・・・!!!」
囲まれている。
何を、言っている。
相手は、たったの一人の筈だ。
しかし、クロノが、周りを見渡した時、そこは、黒騎士で染まってる。
あの一瞬で、動き、いや、自分の分身をできる限り創り、その隙を突いて、一斉に囲んでから、殺す。
悠介の反応が、遅ければ、既に、クロノの体は真っ二つだっただろう。
フェイトよりも速く、なのはよりも攻撃力があるといっても良いだろう。
管理局が口から手を伸ばしてでも欲しがる理想的な男
後に、剣聖とまで呼ばれる立場に上るこの男を。
既に、ミラーまで習得している。
自らの分身を、50まで増やし、そこから打ち込むは風。
速きこと、風の如。
しかし、何故、この技を覚えている。
プレシアと交わっている時に、覚えたとでも言うのか。
いや、日ごろの戦い・・・
死の淵に立ったことによって、自然と身に付けたのだろう。
しかし、風では、山は動かせず。
絶対防御の山で、その風を防ぐ。
「おい、一体を倒せば・・・」
「無駄だよ。奴等は、全員・・・」
トウヤ・テスタロッサとしての意思を持っている。
トウヤ・テスタロッサとして生きている。
無論、魔力が切れれば、消える。
しかし、一体を殺したとしても、49体の分身に殺される。
「お前は!!」
「出きれば、とっくにやってる・・・」
しかし、殺すわけには、いかない。
分身で対抗しようとしても、その間に、倒される。
「敵になるとは思わなかったからな・・・」
「どういう・・・ことだよ・・・」
「俺のいたミッドチルダだと、あの人はこっち側だから・・・!!」
最低でも、トウヤの場合は、Sが四つ付いていても、良いだろう。
さらに、この様子なら、魔力をそこを尽きるのは、最低でも、後30分後。
ソレまで、我慢するは、プレシアの餌食。
クロノのツッコミを無視しながら、対応する。
風なら、山で対応できる。
やはり、まだ、同じような相手と戦ったことが無い。
「いい加減!!」
「死ぬ訳には・・・!!」
四体同時の攻撃を、全て、その一太刀で防ぎ、ただ、今は耐えるのみ。
しかし、分身を発生させても、全てをコントロールする程の思考力は、九歳にしてはまだ無い。
それと同時に、四体しか動いていない。
警戒しすぎていた。
迫り来る刃を、受け流し、後ろからの斬激は、半身ずらしで避ける。
まだ、剣聖時のようなキレのある動きではない。
見の状態で、そこまで見抜くことが出来た。
ならば、後は、攻略することのみ。
「いい加減に・・・死ねよぉぉぉぉぉ!!!!!!!!!!!」
分身が、全員動き出す。
このとき、全員が動き始めた。
生きているかのように、全てが動き出していた。
進化した・・・
「全員・・・コントロールできるようになったのか・・・早いだろ・・・本当、天才だよ。この人さ・・・」
怒りによって、ソレを編み出す。
その、戦闘適応力、戦闘力の進化。
流石は、剣聖と言える。
「障壁を崩すか!!!!」
『エリュシオンサンダーレイジを使う!!!!!!!!!!!!!』
屋敷を破壊してまでも、50人分のサンダーレイジを食らえば、悠介を焦がすことはできる。
ただ、この技。
悠介は、それを聞いたとき、不敵な笑みを浮かべる。
それは、ヴィヴィオやティアナなら、良く知っている。
この、意味の笑みの意味を。
プレシアの使う、この技を、集中させ、50体分のサンダーレイジがある。
威力は、フェイトの使う以上の物だろう。
なのは、フェイトとて、リミッターを外した状態、さらには、バインドを駆けた、スターライトブレイカー、その後のライオットセイバーを防ぐことは余裕で出来た。
ただ、これに、耐えられるか。
かなりのハンデがあるのだ。
しかし、それでも、笑みを浮かべる理由。
それは・・・
簡単なことだ。
「あえて、馬鹿みたいにかかる魔法で止めを刺す事に拘っている・・・其れは、存在を消したいからね。生きたままで!!」
「上級魔法故に・・・隙ができるか・・・」
しかし
「おい!!耐えるつもりなのか!?ラウンドシールドも張らずに!!」
「ラウンドシールドなんざ張ったところで、力の無駄遣い・・・!!そんなんすんのはバーカ!!」
それは・・・
「この詠唱時間が・・・」
既に、
「命取りだ!!!!」
「消えた・・・!!??」
トウヤの目には、そう映っているのだろう。
しかし、それは、まともに目に映るものではない。
これを、見切れるのは、ミッドチルダでは、高町ヴィヴィオと、ティアナ・ランスター、クロノ・ハラオウン、憐・ヴィオラ、亡きイエス・キリスト、観月悠矢、観月葉子、そして剣聖・・・高町燈也。
「未来のあんたが、敵じゃなくて、良かったよ!!」
「そんな!?」
詠唱中の燈也を、何かが砕いている。
一体ずつ、消え行く燈也。
この状況で、
「対応して見せるさ・・・!!」
目にも写らぬ速さで、動くこの男。
捕らえることができる者・・・
この場にはいない。
「詠唱を忘れている・・・この間なら・・・」
サンダーレイジを完全に防ぐことができる。
あくまでも、数十人で、捕らえようとしたことが、仇となったのだ。
「さぁ、どうするよ!!もう、あんたで最後だよ!!」
「解っている・・・」
音速以上で動く相手・・・
しかし、そこまで速く動くのなら、異常なまでの風が吹く
風の音が聞こえる。
燈也の聴覚は、風を感じ取り、そのまま、風の起こる方向へと、相手を、
「プラズマソニック!!!!!!!!」
切り裂く。
しかし、その風は、
「ダミイでね!!!!!!!」
「解っていたさ!!!あんたが、本気を出そうにも、本気が出せないこともね!!!!若干のブレがあることも!!!!」
悠介の天から降り注ぐ斬を防ぎ、トウヤは、土壇場に進化していることに気付かず、悠介の音速レベル以上のスピードを捕らえ、その斬激を防いでいた。
焦っている。
目の前にいる、前までと違うクロノ・ハラオウン。
刀を使用する、クロノ・ハラオウンに。
ギギッ・・・
二つの刃がぶつかり合うこと、その衝撃に、魔力によって、炎が生まれる。
これは、闘志の編み出す、許された戦士の炎也。
お互いに、できる限りの全力で戦っているという証。
トウヤは切り払い、悠介はトウヤの斬激を防ぐ。
「食らいつけ!!!」
飛翔龍・・・
風の龍が、トウヤを襲う。
だが、懐園剣にもてるばかりの魔力を込め、その太刀で、風の龍を切り裂く。
しかし、
「牙突!?」
また、その刃には、龍が見えた。
ここで、外しても、再び龍が食らいつくだろう。
できるだけ、距離を取れる分だけ、トウヤは距離を取る。
この人間は、何者だ。
クロノ・ハラオウンとはであったことがある。
しかし、捻り潰すことは可能だった。
だが、口調が変わった瞬間に、鬼神の如き強さとなった。
まだ、トウヤには解らなかった。
クロノのもう一つの人格だと、思っていたのだ。
しかし、それが、あの時、夢の中で、自分を助け、アイン・エンゲージを与えた悠介だろ、思いもしなかった。
「ブレード・サーヴァント・・・!!」
「小ざかしい!!!」
牙突の体勢から、無理矢理、斬激の構えにし、それを破壊。
そのまま、斬の体勢でトウヤを、斬ろうとするものの、紙一重で、それを避けたが、翼を、片方だけ、失った。
しかし、ここまでの急激な戦闘力の進化。
「この変化は、何処にあるんだ!?」
この男ほど、強くなる理由に単純なものは無いだろう。
「愛じゃない?単純に言えばさ・・・!!プレシア・テスタロッサって言う、唯一の肉親を得たから・・・」
繰り返された、母の面影に、愛がほしいと求めたから。
不安定な、命だったが、愛を得たことによって、本物の生きる命へと変わった。
永遠に刻まれるであろう、その黒騎士としての傷。
プレシアへの強すぎる思いは、歪みだす。
悠介が、戸惑ったのは、本物の愛を知ったのに、また、失わせてしまうことが、戸惑いの原因だ。
やっと、苦労して手に入れた物を。
悠介は、壊そうとしている。
「・・・わかる気がする。」
「クロノさん・・・そうか。」
「僕だって、父を失っているんだ・・・」
今なを、繰り出される、トウヤの斬激を受け流しながら、感じ取ることのできる。
トウヤの、プレシア・テスタロッサへの愛情を・・・
愛と言う名の哲学を、終わらせることを許さない。
歪んだ思いによって、強くなる。
目の前にいる少年は、誰よりも強いだろう。
「うわぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!!!」
「まさか・・・あそこまで、力を失って・・・」
アイン・エンゲージを呼び出した。
自滅するような物だ。
しかし、乗り込むわけではない。
それは、逆に支配しようとしている。
その状態で、アイン・エンゲージと同化すると言うのか。
魔力を
「完全に・・・いや・・・違う・・・」
想いは集い、力となる。
強すぎた思いゆえに。
トウヤ自身が、アイン・エンゲージを取り込んでいた。
「何処まで・・・愛していると言うんだ!!!」
プレシア・テスタロッサを。
クロノは、叫ぶ。
ミズカラノカラダ・・・ドコマデモ、ムリシテデモ、
この、歪んだ力に、恐怖さえ感じる。
「もう・・・ママの邪魔をしないでくれ!!!!!!!!」
「泣いて・・・いる・・・」
それは・・・
「プレシアの思いを知っている・・・だから、泣いているんかね」
どうする。
下から、鮫のように喰らいつくような太刀筋
悠介は、その剣を受け止める。
今までとは、違うほど、大きく、強い。
横薙を受け止め、そのまま、トウヤの顔面をアイアンクローで拘束し、膝蹴りを使い、顎に大きな一撃を与える。
「このままじゃ・・・不利なのか!?」
「アンタは、黙ってる・・・!!」
認めたくは無い。
だが、歪んだ思いの力によって、強くなっている。
本当に、この少年から、今の愛を取ったらどうなる。
精神崩壊など、序の口と言えるだろう。
精神は、消えるかもしれない。
「間違っているのは・・・僕達じゃないのか・・・?」
クロノが、、思わうほどに、トウヤの想いは力強い。
油断となった。
だから、悠介は、クロノの精神と感応し、動きにブレが生じ、刃が弾かれた。
初めてのことだ。
戸惑っている。
戸惑いは、死を生む。
クロノによって、自分の中に迷いが生じた。
「間違っているのは・・・」
何だ。
「僕達じゃないのか・・・?」
首筋に剣を突き付けられてその疑問を考える。
「ここまでなのか・・・?」
ふと、周りを見渡してみると、部屋の次元側の壁は、崩壊していた。
ここまでの戦いをしたというのか。
「燈也!!!!」
「また・・貴女なのか・・・」
なのはが、現れた隙を付き、殴ることなく、悠介は、神殺を手にした。
殴ることなど、闘うことなど出来ない。
「クロノくん・・・?」
「黒・・・騎士・・・?」
「僕には・・・出来ない・・・あいつと、闘うことが・・・」
「おい!!クロノさん!!」
「甘い事は解ってる・・・しかし、戦って、彼をこっちに助けた事によって・・・彼の為になるのか・・・?」
「解るけどさ・・・!!」
ただ、寂しげに、目の前に立つ騎士に、何もかける言葉は無い。
本当なら、今のプレシアの望みを、叶えてもいいのかもしれない。
クロノは、そう考える。
ただ、なのはにとっては、弟を、どういう気持ちであれ、助け出したいのだ。
この後、どのような結果になろうとしても。
「だから・・・私が・・・」
「やめるんだ!!」
「どうして!?おかしいよ・・・」
「本当の母・・・家族を得た、あいつから・・・また、それを奪うのか!?」
魂は別とは言え、精神でトウヤと交わったからこそ、燈也の本当の思いが解る。
「本当の・・・お母さん?」
「フェイトちゃん?」
「でも、間違っているんだ・・・」
確証は無い。
ただ、それは、間違いであると、フェイトは言えた。
では、
「人間じゃないお前に・・・ママの何が、解るんだよ!!」
「人間じゃない・・・か。ま、わかるけどね・・・」
小学生・・・子供、まだ、10にもなっていない人間が、平気で戦う。
そして、平然と戦わせる時空管理局。
確かに、中身は人間ではない。
答えなど、何処にも無い。
この形について、答えなど、何処にもないのだ。
「トウヤのお母さんは・・・ママは、プレシア・テスタロッサじゃないよ!!」
「何十世界の僕のママを殺して・・・よく、そんなことが言えるな!!」
怒りという名の、感情のままに。
動き出す。
もう、遅いのかもしれない。
「何で・・・どうして・・・」
「プレシア・テスタロッサって言う揺り篭を得たんだ・・・そっと、しておくべきだったんだよ・・・」
もう、出会うことが無かった筈。
だから、諦めることが出来た。
しかし、出会える筈の無い人と、出会ってしまったのだ。
人間なら、全てをかなぐり捨ててまで、そこに行こうと思いたがる。
トウヤはそれを行ったまで。
「フェイトちゃん・・・間違ってるなら・・・間違ってるって、教えてあげよう・・・」
「うん・・・」
このことが、間違いであるとだ。
ただ、間違いであるなど、言えなくも無いことではあるが。
その答えに、正解というものは何処にもない。
何処にもだ・・・
それは、人が求めて編み出した一つの形なのだから。
「うん・・・」
なのはとフェイトは動き出す。
この時点で、この二人は人の愛を否定している時点で、間違いであるといえるだろう。
気付いてはいない。
トウヤをプレシアから救うということは、トウヤを傷つけるということをだ。
しかし、クロノは、ただ、見ていることしか出来なかった。
悠介は、そのクロノに付き合うことにした。
何処で、動くか、見極める。
「僕から・・・ママを奪わないでよぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!!!!!」
「トウヤのお母さんは・・・高町桃子・・・私のお母さんだよ!?」
なのはは、訴えながら、無防備な姿で、燈也の前で現れる。
しかし、燈也は、無防備だからと言って、手を出さない訳が無い。
憎いと・・・
思っているのだから・・・
「いい加減なことを言うなぁぁぁぁぁ!!!!!」
フェイトは、バインドをかけようとしたものの、すぐさま、それは破壊される。
バインドキャンセラーと呼ばれる、一部の拘束魔法を、無力化できる。
故に、そのような手は、無意味。
「やらせる訳には・・・!!!!!」
フェイトは、燈也に、その金色の鎌を振り下ろそうとするが、燈也の前では、無意味だ。
この戦いで、成長したのだ。
なのはや、フェイト・・・
クロノを超えるほどの戦士へと。
ラウンドシールドを展開し、それを無効化させた後、ラウンドシールドを刃へと変化させ、フェイトと対峙し、向かってきたフェイトのバルディッシュを砕く。
そして、フェイトを吹き飛ばす。
時を同じくして、なのはも、ディバインバスターを撃ち放ったが、剣により、光線は真っ二つとなる。
だから、プレシアをここまで思うことができる燈也は、幸せだから。
フェイトを、追い詰め、胸倉を掴み、勢いよく、頭上から、フェイトを投げ飛ばす。
「がっ・・・はっ・・・!?」
この状況になのはは呆然として、浮遊した状態で、ただ、弟だった者を見ていた。
本当に、自分の弟なのか。
トウヤは、なのはの視線に気付くと、ただ、言い放つ。
「撃ってこいよ・・・あんたの、最高の魔術をさぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!」
スターライトブレイカーを・・・
「僕には・・・何も出来ない・・・?」
「でも・・・それが、間違ってることは確かだよ・・・?」
「ヴィヴィオ・・・?」
クロノの体の中に、入ってくる、もう一人の人格。
高町ヴィヴィオ・・・
アマテラス・ヴィヴィオ・・・
「間違っていることは、間違っているって・・・教えてあげなきゃ・・・残酷なことでも。」
ヴィヴィオも、今までのものを見ている。
答えが無いということも解っている。
だから、燈也の思いは、痛いほど、伝わってきた。
燈也を止めることが、良いことであるのか。
解らなかった。
「キャぁ・・・!!」
「あぁぁぁぁ!!!!!」
バリア・ジャケットを、破壊される。
避けたと思っても、それがソニックブレードならば、バリアジャケットなど、破壊することなど、簡単なことなのだ。
愛を手放したくない、化け物が、これを可能とする。
「死んでしまえ・・・・ママの障害となるものは!!!!!!」
バルディッシュを、破壊。
フェイトを殺そうとするも、衝撃が、燈也に走る。
「うざいだよぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
収束される光が、黒騎士の鎧に逆に収束された。
「何が・・・高町なのはだ・・・!!!!!!!!!!それでも、僕の姉だった人間かよ!!!!!!!!!!!これが、憎かった高町なのはかぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!!!!!所詮、マスかいてる人間の対象だ!!!人間でありながら、人間じゃないんだよ!!!!!」
スターライトブレイカー・・・
この化け物の前では、無意味と化すのか。
「あれを、くらってダメージ無って・・・どれだけ・・・」
化け物と呼べる。
歪む想いは、少年を強くする。
今、なのはが燈也に向かって撃ち放ったのは、トウヤの要求した、なのはの最強収束魔法・・・
スターライトブレイカー・・・
後に語り継がれるであろうなのは最強のものである。
筈だった・・・
しかし、今・・・
それは、封じられた。
「もう・・・言葉は・・・とどかないの・・・燈也?」
「僕の前を呼んでいいのは、ママだけなんだ!!ママだけが、僕を見てくれる!!ママだけが、僕を愛してくれる!!ママだけが、僕に優しくしてくれる!!!!」
それだけで良い。
ウィングブースターを、最大出力にし、哀れで孤独な狼のように、なのはの基へ最大出力で向かう。
襲い駆けるディバインバスターを、全て無効化にし、アクセルシューターでさえも、致命傷と呼ばれる部分に向かって、討ったとしても、無効化される。
「無駄だぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!!!!!!!!」
全てを、無効化。
それは、人間などではない。
誠に、人間の形をした化け物。
修羅であると言える。
怒り・・・
憎しみ・・・
母への想い・・・
これが、全ての力を活性化させる。
禍禍しくなりつつも。
力は、本物であるといえる。
母の前では、人間として。
敵の前では、修羅として。
ここまで、出来るのはプレシアに対するゆえの思いのことか。
なのはは、思い知る。
ここまで、プレシアを思っているのか。
そこまで、プレシア・テスタロッサを、愛していたのかと。
考えている時には、既に、目の前に、燈也はいる。
ここで、殺すつもりであったのなら。
まだ、肉親だと思っているなら、なのはは、燈也を殺すことは出来ない。
いや、9歳の少女に、目の前の弟を殺せというのは、無理なものか。
とは言え、今のトウヤを殺すことは不可能に近いことだが。
「やめて・・・」
「・・・」
何も、応えずに、レイジングハートを粉砕する。
ただ、コアだけは、無事だったのを解った時、少し、安心できた。
その、安心できた瞬間に、トウヤは攻撃を与える。
バリアジャケットを破壊。
容赦なく、その体に打撃を与える。
なのはの存在を許さないように。
「そん・・・な・・・お兄ちゃんだって・・・死・・・ん・・じゃうんだよ・・・?」
タカマチキョウヤ
「死んでしまえば良いんだ。」
「燈・・・」
まだ・・・
「なんだよ!!」
「がぁぁ・・・ぶはっ・・・」
頭部から全体に走る巨大な衝撃。
何も出来ずに、床へと突き落とされる。
全身に走る衝撃に、何とか耐えながらも、なのはは、動き出そうとゆっくりと鈍く、動き出した。
レイジングハートのコアを取ろうとした時、トウヤは、なのはの左の掌に、何かを撃ちつけた。
一瞬、その指に触れたレイジングハートを、また離してしまう。
「・・・次。」
なのはが、急ぎ、それを引き抜こうとしたとき、今度は右の掌に何かが突き刺さる。
「逃げないでね。邪魔しないようさ。」
意味は・・・?
「でも・・・それだけじゃ、逃げちゃうかもしれないよね。」
だから、ここで
「さっきのスターライトブレイカーっていったっけ?この光杭さ・・・それで作ったんだ。」
拘束
「仕方ないよね・・・これさ、バインドよりも、凄いんだよ!!!!!」
ここで
「ママの邪魔をされる訳にはいかないんだからさ・・・」
この場で
「苦しませて殺してあげるよ・・・昔、姉だったんだしさ。」
その身に・・・
「何本も何本も何本も何本も何本も何本も何本も何本も何本も何本も何本も何本も何本も何本も何本も何本も何本も何本も何本も何本も何本も何本も何本も何本も何本も何本も何本も何本も何本も何本も何本も何本も何本も何本も何本も何本も何本も何本も何本も何本も何本も何本も何本も何本も何本も何本も何本も何本も何本も何本も何本も何本も何本も何本も何本も何本も何本も何本も何本も何本も何本も何本も何本も何本も何本も何本も何本も何本も何本も何本も何本も何本も何本も何本も何本も何本も何本も何本も何本も何本も何本も何本も何本も何本も何本も何本も何本も何本も何本も何本も何本も何本も何本も何本も何本も何本も何本も何本も何本も何本も何本も何本も何本も何本も何本も何本も何本も何本も何本も何本も何本も何本も何本も何本も何本も何本も何本も何本も何本も何本も何本も何本も何本も何本も何本も何本も何本も何本も何本も何本も何本も何本も・・・刻み込ませてあげるよ!!!!!!!!!!」
言葉どおり、燈也はなのはの体に、何本も杭を打ち放つ。
なのはに向かって。
対応できずに、なのはの体を埋め尽くす。
心臓や、人間の急所に当てないのは、わざとか。
人とは思えない行為。
なのはの痛覚を切ることによって、傷みはないが、自分がどれほど、人間ではない存在になっているか、確かめる事ができる。
「っっっっっ・・・!!!!!!!!????????」
痛み・・・いや、それ以前に、無数に突き刺さるが故に、声が出ない。
声より先に、自分の体を想像した恐怖が襲う。
徐々に、増えていく。
「声に、出ないよね・・・!?それほど、気持ちいから、声が出ないんだよね!!!!!!!!!!」
わざと、痛覚を消している。
トウヤは、容赦することなく、首だけでも起き上がろうとするなのはの首を絞め始めた。
既に、なのはの中に痛感というのは無いだろう。
首から下まで、無数になのはの体に埋め込まれた光の杭。
激しく、そして、冷酷に。
「まだ・・・」
地面に貼り付けられたなのはに最後の釘を突き刺して、ゆっくりと降り立った。
なのはは、顔を横に向けて、ゆっくりと近づいてくる成長した少年を眺める。
「トウ・・・ヤ・・・?」
ただ、名前を呼ぶことによって、取り戻させようとする。
「まだ・・・呼ぶんだ・・・僕の名前を。ママしか呼んじゃいけないのに。」
故に、それ許されることなく。
「だって・・・私の弟だから・・・」
この期に及んで・・・
「あんたは・・・」
迷いは、無し。
「殺す・・・」
トウヤは、なのはの首を絞め始める。
「死ねよ・・・死ねよ・・・死ねよ・・・」
自らの手で、殺すことによって。
憎い相手を、自ら殺すことによって、実感を得ようとする。
「ゥ・・・ヤ・・・や・・・め・・・て・・・」
ここまで、人を簡単に、殺せる。
そこまでしたのが、プレシア・テスタロッサへの愛ならば、
「トウヤは・・・?」
「死ねよ・・・」
断ち切られたなのはの痛感を、トウヤは、復活させた。
なのはにまたがり、必死に、首を絞めて殺そうと言うのは、苦しめて、自分と同じくらいの苦しみを、刻み込もうというのか。
「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!!!!」
救えず・・・
「フェイ・・・ト・・・ちゃん・・・?」
無
「引っ込んでろよぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!!!!!!!!弱いんだからぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!!!!!!」
無防備ながら、なのはを助けたいと言う思いが、フェイトを動かした。
バルディッシュを復活させて、戦場へと。
ただ、トウヤの前では、無防備すぎる。
その金色の羽が、意思を持つかのように、無数の刃となって、フェイトを突き殺そうと変化し、蛇のように動き出した。
「フェイト!!!」
「ある・・・ふ・・・?」
フェイトの勢いが、止まったのは、目の前にいる自分の使い魔が、トウヤの金色の羽によって、血塗れになったという情から生まれた感情。
「だから・・・ダメだって・・・」
「アルフ!!!!!」
「終われよ!!!!!!!!!!!!!!!」
冷酷に言い放つ、その声。
「え・・・?」
フェイトの耳に、風の音が走る。
気付いた時には、既に遅い。
トウヤの金色の翼の刃が、フェイトの腹部に深く・・・
突き刺さる。
「ぐぁ・・・・・・・・・・」
「ママの邪魔ばかりするから!!!!!!!!!!」
「クロノさん・・・」
「殺され・・・る・・・?」
目の前にいる少女が、殺されようとしている。
自分の、殺せない相手によって。
「どうすればいい・・・」
殺せない。
殺したくても、殺せない。
しかし、ここでなのはが殺されれば、どうなる。
「解っている・・・」
だから、動けなくなる。
他人の命を犠牲にしてでも、自分が生き残るという手段さえある。
最も、人間らしいが、後味の悪い結果になる。
「あいつは・・・!!」
プレシア・テスタロッサがいたから
「だから、ここまで強くなれた・・・!!あんたたちといたら、ママに会う前に、殺されてたよ。高町士朗にね。」
「違うよ・・・トウヤ・・・お父さんは、そんなこと絶対にしない・・・」
トウヤが、何を望んでいたのかを。
「穢れを知らないから・・・奇麗事しか言えない。そうやって、常に自分の考えを肯定させようとする。」
本能的に、トウヤは、そういう人間を嫌う。
ここで解る。
タ
カ
マ
チ
ナ
ノ
ハ
を嫌う理由の一つというものが。
それが解っていれば、こんなことにならずに、すんだのかもしれない。
「トウヤと・・・接してあげれば・・・上げれば・・・良かった・・・んだ・・・」
「ほら・・・奇麗事を言ってる。」
そういえば
「アイツもそうだったよね・・・ユーノ・スクライア・・・あいつは、僕の中に勝手に入ってきた。だから、死よりも、その身に苦痛を刻み込んだんだ。」
また、嬉しい誤算として
「あんたとの絆も崩壊したことだしね。」
黒騎士の正体・・・
「げほ・・・ゑ・・・」
自分の、自分のことを、なのはがわかると言うのか。
燈也は、なのはの痛感を復活させ、そのダメージを感じさせる。
「ママを何人も殺したあんたに・・・死よりも思い苦痛を与えたい。その後に・・・殺してやるよ・・・絶対にね。」
「殺して・・・無いよ・・・」
殺したと、思っているのなら、それは
「トウヤが・・・どこかで望んでた・・・事・・・」
「燈也の見た・・・悪い夢・・・」
「私達が燈也を虐めたのも・・・悪い夢・・・」
「悪い夢なんかじゃないんだよ!!そうやって、自分を否定することをしない!!自分が正しいと思っているから!!」
なのはは、懇親の力を振り絞って、燈也を慰めようとした。
しかし、それは、燈也の怒りを買うことになった。
自分のことを慰めていいのは、プレシア・テスタロッサであり、アリシア・テスタロッサだけだから。
「死ねよ・・・」
そこに、躊躇いは無い。
「全てを決する・・・どのような、形で終わろうともだ!!ヴィヴィオ・・・!!!!」
「うん・・・」
悠介の封印をとくことができるのは、ヴィヴィオと悠介だけ。
北欧の、戦闘神。
一時的であろうとも、封印を解く時。
ヴィヴィオとて、その哀れな黒騎士から愛を奪うことなど出来ない。
しかし、やらなければならないのだ。
それが・・・
どのような結果に、終わろうとしても。
「封印・・・解除・・・」
この、突如現れる突出した力。
しかし、それを所持しているのは、 実体を持つクロノ・ハラオウン・・・ただ、一人。
「この力・・・?まだ、クロノ・ハラオウンは!!」
なのはを殺すことは、いつでもできる。
しかし、この力は危険だと、理解することはできる。
今、自分以上の力を、クロノの中にいる、誰かは、有すしていると。
いや、クロノの中にいる誰かが、クロノの潜在能力を解放したと、トウヤは見た。
「ごめん・・・殺さないから・・・」
謝りながら、クロノは、なのはの拘束を全て解除し、自分の場所へと転移させ、燈也の足元に結界を張る。
何人たりとも、そこから出ることの出来ない、絶対結界。
神霊極結界・・・
「違う・・・さっき、戦ったときのクロノ・ハラオウンじゃない!!!動け!!!動けよ!!!僕の体!!!」
動けず。
そこは、既に悠介がトウヤの動きを止め、クロノの支配している世界同様
「何だ、クロノ・ハラオウンの背後の・・・神は・・・!?」
クロノに漂うオーラは、全て形作る。
この、背後にいるか身の名は・・・
「オーディン・・・!?」
「ごめん・・・」
戸惑いを捨て、クロノはゆっくりと歩き出す。
結界から作り出される、刃で創られた球体に、包まれながら、トウヤは、そこから脱出する方法を考える。
しかし、脱出など、できるはずも無い。
この結界から、さらに・・・
一体の神が現れる。
それこそ、背後にいた神オーディン
さらに、複数の剣。
クロノの体が、光り輝き、草薙の剣を振り下ろした瞬間に、一斉に燈也に切りかかる。
「そんな・・・こんな、こんなことって・・・」
信じられない・・・
さっきまで、互角だったのに。
何故、こうも簡単に。
「燈・・・也・・・!?」
なのはが見た時、それは、燈也が切り刻まれたかのように見えた瞬間。
しかし、クロノは殺していない。
その証拠に、血塗れになっても、弱弱しく、燈也は立ち上がった。
元の姿で・・・
トウヤ・テスタロッサとして・・・
「燈也!!」
なのはの叫びは、トウヤには届かない。
「ま・・・だ・・・」
あるだけの力を振り絞って・・・
翼を展開させ、トウヤは、プレシアの元へと、戻った。
「ご苦労様・・・浦島・・・悠介君?」
「いえ・・・こうしなければ、被害は、増えていましたから・・・母さんたちを守るため・・・ですから。それより、自分の心の弱さに、苛立ちましたよ・・・」
「ヴィヴィオ・・・後を、頼む。」
「うん・・・」
クロノの体から、現れる一体の精神体。
アマテラス・・・
その存在が、なのはの体に刺さった無数の光の杭を浄化していく。
さらに・・・
なのはと、フェイトの傷を無かったことのように、癒し始めた。
「ごめん・・・なのはママ・・・フェイトママ・・・。」
「トウヤ!!!!???」
プレシアは、帰ってきた、我が子の姿を見て、急ぎ抱きしめた。
傷だらけの姿。
そこまで、強い人間が、管理局にいたのか。
いや、そのようなことはどうでも良い。
トウヤが、それでも、こうやって、無事に帰ってきたことが、プレシアには嬉しかった。
「ごめん・・・なさい・・・」
「ううん・・・ごめんね・・・ごめんね・・・」
強く、抱きしめ、トウヤのために、涙を流す。
それに、嘘と偽りは無い。
「トウヤ・テスタロッサ・・・いえ、高町燈也の返還を・・・求めます。」
「うるさいなぁ・・・」
「私と・・・燈也・・・そして、アリシアと・・・三人で・・・」
「なんだ・・・本当に・・・愛されている・・・僕には、それがわかる。」
クロノの進入など、気に求めず。
燈也は、自分を抱きしめている人間を見た。
目の前にいる、姉・・・アリシア・テスタロッサ。
フェイトの言っていることなど、全くわからなかった。
何を、言っているのだろう。
消えゆ。
「まだ・・・終われないんだ・・・!!」
「トウヤ!?」
もう、ここに、あの鬼はいない。
ならば、
「大丈夫・・・僕が、全て・・・排除する・・・」
「トウヤ・・・!!」
「刃で殺しておくべきだった・・・如何なる、ことになろうとも。あの時、僕は、母さんのいない地獄を、一瞬見たんだ・・・」
だから・・・
「もう、お前は、娘じゃないんだよ!!!お前は、受け入れないんだよ!!!」
プレシアの人形であるのだから。
「まだ・・・これほどの・・・!?」
瀕死に近い重傷を負って尚、立ち上がろうとする力は、何処から湧く。
「トウヤ・・・もう、いいの。」
「何を、言って・・・」
言い訳が無い。
「もう、言い訳が無いんだ。」
このトウヤにとっては。
「ここにいる敵を、全員殺さなきゃ・・・ダメだ!!」
プレシアのために動くが為に、トウヤは立ち上がることが出来る。
「だって・・・」
力が抜けていく感覚。
何故・・・
「母さん・・・どうして・・・」
力をプレシアが、放出していた。
これ以上、戦闘はさせたくない。
母ゆえの、優しき愛。
「もう、私たちを放っておいて!!!!」
突如、プレシアはトウヤを抱いたまま、巨大な、魔法陣を展開させた。
崩壊する時。
そして、トウヤが・・・
プレシアと、共に逝く時。
故に、揺れが激しくなることも、トウヤは予測できた。
そして、三人で
「一緒に・・・」
「そうよ・・・トウヤ・・・アリシアと一緒に・・・」
その、次元の穴へと、落ちる・・・
「ずっと・・・こうして・・・」
「えぇ・・・一緒だもの・・・行きましょう・・・アリシア、トウヤ・・・今度は、もう・・・はなれないよ・・・」
「寂しく・・・させないで・・・」
「燈也!!」
落ち行く燈也を、なのはは、必死で救おうと、全力で、その場を駆けようとした。
しかし、何かが、なのはの腕を掴む。
「もう、諦め・・・燈也は、プレシア・テスタロッサと一緒にいることが、一番、良いんだよ!!」
「そんなこと・・・」
「闘って、解っただろう?燈也が、プレシアをどれくらい思っているのか・・・」
クロノは、無理矢理、なのはとフェイトを引っ張り、転送させた。
これで良い。
「これで・・・良いんだ。」
クロノは、一つ呟いて、アースラへと帰還。
崩壊する庭園を、アースラの中で、ただ眺めていた。
そして、自分の中にいるオーディンの感覚が、消えたのを感じた。
封印される中で、トウヤのことを考える。
ソシテ・・・
ヒトリノニンゲンハ・・・
ココデ、キエ・・・タ?
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| 漆黒の破壊天使(完)
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2008.11.22 Sat
えぇ。
あ、彼が前回死んだような描写がありましたね。
でも、彼ファンの皆様ご安心を。
生きてます。
生きなければ、後に辻褄が合わなくなりますので。
それだけです。
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「うわぁ・・・重症を負ったのは、ユーノさんだったんだ。」
「一回殺されたし・・・何回か重傷を負ったって、言うけど、これが・・・一回目か?」
「そういえば、フェイとママに、五回くらい・・・殺されかけてた。」
ユーノが重傷を負った姿を見た悠介とヴィヴィオは、ただ、それを眺めていた。
介入されることは許されないが故に、ただ、眺めることしか出来ない。
しかし、悲惨な結果になる人だと。
悠介は思った。
イエス・キリストと闘ったとき、フル武装し、さらには、フリードリヒの力を使ってまで、戦場に向かったものの、握りつぶされ、死亡。
なのはに格好をつけようと思ったのが、仇となった。
復活はしたのだが、他に殺された人とは違い、傷跡が目立っていたりした。
ちなみに、フェイトに、殺されかけたというのは、解っているとおり、なのはに手を出そうとして、重傷を負ったという訳だ。
ヴィヴィオが、知っている限り、五回。
ただ、他にも怪我はしている訳で。
しかし、この一回目は、即死といえるだろう。
ただ、これで生きているのは、黒騎士の命を弄んでいる事が解る。
ここまで、重症を負わせ、本気であるということを伝えるための、メッセンジャーボーイ。
屈辱的なものにしたのだろう。
誰かが、必ず回収するものとして。
そういう意味といえるだろう。
回収などしなくても、その場で死ぬ。
ユーノを憎んでいたが、わざと、このような形にしたのは、なのはなど、どうも思わなくなり、自らに逆らえば、こうなる。
プレシアの邪魔をすれば、容赦はしないということだろう。
これも、プレシアに陵辱された結果だろう。
しかし、体の限界が無いのが、悠介には解らなかった。
プレシアと何回も、体を重ね合わせているがゆえに、限界など無関係な存在となったのだろうか。
黒騎士となることは、あの年齢では、自らの魔力限界を突破するということ。
プレシアが、それを行ったとなると、大した人物だと、悠介はそれを眺めていた。
ヴィヴィオは、悲しそうな、母の顔を見ていた。
トウヤが、黒騎士とであったこと。
ユーノに、酷いことを言って、大変なことになってしまったこと。
さらには、黒騎士が、敵として現れてしまった絶望的な顔。
このような顔を、なのはがしたとしても、介入は許されない。
これによって、歴史が変わることがあってはならないからだ。
暫くの観測。
観測者は、観測者でしかない。
余程の事がなければ、動いてはならない。
解っているから、見ていることしか出来ないヴィヴィオは、歯痒かった。
「俺だって・・・同じだ・・・」
「悠介・・・」
ヴィヴィオの瞳に、涙がたまる。
悠介は、ただ、ヴィヴィオと口付けを交わすことによって、慰める。
結界崩壊。
ただ、犠牲は大きかった。
この状況をただ、見ていただけのバアル・デュカトゥシス。
何もせずに、ただただ、傍観していた。
この光景を、残酷な光景だと思うのも、無理はない。
何故、動かなかった。
ジ・パトラクシェを使用してまで、倒すことが出来たはずだ。
怯えていたのかもしれない。
プレシアによって、変えられてしまったトウヤに。
あの、残虐なる、姿に。
ユーノ・スクライアの殺害。
「私が、次に・・・動く。」
バアルは、動き出す。
その時、海で動く、何かを見た。
「あの・・・スクライアの人間・・・生きていたのか。」
とは言え、5秒に一回の心臓の鼓動を、捕らえただけであるが。
「彼女等の場に・・・行こう。この少年を連れて・・・闘おう。」
決意秘めて・・・
ただ、それは、黒騎士の目論見となる。
「燈也が・・・黒・・・騎士・・・?」
アースラに回収されたなのは、そして、フェイト。
この状況になろうとも、プレシアの手助けは、未だ無し。
既に見限ったのだろう。
リンディに呼び出され、ユーノを除く、アルフとフェイト、そしてなのは、アースラのブリッジにいた。
アースラのブリッジに映されているモニターは、プレシアと黒騎士
「ママを捕まえるなんて・・・愚かな人達よ・・・」
哀れみを、込められている。
ただ、愛する母を捕まえるというのなら、許しはしない。
ここにいるのは、姉の棺。
「どうして、僕とママと・・・姉さんの行く手を邪魔をするんだ・・・」
そこにいるは、アースラより派遣されし、魔導師部隊。
黒騎士とプレシアを討つべく、派遣された。
「トウヤ・・・下がりなさい。」
「わかったよ。ママ。」
プレシアが、言うのであれば。
黒騎士から普通の少年の燈也となる。
魔導師が進入した、その先にいるは、フェイトにそっくりな、女。
「私のアリシアに・・・近寄らないで!!」
砲撃を全て、吸収し、魔導師にダメージを与える。
「姉さん・・・」
「そうよ。初めてね・・・トウヤの初めてのお姉さん。本物のお姉さん。」
トウヤは、ただ、眺めるだけ。
後の、このアリシア・テスタロッサは、妹を殺す。
「人形のお姉さんじゃない・・・僕の、本当のお姉さん・・・」
プレシアの見限る瞬間、トウヤは、ただ、アリシアを眺めていた。
フェイトとは違う。
本物の、人形ではない、アリシア・テスタロッサに。
「役立たずで・・・ちっとも使えない・・・」
だから、人形として、もう必要ない。
このような人形など、必要ない。
トウヤとアリシアさえいれば、それで良い。
「アリシアは、もっと、優しく笑ってくれたわ。」
トウヤを導き、その豊満な体で、トウヤを抱きしめる。
愛情表現。
必要な事。
「アリシアは、我侭も言ったけど私の言うことをとっても、よく聞いてくれた。」
アリシアとの記憶はない。
「アリシアは、いつも私に優しかった・・・」
ただ、プレシアが、ここまで悲しい顔をする。
やはり、人形であるフェイトでは、駄目だった。
「やめてよ・・・」
この言葉、届くはずもなく。
「フェイト・・・やっぱり、貴方はアリシアの偽者よ。」
躊躇いなど、そこになく。
「折角上げたアリシアの記憶も・・・貴方じゃ駄目だった。」
では、何故、燈也が必要なのか。
「燈也を巻き込まないで!!!!だって、燈也のお母さんは、貴方じゃないもの!!!!」
姉として、なのはは叫ぶ。
どの道、聞こえているのなら、燈也を、返して欲しい。
燈也を・・・
弟を。
「そうじゃないわ・・・本当に、私の子よ?」
ただ、
「貴女のいた世界の私の子供・・・」
「え・・・?」
遺伝子上では、そうなっている。
だが
「トウヤにとっては、そんなことどうでも良いの。この子にとっては、本物の・・・ママなんだから・・・」
故に、消えてしまったこの世界でのプレシアである筈の人間。
このトウヤヘの母性本能を、プレシアは、知らずと受け継いでいたのだ。
一つの世界で、その人間が消えると、別世界の同じ人間が、その情報を引き継ぐように。
プレシアは、燈也の情報を引き継いだということだ。
本物の、親子とも言えないわけでもないのだ。
だから
「こんなことだって・・・できるのよ?義理のお姉さん?」
アースラで見ている、なのはに見せ付けるかのように、プレシアと燈也は口付けを交わす。
この行為は、いやらしく、プレシアは、燈也の口の中に、舌を挿入し、トウヤの中で暴れつづける。
「うっ・・・ぁあ・・・ママ・・・」
「愛してるわ・・・トウヤ。」
徐々に、トウヤの頬が、紅く染まる。
お互いの唾液を合わせて、プレシアは、それを飲み込んだ。
これを、異常な光景だとしか、なのはは思えなかった。
いや、なのはにとっては、トウヤが汚れていく。
プレシアへの愛は、なのはにとっては、汚らわしき行為。
「トウヤは・・・あなたの家族より、私のことが、大好きなの。」
だから、平気で、プレシアに奉げる。
もう、
「トウヤの身も心も・・・全て私のもの。」
ここで、既に、なのはの入り込む予知は無。
しかし、それを知らず。
「トウヤが、あなたの家に来た歳は・・・6歳のとき・・・」
更に、士朗が、完治した時の年齢は、6の時。
「知ってる?貴女の世界での、私・・・渚琴乃を殺したのは・・・貴女のお父さんよ?」
「え・・・・・・?」
交通事故で、無くなったと言われているトウヤの母。
しかし、それを殺したのは、士朗の父。
簡単に言えば、殺す殺されるの関係であったということだ。
士朗の行っていた仕事なら、それは充分にありえる。
「暗殺されたの・・・トウヤ。あの子の父親に。」
トウヤという存在を知り、それに罪悪感を覚えて琴乃の子供であるトウヤを引き取ろうとしたのと同時に、錯乱していたトウヤの力が暴走し重症を負わされた。
下手をすれば、片腕を持っていかれるほどだったという。
この後、引き取られた時、士朗に重症を負わせた記憶は無く。
士朗も、ただ、それを黙っていた。
このまま、高町家の養子になったという訳だ。
だから、血の繋がりは、全く無い。
本来、弟でもなんでもない、赤の他人なのだ。
そして、この事実、なのはは、初めて知った。
おそらく、士朗以外が人間は、誰一人とて知らないだろう。
「最悪の父親ね。あなたの・・・高町士朗というのは。」
「そんなこと・・・」
無と、言いたい。
自分の父親が、弟の母を殺したなど、思いたくない。
「そうそう・・・一つ、良い事を教えてあげるわ・・・フェイト。」
トウヤを抱きかかえ、そのまま、ゆっくりと、口を動かす。
ただ、この事実に、手錠を嵌められた金髪の作られた人間は、耐えられることなど、できるだろうか。
眼光は、プレシアを捕らえて離さない。
「貴女を作り出してからずっとね・・・?」
いや、迎え入れることなど、出来ないだろう。
肉親から、そのようなことを言われるのは。
次の口から出る言葉は、わかっている。
しかし、解っていたとしても、直接言われるのは辛い。
兄弟でなくとも、あのような事を言われた燈也でも、精神が破綻しそうになった。
ただ、救い手・・・
プレシアがいた故に、今のトウヤがいる。
「大嫌いだったのよ!!!」
手に持っていた、バルディッシュを、落としてしまう。
砕けて、それは弱くなる。
弱さを表すように、倒れこんだ。
まだ、精神状態が、安定しているなのはが、倒れるフェイトを抱きかかえる。
「アリシアがいなくて、寂しかったけど・・・」
もう、それも終わった。
側に、いるのだから。
「トウヤが隣にいるもの。」
身も心も、全て、プレシアのものになったのだから。
「二度と、離さない・・・トウヤと、一緒に行くの・・・!!」
このプレシアの言葉に、呼応するかのごとく、この空間に、魔力反応が広がり始める。
「始めるきか・・・」
アースラに突如現れた、一人の男。
バアル・デュカトゥシス・・・
「貴方は・・・?」
「この状況を、快く思わないものだ・・・」
この男の運んできたもの
「ユーノ・・・君・・・?」
遺体に近い状態のユーノを、抱きかかえて、この男は来た。
「まだ、助かるかもしれない・・・助けてあげて欲しい。」
「医療班!!」
リンディが叫ぶのと同時に、まだ、意識不明の重態となったユーノを医療室へ運び出した。
「紹介が遅れた・・・私は、バアル・デュカトゥシス・・・黒騎士と対になるもの。」
プレシアの空間の中で、浮かび上がる、その甲冑を身に纏った騎士。
既に、何百体も、そこに出現していた。
突如、庭園内が揺れ始める。
何を、
「プレシア・テスタロッサ・・・何をするつもりなの!?」
リンディが、その状況を見て、叫ぶことしか出来ず。
この女が、何をするのか。
これが、恐怖となる。
「私たちの旅の邪魔をしないで・・・!!」
全てのジュエルシードを、掲げ・・・
「私たちは、旅立つの!!!」
「ママ・・・ジュエルシードなら、僕が・・・!!」
「いいの・・・もう、トウヤを戦わせたくないから・・・お願いだから、ずっとそばにいて。」
今、トウヤだけに見せる、母親としてのプレシア・テスタロッサ。
トウヤにだけ向けられた、その笑顔は、本物であるといえる。
フェイトにすら、見せなかった。
本当のプレシア・テスタロッサの、母としての笑顔。
「忘れられた都・・・イエス・キリストの創りし、アルハザードへ!!!!!!!!」
後の敵となる人間の創った都。
安息の地。
ジュエルシードは、舞い上がり、発動す・・・
「アル・・・ハザード・・・イエス・キリスト・・・?」
「イエスよ・・・これを、貴方は・・・」
絶望。
プレシア・テスタロッサという人間の、怨念とも言えるほどの感情を、その身に受けていた。
「クロノくん!?」
「待ちたまえ!!君一人では!!」
クロノの後を、追うように、バアルは、同時に走り出した。
クロノが、一人で向かっても、アイン・エンゲージを操る人間が、向こうにいる時点で、殺されるに決まっている。
「全く・・・見てらんないじゃねぇか。クロノさん・・・」
「な、え!?」
デバイスを展開したクロノは、急に立ち止まった。
体が、動かなくなる。
「あんたなら、もうちょっと、冷静だよ?」
知った風な口を利く、この男。
「誰だ!!」
後に、未来に現れるであろう、最強の男。
「あんたの部下になる男さ!!その体、貸してもらう!!!」
勝手に。
しかし、クロノを安じてのこと。
「んな、おい!?せめて、お前の名前・・・」
クロノの人格が、完全に変わる。
「俺・・・?俺は・・・浦島悠介だ。」
全然、知らない。
「お前、どっからきた!!」
クロノの体の中で、主導権を握っているのは悠介となっている。
それは、悠介の魔力が強いからだ。
「11年後・・・ミッドチルダで、再び、お会いすることがあるでしょう。」
ただし、
「記憶は無くなって、ますがね。」
11年後のミッドチルダ。
この男は、何者だ。
それを知るは、まだ、早すぎる事だ。
しかし、今の戦力では、黒騎士には勝てない。
下手をすれば、プレシアが、黒騎士を動かせば、死ぬだろう。
完全に、力の差がある。
流石は、懐園剣に認められた男とも言えるだろう。
さらに、後に剣聖と呼ばれるまでに、強くなる男。
「ま、待て・・・おまえは・・・何故、僕達を・・・」
「んー・・・大切な二人の母親を・・・守るため・・・だね。」
後に、結婚することとなる、その二人の為に。
殺させないためにだ。
「俺の知ってるクロノさんは、もっとかっこいいんだけどね。」
だから、そのクロノを殺させないために
「体を借りるよ!!!」
「・・・僕が!?」
何を言っている。
しかし、そういわれれば、悪い気はしないわけで。
「ほんと、ほんと。俺が憧れる男だよ。」
だから、
「体を貸してください。」
「い、いや・・・それと、これとは・・・」
「あぁ、もう・・・うるさいな。あんたじゃ、あのダークネス・ナイトには、勝てないよ。」
現われし、未来の英雄。
神殺を手に持ち、
「おっさん、ジ・パトラクシェ・・・用意しないと、死ぬよ?」
しかし、出したとしても
「あんたは、早めに死ぬ・・・!!」
プレシアのところへ向かった。
「未来の英雄が、乗り移っただと・・・!?」
バアルは、即座に、それを理解することが出来た。
あの変わり様、二重人格とは思えない。
「黄金の騎士よ・・・」
呼び出されるは、ジ・パトラクシェと呼ばれる、アイン・エンゲージと、対を成すもの。
応えるかのように、目の前にアイン・エンゲージが現れる。
「さて・・・パトラクシェは、どれくらい・・・耐えてくれるかな!!」
この耐久力に、期待せずに、悠介は中で、暴れ始めた。
「パトラクシェ・・・恐怖しているのか!!」
しかし、目の前にいるアイン・エンゲージを、滅するには、必要な事。
次元の狭間で、
「さぁ・・・あの黄金の棺を破壊する・・・壊さなきゃ・・・ママが、苦労する。」
「黒騎士か!!」
漆黒と黄金が、ぶつかり合う事によって、衝撃が生まれる。
「スパッド!!」
パトラクシェの腰から抜き放たれる、光剣。
だが、それを冷静に、トウヤは剣で受け止める。
それを受け流し、一気に、その間合いに入った。
「そんな・・・!!」
「最初は・・・あんたを倒せって、言われていたんだけどね・・・!!」
ここまで、弱いとは思わなかった。
苦戦すると思っていたのだが、相手の攻撃が見えてしまう。
懐園剣をつかい、そのまま、パトラクシェの頭部を破壊しようとしたものの、バアルは、それをすんでで、受け止める。
強い。
強すぎる。
アイン・エンゲージの力も上がり、格段に、その強さは進化している。
「プレシアと交わっていたのは・・・!!」
交わることによって、その力は増していく。
一日に、馬鹿みたいに交わっていれば、バアルを簡単に越えることなど、造作も無いことだろう。
「しかし・・・!!」
アイン・エンゲージを、蹴り押して、そのまま、距離を取り、胴体の胸部を開く。
あの、未来から来たものに、言われたとおりの展開などになってたまるか。
翼を展開させ、パトラクシェの体全体が、展開されるような形となる。
バアルの、魔力の解放による。
これによって、アイン・エンゲージと空間を、破壊するつもりだ。
「やらせるとでも?」
「冷静なのが・・・腹に来る・・・!!」
バアルが、何をしようとしているのか、わかっていて、そこまで冷静を保つことができる。
「・・・」
刻む言葉も無いまま、生れ落ちたその引き金から、人を終焉へと送り出す。
「さぁ・・・消えてくれ・・・僕を失望させた。イエス・キリストの分身よ!!」
「わかっているのか・・・神の分身は、怨霊如きで立ち向かうことは出来ない・・・」
「ならば使いなさい・・・崩壊光を・・・」
「しかし・・・それは!!」
自分の手で、倒す。
外部からの声を遮断し、アイン・エンゲージと刺し違えるつもりだったが、拘束されていた。
動こうにも動けない。
背後に浮かぶそれは、紋章。
「セフィロトの・・・生命の樹・・・」
「よく知っているね・・・死んでくれ。」
全ての、パトラクシェの行おうとして使おうとした魔力は生命の樹に吸収され、何も出来なくなる。
「まさか・・・」
「シュバルツ・・・ザルク・・・」
パトラクシェのように、翼を展開させ、さらに、胸部を開く。
そこにあるは、無限光・・・
アイン・ソフ・オウルへと導く物。
真なるセフィロト。
それが、アイン・エンゲージに包み込まれるように、守護されるセフィロト。
それは、死へと誘う無限光・・・
動けぬパトラクシェ。
怨霊であるパトラクシェには、昇天できる光。
長年の苦しみから、抜け出される。
「動け!!動けないのか!!パトラクシェ!!」
動けないのではない。
動かないのだ。
Ⅹあるセフィラが、パトラクシェを容赦なく、パーツの一部一部を、無限光の彼方へと送り込まれていく。
「ここで、消えるのか!?イエス・キリストの分身たる私が!!」
セフィロトが照射され、パトラクシェの周りが、さらに照射され、セフィロトの紋章と、それを完全にする如く、広がりを見せ、22個の小径がパトラクシェを蝕む。
巨大な円の空間を創り出し、それが、パトラクシェを覆うことが出来なくなったとき、崩壊し、空間はおぞましい光に包まれる。
パトラクシェが、次元の彼方へと消え、黄金の怨霊は、姿を消したのと同時に、アイン・エンゲージも、空間を魔術によって抉じ開けた。
容赦することなど、無く。
そこにいるパトラクシェを、懐園剣で、バアル・デュカトゥシスを突き刺し、再び、元の空間へと戻る。
戻ってきたアイン・エンゲージを賞賛するように、背後に、セフィロトの紋章が浮かび上がった。
堕天使の如く、美しく、黄金の翼を展開し、その空間に浮遊するアイン・エンゲージ。
客観的に見れば、芸術品といえるだろう。
「ちっ・・・シュバルツ・ザルクを使ったか・・・」
悠介にはわかる。
それが、如何に危険な魔術であるということが。
「やっぱり・・・イエス・キリストの分身の中でも、一番弱いあの男じゃ駄目か・・・」
持つ筈も無い。
魔力しか、扱えず、その魔力といっても、たかが、している程度のものだ。
唯一の利点が、自分より強力な使い魔を精製できるということ。
また、崩壊光を使えるということか。
そのうちの一体が、
「ケルベロス・・・」
「ほぅ・・・バアルは弱い。だから、聖書に近い、聖人君子のような男だった。」
「それで・・・あんたは、俺と戦ったら・・・消える。」
「ふっ・・・解っているさ。兄弟たちのところに逝けるのであればな。」
これほど、嬉しいと思えることは無い。
「我等・・・序章の尖兵の出番は終わりだ。」
「あぁ。いいのか?燈也さんに会わなくてさ・・・」
「あれは、強い。私がいなくてもな。それに、あの女の言いなりになるようなことは嫌でな。さらばだ!!」
自らの心臓を、魔力によって、無理矢理停止させ、自ら死を選ぶ。
序章の尖兵としての仕事は終わった。
その仕事とは、
「この舞台を崩壊させる前に、それを防ぐ主人公を覚醒させる・・・」
言うなれば、単なる噛ませ犬だったという訳だ。
その主人公が、皮肉にも、敵として洗脳された高町燈也でありトウヤ・テスタロッサであるということだ。
トウヤ覚醒のための、部品。
また、悠介の目の前には、アイン・エンゲージから降りたトウヤ・テスタロッサがそこにいた。
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| 漆黒の破壊天使(完)
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2008.11.15 Sat
ほへー・・・
タイトルがぶっ飛んでる・・・
いつもながら、無印のアニメ版を身ながら、読むことを薦めます・・・
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「あの・・・年齢で、あの威力ね。」
「悠介も、なのはママの年齢のときは、一本の太刀で・・・悪鬼を倒したって。」
「まぁね。」
敵は、フェイトやなのはをも超える京都にすくう悪鬼の一人。
名を煩天。
9歳時に、其れを倒した悠介は、周りから、尊敬の意を込めてスサノオと呼ばれた。
しかし、この状況をみれば、フェイトは他として、なのはも充分と異端と言えるだろう。
ただ、その絶対無敵として描かれているスターライトブレイカー。
強化されて、エリュシオンと名を変え、進化するのだが、ゼウスに片腕で弾かれたのは、記憶に新しい。
ゼウスに対する項目は、セイント・ビーストを拝見されたし。
この光景は、管理局の人間に、なのはは無敵ではないということが証明された。
さらには、イエス・キリストに捕まり、アリシアとプレシアに利用されたのだ。
後に、無理をして、怪我をするのだが、エンジェルクロニクルをえたことによって、その怪我は完治された。
それでも、全力を出しても、ゼウスに勝てなかったのは、ゼウスの力が、なのはとフェイトを超えるほどの実力であったから。
「さぁて・・・どうするかな・・・」
ここにいる二人であるが、無論、悠介とヴィヴィオである。
過去の世界にいるなのはとフェイトに害を成すであろうイレギュラーを討滅すべく派遣されたといえる。
本来は、バアル・デュカトゥシスが、害を成すと思っていたが、害をなすのは、トウヤだった。
しかし、生き残っているというのは、その間に何かがあったということ。
洗脳を解除しなければならないというのが第一条件となるだろう。
「へー・・・倒したね。」
雑談している間に、二人の戦いは終了していた。
どのような戦いになったのか。
其れは、アニメーションを良くみれば、御解りになるだろう。
「そう言えば・・・介入って、どんな感じでやるの?」
「俺たちが・・・その体に入ればいいんじゃないか?」
精神体だけの存在であるのだから、仮に、クロノの体、なのはの体を借り
「アイン・エンゲージと闘うって訳だ。」
「そう言えば、この戦いで・・・一人が重傷を追うんだよね。」
ただ、それを止めてはならない。
止めることをしてはならないのだ。
これによって、歴史が大きく変わってしまうこともある。
止められる立場にいながら、止められない。
それは、辛いことでもある。
「ケルベロス・・・ここで、ママを頼んだよ。」
「あぁ。奴等を全員、殺しても構わないのだな。」
「うん。」
魔力を使ってでの、体の無理矢理な成長。
しかし、そこまでしてまで、尽くしたいのだ。
本物の母だと思っている、プレシア・テスタロッサに。
「フェイトを消しても・・・構わないわ。燈也は良い子だ物。できるわよね?」
「勿論だよ・・・ママ・・・」
トウヤは、二人の戦いを見届けてから、鳴海市へと・・・
降臨す・・・
「フェイトちゃん!!??」
突如の雷。
既に、リンディとクロノはこの時点で、プレシアの捕獲に移っている。
ただ、このときを予期して、トウヤは、ケルベロスを残していた。
「いやぁ・・・大した余興だったよ。」
「黒・・・騎士・・・さん?」
歪なる気配を感じて、なのはとフェイトは、後退するも、アースラからの回収は無い。
さらに、そこで、巨大な結界に張られていることに気付く。
「もう、二人とも・・・限界まで力は消費している。そうだ・・・帰してもらうよ。フェイト。」
フェイトの回収していた、ジュエルシードは、全て、プレシアの基へ。
これと同時に、バルディッシュをプレシアから受け継いだフォトンバレットで、破壊。
これでも、フェイトが何も言えないのは、プレシアの気配をモロに受け継いだ、黒騎士への恐怖か。
ケルベロスが回収していたものまで、持ち出していたのは、不満だったが、それを回収することが出来たのは、幸いといえるだろう。
「昔姉だったよしみだ。簡単には、殺してあげないよ。」
「姉・・・?」
何を、黒騎士は言っている。
一瞬、なのはの中で、トウヤが過ぎった。
しかし、それを直ぐに否定する。
ただ、何処で、
「暮らしている・・・まぁ、あっているけどね。」
黒騎士が、その仮面を外したときに現れる。
10年後のトウヤの顔が。
高町トウヤだったもの。
なのはは、愕然とせざる終えない。
フェイトは、その顔を、まともに見ることが出来なかった。
高町燈也ではなく、なのはの弟としての燈也ではなく、そこにいるのは、トウヤ・テスタロッサ。
プレシア・テスタロッサに洗脳・・・
いや、本物の母と出会えた、幸福であり、哀れな黒騎士。
「まだ・・・気付いていなかったんですか。あの、男が・・・既に、貴方に教えたのだと思っていたんですがね。」
「燈・・・也・・・?ユーノ君・・・知ってたの?」
なのはは、今まで信じてきた、アルフの隣にいる一匹の獣に恐る恐る尋ねる。
知らないと言って欲しい。
黒騎士が、燈也などということなど、考えたくも無い。
闘いたくも無いのだ。
「・・・ご免・・・知ってた・・・」
「酷いよ・・・どうして、いってくれなかったの・・・!?」
「それは・・・」
「もう、聞きたくない!!!」
拒絶
「ユーノ君なんて、もう・・・信じられない!!!!」
絶望
知っていたのなら、何故、教えてくれない。
二人の間に入る亀裂。
修復できるかどうか、それは、天のみが知るといったところか。
「まぁ・・・ここで、姉だった貴方を殺すことも、僕の目標でね・・・!!」
懐園剣・・・
召還・・・
「さぁ・・・!!!!!!!」
完全一体化・・・
「そんなことって・・・燈也、私だよ!!??なのはだよ!!!」
「そうだ・・・僕のママを何回も殺した、残虐な姉だ!!!!」
「燈也・・・!?何を、言ってるの・・・!!」
黒騎士は、叫びながら、その剣を抜く。
「さぁ・・・絶望に染まるがいい!!!!!!!!」
抜かれる剣の刀身は、紅に染まり、それは血を現すかのごとく。
剣聖王・・・
今まで、その剣が、どれだけ人の血をすったかを現すかのごとく。
「解放・・・エンゲージ・レヴ・・・!!」
エンゲージの胸部が展開されることによって、黒騎士は、進化する。
背中の、巨大な漆黒の翼が、展開され、金色の羽が舞う。
金色の羽が、放出されることによって、それが、推進力となり、天空を駆け抜ける。
「ラウンドシールド・・・!!!」
なのはは、自分とフェイトを守るために、急ぎラウンドシールドを張る。
しかし、それは不安定だった。
魔力の不足は、勿論のこと、燈也が、自分を殺すという受け入れたくない真実。
全力の燈也には、かなわない。
シールドは破られる。
と、同時に逃げ出した。
全力でだ。
しかし、燈也の方が早い。
追尾ミサイルに追われる、なのは達は、燃料尽きた、戦闘機とでも言おうか。
「お願い・・・!!燈也・・・血は繋がっていなくても、兄弟なんだよ!?」
「僕にとっては、あんたは憎いんだよぉぉぉぉぉぉ!!!!!!!!!!!」
「燈也!!!!!!」
憎しみが、勝る。
この瞬間。
純情なる思いは、打ち砕かれる。
「ママの目的を、防ぐのなら・・・!!」
「あの人は、本物のお母さんじゃ・・・!!」
「フェイト!!」
アルフが、なのはとフェイトを守るために、そこへ、降り立つ。
「アルフさん!?」
「早くいきな!!こいつは、抑えるから・・・!!それと・・・ご免。」
「ちっ・・・逃がしちゃったじゃないか・・・」
興醒めとなる。
トウヤの、心中。
察することなど、ここにいる人間は、誰も出来やしないだろう。
なのはを、母の仇と見て、高町家を憎んでいるのだから。
「あんたの、姉さんなんだよ!?なのはは!!」
「あぁ。僕を、心の中では、見下して・・・本性を見せたけどね。」
「それは・・・あの女が作り出した幻だって・・・!!」
「いえるのか!!!!」
鏡風殺
「え・・・?」
気付けば、血液が、噴出している。
トウヤは、その場にいなかった。
斬られた。
その感覚は、わかる。
だから、アルフは落ちた。
いつ、斬られた。
気付けば、ぱっくりと、割れているのだ。
なのはは、消されるのを承知で、アルフを救い出す。
海面に落ちる前に、回収することが出来た。
ただ、トウヤは、それを眺めていただけだった。
なのは、それを不審に思う。
だが、この感情を、まだ在る優しさだと、思いたかった。
「ママの悪口を言うから、いけないんだ。急所は外しておいた・・・よ。」
なのはに告げて、ただ、その状況を眺める。
ここで、倒すこともできるのに、何もしないのは、なのはの望、単なる優しさではなく、単なる観察か。
この状況を、ただ眺めているだけの男が一人。
なのはは、何とか逃がすことが出来た。
しかし、この結界を破壊することは、出来ないだろう。
この結界が張られているとき、逃がすことも、増援をも送ることは出来ない。
「僕が、教えていれば・・・こんなことに、ならなかった・・・!!なのは!!!!」
償いのつもりか。
ユーノは、動き出す。
「なのは・・・アルフのところまで戻ってきて・・・」
ユーノは、そこで、燈也の攻撃を防ぐつもりだ。
しかし、防いだところでどうする。
何も、することが出来ない。
なら、少しでも助ければ良い。
「魔力・・・を暴走させて・・・この結界を破壊・・・」
ユーノは、人としての姿になり、覚悟を決める。
成功すれば、自分も何とか、助かるだろう。
しかし、失敗すれば、自らの死を意味する。
ただ、至近距離であるトウヤも、そこで死ぬ。
「これしか・・・!!」
「ユーノ君・・・!!」
信じられるのか。
いや、今だけは信じたい。
だから、なのはは、ユーノの指示どおりに動く。
「僕の後ろに・・・!!」
「私・・・大丈夫・・・だから・・・」
なのはは、フェイトを降ろし、ユーノの背後に回る。
アルフを介抱しながら、ただ、その状況を眺めていた。
しかし、何をするつもりだ。
このユーノ・スクライアは。なのはを、巻き込んだのだ。
せめて、自分が、ここまでする。
ここまで、しなければならない。だから、行う。
ラウンドシールド+サークルプロテクション・・・
二つの防御魔術が、合わさり、それ、絶対防御の物とする。
「悪いけど・・・砕くよ。」
絶対なる、騎士・・・
いや、皇帝としての黒騎士。
「エンプレス・キル・キャリバァァァァァァァ!!!!!!!!!!!」
再び、金色の羽が舞う。
同時に、隼の極、駆け抜ける。
出鱈目といえるほどの、金色の羽の放出。
そして、出鱈目な、その軌道。
防御の姿勢にいるからこそ、その軌道は関係の無い物となっているものの、突撃力は別として、相手も動いていたら、それは、蟲と隼といえる。
「来る!!!!!!」
その突撃力に、耐えられるか。
「さぁ、歓喜の悲鳴をあげろ!!!!!」
隼となったトウヤと、防御フィールドが激突する。
その、巨大防御フィールドへとかかる衝撃は、ユーノが、これまで体験したことの無いほどの衝撃。
「くっ・・・うぁぁぁぁ・・・!!!!!!」
「ママの力を受け継いだんだ・・・これで終わると思うか・・・?」
バリッ・・・
中心から、割れる。
「そんな!!??なのは!!!!下がって!!!!」
これほどにまで、早く、割れるとは。
ユーノは、早く、覚悟を決める。
「早く!!!!」
なのはは、その剣幕に押され、急ぎ、後退する。
「好きな女のために自らを犠牲にするか!!!!」
「悪いかっ・・・!!!!」
「そういうの、馬鹿がやることなんだなよ!!!!」
魔力の暴走は、できる。
早めに、自爆する。
だから、急ぎ
「死んでもらうよ!!!僕と一緒に!!!!」
「くくくくくく・・・・はははははははははは!!!!!!!!!!僕と、死ぬだってぇぇぇぇ!!!!!!??????」
馬鹿なことを言うな。
防御フィールドを突き破り、その腕で、ユーノの腹部を貫いた。
これと同時に、消える。
巨大な防御フィールド。
しかし、
「かかった・・・僕の魔力・・・」
重傷を追いながらも、自爆することができる。
だが、
「出来・・・無い・・・?」
黒騎士の鎧は、ユーノの内蔵に直接触れることによって・・・
ユーノに、ダメージを負わせることによって、鎧は、ユーノの魔力を、尽きるまで急襲する。
このような、馬鹿なこと、出来る筈が無い。
「僕の・・・」
「発想は面白い・・・でも、僕の前じゃ、無意味・・・」
そのまま、片手で、ユーノを上空に向け雲の上、酸素の行き届きにくい空間にまで、上昇した瞬間、トウヤは、ユーノの首を掴み、腹部を貫いた腕を引き離すと同時に、絞めていた首をも離す。
落として、殺すだけなら、芸というものが無い。
落ちる瞬間に、切り裂く。
まず、一太刀が走った。
「さぁ・・・前!!」
また、一太刀。
「苦しめ!!」
一秒も経たないうちに、6回以上、ユーノを切り裂く。
それは、速くなる。
「もがき!!!!」
このスピードが、止まることは無い。
既に、そこは、トウヤの創りし、剣聖という名の結界の中。
「僕の前から・・・消えろぉぉぉぉぉぉ!!!!!!」
全ては、トウヤの思うが侭次第。
「がっ・・・はっ・・・」
声は出ない。
出る筈も無い。
出そうとする前に、斬られるのだから。
「ふふふふふふふ・・・・・・はぁぁぁぁぁぁはっはっはっはっは!!!!!!!!!!!!!!」
腸をも、完全に切り刻まれ、全てを原型を無くさない様に。
「全ての塵は・・・セフィロトの糧となりて・・・!!!!!!!!!!」
ユーノを中心に、描かれた、セフィロトの樹・・・
ティフェレトに奉げられて・・・消える。
「さようなら・・・さようなら!!!!!ユーノ・スクライア!!!!!!!」
消え行くものよ。
完全に、滅した。
後は、
「なのはとフェイトのみ・・・!!」
「トウヤ・・・お戻りなさい・・・」
突然の帰還命令。
何故だ。
殺せる。
今なら、殺せるのだ。
何故、ここで帰す。
「でも・・・」
「いいの。フェイトに、教えてあげましょう。それより・・・こっちを手伝って。」
「解ったよ。」
トウヤは、結界を破壊し、愛するプレシアのいる場へと戻った。
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2008.11.15 Sat
後一話・・・
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「ここまでは・・・史実どおりだ。」
ここにいるのは、精神のみ存在。
過去へとダイブした、二人が、そこにいる。
大して、気にしてもいないものの、ここまでは史実どおり。
「でも・・・燈也さん・・・」
「まぁ、俺たちは・・・よほどのことが無い限り、鑑賞しちゃいけないし。」
故に、数十年後にイエス・キリストと戦い終わり、この時代を見守っている人間が、ここにいる。
過去への干渉は許されず。
故に、そこにいる。
精神だけの存在として、とどまっている。
「悠介・・・」
「もう少し・・・見守ろうじゃないか。」
名は、浦島悠介。
高町ヴィヴィオ。
その人である。
「過去のスサノオとアマテラスのボディーガードな訳なんだけどね。」
燈也の本来の役割というのは、この二人の守護とは言え、スサノオとアマテラスの力は強力すぎるゆえ、遊撃武者として、扱われていたのだが。
過去の、悠介やヴィヴィオの基となった人物がそこにいたが故に、燈也は、テスタメントチルドレンである。
それは、クロノや、ティアナにも言えたことである。
あ、ティアナは、まだか。
「この世界での、テスタメントチルドレン・・・」
「ね、なのはママは?」
高町なのはは、過去に、其れとよく似た存在は確認されていない。
故に、テスタメントチルドレンではない。
「だから、ゴウさん達の力を得て、俺たちと同等になった。」
フェイトにいたっては、語るまでもなく、対象外だ。
しかし、それでも手を貸したのは、葉子が気に入ってしまったからである。
子供を生まずに死に、さらには百合気質であるが故に、それで良い訳だ。
「クロノさんは、前世だと、オーディンだしね。」
「ティアは、ワルキューレで・・・」
「知世がツクヨミ。」
はやては、単なる仮契約に過ぎない。
本来の人間ではない。
知世という名の肉体というのは、既にそこになく、はやての精神の中を、京都に作り変えて、11年後の世界で、生きているわけだ。
「悠矢さんは、オルクスだっけ?」
「あぁ。珍しくね。」
死の魔神が基だった人間は数少ない。
故に、最初は暴走しがちだったということを、悠介は、思い出していた。
「あ、そういえば・・・葉子さんは?」
「まぁ、俺たちの母親であるイザナミなんだけどね。」
故に、父であるイザナギは誰になるのか。
などという話もあるが、イザナギは存在せず。
故に、この世界でのイザナミは、性行為は必要をなさいのだ。
単相生命体である。
単相生命体については、ファイブスター物語五巻・・・
91項を参照されたし。
ただ、普通の場合では、死にいたるものであるが、其れを可能とするのは、神ゆえの所業である。
「あ、お婆ちゃん。」
「羅刹婆ちゃんの場合は、本当は俺の親父についててね。だから、あれから全く登場しなくなったのは、親父についていったせい。」
「あ、そういうわけなんだ。」
「それで、燈也さんの元になった神は・・・?」
と、まぁ、ここでヴィヴィオの一つの疑問が思い浮かぶわけであるが。
この燈也の基となった神が、誰であるのかというのは、後に解るということだ。
「そういえば、最初にあった、神を殺すって言うのは?」
「ま、時折俺の八岐大蛇とかが現れる時・・・別の神の力が宿る時。」
元の神以外の力を使うのが、神を殺すの意。
「羅刹婆ちゃんとか・・・ガルーダ、デス・・・イシュタル。」
それらが、かつて、悠介の殺してきた神。
「其れを・・・姉妹たちに分け与えたんだっけ。」
「そう。俺の分身たちにね。」
最終決戦前に、全て取り込み、最終形態になったわけだ。
とは言え、外見は、あまり変わっていないのだが。
「あ、そうだ。でも・・・アイン・エンゲージで、なのはママを殺すって事・・・」
「いや・・・無いんじゃないかな。」
アイン・エンゲージが相手だとしても、
「管理局側に、ジ・パトラクシェが付くよ。」
基より、陰と陽の関係。
交わることは無い。
必ず、対立しなければならない関係となる。
全てにおいて、其れは
「レギオン・ゴッドと・・・ジ・ゴッド・パーツの一つは、相容れないさ。」
ただ、この場合、面白いのが、レギオンが味方につくということである。
「さて・・・そろそろ、フェイトさんが、拷問に合う時間な訳だ。」
「ね、この話・・・明らかに、視点説明とかしてないよね。」
「まぁ、其れくらいわかるんじゃないのか?」
故に、
「歴史を辿るのと同時に、俺たちと一緒に見ていくのが、一番好ましいんだよ。」
そうでなければ、物語は進まない。
アルフは、アリサ・バニングスに回収され、物語は進む。
「・・・」
トウヤは、ただ、その光景を眺めていた。
フェイトが、プレシアの手によって、泣き、叫び、喚く。
浮かび上がるその傷を見ても、何も思わない。
居合わせているのは、少しでもプレシアとともにいたいから。
プレシアを愛してしまっているから。
「・・・」
何も、思わない。
不快にも、何も。偽者だとわかっているからなのかもしれない。
「あんた!!あれをみても、何も思わない訳!?」
獣の女。
気付けば終わっていた拷問場の中心に、移動し、アルフがフェイトを回収していた。
フェイトと、ただ呟き、先程のようにトウヤを怒鳴りつけたのだ。
「別に・・・」
「あんた・・・もう、あの女の人形だ!!」
「ママに愛されるなら・・・それで良い。」
トウヤ自身は、プレシアのことだけを考えれば良い。
だから、プレシアの気配を辿り、プレシアの場に行く。
愛されたい。
プレシアに愛されたいから。
其れの、何が悪い。
フェイトへの罰を止めないくらいで
「何で・・・そこまで言われなきゃいけない?」
「フェイトだって・・・あの女の!!」
「違うよ?」
何を、何をお前は言っている。
首を傾げながら、こいつは何を馬鹿なことを言っているのか。
解らない。
トウヤは、理解が出来なかった。
何故、フェイトが、プレシアの娘であるというのかが。
単なる、戯言である。
聞く必要も無い。
意味も無い。
フェイトが生きている意味など、直ぐに終わる。
今回でだめであるのなら、もう、用済みなのだから。
「僕は・・・お姉ちゃんと、ママと一緒に暮らすんだよ。」
「お姉ちゃん!?」
「君は知らなくていいよ。じゃあね。ママが、待ってるから・・・」
「お姉ちゃんって・・・えっ!?」
アルフは、フェイトを抱きかかえながら、消え行くトウヤを眺めて、考えていた。
トウヤの語る、姉とは誰なのかと。
「ママ・・・血が!!」
燈也が、プレシアを見た時、その口に、血が付着していることに気づいた。
焦り、燈也はプレシアの血のついている部分を、一回、舐めて、拭き取った。
何故、こうなっている。
「大丈夫・・・?」
「心配してくれるのね・・・トウヤ。」
プレシアは、そのままトウヤを抱きしめて、トウヤの愛を噛み締める。
だから
「絶対に、一緒にアルハザードに行きましょうね。可愛いトウヤ・・・」
「うん。ママ・・・大好きだよ・・・」
「私もよ・・・」
強く、プレシアを抱きしめる。
周りから見れば、悲運の恋人同士とでもいえるだろう。
ただ、義理の形といえども、この二人は家族だ。
近親相姦ともいえる。
これは、罪である。
しかし、大罪を犯してでも、プレシアであるならば、トウヤはそれで良かった。
だから、平気でプレシアに体を奉げることだってできる。
ただ、異常な家族関係とも言える。
だが、其れは、家族と言えるのも、事実なのだ。
遺伝子は、プレシアと酷似しているのだから。
「ママ・・・」
全てを、奉げる。
トウヤがそれからえることができるのは、プレシアの力。
今日、5度目の接触を始めようとした時に、会談を下る足音が、耳に入ってきた。
だが、気にすることなく、二人は交わる。
徐々に、足音が早くなり、其れは、一つの閃光となって、プレシアに衝撃を与え、倒し、殺そうとする。
この場合なら、フェイトに何を言われようが構いやしない。
全ては、
「フェイトのため!!!!」
光となって、プレシアへと。
だが、閃光は、プレシアに当たることなど無い。
「殺せないよ・・・?貴女に・・・ママはね。」
プレシアは、一時的に、トウヤから体を優しく離しアルフを迎え撃つ。
「死んだような人間が・・・!!」
アルフは、フィールドを粉砕し、プレシアの胸倉をつかんだ。
「怒り・・・憎しみ・・・」
トウヤが、その状況をみて語れる言葉は、その二つ。
言っていることが、正しいことなど、解らなかった。
ただ、その女が、わめいているだけ。
敵となったのであれば
「僕が・・・」
「良いのよ。貴方は、下がっていて。」
「本当に、燈也が、あんたの息子なら・・・!!そんなことは、しなでしょう!!!」
「何、やいてるの・・・?発情してるのかしら?」
小ばかにした態度に、アルフは、切れ始める。
そこまで、言われた。
怒りは収まらず、その胸倉をつかんでいる腕の握力を、さらに強くする。
今、この状態で、アルフにとっては、一番癇に障る態度だったのかもしれない。
このように、フェイトを思っているのに・・・
プレシアは、真面目に応えようとしない。
「誰が!!」
「貴方・・・さっき、言ったわよね?」
「何を!!!今、私が言っているの!!口を出さないで!!」
「死んだような人間が・・・って。許さないわよ?」
義理との区別など、既についていない。
だから、プレシアにとっては、自分の息子を馬鹿にされたのと同じ。
許せないのだ。
遺伝子上は、本当の子供といえる燈也を、死んだといわれたことが。
プレシアの右手から、放てられた、光弾。
トウヤは、アルフの叫びに聞く耳を持たず、衣服を身にまとった。
「邪魔が・・・入ったね。」
「えぇ。後で、続きをしてあげるから・・・そこで、待っていなさい。」
「ここで・・・待ってる。」
プレシアは、何処かへ向かって、トウヤの視界から消えていく。
幻影であったのかのように、このくらい空間の中で、トウヤは、プレシアを待つ。
「怒り・・・憎しみ・・・偽り・・・」
「主、どうした?」
「ケルベロス・・・ママと再会する前のことを考えてたんだ。」
「お前を裏切った、家族のことか?」
「あぁ・・・偽りだった。僕のことを本当は嫌いだったんだ・・・」
そうであるのなら、憎いのであれば、そこにいる人間が、憎いほど、殺したいのであれば、
「お前が、全てを殺せば良い。」
冷酷であるが故に、トウヤに、ベストなことだと思うが故に、冷酷な指示を出すことができる。
「お前の姉だったもの、兄だったもの、母だったもの、父だったもの・・・全てを、殺せ。そうすれば・・・」
トウヤ・テスタロッサは、高町というまとわりついた怨念から、
「解き放たれる。貴様の憎い、高町の邪念をな!!!」
「そうだね・・・全てのジュエルシードを、あのできそこないが、回収したら・・・僕は、そうするよ。」
全てを破壊する。
ただ、
「あの手の洗脳は・・・巧妙だよね。」
「プレシア・テスタロッサの?」
「そう。」
一連のことには、干渉せず。
「ただ、この時代に・・・俺たちは、まだ・・・干渉してはいけないみたいだね。」
干渉するほどの支障は無い。
故に、ただ、其れを、見守るのみ。
「ねえ・・・燈也さん・・・本当に殺しちゃうの?」
「殺してたら・・・俺たちは、ここにいない。」
と、言う訳だ。
本当にそうなれば
「私達の介入が必要な訳だね・・・?」
「そう・・・だね。さて・・・高町家をみてみようか?」
次元をそちらに移せば、リンディが、今までの現状を桃子に語っている場面だった。
考えてみれば、このときからリンディが桃子に、好意を持っていたというが、
「アプローチしてるわ・・・」
リンディが、桃子の二の腕に胸を当てたりと。
「そう言えば、この日に、アルフが、アリサさんに拾われるんだよね?」
「あぁ。そうだよ。其れまでは動きは無いから・・・その時間にまで、移動しようか。」
このようなときこそ、精神体のみと言うのは楽なものだと、悠介は笑った。
一通りの出来事は、観測者のあなた方なら、其れはご存知だろう。
そこから、アルフが、なのはと手を組み、決意を決める訳だ。
『ただ・・・物語は、ここからだとして・・・俺の存在しない世界が会ったりする訳だ。」
いや、既にこの物語自体が、最初から歴史は変わっている。
ただ、数ある舞台の中で、展開されるものは、人の数だけあるという事もある。
「そういえば、私と悠介って・・・もとの人が同じ人から生まれたんだよね。」
「まぁね。」
「一応・・・血縁者?」
「そう言うことになるね。とは言え、んなことは問題じゃないんだけどね。」
「ここまでは・・・なのはママたちが語ったことと同じ。」
そういう事となる。
つまり、時間を早送りしてもかまわない訳だ。
さして、問題は他にあるわけだ。
数ある世界として、イレギュラー・・・
つまり、燈也や悠介のようなキャラクター。
簡単に言えば、二次創作に見られる、オリジナルキャラクター参入によって歴史が変わる。
余計なこと、例えば、なのは達を殺すなどという行為を起こしてしまえば、歴史は簡単に崩壊してしまう。
ヴィヴィオ、悠介などの崩壊。
よって、11年後には、確実に、その世界は崩壊する。
など、ということもありえることなのだ。
「さて・・・問題の、なのは母さんとフェイト母さんの、最後の戦いを・・・見に行こう。燈也さんが動くなら・・・そこだからね。」
「うん・・・」
「動くよ・・・ママ・・・」
「行くの?」
フェイトとなのはが、動く。
わかっている。
二人が、
「下らないことで闘おうとしている・・・」
ただ、それは、チャンスともいえる。
この、黒騎士と名乗る男によれば、
「漁夫の利・・・」
どの道、あの二人が
「同等の力であるのだから・・・」
「全力でぶつかれば・・・相当な力を消費する。」
だから、如何なる手段を使っても、構わない。
「アイン・エンゲージで・・・弱った二人を殺す。」
「そう・・・良い子。」
プレシアは、燈也の顎を舌で、舐めてその、指で撫でる。
「でも・・・決着なんて付く前に・・・ママと、こうしていて・・・良いよね・・・」
この二人を、殺すことが出きれば、母の望む、ジュエルシードの目的地を全て得ることとなる。
どの道、アルフやユーノが来るのであれば、その二人を殺すこともできる。
自分の中に、勝手に入ってきたもの、自分と母の関係を、異常と言う者。
「えぇ。構わないわ。そして・・・殺しなさい。私たちを、否定する人間は。」
「うん。ママが、そういうんだったら・・・殺るよ。」
既に、始まった。
時間は、これから、動き出す。
「ママの病気は・・・僕が、ジュエルシードを全て集めて、アルハザードへと連れて・・・治す。」
遺伝子上は、血縁者といえる存在とは言え、義理の母に、そこまでできるのは、愛された結果。
また、思い出の中にある本当の母親に、似ているから。
二つの要素が混ざり合って、トウヤはプレシアの物になった。
身も、心もプレシアに汚染された。
「さて・・・そろそろ、後に愛し合う二人が、最初で最後の全力的な戦いをする訳なんだけどね。」
「あぁ。ママたちの言ってた戦いね。」
時を、その時間にまで速めて、悠介とヴィヴィオたちは、次元の狭間で二人の様子を眺めていた。
ここが、悠介達の介入ポイントでもあるのだ。
いつ来るか。
其れは、漁夫の利をえるのであれば、無論、決着がついた直後など、誰の目からみても、其れはわかる。
シンプルであるがこそ、其れが恐い。
ただ、別の要素が絡んでくるかもしれない。
バアル・デュカトゥシスが・・・
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| 漆黒の破壊天使(完)
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